JP3930777B2 - バッテリの劣化度演算方法及びその装置 - Google Patents

バッテリの劣化度演算方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、負荷に電力を供給するバッテリの劣化度を演算する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される車載用のバッテリは、エンジンの始動や車載電装品の作動の電源として幅広く用いられることから、その充電状態を正確に把握しておくことは非常に重要である。
【0003】
ところが、バッテリは一般に充放電を繰り返すと内部インピーダンスが高くなり、満充電状態から放電することができる放電可能容量が次第に低下していく。
【0004】
それゆえ、バッテリの充電状態を正確に把握するに当たっては、現実に供給しうる容量を知ることが最も重要であることから、バッテリの現在の満充電容量を正確に把握する必要があり、そのためには、満充電容量自体を左右する、充放電を繰り返していくうちに劣化するバッテリの最新の劣化状態(劣化度)を認識することが、重要な課題として認識されている。
【0005】
そして、バッテリの劣化度を知るには、新品時のバッテリの満充電容量の値を予め把握しておき、これと、現在のバッテリの満充電容量の値とを比較する必要があり、従来は、満充電状態からバッテリを完全に放電させて、その間の放電電流値に放電時間を乗じて放電電流量を計測し、この放電電流量を現在のバッテリの満充電容量の値とする手法が用いられている。
【0006】
ところで、一般のエンジンのみを走行駆動源とする車両や、エンジンの出力トルクの不足時にモータとして機能するモータジェネレータの動力を補助的に用いるハイブリッド車等に搭載される車載用のバッテリは、主にエンジンの始動時に大量の容量が消費されるが、その後は、オルタネータやジェネレータとして機能するモータジェネレータによって発電される電力により、走行中に満充電状態に充電される。
【0007】
このため、これらの車両において、現在のバッテリの満充電容量の値を計測するとなると、車両からバッテリを外して満充電状態から完全放電させるという、非現実的な作業を行わなければならないことになり、到底採用できるものではないという不具合がある。
【0008】
そこで、バッテリを車両に搭載したままの状態で測定できる値を用いて割り出すことのできるファクタのうち、バッテリの劣化に応じて値が変化するファクタを見つけ、そのファクタの値がバッテリに劣化のない状態からどのように変化しているかを監視することで、バッテリを車両に搭載したままその劣化度を知ることができるようにすることは、バッテリの最新の劣化状態(劣化度)を認識する上で非常に重要である。
【0009】
ところで、バッテリの劣化に応じて値が変化するファクタとしては、バッテリの内部インピーダンス(合成抵抗)があり、この内部インピーダンスにより引き起こされるバッテリの端子電圧の電圧降下は、バッテリの構造などに基因するIR損(純抵抗、すなわち、オーミック抵抗による電圧降下)と、化学的な反応に基因する分極抵抗成分(活性化分極、濃度分極)による電圧降下に分けることができる。
【0010】
そこで、これらバッテリの端子電圧の電圧降下の要因となる純抵抗、活性化分極抵抗、濃度分極抵抗を、バッテリに劣化のない状態からどのように変化しているかを監視すれば、バッテリの最新の劣化状態(劣化度)を認識することができるはずである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現実のバッテリの劣化には、純抵抗が大きくなる劣化、または活性化分極抵抗および濃度分極抵抗が大きくなる劣化など、様々なモードが考えられる。したがって、各抵抗成分(例えば純抵抗)を単独で監視したのでは、実際には劣化しているのに劣化していないと判断を誤る場合が考えられる。例えば、純抵抗だけを監視した場合、充電状態SOC(State of charge )=40%以上では、非劣化時に対する抵抗値の変化はさほどないが、SOC=40%以下になると抵抗値が急激に上昇するなどのケースが考えられる。しかも、活性化分極抵抗または濃度分極抵抗については、SOC=40%以上の時についても、抵抗値が非劣化時より大きくなるように変化するといった現象さえ見られる。
【0012】
したがって、バッテリの劣化に応じた純抵抗、活性化分極抵抗、濃度分極抵抗の変化には規則性が見られず、しかも、各抵抗の相互間に何らかの連鎖反応の関係があるようにも見受けられるので、純抵抗、活性化分極抵抗、濃度分極抵抗を単独で監視してその変化によりバッテリの劣化状態を判別するのでは、正確な劣化状態の判別が期待できないものと思われる。
【0013】
本発明は、車載用のバッテリに見られる前記事情に代表される、負荷に電力を供給するバッテリ一般について想定される事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、負荷に電力を供給するバッテリの劣化度を、純抵抗、活性化分極抵抗、濃度分極抵抗の相互間に存在するものと思われる何らかの連鎖反応の関係を考慮に入れて、バッテリを搭載対象から取り外さずに搭載したままの状態で正確に演算することができるバッテリの劣化度演算方法と、この方法を実施する際に用いて好適なバッテリの劣化度演算装置とを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する請求項1及び請求項2に記載した本発明は、バッテリの劣化度演算方法に関するものであり、請求項3及び請求項4に記載した本発明は、バッテリの劣化度演算装置に関するものである。
【0015】
そして、請求項1に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法は、負荷に電力を供給するバッテリの劣化度を演算するに当たり、前記負荷に、ピーク値まで単調増加した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間において周期的に測定される、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とから、該バッテリの純抵抗の値を求めると共に、前記周期的に測定されるバッテリの放電電流と端子電圧とから、該バッテリの濃度分極による抵抗値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値とのうち、少なくとも一方の分極による抵抗値を求め、前記求めた純抵抗の値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における純抵抗の値に対する比率である、純抵抗成分劣化値を求めると共に、前記求めた少なくとも一方の分極による抵抗値の、該少なくとも一方の分極による、前記バッテリに劣化が生じていない状態における抵抗値に対する比率である、分極抵抗成分劣化値を求め、前記純抵抗成分劣化値に前記分極抵抗成分劣化値を乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求めるようにしたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法は、請求項1に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法において、前記バッテリの濃度分極による抵抗値と該バッテリの活性化分極による抵抗値との両方を求め、前記分極抵抗成分劣化値として、前記バッテリの濃度分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの濃度分極による抵抗値に対する比率である、濃度分極抵抗成分劣化値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの活性化分極による抵抗値に対する比率である、活性化分極抵抗成分劣化値とを求め、前記純抵抗成分劣化値に前記濃度分極抵抗成分劣化値と前記活性化分極抵抗成分劣化値とを乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求めるようにした。
【0017】
さらに、請求項3に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置は、図1の基本構成図に示すように、負荷に電力を供給するバッテリの劣化度を演算するバッテリの劣化度演算装置であって、前記負荷に、ピーク値まで単調増大した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間における、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とを周期的に測定する電流・電圧測定手段23a−1と、前記電流・電圧測定手段23a−1によって周期的に測定される、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とから、該バッテリの純抵抗の値を求める純抵抗演算手段23a−2と、前記電流・電圧測定手段23a−1によって周期的に測定される、前記バッテリの放電電流と端子電圧とから、該バッテリの濃度分極による抵抗値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値とのうち、少なくとも一方の分極による抵抗値を求める分極抵抗演算手段23a−3と、前記純抵抗演算手段23a−2によって求めた純抵抗の値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における純抵抗の値に対する比率である、純抵抗成分劣化値を求める純抵抗成分劣化値演算手段23a−4と、前記分極抵抗演算手段23a−3によって求めた、前記バッテリの濃度分極による抵抗値と該バッテリの活性化分極による抵抗値とのうち少なくとも一方の分極による抵抗値の、該少なくとも一方の分極による、前記バッテリに劣化が生じていない状態における抵抗値に対する比率である、分極抵抗成分劣化値を求める分極抵抗成分劣化値演算手段23a−5と、前記純抵抗成分劣化値に前記分極抵抗成分劣化値を乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求める乗算手段23a−6とを備えることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項4に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置は、請求項3に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置において、前記分極抵抗演算手段23a−3が、前記バッテリの濃度分極による抵抗値と該バッテリの活性化分極による抵抗値との両方を求めるように構成されており、前記分極抵抗成分劣化値演算手段23a−5が、前記分極抵抗成分劣化値として、前記バッテリの濃度分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの濃度分極による抵抗値に対する比率である、濃度分極抵抗成分劣化値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの活性化分極による抵抗値に対する比率である、活性化分極抵抗成分劣化値とを求めるように構成されており、前記乗算手段23a−6が、前記純抵抗成分劣化値に前記濃度分極抵抗成分劣化値と前記活性化分極抵抗成分劣化値とを乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求めるものとした。
【0019】
請求項1に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法によれば、劣化に応じて値が変化するファクタであるバッテリの内部インピーダンス(合成抵抗)を司る、バッテリの純抵抗の、バッテリに劣化が生じていない状態における値に対する比率である、純抵抗成分劣化値に、バッテリの活性化分極抵抗及び濃度分極抵抗の少なくとも一方についての、バッテリに劣化が生じていない状態における値に対する比率である、分極抵抗成分劣化値を、乗じることで、純抵抗と活性化分極抵抗との間や、純抵抗と濃度分極抵抗との間の少なくとも一方に、何らかの連鎖反応の関係が存在するとしても、それを考慮に入れた上でのバッテリの劣化度を示す指標となる値が演算されるようになる。
【0020】
また、請求項2に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法によれば、請求項1に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法において、純抵抗と活性化分極抵抗との間や、純抵抗と濃度分極抵抗との間だけでなく、活性化分極抵抗と濃度分極抵抗との間にも、何らかの連鎖反応の関係が存在するとしても、それを考慮に入れた上でのバッテリの劣化度を示す指標となる値が演算されるようになる。
【0021】
尚、以上の請求項に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法において、劣化のない状態や劣化のある状態におけるバッテリの純抵抗の値を求める方法は、特定の方法に限定されないが、その一例として、次のような純抵抗演算方法を採用することができる。
