JP3926432B2 - カラオケ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカラオケ装置に関するものであり、より具体的にはカラオケ楽曲の伴奏音楽の演奏時にムード映像をディスプレイに表示するカラオケ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カラオケ装置において、カラオケ楽曲の伴奏音楽の演奏時にディスプレイに表示されるムード映像は、各カラオケ楽曲毎に1つずつ専用に作成されたものと、長時間分の映像を映像データベースに格納しておき、このデータベース中の任意の格納位置から演奏時間分の映像を再生するものとがある。
【0003】
前者には、カラオケ用パッケージソフトが該当する。このパッケージソフトは、CDなどの記録メディアに伴奏音楽と歌詞入りのムード映像が一体的に収録されて提供される。そのため、カラオケ楽曲の曲風に合致するとともに歌詞に込められている首尾一貫したストーリー性を備えたムード映像を表示することができる。しかし、各カラオケ楽曲毎にムード映像を制作しているため、膨大な制作時間と制作コストを要する。これは、制作者側には大きな負担である。また、絶え間なくリリースされる新曲に対応して素早くその楽曲のカラオケソフト(伴奏音楽と歌詞入りムード映像)を提供することも困難にしている。さらに、多数のカラオケ楽曲に対応するためには、多数のカラオケ用パッケージソフトを用意する必要があり、記録メディアの数など記録容量やその設置場所に要するスペースが膨大なものとなる。
【0004】
これに対して後者は、共有の素材映像を各カラオケ楽曲で使い回すので、制作時間や制作コストあるいは記録容量や記録メディアの設置場所を大幅に削減することができる。しかも、新曲のリリースに素早く対応できるとともに、少ない記憶容量で膨大な楽曲数を収容できる通信カラオケシステムの普及に伴い、現在ではこの後者の方式を採用するカラオケ装置が主流となっている。この後者の例としては、特許2550420号公報(第1従来例)、特許2504264号公報(第2従来例)および特許2550423号公報(第3従来例)に開示された技術がある。これらの技術は、各カラオケ楽曲にジャンルなどのキーワードを対応づけし、このキーワードに複数の素材映像(長時間分の映像の一部分)を割り当てている。
【0005】
第1、第2従来例では、再生されるムード映像を映像データベース中のある格納位置から時系列的に連続した映像としている。そして、この連続した映像を演奏時間分表示している。第3従来例では、楽曲毎にジャンル(キーワード)のほかに「パラメータ」を付帯させている。そして、ジャンルなどを手がかりにして映像データベース中の長時間分の映像から適宜な時間長さの素材映像を複数選択し、その複数の素材映像を1曲の演奏中で切り替えてつなぎ合わせている。さらに、パラメータがこの素材映像の切り替え時間や切り替え時の映像効果を指定することでムード映像の編集制御が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
1万曲以上のカラオケ楽曲が存在する現在においては、ムード映像を各カラオケ楽曲専用に制作することは上述した理由から、もはや限界にあると言わざるを得ない。しかしながら、カラオケ楽曲の曲風と歌詞に込められたストーリー性に合致したムード映像とともに歌唱する醍醐味は捨てがたく、多くのカラオケ愛好家たちの間で今も根強い人気があることも確かである。この醍醐味は使い回しの映像をつなぎ合わせただけのムード映像では到底得ることはできない。確かに、上記第1〜第3従来例に開示された技術では、ジャンル(キーワード)によって検索された素材映像をムード映像とすることで、ある程度はカラオケ楽曲の曲風に関連させることができる。しかし、楽曲をジャンルやキーワードなどで分類し、そこから検索され得る素材映像は、相互の関連性が全くない。途中で素材映像を切り替えた場合は、前後の素材映像にも関連性がなくなる。歌詞に込められた起承転結といった一連のストーリー性とは一切無縁のものである。従って、上述した第1〜第3従来例では、演奏中に時々刻々と変化する雰囲気や歌詞から汲み取れる詩情などに合わせてムード映像の内容を変化させることなど到底不可能である。結局のところ、楽曲の曲風に全く合わないムード映像となることを回避する程度の技術でしかない。
【0007】
