JP3928057B2 - クマリン誘導体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬有途を有する新規なクマリン誘導体及びその薬理学的に許容しうる塩に関する、当該化合物は優れた鎮痛作用を有し、医薬として有用である。
【0002】
【従来の技術】
本発明のクマリン誘導体は、文献未載の新規化合物である。本発明者らは、従来より、医薬品として価値ある薬理活性を有する化合物の研究、開発を進めてきており、その過程で先に血糖降下作用を有し血糖降下剤として糖尿病の治療及び予防に有効な一連のクマリン化合物の合成に成功し、該化合物に係る発明を特許出願した(特開平9−52891号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は医薬品、特に鎮痛作用を有し医薬として有用な新規化合物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
引き続く研究の結果、本発明者らは、上記公知化合物と共通するクマリン骨格を有するが、特にその3位置換基において明確に区別される他の一連の新規なクマリン誘導体の合成に成功すると共に、之等の新規な誘導体が上記先の化合物の有する血糖降下作用とは本質的に異なり、しかも該作用からは予測できない鎮痛作用を有することを見出し、ここに上記課題に合致する本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、(1)一般式
【化2】
〔式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ水素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基又はハロゲン原子を、R5 及びR6はそれぞれ基−A−B−R7 (式中、Aはアルキレン基を、Bは−O−又は−S−を、R7はアルコキシ基若しくはアルキルチオ基を3個有する芳香環カルボニル基又はアルコキシ基若しくはアルキルチオ基を3個有するアラルキル基を示す)を示すか、R5がアルキル基でR6 が基−A−Z−R8 (式中、Aは前記に同じ。Zは−O−、−S−、−NH−又は−N(アルキル基)−を、R8はアシル基、芳香環基、芳香環上にアルコキシ基若しくはアルキルチオ基3個を有することのある芳香環アルケニレンカルボニル基又はアシルオキシ基、アルコキシ基若しくはアルキルチオ基を1〜3個有する芳香環カルボニル基を示す)を示すか、或いはR5 及びR6 は互いに結合してそれらが結合する硫黄原子と共に、4位がアルコキシ基若しくはアルキルチオ基3個を有することのある芳香環アルケニレンカルボニル基で置換されたテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン環を形成してもよい。〕で表されるクマリン誘導体又はその薬理学的に許容しうる塩、
(2) 前記(1)の一般式において、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ水素原子、アルコキシ基又はハロゲン原子を、R5 及びR6はそれぞれ基−A−O−R7(式中、Aはアルキレン基を、R7 はアルコキシ基3個を有するベンゾイル基又はアルコキシ基3個を有するベンジル基を示す)を示すか、R5がアルキル基でR6 が基−A−Z−R8 (式中、Aは前記に同じ。Zは−O−、−NH−又は−N(アルキル)−を、R8 はフェニル基の1〜2個で置換されることのあるアルカノイル基、フェニル基、ベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基又は置換基としてアルカノイルオキシ基若しくはアルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基を示す)を示すか、或いはR5及びR6 は互いに結合してそれらが結合する硫黄原子と共に、4位がベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基で置換されたテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン環を形成してもよい前記(1)に記載のクマリン誘導体、
(3) R4 が水素原子でR1 、R2 及びR3のうちの少なくとも2つが水素原子である前記(2)に記載のクマリン誘導体。
(4) R5 がアルキル基でR6 が基−A−Z−R8 (式中、A、Z及びR8 は前記に同じ。)である前記(3)に記載のクマリン誘導体、
(5) Zがエチレン基で、R8 がアルカノイルオキシ基若しくはアルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基である前記(4)に記載のクマリン誘導体、
(6) R5 がメチル基で、R6 が2−(2−アセトキシベンゾイルオキシ)エチル基、2−〔N−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)アミノ〕エチル基及び2−〔N−メチル−N−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)アミノ〕エチル基からなる群より選ばれる基である前記(5)に記載のクマリン誘導体、
(7) 前記(1)記載のクマリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩及び製剤学的に許容される担体を含有する医薬組成物,および
(8) 前記(1)記載のクマリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮痛剤。
【0006】
〔置換基の定義〕
アルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましく、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が好ましい。
【0007】
アルコキシ基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましく、具体的には例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。アルキルチオ基としては炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましく、具体的には例えばメチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ等が挙げられる。
【0008】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が挙げられる。
アルキレン基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましく、具体的には例えばメチレン、エチレン、エチリデン、トリメチレン、プロピリデン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
【0009】
フェニル基の1〜2個で置換されることのあるアルカノイル基としては、フェニル基以外の炭素数が2〜7のものが好ましく、炭素数2〜5のものがより好ましく、具体的には例えばアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、フェニルアセチル、3−フェニルプロピオニル、4−フェニルブチリル、5−フェニルバレリル、6−フェニルヘキサノイル、7−フェニルヘプタノイル、ジフェニルアセチル、3,3−ジフェニルプロピオニル、4,4−ジフェニルブチリル、5,5−ジフェニルバレリル、6,6−ジフェニルヘキサノイル、7,7−ジフェニルヘプタノイル、2、3−ジフェニルプロピオニル基等が挙げられる。
アルカノイルオキシ基としては、炭素数2〜7のものが好ましく、炭素数2〜5のものがより好ましく、具体的には例えばアセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ヘプタノイルオキシ基等が挙げられる。
【0010】
アルコキシ基3個を有するベンジル基としては、好ましくは例えば、2,3,4−トリメトキシベンジル、2,3,5−トリメトキシベンジル、2,3,6−トリメトキシベンジル、2,4,5−トリメトキシベンジル、2,4,6−トリメトキシベンジル、3,4,5−トリメトキシベンジル、3,4,5−トリエトキシベンジル、3,4,5−トリプロポキシベンジル、3,4,5−トリブトキシベンジル、3,4,5−トリペンチルオキシベンジル、3,4,5−トリヘキシルオキシベンジル、3,5−ジ−t−ブトキシ−4−メトキシベンジル基等が挙げられる。
【0011】
アルコキシ基3個を有するベンゾイル基としては、具体的には例えば、2,3,4−トリメトキシベンゾイル、2,3,5−トリメトキシベンゾイル、2,3,6−トリメトキシベンゾイル、2,4,5−トリメトキシベンゾイル、2,4,6−トリメトキシベンゾイル、3,4,5−トリメトキシベンゾイル、3,4,5−トリエトキシベンゾイル、3,4,5−トリプロポキシベンゾイル、3,4,5−トリブトキシベンゾイル、3,4,5−トリペンチルオキシベンゾイル、3,4,5−トリヘキシルオキシベンゾイル、3,5−ジ−t−ブトキシ−4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0012】
アルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基としては、具体的には例えば、上記アルコキシ基3個を有するベンゾイル基に加え、2−メトキシベンゾイル、3−メトキシベンゾイル、4−メトキシベンゾイル、4−エトキシベンゾイル、4−プロポキシベンゾイル、4−ブトキシベンゾイル、4−ペンチルオキシベンゾイル、2,3−ジメトキシベンゾイル、2,4−ジメトキシベンゾイル、2,5−ジメトキシベンゾイル、2,6−ジメトキシベンゾイル、3,4−ジメトキシベンゾイル、3,5−ジメトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0013】
置換基としてアルカノイルオキシ基若しくはアルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基としては、具体的には例えば、上記アルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基に加え、2−アセトキシベンゾイル、3−アセトキシベンゾイル、4−アセトキシベンゾイル、2−プロピオニルオキシベンゾイル、2−ブチリルオキシベンゾイル、2−イソブチリルオキシベンゾイル、2−バレリルオキシベンゾイル、2−ピバロイルオキシベンゾイル、2−ヘキサノイルオキシベンゾイル、2−ヘプタノイルオキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0014】
ベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基としては、具体的には例えば、シンナモイル基に加え、2,3,4−トリメトキシシンナモイル、2,3,5−トリメトキシシンナモイル、2,3,6−トリメトキシシンナモイル、2,4,5−トリメトキシシンナモイル、2,4,6−トリメトキシシンナモイル、3,4,5−トリメトキシシンナモイル、3,4,5−トリエトキシシンナモイル、3,4,5−トリプロポキシシンナモイル、3,4,5−トリブトキシシンナモイル、3,4,5−トリペンチルオキシシンナモイル、3,4,5−トリヘキシルオキシシンナモイル、3,5−ジ−t−ブトキシ−4−メトキシシンナモイル基等が挙げられる。
【0015】
芳香環カルボニル基又は芳香環アルケニレンカルボニル基における芳香環は例えばフェニル基、ナフチル基等の同素環基、例えばチエニル、フリル、チアジニル等のN,S又は/及びOを同一又は異なって1〜3個含有する5〜7員の複素環基が挙げられる。従って芳香環カルボニル基としては具体的には上記したベンゾイル基、フロイル基、チエニルカルボニル基が挙げられる。又、芳香環アルケニレンカルボニル基の具体例としては上記したシンナモイル基、スチリルアセチル、4−フェニルクロトノイル基等が挙げられる。
【0016】
アシル基としては、具体的には上記したアルカノイル基以外に、具体的にはメチルスルホニル基、エチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基、上記した芳香環カルボニル基、芳香環スルホニル基(芳香環は上記と同意義)、ジアルキルホスホリル基(アルキル基は前記と同意義)等が挙げられる。
【0017】
なお、更に付言すれば、例えば上記の芳香環並びにアシル基等上記の置換基は、例えば、上記したアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子以外にも、例えば、アミノ基等の塩基性置換分、例えばスルホ基、カルボキシル基などの酸性置換分、例えばニトロ基、水酸基等のその他の置換分など通常の医薬成分に汎用される置換分を更に1〜3個程度有していてもよい。
一般式(1)で表されるクマリン誘導体の薬理学的に許容される塩としては例えば、塩酸、リン酸、硫酸等の酸性物質との塩、例えば、ナトリウム、カリウム等の塩基性物質との塩が挙げられる。以下本願明細書においては、クマリン誘導体にはその薬理学的に許容される塩も含むものとする。
【0018】
本発明に係わる前記一般式(1)で表されるクマリン誘導体は、鎮痛作用を有しており、鎮痛剤として、特に神経因性疼痛(特に末梢神経における疼痛)の緩和のための鎮痛剤として有用である。また、本発明化合物は、従来の鎮痛剤有効成分に見られる如き依存性、習慣性、幻覚等の副作用を示さないかあるいは著しく軽減されている特徴を有しており、之等の点でも鎮痛剤として特に有効である。
本発明化合物は、自体公知の方法を含む種々の方法により製造することができる。その例を以下に反応工程式を挙げて説明する。
【0019】
【化3】
(反応工程式−1)
式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は前記に同じ。
上記反応工程式において、化合物(2)から化合物(3)を経て本発明化合物(1)を合成する反応は、自体公知の方法に従って行われてよく、例えば特開平9−52891号公報に記載の方法に準じて行うことができる。
【0020】
即ち、まず公知の化合物(2)を、アルカリの存在下に、ヨードベンゼンジアセテートと反応させることにより、化合物(3)を得る。該反応においては、溶媒として水を好適に使用でき、アルカリとしては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を使用できる。上記アルカリ及びヨードベンゼンジアセテートの使用量は、それぞれ原料化合物を基準として等モル量〜少過剰量とするのが好ましい。反応は0℃〜室温付近の温度で約1〜10時間を要して行われる。
