JP3925345B2 - 高周波加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加熱物を電極間に挟んで誘電加熱とマイクロ波加熱とが併用できる高周波加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高周波加熱装置の代表である電子レンジは、被加熱物を直接的に加熱できるのでなべ釜を準備する必要がない簡便さでもって生活上の不可欠な機器になっている。また、この電子レンジの加熱の特徴は加熱エネルギを食品内部にまで供給できることであり、この特徴を冷凍食品の解凍に利用するということで冷凍食品が大量に流通してきた。
【0003】
電子レンジは、被加熱物を収納する加熱室の大きさが大概、幅寸法および奥行き寸法がそれぞれ30〜40cm、高さ寸法が20cm前後である。一方使用している周波数の波長は約12cmであり、加熱室内には強弱の電界分布が必ず生じ、さらには被加熱物の形状やその物理特性の影響が相乗されて局所加熱が発生することがある。冷凍食品の解凍においては、氷が解けて水になった領域に加熱エネルギが集中するので局所加熱現象が顕著に現れ、部分煮えと未解凍とが共存してしまう問題を有している。
【0004】
波長の長い高周波を利用し、加熱用電極を用いて被加熱物を誘電加熱する方法は、歴史が古くいまでも工業用としてバッチ方式やベルトコンベア方式が用いられている。これらは大型の冷凍品の処理や冷凍品の多量処理のために大型の装置構成であり、かつ装置の操作も熟練者が行っている。
【0005】
一方、この加熱用電極を用いた装置の家庭用装置への展開も古くから検討されてきたが、生活上の利便性あるいは使用上の利便性の価値をユーザに提供できるまでには至っていない。家庭用装置としての実用価値を提供することを目的とした従来技術としては、たとえば特開平9−92455号公報がある。この公報には、電子レンジとの併用を考慮し加熱室内の電気配線による電気的結合部を排除する構成の提案がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
家庭用装置の実用価値は、形状は大きくても電子レンジ並であり、かつ電子レンジと同様に加熱室の有効容積を大きくして使い勝手を確保することが主要な解決すべき課題である。
【0007】
形状のコンパクト化に関しては、高周波発生手段の小型化および加熱用電極と高周波発生手段とのインピーダンスの整合を図る各種インピーダンス整合素子の小型化が主要な課題である。また、加熱室の使い勝手に関しては、加熱用電極の収容方法に工夫することである。
【0008】
従来技術の特開平9−92455号公報は、加熱用電極の上電極が上下動する構成からなり、マイクロ波加熱時にはこの可動する上電極を加熱室の最上部に移動することが開示されているが、導体である上電極を加熱室壁面に近接する場合、マイクロ波電界の局所集中によりスパークが発生に電極あるいは加熱室壁面が破損する危険性を有している。
【0009】
本発明は上記課題を解決するもので、可動する加熱用電極の未使用時の配置構成に工夫し、マイクロ波加熱時での加熱室の有効容積を大きくするとともに電極を用いた誘電加熱時には加熱用電極に高周波を効率よく供給して被加熱物をスピード加熱する装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の高周波加熱装置は上記課題を解決するために、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、前記被加熱物を挟む形で配置した少なくとも一方が可動する加熱用電極と、前記加熱室の壁面のうち可動する前記加熱用電極が対向する面において前記加熱用電極の周縁部に対向する前記加熱室壁面に設けた電波漏洩抑制手段とを備え、前記マイクロ波発生手段を動作させる時に、前記加熱用電極を加熱室壁面近傍に移動固定して前記加熱用電極が対向する加熱室壁面と可動する前記加熱用電極との隙間でのマイクロ波の伝送を抑制する構成としている。
【0011】