さらに、楽曲毎に異なる演奏時間に対して、再生されたムード映像がちょうど切りのいいタイミングで終了させることは不可能であり、演奏途中から全く曲風に合わない映像になったり、再生中のムード映像が中途半端のまま演奏が終了してしまうことがほとんどであろう。フェードアウトなどの映像効果を用いても単なる「ごまかし」にしかすぎず、かえって「だまされた」というような不快な印象さえ与えかねない。
【0008】
また、アニメソングなどは特定のアニメキャラクタが登場しないムード映像では違和感が強く、「アニメ」のジャンルで素材映像を指定することは逆効果となる。さらに、特定のアニメキャラクタなどを表示した場合、「著作権表示」が義務づけられているにもかかわらず、演奏時間中にちょうどうまい具合に「著作権表示」が挿入されている部分の映像を表示できるという保証が一つもない。
【0009】
そこで本発明は、使い回しの素材映像を使用しながらも、演奏中に変化する楽曲の内容に合致したムード映像を楽曲の演奏時間に合わせて表示でき、しかも、特定のアニメキャラクタが登場する映像や「著作権表示」など、表示すべき映像がある場合にも対応したカラオケ装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、以下の要件(1)〜(5)を備えたカラオケ装置とした。
(1)ムード映像用に用意された長時間分の映像が映像データベースに格納されている。
(2)前記映像データベース中の所望の格納位置にランダムアクセスして、そこから任意の時間長さの素材映像を前記ディスプレイに出力するための映像再生手段を備える。
(3)カラオケ楽曲毎に予め対応づけられているムード映像編集用の台本情報は、1曲分のカラオケ楽曲を演奏時系列順に前奏部、中奏部、後奏部からなる3つの演奏セクションによって区分し、これら3つの演奏セクションでそれぞれ使用する素材映像データのそれぞれの格納位置を記述している。
(4)あるカラオケ楽曲の伴奏音楽を再生するとき、前記映像再生手段は、該当の台本情報に従って、前記前奏部、前記中奏部および前記後奏部において、それぞれが第1、第2および第3の前記格納位置から再生した映像を表示する。
(5)前記前奏部から前記中奏部、および前記中奏部から前記後奏部への映像切り替えタイミングは、当該カラオケ楽曲の演奏時間と演奏経過時間に基づいて決定される。
【0011】
なお、第2の発明では、前記第1の格納位置から再生する前記前奏部用の素材映像の時間長さと、前記第3の格納位置から再生する前記後奏部用の素材映像の時間長さを一定としている。
【0012】
また、第3の発明では、前記中奏部用の素材映像の時間長さを予め決めておき、各楽曲の演奏時における中奏部の演奏時間に応じて一部を省略したりリピートしたりすることで1曲分のムード映像の時間調整をすることとした。
【0013】
【発明の実施の形態】
===カラオケ装置の構成と基本動作===
図1は本発明によるカラオケ装置における実施例の構成図を示している。カラオケ装置1は、通信カラオケシステムにおける演奏端末とほぼ同じ構成をとり、その基本動作もほぼ同様である。内部にCPU、RAM、ROMを含む中央制御部11がホスト装置60より電話回線50を通じて配信されるカラオケデータをモデム23を介して受け取りハードディスク装置24に蓄積していく。そして、リモコン送信器12や操作パネル13から入力された選曲情報を操作制御部15を介して受け取ると、ハードディスク装置24より該当するカラオケデータを取り出す。カラオケデータ中のMIDIデータなど伴奏音楽生成データはシンセサイザ16に順次転送され、ここで生成された伴奏音楽はミキシングアンプ18でマイクロホン17からの歌唱者の音声信号と混合されてスピーカ19に出力される。また、中央制御部11はカラオケデータ中の歌詞描出データを処理することで、伴奏音楽に同期した歌詞画像をビデオRAM20内に順次ビットマップ展開させていく。
【0014】
一方、ムード映像は適宜なデータ形式によって映像データベース30に格納されている。映像データ再生部40は、映像データベース30から再生時の時間にして適宜な時間長さの素材映像を順次取り出して再生するとともに、この素材映像をつなぎ合わせるように切り替えて一連のムード映像に編集する。映像データ再生部40から出力された映像信号は、映像制御部21で歌詞画像と合成されディスプレイ22に歌詞がスーパーインポーズされたムード映像として表示される。次に、本発明の要件であるこのムード映像の再生システムについて説明する。
【0015】
===ムード映像再生システム===
▲1▼映像データ