【0021】
次に、上記で得られる化合物(3)は、これをチオエーテル誘導体(4)と反応させることにより、化合物(1)に変換できる。該反応は、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール等のアルコールを溶媒として用い、p−トルエンスルホン酸、酢酸等の酸触媒を適量添加して行うことができる。チオエーテル誘導体(4)の使用量は、化合物(3)に対して1〜10倍モル量程度とするのがよく、反応は室温〜溶媒の還流温度にて10分〜24時間程度で完了する。
上記のごとくして得られる本発明化合物(1)は、下記に示す共鳴構造をとると考えられ、従って、それらのいずれの構造式でも表し得る。これらはいずれも本発明化合物(1)の範囲内である。
【0022】
【化4】
尚、上記反応工程式−1において、原料化合物として用いられるチオエーテル誘導体(4)は、自体公知の方法に従って製造されて良く、例えば下記反応工程式−2〜4の方法により製造することができる。
【0023】
【化5】
[式中、R7 及びAは前記に同じ。Xは脱離基、例えばハロゲン原子を示す。]
【0024】
【化6】
[式中、R5a はアルキル基を示し、R8 、A、X及びZは前記に同じ。]
【0025】
【化7】
[式中、Xは前記に同じ。R10 はベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基等の芳香環アルケニレンカルボニル基を示す。]
【0026】
上記反応工程式−2〜4において、化合物(5)と化合物(6)、化合物(7)と化合物(8)並びに化合物(9)と化合物(10)との反応は、それぞれ同様の反応条件で行い得る。
即ち、各化合物を、ピリジン、ルチジン、コリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン等のアミン系溶媒中、0℃〜50℃程度の温度にて約1〜50時間反応するか、或いはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の不活性溶媒中、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメトキシド等の塩基1〜過剰当量の存在下、0℃〜50℃程度の温度にて約20分〜5時間反応することにより行われる。
尚、化合物(6)の使用割合は、化合物(5)に対して2〜過剰モル量、化合物(8)並びに化合物(10)の使用割合は、それぞれ化合物(7)並びに化合物(9)対してほぼ等モル量〜過剰モル量とするのが好ましい。
【0027】
上記反応工程式に示した各工程における目的化合物は、通常の分離手段により容易に単離精製できる。該手段としては、例えば吸着クロマトグラフィー、プレパラィブ薄層クロマトグラフィー、再結晶、溶媒抽出等を例示できる。
【0028】
本発明化合物の一部には、硫黄原子及び/又は炭素原子を不斉中心とする光学異性体が存在するものがあり、本発明は光学活性体であるR体及びS体並びにラセミ体のいずれをも包含する。上記光学活性体は、慣用の方法、例えば公知の光学分割剤を使用する方法等で分離することができる。
また、本発明化合物のうち、例えばベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基を置換基として有するものは、二重結合による幾何異性体が存在し、本発明はE体及びZ体並びにそれらの混合物のいずれをも包含する。上記異性体は、通常の分離手段により分離することができる。
【0029】
本発明化合物(1)は、これを適当な無毒性製剤担体と共に用いて、一般的な医薬製剤の形態として使用される。上記製剤担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤等が挙げられ、これは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
本発明化合物(1)が使用される医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤)、軟膏剤等が挙げられる。又、これらの各種製剤は自体公知の手段に従って徐放性製剤としてもよい。
【0030】
錠剤の形態に成形するに際しては、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ぶどう糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、燐酸カリウム等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ぶどう糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン糖の結合剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の崩壊剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド等の界面活性剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基; ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、デンプン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が使用可能である。
【0031】
さらに錠剤は必要に応じて通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包剤、腸溶被錠、フィルムコーティング錠剤あるいは二重錠、二重錠とすることができる。
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばぶどう糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤;ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等が使用可能である。
【0032】
坐剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等が使用可能である。
カプセル剤は常法に従って、通常、本発明化合物(1)を上記で例示した各種の製剤担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調整される。
【0033】
液剤、乳剤、懸濁剤等の注射剤として調整する場合、これらは殺菌され且つ血液と等張であるのが好ましい。注射剤の調整に際しては、希釈剤として例えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等が使用可能である。なお、この場合、等張性の溶液を調整するのに十分な量の食塩、ぶどう糖、グリセリン等を含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝材、無痛化剤等を添加してもよい。
【0034】
さらに、上記医薬製剤中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させることができる。
ペースト、クリーム、ゲル等の軟膏剤の形態に調整するに際しては、希釈剤として例えば白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、プリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト等が使用可能である。
上記医薬製剤中に含有されるべき本発明化合物(1)の量は、特に制限されず、広範囲より適宜選択されるが、通常、医薬製剤中に約1〜85重量%程度含有させるのがよい。
【0035】
上記医薬製剤の投与方法は特に制限がなく、製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて適宜決定される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤は経口投与され、注射は単独またはぶどう糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、さらに必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0036】
上記医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて適宜決定されるが、通常、本発明化合物(1)の1日当たりの投与量が体重1kgあたり約0.5〜20mg、好ましくは1〜10mg程度とするのがよい。また、上記医薬製剤は1日1〜4回に分けて投与することができる。なお、本発明化合物(1)は所望により他の医薬成分、例えば他の鎮痛剤と併用することもできる。
【発明の実施の形態】
【0037】
【実施例】
以下に、本発明化合物の製造例を実施例として挙げる。また本発明化合物の製造のための原料化合物(中間体)の製造例を参考例としてあげる。
更に、本発明化合物を用いた薬理試験例及び製剤例を挙げる。
各実施例で得られた化合物は、その構造、融点及び 1H−NMRスペクトルデータを同定資料として記載する。本願明細書の記載を通じて、Meはメチル基を示す。Acはアセチル基を示す。
尚、下記参考例及び実施例における 1H−NMRスペクトルは、内部基準としてTMS(テトラメチルシラン)を用いて測定し、測定溶媒は、特に明示しない限り、DMSO(ジメチルスルホキシド)−d6を用いた。
【0038】
〔参考例1〕 ビス[2−(3,4,5−トリメトキシベンジルオキシ)エチル]スルフィドの製造
60%水素化ナトリウム5.4gをDMF70mlに懸濁させ、そこにビス(2−ヒドロキシエチル)スルフィド7.5g及び3,4,5−トリメトキシベンジルクロリド30.4gを0℃で順次加え、室温で1時間攪拌した。反応液に水を加えて希釈し、酢酸エチル200mlで抽出した。有機層を集めて水及び飽和食塩水で順次洗浄し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液…酢酸エチル:n−ヘキサン=1:3)で精製して、標記化合物の油状物27.8gを得た。
【0039】
〔参考例2〕 ビス[2−(3,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ)エチル]スルフィドの製造
ビス(2−ヒドロキシエチル)スルフィド及び3,4,5−トリメトキシベンゾイルクロリドを用い、上記参考例1と同様にして、標記化合物を得た。
【0040】
〔参考例3〕 [2−(3,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ)エチル]メチルスルフィドの製造
2−(メチルチオ)エタノール及び3,4,5−トリメトキシベンゾイルクロリドを用い、上記参考例1と同様にして、標記化合物を得た。
【0041】
〔参考例4〜16〕
2−(メチルチオ)エタノール、2−(メチルチオ)エチルアミン又はN−[2−(メチルチオ)エチル]−N−メチルアミン並びに適当な塩化物を用い、参考例3と同様にして、下記(4)〜(15)の各化合物を製造した。
(4) [2−(2−アセトキシベンゾイルオキシ)エチル]メチルスルフィド
(5) (2−シンナモイルオキシエチル)メチルスルフィド
(6) [2−(3,4,5−トリメトキシシンナモイルオキシ)エチル]メチルスルフィド
(7) (2−ジフェニルアセトキシエチル)メチルスルフィド
(8) (2−プロピオニルオキシエチル)メチルスルフィド
(9) (2−フェノキシエチル)メチルスルフィド
(10)(2−アセトキシエチル)メチルスルフィド
(11)[2−(N−アセチルアミノ)エチル]メチルスルフィド
(12)[2−[N−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)アミノ]エチル]メチルスルフィド
(13)[2−[N−(2−アセトキシベンゾイル)アミノ]エチル]メチルスルフィド
(14)[2−[N−メチル−N−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)アミノ]エチル]メチルスルフィド
(15)[2−[N−(3,4,5−トリメトキシシンナモイル)アミノ]エチル]メチルスルフィド
(16)メチル〔3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ)プロピル〕スルフィド
【0042】
〔参考例17〕 4−(3,4,5−トリメトキシシンナモイル)テトラヒドロ−4H−1,4−チアジンの製造
テトラヒドロ−4H−1,4−チアジン10.3gをピリジン50mlに溶かし、そこに3,4,5−トリメトキシシンナモイルクロリド27.4gを0℃で加え、室温で24時間攪拌した。反応液に水を加えて希釈し、酢酸エチル200mlで2回抽出した。有機層を集めて2N水酸化ナトリウム水溶液、3N塩酸及び飽和食塩水で順次洗浄し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル−n−ヘキサンより再結晶して、標記化合物24.0gを得た。
【0043】
〔参考例18〕 7−クロロー3−(フェニルヨードニウム)クマリン−4−オラートの製造
1.9gの炭酸ナトリウムを水120mlに溶解し,この水溶液に3.5gの7−クロロ−4−ヒドロキシクマリンを溶かし,更に室温下,ヨードベンゼンジアセテート5.8gを加え,室温で3時間攪拌した。反応終了後,析出した結晶を濾取し、メタノールで洗浄した後,60℃で5時間減圧乾燥して目的化合物の結晶6.6g(融点:164〜165℃)を得た。
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
7.39(1H,dd,J=2.0,8.4), 7.48-7.64(4H,m), 7.93-7.99(3H,m)
【0044】
〔参考例19〜23〕
更に同様にして,下記の各化合物を製造した。
3−(フェニルヨードニウム)クマリン−4−オラート
融点:141〜142℃
1H−NMR(δ:ppm)〔CDCl3〕:
7.15-7.56(6H,m), 7.95(2H,d,J=8.4), 8.02(1H,d,J=7.9)
6−フルオロ−3−(フェニルヨードニウム)クマリン−4−オラート
融点:115〜118℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
7.33-7.49(4H,m), 7.52-7.60(2H,m), 7.87(2H,d,J=8.4)
(21) 5−メトキシ−3−(フェニルヨードニウム)クマリン−4−オラート
融点:180〜181℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.86(3H,s), 6.90(1H,dd,J=3.0,8.4), 7.47-7.63(4H,m), 7.91(2H,d,J=8.4)