【0022】
即ち、まず、第1の純抵抗演算方法として、負荷に電力を供給するバッテリの純抵抗を演算する方法において、前記負荷に、ピーク値まで単調増加した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とを周期的に測定し、該測定した放電電流と端子電圧との相関を示す前記増加する突入電流に対する放電電流−電圧特性の第1の近似式と前記減少する突入電流に対する放電電流−電圧特性の第2の近似式とを求め、前記第1及び第2の近似式に濃度分極成分による電圧降下を含む場合、該電圧降下を除いた前記第1及び第2の近似式の前記ピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値の中間の値を求め、該求めた中間の値をバッテリの純抵抗の値として演算する方法を採用することができる。
【0023】
その上で、第2の純抵抗演算方法として、上述した第1の純抵抗演算方法において、前記中間の値を、前記濃度分極成分による電圧降下を除いた前記第1及び第2の近似式の前記ピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値を加算平均して求めるようにしてもよい。
【0024】
さらに、第3の純抵抗演算方法として、上述した第1の純抵抗演算方法において、前記中間の値を、前記濃度分極成分による電圧降下を除いた前記第1及び第2の近似式の前記ピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値に、前記突入電流が流れている総時間に占める前記単調増加期間及び前記単調減少期間の時間の割合をそれぞれ乗じた上で加算して求めるようにしてもよい。
【0025】
また、第4の純抵抗演算方法として、上述した第1乃至第3の純抵抗演算方法の何れかにおいて、前記第1及び第2の近似式が二次式である場合、前記中間の値を求めるに当たって、前記第1及び第2の近似式から濃度分極成分による電圧降下を除いた第1及び第2の修正近似式を求め、該第1及び第2の修正近似式の前記ピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値を求めるようにしてもよい。
【0026】
さらに、第5の純抵抗演算方法として、上述した第4の純抵抗演算方法において、前記第1及び第2の近似式の放電電流0である点における前記バッテリの端子電圧の差を求め、該差を前記突入電流が流れたことによって発生した総濃度分極成分による電圧降下と見なし、該総濃度分極成分に占める前記突入電流がピーク値に達するまでに生じる濃度分極成分による電圧降下を求め、該求めた電圧降下を除いた電圧値を、前記第1の二次近似式と定数及び一次係数を等しくした式に代入して二次係数を決定した二次式を前記第1の修正近似式として求めるようにしてもよい。
【0027】
また、第6の純抵抗演算方法として、上述した第5の純抵抗演算方法において、前記ピーク値における前記濃度分極成分による電圧降下を除いた電圧値以外に、ピーク値と放電電流0である点との間の濃度分極成分による電圧降下を除いた2つの電圧値を求め、該3つの電圧値を利用して係数を決定した二次式を前記第2の修正近似式として求めるようにしてもよい。
【0028】
さらに、第7の純抵抗演算方法として、上述した第6の純抵抗演算方法において、前記中間の値を求めるために、前記第1及び第2の修正近似式のピーク値での微分値を使用するようにしてもよい。
【0029】
また、第8の純抵抗演算方法として、上述した第5の純抵抗演算方法において、前記ピーク値における前記濃度分極成分による電圧降下を除いた電圧値以外に、放電電流0である点と、ピーク値及び放電電流0である点の中間点との、濃度分極成分による電圧降下を除いた2つの電圧値を求め、該3つの電圧値を利用して係数を決定した二次式を前記第2の修正近似式として求めるようにしてもよい。
【0030】
さらに、第9の純抵抗演算方法として、上述した第5の純抵抗演算方法において、前記ピーク値における前記濃度分極成分による電圧降下を除いた電圧値以外に、ピーク値と放電電流0である点との中間点の濃度分極成分による電圧降下を除いた電圧値を求め、該2点を結んで決定した一次式を前記第2の修正近似式として求め、前記中間の値を求めるために前記第2の修正近似式の傾きを使用するようにしてもよい。
【0031】
また、第10の純抵抗演算方法として、上述した第5乃至第9の純抵抗演算方法の何れかにおいて、前記総濃度分極成分に占める前記突入電流が0からピーク値に達するまでに生じる濃度分極成分による電圧降下を、前記第1及び第2の近似式の放電電流0である点における前記バッテリの端子電圧の差に、前記突入電流が0からピーク値に増大しピーク値から0に減少したときの電流時間積に対する0からピーク値までの電流時間積の比を乗じて求めるようにしてもよい。
【0032】
さらに、第11の純抵抗演算方法として、上述した第1乃至第3の純抵抗演算方法の何れかにおいて、前記負荷が、濃度分極の発生を伴わない短時間にピーク値まで単調増加する突入電流が流れるものである場合、前記第1の近似式が一次式であり、前記中間の値を求めるために前記第1の近似式の傾きを使用するようにしてもよい。
【0033】
そして、上述した第1の純抵抗演算方法によれば、負荷に、ピーク値まで単調増大した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間、バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とを周期的に測定してこれら放電電流と端子電圧との相関を示す増加する放電電流に対する電流−電圧特性の第1の近似式と減少する放電電流に対する電流−電圧特性の第2の近似式とを求める。
【0034】
次に、第1及び第2の近似式に濃度分極成分による電圧降下を含む場合、第1及び第2の近似式からこの電圧降下を除き、純抵抗と活性化分極のみの近似式にした上で、増加方向と減少方向に共通の点であるピーク値に着目し、濃度分極成分による電圧降下を除いた両近似式のピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値の中間の値を求め、求めた中間の値をバッテリの純抵抗の値として測定するようにしている。したがって、通常の使用状態で負荷に電力を供給したときのバッテリの放電電流と端子電圧とを測定し、この測定の結果得られるデータを処理するだけで、バッテリの純抵抗を測定することができる。
【0035】
また、上述した第2の純抵抗演算方法によれば、上述した第1の純抵抗演算方法において、中間の値を、濃度分極成分による電圧降下を除いた第1及び第2の近似式のピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値を加算平均して求めているので、ピーク値に対応する点での活性化分極の変化が等しくなる場合には、第1及び第2の近似式のピーク値に対応する点における微分値を加算して2で割ることで、バッテリの純抵抗を測定することができる。
【0036】
上述した第3の純抵抗演算方法によれば、上述した第1の純抵抗演算方法において、中間の値を、濃度分極成分による電圧降下を除いた第1及び第2の近似式のピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値に、突入電流が流れている総時間に占める単調増加期間及び単調減少期間の時間の割合をそれぞれ乗じた上で加算して求めているので、活性化分極と濃度分極とが相互に影響し合うことを考慮した中間の値を求め、バッテリの純抵抗の値として測定することができる。
【0037】
上述した第4の純抵抗演算方法によれば、上述した第1乃至第3の純抵抗演算方法の何れかにおいて、第1及び第2の近似式が二次式である場合、中間の値を求めるに当たって、第1及び第2の近似式から濃度分極成分による電圧降下を除いた第1及び第2の修正近似式を求め、該第1及び第2の修正近似式のピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値を求めているので、例えば、修正近似式が一次式となるときにはその傾き、二次式となるときにはピーク値における微分値を利用して中間の値を求めれば、純抵抗を測定することができる。
【0038】
上述した第5の純抵抗演算方法によれば、上述した第4の純抵抗演算方法において、第1及び第2の近似式の放電電流0である点におけるバッテリの端子電圧の差を突入電流が流れたことによって発生した総濃度分極成分による電圧降下と見なし、この総濃度分極成分に占める突入電流がピーク値に達するまでに生じる濃度分極成分による電圧降下を求め、この求めた電圧降下を除いた電圧値を、第1の二次近似式と定数及び一次係数を等しくした式に代入して二次係数を決定した二次式を第1の修正近似式として求めているので、精度良く濃度分極成分を除いた修正近似式を得ることができる。
【0039】
上述した第6の純抵抗演算方法によれば、上述した第5の純抵抗演算方法において、ピーク値における前記濃度分極成分による電圧降下を除いた電圧値以外に、ピーク値と放電電流0である点との間の濃度分極成分による電圧降下を除いた2つの電圧値を求め、3つの電圧値を利用して係数を決定した二次式を第2の修正近似式として求めているので、濃度分極成分による電圧降下を除いた第2の二次修正近似式を簡単に求めることができる。
【0040】
上述した第7の純抵抗演算方法によれば、上述した第6の純抵抗演算方法において、第1及び第2の修正近似式が共に二次式であるとき、ピーク値での微分値の中間の値を求めるだけよいので、純抵抗を単純な計算によって測定することができる。
【0041】
上述した第8の純抵抗演算方法によれば、上述した第5の純抵抗演算方法において、ピーク値における前記濃度分極成分による電圧降下を除いた電圧値以外に、放電電流0である点と、ピーク値及び放電電流0である点の中間点との、濃度分極成分による電圧降下を除いた2つの電圧値を求め、3つの電圧値を利用して係数を決定した二次式を第2の修正近似式として求めていて、元々濃度分極成分を含まない放電電流0である点を利用しているので、濃度分極成分を除く近似式を求めるための処理が少なくできる。
【0042】
上述した第9の純抵抗演算方法によれば、上述した第5の純抵抗演算方法において、ピーク値における前記濃度分極成分による電圧降下を除いた電圧値以外に、ピーク値と放電電流0である点との中間点の濃度分極成分による電圧降下を除いた電圧値を求め、該2点を結んで決定した一次式を第2の修正近似式として求め、中間の値を求めるために第2の修正近似式の傾きを使用しているので、中間の値を求めるための処理が簡単になる。
【0043】
上述した第10の純抵抗演算方法によれば、上述した第5乃至第9の純抵抗演算方法の何れかにおいて、総濃度分極成分に占める突入電流が0からピーク値に達するまでに生じる濃度分極成分による電圧降下を、第1及び第2の近似式の放電電流0である点におけるバッテリの端子電圧の差に、突入電流が0からピーク値に増大しピーク値から0に減少したときの電流時間積に対する0からピーク値までの電流時間積の比を乗じて求めているので、突入電流が0からピーク値に達するまでに生じる濃度分極成分による電圧降下を知り、濃度分極成分による電圧降下を除いたピーク値に対応する電圧値を求めることができる。
【0044】
上述した第11の純抵抗演算方法によれば、上述した第1乃至第3の純抵抗演算方法の何れかにおいて、負荷が、濃度分極の発生を伴わない短時間にピーク値まで単調増加する突入電流が流れるものである場合、第1の近似式が一次式であり、中間の値を求めるために第1の近似式の傾きを使用しているので、中間の値を求めるための処理が簡単になるだけでなく、近似式も簡単に求めることができる。
【0045】
加えて、以上の請求項に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法において、劣化のない状態や劣化のある状態におけるバッテリの濃度分極抵抗の値を求める方法は、特定の方法に限定されないが、その一例として、次のような濃度分極抵抗演算方法を採用することができる。
【0046】
即ち、まず、第1の濃度分極抵抗演算方法として、バッテリから負荷に電力を供給したときバッテリから放電される放電電流とこれに伴って変化する端子電圧との関係を示す放電電流−端子電圧特性において、放電電流の大きさに応じて発生する端子電圧中の電圧降下の要因を構成するバッテリの濃度分極抵抗の値を演算するに当たり、前記負荷に、ピーク値まで単調増加した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とを周期的に測定し、該測定した放電電流と端子電圧との相関を示す前記増加する突入電流に対する放電電流−端子電圧特性の第1の近似式と前記減少する突入電流に対する放電電流−端子電圧特性の第2の近似式とを求め、前記第1及び第2の近似式の放電電流0である点における前記バッテリの端子電圧の差を求め、該差を前記突入電流が流れたことによって発生した総濃度分極による電圧降下と見なし、該差に、前記突入電流が流れている期間に生じる総濃度分極に対する任意の電流値までの放電電流が流れた期間に生じる濃度分極の比率を乗じて任意の電流値における濃度分極による電圧降下を算出し、該算出した任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値により、任意の電流値におけるバッテリの濃度分極抵抗の値を求める方法を採用することができる。