上記発明によれば、加熱用電極を加熱室壁面近傍に移動固定してマイクロ波加熱を行う時に、加熱室壁面と加熱用電極との間の隙間でのマイクロ波の伝送を抑制でき、スパーク発生を確実に抑制できるので、加熱用電極を加熱室壁面に近接配置することで加熱室の有効容積を大きくできるとともにマイクロ波加熱を効率よく実行させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、前記被加熱物を挟む形で配置した少なくとも一方が可動する加熱用電極と、前記加熱室の壁面のうち可動する前記加熱用電極が対向する面において前記加熱用電極の周縁部に対向する前記加熱室壁面に設けた電波漏洩抑制手段とを備え、前記マイクロ波発生手段を動作させる時に、前記加熱用電極を加熱室壁面近傍に移動固定して前記加熱用電極が対向する加熱室壁面と可動する前記加熱用電極との隙間でのマイクロ波の伝送を抑制する構成としたもので、これにより加熱用電極を加熱室壁面近傍に移動固定してマイクロ波加熱を行う時に、加熱室壁面と加熱用電極との間の隙間でのマイクロ波の伝送を抑制でき、スパーク発生を確実に抑制できるので、加熱用電極を加熱室壁面に近接配置することで加熱室の有効容積を大きくできるとともにマイクロ波加熱を効率よく実行させることができる。
【0013】
また、加熱用電極の中央部へのマイクロ波の伝搬が抑制できるので、この中央部に電気部品などを配置させることができ、この可動する加熱用電極を高圧側電極にすることができる。
【0014】
請求項に記載の発明は、特に、請求項1に記載の高周波加熱装置が、可動する加熱用電極と電波漏洩抑制手段を配した加熱室壁面との間に所定のすきまを形成した状態で可動する加熱用電極を固定支持する係止部を設けたものであり、これにより電波漏洩抑制手段の作用を確実に働かせることができる。
【0015】
請求項に記載の発明は、特に、請求項に記載の高周波加熱装置が、可動する加熱用電極に対向する加熱室壁面を櫛状に構成したものであり、これにより加熱室内をランダムに伝搬し加熱室壁面と加熱用電極とのすきまにあらゆる方向から侵入しようとするマイクロ波に対して電波漏洩抑制手段の作用を確実に働かせることができる。
【0016】
請求項に記載の発明は、特に、請求項1に記載の高周波加熱装置が、前記電極の一方を前記加熱室の壁面とし、前記加熱室の前記壁面にはマイクロ波を伝送する導波管の終端側に前記導波管の管軸上の点に対して点対称に配設した複数のL字状のマイクロ波放射口を前記加熱室の前記壁面の略中央部に配置する構成とし、これにより複数のL字状の放射口を点対称に配置することで各放射口を励振する電界の向きはそれぞれが異なる方向となり、各放射口から放射される高周波が放射口近傍で結合したり反発したりして放射口周辺に幅広い放射分布を形成する。この放射口近傍での振る舞いにより、被加熱物の量や形状の違いによるマイクロ波発生手段への影響が緩和され様々な被加熱物に対してマイクロ波発生手段を安定に動作させることができ、マイクロ波エネルギの利用効率を高めることができる。さらに電極を用いた誘電加熱とマイクロ波によるマイクロ波加熱とを連続的に実行させることができる。
【0017】
請求項に記載の発明は、特に、請求項に記載の複数のマイクロ波放射口の導波管の管軸方向における最大間隔は、この導波管を伝送するマイクロ波の伝送波長の略1/2の長さとしたものであり、これにより各放射口を横切る高周波電界の方向を相反する方向に規定させることができ放射方向の全方向化を確実に図ることができる。
【0018】
請求項に記載の発明は、特に、請求項に記載の複数のマイクロ波放射口は導波管の管軸を横切らない構成としたものであり、これによりマイクロ波発生手段側に位置する放射口からの放射エネルギを抑制し各放射口のマイクロ波励振を保証させることができる。
【0019】
請求項に記載の発明は、特に、請求項に記載の高周波加熱装置が、被加熱物を載置する非金属材料の載置部と、マイクロ波放射口と前記載置部との間に回転支持されるマイクロ波攪拌手段とを備え、前記マイクロ波攪拌手段を非金属で低誘電損失で低透磁率の材料にて支持したものであり、これによりマイクロ波攪拌手段を加熱室壁面から確実に絶縁して配置でき、電極を用いた誘電加熱の際の電極間の電界分布の均一性を保証できる。
【0020】
請求項に記載の発明は、特に、請求項に記載のマイクロ波攪拌手段は、長方形状の板としたものであり、これにより複数の放射口から放射されたマイクロ波を周期的にチョップして放射方向を攪拌するので被加熱物を移動させることなくマイクロ波による加熱の均一性を促進させることができる。
【0021】