(22) 7−メトキシ−3−(フェニルヨードニウム)クマリン−4−オラート
融点:154〜155℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.85(3H,s), 6.71(1H,d,J=2.5), 6.78(1H,dd,J=2.5,8.9), 7.37(2H,dd,J=7.9,7.9), 7.51(1H,dd,J=7.4,7.4), 7.93-8.01(3H,m)
(23) 6−メトキシ−3−(フェニルヨードニウム)クマリンー4−オラート
融点:125〜127℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.80(3H,s), 7.15(1H,dd,J=3.2,8.9), 7.24(1H,d,J=8.9), 7.36(1H,d,J=3.2), 7.38-7.58(3H,m), 7.86(2H,d,J=7.2)
【0045】
〔実施例1〕
3−(2−アセトキシエチルメチルスルホニオ)−2−オキソー1,2−ジヒドロクマリン−4−オラートの合成
【化8】
トニフルオロエタノール15mlに2−オキソ−3−フェニルヨードニウム−1,2−ジヒドロクマリン−4−オラート2.0g(5.5mmol)、2−アセトキシエチルメチルスルフィド0.88g、パラトルエンスルホン酸50mgを溶かし、室温で30分間攪拌した。反応終了後、トリフルオロエタノールを留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒;メタノール/クロロホルム=1/15)で分離、精製し、得られた結晶をジエチルエーテルで洗浄した。目的化合物1.5g(収率93%)を得た。
組成式:C14H14O5S
分子量:294.32
融点:155〜157℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.95(3H,s), 3.16(3H,s), 3.70-3.81(1H,m), 4.09-4.26(2H,m), 4.32-4.43(1H,m), 7.21-7.30(2H,m), 7.60(1H,dd,J=7.4,7.9), 7.87(1H,d,J=7.9)
【0046】
〔実施例2〜41〕
実施例1と同様にして、下記の各化合物を製造した。
〔実施例2〕
【化9】
組成式:C22H22O8S
分子量:446.47
融点:151〜153℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.17(3H,s), 3.71(3H,s), 3.72-3.79(1H,m), 3.80(6H,s), 4.31-4.47(2H,m), 4.69-4.81(1H,m), 7.10-7.24(4H,m), 7.52(1H,dd,J=7.4,8.4), 7.76(1H,d,J=7.9)
【0047】
〔実施例3〕
【化10】
組成式:C21H18O7S
分子量:414.43
融点:130〜131℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.33(3H,s), 3.26(3H,s), 3.80-3.95(1H,m), 4.30-4.54(2H,m), 4.65-4.78(1H,m), 7.22-7.36(4H,m), 7.60-7.75(2H,m), 7.90(1H,d,J=7.4), 7.96(1H,d,J=7.9)
【0048】
〔実施例4〕
【化11】
組成式:C26H22O5S
分子量:446.52
融点:127〜129℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.19(3H,s), 3.80-3.92(1H,m), 4.15-4.26(1H,m), 4.37-4.60(2H,m), 5.18(1H,s), 7.26-7.45(12H,m), 7.66(1H,dd,J=7.2,8.9), 7.97(1H,d,J=7.9)
【0049】
〔実施例5〕
【化12】
組成式:C23H24O9S
分子量:476.50
融点:146〜148℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.15(3H,s), 3.72(3H,s), 3.73-3.78(1H,m), 3.81(9H,s), 4.30-4.47(2H,m), 4.67-4.80(1H,m), 6.66(1H,s), 6.76(1H,d,J=8.9), 7.17(2H,s), 7.65(1H,d,J=8.9)
【0050】
〔実施例6〕
【化13】
組成式:C16H18O6S
分子量:308.34
融点:154〜156℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.94(3H,s), 3.13(3H,s), 3.60-3.78(1H,m), 3.83(3H,s), 4.05-4.25(2H,m), 4.29-4.43(1H,m), 6.79(1H,s), 6.83(1H,d,J=8.4), 7.74(1H,d,J=8.4)
【0051】
〔実施例7〕
【化14】
組成式:C22H20O8S
分子量:444.46
融点:110〜112℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.26(3H,s), 3.17(3H,s), 3.70-3.81(1H,m), 3.82(3H,s), 4.23-4.45(2H,m), 4.56-4.68(1H,m), 6.78(1H,s), 6.82(1H,d,J=8.4), 7.20(1H,d,J=7.9), 7.28(1H,dd,J=7.9,8.9), 7.66(1H,dd,J=7.9,8.9), 7.73(1H,d,J=8.4), 7.90(1H,d,J=7.9)
【0052】
〔実施例8〕
【化15】
組成式:C22H23NO7S
分子量:445.49
融点:174〜175℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.42-3.60(2H,m), 3.70(3H,s), 3.79(3H,s), 3.81(6H,s), 3.82-4.05(2H,m), 7.14(2H,s), 7.15-7.30(2H,m), 7.56(1H,dd,J=7.4,8.4), 7.82(1H,d,J=7.9), 8.69(1H,brs)
【0053】
〔実施例9〕
【化16】
組成式:C23H25NO8S
分子量:475.50
融点:179〜180℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.14(3H,s), 3.40-3.65(2H,m), 3.70(3H,s), 3.81(6H,s), 3.82(3H,s), 3.83-3.97(2H,m), 6.76(1H,s), 6.81(1H,d,J=8.7), 7.14(2H,s), 7.71(1H,d,J=8.7), 8.67(1H,brs)
【0054】
〔実施例10〕
【化17】
組成式:C22H22ClNO7S
分子量:479.93
融点:191〜192℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.15(3H,s), 3.45-3.69(2H,m), 3.70(3H,s), 3.71-3.79(1H,m), 3.80(6H,s), 3.98-4.06(1H,m), 7.11(2H,s), 7.28(1H,d,J=8.4), 7.37(1H,s), 7.78(1H,d,J=8.4), 8.67(1H,brs)
【0055】
〔実施例11〕
【化18】
組成式:C22H2 1ClO8S
分子量:480.92
融点:193〜194℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.72(3H,s), 3.73-3.79(1H,m), 3.80(6H,s), 4.35-4.50(2H,m), 4.70-4.80(1H,m), 7.14(2H,s), 7.23(1H,d,J=8.2), 7.26(1H,s), 7.71(1H,d,J=8.2)
【0056】
〔実施例12〕
【化19】
組成式:C21H17ClO7S
分子量:448.87
融点:169〜171℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.26(3H,s), 3.19(3H,s), 3.75-3.85(1H,m), 4.24-4.47(2H,m), 4.58-4.70(1H,m), 7.18(1H,d,J=8.4), 7.20-7.30(2H,m), 7.39(1H,s), 7.65(1H,dd,J=7.4,8.4), 7.80(1H,d,J=8.4), 7.89(1H,d,J=7.9)
【0057】
〔実施例13〕
【化20】
組成式:C14H13ClO5S
分子量:328.77
融点:148〜149℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.95(3H,s), 3.16(3H,s), 3.70-3.80(1H,m), 4.05-4.25(2H,m), 4.30-4.40(1H,m), 7.32(1H,d,J=8.4), 7.44(1H,s), 7.84(1H,d,J=8.4)
【0058】
〔実施例14〕
【化21】
組成式:C15H17NO5S
分子量:323.37
融点:155〜157℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.80(3H,s), 3.11(3H,s), 3.20-3.45(2H,m), 3.61-3.80(2H,m), 3.83(3H,s),6.80(1H,s), 6.85(1H,d,J=8.7), 7.75(1H,d,J=8.7), 8.16(1H,brs)
【0059】
〔実施例15〕
【化22】
組成式:C15H16O6S
分子量:324.35
融点:105〜107℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.95(3H,s), 3.15(3H,s), 3.67-3.78(1H,m), 3.79(3H,s), 4.07-4.23(2H,m), 4.30-4.40(1H,m), 7.15-7.22(2H,m), 7.29(1H,s)
【0060】
〔実施例16〕
【化23】
組成式:C15H17NO5S
分子量:323.36
融点:120〜122℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.80(3H,s), 3.12(3H,s), 3.21-3.45(2H,m), 3.63-3.78(2H,m), 3.79(3H,s), 7.12-7.20(2H,m), 7.29(1H,s), 8.16(1H,brs)
【0061】
〔実施例17〕
【化24】
組成式:C23H25NO8S
分子量:475.51
融点:161〜162℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.43-3.65(2H,m), 3.69(3H,s), 3.78(3H,s), 3.81(6H,s), 3.91-4.05(2H,m), 7.13(2H,s), 7.14-7.19(2H,m), 7.25(1H,brs), 8.68(1H,brs)
【0062】
〔実施例18〕
【化25】
組成式:C23H24O9S
分子量:476.50
融点:172〜174℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.71(3H,s), 3.76(3H,s), 3.80(6H,s), 3.81-3.90(1H,m), 4.35-4.48(2H,m), 4.77-4.79(1H,m), 7.05-7.10(2H,m), 7.16(2H,s), 7.18(1H,s)
【0063】
〔実施例19〕
【化26】
組成式:C22H20O8S
分子量:444.46
融点:146〜147℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.27(3H,s), 3.19(3H,s), 3.78(3H,s), 3.79-3.90(1H,m), 4.25-4.45(2H,m), 4.57-4.69(1H,m), 7.10-7.28(5H,m), 7.64(1H,dd,J=6.2,7.9), 7.90(1H,d,J=7.9)
【0064】
〔実施例20〕
【化27】
組成式:C23H24O8S
分子量:460.50
融点:76〜78℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.00-2.10(2H,m), 3.15(3H,s), 3.41-3.52(1H,m), 3.74(3H,s), 3.85(6H,s), 4.03-4.15(1H,m), 4.27-4.36(2H,m), 7.14-7.27(4H,m), 7.54(1H,dd,J=7.2,8.9), 7.80(1H,d,J=7.7)
【0065】
〔実施例21〕
【化28】
組成式:C24H26O9S
分子量:490.52
融点:96〜97℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.00-2.10(2H,m), 3.14(3H,s), 3.38-3.50(1H,m), 3.75(3H,s), 3.82(3H,s), 3.85(6H,s), 4.02-4.17(1H,m), 4.26-4.35(2H,m), 6.73(1H,s), 6.80(1H,d,J=8.7), 7.23(2H,s), 7.69(1H,d,J=8.7)
【0066】
〔実施例22〕
【化29】
組成式:C22H21FO8S
分子量:464.46
融点:145〜147℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.17(3H,s), 3.71(3H,s), 3.72-3.79(1H,m), 3.80(6H,s), 4.35-4.50(2H,m), 4.70-4.81(1H,m), 7.14(2H,s), 7.15-7.20(1H,m), 7.30-7.40(2H,m)
【0067】
〔実施例23〕
【化30】
組成式:C22H22FNO7S
分子量:463.11
融点:163〜165℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.40-3.65(2H,m), 3.70(3H,s), 3.80(6H,s), 3.95-4.07(2H,m), 7.11(2H,s), 7.21-7.30(1H,m), 7.36-7.48(2H,m), 8.68(1H,brs)
【0068】
〔実施例24〕
【化31】
組成式:C21H18O5S
