JP3920464B2 - 超音波モータ、超音波モータ用ステータ、超音波モータ用ロータ及び超音波モータの製造方法 - Google Patents
超音波モータ、超音波モータ用ステータ、超音波モータ用ロータ及び超音波モータの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、定在波型の超音波モータ、超音波モータ用ステータ、超音波モータ用ロータ及び超音波モータの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
定在波型の超音波モータには、超音波振動の縦振動と捩り振動との組み合わせでロータを回転駆動する楕円軌跡を生成するものがある。図15は、そのような超音波モータであるランジュバン型振動子からなる超音波モータを示している。図15に示すように、この超音波モータのステータ100は、縦振動モードで振動する回転体状の一対の圧電素子101が円筒状の一対の金属ブロック102,103にて挟持されたランジュバン振動子を備えている。両金属ブロック102,103による各圧電素子101の挟持は、それぞれの中心を貫通する図示しないボルトにて行われている。一方、ロータ104は前記ボルトと一体で同軸に設けられた支持軸にて、ステータ100の上面に摺接する状態で回動可能に支持されている。
【0003】
この超音波モータでは、縦振動の捩り振動への変換が、外周部に複数のスリット105が設けられたステータ100の一部により行われている。このスリット105は全て同一形状に形成され、外周部において周方向に等角度間隔で設けられている。各スリット105は、ステータ100の周面からある程度深い位置まで形成されている。
【0004】
このようなスリット105をステータ100の外周部に形成するには、従来、エンドミルやメタルソーを用いて切削加工していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、金属にて円筒状に形成されたステータ100の外周面にエンドミル、メタルソーにより複数のスリットを切削加工すると、その加工時間が長くかかり生産性が低い問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、スリットを備え縦振動を捩り振動に変換もしくは捩り振動を縦振動に変換する振動変換部を有する超音波モータ、超音波モータ用ステータ及びロータにおいて、スリットの切削加工なしで容易に振動変換部を形成することができるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、スリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記スリットは、積層された各素板の貫通部にて形成された。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波モータにおいて、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記弾性振動励起部は、前記圧電素子を挟持するように設けられた第1振動励起部及び第2振動励起部を備えた。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記振動変換部は、前記弾性振動励起部に設けられた。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の超音波モータにおいて、前記圧電素子に接続される電極は、ほぼ円板状に形成され、前記振動変換部に中心軸方向に積層されて配設される。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記振動変換部は、前記回転部に設けられた。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の超音波モータにおいて、前記回転部を形成する複数の前記素板の内の少なくとも1つは、周方向に係合する動力伝達部を有する。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記素板には、該素板同士を連結固定するための圧入嵌合部が形成され、前記振動変換部は、各素板同士を前記圧入嵌合部により連結固定して形成された。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記振動変換部は、該振動変換部を形成する前記素板が脱着可能である。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記弾性振動励起部は、該弾性振動励起部、前記回転部及び振動変換部を覆うように形成されたケースに固定支持され、前記回転部は、前記ケースに回転可能かつ中心軸方向に移動不能に支持されるとともに該ケースから外部に延出された回転軸に固定連結された。
【0016】
請求項12に記載の発明は、圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、スリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部とを備えた超音波モータ用ステータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記スリットは、積層された各素板の貫通部にて形成された。
【0017】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の超音波モータ用ステータにおいて、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部である。
【0018】
請求項14に記載の発明は、圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部とを備えた超音波モータ用ステータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され、外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された。
【0019】
請求項15に記載の発明は、スリットが形成され、該スリットの作用により弾性振動励起部に励起された超音波の縦振動を捩り振動に変換、もしくは、捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータ用ロータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記スリットは、積層された各素板の貫通部にて形成された。
【0020】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の超音波モータ用ロータにおいて、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部である。
【0021】
請求項17に記載の発明は、外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により弾性振動励起部に励起された超音波の縦振動を捩り振動に変換、もしくは、捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータ用ロータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され、外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された。