請求項に記載の発明は、特に、請求項に記載のマイクロ波攪拌手段は、円形状の板とし、この円板に回転の中心を点対称とするとともに導波管に設けたマイクロ波放射口と同等の形状で構成した複数のL字状の開口を設けたものであり、これにより複数の放射口から放射されたマイクロ波への作用を大きくできるので、より複雑にマイクロ波を攪拌するので被加熱物を移動させることなくマイクロ波の加熱の均一性をさらに促進させることができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0023】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1を示す高周波加熱装置の正面断面構成図、図2は図1において加熱用電極を可動させた時の正面断面構成図、図3は図1の並列配置の固定インピーダンス素子の部品構成図、図4は図1のA−A‘断面矢視図、図5は図1のB−B‘断面矢視図、図6はマイクロ波放射部まわりの構成図、図7は図1の回路構成図である。
【0024】
図1および図2において、10は被加熱物を収納する加熱室であり、加熱室10の底面11は加熱用電極を兼ねている。この加熱室の底面11には、マイクロ波発生手段12が発生するマイクロ波(2450MHz帯)を加熱室10内に供給するマイクロ波放射部13を設けている。14はマイクロ波をマイクロ波放射部13に伝送する導波管である。このマイクロ波放射部13まわりの構成は後述する。また、15は金属材料(非磁性金属材料、たとえばアルミ)の板状構成からなるマイクロ波攪拌手段であり、モータ16によって回転駆動する。マイクロ波攪拌手段15を覆って被加熱物を載置する非金属材料(たとえば、耐熱ガラス、セラミックスあるいは耐熱樹脂)の載置部17を配置させている。このように被加熱物の載置部を非金属材料としたことにより安全性という安心感を提供できるとともに被加熱物を加熱用電極11から絶縁したことにより被加熱物の局所加熱を防止できる。
【0025】
一方、18は他方の加熱用電極(非磁性金属材料、たとえばアルミ、SUS304)であり、絶縁材料(PPSやPS)からなるアーム19、20によって支持されている。このアーム19、20の他端はそれぞれラック21、22に固定接続している。23はモータであり、その出力シャフトに樹脂材料からなるピニオン24を配し、モータ23を駆動することでピニオン24の歯車と噛み合ったラックが図1において左右方向に移動する構成としている。モータ23は回転方向を規制していない同期モータとしている。なお、モータ23はステッピングモータを利用しても構わない。
【0026】
25は加熱室の底面11と加熱用電極18との間に供給する高周波(たとえば13.56MHz、27.12MHz)を発生する高周波発生手段、26は高周波発生手段25の出力側に設けた出力電力および反射電力を検出する電力検出部(CM型SWR回路など)、27は電力供給線である。電力供給線27は同軸ケーブルで構成し、外部導体27aは加熱室10の壁面11と電気的に導通するように接続している。また、同軸ケーブルからなる電力供給線27の中心導体27bは可変インピーダンス素子であるタップ切替端子付きのコイル28に結線している。
【0027】
可変インピーダンス素子であるタップ切替端子付きコイル28の他端と固定インピーダンス素子29の一端とは表面に絶縁体を付帯させた可撓性の板状導体30で結線している。
【0028】
固定インピーダンス素子29はコイル構成とし、加熱用電極18に固定した絶縁材料からなるボディ31に導線を数回巻きして構成している。固定インピーダンス素子29の他端は加熱用電極18に結線している。ボディ31は加熱用電極18に固定組立しており、この構成により、加熱用電極18と固定インピーダンス素子29とは一体構造となり、加熱用電極18の可動に伴って固定インピーダンス素子29が一体的に昇降する。
【0029】
また、この構成により固定インピーダンス素子29と可変インピーダンス素子28は高周波発生手段25と加熱用電極18との間に直列に配置した構成からなる。また可変インピーダンス素子28と高周波発生手段25との間に並列配置の固定インピーダンス素子32を設けている。
【0030】
この固定インピーダンス素子32はコンデンサとしている。このコンデンサの詳細構成を図3に示す。図3において、321と322とは一方の電極、323は他方の電極、324と325はそれぞれの電極間に積層する誘電体(比誘電率が高い材料が好ましい。たとえば、アルミナ)である。
【0031】