分子量:382.43
融点:159〜160℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.18(3H,s), 3.72-3.87(1H,m), 4.22-4.44(2H,m), 4.51-4.62(1H,m), 6.46(1H,d,J=16.1), 7.19(1H,d,J=8.4), 7.24(1H,d,J=7.4), 7.35-7.46(3H,m), 7.48-7.62(4H,m), 7.84(1H,d,J=7.4)
【0069】
〔実施例25〕
【化32】
組成式:C22H20O6S
分子量:412.46
融点:123〜125℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.65-3.75(1H,m), 3.76(3H,s), 4.22-4.45(2H,m), 4.47-4.57(1H,m), 6.43(1H,d,J=16.1), 6.69(1H,s), 6.78(1H,d,J=8.9), 7.34-7.47(3H,m), 7.49-7.60(3H,m), 7.73(1H,d,J=8.9)
【0070】
〔実施例26〕
【化33】
組成式:C21H17FO7S
分子量:432.42
融点:98〜100℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.26(3H,s), 3.19(3H,s), 3.75-3.88(1H,m), 4.25-4.49(2H,m), 4.58-4.70(1H,m), 7.15-7.35(3H,m), 7.36-7.50(2H,m), 7.63(1H,dd,J=7.4,8.6), 7.88(1H,d,J=7.9)
【0071】
〔実施例27〕
【化34】
組成式:C23H25NO7S
分子量:459.51
融点:102〜104℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.92(3H,s), 3.15(3H,s), 3.40-3.79(5H,m), 3.80(6H,s), 3.81-4.22(2H,m), 6.72(2H,s), 7.20-7.29(2H,m), 7.55(1H,dd,J=7.4,7.9), 7.85(1H,d,J=7.9)
【0072】
〔実施例28〕
【化35】
組成式:C24H27NO8S
分子量:489.54
融点:115〜117℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.91(3H,s), 3.32(3H,s), 3.45-3.75(5H,m), 3.80(6H,s), 3.82(3H,s), 3.83-4.22(2H,m), 6.71(2H,s), 6.78(1H,s), 6.81(1H,d,J=8.9), 7.74(1H,d,J=8.9)
【0073】
〔実施例29〕
【化36】
組成式:C22H20O8S
分子量:444.46
融点:136〜138℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.27(3H,s), 3.14(3H,s), 3.65-3.75(1H,m), 3.77(3H,s), 4.23-4.42(2H,m), 4.55-4.67(1H,m), 6.77(1H,d,J=8.4), 6.80(1H,d,J=8.2), 7.20(1H,d,J=7.9), 7.25(1H,dd,J=7.4,7.9), 7.44(1H,d,J=8.4), 7.47(1H,d,J=8.2), 7.66(1H,dd,J=7.4,7.9), 7.91(1H,d,J=7.9)
【0074】
〔実施例30〕
【化37】
組成式:C23H25NO8S
分子量:475.51
融点:176〜178℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.11(3H,s), 3.40-3.68(2H,m), 3.70(3H,s), 3.77(3H,s), 3.82(6H,s), 3.83-3.97(2H,m), 6.76(1H,d,J=7.9), 6.80(1H,d,J=8.4), 7.16(2H,s), 7.44(1H,dd,J=7.9,8.4), 8.65(1H,brs)
【0075】
〔実施例31〕
【化38】
組成式:C21H17ClO5S
分子量:416.88
融点:182〜184℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.18(3H,s), 3.70-3.82(1H,m), 4.25-4.47(2H,m), 4.50-4.61(1H,m), 6.42(1H,d,J=16.1), 7.24(1H,d,J=8.2), 7.30(1H,s), 7.35-7.48(3H,m), 7.50-7.58(3H,m), 7.80(1H,d,J=8.2)
【0076】
〔実施例32〕
【化39】
組成式:C22H20O6S
分子量:412.46
融点:162〜163℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.18(3H,s), 3.74(3H,s), 3.75-3.83(1H,m), 4.23-4.45(2H,m), 4.50-4.60(1H,m), 6.43(1H,d,J=16.1), 7.05-7.15(2H,m), 7.27(1H,s), 7.35-7.46(3H,m), 7.50-7.60(3H,m)
【0077】
〔実施例33〕
【化40】
組成式:C23H24ClNO7S
分子量:493.96
融点:141〜143℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.92(3H,s), 3.15(3H,s), 3.40-3.70(5H,m), 3.79(6H,s), 3.80-4.20(2H,m), 6.71(2H,s), 7.32(1H,d,J=8.4), 7.42(1H,s), 7.83(1H,d,J=8.4)
【0078】
〔実施例34〕
【化41】
組成式:C24H27NO8S
分子量:489.54
融点:89〜91℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.92(3H,s), 3.16(3H,s), 3.51-3.71(5H,m), 3.79(3H,s), 3.80(3H,s), 3.81-4.25(2H,m), 6.71(2H,s), 7.15-7.23(2H,m), 7.28(1H,s)
【0079】
〔実施例35〕
【化42】
組成式:C21H19NO6S
分子量:413.43
融点:168〜170℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.24(3H,s), 3.16(3H,s), 3.33-3.63(2H,m), 3.71-3.92(2H,m), 7.13-7.35(4H,m), 7.47-7.63(3H,m), 7.60(1H,d,J=7.7), 7.85(1H,brs)
【0080】
〔実施例36〕
【化43】
組成式:C18H16O4S
分子量:328.38
融点:132〜134℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.18(3H,s), 3.85-3.94(1H,m), 4.12-4.31(2H,m), 4.32-4.44(1H,m), 6.88-6.98(3H,m), 7.20-7.30(4H,m), 7.58(1H,dd,J=7.2,7.9), 7.84(1H,d,J=7.9)
【0081】
〔実施例37〕
【化44】
組成式:C24H24O8S
分子量:472.51
融点:179〜181℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.18(3H,s), 3.71(3H,s), 3.82(6H,s), 3.83-3.95(1H,m), 4.20-4.39(2H,m), 4.53-4.65(1H,m), 6.53(1H,d,J=16.1), 6.99(1H,s), 7.16-7.26(2H,m), 7.50-7.60(2H,m), 7.83(1H,d,J=7.9)
【0082】
〔実施例38〕
【化45】
組成式:C33H34O13S
分子量:670.67
融点:147〜149℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.71(6H,s), 3.75(12H,s), 3.80-3.91(2H,m), 4.38-4.54(4H,m), 4.73-4.85(2H,m), 7.03(1H,d,J=8.4), 7.10-7.20(5H,m), 7.46(1H,dd,J=7.4,8.4), 7.66(1H,d,J=7.4)
【0083】
〔実施例39〕
【化46】
組成式:C33H38O11S
分子量:642.70
融点:79〜80℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.61(6H,s), 3.62-3.73(2H,m), 3.74(12H,s), 3.75-3.90(4H,m), 4.05-4.17(2H,m), 4.37(4H,s), 6.62(4H,s), 7.21-7.30(2H,m), 7.58(1H,dd,J=7.4,8.4), 7.82(1H,d,J=7.9)
【0084】
〔実施例40〕
【化47】
組成式:C25H25NO7S
分子量:483.53
融点:230〜232℃(分解)
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.30-3.51(2H,m), 3.69(3H,s), 3.70-3.83(2H,m), 3.84(6H,s), 4.15-4.37(2H,m), 4.80-4.97(2H,m), 7.11(2H,s), 7.20-7.33(3H,m), 7.51-7.63(2H,m), 7.85(1H,d,J=8.2)
【0085】
〔実施例41〕
【化48】
組成式:C24H25NO7S
分子量:471.52
融点:155〜157℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.36-3.68(2H,m), 3.69(3H,s), 3.81(6H,s), 3.82-3.93(2H,m),6.55(1H,d,J=15.8), 6.89(2H,s), 7.20-7.30(2H,m), 7.37(1H,d,J=15.8), 7.54(1H,dd,J=7.2,7.7), 7.84(1H,d,J=7.7), 8.37(1H,brs)
【0086】
〔薬理試験例〕
6週齢ウィスター系雄性ラット1群7匹を用い、まず各ラットの左後肢足蹠の疼痛閾値を圧刺激鎮痛効果測定装置(ユニコム社製)を用いて、ランダール・セリット法〔Randall,L.O. and Sellitto, J.J., Arch. Int. Pharmacodyn., 111,409(1957)〕に準じて測定した。得られた値を「前値」とする。
上記前置の測定1時間後に、実験群には、更に本発明化合物の5%アラビアゴム懸濁液を、対照群には5%アラビアゴム懸濁液(本発明化合物を含まない)を、それぞれ10ml/kgの割合で、投与量が10mg/kgとなるように経口投与し、更にその1時間後にサブスタンスPの生理食塩水溶液(25んg/0.1ml)を、各ラットの左後肢足蹠皮下に注射した。
つぎにサブスタンスP注射の所定時間後に、各群ラットの左後肢足蹠の疼痛閾値を上記と同様にして測定して、これを「後値」とした。
各群の測定値(後値)と前値より、疼痛閾値回復率(%)を、次式に従って算出した。
疼痛閾値回復率(%)=〔(実験群平均後値)−(対照群平均後値)〕/〔(対照群平均前値)−(対照群平均後値)〕× 100
得られた結果(最大の回復率)を下記表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
〔製剤例1〕 錠剤の調整
実施例30で得た化合物のそれぞれ5mgを含有する経口使用のための1000錠を次の処方により調整した。
実施例30で得た本発明化合物 5g
乳糖(日本薬局方) 50g
コーンスターチ(日本薬局方) 25g
結晶セルロース(日本薬局方) 25g
メチルセルロース(日本薬局方) 1.5g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方) 1g
即ち、実施例30で得た本発明化合物、乳糖、コーンスターチ及び結晶セルロースを充分混合し、混合物をメチルセルロースの5%水溶液で顆粒化し、200メッシュの篩に通して注意深く乾燥した。乾燥した顆粒を200メッシュの篩に通し、ステアリン酸マグネシウムと混合して錠剤にプレス成形した。
【0089】
〔製剤例2〕 カプセル剤の調整
実施例27で得た化合物のそれぞれ10mgを含有する経口使用のための1000個の2片硬質ゼラチンカプセルを次の処方により調整した。
実施例27で得た本発明化合物 10g
乳糖(日本薬局方) 80g
澱粉(日本薬局方) 30g
滑石(日本薬局方) 5g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方) 1g
即ち、上記各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように充分に攪拌した後、所望の寸法を有する経口投与用カプセルに充填した。
【0090】
〔製剤例3〕 注射剤の調整
実施例30で得た化合物を含む非経口投与に適した殺菌された水溶液を、下記処方により調整した。
実施例30で得た本発明化合物 1g
ポリエチレングリコール(日本薬局方)(分子量:4000) 0.9g
塩化ナトリウム(日本薬局方) 0.9g
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(日本薬局方) 0.4g
メタ重亜硫酸ナトリウム(日本薬局方) 0.1g
メチル−パラベン(日本薬局方) 0.18g
プロピル−パラベン(日本薬局方) 0.02g
注射用蒸留水 100ml
即ち、上記パラベン類、メタ重亜硫酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを攪拌しながら80℃で上記の約半量の蒸留水に溶解し、得られた溶液を40℃まで冷却し、これに実施例30で得た本発明化合物及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを溶解させた。次に得られた溶液に注射用蒸留水を加えて最終容量に調整し、適当なフィルターペーパーを用いて滅菌濾過して注射剤を調整した。
【0091】
【発明の効果】
本発明が提供する上記一般式(1)で示される新規クマリン誘導体は特に神経因性疼痛に対する優れた鎮痛作用を有し、毒性及び副作用が顕著に軽減された医薬として有用である.