【0022】
請求項18に記載の発明は、圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、スリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータの製造方法において、前記振動変換部を、ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成し、前記スリットを、積層された各素板の貫通部にて形成する。
【0023】
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載の超音波モータの製造方法において、前記素板を複数個積層して、前記振動変換部を形成する際、ほぼ円板状に形成され、前記圧電素子に接続される電極を前記素板と共に積層して配設する。
【0024】
請求項20に記載の発明は、請求項18又は19に記載の超音波モータの製造方法において、前記弾性振動励起部、前記振動変換部及び前記回転部を仮に組付け、該振動変換部の振動変換効率を測定し、その測定結果に基づいて、該振動変換部の該素板の枚数を変更又は同素板の枚数の異なる前記振動変換部に変更して、該振動変換部の振動変換効率が所定の値となるようにする。
【0025】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、円板状の素板に形成された貫通部により、各素板にて形成される振動変換部にスリットが形成される。振動変換部が縦振動もしくは捩り振動すると、スリットの作用により縦振動の一部が捩り振動に変換もしくは捩り振動の一部が縦振動に変換される。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部であるため、スリットは振動変換部の内周面に開口される。従って、振動変換部が例えばブロック等の間で締結される際に、該スリットが形成される部分が外周部に比べて強く締結される。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、板状の素板の外周部に形成された切り欠き部により、各素板にて形成される振動変換部の外周部にスリットが形成される。振動変換部が縦振動もしくは捩り振動すると、縦振動の一部がスリットの作用により捩り振動に変換もしくは捩り振動の一部が縦振動に変換される。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、弾性振動励起部により大きな振幅の縦振動もしくは捩り振動が励起される。従って、より大きな振幅の楕円振動が励起される。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、弾性振動励起部の少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成された部分がスリットを備えた振動変換部となる。従って、振動変換部に直接縦振動もしくは捩り振動が励起される。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、前記圧電素子に接続される電極は、ほぼ円板状に形成され、前記振動変換部に中心軸方向に積層されて配設されるため、1つの工程で電極を備えた振動変換部を製造することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、回転部の少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成された部分がスリットを備えた振動変換部となる。従って、弾性振動励起部から伝達された縦振動が捩り振動に変換もしくは捩り振動が縦振動に変換される。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、前記回転部を形成する複数の素板の内の少なくとも1つは、周方向に係合する動力伝達部を有するため、例えば出力軸を容易に連結することができる。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、素板に形成された圧入嵌合部により素板同士が互いに連結固定されて振動変換部が形成される。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、振動変換部を形成する素板が脱着可能であるため、その枚数を適宜変更することができる。
請求項11に記載の発明によれば、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、弾性振動励起部、振動変換部及び回転部がケース内に収容され、ケースから外部に延出された回転軸が回転する。
【0035】
請求項12に記載の発明によれば、ステータの少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成される部分がスリットを備えた振動変換部となる。従って、ステータに縦振動と捩り振動とが合成された楕円振動が生成される。
【0036】
請求項13に記載の発明によれば、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部であるため、スリットは振動変換部の内周面に開口される。従って、ステータの振動変換部が例えばブロック等の間で締結される際に、該スリットが形成される部分が外周部に比べて強く締結される。
【0037】
請求項14に記載の発明によれば、ステータの少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成される部分が外周部にスリットを備えた振動変換部となる。従って、ステータに縦振動と捩り振動とが合成された楕円振動が生成される。
【0038】
請求項15に記載の発明によれば、ロータの少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成された部分がスリットを備えた振動変換部となる。従って、ロータは外部から伝達される縦振動の一部を捩り振動に変換もしくは捩り振動の一部を縦振動に変換し、その縦振動と捩り振動により生成される楕円振動により回転する。
【0039】
請求項16に記載の発明によれば、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部であるため、スリットは振動変換部の内周面に開口される。従って、ロータの振動変換部が例えばステータとナットとの間で締結される際に、該スリットが形成される部分が外周部に比べて強く締結される。
【0040】
請求項17に記載の発明によれば、ロータの少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成される部分が外周部にスリットを備えた振動変換部となる。従って、ロータは外部から伝達される縦振動の一部を捩り振動に変換もしくは捩り振動の一部を縦振動に変換し、その縦振動と捩り振動により生成される楕円振動により回転する。
【0041】
請求項18に記載の発明によれば、振動変換部は、ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記スリットは、積層された各素板の貫通部にて形成される。従って、スリットの切削加工なしでスリットを備えた振動変換部が容易に形成される。
【0042】