【0047】
その上で、第2の濃度分極抵抗演算方法として、上述した第1の濃度分極抵抗演算方法において、前記任意の電流値が、単調増加する突入電流のピーク値であり、前記突入電流がピーク値まで増加する期間に生じる濃度分極の前記総濃度分極に対する比率を前記差に乗じて、前記ピーク値における濃度分極による電圧降下の値や濃度分極抵抗の値を、算出するようにしてもよい。
【0048】
さらに、第3の濃度分極抵抗演算方法として、バッテリから負荷に電力を供給したときバッテリから放電される放電電流とこれに伴って変化する端子電圧との関係を示す放電電流−端子電圧特性において、放電電流の大きさに応じて発生する端子電圧中の電圧降下の要因を構成するバッテリの濃度分極抵抗の値を演算するに当たり、前記負荷に、ピーク値まで単調増加した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とを周期的に測定し、該測定した放電電流と端子電圧との相関を示す前記増加する突入電流に対する放電電流−端子電圧特性の第1の近似式と前記減少する突入電流に対する放電電流−端子電圧特性の第2の近似式とを求め、前記第1及び第2の近似式の放電電流0である点における前記バッテリの端子電圧の差を求め、該差を前記突入電流が流れたことによって発生した総濃度分極による電圧降下と見なし、該差に、前記突入電流が流れている総時間に対する0からピーク値に増加するまでの時間の比率を乗じて突入電流が0からピーク値に増加する期間に生じた濃度分極による電圧降下の値を算出し、該算出したピーク値における濃度分極による電圧降下の値に、前記突入電流が0からピーク値に増加する期間の任意の電流値までの時間の前記突入電流が0からピーク値に増加する時間に対する比率を乗じて、前記突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出し、該算出した前記突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値により、前記突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値におけるバッテリの濃度分極抵抗の値を求める方法を採用することができる。
【0049】
その上で、第4の濃度分極抵抗演算方法として、上述した第3の濃度分極抵抗演算方法において、前記差から、前記算出した突入電流が0からピーク値に増加する期間に生じた濃度分極による電圧降下を減算して、突入電流がピーク値から0に減少する期間に生じた濃度分極による電圧降下を算出し、該算出した減少する期間に生じた濃度分極による電圧降下に、前記突入電流がピーク値から0に減少する期間の任意の電流値までの時間の前記突入電流がピーク値から0に減少する時間に対する比率を乗じて、前記突入電流がピーク値から0に減少する任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値や濃度分極抵抗の値を、算出するようにしてもよい。
【0050】
さらに、第5の濃度分極抵抗演算方法として、上述した第1乃至第4の濃度分極抵抗演算方法の何れかにおいて、前記算出した濃度分極による電圧降下を利用し、前記第1及び第2の近似式から濃度分極による電圧降下を除いて濃度分極以外による電圧降下を表す前記第1及び第2の近似式の各々に対応する第1及び第2の修正近似式を求め、該求めた第1及び第2の修正近似式と前記第1及び第2の近似式との差をそれぞれとり、前記第1及び第2の近似式の各々に対応する濃度分極のみによる電圧降下の第1及び第2の濃度成分近似式を求め、該求めた濃度成分近似式に任意の電流値を代入して、任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出するようにしてもよい。
【0051】
そして、上述した第1の濃度分極抵抗演算方法によれば、負荷に、ピーク値まで単調増加した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間、バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とを周期的に測定してこれら放電電流と端子電圧との相関を示す増加する突入電流に対する放電電流−端子電圧特性の第1の近似式と前記減少する突入電流に対する放電電流−端子電圧特性の第2の近似式とを求める。
【0052】
次に、第1及び第2の近似式の放電電流0である点におけるバッテリの端子電圧の差に、突入電流が流れている期間に生じる総濃度分極に対する任意の電流値までの放電電流が流れた期間に生じる濃度分極の比率を乗じて任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出し、これにより、任意の電流値における濃度分極抵抗の値を算出する。以上のように、第1及び第2の近似式の放電電流0である点におけるバッテリの端子電圧の差を、突入電流が流れたことによって発生した総濃度分極による電圧降下の値と見なしているので、この総濃度分極による電圧降下の値を電流値とその電流値に至る時間とによって按分することで、任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出し、これにより、任意の電流値における濃度分極抵抗の値を求めることができる。
【0053】
また、上述した第2の濃度分極抵抗演算方法によれば、上述した第1の濃度分極抵抗演算方法において、突入電流がピーク値まで増加する期間に生じる濃度分極の総濃度分極に対する比率を上記差に乗じてピーク値における濃度分極による電圧降下の値を算出しているので、突入電流のピーク値での、端子電圧の電圧降下成分から、濃度分極による電圧降下成分を分離して算出し、これにより、突入電流のピーク値における濃度分極抵抗の値を求めることができる。
【0054】
さらに、上述した第3の濃度分極抵抗演算方法によれば、上述した第1の濃度分極抵抗演算方法と同様にして求めた第1及び第2の近似式の放電電流0である点におけるバッテリの端子電圧の差に、突入電流が流れている総時間に対する0からピーク値に増加するまでの時間の比率を乗じて突入電流が0からピーク値に増加する期間に生じた濃度分極による電圧降下の値を算出し、これにより、任意の電流値における濃度分極抵抗の値を算出する。以上のように、第1及び第2の近似式の放電電流0である点におけるバッテリの端子電圧の差を、突入電流が流れたことによって発生した総濃度分極による電圧降下の値と見なしているので、この電圧降下の値に突入電流の総時間に対する増加時間の比率を乗じてピーク値における濃度分極による電圧降下の値を求め、このピーク値における濃度分極による電圧降下の値に、突入電流が0からピーク値に増加する期間の任意の電流値までの時間の突入電流が0からピーク値に増加する時間に対する比率を乗じて、突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出することで、突入電流の増加期間の任意の電流値での濃度分極による電圧降下の値を算出し、これにより、突入電流のピーク値における濃度分極抵抗の値を求めることができる。
【0055】
また、上述した第4の濃度分極抵抗演算方法によれば、上述した第3の濃度分極抵抗演算方法において、突入電流の流れた期間の電圧降下である放電電流0のときの電圧差から、前記増加期間に生じた濃度分極による電圧降下を減算して、減少期間の濃度分極による電圧降下の値を算出し、この算出した減少期間に生じた濃度分極による電圧降下の値に、減少期間の任意の電流値までの時間の突入電流がピーク値から0に減少する時間に対する比率を乗じて、減少期間の任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出するので、突入電流の減少期間の任意の電流値での濃度分極による電圧降下の値を分離して算出し、これにより、突入電流の減少期間の任意の電流値における濃度分極抵抗の値を求めることができる。
【0056】
また、上述した第5の濃度分極抵抗演算方法によれば、上述した第1乃至第4の濃度分極抵抗演算方法の何れかにおいて、任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を利用し、第1及び第2の近似式から濃度分極による電圧降下を除いて濃度分極以外による電圧降下を表す第1及び第2の近似式の各々に対応する第1及び第2の修正近似式を求め、この求めた第1及び第2の修正近似式と第1及び第2の近似式との差をそれぞれとり、第1及び第2の近似式の各々に対応する濃度分極のみによる電圧降下の第1及び第2の濃度成分近似式を求め、この求めた濃度成分近似式に任意の電流値を代入して任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を分離して算出するので、濃度分極のみによる電圧降下が第1及び第2の濃度成分近似式により一般化され、濃度分極以外による電圧降下の値を個々に分離して算出しなくてもよくなる。
【0057】
一方、以上の請求項に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法において、劣化のない状態や劣化のある状態におけるバッテリの活性化分極抵抗の値を求める方法は、特定の方法に限定されないが、その一例として、次のような活性化分極抵抗演算方法を採用することができる。
【0058】
即ち、活性化分極抵抗演算方法として、上述した第5の濃度分極抵抗演算方法における、前記第1及び第2の修正近似式と予め求めた純抵抗による電圧降下を表す式との差をとり、前記第1及び第2の近似式の各々に対応する活性化分極のみによる電圧降下の第1及び第2の活性化分極近似式を求め、該求めた活性化成分近似式に任意の電流値を代入して、任意の電流値における活性化分極による電圧降下の値を算出し、該算出した任意の電流値における活性化分極による電圧降下の値により、任意の電流値におけるバッテリの活性化分極抵抗の値を求める方法を採用することができる。
【0059】
上述した活性化分極抵抗演算方法によれば、濃度分極による電圧降下を除いた第1及び第2の修正近似式と予め求めた純抵抗による電圧降下を表す式との差をとり、第1及び第2の近似式の各々に対応する活性化分極のみによる電圧降下の第1及び第2の活性化分極近似式を求め、この求めた活性化成分近似式に任意の電流値を代入して任意の電流値における活性化分極による電圧降下の値を分離して算出するので、活性化分極のみによる電圧降下が第1及び第2の濃度成分近似式により一般化され、活性化分極以外による電圧降下の値を個々に分離して算出しなくてもよくなる。
【0060】
さらに、請求項3に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置によれば、図1に示すように、劣化に応じて値が変化するファクタであるバッテリの内部インピーダンス(合成抵抗)を司る、バッテリの純抵抗の、バッテリに劣化が生じていない状態における値に対する比率である、純抵抗成分劣化値演算手段23a−4によって求めた純抵抗成分劣化値に、バッテリの活性化分極抵抗及び濃度分極抵抗の少なくとも一方についての、バッテリに劣化が生じていない状態における値に対する比率である、分極抵抗成分劣化値演算手段23a−5によって求めた分極抵抗成分劣化値を、乗算手段23a−6によって乗じることで、純抵抗と活性化分極抵抗との間や、純抵抗と濃度分極抵抗との間の少なくとも一方に、何らかの連鎖反応の関係が存在するとしても、それを考慮に入れた上でのバッテリの劣化度を示す指標となる値が演算されるようになる。
【0061】
また、請求項4に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置によれば、請求項3に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置において、純抵抗と活性化分極抵抗との間や、純抵抗と濃度分極抵抗との間だけでなく、活性化分極抵抗と濃度分極抵抗との間にも、何らかの連鎖反応の関係が存在するとしても、それを考慮に入れた上でのバッテリの劣化度を示す指標となる値が演算されるようになる。
【0062】
尚、以上の請求項に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置において、劣化のない状態や劣化のある状態におけるバッテリの純抵抗の値を求める装置は、特定の装置に限定されないが、その一例として、次のような純抵抗演算装置を採用することができる。
【0063】