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬有途を有する新規なクマリン誘導体及びその薬理学的に許容しうる塩に関する、当該化合物は優れた鎮痛作用を有し、医薬として有用である。
【0002】
【従来の技術】
本発明のクマリン誘導体は、文献未載の新規化合物である。本発明者らは、従来より、医薬品として価値ある薬理活性を有する化合物の研究、開発を進めてきており、その過程で先に血糖降下作用を有し血糖降下剤として糖尿病の治療及び予防に有効な一連のクマリン化合物の合成に成功し、該化合物に係る発明を特許出願した(特開平9−52891号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は医薬品、特に鎮痛作用を有し医薬として有用な新規化合物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
引き続く研究の結果、本発明者らは、上記公知化合物と共通するクマリン骨格を有するが、特にその3位置換基において明確に区別される他の一連の新規なクマリン誘導体の合成に成功すると共に、之等の新規な誘導体が上記先の化合物の有する血糖降下作用とは本質的に異なり、しかも該作用からは予測できない鎮痛作用を有することを見出し、ここに上記課題に合致する本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、(1)一般式
【化2】
〔式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ水素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基又はハロゲン原子を、R5 及びR6はそれぞれ基−A−B−R7 (式中、Aはアルキレン基を、Bは−O−又は−S−を、R7はアルコキシ基若しくはアルキルチオ基を3個有する芳香環カルボニル基又はアルコキシ基若しくはアルキルチオ基を3個有するアラルキル基を示す)を示すか、R5がアルキル基でR6 が基−A−Z−R8 (式中、Aは前記に同じ。Zは−O−、−S−、−NH−又は−N(アルキル基)−を、R8はアシル基、芳香環基、芳香環上にアルコキシ基若しくはアルキルチオ基3個を有することのある芳香環アルケニレンカルボニル基又はアシルオキシ基、アルコキシ基若しくはアルキルチオ基を1〜3個有する芳香環カルボニル基を示す)を示すか、或いはR5 及びR6 は互いに結合してそれらが結合する硫黄原子と共に、4位がアルコキシ基若しくはアルキルチオ基3個を有することのある芳香環アルケニレンカルボニル基で置換されたテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン環を形成してもよい。〕で表されるクマリン誘導体又はその薬理学的に許容しうる塩、
(2) 前記(1)の一般式において、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ水素原子、アルコキシ基又はハロゲン原子を、R5 及びR6はそれぞれ基−A−O−R7(式中、Aはアルキレン基を、R7 はアルコキシ基3個を有するベンゾイル基又はアルコキシ基3個を有するベンジル基を示す)を示すか、R5がアルキル基でR6 が基−A−Z−R8 (式中、Aは前記に同じ。Zは−O−、−NH−又は−N(アルキル)−を、R8 はフェニル基の1〜2個で置換されることのあるアルカノイル基、フェニル基、ベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基又は置換基としてアルカノイルオキシ基若しくはアルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基を示す)を示すか、或いはR5及びR6 は互いに結合してそれらが結合する硫黄原子と共に、4位がベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基で置換されたテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン環を形成してもよい前記(1)に記載のクマリン誘導体、
(3) R4 が水素原子でR1 、R2 及びR3のうちの少なくとも2つが水素原子である前記(2)に記載のクマリン誘導体。
(4) R5 がアルキル基でR6 が基−A−Z−R8 (式中、A、Z及びR8 は前記に同じ。)である前記(3)に記載のクマリン誘導体、
(5) Zがエチレン基で、R8 がアルカノイルオキシ基若しくはアルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基である前記(4)に記載のクマリン誘導体、
(6) R5 がメチル基で、R6 が2−(2−アセトキシベンゾイルオキシ)エチル基、2−〔N−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)アミノ〕エチル基及び2−〔N−メチル−N−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)アミノ〕エチル基からなる群より選ばれる基である前記(5)に記載のクマリン誘導体、
(7) 前記(1)記載のクマリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩及び製剤学的に許容される担体を含有する医薬組成物,および
(8) 前記(1)記載のクマリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮痛剤。
【0006】
〔置換基の定義〕
アルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましく、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が好ましい。
【0007】
アルコキシ基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましく、具体的には例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。アルキルチオ基としては炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましく、具体的には例えばメチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ等が挙げられる。
【0008】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が挙げられる。
アルキレン基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましく、具体的には例えばメチレン、エチレン、エチリデン、トリメチレン、プロピリデン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
【0009】
フェニル基の1〜2個で置換されることのあるアルカノイル基としては、フェニル基以外の炭素数が2〜7のものが好ましく、炭素数2〜5のものがより好ましく、具体的には例えばアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、フェニルアセチル、3−フェニルプロピオニル、4−フェニルブチリル、5−フェニルバレリル、6−フェニルヘキサノイル、7−フェニルヘプタノイル、ジフェニルアセチル、3,3−ジフェニルプロピオニル、4,4−ジフェニルブチリル、5,5−ジフェニルバレリル、6,6−ジフェニルヘキサノイル、7,7−ジフェニルヘプタノイル、2、3−ジフェニルプロピオニル基等が挙げられる。
アルカノイルオキシ基としては、炭素数2〜7のものが好ましく、炭素数2〜5のものがより好ましく、具体的には例えばアセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ヘプタノイルオキシ基等が挙げられる。
【0010】
アルコキシ基3個を有するベンジル基としては、好ましくは例えば、2,3,4−トリメトキシベンジル、2,3,5−トリメトキシベンジル、2,3,6−トリメトキシベンジル、2,4,5−トリメトキシベンジル、2,4,6−トリメトキシベンジル、3,4,5−トリメトキシベンジル、3,4,5−トリエトキシベンジル、3,4,5−トリプロポキシベンジル、3,4,5−トリブトキシベンジル、3,4,5−トリペンチルオキシベンジル、3,4,5−トリヘキシルオキシベンジル、3,5−ジ−t−ブトキシ−4−メトキシベンジル基等が挙げられる。
【0011】
アルコキシ基3個を有するベンゾイル基としては、具体的には例えば、2,3,4−トリメトキシベンゾイル、2,3,5−トリメトキシベンゾイル、2,3,6−トリメトキシベンゾイル、2,4,5−トリメトキシベンゾイル、2,4,6−トリメトキシベンゾイル、3,4,5−トリメトキシベンゾイル、3,4,5−トリエトキシベンゾイル、3,4,5−トリプロポキシベンゾイル、3,4,5−トリブトキシベンゾイル、3,4,5−トリペンチルオキシベンゾイル、3,4,5−トリヘキシルオキシベンゾイル、3,5−ジ−t−ブトキシ−4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0012】
アルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基としては、具体的には例えば、上記アルコキシ基3個を有するベンゾイル基に加え、2−メトキシベンゾイル、3−メトキシベンゾイル、4−メトキシベンゾイル、4−エトキシベンゾイル、4−プロポキシベンゾイル、4−ブトキシベンゾイル、4−ペンチルオキシベンゾイル、2,3−ジメトキシベンゾイル、2,4−ジメトキシベンゾイル、2,5−ジメトキシベンゾイル、2,6−ジメトキシベンゾイル、3,4−ジメトキシベンゾイル、3,5−ジメトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0013】
置換基としてアルカノイルオキシ基若しくはアルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基としては、具体的には例えば、上記アルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基に加え、2−アセトキシベンゾイル、3−アセトキシベンゾイル、4−アセトキシベンゾイル、2−プロピオニルオキシベンゾイル、2−ブチリルオキシベンゾイル、2−イソブチリルオキシベンゾイル、2−バレリルオキシベンゾイル、2−ピバロイルオキシベンゾイル、2−ヘキサノイルオキシベンゾイル、2−ヘプタノイルオキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0014】
ベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基としては、具体的には例えば、シンナモイル基に加え、2,3,4−トリメトキシシンナモイル、2,3,5−トリメトキシシンナモイル、2,3,6−トリメトキシシンナモイル、2,4,5−トリメトキシシンナモイル、2,4,6−トリメトキシシンナモイル、3,4,5−トリメトキシシンナモイル、3,4,5−トリエトキシシンナモイル、3,4,5−トリプロポキシシンナモイル、3,4,5−トリブトキシシンナモイル、3,4,5−トリペンチルオキシシンナモイル、3,4,5−トリヘキシルオキシシンナモイル、3,5−ジ−t−ブトキシ−4−メトキシシンナモイル基等が挙げられる。
【0015】
芳香環カルボニル基又は芳香環アルケニレンカルボニル基における芳香環は例えばフェニル基、ナフチル基等の同素環基、例えばチエニル、フリル、チアジニル等のN,S又は/及びOを同一又は異なって1〜3個含有する5〜7員の複素環基が挙げられる。従って芳香環カルボニル基としては具体的には上記したベンゾイル基、フロイル基、チエニルカルボニル基が挙げられる。又、芳香環アルケニレンカルボニル基の具体例としては上記したシンナモイル基、スチリルアセチル、4−フェニルクロトノイル基等が挙げられる。
【0016】
アシル基としては、具体的には上記したアルカノイル基以外に、具体的にはメチルスルホニル基、エチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基、上記した芳香環カルボニル基、芳香環スルホニル基(芳香環は上記と同意義)、ジアルキルホスホリル基(アルキル基は前記と同意義)等が挙げられる。
【0017】
なお、更に付言すれば、例えば上記の芳香環並びにアシル基等上記の置換基は、例えば、上記したアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子以外にも、例えば、アミノ基等の塩基性置換分、例えばスルホ基、カルボキシル基などの酸性置換分、例えばニトロ基、水酸基等のその他の置換分など通常の医薬成分に汎用される置換分を更に1〜3個程度有していてもよい。
一般式(1)で表されるクマリン誘導体の薬理学的に許容される塩としては例えば、塩酸、リン酸、硫酸等の酸性物質との塩、例えば、ナトリウム、カリウム等の塩基性物質との塩が挙げられる。以下本願明細書においては、クマリン誘導体にはその薬理学的に許容される塩も含むものとする。
【0018】
本発明に係わる前記一般式(1)で表されるクマリン誘導体は、鎮痛作用を有しており、鎮痛剤として、特に神経因性疼痛(特に末梢神経における疼痛)の緩和のための鎮痛剤として有用である。また、本発明化合物は、従来の鎮痛剤有効成分に見られる如き依存性、習慣性、幻覚等の副作用を示さないかあるいは著しく軽減されている特徴を有しており、之等の点でも鎮痛剤として特に有効である。
本発明化合物は、自体公知の方法を含む種々の方法により製造することができる。その例を以下に反応工程式を挙げて説明する。
【0019】
【化3】
(反応工程式−1)
式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は前記に同じ。
上記反応工程式において、化合物(2)から化合物(3)を経て本発明化合物(1)を合成する反応は、自体公知の方法に従って行われてよく、例えば特開平9−52891号公報に記載の方法に準じて行うことができる。
【0020】
即ち、まず公知の化合物(2)を、アルカリの存在下に、ヨードベンゼンジアセテートと反応させることにより、化合物(3)を得る。該反応においては、溶媒として水を好適に使用でき、アルカリとしては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を使用できる。上記アルカリ及びヨードベンゼンジアセテートの使用量は、それぞれ原料化合物を基準として等モル量〜少過剰量とするのが好ましい。反応は0℃〜室温付近の温度で約1〜10時間を要して行われる。
【0021】
次に、上記で得られる化合物(3)は、これをチオエーテル誘導体(4)と反応させることにより、化合物(1)に変換できる。該反応は、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール等のアルコールを溶媒として用い、p−トルエンスルホン酸、酢酸等の酸触媒を適量添加して行うことができる。チオエーテル誘導体(4)の使用量は、化合物(3)に対して1〜10倍モル量程度とするのがよく、反応は室温〜溶媒の還流温度にて10分〜24時間程度で完了する。
上記のごとくして得られる本発明化合物(1)は、下記に示す共鳴構造をとると考えられ、従って、それらのいずれの構造式でも表し得る。これらはいずれも本発明化合物(1)の範囲内である。