請求項19に記載の発明によれば、素板を複数個積層して、前記振動変換部を形成する際、ほぼ円板状に形成され、前記圧電素子に接続される電極は、前記素板と共に積層して配設される。従って、1つの工程で電極を備えた振動変換部が製造される。
【0043】
請求項20に記載の発明によれば、前記弾性振動励起部、前記振動変換部及び前記回転部が仮に組付けられ、該振動変換部の振動変換効率が測定され、その測定結果に基づいて、該振動変換部の該素板の枚数が変更又は同素板の枚数の異なる前記振動変換部に変更され、該振動変換部の振動変換効率が所定の値とされる。従って、振動変換部を更に切削してその振動変換効率を所定の値とする方法等に比べて、振動変換効率の良好な超音波モータが容易に製造される。
【0044】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図3に従って説明する。
【0045】
図1は超音波モータ1を示す摸式斜視図であり、図2は同じく分解斜視図である。図1に示すように、超音波モータ1は、弾性振動励起部としてのステータ2及び回転部としてのロータ3を備えている。ステータ2は、第1振動励起部としての第1ブロック4、第2振動励起部としての第2ブロック5、第1圧電素子6、第2圧電素子7、第1電極8及び第2電極9を備えている。尚、本実施の形態では、第1圧電素子6及び第2圧電素子7にて圧電素子が構成されている。
【0046】
第1ブロック4は、ほぼ円筒状の回転体に形成されている。第1ブロック4は、下側ブロック10と、振動変換部としての上側ブロック11を備えている。図2に示すように、下側ブロック10は導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円筒状に形成され、中心軸方向に貫通する貫通孔12を備えている。下側ブロック10の外周面においてその上側周縁には、モータ固定用のフランジ部13が設けられている。
【0047】
上側ブロック11は、図2に示すように、導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円環状に形成された複数の素板14を中心軸方向に積層して形成されている。各素板14はプレス加工にて全て同一形状に形成され、接着により接合されている。
【0048】
素板14の中心には中心軸方向に貫通する軸孔16が形成され、外周部には複数の同一形状の貫通部としての切り欠き部17が形成されている。各切り欠き部17は、素板14の径方向に延びるように形成されるとともにその周面14aに開口するように形成されている。
【0049】
上側ブロック11の外周部には、複数の同一形状のスリット15が周方向に等角度間隔で設けられている。各スリット15は、上側ブロック11の中心軸に対して傾斜した状態で形成され、周面11aに開口されている。この各スリット15の作用により、上側ブロック11に励起された超音波の縦振動の一部が捩り振動に変換されるようになっている。各スリット15は、中心軸回りに順次ずらすように積層された各素板14の切り欠き部17にて形成されている。
【0050】
第1ブロック4の上面には、第1電極8、第1圧電素子6、第2電極9、第2圧電素子7、及び第2ブロック5がこの順で積層されている。
第1圧電素子6は圧電材料にて円板状に形成され、中心軸方向に貫通する軸孔18を備えている。第1圧電素子6には、縦振動モードの高周波振動を発生する分極処理が施されている。第1電極8は円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記軸孔18と同径の軸孔19を備えている。第1電極8の周面には、外周側に突出する端子片20が設けられている。
【0051】
同じく、第2圧電素子7も円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記軸孔18と同径の軸孔21を備えている。第2圧電素子7には縦振動モードの高周波振動を発生するため分極処理が施されている。第2電極9は円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記軸孔18と同径の軸孔22を備えている。第2電極9の周面には、外周側に突出する端子片23が設けられている。
【0052】
第1圧電素子6及び第2圧電素子7は、分極方向がそれぞれ上下逆にされている。
第2ブロック5は、導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にてほぼ円筒状の回転体に形成されている。第2ブロック5は、図3に示すように、上面に開口する収容凹部5aと、その収容凹部5aから下面に貫通する孔5bとを備えている。尚、孔5bと、前記下側ブロック10の貫通孔12と、前記素板14の軸孔16とは、同じ径に形成されている。
【0053】
前記積層される第1電極8、第1圧電素子6、第2電極9及び第2圧電素子7の前記各孔19,18,22,21の内側には絶縁材で円筒状に形成されたカラー30が配設される。カラー30の内周面の径は、前記各孔5b,12,16の径と同じに形成されている。
【0054】
図3は、超音波モータ1の中心軸を含む平面における断面図である。図3に示すように、第2ブロック5、第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6、第1電極8、及び第1ブロック4は、連結軸24により連結されている。
【0055】
詳述すると、連結軸24は、図2に示すように、第2ブロック5、カラー30(第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6、第1電極8)及び第1ブロック4に嵌挿される嵌挿軸部25と、その嵌挿軸部25の上端に径を太くして形成される大径部26と、その大径部26の上端から径を細くして軸方向に延びる支持軸部27と、その支持軸部27の先端に形成される先端雄ねじ部28とを備えている。そして、嵌挿軸部25を第2ブロック5の上側から嵌挿して、大径部26の下面を第2ブロック5の収容凹部5aの上面に当接させる。そして、図3に示すように、第1ブロック4(下側ブロック10)の下面に形成された収容凹部29に突出した該嵌挿軸部25の下端を潰してかしめることにより、第2ブロック5、第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6、第1電極8及び第1ブロック4を連結している。
【0056】
第2ブロック5の上側には、ロータ3が設けられている。ロータ3は金属(本実施の形態ではステンレス鋼)にて円柱状に形成されている。ロータ3の中心軸方向の中央部には、その下面に開口する挿通孔32と、該挿通孔32よりも大径の軸受孔33と、該軸受孔33よりも大径に形成されロータ3の上面に開口する収容穴34とがこの順で同一中心軸上に形成されている。軸受孔33には軸受35が支持されている。
【0057】
挿通孔32にはその下方から連結軸24の支持軸部27が挿通され、該支持軸部27は軸受35にて回動可能に支持されている。収容穴34内には連結軸24の先端雄ねじ部28が配置され、該先端雄ねじ部28には軸受35の上面との間にばね受け36及び板ばね37を介在した状態でナット38が螺合されている。
【0058】
ロータ3の下面にはライニング材39が接着され、該ライニング材39を介してロータ3が第2ブロック5に摺接されている。
この超音波モータ1では、前記第1圧電素子6には、第1電極8と第2電極9とが電気的に接続され、第2圧電素子7には、第2電極9と、第1電極8に第1ブロック4及び連結軸24を介して電気的に接続されている第2ブロック5が電気的に接続されている。
【0059】