即ち、図2の基本構成図に示すように、前記負荷に、ピーク値まで単調増大した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とを周期的に測定する電流・電圧測定手段23a−1と、該電流・電圧測定手段23a−1によって測定した放電電流と端子電圧との相関を示す前記増加する突入電流に対する放電電流−電圧特性の第1の近似式と前記減少する突入電流に対する放電電流−電圧特性の第2の近似式とを求める近似式算出手段23a−7と、前記第1及び第2の近似式に濃度分極成分による電圧降下を含む場合、該電圧降下を除いた前記第1及び第2の近似式の前記ピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値の中間の値を求める純抵抗算出手段23a−8とを備え、該純抵抗算出手段23a−8によって求めた中間の値をバッテリの純抵抗の値として求める装置を、純抵抗演算装置として採用することができる。
【0064】
上述した純抵抗演算装置の構成によれば、負荷に、ピーク値まで単調増大した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間、バッテリの放電電流とこの放電電流に対応する端子電圧とを電流・電圧測定手段23a−1が周期的に測定し、この測定した放電電流と端子電圧との相関を示す増加する放電電流に対する電流−電圧特性の第1の近似式と減少する放電電流に対する電流−電圧特性の第2の近似式とを近似式算出手段23a−7が求め、第1及び第2の近似式に濃度分極成分による電圧降下を含む場合、この電圧降下を除いた第1及び第2の近似式のピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値の中間の値を純抵抗算出手段23a−8が求め、この求めた中間の値をバッテリの純抵抗の値として演算するようになっている。したがって、通常の使用状態で負荷に電力を供給したときのバッテリの放電電流と端子電圧とを測定し、この測定の結果得られるデータを処理するだけで、バッテリの純抵抗を演算することができる。
【0065】
加えて、以上の請求項に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置において、劣化のない状態や劣化のある状態におけるバッテリの濃度分極抵抗の値を求める装置は、特定の装置に限定されないが、その一例として、次のような濃度分極抵抗演算装置を採用することができる。
【0066】
即ち、まず、第1の濃度分極抵抗演算装置として、図3の基本構成図に示すように、バッテリから負荷に電力を供給したときバッテリから放電される放電電流とこれに伴って変化する端子電圧との関係を示す放電電流−端子電圧特性において、放電電流の大きさに応じて発生する端子電圧中の電圧降下の要因を構成するバッテリの濃度分極抵抗の値を演算する装置であって、前記負荷に、ピーク値まで単調増加した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とを周期的に測定する電流・電圧測定手段23a−1と、該電流・電圧測定手段23a−1により測定した放電電流と端子電圧との相関を示す前記増加する突入電流に対する放電電流−端子電圧特性の第1の近似式と前記減少する突入電流に対する放電電流−端子電圧特性の第2の近似式とを求める近似式算出手段23a−7と、該近似式算出手段23a−7により求めた前記第1及び第2の近似式の放電電流0である点における前記バッテリの端子電圧の差を求め、該差を前記突入電流が流れたことによって発生した総濃度分極による電圧降下と見なし、該差に、前記突入電流が流れている期間に生じる総濃度分極に対する任意の電流値までの放電電流が流れた期間に生じる濃度分極の比率を乗じて任意の電流値における濃度分極による電圧降下を算出し、該算出した任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値により、任意の電流値におけるバッテリの濃度分極抵抗の値を算出する濃度分極抵抗算出手段23a−9とを備える装置を、濃度分極抵抗演算装置として採用することができる。
【0067】
また、第2の濃度分極抵抗演算装置として、バッテリから負荷に電力を供給したときバッテリから放電される放電電流とこれに伴って変化する端子電圧との関係を示す放電電流−端子電圧特性において、放電電流の大きさに応じて発生する端子電圧中の電圧降下の要因を構成するバッテリの濃度分極抵抗の値を演算する装置であって、前記負荷に、ピーク値まで単調増加した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とを周期的に測定する電流・電圧測定手段23a−1と、該電流・電圧測定手段23a−1によって測定した放電電流と端子電圧との相関を示す前記増加する突入電流に対する放電電流−端子電圧特性の第1の近似式と前記減少する突入電流に対する放電電流−端子電圧特性の第2の近似式とを求める近似式算出手段23a−7と、該近似式算出手段23a−7により求めた前記第1及び第2の近似式の放電電流0である点における前記バッテリの端子電圧の差を求め、該差を前記突入電流が流れたことによって発生した濃度分極による電圧降下と見なし、該差に、前記突入電流が流れている総時間に対する0からピーク値に増加するまでの時間の比率を乗じて突入電流が0からピーク値に増加する期間に生じた濃度分極による電圧降下の値を算出し、該算出した突入電流が0からピーク値に増加する期間に生じた濃度分極による電圧降下の値に、前記突入電流が0からピーク値に増加する期間の任意の電流値までの時間の前記突入電流が0からピーク値に増加する時間に対する比率を乗じて、前記突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出し、該算出した前記突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値により、前記突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値におけるバッテリの濃度分極抵抗の値を算出する濃度分極抵抗算出手段23a−10とを備える装置を、濃度分極抵抗演算装置として採用することができる。
【0068】
上述した第1の濃度分極抵抗演算装置によれば、負荷に、ピーク値まで単調増加した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間、バッテリの放電電流とこの放電電流に対応する端子電圧とを電流・電圧測定手段23a−1が周期的に測定し、この測定した放電電流と端子電圧との相関を示す増加する放電電流に対する電流−電圧特性の第1の近似式と減少する放電電流に対する電流−電圧特性の第2の近似式とを近似式算出手段23a−7が求める。そして、濃度分極抵抗算出手段23a−9が、電流・電圧測定手段23a−1により求めた第1及び第2の近似式の放電電流0である点におけるバッテリの端子電圧の差に、突入電流が流れている期間に生じる総濃度分極に対する任意の電流値までの放電電流が流れた期間に生じる濃度分極の比率を乗じて任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出するとともに、この算出した任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値により、任意の電流値におけるバッテリの濃度分極抵抗の値を算出するようになっている。以上のように、第1及び第2の近似式の放電電流0である点におけるバッテリの端子電圧の差を、突入電流が流れたことによって発生した総濃度分極による電圧降下の値と見なしているので、この総濃度分極による電圧降下の値を電流値とその電流値に至る時間とによって按分することで、任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出し、これにより、任意の電流値におけるバッテリの濃度分極抵抗の値を算出することができる。
【0069】
また、上述した第2の濃度分極抵抗演算装置によれば、第1の濃度分極抵抗演算装置と同様に、濃度分極抵抗算出手段23a−10が、近似式算出手段23a−7によって求めた第1及び第2の近似式の放電電流0である点におけるバッテリの端子電圧の差に、突入電流が流れている総時間に対する0からピーク値に増加するまでの時間の比率を乗じて突入電流が0からピーク値に増加する期間に生じた濃度分極による電圧降下の値を算出するとともに、この算出した突入電流が0からピーク値に増加する期間に生じた濃度分極による電圧降下の値に、突入電流が0からピーク値に増加する期間の任意の電流値までの時間の突入電流が0からピーク値に増加する時間に対する比率を乗じて、突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出し、この算出した突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値により、突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値におけるバッテリの濃度分極抵抗の値を算出するようになっている。以上のように、第1及び第2の近似式の放電電流0である点におけるバッテリの端子電圧の差を、突入電流が流れたことによって発生した濃度分極による電圧降下と見なしているので、この電圧降下の値に突入電流の総時間に対する突入電流が0から任意の電流値に増加するまでの時間の比率を乗じることで、突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出し、これにより、突入電流が0からピーク値に増加する任意の電流値におけるバッテリの濃度分極抵抗の値を算出することができる。
【0070】
一方、以上の請求項に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置において、劣化のない状態や劣化のある状態におけるバッテリの活性化分極抵抗の値を求める装置は、特定の装置に限定されないが、その一例として、次のような活性化分極抵抗演算装置を採用することができる。
【0071】
即ち、活性化分極抵抗演算装置として、図4の基本構成図に示すように、上述した第1又は第2の濃度分極抵抗演算装置における、濃度分極抵抗算出手段23a−9,23a−10が、近似式算出手段23a−7によって求めた第1及び第2の近似式から濃度分極による電圧降下を除いて濃度分極以外による電圧降下を表す第1及び第2の近似式の各々に対応する第1及び第2の修正近似式を求める修正近似式算出手段23a−11と、この修正近似式算出手段23a−11によって求めた第1及び第2の修正近似式と近似式算出手段23a−7によって求めた第1及び第2の近似式との差をそれぞれとり、第1及び第2の近似式の各々に対応する濃度分極のみによる電圧降下の第1及び第2の濃度成分近似式を求める濃度成分近似式算出手段23a−12とを備えていて、この濃度成分近似式算出手段23a−12によって求めた濃度成分近似式に任意の電流値を代入して、任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出するように構成されているものとし、その上で、修正近似式算出手段23a−11によって求めた第1及び第2の修正近似式と、予め求めた純抵抗による電圧降下を表す式との差をとり、第1及び第2の近似式の各々に対応する活性化分極のみによる電圧降下の第1及び第2の活性化分極近似式を求める活性化成分近似式算出手段23a−13と、この活性化成分近似式算出手段23a−13によって求めた活性化成分近似式に任意の電流値を代入して、任意の電流値における活性化分極による電圧降下の値を算出し、この算出した任意の電流値における活性化分極による電圧降下の値により、任意の電流値におけるバッテリの活性化分極抵抗の値を算出する活性化分極抵抗算出手段23a−14とを備える装置を、活性化分極抵抗演算装置として採用することができる。
【0072】
上述した活性化分極抵抗演算装置の構成によれば、上述した第1又は第2の濃度分極抵抗演算装置における濃度分極抵抗算出手段23a−9,23a−10が、近似式算出手段23a−7によって求めた第1及び第2の近似式から濃度分極による電圧降下を除いて濃度分極以外による電圧降下を表す第1及び第2の近似式の各々に対応する第1及び第2の修正近似式を修正近似式算出手段23a−11により求め、この修正近似式算出手段23a−11によって求めた第1及び第2の修正近似式と近似式算出手段23a−7によって求めた第1及び第2の近似式との差をそれぞれとり、第1及び第2の近似式の各々に対応する濃度分極のみによる電圧降下の第1及び第2の濃度成分近似式を濃度成分近似式算出手段23a−12により求めて、この濃度成分近似式算出手段23a−12によって求めた濃度成分近似式に任意の電流値を代入して、任意の電流値における濃度分極による電圧降下の値を算出することになる。
【0073】
そして、修正近似式算出手段23a−11によって求めた第1及び第2の修正近似式と、予め求めた純抵抗による電圧降下を表す式との差をとり、第1及び第2の近似式の各々に対応する活性化分極のみによる電圧降下の第1及び第2の活性化分極近似式を、活性化成分近似式算出手段23a−13が求め、活性化分極抵抗算出手段23a−14が、この活性化成分近似式算出手段23a−13によって求めた活性化成分近似式に任意の電流値を代入して、任意の電流値における活性化分極による電圧降下の値を算出し、この算出した任意の電流値における活性化分極による電圧降下の値により、任意の電流値におけるバッテリの活性化分極抵抗の値を算出するようになっている。
【0074】