【0022】
【化4】
尚、上記反応工程式−1において、原料化合物として用いられるチオエーテル誘導体(4)は、自体公知の方法に従って製造されて良く、例えば下記反応工程式−2〜4の方法により製造することができる。
【0023】
【化5】
[式中、R7 及びAは前記に同じ。Xは脱離基、例えばハロゲン原子を示す。]
【0024】
【化6】
[式中、R5a はアルキル基を示し、R8 、A、X及びZは前記に同じ。]
【0025】
【化7】
[式中、Xは前記に同じ。R10 はベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基等の芳香環アルケニレンカルボニル基を示す。]
【0026】
上記反応工程式−2〜4において、化合物(5)と化合物(6)、化合物(7)と化合物(8)並びに化合物(9)と化合物(10)との反応は、それぞれ同様の反応条件で行い得る。
即ち、各化合物を、ピリジン、ルチジン、コリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン等のアミン系溶媒中、0℃〜50℃程度の温度にて約1〜50時間反応するか、或いはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の不活性溶媒中、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメトキシド等の塩基1〜過剰当量の存在下、0℃〜50℃程度の温度にて約20分〜5時間反応することにより行われる。
尚、化合物(6)の使用割合は、化合物(5)に対して2〜過剰モル量、化合物(8)並びに化合物(10)の使用割合は、それぞれ化合物(7)並びに化合物(9)対してほぼ等モル量〜過剰モル量とするのが好ましい。
【0027】
上記反応工程式に示した各工程における目的化合物は、通常の分離手段により容易に単離精製できる。該手段としては、例えば吸着クロマトグラフィー、プレパラィブ薄層クロマトグラフィー、再結晶、溶媒抽出等を例示できる。
【0028】
本発明化合物の一部には、硫黄原子及び/又は炭素原子を不斉中心とする光学異性体が存在するものがあり、本発明は光学活性体であるR体及びS体並びにラセミ体のいずれをも包含する。上記光学活性体は、慣用の方法、例えば公知の光学分割剤を使用する方法等で分離することができる。
また、本発明化合物のうち、例えばベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基を置換基として有するものは、二重結合による幾何異性体が存在し、本発明はE体及びZ体並びにそれらの混合物のいずれをも包含する。上記異性体は、通常の分離手段により分離することができる。
【0029】
本発明化合物(1)は、これを適当な無毒性製剤担体と共に用いて、一般的な医薬製剤の形態として使用される。上記製剤担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤等が挙げられ、これは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
本発明化合物(1)が使用される医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤)、軟膏剤等が挙げられる。又、これらの各種製剤は自体公知の手段に従って徐放性製剤としてもよい。
【0030】
錠剤の形態に成形するに際しては、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ぶどう糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、燐酸カリウム等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ぶどう糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン糖の結合剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の崩壊剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド等の界面活性剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基; ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、デンプン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が使用可能である。
【0031】
さらに錠剤は必要に応じて通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包剤、腸溶被錠、フィルムコーティング錠剤あるいは二重錠、二重錠とすることができる。
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばぶどう糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤;ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等が使用可能である。
【0032】
坐剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等が使用可能である。
カプセル剤は常法に従って、通常、本発明化合物(1)を上記で例示した各種の製剤担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調整される。
【0033】
液剤、乳剤、懸濁剤等の注射剤として調整する場合、これらは殺菌され且つ血液と等張であるのが好ましい。注射剤の調整に際しては、希釈剤として例えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等が使用可能である。なお、この場合、等張性の溶液を調整するのに十分な量の食塩、ぶどう糖、グリセリン等を含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝材、無痛化剤等を添加してもよい。
【0034】
さらに、上記医薬製剤中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させることができる。
ペースト、クリーム、ゲル等の軟膏剤の形態に調整するに際しては、希釈剤として例えば白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、プリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト等が使用可能である。
上記医薬製剤中に含有されるべき本発明化合物(1)の量は、特に制限されず、広範囲より適宜選択されるが、通常、医薬製剤中に約1〜85重量%程度含有させるのがよい。
【0035】
上記医薬製剤の投与方法は特に制限がなく、製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて適宜決定される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤は経口投与され、注射は単独またはぶどう糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、さらに必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0036】
上記医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて適宜決定されるが、通常、本発明化合物(1)の1日当たりの投与量が体重1kgあたり約0.5〜20mg、好ましくは1〜10mg程度とするのがよい。また、上記医薬製剤は1日1〜4回に分けて投与することができる。なお、本発明化合物(1)は所望により他の医薬成分、例えば他の鎮痛剤と併用することもできる。
【発明の実施の形態】
【0037】
【実施例】
以下に、本発明化合物の製造例を実施例として挙げる。また本発明化合物の製造のための原料化合物(中間体)の製造例を参考例としてあげる。
更に、本発明化合物を用いた薬理試験例及び製剤例を挙げる。
各実施例で得られた化合物は、その構造、融点及び 1H−NMRスペクトルデータを同定資料として記載する。本願明細書の記載を通じて、Meはメチル基を示す。Acはアセチル基を示す。
尚、下記参考例及び実施例における 1H−NMRスペクトルは、内部基準としてTMS(テトラメチルシラン)を用いて測定し、測定溶媒は、特に明示しない限り、DMSO(ジメチルスルホキシド)−d6を用いた。
【0038】
〔参考例1〕 ビス[2−(3,4,5−トリメトキシベンジルオキシ)エチル]スルフィドの製造
60%水素化ナトリウム5.4gをDMF70mlに懸濁させ、そこにビス(2−ヒドロキシエチル)スルフィド7.5g及び3,4,5−トリメトキシベンジルクロリド30.4gを0℃で順次加え、室温で1時間攪拌した。反応液に水を加えて希釈し、酢酸エチル200mlで抽出した。有機層を集めて水及び飽和食塩水で順次洗浄し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液…酢酸エチル:n−ヘキサン=1:3)で精製して、標記化合物の油状物27.8gを得た。
【0039】
〔参考例2〕 ビス[2−(3,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ)エチル]スルフィドの製造
ビス(2−ヒドロキシエチル)スルフィド及び3,4,5−トリメトキシベンゾイルクロリドを用い、上記参考例1と同様にして、標記化合物を得た。
【0040】
〔参考例3〕 [2−(3,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ)エチル]メチルスルフィドの製造
2−(メチルチオ)エタノール及び3,4,5−トリメトキシベンゾイルクロリドを用い、上記参考例1と同様にして、標記化合物を得た。
【0041】
〔参考例4〜16〕
2−(メチルチオ)エタノール、2−(メチルチオ)エチルアミン又はN−[2−(メチルチオ)エチル]−N−メチルアミン並びに適当な塩化物を用い、参考例3と同様にして、下記(4)〜(15)の各化合物を製造した。
(4) [2−(2−アセトキシベンゾイルオキシ)エチル]メチルスルフィド
(5) (2−シンナモイルオキシエチル)メチルスルフィド
(6) [2−(3,4,5−トリメトキシシンナモイルオキシ)エチル]メチルスルフィド
(7) (2−ジフェニルアセトキシエチル)メチルスルフィド
(8) (2−プロピオニルオキシエチル)メチルスルフィド
(9) (2−フェノキシエチル)メチルスルフィド
(10)(2−アセトキシエチル)メチルスルフィド
(11)[2−(N−アセチルアミノ)エチル]メチルスルフィド
(12)[2−[N−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)アミノ]エチル]メチルスルフィド
(13)[2−[N−(2−アセトキシベンゾイル)アミノ]エチル]メチルスルフィド
(14)[2−[N−メチル−N−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)アミノ]エチル]メチルスルフィド
(15)[2−[N−(3,4,5−トリメトキシシンナモイル)アミノ]エチル]メチルスルフィド
(16)メチル〔3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ)プロピル〕スルフィド
【0042】
〔参考例17〕 4−(3,4,5−トリメトキシシンナモイル)テトラヒドロ−4H−1,4−チアジンの製造
テトラヒドロ−4H−1,4−チアジン10.3gをピリジン50mlに溶かし、そこに3,4,5−トリメトキシシンナモイルクロリド27.4gを0℃で加え、室温で24時間攪拌した。反応液に水を加えて希釈し、酢酸エチル200mlで2回抽出した。有機層を集めて2N水酸化ナトリウム水溶液、3N塩酸及び飽和食塩水で順次洗浄し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル−n−ヘキサンより再結晶して、標記化合物24.0gを得た。
【0043】
〔参考例18〕 7−クロロー3−(フェニルヨードニウム)クマリン−4−オラートの製造
1.9gの炭酸ナトリウムを水120mlに溶解し,この水溶液に3.5gの7−クロロ−4−ヒドロキシクマリンを溶かし,更に室温下,ヨードベンゼンジアセテート5.8gを加え,室温で3時間攪拌した。反応終了後,析出した結晶を濾取し、メタノールで洗浄した後,60℃で5時間減圧乾燥して目的化合物の結晶6.6g(融点:164〜165℃)を得た。
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
7.39(1H,dd,J=2.0,8.4), 7.48-7.64(4H,m), 7.93-7.99(3H,m)
【0044】
〔参考例19〜23〕
更に同様にして,下記の各化合物を製造した。
3−(フェニルヨードニウム)クマリン−4−オラート
融点:141〜142℃
1H−NMR(δ:ppm)〔CDCl3〕:
7.15-7.56(6H,m), 7.95(2H,d,J=8.4), 8.02(1H,d,J=7.9)
6−フルオロ−3−(フェニルヨードニウム)クマリン−4−オラート
融点:115〜118℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
7.33-7.49(4H,m), 7.52-7.60(2H,m), 7.87(2H,d,J=8.4)
(21) 5−メトキシ−3−(フェニルヨードニウム)クマリン−4−オラート
融点:180〜181℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.86(3H,s), 6.90(1H,dd,J=3.0,8.4), 7.47-7.63(4H,m), 7.91(2H,d,J=8.4)
(22) 7−メトキシ−3−(フェニルヨードニウム)クマリン−4−オラート
融点:154〜155℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.85(3H,s), 6.71(1H,d,J=2.5), 6.78(1H,dd,J=2.5,8.9), 7.37(2H,dd,J=7.9,7.9), 7.51(1H,dd,J=7.4,7.4), 7.93-8.01(3H,m)
(23) 6−メトキシ−3−(フェニルヨードニウム)クマリンー4−オラート
融点:125〜127℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.80(3H,s), 7.15(1H,dd,J=3.2,8.9), 7.24(1H,d,J=8.9), 7.36(1H,d,J=3.2), 7.38-7.58(3H,m), 7.86(2H,d,J=7.2)
【0045】
〔実施例1〕
3−(2−アセトキシエチルメチルスルホニオ)−2−オキソー1,2−ジヒドロクマリン−4−オラートの合成
【化8】