次に、以上のように構成された超音波モータ及び超音波モータ用ステータの作用について説明する。
第1電極8及び第2電極9に高周波交流電圧が供給されると、第1圧電素子6及び第2圧電素子7には極性が逆の高周波交流電圧が印加される。すると、第1圧電素子6及び第2圧電素子7とは分極方向が逆であるため、両圧電素子6,7は同じ状態の縦振動モードで振動する。言い換えると、第1圧電素子6が伸びるときには第2圧電素子7も伸び、第1圧電素子6が縮むときには第2圧電素子7も縮む。その結果、ステータ2には圧電素子が1個であるときよりも振幅の大きな縦振動が励起される。
【0060】
第1ブロック4に励起された縦振動の一部は、各スリット15の作用により捩り振動に変換される。その結果、第2ブロック5のロータ3との摺接面に縦振動と捩り振動とが合成された楕円振動が発生し、この楕円振動によりロータ3が一方に回転駆動される。
【0061】
以上詳述したように、本実施の形態の超音波モータ及び超音波モータ用ステータによれば、以下の効果を得ることができる。
(a) 振動変換部(上側ブロック11)を円板状に形成された素板14を積層して形成し、各素板14に設けた切り欠き部17にて該振動変換部の外周部にスリット15を形成した。従って、円柱状の金属材に対してエンドミル、メタルソー等でスリットの切削加工を行うことなく容易にスリット15を備えた振動変換部を形成することができる。
【0062】
(b) 振動変換部を、弾性振動励起部(ステータ2)に設けた。従って、縦振動の一部が振動変換部に直接励起されるため、振動変換部に縦振動が直接励起されない場合に比較して捩り振動が高い効率で生成される。その結果、楕円振動を高い効率で生成することができ、超音波モータ1の高い効率を得ることができる。
【0063】
(c) 圧電素子6,7を第1振動励起部(第1ブロック4)及び第2振動励起部(第2ブロック5)にて挟持して弾性振動励起部(ステータ2)を構成した。従って、弾性振動励起部に大きな振動の縦振動が励起されるため、超音波モータ1の効率を向上することができる。
【0064】
(d) 同期した縦振動モードで振動する2つの圧電素子6,7で振動励起部に縦振動を励起するようにした。従って、励起する縦振動の振幅を一層大きくすることができるため、超音波モータ1の効率を一層向上することができる。
【0065】
(e) 各スリット15を中心軸に対して同一周方向に傾斜した状態で設けたので、励起された縦振動が高い効率で捩り振動に変換される。その結果、超音波モータ1の効率を高くすることができる。
【0066】
(f) 全ての素板14を同一形状としたので、部品の種類を少なくすることができる。
(g) 素板14をアルミニウム合金で形成したので、振動変換部(上側ブロック11)さらに超音波モータ1を軽量化することができる。
【0067】
(第2の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態を図4及び図5に従って説明する。
【0068】
図4は、超音波モータ50の中心軸を含む平面における断面図である。超音波モータ50は、ケース51を備え、該ケース51は、ほぼ円筒状の胴部52とほぼ円板状の基板53とを備えている。基板53の中心には挿通孔54が形成され、この挿通孔54には軸受55が支持されている。胴部52の内部において底面52a(図4において上側)の中央には凹状支持部56が設けられ、該凹状支持部56には軸受57が支持されている。両軸受55,57により、基板53側からケース51外部に延出された回転軸58が中心軸方向に移動不能に支持されている。回転軸58の上部にはフランジ部59が設けられ、該フランジ部59の上面と軸受57の下面との間にはワッシャ60が介在されている。
【0069】
基板53の内側面には、径が異なる円環状の一対の防振ゴム61,62がその各中心軸を回転軸58の中心軸と一致させた状態で固定されている。両防振ゴム61,62の上面には、弾性振動励起部としてのほぼ円筒状のステータ63が固定支持されている。
【0070】
図5は、ステータ63の一部を分解した斜視図である。図5に示すように、ステータ63は、下側ブロック64と、振動変換部としての上側ブロック65とを備えている。下側ブロック64はほぼ円筒状に形成され、中心軸方向に貫通し回転軸58が挿通される挿通孔66を備えている。下側ブロック64は、導電性金属にてほぼ円環平板状に形成された1種類の素板67を中心軸方向に複数積層して形成されている。
【0071】
素板67はプレス加工により形成され、その周縁部の上面には同一形状の4つの凸状嵌合部68が同一円周上に等角度間隔で形成されている。又、周縁部上面には、前記各凸状嵌合部68が圧入嵌合可能な同一形状の4つの嵌合孔69が凸状嵌合部68と同一円周上に等角度間隔で形成されている。さらに、各凸状嵌合部68と各嵌合孔69とは、同一円周上において交互に等角度間隔となるように設けられている。そして、下側ブロック64は、一方の素板67の各凸状嵌合部68を他方の素板67の各嵌合孔69に圧入嵌合(かしめ)して多数連結固定することにより形成されている。
【0072】
又、図5に示すように、上側ブロック65は、ほぼ円筒状に形成され中心軸方向に貫通し回転軸58が挿通された挿通孔70を備えている。上側ブロック65は、下側ブロック64と同様に、導電性金属にてほぼ円環平板状に形成された素板71を中心軸方向に複数積層して形成されている。
【0073】
上側ブロック65の外周部には、同一形状の複数のスリット72が周方向に等角度間隔で設けられている。各スリット72は、その中心軸が上側ブロック65の中心軸に対して平行となるように形成されるとともに周方向の幅が中心軸方向に等しいように形成され、周面65aに開口されている。この各スリット72により、上側ブロック65に励起された縦振動の一部が捩り振動に変換されるようになっている。
【0074】
各素板71はプレス加工により同一形状に形成され、その外周部には複数の同一形状の切り欠き部73が周方向に等角度間隔で形成されている。切り欠き部73は、ほぼ径方向に延びるように形成され周面71aに開口されている。周縁部の上面において各切り欠き部73の間には、その1つおきに前記凸状嵌合部68と同一の4つの凸状嵌合部74が同一円周上に等角度間隔で形成されている。又、周縁部の上面において各切り欠き部73の間に、前記凸状嵌合部74が設けられていない1つおきに、各凸状嵌合部74が圧入嵌合可能な同一形状の4つの嵌合孔75が凸状嵌合部74と同一円周上に等角度間隔で形成されている。さらに、各凸状嵌合部74と各嵌合孔75とは、同一円周上において交互に等角度間隔となるように設けられている。そして、上側ブロック65は、一方の素板67の各凸状嵌合部74を他方の素板67の嵌合孔75に圧入嵌合して多数連結固定することにより形成されている。本実施の形態では、凸状嵌合部74及び嵌合孔75にて圧入嵌合部が構成されている。
但し、図5に示すように、上側ブロック65の最上部に設けられる素板77だけは、他の素板74に設けられている凸状嵌合部74の代わりに、その凸状嵌合部74に対応する位置にも嵌合孔75が形成されている。これは、形成された上側ブロック65の上面に、凸状嵌合部74を突出させないためである。尚、下側ブロック64と上側ブロック65とは、下側ブロック64の最上段の素板67の各凸状嵌合部68が上側ブロック65の最下段の素板71の各嵌合孔75に圧入嵌合することにより接合されている。
【0075】
図4に示すように、ステータ63の下面、即ち、下側ブロック64の下面には、圧電材にて円環状に形成された圧電素子78が固定保持されている。この圧電素子78には、縦振動モードで高周波振動するための分極処理が施されている。圧電素子78は、防振ゴム61と防振ゴム62との間に配置されている。圧電素子78の下面には、電極79が貼り合わされている。