また各電極および誘電体には中央部に所定の寸法の穴加工を配しており、これらを順に積層した後、中央部の穴に金属を挿入して電極321と電極322とを導通させてコンデンサを構成している。電極321、322に配したそれぞれの穴326および327は一方の電極の結線用の穴、電極323に配した穴328は他方の電極の結線用穴である。なお、図1および図2においては中央部に通した金属ねじを加熱室の底面11と導通する金属面とともにねじ組み立てした構成としている。
【0032】
次に図1、図2および図4を用いて電波漏洩抑制手段33の説明をする。
【0033】
図4は図1のA−A‘断面矢視図である。可動する加熱用電極18の周縁部に対向する加熱室10の上壁面34に櫛部35をほぼ周期的に周回配置して櫛状に加工した領域を配置している。この櫛状領域の加熱用電極18とは反対側には櫛状領域を覆い櫛部35との間でチョーク溝を形成するチョーク壁面36を設けている。また図1に示すように加熱用電極18を櫛状領域と所定の隙間を形成させて固定支持する係止部37、38をチョーク壁面36と連続した壁面にて構成している。電波漏洩抑制手段33は、加熱用電極18、櫛部35を周期的に周回配置した櫛状領域、チョーク壁面36および係止部によって構成している。櫛部35の長さは、使用しているマイクロ波の波長の約1/4波長(約30mm)とし、櫛部間に設けた隙間35aの寸法は10mmとしている。櫛部35の幅は、直線部分では20mmとし、コーナー部では10mmとしている。
【0034】
なお、図4において18aは加熱用電極18の周囲を示し、39は加熱室10に被加熱物を出し入れする開閉扉、40は装置の加熱動作を入力する操作キーを配置した操作パネルである。
【0035】
このように構成した電波漏洩抑制手段33により、加熱用電極18の周囲位置から櫛部側を見たときのインピーダンスは非常に低い値になる。これにより加熱室10内にマイクロ波を閉じ込める金属壁面は加熱室10の上壁面34と加熱用電極18とが連続した金属体のように作用する。したがって、加熱用電極18と加熱室壁面との間のスパーク発生を抑制することができる。
【0036】
また、この作用により、加熱用電極18の加熱室10と反対側にはマイクロ波の流入が抑制されるので、加熱用電極18の中央部へ固定インピーダンス素子29を配置することや可変インピーダンス素子28と固定インピーダンス素子29とを接続する電力線41などを配置させることができ、さらには本実施例のごとく可動する加熱用電極を高圧側電極にすることができる。
【0037】
また、マイクロ波加熱を行う時に、加熱用電極をスパークの危険性なく加熱室壁面に近接固定することで、加熱室の有効容積を大きくできるとともにマイクロ波加熱を効率よく実行させることができる。
【0038】
また係止部を設けたので確実に所定の隙間を形成でき電波漏洩抑制手段の作用を確実に働かせることができる。さらに櫛状に構成により加熱室内をランダムに伝搬し加熱室壁面と加熱用電極との隙間にあらゆる方向から侵入しようとするマイクロ波に対して電波漏洩抑制手段の作用を確実に働かせることができる。
【0039】
次に図5および図6を用いてマイクロ波放射部13まわりの説明をする。マイクロ波放射部13は、導波管14のマイクロ波発生手段を装着する側から遠い側の導波管端面42とこの端面42から導波管14を伝送する周波数の伝送波長の略1/2の距離だけ離れた位置との間の壁面(導波管のH面)に配置している。マイクロ波放射部13は、それぞれL字形状の開口13a、13bから構成し点対称に配置している。点対称の位置は導波管14の管軸43上であり図において穴44の中心である。マイクロ波放射部13の各開口13a、13bは導波管14の管軸に対して平行な部分と垂直な部分とを有し、かつ各開口は管軸を横切らないように配置している。
【0040】
また、45は導波管内の伝送波長を定在波分布として一例を示しているが、図示したように導波管内で共振するような導波管14の長さに限定する必要はない。
【0041】
穴44はマイクロ波攪拌手段15と連結しそれを回転させるモータ16の出力シャフト(非金属で低誘電損失材料にて構成)が貫通する。マイクロ波攪拌手段15は上述したとおりの金属材料からなる長方形状の板構成であり、その板面は加熱室底面11と略平行に配置している。このような構成により、マイクロ波攪拌手段15は加熱室10の壁面11から絶縁した配置としている。そしこのマイクロ波攪拌手段15の構成により、電極を用いた加熱における加熱用電極間に生じる高周波電界の不均一分布を極小化している。なお、46はマイクロ波発生手段12の出力アンテナを挿入組み立てする穴である。
