JP3928673B2 - コーディエライト質セラミックス焼結体、そのための組成物および製造方法 - Google Patents

コーディエライト質セラミックス焼結体、そのための組成物および製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルパティキュレートや高温含塵ガスのフィルタ等に好適なコーディエライト質セラミックス焼結体、そのための組成物および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コーディエライト(2MgO・2Al23 ・5SiO2 )質材料は、1300℃以上の耐熱性を有するとともに、熱膨張係数が小さいため耐熱衝撃性に優れる。このため、自動車の排気ガス浄化用触媒を担持するハニカム担体やディーゼル機関の排気ガス中のパティキュレートを除去するフィルタ、石炭の燃焼ガスを除塵する高温ガス用フィルタに使用されている。しかし、コーディエライトは、その焼結温度範囲が狭く、しかも焼成温度と分解温度にあまり差がないなど、焼結しにくい欠点がある。
【0003】
このようなコーディエライトセラミックスの一般的な製造方法として、粘土(カオリン)、滑石(タルク)、アルミナなどの粉末を原料とする成形体を焼成し、焼結と同時に固相反応させてコーディエライト結晶とする焼成法(例えば、特開昭62−182158)、ゾル・ゲル法によるガラスや溶融法によるガラスを利用する方法などがある。固相反応を利用する焼成方法では、押出成形時の配向を利用することにより優れた低熱膨張特性が得られる利点があるが、熱膨張係数が配向などに強く影響される欠点がある。
【0004】
一方、ガラスを利用する方法では、熱膨張係数の方向依存性はほとんどなくなるが、材料の活性が乏しいため、成形性や焼結性が良くなく、強度などの機械的特性に劣る欠点があった。この欠点の解消を目的として、コーディエライト組成を有する調合材料とコーディエライト組成のガラスからなる製造方法(特開昭57−70398)が提案された。
【0005】
しかし、この方法によると、ガラス量の多い組成範囲などでは充分な焼結性を得ることが難しく、その結果、充分な強度が得られないなどの懸念があった。特にフィルタの再生手段として、圧縮空気を排気ガスの流入と反対方向から流す、いわゆる逆洗方式を採用する場合には、逆洗の圧力に耐えるだけの充分な機械的強度が必要であり、この点の改善が強く望まれていた。
【0006】
また、ガラス量の少ない組成範囲では、調合材料が多くなり、焼結性は向上するが、ガラス量が少なくなるため熱膨張特性の配向依存性が強くなるなどの問題がある。また上記提案では、ガラスの結晶化を焼結過程の途中で行うが、結晶化の過程で体積変化があり、これにより焼結体内部に応力が発生し欠陥を引き起こす心配があるうえ、肉厚の異なるような形状では、結晶化の状態が不均一になりやすく焼結体の特性にバラツキが生ずるおそれもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術が有する前述の欠点を解消しようとするもので、第一に、強度などの機械的特性に優れた、しかも低熱膨張性が等方的であるフィルタに好適な新規のコーディエライト質セラミックス焼結体とそのための組成物の提供にあり、第二に、このような、フィルタに好適なコーディエライト質セラミックス焼結体を円滑有利に製造する方法の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1200℃以下における熱膨張係数があらゆる方向において27×10-7/℃以下であるコーディエライト質セラミックス焼結体であって、該焼結体は、あらかじめ溶融再結晶化により形成された溶融コーディエライト質結晶粒からなる骨材部と該結晶粒間に焼成により形成された合成コーディエライト質結晶とアルカリ金属酸化物、アルミナ、シリカ系のガラス質で構成される結合部とから実質的になることを特徴とするコーディエライト質セラミックス焼結体を提供する。
【0009】
また、(a)1200℃以下における熱膨張係数があらゆる方向において22×10-7/℃以下であるあらかじめ溶融再結晶化により形成された溶融コーディエライト質結晶粒、(b)焼成によりコーディエライトを形成しうる合成コーディエライト質原料成分、(c)長石粉末、(d)有機質気孔形成剤、(e)有機質結合剤を含み、かつ上記(a)+(b)と(c)の割合は、(a)+(b)96〜80重量部に対し(c)が4〜20重量部であることを特徴とするコーディエライト質セラミックス焼結体用組成物を提供する。
【0010】