【0076】
ステータ63の上面には、金属にて円板状に形成され中心に回転軸58が貫通した状態で固定連結された回転部としてのロータ80が設けられている。ロータ80の下面には円環状に形成され下方に突出するステータ接触部81が形成され、このステータ接触部81の下面全体にはライニング材82が貼着されている。ステータ接触部81は、ライニング材82を介してステータ63の上面に摺接されている。
【0077】
回転軸58のフランジ部59とロータ80との間には、それぞれ回転軸58が貫挿する円環状のばね83と、円環状のばね受け84とが設けられている。ばね83は、ばね受け84とロータ80との間で、弾性圧縮変形された状態で設けられている。
【0078】
以上のように構成された超音波モータ50において、電極79に高周波交流電圧が印加されると、圧電素子78が縦振動モードで振動する。すると、ステータ63に縦振動が励起される。
【0079】
上側ブロック65に励起された縦振動の一部は、各スリット72の作用により捩り振動に変換される。その結果、ステータ63のロータ80との摺接面に縦振動と捩り振動とが合成された楕円振動が生成され、この楕円振動によりロータ80が一方に回転駆動される。
【0080】
以上詳述したように、本実施の形態の超音波モータによれば、前記第1の実施の形態において(a),(b),(e),(g)に記載する各効果以外に、以下の効果を得ることができる。
【0081】
(a) ステータ63及びロータ80をケース51で覆い、ロータ80に固定した回転軸58をケース51から外部に延出させた。従って、従来の電動モータのようにケース51を固定した状態で回転軸58から駆動力を得ることができる。
【0082】
(b) 各素板71に凸状嵌合部74と嵌合孔75とを設け(但し、素板77だけは嵌合孔75のみ)、素板71同士を凸状嵌合部74と嵌合孔75との圧入嵌合により連結固定して振動変換部(上側ブロック65)を形成した。従って、接着剤を用いることなく素板71同士を連結固定して振動変換部を形成することができる。
【0083】
(第3の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施の形態を図6〜図8に従って説明する。尚、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分については同様の符号を付して説明する。
【0084】
図6は超音波モータ111の分解斜視図である。図7に示すように、超音波モータ111は、弾性振動励起部としてのステータ112及び回転部としてのロータ3を備えている。ステータ112は、第1振動励起部としての第1ブロック113、第2振動励起部としての第2ブロック5、第1圧電素子6、第2圧電素子7、第1電極114及び第2電極9を備えている。尚、本実施の形態では、第1圧電素子6及び第2圧電素子7にて圧電素子が構成されている。
【0085】
第1ブロック113は、ほぼ円筒状の回転体に形成されている。第1ブロック113は、下側ブロック10と、振動変換部としての上側ブロック115を備えている。下側ブロック10は導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円筒状に形成され、中心軸方向に貫通する貫通孔12を備えている。下側ブロック10の外周面においてその上側周縁には、モータ固定用のフランジ部13が設けられている。
【0086】
上側ブロック115は、図6に示すように、導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円環状に形成された複数の素板116を中心軸方向に積層して形成されている。各素板116は全て同一形状に形成され、接着により接合されている。
【0087】
素板116の中心には中心軸方向に貫通する軸孔117が形成されている。又、素板116には、径方向に延び、前記軸孔117に開口する貫通部としての切り欠き部118が複数形成されている。
【0088】
上側ブロック115には、複数の同一形状のスリット119が周方向に等角度間隔で設けられている。この各スリット119の作用により、上側ブロック115に励起された超音波の縦振動の一部が捩り振動に変換されるようになっている。各スリット119は、積層された各素板116の切り欠き部118にて形成されている。
【0089】
第1ブロック113の上面には、第1電極114、第1圧電素子6、第2電極9、第2圧電素子7、及び第2ブロック5がこの順で積層されている。
第1圧電素子6は圧電材料にて円板状に形成され、中心軸方向に貫通する軸孔18を備えている。第1圧電素子6には、縦振動モードの高周波振動を発生する分極処理が施されている。第1電極114は導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記素板116の軸孔117と同径の軸孔120を備えている。第1電極114の周面には、外周側に突出する端子片121が設けられている。
【0090】
同じく、第2圧電素子7も円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記軸孔18と同径の軸孔21を備えている。第2圧電素子7には縦振動モードの高周波振動を発生するため分極処理が施されている。第2電極9は導電性金属にて円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記軸孔18と同径の軸孔22を備えている。第2電極9の周面には、外周側に突出する端子片23が設けられている。
【0091】
第1圧電素子6及び第2圧電素子7は、分極方向がそれぞれ上下逆にされている。
第2ブロック5は、導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にてほぼ円筒状の回転体に形成されている。第2ブロック5は、図7に示すように、上面に開口する収容凹部5aと、その収容凹部5aから下面に貫通する孔5bとを備えている。尚、孔5bと、前記下側ブロック10の貫通孔12と、前記第1電極114の軸孔120と、前記素板116の軸孔117とは、同じ径に形成されている。
【0092】
前記積層される第1圧電素子6、第2電極9及び第2圧電素子7の前記各孔18,22,21の内側には絶縁材で円筒状に形成されたカラー122が配設される。カラー122の内周面の径は、前記各孔5b,12,120,117の径と同じに形成されている。
【0093】
図7に示すように、第2ブロック5、第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6、第1電極114、及び第1ブロック113は、連結軸123により連結されている。
【0094】
詳述すると、連結軸123は、図6に示すように、第2ブロック5、カラー30(第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6)、第1電極114及び第1ブロック113に嵌挿される嵌挿軸部124と、その嵌挿軸部124の下端に形成される雄ねじ部125と、同嵌挿軸部124の上端に径を太くして形成される大径部126と、その大径部126の上端から径を細くして軸方向に延びる支持軸部127と、その支持軸部127の先端に形成される先端雄ねじ部128とを備えている。そして、嵌挿軸部124を第2ブロック5の上側から嵌挿して、大径部126の下面を第2ブロック5の収容凹部5aの上面に当接させる。そして、図7に示すように、第1ブロック113(下側ブロック10)の下面に形成された収容凹部29に突出した雄ねじ部125にナット129を螺合することにより、第2ブロック5、第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6、第1電極114及び第1ブロック113を連結している。