【0042】
次に上記マイクロ波放射部構成の主要動作について説明する。導波管14を伝送したマイクロ波により、導波管壁面には図6において矢印47〜50で示すような高周波電流が流れ、L字状の放射口13a、13bには同様に矢印47〜50で示す方向の高周波電界が生じる。この高周波電界は相互に結合し回転電界となって放射口から放射する。これにより放射口周辺に幅広い放射分布を形成している。この放射口近傍での振る舞いにより、被加熱物の量や形状の違いによるマイクロ波発生手段への影響が緩和され様々な範囲の被加熱物に対してマイクロ波発生手段を安定に動作させることができ、発生したマイクロ波エネルギの利用効率を高めることができる。
【0043】
そしてこのマイクロ波放射部13から回転電界を生じながら加熱室10内に放射させたマイクロ波はマイクロ波攪拌手段15によってかき乱され、加熱室10内全体に万遍なくマイクロ波が放射されて、被加熱物の加熱の均一化を促進する。なお、マイクロ波攪拌手段15は、たとえば、幅20mm、長さ120mm(90mm以上が望ましい)の長方形状の板としている。
【0044】
上記した装置の電極を用いた加熱に係る回路図を図7に示す。図7において、25は高周波発生手段、26は電力検出部、32は並列配置の固定インピーダンス素子、28はタップ切替付の可変コイルからなる直列配置の可変インピーダンス素子、29は直列配置の固定インピーダンス素子、18は可動する加熱用電極、11は加熱室底面、17は載置部、51は被加熱物である。
【0045】
次に加熱用電極18の可動動作について説明する。
【0046】
図1に示す状態においてモータ23を動作させるとラック21、22が移動自由な方向にモータ23の回転方向が規制され、これにより加熱用電極18が下降する方向にモータ23が回転動作する。加熱用電極18の下降は、図2に示すように、アーム19、20が略鉛直方向になるまで続く。この状態においてラック21、22の一端が加熱室の壁面52、53に当たる。そして、モータ23は現在の回転方向に対する駆動トルクが増大し、それを解消するべく反対方向に回転を始める。これにより、加熱用電極18は上昇に転じ、図1に示すような最上位の位置に戻る。
【0047】
図1に示す最上位の位置は、加熱用電極18は電波漏洩抑制手段33の構成部の一つである金属部37、38によって上昇を規制させている。この位置に到達したことをリミットスイッチ(図示していない)で検知してモータ23の動作を停止させる。
【0048】
この加熱用電極18の昇降動作に対して、被加熱物を収納した場合の加熱用電極18の制御方法を以下に説明する。被加熱物を載置した後、モータ23を動作させると加熱用電極18は下降を始め、被加熱物あるいは被加熱物の収納容器などに加熱用電極18が当接すると下降動作が停止する。このときにモータ23に駆動トルクが発生し、これに伴ってモータの駆動電流が増大する。この駆動電流をモニターしておき、駆動電流の増大を検知した後、所定時間経過後にモータの動作を停止させることで加熱用電極18を加熱室10内に停止固定させている。
【0049】
この後、高周波発生手段25を動作させ、電力検知部26の検出信号に基づき、反射電力が最小になるように可変インピーダンス素子28のタップ切替位置を選択し、反射電力が最小となるタップ位置にて高周波加熱を連続し、所定時間あるいは反射電力量の時間的変化に基づいて加熱を停止する。
【0050】
次に上記構成の電極を用いた高周波加熱の有効性について図8を用いて説明する。図8は、それぞれの被加熱物に対して、加熱用電極18と被加熱物とのすきまを10mmとし可変インピーダンス素子の値を反射電力が最小となるように選択した時の図7の点P1から加熱用電極側を見たインピーダンス値をスミス図表の上にプロットしたものである。測定周波数は13.56MHzであり、並列配置の固定インピーダンス素子32は690pFのコンデンサ、直列配置の固定インピーダンス素子29は2μHのコイル、可変インピーダンス素子28は0.7μH、0.8μH、0.9μHを用いた。また加熱用電極18の形状は250mmx200mm、被加熱物として牛スライス肉(図中の□印)、ミンチ肉(図中の△印)、まぐろブロック(図中の●印)の各100g、300g、500gを用いた。
【0051】