トニフルオロエタノール15mlに2−オキソ−3−フェニルヨードニウム−1,2−ジヒドロクマリン−4−オラート2.0g(5.5mmol)、2−アセトキシエチルメチルスルフィド0.88g、パラトルエンスルホン酸50mgを溶かし、室温で30分間攪拌した。反応終了後、トリフルオロエタノールを留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒;メタノール/クロロホルム=1/15)で分離、精製し、得られた結晶をジエチルエーテルで洗浄した。目的化合物1.5g(収率93%)を得た。
組成式:C14H14O5S
分子量:294.32
融点:155〜157℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.95(3H,s), 3.16(3H,s), 3.70-3.81(1H,m), 4.09-4.26(2H,m), 4.32-4.43(1H,m), 7.21-7.30(2H,m), 7.60(1H,dd,J=7.4,7.9), 7.87(1H,d,J=7.9)
【0046】
〔実施例2〜41〕
実施例1と同様にして、下記の各化合物を製造した。
〔実施例2〕
【化9】
組成式:C22H22O8S
分子量:446.47
融点:151〜153℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.17(3H,s), 3.71(3H,s), 3.72-3.79(1H,m), 3.80(6H,s), 4.31-4.47(2H,m), 4.69-4.81(1H,m), 7.10-7.24(4H,m), 7.52(1H,dd,J=7.4,8.4), 7.76(1H,d,J=7.9)
【0047】
〔実施例3〕
【化10】
組成式:C21H18O7S
分子量:414.43
融点:130〜131℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.33(3H,s), 3.26(3H,s), 3.80-3.95(1H,m), 4.30-4.54(2H,m), 4.65-4.78(1H,m), 7.22-7.36(4H,m), 7.60-7.75(2H,m), 7.90(1H,d,J=7.4), 7.96(1H,d,J=7.9)
【0048】
〔実施例4〕
【化11】
組成式:C26H22O5S
分子量:446.52
融点:127〜129℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.19(3H,s), 3.80-3.92(1H,m), 4.15-4.26(1H,m), 4.37-4.60(2H,m), 5.18(1H,s), 7.26-7.45(12H,m), 7.66(1H,dd,J=7.2,8.9), 7.97(1H,d,J=7.9)
【0049】
〔実施例5〕
【化12】
組成式:C23H24O9S
分子量:476.50
融点:146〜148℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.15(3H,s), 3.72(3H,s), 3.73-3.78(1H,m), 3.81(9H,s), 4.30-4.47(2H,m), 4.67-4.80(1H,m), 6.66(1H,s), 6.76(1H,d,J=8.9), 7.17(2H,s), 7.65(1H,d,J=8.9)
【0050】
〔実施例6〕
【化13】
組成式:C16H18O6S
分子量:308.34
融点:154〜156℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.94(3H,s), 3.13(3H,s), 3.60-3.78(1H,m), 3.83(3H,s), 4.05-4.25(2H,m), 4.29-4.43(1H,m), 6.79(1H,s), 6.83(1H,d,J=8.4), 7.74(1H,d,J=8.4)
【0051】
〔実施例7〕
【化14】
組成式:C22H20O8S
分子量:444.46
融点:110〜112℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.26(3H,s), 3.17(3H,s), 3.70-3.81(1H,m), 3.82(3H,s), 4.23-4.45(2H,m), 4.56-4.68(1H,m), 6.78(1H,s), 6.82(1H,d,J=8.4), 7.20(1H,d,J=7.9), 7.28(1H,dd,J=7.9,8.9), 7.66(1H,dd,J=7.9,8.9), 7.73(1H,d,J=8.4), 7.90(1H,d,J=7.9)
【0052】
〔実施例8〕
【化15】
組成式:C22H23NO7S
分子量:445.49
融点:174〜175℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.42-3.60(2H,m), 3.70(3H,s), 3.79(3H,s), 3.81(6H,s), 3.82-4.05(2H,m), 7.14(2H,s), 7.15-7.30(2H,m), 7.56(1H,dd,J=7.4,8.4), 7.82(1H,d,J=7.9), 8.69(1H,brs)
【0053】
〔実施例9〕
【化16】
組成式:C23H25NO8S
分子量:475.50
融点:179〜180℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.14(3H,s), 3.40-3.65(2H,m), 3.70(3H,s), 3.81(6H,s), 3.82(3H,s), 3.83-3.97(2H,m), 6.76(1H,s), 6.81(1H,d,J=8.7), 7.14(2H,s), 7.71(1H,d,J=8.7), 8.67(1H,brs)
【0054】
〔実施例10〕
【化17】
組成式:C22H22ClNO7S
分子量:479.93
融点:191〜192℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.15(3H,s), 3.45-3.69(2H,m), 3.70(3H,s), 3.71-3.79(1H,m), 3.80(6H,s), 3.98-4.06(1H,m), 7.11(2H,s), 7.28(1H,d,J=8.4), 7.37(1H,s), 7.78(1H,d,J=8.4), 8.67(1H,brs)
【0055】
〔実施例11〕
【化18】
組成式:C22H2 1ClO8S
分子量:480.92
融点:193〜194℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.72(3H,s), 3.73-3.79(1H,m), 3.80(6H,s), 4.35-4.50(2H,m), 4.70-4.80(1H,m), 7.14(2H,s), 7.23(1H,d,J=8.2), 7.26(1H,s), 7.71(1H,d,J=8.2)
【0056】
〔実施例12〕
【化19】
組成式:C21H17ClO7S
分子量:448.87
融点:169〜171℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.26(3H,s), 3.19(3H,s), 3.75-3.85(1H,m), 4.24-4.47(2H,m), 4.58-4.70(1H,m), 7.18(1H,d,J=8.4), 7.20-7.30(2H,m), 7.39(1H,s), 7.65(1H,dd,J=7.4,8.4), 7.80(1H,d,J=8.4), 7.89(1H,d,J=7.9)
【0057】
〔実施例13〕
【化20】
組成式:C14H13ClO5S
分子量:328.77
融点:148〜149℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.95(3H,s), 3.16(3H,s), 3.70-3.80(1H,m), 4.05-4.25(2H,m), 4.30-4.40(1H,m), 7.32(1H,d,J=8.4), 7.44(1H,s), 7.84(1H,d,J=8.4)
【0058】
〔実施例14〕
【化21】
組成式:C15H17NO5S
分子量:323.37
融点:155〜157℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.80(3H,s), 3.11(3H,s), 3.20-3.45(2H,m), 3.61-3.80(2H,m), 3.83(3H,s),6.80(1H,s), 6.85(1H,d,J=8.7), 7.75(1H,d,J=8.7), 8.16(1H,brs)
【0059】
〔実施例15〕
【化22】
組成式:C15H16O6S
分子量:324.35
融点:105〜107℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.95(3H,s), 3.15(3H,s), 3.67-3.78(1H,m), 3.79(3H,s), 4.07-4.23(2H,m), 4.30-4.40(1H,m), 7.15-7.22(2H,m), 7.29(1H,s)
【0060】
〔実施例16〕
【化23】
組成式:C15H17NO5S
分子量:323.36
融点:120〜122℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
1.80(3H,s), 3.12(3H,s), 3.21-3.45(2H,m), 3.63-3.78(2H,m), 3.79(3H,s), 7.12-7.20(2H,m), 7.29(1H,s), 8.16(1H,brs)
【0061】
〔実施例17〕
【化24】
組成式:C23H25NO8S
分子量:475.51
融点:161〜162℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.43-3.65(2H,m), 3.69(3H,s), 3.78(3H,s), 3.81(6H,s), 3.91-4.05(2H,m), 7.13(2H,s), 7.14-7.19(2H,m), 7.25(1H,brs), 8.68(1H,brs)
【0062】
〔実施例18〕
【化25】
組成式:C23H24O9S
分子量:476.50
融点:172〜174℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.71(3H,s), 3.76(3H,s), 3.80(6H,s), 3.81-3.90(1H,m), 4.35-4.48(2H,m), 4.77-4.79(1H,m), 7.05-7.10(2H,m), 7.16(2H,s), 7.18(1H,s)
【0063】
〔実施例19〕
【化26】
組成式:C22H20O8S
分子量:444.46
融点:146〜147℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.27(3H,s), 3.19(3H,s), 3.78(3H,s), 3.79-3.90(1H,m), 4.25-4.45(2H,m), 4.57-4.69(1H,m), 7.10-7.28(5H,m), 7.64(1H,dd,J=6.2,7.9), 7.90(1H,d,J=7.9)
【0064】
〔実施例20〕
【化27】
組成式:C23H24O8S
分子量:460.50
融点:76〜78℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.00-2.10(2H,m), 3.15(3H,s), 3.41-3.52(1H,m), 3.74(3H,s), 3.85(6H,s), 4.03-4.15(1H,m), 4.27-4.36(2H,m), 7.14-7.27(4H,m), 7.54(1H,dd,J=7.2,8.9), 7.80(1H,d,J=7.7)
【0065】
〔実施例21〕
【化28】
組成式:C24H26O9S
分子量:490.52
融点:96〜97℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.00-2.10(2H,m), 3.14(3H,s), 3.38-3.50(1H,m), 3.75(3H,s), 3.82(3H,s), 3.85(6H,s), 4.02-4.17(1H,m), 4.26-4.35(2H,m), 6.73(1H,s), 6.80(1H,d,J=8.7), 7.23(2H,s), 7.69(1H,d,J=8.7)
【0066】
〔実施例22〕
【化29】
組成式:C22H21FO8S
分子量:464.46
融点:145〜147℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.17(3H,s), 3.71(3H,s), 3.72-3.79(1H,m), 3.80(6H,s), 4.35-4.50(2H,m), 4.70-4.81(1H,m), 7.14(2H,s), 7.15-7.20(1H,m), 7.30-7.40(2H,m)
【0067】
〔実施例23〕
【化30】
組成式:C22H22FNO7S
分子量:463.11
融点:163〜165℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.40-3.65(2H,m), 3.70(3H,s), 3.80(6H,s), 3.95-4.07(2H,m), 7.11(2H,s), 7.21-7.30(1H,m), 7.36-7.48(2H,m), 8.68(1H,brs)
【0068】
〔実施例24〕
【化31】
組成式:C21H18O5S
分子量:382.43
融点:159〜160℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.18(3H,s), 3.72-3.87(1H,m), 4.22-4.44(2H,m), 4.51-4.62(1H,m), 6.46(1H,d,J=16.1), 7.19(1H,d,J=8.4), 7.24(1H,d,J=7.4), 7.35-7.46(3H,m), 7.48-7.62(4H,m), 7.84(1H,d,J=7.4)
【0069】
〔実施例25〕
【化32】
組成式:C22H20O6S
分子量:412.46
融点:123〜125℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.65-3.75(1H,m), 3.76(3H,s), 4.22-4.45(2H,m), 4.47-4.57(1H,m), 6.43(1H,d,J=16.1), 6.69(1H,s), 6.78(1H,d,J=8.9), 7.34-7.47(3H,m), 7.49-7.60(3H,m), 7.73(1H,d,J=8.9)
【0070】
〔実施例26〕
【化33】
組成式:C21H17FO7S
分子量:432.42
融点:98〜100℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.26(3H,s), 3.19(3H,s), 3.75-3.88(1H,m), 4.25-4.49(2H,m), 4.58-4.70(1H,m), 7.15-7.35(3H,m), 7.36-7.50(2H,m), 7.63(1H,dd,J=7.4,8.6), 7.88(1H,d,J=7.9)
【0071】
〔実施例27〕
【化34】
組成式:C23H25NO7S
分子量:459.51
融点:102〜104℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.92(3H,s), 3.15(3H,s), 3.40-3.79(5H,m), 3.80(6H,s), 3.81-4.22(2H,m), 6.72(2H,s), 7.20-7.29(2H,m), 7.55(1H,dd,J=7.4,7.9), 7.85(1H,d,J=7.9)