【0095】
第2ブロック5の上側には、ロータ3が設けられている。ロータ3は金属(本実施の形態ではステンレス鋼)にて円柱状に形成されている。ロータ3の中心軸方向の中央部には、その下面に開口する挿通孔32と、該挿通孔32よりも大径の軸受孔33と、該軸受孔33よりも大径に形成されロータ3の上面に開口する収容穴34とがこの順で同一中心軸上に形成されている。軸受孔33には軸受35が支持されている。
【0096】
挿通孔32にはその下方から連結軸24の支持軸部27が挿通され、該支持軸部27は軸受35にて回動可能に支持されている。収容穴内34には連結軸24の先端雄ねじ部28が配置され、該先端雄ねじ部28には軸受35の上面との間にばね受け36及び板ばね37を介在した状態でナット38が螺合されている。
【0097】
ロータ3の下面にはライニング材39が接着され、該ライニング材39を介してロータ3が第2ブロック5に摺接されている。
この超音波モータ1では、前記第1圧電素子6には、第1電極114と第2電極9とが電気的に接続され、第2圧電素子7には、第2電極9と、第1電極114に第1ブロック113及び連結軸24を介して電気的に接続されている第2ブロック5が電気的に接続されている。
【0098】
次に、上記のように構成した超音波モータ111の製造方法を図8に従って説明する。
ステップS1では、素板116を打ち抜きにより製造する。
【0099】
一方、ステップS2では、電極114を打ち抜きにより製造する。
次に、ステップS3では、複数の素板116を積層して接着するとともに電極114を積層して接着し、電極114を上部に備えた上側ブロック115を製造する。尚、このとき、積層された素板116の切り欠き部118にてスリット119が形成される。又、本実施の形態では、素板116の枚数が異なる複数種類の上側ブロック115を製造する。
【0100】
一方、ステップS4では、下側ブロック10、第2ブロック5、ロータ3、第1及び第2圧電素子6,7、連結軸123及びナット129等の他の部品を公知の方法(例えば、打ち抜き・プレス等)で製造する。
【0101】
次に、ステップS5では、上側ブロック115、下側ブロック10、第2ブロック5、ロータ3、第1及び第2圧電素子6,7、連結軸123及びナット129等の部品を仮に組付け超音波モータを製造する。
【0102】
次に、ステップS6では、前記組み付けた超音波モータにおける上側ブロック115の振動変換効率を測定する。尚、本実施の形態でいう振動変換効率とは、上側ブロック(振動変換部)115が第1及び第2圧電素子6,7の縦振動を捩り振動に変換する効率であって、上側ブロック115が組み付けられた他の部品(特に、第2ブロック5、ロータ3)に対して適正かどうかを示す値である。
【0103】
次に、ステップS7では、測定した振動変換効率が基準値を満たしているかどうかを判定する。尚、基準値とは、超音波モータが正常に動作するかどうかを判断するために予め測定した値である。
【0104】
ステップS7において、測定した振動変換効率が基準値を満たしていないと判定されると、ステップS8に移る。ステップS8では、測定した上側ブロック115を、その振動変換効率に基づいて、素板116の枚数が異なる他の上側ブロック115に変更する。そして、前記ステップ5に移り、前述したように組付けて、超音波モータを製造する。
【0105】
ステップS7において、測定した振動変換効率が基準値を満たしていると判定されると、超音波モータの製造を完了する。
次に、以上のように構成された超音波モータ及び超音波モータ用ステータの作用について説明する。
【0106】
第1電極114及び第2電極9に高周波交流電圧が供給されると、第1圧電素子6及び第2圧電素子7には上下方向において極性が逆の高周波交流電圧が印加される。すると、第1圧電素子6と第2圧電素子7とは分極方向が逆であるため、両圧電素子6,7は同じ状態の縦振動モードで振動する。言い換えると、第1圧電素子6が伸びるときには第2圧電素子7も伸び、第1圧電素子6が縮むときには第2圧電素子7も縮む。その結果、ステータ2には圧電素子が1個であるときよりも振幅の大きな縦振動が励起される。
【0107】
第1ブロック113に励起された縦振動の一部は、各スリット119の作用により捩り振動に変換される。その結果、第2ブロック5のロータ3との摺接面に縦振動と捩り振動とが合成された楕円振動が発生し、この楕円振動によりロータ3が一方に回転駆動される。
【0108】
以上詳述したように、本実施の形態の超音波モータ111では、以下の効果を得ることができる。
(a) 振動変換部(上側ブロック115)を円板状に形成された素板116を積層して形成し、各素板116に設けた切り欠き部118にてスリット119を形成した。従って、円柱状の金属材に対してエンドミル、メタルソー等でスリットの切削加工を行うことなく容易にスリット119を備えた振動変換部を形成することができる。
【0109】
(b) 振動変換部を、弾性振動励起部(ステータ112)に設けた。従って、縦振動の一部が振動変換部に直接励起されるため、振動変換部に縦振動が直接励起されない場合に比較して捩り振動が高い効率で生成される。その結果、楕円振動を高い効率で生成することができ、超音波モータ111の高い効率を得ることができる。
【0110】
(c) 圧電素子6,7を第1振動励起部(第1ブロック113)及び第2振動励起部(第2ブロック5)にて挟持して弾性振動励起部(ステータ113)を構成した。従って、弾性振動励起部に大きな振動の縦振動が励起されるため、超音波モータ111の効率を向上することができる。
【0111】
(d) 同期した縦振動モードで振動する2つの圧電素子6,7で振動励起部に縦振動を励起するようにした。従って、励起する縦振動の振幅を一層大きくすることができるため、超音波モータ111の効率を一層向上することができる。
【0112】
(e) 素板116の切り欠き部118を内周面(軸孔117)に開口するように形成し、スリット119を上側ブロック115の内周面に開口するようにした。従って、連結軸123の大径部126とナット129との間で締結される際に、スリット119が形成される部分が外周部に比べて強く締結される。その結果、スリット119が形成される部分で振動が効率良く伝達され、上側ブロック(振動変換部)115の振動変換効率が向上される。
【0113】
(f) 電極114を素板116が積層されて形成される上側ブロック115の上面に積層して配設した。そして、複数の素板116を積層して接着するとともに電極114を積層して接着し、1つの工程で電極114を上部に備えた上側ブロック115を製造するようにした。従って、別に電極114を組付ける工程を必要とせず、その製造コストが低減される。
【0114】
(g) 上側ブロック115の振動変換効率の測定結果に基づいて、該上側ブロック115を素板116の枚数が異なる他の上側ブロック115に変更し、振動変換効率が基準値を満たすようにした。従って、上側ブロック(振動変換部)を更に切削して振動変換効率が基準値を満たすようにする方法等に比べて、正常に動作する超音波モータ111を容易に製造することができる。
【0115】
(h) 全ての素板116を同一形状としたので、部品の種類を少なくすることができる。