図中の破線の円54は電圧定在波比の値が2を示し、電力反射率に換算すると約11%である。使用した被加熱物に対して可変インピーダンス素子28の値を選択するだけのインピーダンス整合調整であるが、反射電力は十分に小さくすることができ、高周波発生手段25の出力電力を被加熱物に効率よく供給できることが認められ、また短時間に被加熱物を良好に解凍することができた。
【0052】
つまり、可変インピーダンス素子を一つだけ用いる構成で十分に実用性がある高周波加熱装置を実現できる。この場合、直列配置の二つのインピーダンス素子(固定インピーダンス素子と可変インピーダンス素子)において、加熱用電極側に設ける固定インピーダンス素子のインピーダンス値を可変インピーダンス素子の最大インピーダンス値の2倍以上とする。これにより、加熱用電極間と直列配置の二つのインピーダンス素子とに高電圧を分圧する。固定インピーダンス素子は高電圧を分担するので固定インピーダンス素子と加熱用電極との間の結線は太く短くを基本とし加熱用電極に固定インピーダンス素子を一体組み立てする構成としている。これにより、結線部の発熱を抑制することができる。
【0053】
また、高電圧を加熱用電極と固定インピーダンス素子に集中化させることで固定インピーダンス素子と可変インピーダンス素子との結線部の発熱を抑制でき、この結線に可撓性の高い導線を使用することができる。
【0054】
なお、インピーダンス値の比率は、大きいほど有効であるが、可変インピーダンスの可変範囲を確保することを考慮して実用的には最大で4〜5倍程度までが使用できる。
【0055】
以上より、並列配置の固定インピーダンス素子と直列配置の固定インピーダンス素子と同じく直列配置の可変インピーダンス素子とを用い直列配置の各インピーダンス素子のインピーダンス比率を最適化することでインピーダンス整合に係わる各インピーダンス素子をコンパクトに構成できるとともにインピーダンス整合の調整を簡単な制御にて実現することができる装置を実現させることができる。
【0056】
なお、図6において、導波管の管軸およびマイクロ波放射部を加熱室の底面に配置したが、これらを側面に配置したとしても同様の効果を得られるものである。
【0057】
(実施例2)
次に本発明の実施例2について図9を用いて説明する。実施例2が実施例1と相違する点は、マイクロ波攪拌手段の構成にある。なお、実施例1と同一部材または同一相当部材は同一番号で示し説明を省略する。
【0058】
すなわち、図9において、矩形形状の導波管14の終端側にはL字形状の開口を有する放射口13a、13bを導波管14の管軸上に位置する点を点対称として配設している。この複数の放射口13a、13bの上方には回転体である略円形形状の金属板からなるマイクロ波攪拌手段55を設けている。このマイクロ波攪拌手段55は複数の放射口13a、13bの点対称位置44を回転の中心として回転駆動する構成としている。すなわち、マイクロ波攪拌手段55の略円形形状の中心部には非金属で低誘電損失で低透磁率の材料からなる支柱(図示していない)を設け、この支柱にモータ16の出力シャフトを嵌合させている。またマイクロ波攪拌手段55には導波管14に設けたL字形状の開口と同様の開口56a、56bを配設している。
【0059】
このような構成により、マイクロ波攪拌手段55を回転させることによりL字形状の放射口によって形成させた放射分布を保護しながらマイクロ波攪拌手段55に設けたL字形状の開口56a、56bを第二の放射口として作用させて被加熱物側にマイクロ波を放射することで被加熱物を移動させることなく被加熱物の加熱の均一化を促進することができる。
【0060】
なお、マイクロ波攪拌手段55に設ける開口の形状はL字形状に限るものではなく、たとえば矩形形状の長手方向を直交させて複数配設しても構わない。また、マイクロ波攪拌手段55は偏心回転駆動させてもよい。また、マイクロ波攪拌手段55は導波管14に設けたL字形状の開口からなる放射口によって現出される放射分布を許可する構成であればよく、たとえば扇型形状でも構わない。
【0061】
以上の実施例において、各放射口あるいは開口のコーナー部は適当に丸く加工するのが加工上およびエッジ部によるスパーク発生抑止の観点で望ましい。