また、上記組成物を所定形状に成形した後、該成形体を(c)の融点以上1400℃以下の温度でかつ(b)と(c)が充分反応する時間焼成することにより各溶融コーディエライト質結晶粒を充分な融液で濡らしながら液相焼結することを特徴とするコーディエライト質セラミックス焼結体の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の焼結体の好ましい態様では、骨材部を形成する溶融コーディエライト質結晶粒は、コーディエライト結晶の85〜95重量%を占め、かつその平均粒径は30〜70μmの粒径からなる。
また、他の好ましい態様では、焼結体の見掛気孔率が30〜50%の多孔質であり、ディーゼルパティキュレートを捕集するフィルタとして使用する。
また、他の好ましい態様では、焼結体の組織として結合部付近における溶融コーディエライト結晶粒はその角部が丸みを帯びたものを含む。
【0012】
本発明の組成物の好ましい態様では、溶融コーディエライト質結晶粒は平均粒径が30〜70μmのものを使用しかつ粒径が45μm以下のものが重量割合で25%以上使用する。
また、他の好ましい態様では、焼成によりコーディエライトを形成しうる合成コーディエライト質原料成分と長石粉末の重量割合は、前者/後者で0.5〜2.2であり、該合成コーディエライト質原料成分の平均粒径は1〜15μmとする。
また、他の好ましい態様では、長石粉末の平均粒径を5〜30μmとし、200μm以上のものを含まないようにする。
また、他の好ましい態様では、長石粉末としては、ソーダ長石またはカリ長石を使用する。
【0013】
本発明においてこれらの好ましい態様はいずれも本発明の目的である低膨張でかつ優れた強度を兼ね備えたフィルタ用として好適なコーディエライト質セラミックス焼結体を得るために適している。
【0014】
本発明の焼結体は、1200℃以下における熱膨張係数があらゆる方向において27×10-7/℃以下の低膨張であり、このような焼結体は基本的にはあらかじめ溶融再結晶化により形成した1200℃以下における熱膨張係数があらゆる方向において22×10-7/℃以下である溶融コーディエライト質結晶粒を骨材部(主要部)とすることで可能となる。
なお、22×10-7/℃以上の熱膨張係数のものでは、全体として27×10-7/℃以下の焼結体を得ることは難しくなる。
【0015】
ここで、溶融再結晶化により形成された溶融コーディエライト質結晶粒は、粒径が小さいほど焼結性が良く、焼結体の強度が高くなるが、反面、多孔体の重要な特性である細孔径が小さくなり、しかも気孔率も減少しフィルタとして使用する場合に圧損が高くなるなどの欠点がある。フィルタとして使用する場合の見掛気孔率としては30〜50%が好ましい。
【0016】
逆に溶融再結晶化により形成された溶融コーディエライト質結晶粒は、粒子が大きくなると焼結性や強度が低下するため、好ましい態様では、平均粒径が30〜70μmであり、かつ粒径が45μm以下である粒子が全体の25%以上を占めるものからなる粒子を使用する。本発明において溶融コーディエライト質結晶粒は、事前に溶融コーディエライトガラスを結晶化処理しておくことが望ましい。これは、溶融コーディエライトガラスが結晶化する過程で体積変化を起こすためである。
【0017】
すなわちあらかじめ結晶化処理をしない場合は、焼結の過程で結晶化を行うが、その場合に体積変化による内部応力が発生し焼結体内に欠陥を生成する心配があるほか、焼結体内で結晶化の状態が不均一になりやすく焼結体の特性にばらつきが発生するおそれもある。
【0018】
本発明の焼結体は、このような溶融コーディエライト結晶粒を骨材としてこれとともに焼成により形成された合成コーディエライト質結晶をアルカリ金属酸化物、アルミナ、シリカ系のガラス質で構成されてなる結合部からなる組織を有している。
【0019】
焼成により合成コーディエライト質結晶を生ずる原料成分としては、粘土(カオリン)、タルク、水酸化アルミニウムなどのアルミナ(源)となるような公知の材料を使用できる。これらの原料成分は、粘土を含むことから成形性が向上し、原料同士が固相反応を起こすほか原料成分と長石も反応するため焼結性も向上する。詳細は不明であるが、原料成分は、加熱過程で分解生成物を生じ、それが長石からもたらされるアルカリ金属酸化物、アルミナ、シリカ系のガラス融液中に固溶し、融液中でコーディエライトを生成し、かつ融液が表面活性の乏しい溶融コーディエライト質結晶粒を濡らして、あたかも表面活性の乏しい溶融コーディエライト質結晶粒の表面に活性なコーディエライト表面層を形成しているような状態になり焼結性が向上するものと期待される。
【0020】
本発明の焼結体は、このような結果として溶融コーディエライト結晶粒の結合部付近における角部が丸みを帯びた形状となっているものを含むことで特徴づけられている。