本実施例において、ムード映像は、MPEG1形式によってデジタル化された映像データとしてCD−ROMに収録されている。長時間分の映像に対応するため、多数のCD−ROMが用意されている。各CD−ROMには、通常のビデオCDと同じく、再生時間にして74分の映像に相当する映像データが記録されている。所望の格納位置にある映像データは、CD−ROMのデータセクタ毎に割り当てられたセクタアドレスによって指定することができる。所望のセクタアドレスには、CD−ROMに収録されている映像を最初から再生したときの経過時間に対応した分/秒/フレームを指定することによってアクセスできる(この辺りの規格はビデオCDに準拠しているので詳細な説明は省略する。)。
【0016】
また、各CD−ROMは、適宜な時間長さ分の映像を素材映像として収録している。この素材映像は、1シーンなど映像表現的に区切りのいい映像に相当する。従って、1枚のCD−ROMには多数のシーンに相当する多数の素材映像が収録されている。また、本実施例では、シーンとシーンの間などの各素材映像間に、黒一色の映像が約2秒程度表示されるように制作されている。
さらに、多数のCD−ROMは、後述する前奏/後奏用ディスクおよび中奏用ディスクと用途によって2種類のディスクに分類されている。前奏用/後奏用ディスクには、楽曲の演奏開始部分に相応しいように制作された前奏用素材映像と、楽曲の終了部分に合うように制作された後奏用素材映像とが収録されている。前奏用/後奏用ディスクに収録されている各素材映像は、収録時間にして30秒である。
【0017】
中奏用ディスクには中奏用素材映像が収録されている。各中奏用素材映像は、どの前奏用素材映像から切り替わっても、あるいはどの後奏用素材映像に切り替わっても違和感が少なくなるように制作されている。そして、中奏用素材映像の収録時間は4分となっている。さらに、図2に示すように、4分間の収録時間中には時間調整区間なる時間帯が設定されている。この時間調整区間には、繰り返し再生したり途中で中断しても差し支えがないような映像(例えば、静止画に近い風景やストーリー性とは無縁の群衆など)が収録されている。なお、本実施例では、予め各中奏用素材映像の開始時点からの経過時間が1分45秒から2分15秒までの時間帯が時間調整区間となるように制作されている。
【0018】
以上が本実施例における映像データベースの概略である。もちろん、素材映像の収録時間や中奏用素材映像における時間調整区間などは上記時間に限るものではなく適宜に設定されるものである。また、収録されている素材映像毎にディスクを分類せず、1つのCD−ROMに各用途の素材映像を混在させてもよい。映像データの記録媒体がCD−ROMに限るものでもないことは言うまでもない。
【0019】
▲2▼ハードウエア構成
図3は、ムード映像再生システムにおけるハードウエアの中核である、映像データベース30および映像データ再生部40の構成をより詳細に示している。映像データベース30は、並列動作する3系統のCD―ROMチェンジャ31〜33によって構成され、長時間分の映像を収録した多数のCD−ROMがこの3系統のCD−ROMチェンジャ31〜33に分納されている。中央制御部は、任意の系統のCD−ROMチェンジャ31〜33を制御し、そこに格納されている任意のCD−ROMをその駆動装置にセットさせ、そのCD−ROMに記録されている任意の素材映像データの読み取りと出力をさせる。
また、中央制御部は、素材映像データを読み出しているCD−ROMチェンジャと次に素材映像データの読み取りを行わせるCD−ROMチェンジャが異なる場合、該当するCD−ROMを次のCD−ROMチェンジャの駆動装置に前もってセットさせておく。そうすることによって、CD−ROMが駆動装置にセットされるまでのタイムラグが吸収される。
【0020】
一方、映像データ再生部は、2系統のMPEGデコーダ41、42と、この2系統のMPEGデコーダ41、42の出力経路に接続された映像効果処理部43を含んでいる。
2系統のMPEGデコーダ41、42は、それぞれが3系統のCD―ROMチェンジャ31〜33の出力経路に接続されている。そして、3系統のCD−ROMチェンジャ31〜33から出力されるMPEG1形式の映像データを入力し、そのうちの1つの経路からの映像データを選択して復号処理し、ムード映像を再生する。さらに、この2系統のMPEGデコーダ41、42は、並列動作も可能であり、交互に素材映像データの処理を受け持つようになっている。
【0021】