(i) 素板116をアルミニウム合金で形成したので、振動変換部(上側ブロック115)を軽量化することができ、超音波モータ111を軽量化することができる。
【0116】
尚、実施の形態は上記実施の形態に限らず、以下のように変更してもよい。
○ 第1の実施の形態で、図9(a)に示すように、第1ブロック4の全体を素板を積層して形成される振動変換部とするとともに、第1ブロック4の全体にスリット15を設けてもよい。この場合にも、第1の実施の形態の各効果を得ることができる。又、第3の実施の形態における第1ブロック113の全体を素板を積層して形成される振動変換部とし、第1ブロック113の全体にスリット119を設けてもよい(図示略)。
【0117】
○ 第1及び第3の実施の形態で、図9(b)に示すように、第2ブロック5の中心軸方向における一部を振動変換部85とし、この振動変換部85にスリット86を設けた構成としてもよい。この場合にも、第1及び第3の実施の形態の各効果を得ることができる。
【0118】
○ 第1及び第3の実施の形態で、図10(a)に示すように、第2ブロック5の全体を振動変換部とするとともに、第2ブロック5の全体にスリット87を設けた構成としてもよい。この場合にも、第1及び第3の実施の形態の各効果を得ることができる。
【0119】
○ 第1及び第3の実施の形態で、図10(b)に示すように、ロータ3の中心方向における一部を振動変換部88とし、この振動変換部88にスリット89を設けてもよい。この場合に、ロータ3全体を素板を積層して形成してもよい。この場合にも、第1及び第3の実施の形態の各効果を得ることができる上に、両ブロック4,113,5の締め付けトルクの大小により各スリット89の形状が影響を受けないため、超音波モータ1,111の効率がばらつかない。
【0120】
さらに、素板を積層して形成したロータ3の全体にスリットを設けて振動変換部としてもよい。
○ 第1の実施の形態において、振動変換部(上側ブロック11)の各スリット15は、中心軸に対して傾斜する方向が逆方向であってもよい。この場合にも、励起された縦振動を高い効率で捩り振動に変換することができる。
【0121】
○ 第1及び第3の実施の形態で、圧電素子6,7を1つとしてもよい。この場合にも、第1及び第3の実施の形態における(d)に記載の効果以外の各効果を得ることができる。
【0122】
○ 第2の実施の形態で、回転軸58をステータ63を挿通して基板53側から外部に延出させる代わりに、ステータ63を挿通させず胴部52の底面52a中心から外部に延出させてもよい。この場合には、基板53に軸受55を設ける必要がないため、その分だけ中心軸方向に小型化することができる。
【0123】
○ 第2の実施の形態で、各素板71に設ける凸状嵌合部74の数、及び、嵌合孔75の数は、それぞれ4個ずつに限られるものではなく、素板71の外径や厚さ、切り欠き部73の数、凸状嵌合部74及び嵌合孔75の大きさ等により、適宜変更してもよい。
【0124】
○ 各実施の形態で、縦振動モードで超音波振動する圧電素子の代わりに捩り振動モードで超音波振動する圧電素子とし、弾性振動励起部にて捩り振動を励起するように構成する。この弾性振動励起部にて励起した捩り振動の一部を振動変換部にて縦振動に変換する。そして、弾性振動励起部に励起された捩り振動と、振動変換部にて変換された縦振動とから回転体を回転駆動するための楕円振動を生成するようにしてもよい。この場合にも、円柱状の金属材に対してエンドミル、メタルソー等でスリットの切削加工を行うことなく容易にスリットを備えた振動変換部を形成することができる。
【0125】
○ 図11(a)に示すように、ステータ2とロータ3の両方にそれぞれ振動変換部90,91を設けた構成としてもよい。
○ 振動変換部に設けるスリットの形状は、中心軸方向に等しい幅で形成されるものに限らず、その他例えば図11(b)に示すように、その周方向の幅が中心軸方向に次第に小さくもしくは大きくなるように変化するように形成されるスリット92であってもよい。このスリット92は、切り欠き部の形状を徐々に変化させた複数の種類の素板を積層して振動変換部を形成することにより形成することができる。又、曲面状に形成されるスリットでもよい。
【0126】
○ 各実施の形態で、振動変換部に設けるスリットの数は、6個に限らず、5個以下、あるいは、7個以上であってもよい。
○ 各実施の形態で、素板14,74,77,116をアルミニウム合金以外の導電性金属、例えば、鉄、銅、それらの導電性合金により形成してもよい。
【0127】
○ 振動変換部を備えるロータ3を、素板を積層して構成するとともに、その素板の少なくとも1つに周方向に係合する動力伝達部を備えるようにしてもよい。
【0128】
例えば、図12及び図13に示すように、振動変換部を備えるロータ3を、4種類の素板131〜134を積層して構成する。素板131〜134は、導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円環状に形成されている。素板131〜134には、径方向に延び、外周面に開口する切り欠き部131a〜134aがそれぞれ複数形成されている。素板131〜133は、その内周面が円形に形成され、その内径は図13に示すようにそれぞれ異なる大きさに形成されている。素板134は、図14に示すように、その内周面に動力伝達部としての2つの相対向する平行部134bが形成されている。そして、素板131〜134を積層して、接着することによりロータ3を形成している。このとき、積層された各素板131〜134の各切り欠き部131a〜134aにてスリット135が形成されている。
【0129】
このようにすると、図12に示すように、ロータ3と例えば出力軸136とを該平行部134bにて容易に回転方向に係合させることができ、容易に連結することができる。しかも、このロータ3は、スリット135を備えた振動変換部を有するが、エンドミル、メタルソー等でスリットの切削加工を行うことなく容易に作成することができる。尚、図12及び図13では、ステータ2を第1の実施の形態のステータ2と同様にしたが、第3の実施の形態のステータ112等の他のステータとしてもよい。又、動力伝達部は、周方向に係合可能な形状であれば、平行部134b以外の形状で構成してもよい。
【0130】
○第3の実施の形態では、ステップS3で素板116の枚数が異なる複数種類の上側ブロック115を製造し、ステップS8で上側ブロック115を素板116の枚数が異なる他の上側ブロック115に変更するとしたが、ステップS3で1種類の上側ブロック115を製造し、ステップS8で上側ブロック115の素板116を脱着して、その枚数を変更するようにしてもよい。この場合、上側ブロック115の素板116を適宜脱着可能とする必要があり、例えば剥がすことのできる接着剤を使用して素板116を連結固定したり、嵌合させることにより素板116を連結固定する必要がある。このようにしても、正常に動作する超音波モータ111を容易に製造することができる。
【0131】
○第3の実施の形態のステップS3では、複数の素板116を積層して接着するとともに電極114を積層して接着し、電極114を上部に備えた上側ブロック115を製造するとしたが、複数の素板116のみを積層して接着し上側ブロック115を製造してもよい。尚、この場合、電極114をステップS5で組付ける等の必要がある。このようにしても(f)を除く第3の実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0132】