以上のように、第1及び第2の近似式の放電電流0である点におけるバッテリの端子電圧の差を、突入電流が流れたことによって発生した濃度分極による電圧降下と見なしているので、この電圧降下と予め求めた純抵抗による電圧降下とを総電圧降下から差し引き、この差し引いた残りを電流値とその電流値に至る時間とによって按分することで、任意の電流値における活性化分極による電圧降下の値を算出し、これにより、任意の電流値におけるバッテリの活性化分極抵抗の値を算出することができ、或は、上述した差し引いた残りに突入電流の総時間に対する突入電流が0から任意の電流値に増加するまでの時間の比率を乗じることで、突入電流がピーク値に増加する任意の電流値における活性化分極による電圧降下の値を算出し、これにより、突入電流がピーク値に増加する任意の電流値におけるバッテリの活性化分極抵抗の値を算出することができる。
【0075】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるバッテリの劣化度演算方法を、本発明によるバッテリの劣化度演算装置と共に、車両に搭載されたバッテリの場合を例に取って、図5を参照して説明するが、その前に、図6〜図12を参照して、バッテリの純抵抗、濃度分極抵抗、活性化分極抵抗の各々の求め方について具体的に説明する。
【0076】
バッテリが搭載され、バッテリから電力供給されて動作する車両負荷として、12V車、42V車、EV車、HEV車には、スタータモータ、モータジェネレータ、走行用モータなどの大電流を必要とする定負荷が搭載されている。例えば、スタータモータ又はこれに類する大電流定負荷をオンしたとき、定負荷には、その駆動開始の初期の段階で突入電流が流れた後、負荷の大きさに応じた定常値の電流が流れるようになる。因みに、負荷がランプである場合には、突入電流に相当するものをラッシュ電流と呼ぶこともある。
【0077】
スタータモータとして直流モータを使用している場合、界磁コイルに流れる突入電流は、図6に示すように、定負荷駆動開始直後の例えば3ミリ秒という短時間内に、ほぼ0から定常電流に比べて何倍も大きなピーク値、例えば500(A)まで単調増加した後、このピーク値から例えば150ミリ秒という短時間内に定負荷の大きさに応じた定常値まで単調減少するような流れ方をし、バッテリから放電電流として供給される。したがって、定負荷に突入電流が流れる状況で、バッテリの放電電流とこれに対応する端子電圧を測定することによって、0からピーク値に至る広い範囲の電流変化に対する端子電圧の変化を示すバッテリの放電電流(I)−端子電圧(V)特性を測定することができる。
【0078】
そこで、スタータモータをオンしたときに流れる突入電流に相当する模擬的な放電として、0からほぼ200Aまで0.25秒かけて増加し、同じ時間をかけてピーク値から0まで減少する放電を電子負荷を使用してバッテリに行わせ、そのときのバッテリの放電電流と端子電圧とを対にして短い一定周期で測定し、これによって得た測定データ対を横軸に放電電流、縦軸に端子電圧をそれぞれ対応させてプロットして図7に示すグラフを得た。図7のグラフに示す放電電流の増加時と減少時の放電電流−端子電圧特性は、最小二乗法を用いて以下のような二次式に近似できる。
V=a1I2 +b1I+c1 ……(1)
V=a2I2 +b2I+c2 ……(2)
なお、図中には、二次の近似式の曲線も重ねて描かれている。
【0079】
図7中において、電流増加方向の近似曲線の切片と電流減少方向の近似曲線の切片の電圧差は、電流が流れていない0(A)の時の電圧差であるため、純抵抗と活性化分極による電圧降下を含まない、放電によって新たに発生した濃度分極のみによる電圧降下と考えられる。従って、この電圧差は、濃度分極のみによるものであり、この電流0(A)点の濃度分極をVpolc0 とする。この濃度分極Vpolc0 は、突入電流の大きさに電流の流れた時間を乗じて積算したもの、すなわちAh(短時間なので、以下Asec で表す)として求められる。
【0080】
次に、この電流0(A)点の濃度分極Vpolc0 を利用して電流ピーク値の濃度分極を算出する方法を説明する。今、電流ピーク値の濃度分極をVpolcp すると、Vpolcp は次式のように表される。
Vpolcp =[(電流増加時のAsec )/(放電全体のAsec )]×Vpolc0 ……(3)
なお、放電全体のAsec は次式で表される。
放電全体のAsec =(電流増加時のAsec +電流減少時のAsec )
【0081】
一般的には、電流増加時と減少時の電流は直線的に変化すると見なし得るので、簡略的には、Vpolc0 を、増加時間と減少時間の総時間Tsを増加と減少に要した時間Tz及びTgで按分することによって、増加時に発生した濃度分極による電圧降下と減少時に発生した濃度分極による電圧降下に分解することができ、以下のように表現できる。
Vpolcp =[Tz/Ts]×Vpolc0 ……(3′)
なお、Tz=Tsの場合には、Vpolcp =Vpolc0 /2となる。
【0082】
また、この求まったピーク値での濃度分極Vpolcp に時間tzの間の任意の時点の時間比率を乗じることによって、増加時の任意の時点の任意の電流値での濃度分極による電圧降下も求めることができる。さらに、濃度分極Vpolc0 からピーク値での濃度分極Vpolcp を差し引いたものは、減少時に発生した濃度分極とみなせるので、これに、時間Tgの間の任意の時点の時間比率を乗じることによって、減少時の任意の時点の任意の電流値での濃度分極による電圧降下も求めることができる。
【0083】
上述のようにして求めたピーク値における濃度分極Vpolcp を式(1)のピーク値における電圧に加算して、図8に示すように、ピーク値における濃度分極を削除する。なお、ピーク値における濃度分極を削除した後の電圧をV1とすると、V1は次式で表される。
V1=a1Ip2+b1Ip +c1+Vpolcp
Ip はピーク値における電流値である。
【0084】
次に、上述のようにして求めたV1を利用して次式で表される、図8に示すような純抵抗と活性化分極だけの電圧降下曲線を求める。
V=a3I2 +b3I+c3 ……(4)
【0085】
式(1)および(4)で表される特性の初期状態、すなわち、電流が0(A)の点に注目すると、初期状態での分極は等しいので、c3=c1である。また、電流増加の初期状態から電流は急激に増加するが、濃度分極の反応は遅く、反応がほとんど進行していないとすると、式(1)および(4)の電流が0(A)の点の微分値は等しくなるので、b3=b1である。従って、c3=c1 、b3=b1 を代入することで、式(4)は
V=a3I2 +b1I+c1 ……(5)
と書き直され、未知数はa3のみとなる。
【0086】
そこで、式(5)に電流増加のピーク値の座標(Ip 、V1)を代入してa3について整理すると、次式が求められる。
a3=(V1−b1Ip −c1)/Ip2
【0087】
従って、純抵抗と活性化分極だけの電圧降下曲線の式(4)が式(5)によって決定される。以上によって、任意時点での濃度分極による電圧降下とそれ以外、すなわち、純抵抗と活性化分極による電圧降下とを分離して求めることができるようになる。
【0088】
以上のように電流増加方向での純抵抗と活性化分極だけの電圧降下曲線の式(5)が求まったところで、式(5)と元の式(1)との差を求めることによって、電流増加方向での濃度分極の大きさを示す、以下のような近似式が得られることになる。
Vcz=(a3−a1)I2 ……(6a)
そして、この式に電流増加時の任意の電流値In を代入することによって、任意の電流値In での濃度分極による電圧降下Vczn を次式のように算出することができる。
Vczn =(a3−a1)In2 ……(6b)
ここで、電流増加方向での活性化分極抵抗Rczは、以下のように表され、電流の大きさとともに変化していることが分かる。
Rcz=(a3−a1)In ……(6c)
【0089】
一般に、純抵抗は化学反応にて生じるものでないので、バッテリの充電状態(SOC)、温度などが変わらなければ一定であるので、1回のスタータモータ作動の間は一定であるといえる。これに対し、活性化分極抵抗は、イオン、電子の受渡しの際の化学反応に伴って生じる抵抗であるので、濃度分極と相互に影響し合うこともあって、活性化分極の電流増加曲線と電流減少曲線は完全に一致しないことから、式(5)は濃度分極を除いた純抵抗と活性化分極の電流増加方向の曲線であるということができる。
【0090】
続いて、電流減少曲線からの濃度分極の削除の仕方を、以下説明する。純抵抗と活性化分極の電流減少方向の関係式は、電流ピーク値における濃度分極の削除と同様の方法で可能である。
【0091】
今、ピーク値以外の2点をA点およびB点とし、各点における濃度分極VpolcA 、VpolcB を次式ようにして求める。
VpolcA =[(電流増加時開始からA点までのAsec )/(放電全体のAsec )]×Vpolc0 ……(7)
、又は、簡略的には、
VpolcA =[ピーク点からA点までの時間Ta/Tg]×(Vpolc0 −Vpolcp ) ……(7′)
VpolcB =[(電流増加時開始からB点までのAsec )/(放電全体のAsec )]×Vpolc0 ……(7)
又は、簡略的には、
VpolcB =[ピーク点からB点までの時間Tb/Tg]×(Vpolc0 −Vpolcp ) ……(8′)
【0092】
上式(7)および(8)によって、ピーク値以外に濃度分極を削除した2点が求まったら、この2点とピーク値との3点の座標を利用して次式により表される、図9に示すような、純抵抗と活性化分極の電流減少方向曲線が求められる。
V=a4I2 +b4I+c4 ……(9)
なお、式(9)の係数a4、b4、c4は、2点A及びBとピーク点の電流値と電圧値とを、式(9)にそれぞれ代入して立てた3点の連立方程式を解くことによって決定できる。なお、c4はc1に等しい値になる。
【0093】
以上のように電流減少方向での純抵抗と活性化分極だけの電圧降下曲線の式(9)が求まったところで、式(9)と元の式(1)との差を求めることによって、電流減少方向での濃度分極の大きさを示す、以下のような近似式が得られることになる。
Vcg=(a3−a1)I2 +(b4−b1)I ……(10a)
そして、この式に電流減少時の任意の電流値In を代入することによって、任意の電流値In での濃度分極による電圧降下Vcgn を次式のように算出することができる。
Vcgn =(a3−a1)In2+(b4−b1)In ……(10b)
ここで、電流減少方向での活性化分極抵抗Rcgは、以下のように表され、電流の大きさによって変化していることが分かる。
Rcg=(a3−a1)In +(b4−b1) ……(10c)
【0094】
以上によって、任意の電流値における濃度分極による電圧降下を一般化して表され、濃度分極以外による電圧降下と分離して算出することができるようになる。
【0095】
次に、純抵抗の算出の仕方を説明する。上式(5)で表される濃度分極を削除した純抵抗と活性化分極の電流増加方向の曲線と、式(9)で表される同じく濃度分極を削除した純抵抗と活性化分極の電流減少方向の曲線との相違は、活性化分極の相違によるものであるので、活性化分極を除けば純抵抗が求められる。
【0096】
ところで、活性化分極が互いに等しい値となる両曲線のピーク値に着目し、ピーク値での電流増加の微分値R1と電流減少の微分値R2とを次式によって求める。
R1=2×a3×Ip ×b3 ……(11a)
R2=2×a4×Ip ×b4 ……(11b)
上式によって求められる微分値R1およびR2の差は、一方が活性化分極の増加方向でのピーク値であるのに対し、他方が減少方向でのピーク値であることに基因する。そして、突入電流に相当する模擬的な放電として、0から200Aまで0.25秒かけて増加し、同じ時間をかけてピーク値から0まで減少する放電を電子負荷を使用してバッテリに行わせた場合には、ピーク値近傍での両者の変化率が等しく、両者の中間に純抵抗による電流−電圧特性が存在すると理解できるので、両微分値を加算して2で割ることによって、純抵抗Rを次式によって求めることができる。
R=(R1+R2)/2 ……(12)
【0097】
以上は、突入電流に相当する模擬的な放電を電子負荷を使用してバッテリに行わせた場合について説明したが、実車両の場合には、上述したようにスタータモータとして直流モータを使用しているとき、界磁コイルに突入電流が流れている間に電流はピークに達し、クランキングはピークに達した後ピーク電流の半分以下に低下した電流で作動している。従って、電流増加方向は3ミリ秒(msec)という短時間で終了していまい、電流増加ピーク値ではほとんど濃度分極が発生しない早い電流の変化であるが、電流減少方向は電流増加方向に比べて150msecという長い時間電流が流れるので、減少方向とはいえ、大きな濃度分極が発生する。ただし、クランキング期間については、突入電流の流れている期間とは異質の現象が生じているので、この期間のバッテリの放電電流と端子電圧については、電流減少方向の電流−電圧特性を決定するためのデータとしては使用しないようにする。
【0098】
このような状況で、実車両では、図10に示すように、電流増加方向は電流増加開始点とピーク値の2点間を結ぶ直線にて近似することができ、しかもこのピーク値500(A)での濃度分極の発生は0(A)と近似することも可能である。この場合には、電流増加方向については、ピーク値の微分値としては、電流増加方向の近似直線の傾きを使用することになる。