【0062】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、可動する加熱用電極が対向する加熱室の壁面に設けた電波漏洩抑制手段とを備えた構成としたことにより、加熱用電極を加熱室壁面近傍に移動固定してマイクロ波加熱を行う時に、加熱室壁面と加熱用電極との間の隙間でのマイクロ波の伝送を抑制でき、スパーク発生を確実に抑制できるので、加熱室の有効容積を大きくできるとともにマイクロ波加熱を効率よく実行させることができる。
【0063】
また、被加熱物を収納する加熱室においてこの被加熱物を挟む形で配置した加熱用電極の一方を前記加熱室の壁面とし、マイクロ波を伝送する導波管の終端側に前記導波管の管軸上の点に対して点対称に配設した複数のL字状のマイクロ波放射口を前記加熱室の壁面の略中央部に配置する構成により、放射口周辺に幅広い放射分布を形成し被加熱物の量や形状の違いによるマイクロ波発生手段への影響が緩和され様々な被加熱物に対してマイクロ波発生手段を安定に動作させることができ、マイクロ波エネルギの利用効率を高めることができる。さらに電極を用いた誘電加熱とマイクロ波によるマイクロ波加熱とを連続的に実行できる利便性の高い装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の高周波加熱装置の正面断面図
【図2】 同高周波加熱装置の加熱用電極を可動した時の正面断面図
【図3】 同高周波加熱装置の固定インピーダンス素子の部品構成図
【図4】 同高周波加熱装置のA−A‘断面矢視図
【図5】 同高周波加熱装置のB−B‘断面矢視図
【図6】 同高周波加熱装置のマイクロ波放射部まわりの構成図
【図7】 同高周波加熱装置の電極を用いる加熱に係る回路構成図
【図8】 同高周波加熱装置の各種被加熱物に対する負荷インピーダンス特性図
【図9】 本発明の実施例2の高周波加熱装置のマイクロ波放射部まわりの構成図
【符号の説明】
10 加熱室
11 加熱室の底面(一方の加熱用電極)
12 マイクロ波発生手段
13 マイクロ波放射部(供給部)
13a、13b、56a、56b L字形状の開口
15、55 マイクロ波攪拌手段
17 載置部
18 加熱用電極(可動する加熱用電極)
25 高周波発生手段
33 電波漏洩抑制手段
35 櫛部
37、38 係止部
43 導波管の管軸
51 被加熱物

Claims (9)

  1. 被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、前記被加熱物を挟む形で配置した少なくとも一方が可動する加熱用電極と、前記加熱室の壁面のうち可動する前記加熱用電極が対向する面において前記加熱用電極の周縁部に対向する前記加熱室壁面に設けた電波漏洩抑制手段とを備え、前記マイクロ波発生手段を動作させる時に、前記加熱用電極を加熱室壁面近傍に移動固定して前記加熱用電極が対向する加熱室壁面と可動する前記加熱用電極との隙間でのマイクロ波の伝送を抑制する構成とした高周波加熱装置。
  2. 可動する加熱用電極と電波漏洩抑制手段を配した加熱室壁面との間に所定のすきまを形成した状態で可動する加熱用電極を固定支持する係止部を設けた請求項1に記載の高周波加熱装置。
  3. 可動する加熱用電極に対向する加熱室壁面を櫛状に構成した請求項に記載の高周波加熱装置。
  4. 記電極の一方を前記加熱室の壁面とし、前記加熱室の前記壁面にはマイクロ波を伝送する導波管の終端側に前記導波管の管軸上の点に対して点対称に配設した複数のL字状のマイクロ波放射口を前記加熱室の前記壁面の略中央部に配置する構成とした請求項1に記載の高周波加熱装置。
  5. 複数のマイクロ波放射口の導波管の管軸方向における最大間隔は、この導波管を伝送するマイクロ波の伝送波長の略1/2の長さとした請求項に記載の高周波加熱装置。
  6. 複数のマイクロ波放射口は導波管の管軸を横切らない構成とした請求項に記載の高周波加熱装置。
  7. 被加熱物を載置する非金属材料の載置部と、マイクロ波放射口と前記載置部との間に回転支持されるマイクロ波攪拌手段とを備え、前記マイクロ波攪拌手段を非金属で低誘電損失で低透磁率の材料にて支持した請求項に記載の高周波加熱装置。
  8. マイクロ波攪拌手段は、長方形状の板とした請求項に記載の高周波加熱装置。
  9. マイクロ波攪拌手段は、円形状の板とし、この円板に回転の中心を点対称とするとともに導波管に設けたマイクロ波放射口と同等の形状で構成した複数のL字状の開口を設けた請求項に記載の高周波加熱装置。
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