【0072】
〔実施例28〕
【化35】
組成式:C24H27NO8S
分子量:489.54
融点:115〜117℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.91(3H,s), 3.32(3H,s), 3.45-3.75(5H,m), 3.80(6H,s), 3.82(3H,s), 3.83-4.22(2H,m), 6.71(2H,s), 6.78(1H,s), 6.81(1H,d,J=8.9), 7.74(1H,d,J=8.9)
【0073】
〔実施例29〕
【化36】
組成式:C22H20O8S
分子量:444.46
融点:136〜138℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.27(3H,s), 3.14(3H,s), 3.65-3.75(1H,m), 3.77(3H,s), 4.23-4.42(2H,m), 4.55-4.67(1H,m), 6.77(1H,d,J=8.4), 6.80(1H,d,J=8.2), 7.20(1H,d,J=7.9), 7.25(1H,dd,J=7.4,7.9), 7.44(1H,d,J=8.4), 7.47(1H,d,J=8.2), 7.66(1H,dd,J=7.4,7.9), 7.91(1H,d,J=7.9)
【0074】
〔実施例30〕
【化37】
組成式:C23H25NO8S
分子量:475.51
融点:176〜178℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.11(3H,s), 3.40-3.68(2H,m), 3.70(3H,s), 3.77(3H,s), 3.82(6H,s), 3.83-3.97(2H,m), 6.76(1H,d,J=7.9), 6.80(1H,d,J=8.4), 7.16(2H,s), 7.44(1H,dd,J=7.9,8.4), 8.65(1H,brs)
【0075】
〔実施例31〕
【化38】
組成式:C21H17ClO5S
分子量:416.88
融点:182〜184℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.18(3H,s), 3.70-3.82(1H,m), 4.25-4.47(2H,m), 4.50-4.61(1H,m), 6.42(1H,d,J=16.1), 7.24(1H,d,J=8.2), 7.30(1H,s), 7.35-7.48(3H,m), 7.50-7.58(3H,m), 7.80(1H,d,J=8.2)
【0076】
〔実施例32〕
【化39】
組成式:C22H20O6S
分子量:412.46
融点:162〜163℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.18(3H,s), 3.74(3H,s), 3.75-3.83(1H,m), 4.23-4.45(2H,m), 4.50-4.60(1H,m), 6.43(1H,d,J=16.1), 7.05-7.15(2H,m), 7.27(1H,s), 7.35-7.46(3H,m), 7.50-7.60(3H,m)
【0077】
〔実施例33〕
【化40】
組成式:C23H24ClNO7S
分子量:493.96
融点:141〜143℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.92(3H,s), 3.15(3H,s), 3.40-3.70(5H,m), 3.79(6H,s), 3.80-4.20(2H,m), 6.71(2H,s), 7.32(1H,d,J=8.4), 7.42(1H,s), 7.83(1H,d,J=8.4)
【0078】
〔実施例34〕
【化41】
組成式:C24H27NO8S
分子量:489.54
融点:89〜91℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.92(3H,s), 3.16(3H,s), 3.51-3.71(5H,m), 3.79(3H,s), 3.80(3H,s), 3.81-4.25(2H,m), 6.71(2H,s), 7.15-7.23(2H,m), 7.28(1H,s)
【0079】
〔実施例35〕
【化42】
組成式:C21H19NO6S
分子量:413.43
融点:168〜170℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
2.24(3H,s), 3.16(3H,s), 3.33-3.63(2H,m), 3.71-3.92(2H,m), 7.13-7.35(4H,m), 7.47-7.63(3H,m), 7.60(1H,d,J=7.7), 7.85(1H,brs)
【0080】
〔実施例36〕
【化43】
組成式:C18H16O4S
分子量:328.38
融点:132〜134℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.18(3H,s), 3.85-3.94(1H,m), 4.12-4.31(2H,m), 4.32-4.44(1H,m), 6.88-6.98(3H,m), 7.20-7.30(4H,m), 7.58(1H,dd,J=7.2,7.9), 7.84(1H,d,J=7.9)
【0081】
〔実施例37〕
【化44】
組成式:C24H24O8S
分子量:472.51
融点:179〜181℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.18(3H,s), 3.71(3H,s), 3.82(6H,s), 3.83-3.95(1H,m), 4.20-4.39(2H,m), 4.53-4.65(1H,m), 6.53(1H,d,J=16.1), 6.99(1H,s), 7.16-7.26(2H,m), 7.50-7.60(2H,m), 7.83(1H,d,J=7.9)
【0082】
〔実施例38〕
【化45】
組成式:C33H34O13S
分子量:670.67
融点:147〜149℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.71(6H,s), 3.75(12H,s), 3.80-3.91(2H,m), 4.38-4.54(4H,m), 4.73-4.85(2H,m), 7.03(1H,d,J=8.4), 7.10-7.20(5H,m), 7.46(1H,dd,J=7.4,8.4), 7.66(1H,d,J=7.4)
【0083】
〔実施例39〕
【化46】
組成式:C33H38O11S
分子量:642.70
融点:79〜80℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.61(6H,s), 3.62-3.73(2H,m), 3.74(12H,s), 3.75-3.90(4H,m), 4.05-4.17(2H,m), 4.37(4H,s), 6.62(4H,s), 7.21-7.30(2H,m), 7.58(1H,dd,J=7.4,8.4), 7.82(1H,d,J=7.9)
【0084】
〔実施例40〕
【化47】
組成式:C25H25NO7S
分子量:483.53
融点:230〜232℃(分解)
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.30-3.51(2H,m), 3.69(3H,s), 3.70-3.83(2H,m), 3.84(6H,s), 4.15-4.37(2H,m), 4.80-4.97(2H,m), 7.11(2H,s), 7.20-7.33(3H,m), 7.51-7.63(2H,m), 7.85(1H,d,J=8.2)
【0085】
〔実施例41〕
【化48】
組成式:C24H25NO7S
分子量:471.52
融点:155〜157℃
1H−NMR(δ:ppm)〔DMSO−d6〕:
3.16(3H,s), 3.36-3.68(2H,m), 3.69(3H,s), 3.81(6H,s), 3.82-3.93(2H,m),6.55(1H,d,J=15.8), 6.89(2H,s), 7.20-7.30(2H,m), 7.37(1H,d,J=15.8), 7.54(1H,dd,J=7.2,7.7), 7.84(1H,d,J=7.7), 8.37(1H,brs)
【0086】
〔薬理試験例〕
6週齢ウィスター系雄性ラット1群7匹を用い、まず各ラットの左後肢足蹠の疼痛閾値を圧刺激鎮痛効果測定装置(ユニコム社製)を用いて、ランダール・セリット法〔Randall,L.O. and Sellitto, J.J., Arch. Int. Pharmacodyn., 111,409(1957)〕に準じて測定した。得られた値を「前値」とする。
上記前置の測定1時間後に、実験群には、更に本発明化合物の5%アラビアゴム懸濁液を、対照群には5%アラビアゴム懸濁液(本発明化合物を含まない)を、それぞれ10ml/kgの割合で、投与量が10mg/kgとなるように経口投与し、更にその1時間後にサブスタンスPの生理食塩水溶液(25んg/0.1ml)を、各ラットの左後肢足蹠皮下に注射した。
つぎにサブスタンスP注射の所定時間後に、各群ラットの左後肢足蹠の疼痛閾値を上記と同様にして測定して、これを「後値」とした。
各群の測定値(後値)と前値より、疼痛閾値回復率(%)を、次式に従って算出した。
疼痛閾値回復率(%)=〔(実験群平均後値)−(対照群平均後値)〕/〔(対照群平均前値)−(対照群平均後値)〕× 100
得られた結果(最大の回復率)を下記表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
〔製剤例1〕 錠剤の調整
実施例30で得た化合物のそれぞれ5mgを含有する経口使用のための1000錠を次の処方により調整した。
実施例30で得た本発明化合物 5g
乳糖(日本薬局方) 50g
コーンスターチ(日本薬局方) 25g
結晶セルロース(日本薬局方) 25g
メチルセルロース(日本薬局方) 1.5g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方) 1g
即ち、実施例30で得た本発明化合物、乳糖、コーンスターチ及び結晶セルロースを充分混合し、混合物をメチルセルロースの5%水溶液で顆粒化し、200メッシュの篩に通して注意深く乾燥した。乾燥した顆粒を200メッシュの篩に通し、ステアリン酸マグネシウムと混合して錠剤にプレス成形した。
【0089】
〔製剤例2〕 カプセル剤の調整
実施例27で得た化合物のそれぞれ10mgを含有する経口使用のための1000個の2片硬質ゼラチンカプセルを次の処方により調整した。
実施例27で得た本発明化合物 10g
乳糖(日本薬局方) 80g
澱粉(日本薬局方) 30g
滑石(日本薬局方) 5g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方) 1g
即ち、上記各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように充分に攪拌した後、所望の寸法を有する経口投与用カプセルに充填した。
【0090】
〔製剤例3〕 注射剤の調整
実施例30で得た化合物を含む非経口投与に適した殺菌された水溶液を、下記処方により調整した。
実施例30で得た本発明化合物 1g
ポリエチレングリコール(日本薬局方)(分子量:4000) 0.9g
塩化ナトリウム(日本薬局方) 0.9g
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(日本薬局方) 0.4g
メタ重亜硫酸ナトリウム(日本薬局方) 0.1g
メチル−パラベン(日本薬局方) 0.18g
プロピル−パラベン(日本薬局方) 0.02g
注射用蒸留水 100ml
即ち、上記パラベン類、メタ重亜硫酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを攪拌しながら80℃で上記の約半量の蒸留水に溶解し、得られた溶液を40℃まで冷却し、これに実施例30で得た本発明化合物及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを溶解させた。次に得られた溶液に注射用蒸留水を加えて最終容量に調整し、適当なフィルターペーパーを用いて滅菌濾過して注射剤を調整した。
【0091】
【発明の効果】
本発明が提供する上記一般式(1)で示される新規クマリン誘導体は特に神経因性疼痛に対する優れた鎮痛作用を有し、毒性及び副作用が顕著に軽減された医薬として有用である.
Claims (8)
- 一般式
- 請求項1の一般式において、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ水素原子、アルコキシ基又はハロゲン原子を、R5 及びR6はそれぞれ基−A−O−R7(式中、Aはアルキレン基を、R7 はアルコキシ基3個を有するベンゾイル基又はアルコキシ基3個を有するベンジル基を示す)を示すか、R5 がアルキル基でR6 が基−A−Z−R8 (式中、Aは前記に同じ。Zは−O−、−NH−又は−N(アルキル)−を、R8 はフェニル基の1〜2個で置換されることのあるアルカノイル基、フェニル基、ベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基又は置換基としてアルカノイルオキシ基若しくはアルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基を示す)を示すか、或いはR5 及びR6 は互いに結合してそれらが結合する硫黄原子と共に、4位がベンゼン環上にアルコキシ基3個を有することのあるシンナモイル基で置換されたテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン環を形成してもよい請求項1に記載のクマリン誘導体。
- R4 が水素原子でR1 、R2 及びR3のうちの少なくとも2つが水素原子である請求項2に記載のクマリン誘導体。
- R5 がアルキル基でR6 が基−A−Z−R8 (式中、A、Z及びR8 は前記に同じ。)である請求項3に記載のクマリン誘導体。
- Zがエチレン基で、R8 がアルカノイルオキシ基若しくはアルコキシ基の1〜3個を有するベンゾイル基である請求項4に記載のクマリン誘導体。
- R5 がメチル基で、R6 が2−(2−アセトキシベンゾイルオキシ)エチル基、2−〔N−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)アミノ〕エチル基及び2−〔N−メチル−N−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)アミノ〕エチル基からなる群より選ばれる基である請求項5に記載のクマリン誘導体。
- 請求項1記載のクマリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩及び製剤学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
- 請求項1記載のクマリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮痛剤。
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