【0099】
ただし、このような場合には、電流増加方向の近似直線の傾きと、電流減少方向の二次の近似式のピーク点における接線の傾きとを単純に加算平均することはできない。何故ならば、このような状況では、ピーク点までとそれ以降で、活性化分極の発生度合いが全く異なり、ピーク値近傍での両者の変化率が等しくなるという前提が成立しなくなるからである。
【0100】
このような場合には、純抵抗を求めるに当たって、濃度分極による電圧降下を除いた第1及び第2の近似式のピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値、すなわち、傾きに、突入電流が流れている総時間に占める単調増加期間及び単調減少期間の時間の割合をそれぞれ乗じた上で加算すればよい。すなわち、総時間を単調増加及び単調減少にそれぞれ要した時間で比例按分した按分率を各傾きに乗じた上で加算することになる。このようにすることによって、活性化分極と濃度分極とが相互に影響し合うことを考慮して純抵抗を求めることができる。すなわち、活性化分極は原則電流値に応じた大きさのものが生じるが、その時々の濃度分極量に左右され、原則通りには生じることにならず、濃度分極が小さければ活性化分極も小さくなり、大きければ大きくなる。何れにしても、濃度分極による電圧降下を除いた2つの近似式のピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値の中間の値をバッテリの純抵抗の値として測定することができる。このように純抵抗を求めることによって、純抵抗による電圧降下をこれ以外による電圧降下と分離して算出することができる。
【0101】
上述のように純抵抗Rが求まったときには、図9に示すように、IR電圧降下直線を描くことができ、純抵抗に電流値を乗じることによって、任意の電流値における純抵抗による電圧降下を算出することができる。
【0102】
IR電圧降下が算出できるようになったときには、電流増加方向の濃度分極を除いた上式(5)の近似式とIRとの差を求めることによって、電流増加方向での活性化分極の大きさを示す、以下のような近似式が得られることになる。
Vkz=a3I2 +(b1−R)I ……(13a)
そして、この式に電流増加時の任意の電流値In を代入することによって、電流増加方向での任意の電流値In での活性化分極による電圧降下Vknを次式のように算出することができる。
Vkzn =a3In2+(b1−R)In ……(13b)
ここで、電流増加方向での活性化分極抵抗Rkzは、以下のように表され、電流の大きさによって変化していることが分かる。
Rkz=a3In +(b1−R) ……(13c)
【0103】
なお、電流減少方向の濃度分極を除いた純抵抗と活性化分極だけの電圧降下曲線の式(9)とIRとの差を求めることによって、電流減少方向での活性化分極の大きさを示す式
Vkg=a4I2 +(b4−R)I ……(14a)
が得られる。そして、この式に電流減少時の任意の電流値In を代入することによって、電流減少方向の任意の電流値In での活性化分極による電圧降下Vkgを次式のように算出することができる。
Vkgn =a4In2+(b4−R)In ……(14b)
ここで、電流減少方向での活性化分極抵抗Rkgは、以下のように表される。
Rkg=a4In +(b4−R) ……(14c)
【0104】
以上によって、任意の電流値における活性化分極による電圧降下を一般化して表され、活性化分極以外による電圧降下と分離して算出することができるようになる。
【0105】
また、最近の車両では、モータとしては、マグネットモータなどのDCブラッシレスなどの三相入力を必要とする交流モータが使用されることが増えてきている。このようなモータの場合、突入電流はそれ程早く短時間にピーク値に達することがなく、100mescほどの時間を要し、電流増加方向においても濃度分極の発生が起こるので、上述した模擬的な放電の場合と同様に、電流増加方向の電流変化曲線は二次近似することが必要になる。
【0106】
また、活性化分極の電流減少方向の近似をする場合、ピーク値とこれ以外の2点を定める際、図11に示すように、B点として電流0(A)の点を使用すると、近似式を求める際の計算を簡略化することができる。
【0107】
さらに、例えば、ピーク電流の1/2程度の電流値に対応する点に濃度分極の削除した点を定めた場合、図12に示すように、この点とピーク値の2点を結ぶ直線に一次近似してもよい。この場合、電流減少方向については、ピーク値の微分値としては、電流減少方向の近似直線の傾きを使用することになるが、二次曲線を使用したものと変わらない、精度のよい純抵抗が求められる。
【0108】
以上要するに、濃度分極による電圧降下を除いた2つの近似式と元の近似式との差を求めることによって、濃度分極による電圧降下の近似式を求めることができる。また、濃度分極による電圧降下を除いた2つの近似式のピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値の中間の値をバッテリの純抵抗の値として測定することができる。さらに、求めた純抵抗によるIR直線式と濃度分極による電圧降下を除いた2つの近似式との差を求めることによって活性化分極による電圧降下の近似式を求めることができる。
【0109】
そこで、車載用バッテリの純抵抗の測定方法を、定負荷として、増加する放電電流及び減少する放電電流のいずれにおいても濃度分極の発生を伴う突入電流が流れる例えばスタータモータが使用されている場合について具体的に説明する。
【0110】
定負荷が動作されると、バッテリからは定常値を越えて単調増加しピーク値から定常値に単調減少する放電電流が流れる。このときのバッテリの放電電流と端子電圧とを、例えば100マイクロ秒(μsec)の周期にてサンプリングすることで周期的に測定し、バッテリの放電電流と端子電圧との組が多数得られる。
【0111】
このようにして得られたバッテリの放電電流と端子電圧との組の最新のものを、所定時間分、例えばRAMなどの書換可能な記憶手段としてのメモリに格納、記憶して収集する。メモリに格納、記憶して収集した放電電流と端子電圧との組を用いて、最小二乗法により、端子電圧と放電電流との相関を示す増加する放電電流及び減少する放電電流に対する電流−電圧特性について式(1)及び(2)に示すような2つのの二次近似式を求める。次に、この2つの近似式から濃度分極による電圧降下を削除し、濃度分極を含まない修正した二次近似式を求める。
【0112】
このために、まず、式(1)及び(2)の近似式の電流が流れていない0(A)の時の電圧差を、純抵抗と活性化分極による電圧降下はなく、濃度分極によるものであるとして求める。また、この電圧差を利用して、増加する放電電流についての電流−電圧特性の近似式(1)上の電流ピーク値での濃度分極による電圧降下を求める。このために、濃度分極は、電流の大きさに電流の流れた時間を乗じた電流時間積によって変化していることを利用する。
【0113】
増加する放電電流についての電流−電圧特性の近似式上の電流ピーク値での濃度分極による電圧降下が求まったら次に、濃度分極の含まない近似式と含む近似式のいずれも定数及び一次係数が等しいとして、含まない近似式の二次係数を定め、増加する放電電流についての電流−電圧特性の近似式について修正した二次近似式(5)を求める。
【0114】
次に、減少する放電電流に対する電流−電圧特性について近似式(2)から濃度分極の含まない近似式を求める。このために、ピーク値以外に濃度分極を削除した2点を求める。この際に、濃度分極は、電流の大きさに電流の流れた時間を乗じた電流時間積によって変化していることを利用する。そして、ピーク値以外に濃度分極を削除した2点が求まったら、この2点とピーク値との3点の座標を利用して、減少する放電電流についての電流−電圧特性の近似式(2)について修正した二次近似式(9)を求める。
【0115】
上述のようにして求められた二次近似式(5)及び(9)と元の近似式(1)及び(2)との差をとって、濃度分極近似式(6a)及び(14a)が求められる。また、純抵抗Rを求めることにより、IR直線式と二次近似式(5)及び(9)との差を取ることによって活性化分極近似式(13a)及び(14a)が求められる。
【0116】
なお、純抵抗を求めるためには、上式(5)で表される濃度分極を削除した純抵抗と活性化分極の電流増加方向の修正二次近似式と、式(9)で表される濃度分極を削除した純抵抗と活性化分極の電流減少方向の修正二次近似式は、活性化分極の相違によるものであるので、活性化分極を除けば純抵抗が求められる。このために、両近似式のピーク値に着目し、ピーク値での電流増加の微分値と電流減少の微分値との差は、一方が活性化分極の増加方向であるのに対し、他方が減少方向であることに基因するものであるが、ピーク値近傍での両者の変化率の中間に純抵抗による電流−電圧特性が存在するとし、両微分値に突入電流が流れている総時間に占める単調増加期間及び前記単調減少期間の時間の割合をそれぞれ乗じた上で加算することによって、純抵抗を求める。
【0117】
例えば、電流増加時間が3mesc、電流減少時間が100mescとし、ピーク値での電流増加の微分値をRpolk1 、と電流減少の微分値をRpolk2 とすると、以下のようなようにして純抵抗Rを算出することができる。
R=Rpolk1 ×100/103+Rpolk2 ×3/103
【0118】
上述したようなことを可能にして本発明のバッテリの劣化度演算方法を実施する装置の具体的な実施の形態を、図5に戻って以下説明する。
【0119】
図5は本発明のバッテリの劣化度演算方法を適用した本発明の一実施形態に係る車載用バッテリの劣化度演算装置の概略構成を一部ブロックにて示す説明図であり、図中符号1で示す本実施形態の車載用バッテリの劣化度演算装置は、エンジン3に加えてモータジェネレータ5を有するハイブリッド車両に搭載されている。
【0120】
そして、このハイブリッド車両は、通常時はエンジン3の出力のみをドライブシャフト7からディファレンシャルケース9を介して車輪11に伝達して走行させ、高負荷時には、バッテリ13からの電力によりモータジェネレータ5をモータとして機能させて、エンジン3の出力に加えてモータジェネレータ5の出力をドライブシャフト7から車輪11に伝達し、アシスト走行を行わせるように構成されている。
【0121】
また、このハイブリッド車両は、減速時や制動時にモータジェネレータ5をジェネレータ(発電機)として機能させ、運動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリ13を充電させるように構成されている。
【0122】
なお、モータジェネレータ5はさらに、図示しないスタータスイッチのオンに伴うエンジン3の始動時に、エンジン3のフライホイールを強制的に回転させるスタータモータとして用いられるが、その場合にモータジェネレータ5には、短時間に大きな突入電流が流される。スタータスイッチのオンによりモータジェネレータ5によってエンジン3が始動されると、イグニッションキー(図示せず。)の操作解除に伴って、スタータスイッチがオフになってイグニッションスイッチやアクセサリスイッチのオン状態に移行し、これに伴ってバッテリ13から流れる放電電流は、定常電流に移行する。
【0123】
話を構成の説明に戻すと、本実施形態の車載用バッテリの劣化度演算装置1は、アシスト走行用のモータやスタータモータとして機能するモータジェネレータ5等、電装品に対するバッテリ13の放電電流Iや、ジェネレータとして機能するモータジェネレータ5からのバッテリ13に対する充電電流を検出する電流センサ15と、バッテリ13に並列接続した1Mオーム程度の抵抗値を有し、バッテリ13の端子電圧Vを検出する電圧センサ17とを備えている。
【0124】
また、本実施形態の車載用バッテリの劣化度演算装置1は、上述した電流センサ15及び電圧センサ17の出力がインタフェース回路(以下、「I/F」と略記する。)21におけるA/D変換後に取り込まれるマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略記する。)23と、不揮発性メモリ(NVM)25とをさらに備えている。
【0125】
そして、前記マイコン23は、CPU23a、RAM23b、及び、ROM23cを有しており、このうち、CPU23aには、RAM23b及びROM23cの他、前記I/F21が接続されており、また、上述した図示しないスタータスイッチ、イグニッションスイッチやアクセサリスイッチ、モータジェネレータ5以外の電装品(負荷)のスイッチ等が、さらに接続されている。
【0126】
前記RAM23bは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、前記ROM23cには、CPU23aに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されている。
【0127】
なお、上述した電流センサ15及び電圧センサ17の出力である電流値及び電圧値は、短い周期で高速にサンプリングされてI/F21を介して、マイコン23のCPU23aに取り込まれ、取り込まれた電流値及び電圧値は前記RAM23bのデータエリアに収集され、各種の処理のために使用される。