【0021】
本発明において、合成コーディエライト質結晶をもたらす原料成分は、少なすぎると成形性や焼結性の改善に効果がなく、多すぎると熱膨張特性の等方性が損なわれるなどの問題があり、好ましい態様では、あらかじめ溶融再結晶化により形成された溶融コーディエライト質結晶粒が85〜95%であり、残部を焼成によりコーディエライトを形成しうる合成コーディエライト質原料成分とする。
【0022】
この原料成分の平均粒径が大きすぎると固相反応による焼結がしにくく、また小さすぎると溶融コーディエライト質結晶粒との混合が不均一になり焼結体に不均一を生ずるなどの問題点があり、コーディエライト結晶の好ましい態様では、平均粒径が1〜15μmである粒子を用いる。
【0023】
本発明のコーディエライト質セラミックス焼結体として必要な焼成により形成された合成コーディエライト質結晶と併存してアルカリ金属酸化物、アルミナ、シリカ系のガラス質で構成される結合部をもたらすために有用な長石は、アルカリ長石であることが好ましい。すなわち、一般的に長石は、カリ長石やソーダ長石のようなアルカリ長石と灰長石やバリウム長石、斜長石などがある。
【0024】
本発明ではそのいずれも使用できるが、灰長石やバリウム長石はその融点が高いため、耐熱性は向上するが焼成温度範囲が狭くなる傾向があり、この点からアルカリ金属酸化物、アルミナ、シリカ系のガラスをもたらすアルカリ長石の方が好ましい。アルカリ長石としては、主として化学式R2 O・Al23 ・6SiO2 (RはNaまたはK)で表されるソーダ長石からなるものでも、また主としてカリ長石からなるものでもよい。ただ、アルカリ長石が多くなると焼結が進みすぎ、多孔体としての重要な気孔径が小さくなる、熱膨張係数が高くなるなどの不具合があり、また逆にアルカリ長石が少なすぎると充分な焼結性が得られず、強度が低くなるなどの短所がある。
【0025】
したがって、好ましい態様では、アルカリ長石を(a)+(b)96〜80重量部に対して4〜20重量部添加する。またアルカリ長石の粒径が大きすぎると、焼結性に不均一が生じやすく、特に焼結体中に大きなガラス質状態で残存すると高温時にその部分が軟化して甚だしい場合には孔があくようなケースも懸念される。一方、粒径を小さくすることは、焼結性が向上するが、気孔径が小さくなりすぎる、粉砕などのコストがかかり生産性の点から実用的でない、などの問題がある。
【0026】
したがって、好ましい態様では、長石の粒径は、平均粒径が5〜30μmであり、しかも200μm以上の大きな粒子がないものが望ましい。また、本発明において(b)合成コーディエライト質原料成分に対する(c)長石粉末の割合は重量割合で(b)/(c)が0.5〜2.2とすることが好ましい。(b)が多すぎると(c)の融液に固溶できる量には限界があり、(b)材料単独で固相反応する割合が多くなり、得られる焼結体の気孔分布が広くなりすぎフィルタとして使用する場合の効率低下をもたらすおそれがある。一方、(c)が多すぎても融液組成がコーディエライトから大きくずれたものとなり、溶融コーディエライト結晶粒との界面のなじみ性に乏しくなり焼結体の強度低下をもたらすことがある。
【0027】
本発明における有機質気孔形成剤としては、水溶性高分子、熱可塑樹脂、おがくずのような天然の有機物、黒鉛などのカーボン系材料などが使用できる。また有機質結合剤としては、メチルセルロースのようなセルロース系材料やポリビニールアルコールなどの水溶性高分子の他、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリルなどの熱可塑樹脂なども使用できる。場合によっては、これら有機結合剤を気孔形成剤の役割を兼ねて使用してもよい。例えば、メチルセルロースなどは気孔形成剤と結合剤を兼ね備えたものとして有効である。また、成形に際しては適宜必要に応じて水を加えることもある。
【0028】
本発明における成形手段としては、押出成形、射出成形、プレス成形などが利用できる。本発明ではこのようにして所定形状に成形した成形体を長石の融点以上で1400℃以下の温度でかつ長石と合成コーディエライト質原料が充分反応する時間焼成をする。
【0029】
このようにすることで、骨材部を形成する溶融コーディエライト質結晶粒を充分なガラス質の融液で濡らしながら液相焼結することが可能となり、結果として溶融コーディエライト質結晶粒と合成コーディエライト結晶粒とがガラス質ともどもその界面で反応が進み優れた強度をもたらす組織が得られるものと考えられる。また、本発明のコーディエライト質セラミックス焼結体は、フィルタ、特にディーゼルパティキュレートを除去するようなフィルタには最適である。