映像効果処理部43は、MPEGデコーダ41、42からの2系統の映像信号を入力し、その1系統の映像信号を出力する切り替え動作のほかに、必要に応じて、並列して入力される2系統の映像信号に各種映像効果処理(オーバーラップ合成、フェードイン/フェードアウトやワイプによる映像の切り替えなど)を加えてその映像効果処理後の映像信号を出力する動作もする。中央制御部は、これらのハードウエアを後述する台本情報に従って制御し、再生した素材映像を適宜につなぎ合わせて一連のムード映像に編集する。次に、その台本情報とそれに基づく中央制御部のムード映像編集処理について説明する。
【0022】
▲3▼台本情報
図4は前出の台本情報の概略を示している。この台本情報は、各カラオケ楽曲に対応づけされた対照表として用意され、ハードディスク装置に格納されている。対照表には、各カラオケ楽曲番号と、それに対応する台本情報が記述されている。台本情報は、各カラオケ楽曲を前奏部、中奏部、後奏部の3つの演奏セクションに区分するとともに、各演奏セクションで使用する素材映像の格納位置を記述している。ここで特筆すべきことは、各演奏セクションで使用する素材映像がキーワードなどを介さずに直接的に一意的に指定されていることである。素材映像の格納位置は、ディスクの格納場所と、そのディスク内での時間的位置によって指定されている。ディスクの格納場所は、CD−ROMチェンジャのIDとそのチェンジャ内でのディスク番号で指定し、時間的位置は、前述した分/秒/フレームによって指定している。また、連続した演奏セクション間で同じCD−ROMチェンジャが指定されないようにも配慮されており、ここでも、上述したタイムラグの発生を回避している。
なお、ディスクの格納場所は、各CD−ROMに付帯したディスクIDと映像データベース内での格納場所を対応づけた対照表などを用意することによって、直接ディスクIDで指定してもよい。
【0023】
▲4▼ムード映像編集処理
中央制御部は、上述した台本情報に従って前奏部、中奏部、後奏部で使用する素材映像を適宜に編集して一連のムード映像に編集する。図5は、その編集処理のフローチャートを示している。カラオケ楽曲がリクエストされると、対照表を参照してその楽曲に対応する台本情報を取得する。さらに、カラオケデータに付帯した演奏時間情報を取得し、演奏時間から前奏部と後奏部の30秒ずつ計1分を差し引いた時間を中奏部の時間として算出するとともに、この中奏部の時間に応じた中奏用素材映像の再生制御アルゴリズムを決定する。(101〜104)。演奏が開始されると、タイマを0秒にセットし演奏時間の計測を開始する。それとともに、該当する前奏用素材映像が収録されている前奏用/後奏用ディスクが格納されているCD−ROMチェンジャを制御し、該当する素材映像の時間位置を再生開始時点として映像データを出力させる。そして、適宜な系統のMPEGデコーダにこの映像データの復号処理を行わせて、その映像信号を出力させる(105、106)。出力された映像信号は、映像効果処理部、映像制御部を経由してディスプレイに出力される。
30秒が経過すると、再びタイマをリセットするとともに、前奏用素材映像を復号した系統とは別の系統のMPEGデコーダに中奏用素材映像データの復号処理を行わせる(107〜109)。このとき、映像効果処理部を制御して、切り替わり時に適宜な映像効果処理を行わせてもよい。
【0024】
先に取得した中奏部時間が経過すると、前奏部から中奏部への素材映像切り替え制御と同様にして後奏用素材映像に切り替える。後奏用素材映像は30秒に規定されているので、楽曲の終了とともにムード映像も違和感なく終了するのである(110〜112)。
【0025】
▲5▼中奏用素材映像再生制御
前述したように、中奏用素材映像の収録時間は4分に規定されているが、中奏部の演奏時間は楽曲毎に異なる。この中奏部時間がちょうど4分なら問題ないが、そのような場合は滅多にない。そこで、本実施例では中奏部時間に応じて映像再生制御アルゴリズムを決定している。
【0026】
図6(A)(B)は、この中奏部素材映像再生制御についての概略を示している。(A)は、中奏部時間が4分未満の場合における一例である。この例では、中奏部時間が3分45秒となっている。この中奏部素材映像を再生するとき、まず、開始時点aから再生を開始し、b点を経過して時間調整区間を再生する。この場合、中奏部時間が収録時間よりも15秒短いので、時間調整区間の終わり時点(d点)から15秒前のc点以降の再生を省略し、d点にジャンプするようにスキップ再生する。この後、この素材映像の終了時点であるe点まで再生するとちょうどこの楽曲における中奏部時間に一致させることができる。
【0027】