【0128】
また、前記NVM25には、バッテリ13の劣化がない状態における所定放電電流値における純抵抗、活性化分極抵抗、濃度分極抵抗の値に関するデータが予め格納されている。
【0129】
次に、前記ROM23cに格納された制御プログラムに従いCPU23aが行う処理を、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0130】
バッテリ13からの給電を受けてマイコン23が起動しプログラムがスタートすると、CPU23aは、まず初期設定を実行する(ステップS1)。
【0131】
ステップS1の初期設定が済んだならば、次に、CPU23aは、イグニッション(IG)スイッチがオンされたか否かを判定し(ステップS2)、判定がYESにならないときには他の処理(ステップS3)を行う。なお、このステップS3の処理では、500μsecのサンプリング周期で放電電流及び端子電圧を測定して収集することも行っており、この処理をステップS2の判定がYESになるまで繰り返す。そして、IGスイッチのオンが検出されたときには(ステップS2のYES)、急激に変化するスタータモータの駆動時の急激に変化する突入電流を測定することができるように、サンプリング周期を500μsecから100μsecに短くする(ステップS4)。
【0132】
その後、電流センサ15の検出したバッテリ13の放電電流Iと電圧センサ17の検出したバッテリ13の端子電圧VとのA/D変換値を対にしてI/F21を介して読み込み、読み込んだ実データをRAM23bのデータエリアに格納、記憶して収集する実データ収集処理を実行する(ステップS5)。
【0133】
このステップS5において実データ収集処理を行っている過程で、収集した前後の実データの大小関係を比較することによって突入電流のピーク値を検出する(ステップS6)。ピーク値が検出されたとき(ステップS6のYES)には、ピーク値検出からの時間を計時し、所定時間が経過するまで実データの収集を継続し、所定時間経過した時点(ステップS7のYES)で、ピーク値の前後の所定時間分の実データを保持する(ステップS8)とともに、ピーク値を検出してから所定時間後にサンプリング周期を元の500μsecに戻す(ステップS9)。
【0134】
そして、収集保持した所定時間分の実データが分析され、最小二乗法を適用して、電流−電圧特性の二次近似式を求めるのに適当なものであるかどうかが判定される。すなわち、バッテリから、0からピーク値まで単調増加する放電電流とピーク値から定常値まで単調減少する放電電流が流れているかどうかを分析する分析処理を行う(ステップS10)。
【0135】
ステップS10における分析の結果、電流−電圧特性の二次近似式を求めるのに適当なものが収集されているとき(ステップS11のYES)、増加する放電電流及び減少する放電電流に対する式(1)及び(2)で表される電流−電圧特性の二次近似式を求める近似式算出処理を実行する(ステップS12)。
【0136】
ステップS12の二次近似式算出処理によって求まった二次近似式から、上述した方法によって濃度分極近似式、バッテリの純抵抗、及び活性化分極近似式を求める。そして、求まった濃度分極近似式及び活性化分極近似式に任意の電流値を代入することによって、任意の電流値における濃度分極及び活性化分極による電圧降下を他の電圧降下成分と分離してそれぞれ算出する。そして、これら濃度分極及び活性化分極による電圧降下の値を、NVM25にデータが格納されている活性化分極抵抗の値や濃度分極抵抗の値を求める際に用いたのと同じ所定放電電流値によって除して、所定放電電流値における活性化分極抵抗の値や濃度分極抵抗の値を割り出し、かつ、純抵抗についても、所定放電電流値における純抵抗の値を割り出す。即ち、所定放電電流値における純抵抗の値、活性化分極抵抗の値、及び、濃度分極抵抗の値を割り出すための演算処理を実行する(ステップS13)。
【0137】
なお、この演算処理においては、二次式に濃度分極による電圧降下が含まれている場合、この電圧降下を除いた修正二次近似式を求める修正二次近似式算出処理を行い、この修正二次近似式を用いてバッテリの純抵抗を求めるための演算処理を実行することになり、この場合には、増加する突入電流及び減少する突入電流に対する放電電流−端子電圧特性の2つの修正二次近似式のピーク値での微分値を算出した上で、2つの微分値の中間の値をバッテリの純抵抗として求める演算を行うことができる。また、特に濃度分極は放電電流の増加に対して遅延して増加する傾向があるので、純抵抗の値、活性化分極抵抗の値、及び、濃度分極抵抗の値を割り出す際に、上記した所定放電電流値を放電電流のピーク値とはせず、単調減少に移行した後の濃度分極が最大となる(飽和する)時点での放電電流の値とするようにしてもよい。
【0138】
いずれにしても、ステップS13において純抵抗の値、活性化分極抵抗の値、及び、濃度分極抵抗の値を割り出す際に、NVM25にデータが格納されている純抵抗、活性化分極抵抗、濃度分極抵抗の各値を求める際に用いた放電電流値と同じ値を用いればよい。
【0139】
そして、ステップS13で求めたバッテリの純抵抗、活性化分極抵抗、濃度分極抵抗の各値を、NVM25にデータが格納されている対応するバッテリの純抵抗、活性化分極抵抗、濃度分極抵抗の各値によって各々除して、純抵抗、活性化分極抵抗、濃度分極抵抗の各々についての、劣化がない状態に対する現在(劣化が生じている状態)の比率を求め、それら各比率どうしを乗じることで、バッテリ全体としての劣化度を求める。この求めた劣化度は、種々の目的で使用するため、RAM23bのデータエリアに格納されて記憶される(ステップS14)。ステップS14の処理が終了したら、次にステップS2の判定がYESとなるのを待つ。
【0140】
ちなみに、微分値の中間の値を求める方法としては、突入電流の流れ形によって2つの方法がある。
突入電流の増加方向の時間と減少方向の時間とがほぼ等しいときには、2つの微分値の加算平均値を純抵抗として求める演算を行う。
これに対して、突入電流の増加方向の時間と減少方向の時間とが大きく異なるときには、増加する放電電流に対する電流−電圧特性の修正二次近似式のピーク値での微分値に、放電電流の総時間に占める増加する放電電流の流れた時間の比率を乗じたものと、減少する放電電流に対する電流−電圧特性の2つの修正二次近似式のピーク値での微分値に、放電電流の総時間に占める減少する放電電流の流れた時間の比率を乗じたものとを加算した加算値を純抵抗として求める演算を行う。
いずれの方法で純抵抗を求めた場合にも、バッテリの純抵抗は2つの微分値の中間の値として求められる。
【0141】
また、図13のフローチャートに示した例では、第1及び第2の近似式が共に二次近似式としているが、第1の近似式が一次近似式であるときには、修正近似式を求める処理は当然に不要になる。そして、この場合には、一次式の傾きを微分値に代えて利用することになる。
【0142】
また、本実施形態の車載用バッテリの劣化度演算装置1ではフローチャートにおけるステップS5が請求項中の電流・電圧測定手段に対応する処理となっており、ステップS13が請求項中の純抵抗演算手段23a−2及び分極抵抗演算手段23a−3に対応する処理となっており、ステップS14が純抵抗成分劣化値演算手段23a−4、分極抵抗成分劣化値演算手段23a−5、及び、乗算手段23a−6に対応する処理となっている。
【0143】
さらに、課題を解決するための手段の欄において説明した各手段については、ステップS12が近似式算出手段23a−7に対応する処理となっており、ステップS13が純抵抗算出手段23a−8、濃度分極抵抗算出手段23a−9,23a−10、修正近似式算出手段23a−11、濃度成分近似式算出手段23a−12、活性化成分近似式算出手段23a−13、並びに、活性化分極抵抗算出手段23a−14に対応する処理となっている。
【0144】
次に、上述のように構成された本実施形態の車載用バッテリの劣化度演算装置1の動作(作用)について説明する。
【0145】
まず、スタータモータの駆動開始に伴いバッテリ13が放電を行っている状態で、スタータモータに定常値を越えて単調増加しピーク値から定常値に単調減少する突入電流が流れたときのバッテリの端子電圧と放電電流とが周期的に測定される。
【0146】
また、本実施形態の車載用バッテリの劣化度演算装置1では、周期的に測定されたピーク値の前後の所定時間分の実データを、RAM23bのデータエリアに格納、記憶して収集され、収集された放電電流Iと端子電圧Vとの所定時間分の実データは分析され、最小二乗法を適用して、電流−電圧特性の2次の近似曲線式を求めるのに適当なものであるかどうかが判定される。すなわち、バッテリから定常値を越えて単調増加しピーク値から定常値以下に単調減少する放電電流が流れているかどうかが分析される。
【0147】
このため、電流−電圧特性の2次の近似曲線式を求めるのに適当なものが収集されるまで、近似曲線式算出処理が行われることがなく、近似曲線式算出処理も、既に収集した所定時間分の実データを用いて行われればよいので、端子電圧と放電電流との周期的な測定に同期して処理を行わなくてもよく、早い処理速度を必要としない。
【0148】
なお、上述した実施の形態では、スタータモータが駆動開始されるときの放電電流に含まれる突入電流についてのみ注目して本発明を実施しているが、大きさこそ異なるもののスタータモータと同様に駆動開始時に突入電流の流れるスタータモータ以外の負荷にも等しく適用することができる。ただし、この場合には、IGスイッチの代わりに、負荷駆動開始時点を負荷スイッチのオン操作を捕らえて、ステップS4の処理を行うことになり、それ以外の処理は図13のフローチャートと実質的に同じ処理を行うことでよい。
【0149】
なお、上述のように分離して算出して、端子電圧の電圧降下成分を知り、この電圧降下成分から、所定放電電流値におけるバッテリ13の純抵抗の値、活性化分極抵抗の値、及び、濃度分極抵抗の値を知り、さらに、バッテリ13に劣化が生じていない状態におけるそれらの抵抗値との比率を知って、各比率どうしを乗じることによって、各成分の変化によって現れるバッテリの劣化の進行状態を認識することができるようになる。
【0150】
そして、この求められたバッテリ13の劣化度が、表示や容量管理のデータとして提供される。
【0151】
このように、本実施形態の車載用バッテリの劣化度演算装置1によれば、バッテリ13の放電電流と端子電圧からそれらの相関を示す近似特性を求め、それを元にして求めた所定放電電流値におけるバッテリ13の現在の純抵抗の値、活性化分極抵抗の値、及び、濃度分極抵抗の値を各々求め、バッテリ13が劣化していない状態において予め求めておいた同じ所定放電電流値における各抵抗値の値との比率を求めて、その求めた比率どうしを乗じることで、バッテリ13の劣化度を検出する構成とした。
【0152】
このため、バッテリ13の純抵抗と活性化分極抵抗との間や、純抵抗と濃度分極抵抗との間の少なくとも一方に、何らかの連鎖反応の関係が存在するとしても、それを考慮に入れた上でのバッテリ13の劣化度を示す指標となる値が演算されるようにして、バッテリ13の劣化度を、純抵抗、活性化分極抵抗、濃度分極抵抗の相互間に存在するものと思われる何らかの連鎖反応の関係を考慮に入れて、車両に搭載したままの状態で正確に演算することができる。
【0153】
なお、発明の実施の形態の冒頭でも述べたように、本実施形態では車両に搭載されたバッテリの劣化度を演算する車載用バッテリの劣化度演算装置1を例に取って説明したが、本発明は車両に搭載されたバッテリに限らず、負荷に電力を供給するバッテリ一般についてその劣化度を演算する際に広く適用可能であることは、言うまでもない。
【0154】
【発明の効果】
以上に説明したように請求項1に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法によれば、負荷に電力を供給するバッテリの劣化度を演算するに当たり、前記負荷に、ピーク値まで単調増加した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間において周期的に測定される、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とから、該バッテリの純抵抗の値を求めると共に、前記周期的に測定されるバッテリの放電電流と端子電圧とから、該バッテリの濃度分極による抵抗値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値とのうち、少なくとも一方の分極による抵抗値を求め、前記求めた純抵抗の値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における純抵抗の値に対する比率である、純抵抗成分劣化値を求めると共に、前記求めた少なくとも一方の分極による抵抗値の、該少なくとも一方の分極による、前記バッテリに劣化が生じていない状態における抵抗値に対する比率である、分極抵抗成分劣化値を求め、前記純抵抗成分劣化値に前記分極抵抗成分劣化値を乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求めるようにした。
【0155】