【0030】
【実施例】
以下に、本発明の実施例および比較例を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0031】
[例1]
コーディエライトの理論組成に近い範囲の組成になるようにMgO、Al23 、SiO2 原料を溶解し、冷却し、粉砕してガラス質粒状固化物を得、これを1350〜1390℃の温度範囲で加熱処理して再結晶化したものを溶融コーディエライト質原料とし、さらに粉砕により平均粒径40μm、粒径が45μm以下である粒子が全体の30%以上になるように調整した。なお、これらの溶融コーディエライト質結晶粒の熱膨張係数は、1200℃以下においていずれの方向においても22×10-7/℃以下であった。
【0032】
また焼成によりコーディエライトを形成しうる合成コーディエライト質原料成分として、カオリン、タルク、アルミナをMgO:11.8重量%、Al23 :35.0重量%、SiO2 :44.5重量%、その他:8.7重量%となるように配合し、さらに平均粒径が5μmになるように粒度調整をした。長石粉末として、化学式Na2 O・Al23 ・6SiO2 で表されるソーダ長石を平均粒径が18μmであって、200μm以上のものを含まない粒度に調整をした。なお、粒度測定には、レーザー回折式粒度分布測定装置を使用した。
【0033】
上記の溶融コーディエライト質結晶粒81.8重量%に合成コーディエライト質原料成分9.1重量%、ソーダ長石9.1重量%を加えて混合して粉末原料とした。この粉末原料100重量部に外掛けで有機気孔形成剤としてカーボンを11.5重量部、有機結合剤としてメチルセルロースを10重量部、水を47.2重量部添加して加圧型ニーダで1時間混練し押出成形坏土とした。
【0034】
この坏土を2軸押出成形機により押出成形し、幅50mm×長さ150mm、厚さ5mmの平板を押出成形した。次に、このサンプル成形体を充分乾燥させたのち焼成炉に入れ昇温速度毎時300℃で1300℃まで加熱し、最高温度で5時間保持したのち炉冷した。
【0035】
得られた焼結体を切断し、SEMによりその組織を観察したところ、そのほとんどが粒径30〜70μmにある溶融コーディエライト結晶粒からなる主要部に対し合成コーディエライト質結晶とガラス質で構成される結合部からなっていることが確認された。この結合部のガラス質について電子線マイクロアナライザ(EPMA)分析を行ったところ、重量割合でNa2 O:4.8、MgO:4.6、Al23 :15.7、SiO2 :67.5、FeO:2.6からなる成分を有していた。また、溶融コーディエライト質結晶粒の一部については結合部付近の角部が丸みを帯びた形状となっていた。
【0036】
焼結体サンプルの外観検査をしたが、クラックや破損等は観察されなかった。この焼結体サンプルの密度、見掛気孔率をアルキメデス法により算出したところ、見掛気孔率が38%、密度が1.6g/cm3 であった。
【0037】
また気孔径については、水銀ポロシメータを用いて測定したが、平均細孔径が17μmであった。さらに3点曲げ強度測定を行ったところ室温曲げが33MPaであった。また押出方向およびそれと直交する方向から熱膨張サンプルを切り出して室温から1200℃までの熱膨張係数を測定したが、いずれの方向でも熱膨張係数が25×10-7/℃であった。さらに同一材料でフィルタを押出成形、焼成してパティキュレートトラップ装置に使用したところ捕集率90%以上と良好な結果を示した。
【0038】
[例2]
例1において溶融コーディエライト質結晶粒を77.3重量%に、合成コーディエライト質原料成分を13.6重量%に変更して同様にサンプルを作成し、評価したところ、この場合にもクラックや破損が観察されず、また特性も良好であった。
【0039】
[例3]
例1において溶融コーディエライト質結晶粒を86.4重量%に、合成コーディエライト質原料成分を4.5重量%に変更して同様にサンプルを作成し、評価したところ、この場合にもクラックや破損が観察されず、また特性も良好であった。
【0040】
[例4]
例1において溶融コーディエライト質結晶粒を85.7重量%に、合成コーディエライト質原料成分を9.5重量%に、ソーダ長石を4.8重量%に変更して同様にサンプルを作成し、評価したところ、この場合にもクラックや破損が観察されず、また特性も良好であった。
【0041】
[例5]
例1において溶融コーディエライト質結晶粒を78.3重量%に、合成コーディエライト質原料成分を8.7重量%に、ソーダ長石を13.0重量%に変更して同様にサンプルを作成し、評価したところ、この場合にもクラックや破損が観察されず、また特性も良好であった。