一方、図6(B)には、中奏部時間が4分以上の場合における一例を示した。この例では中奏部時間が4分50秒となっている。まず、この中奏部素材映像を開始時点a点から時間再生区間の終わり(d点)まで一通り再生する。d点まで再生すると、時間調整区間の開始時点b点に戻って時間再生区間をリピート再生する。この例では、素材映像の収録時間より50秒超過している。これに対し、時間調整区間の映像は30秒分なので、時間調整区間をもう一通り再生する。再度d点に達したときの中奏部経過時間は2分45秒であり、d−e点間の1分45秒の映像を再生しても20秒余る計算になる。このため、再びb点に戻って時間調整区間をリピート再生していく。そして、c点まで再生するとd点へスキップ再生し、e点まで再生すると中奏部時間に一致する。
【0028】
以上のように、中央制御部は中奏部時間に応じてスキップ点(c点)やリピート回数を決定することによって中奏部の再生制御アルゴリズムを決定する。そして、中奏部における演奏経過時間を監視しながらこのアルゴリズムに従った再生制御処理を行う。
【0029】
なお、リピート再生やスキップ再生に移行するときは所定のアドレスにポインタ(光ピックアップなど)を移動させる時に発生する空白時間を移行前の映像をフリーズすることによって違和感を回避している。もちろん、前述したようにこの時間調整区間の映像そのものが途中で切り替わっても違和感を感じないように予め制作されているので、実際にはほとんど違和感を感じない。また、必要に応じてフェードアウト/フェードインなどの映像効果も付加してよりスムースに映像移行するような表現とすることもできる。
【0030】
===その他の実施例など===
上述した実施例において台本情報は、各カラオケ楽曲に対し1対1に対応しているが、各カラオケ楽曲に複数の台本情報を対応させてもよい。そして、演奏機会毎に台本情報をランダム選択するなどして、同じ楽曲を演奏させても異なるムード映像とすることができる。この複数の台本情報は、カラオケデータ中に含ませてもよいし、実施例と同様に楽曲−台本対照表を用意してもよい。あるいは、1つのカラオケ楽曲に1つの台本情報を基本としながら、台本−類似台本対照表などを用意して、同じ曲風や詩情となる楽曲間では相互に台本情報を融通し合うようにしてもよい。
【0031】
演奏時間が長く、中奏部で時間調整区間が何度もリピートされて「くどい」映像となる場合には、台本情報における中奏部に複数の素材映像格納位置を記述して、1回リピートさせた後は、他の中奏用素材映像に切り替えるなど適宜に再生制御することも可能である。
【0032】
さらに、台本情報に各演奏セクション間で素材映像が切り替わるときの映像効果を記述して、映像効果処理部がこの指定された映像効果に従って処理するように制御してもよい。それにより、映像の切り替わり時をよりスムースに移行させる表現にすることができる。
【0033】
中奏用素材映像に必ずしも時間調整区間を設定する必要はない。この場合、各中奏用素材映像の収録時間をある程度長めに設定して、その終わりの部分の映像を途中で切り替えたとしても違和感がないように制作するなどして対処すればよい。
【0034】
特定のアニメキャラクタをムード映像中で登場させる場合、台本情報で著作権表示が挿入されている後奏用素材映像を予め指定しておけば、演奏時間中に間違いなく著作権表示をすることができる。
【0035】
CD−ROMチェンジャやMPEGデコーダは1系統でもよい。この場合、各演奏セクション間で素材映像が切り替わるとき、映像効果処理部が前のセクションにおける素材映像の終了部分をフリーズさせるなどしてタイムラグの違和感を軽減させるようにすることが可能である。
【0036】
また、複数のCD−ROMチェンジャの代わりに、多数のCD−ROMを格納する1台のディスクトレイと、複数のCD−ROM駆動装置からなる構成とし、搬送装置によって、ディスクトレイから任意のCD−ROMを取り出して所定のCD−ROM駆動装置にセットする方式を採用してもよい。図7にその1例を示した。中央制御部の制御の下、搬送装置45がディスクトレイ34よりCD−ROMを取り出し、3系統のCD−ROM駆動装置31b〜33bのいずれかにセットする。そして、搬送装置45が次にデータが読み出されるCD−ROMを別系統のCD−ROM駆動装置に予めセットしておくことで、素材映像の切り替わり時に発生するタイムラグをなくすようにしている。
【0037】
なお、映像データはMPEG1形式に限らずMPEG2や他のデジタルデータ、あるいは光学式アナログビデオディスクなどのようなアナログの映像信号としてもよい。そして、それぞれのデータ形式の信号を格納する適宜な記録媒体による映像データベースと、それぞれの形式の映像データを処理してムード映像を再生するための映像データ再生手段を備えるようにすることも可能である。