また、請求項3に記載した本発明の車載用バッテリの劣化度演算装置によれば、負荷に電力を供給するバッテリの劣化度を演算するバッテリの劣化度演算装置であって、前記負荷に、ピーク値まで単調増大した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間における、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とを周期的に測定する電流・電圧測定手段と、前記電流・電圧測定手段によって周期的に測定される、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とから、該バッテリの純抵抗の値を求める純抵抗演算手段と、前記電流・電圧測定手段によって周期的に測定される、前記バッテリの放電電流と端子電圧とから、該バッテリの濃度分極による抵抗値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値とのうち、少なくとも一方の分極による抵抗値を求める分極抵抗演算手段と、前記純抵抗演算手段によって求めた純抵抗の値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における純抵抗の値に対する比率である、純抵抗成分劣化値を求める純抵抗成分劣化値演算手段と、前記求めた少なくとも一方の分極による抵抗値の、該少なくとも一方の分極による、前記バッテリに劣化が生じていない状態における抵抗値に対する比率である、分極抵抗成分劣化値を求める分極抵抗成分劣化値演算手段と、前記純抵抗成分劣化値に前記分極抵抗成分劣化値を乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求める乗算手段とを備える構成とした。
【0156】
このため、請求項1に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法と、請求項3に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置とのいずれによっても、負荷に電力を供給するバッテリの純抵抗と活性化分極抵抗との間や、純抵抗と濃度分極抵抗との間の少なくとも一方に、何らかの連鎖反応の関係が存在するとしても、それを考慮に入れた上でのバッテリの劣化度を示す指標となる値が演算されるようにして、バッテリの劣化度を、純抵抗、活性化分極抵抗、濃度分極抵抗の相互間に存在するものと思われる何らかの連鎖反応の関係を考慮に入れて、車両に搭載したままの状態で正確に演算することができる。
【0157】
さらに、請求項2に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法によれば、請求項1に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法において、前記バッテリの濃度分極による抵抗値と該バッテリの活性化分極による抵抗値との両方を求め、前記分極抵抗成分劣化値として、前記バッテリの濃度分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの濃度分極による抵抗値に対する比率である、濃度分極抵抗成分劣化値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの活性化分極による抵抗値に対する比率である、活性化分極抵抗成分劣化値とを求め、前記純抵抗成分劣化値に前記濃度分極抵抗成分劣化値と前記活性化分極抵抗成分劣化値とを乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求めるようにした。
【0158】
また、請求項4に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置によれば、請求項3に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置において、前記分極抵抗演算手段が、前記バッテリの濃度分極による抵抗値と該バッテリの活性化分極による抵抗値との両方を求めるように構成されており、前記分極抵抗成分劣化値演算手段が、前記分極抵抗成分劣化値として、前記バッテリの濃度分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの濃度分極による抵抗値に対する比率である、濃度分極抵抗成分劣化値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの活性化分極による抵抗値に対する比率である、活性化分極抵抗成分劣化値とを求めるように構成されており、前記乗算手段が、前記純抵抗成分劣化値に前記濃度分極抵抗成分劣化値と前記活性化分極抵抗成分劣化値とを乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求める構成とした。
【0159】
このため、請求項2に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法によれば、請求項1に記載した本発明のバッテリの劣化度演算方法において、また、請求項4に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置によれば、請求項3に記載した本発明のバッテリの劣化度演算装置において、いずれも、バッテリの純抵抗と活性化分極抵抗との間や、純抵抗と濃度分極抵抗との間だけでなく、活性化分極抵抗と濃度分極抵抗との間にも、何らかの連鎖反応の関係が存在するとしても、それを考慮に入れた上でのバッテリの劣化度を示す指標となる値が演算されるようにして、バッテリの劣化度をより一層正確に演算することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバッテリの劣化度演算装置の基本構成図である。
【図2】本発明のバッテリの劣化度演算装置において一例として採用可能な、劣化のない状態や劣化のある状態におけるバッテリの純抵抗の値を求める装置の基本構成図である。
【図3】本発明のバッテリの劣化度演算装置において一例として採用可能な、劣化のない状態や劣化のある状態におけるバッテリの濃度分極抵抗の値を求める装置の基本構成図である。
【図4】本発明のバッテリの劣化度演算装置において一例として採用可能な、劣化のない状態や劣化のある状態におけるバッテリの活性化分極抵抗の値を求める装置の基本構成図である。
【図5】本発明のバッテリの劣化度演算方法を適用した本発明の一実施形態に係る車載用バッテリの劣化度演算装置の概略構成を一部ブロックにて示す説明図である。
【図6】スタータモータ駆動開始時の突入電流を伴う放電電流の一例を示すグラフである。
【図7】2次近似式で表したI−V特性の一例を示すグラフである。
【図8】増加方向の近似式から濃度分極の除き方の一例を説明するためのグラフである。
【図9】減少方向の近似式から濃度分極の除き方の一例を説明するためのグラフである。
【図10】増加方向を一次近似式で表したI−V特性の一例を示すグラフである。
【図11】減少方向の近似式から濃度分極の除き方の他の例を説明するためのグラフである。
【図12】減少方向の近似式から濃度分極の除き方の別の例を説明するためのグラフである。
【図13】図5中のマイコンが劣化度演算のため予め定めたプログラムに従って行う処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
23a−1 電流・電圧測定手段(CPU)
23a−2 純抵抗演算手段(CPU)
23a−3 分極抵抗演算手段(CPU)
23a−4 純抵抗成分劣化値演算手段(CPU)
23a−5 分極抵抗成分劣化値演算手段(CPU)
23a−6 乗算手段(CPU)
23a−7 近似式算出手段(CPU)
23a−8 純抵抗算出手段(CPU)
23a−9 濃度分極抵抗算出手段(CPU)
23a−10 濃度分極抵抗算出手段(CPU)
23a−11 修正近似式算出手段(CPU)
23a−12 濃度成分近似式算出手段(CPU)
23a−13 活性化成分近似式算出手段(CPU)
23a−14 活性化分極抵抗算出手段(CPU)

Claims (4)

  1. 負荷に電力を供給するバッテリの劣化度を演算するに当たり、
    前記負荷に、ピーク値まで単調増加した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間において周期的に測定される、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とから、該バッテリの純抵抗の値を求めると共に、
    前記周期的に測定されるバッテリの放電電流と端子電圧とから、該バッテリの濃度分極による抵抗値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値とのうち、少なくとも一方の分極による抵抗値を求め、
    前記求めた純抵抗の値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における純抵抗の値に対する比率である、純抵抗成分劣化値を求めると共に、
    前記求めた少なくとも一方の分極による抵抗値の、該少なくとも一方の分極による、前記バッテリに劣化が生じていない状態における抵抗値に対する比率である、分極抵抗成分劣化値を求め、
    前記純抵抗成分劣化値に前記分極抵抗成分劣化値を乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求めるようにした、
    ことを特徴とするバッテリの劣化度演算方法。
  2. 前記バッテリの濃度分極による抵抗値と該バッテリの活性化分極による抵抗値との両方を求め、前記分極抵抗成分劣化値として、前記バッテリの濃度分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの濃度分極による抵抗値に対する比率である、濃度分極抵抗成分劣化値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの活性化分極による抵抗値に対する比率である、活性化分極抵抗成分劣化値とを求め、前記純抵抗成分劣化値に前記濃度分極抵抗成分劣化値と前記活性化分極抵抗成分劣化値とを乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求めるようにした請求項1記載のバッテリの劣化度演算方法。
  3. 負荷に電力を供給するバッテリの劣化度を演算するバッテリの劣化度演算装置であって、
    前記負荷に、ピーク値まで単調増大した後、ピーク値から定常値まで単調減少する突入電流が流れている期間における、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とを周期的に測定する電流・電圧測定手段と、
    前記電流・電圧測定手段によって周期的に測定される、前記バッテリの放電電流と該放電電流に対応する端子電圧とから、該バッテリの純抵抗の値を求める純抵抗演算手段と、
    前記電流・電圧測定手段によって周期的に測定される、前記バッテリの放電電流と端子電圧とから、該バッテリの濃度分極による抵抗値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値とのうち、少なくとも一方の分極による抵抗値を求める分極抵抗演算手段と、
    前記純抵抗演算手段によって求めた純抵抗の値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における純抵抗の値に対する比率である、純抵抗成分劣化値を求める純抵抗成分劣化値演算手段と、
    前記求めた少なくとも一方の分極による抵抗値の、該少なくとも一方の分極による、前記バッテリに劣化が生じていない状態における抵抗値に対する比率である、分極抵抗成分劣化値を求める分極抵抗成分劣化値演算手段と、
    前記純抵抗成分劣化値に前記分極抵抗成分劣化値を乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求める乗算手段と、
    を備えることを特徴とするバッテリの劣化度演算装置。
  4. 前記分極抵抗演算手段は、前記バッテリの濃度分極による抵抗値と該バッテリの活性化分極による抵抗値との両方を求めるように構成されており、前記分極抵抗成分劣化値演算手段は、前記分極抵抗成分劣化値として、前記バッテリの濃度分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの濃度分極による抵抗値に対する比率である、濃度分極抵抗成分劣化値と、前記バッテリの活性化分極による抵抗値の、前記バッテリに劣化が生じていない状態における該バッテリの活性化分極による抵抗値に対する比率である、活性化分極抵抗成分劣化値とを求めるように構成されており、前記乗算手段は、前記純抵抗成分劣化値に前記濃度分極抵抗成分劣化値と前記活性化分極抵抗成分劣化値とを乗じた値を、前記バッテリの劣化度を示す値として求める請求項3記載のバッテリの劣化度演算装置。
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