【0042】
[例6]
例1において長石の種類をソーダ長石からカリ長石に変え、さらに焼成条件を1375℃に変更して同様にサンプルを作成し、評価したところ、この場合にもクラックや破損が観察されず、また特性も良好であった。
【0043】
[例7(比較例)]
例1において合成コーディエライト質原料成分を溶融コーディエライト質結晶粒でおきかえて90.9%に変更して同様にサンプルを作成し、評価した。この場合には成形体や焼結体の外観にクラックや破損が見られた。また曲げ強度も25%以上低下した。
【0044】
[例8(比較例)]
例1においてソーダ長石を溶融コーディエライト質結晶粒でおきかえて90.9%に変更して同様にサンプルを作成し、評価した。この場合には、曲げ強度が20%以上低下した。
【0045】
[例9]
例1においてソーダ長石の種類を平均粒径が50μm以上に粒度調整したものに変更して同様にサンプルを作成し、評価した。この場合には、焼結体中粒径の大きなソーダ長石に起因する透き通ったような箇所が点在していることが確認され、この部分では、強度が低下していることも確認されたが、使用条件によっては充分使用できる。
【0046】
[例10]
例1において合成コーディエライト質原料成分の種類を平均粒径が30μm程度に粒度調整したものに変更して同様にサンプルを作成し、評価した。この場合には、焼結体の強度が低下していることが確認されたが、使用条件によっては使用できる。
【0047】
[例11]
例1において溶融コーディエライト質結晶粒の種類を平均粒径が100μm程度に粒度調整したものに変更して同様にサンプルを作成し、評価した。この場合にも焼結体の強度が約20%低下することがあったが、使用条件によっては使用できる。
【0048】
【発明の効果】
本発明のコーディエライト質セラミックス焼結体、そのための組成物および製造方法は、低熱膨張特性が等方的で、強度などの機械的特性に優れているため高温時や熱サイクルの環境下においてセラミックス部材の信頼性や耐久性が向上する、優れた効果を有する。
【0049】
特に再生手段として逆洗方式を採用するパティキュレートトラップ装置のような強度を要求されるようなフィルタでは、装置の信頼性が著しく向上する、優れた効果を有する。

Claims (6)

  1. 1200℃以下における熱膨張係数があらゆる方向において27×10-7/℃以下であるコーディエライト質セラミックス焼結体であって、該焼結体は、あらかじめ溶融再結晶化により形成された溶融コーディエライト質結晶粒からなる骨材部と該結晶粒間に焼成により形成された合成コーディエライト質結晶とアルカリ金属酸化物、アルミナ、シリカ系のガラス質で構成される結合部とから実質的になることを特徴とするコーディエライト質セラミックス焼結体。
  2. 骨材部を形成する溶融コーディエライト質結晶粒は、コーディエライト結晶の85〜95重量%を占める、請求項1記載の焼結体。
  3. 結合部付近における溶融コーディエライト粒子は角部が丸みを帯びたものを含む、請求項1または2記載の焼結体。
  4. (a)1200℃以下における熱膨張係数があらゆる方向において22×10-7/℃以下であるあらかじめ溶融再結晶化により形成された溶融コーディエライト質結晶粒、(b)焼成によりコーディエライトを形成しうる合成コーディエライト質原料成分、(c)長石粉末、(d)有機質気孔形成剤、(e)有機質結合剤を含み、かつ上記(a)+(b)と(c)の割合は、(a)+(b)96〜80重量部に対し(c)が4〜20重量部であることを特徴とするコーディエライト質セラミックス焼結体用組成物。
  5. (b)と(c)の配合割合は、重量割合で(b)/(c)が0.5〜2.2である、請求項記載の組成物。
  6. (a)1200℃以下における熱膨張係数があらゆる方向において22×10-7/℃以下であるあらかじめ溶融再結晶化により形成された溶融コーディエライト質結晶粒、(b)焼成によりコーディエライトを形成しうる合成コーディエライト質原料成分、(c)長石粉末、(d)有機質気孔形成剤、(e)有機質結合剤を含み、かつ上記(a)+(b)と(c)の割合は、(a)+(b)96〜80重量部に対し(c)が4〜20重量部である組成物を所定形状に成形した後、該成形体を(c)の融点以上1400℃以下の温度でかつ(b)と(c)が充分反応する時間焼成することにより各溶融コーディエライト質結晶粒を充分な融液で濡らしながら液相焼結することを特徴とするコーディエライト質セラミックス焼結体の製造方法。
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