【0038】
【発明の効果】
カラオケ楽曲の演奏時系列を前奏、中奏、後奏の演奏セクションに分け、それぞれの演奏セクションで使用する素材映像を台本情報に基づいて直接指定している。このため、素材映像を特定の演奏セクションで使用することを前提にして制作することで、使い回しの素材映像を使用しながらも、演奏の始まりから終わりまでの起承転結といったカラオケ楽曲におけるストーリー性を十分に備えたムード映像とすることができる。もちろん、素材映像を直接指定しているのでアニメソングなど特定のアニメキャラクタをムード映像に登場させることができるとともに、「著作権表示」など表示すべき映像も台本情報内で指定するだけで対応することができる。従来のカラオケ装置の構成としながら、CD−ROMやムード映像再生制御用ソフトウエアを変更するだけでよい。そのため、大きなコストアップを招くことがない。
【0039】
さらに、前奏部と後奏部に使用する各素材映像の収録時間などの時間長さを予め規定しておけば、素材映像や台本情報の制作が容易となり、CD−ROMなどの素材映像集をより低価格で提供することも可能となる。また、新曲のリリースにも素早く対応できる。加えて、中央制御部の処理も単純になり、ムード映像再生制御用ソフトウエアの変更がさらに容易となる。
【0040】
中奏部用の素材映像を一定の時間長さとするとともに、この素材映像の収録時間内に時間調整区間を設定してもよく、この場合、素材映像や台本情報の制作および中央制御部の処理が容易となる効果に加え、この時間調整区間に収録する映像を風景などリピートやスキップしたりしても差し支えがないように制作しておくことで、よりカラオケ楽曲の曲風やストーリー性に合致したムード映像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるカラオケ装置の構成図である。
【図2】上記実施例における映像データベースに格納された中奏用素材映像の時系列構造図である。
【図3】上記実施例におけるムード映像再生システムにおける主要部分の構成図である。
【図4】上記実施例において処理される台本情報の概略構造図である。
【図5】上記実施例において中央制御部が行うムード映像編集処理を示したフローチャートである。
【図6】上記実施例における中奏用素材映像再生制御の概略図である。
【図7】上記ムード映像再生システムにおけるその他の実施例の構成図である。
【符号の説明】
1 カラオケ装置
11 中央制御部
22 ディスプレイ
30 映像データベース
40 映像データ再生部
Claims (3)
- 次の要件(1)〜(5)を備えることを特徴とするカラオケ装置。
(1)カラオケ楽曲の伴奏音楽の演奏時にムード映像としてディスプレイに表示するために用意された長時間分の映像が映像データベースに格納されている。
(2)前記映像データベース中の所望の格納位置にランダムアクセスして前記長時間分の映像から任意の時間長さの素材映像を前記ディスプレイに出力するための映像再生手段を備える。
(3)カラオケ楽曲毎にムード映像編集用の台本情報が予め作成されて対応づけられている。この台本情報は、1曲分のカラオケ楽曲を演奏時系列順に前奏部、中奏部、後奏部からなる3つの演奏セクションによって区分し、これら3つの演奏セクションでそれぞれ使用する素材映像データのそれぞれの格納位置を記述している。
(4)あるカラオケ楽曲の伴奏音楽を再生するとき、前記映像再生手段は、該当の台本情報に従って、前記前奏部においては第1の前記格納位置から再生した映像を表示し、前記中奏部においては、第2の前記格納位置から再生した映像を表示し、前記後奏部においては、第3の前記格納位置から再生した映像を表示する。
(5)前記前奏部から前記中奏部への映像切り替えタイミングと前記中奏部から前記後奏部への映像切り替えタイミングは、当該カラオケ楽曲の演奏時間と演奏経過時間に基づいて決定される。 - 請求項1において、前記第1の格納位置から再生する前記前奏部用の素材映像の時間長さと、前記第3の格納位置から再生する前記後奏部用の素材映像の時間長さは一定であることを特徴とするカラオケ装置。
- 請求項1または2において、前記中奏部用の素材映像の時間長さは予め決まっており、各楽曲の演奏時における中奏部の演奏時間に応じて一部を省略したりリピートしたりすることで1曲分のムード映像の時間調整をすることを特徴とするカラオケ装置。
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