○第3の実施の形態では、上側ブロック115を振動変換部としたため、その製造方法では上側ブロック115を素板116を積層して製造するとしたが、第2ブロック5又はロータ3等を振動変換部に変更して、その製造方法では該振動変換部を素板を積層して製造するように適宜変更してもよい。このようにしても正常に動作する超音波モータを容易に製造することができる。
【0133】
以下、特許請求の範囲に記載された技術的思想の外に前述した各実施の形態で把握される技術的思想をその効果とともに記載する。
(1) 圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動が励起される弾性振動励起部と、外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された縦振動と、前記振動変換部にて変換された捩り振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された超音波モータ。このような構成によれば、超音波の縦振動を捩り振動に変換する振動変換部に切削加工なしでスリットを容易に設けることができる。
【0134】
(2) 圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の捩り振動が励起される弾性振動励起部と、外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された捩り振動と、前記振動変換部にて変換された縦振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された超音波モータ。このような構成によれば、捩り振動を縦振動に変換する振動変換部に切削加工なしでスリットを容易に設けることができる。
【0135】
(3) 請求項2に記載の超音波モータにおいて、前記圧電素子は、同期した縦振動モードで振動する2つの圧電素子からなる。このような構成によれば、弾性振動励起部に大きな振幅の縦振動を励起することができる。
【0136】
(4) 請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の超音波モータにおいて、前記各スリットは、中心軸に対して同一周方向に傾斜した状態で設けられた。このような構成によれば、振動変換部にて縦振動が高い効率で捩り振動に変換、もしくは、捩り振動が高い効率で縦振動に変換されるため、モータの効率を向上することができる。
【0137】
(5) 請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載の超音波モータ用ステータにおいて、前記スリットは、中心軸に対して同一周方向に傾斜した状態で設けられた。このような構成によれば、縦振動が高い効率で捩り振動に変換、もしくは、捩り振動が高い効率で縦振動に変換される。
【0138】
(6) 請求項15〜請求項17のいずれか一項に記載の超音波モータ用ロータにおいて、前記スリットは、中心軸に対して同一周方向に傾斜した状態で設けられた。このような構成によれば、縦振動が高い効率で捩り振動に変換、もしくは、捩り振動が高い効率で縦振動に変換される。
【0139】
(7) 請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の超音波モータにおいて、前記素板はアルミニウム合金にて形成された。このような構成によれば、超音波モータの軽量化を図ることができる。
【0140】
(8) 請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載の超音波モータ用ステータにおいて、前記素板はアルミニウム合金にて形成された。このような構成によれば、ステータを軽量化することができる。
【0141】
(9) 請求項15〜請求項17のいずれか一項に記載の超音波モータ用ロータにおいて、前記素板はアルミニウム合金にて形成された。このような構成によれば、ステータを軽量化することができる。
【0142】
(10) 請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載の超音波モータ用ステータにおいて、前記素板には、素板同士を連結固定するための圧入嵌合部が形成され、前記振動変換部は、各素板同士を前記圧入嵌合部により連結固定して形成された。このような構成によれば、接着材を用いずに振動変換部を組み立てることができる。
【0143】
(11) 請求項15〜請求項17のいずれか一項に記載の超音波モータ用ロータにおいて、前記素板には、素板同士を連結固定するための圧入嵌合部が形成され、前記振動変換部は、各素板同士を前記圧入嵌合部により連結固定して形成された。このような構成によれば、接着材を用いずに振動変換部を組み立てることができる。
【0144】
尚、この明細書において、発明の構成に係る手段及び部材は、以下のように定義されるものとする。
(1) スリットとは、該振動変換部に励起された超音波の縦振動を捩り振動に変換、もしくは、捩り振動が高い効率で縦振動に変換する作用を備えたものであって、その軸線が振動変換部の中心軸に対して傾斜したもの及び傾斜していないものをも含み、又、曲面状に形成されるものをも含む。さらに、その周方向の幅が中心軸方向にほぼ一定に形成されるものや、同幅が中心軸方向で変化するように形成されるものを含むものとする。
【0145】
(2) 素板とは、金属にて円環状の平板に形成され、積層されて振動変換部を形成するものであって、形成された振動変換部に、該振動変換部に励起された超音波の縦振動を捩り振動に変換、もしくは、捩り振動を縦振動に変換する作用を有する複数のスリットを形成する貫通部(切り欠き部)が形成されたものであればよく、その厚さ、貫通部(切り欠き部)の数、材質は限定されない。
【0146】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1、請求項3及び請求項18に記載の発明によれば、スリットの切削加工なしでスリットを備えた振動変換部を容易に形成することができる。
【0147】
請求項2に記載の発明によれば、スリットが形成される部分で振動が効率良く伝達され、振動変換部の振動変換効率が向上される。
請求項4及び5に記載の発明によれば、大きな振幅の楕円振動が励起され、超音波モータの効率が向上される。
【0148】
請求項6に記載の発明によれば、別に電極を組付ける工程を必要とせず、製造コストが低減される。
請求項7に記載の発明によれば、回転部にて弾性振動励起部から伝達された縦振動が捩り振動に変換もしくは捩り振動が縦振動に変換される。
【0149】
請求項8に記載の発明によれば、例えば出力軸を容易に連結することができる。
請求項9に記載の発明によれば、接着剤を用いずに振動変換部を組み立てることができる。
【0150】
請求項10に記載の発明によれば、振動変換部の振動変換効率を適宜変更することができる。
請求項11に記載の発明によれば、ケースを固定して回転軸から駆動力を得ることができる。
【0151】
請求項12及び14に記載の発明によれば、スリットの切削加工なしでステータにスリットを備えた振動変換部を容易に形成することができる。
請求項13に記載の発明によれば、スリットが形成される部分で振動が効率良く伝達され、振動変換部の振動変換効率が向上される。
【0152】
請求項15及び17に記載の発明によれば、スリットの切削加工なしでロータにスリットを備えた振動変換部を容易に形成することができる。
請求項16に記載の発明によれば、スリットが形成される部分で振動が効率良く伝達され、振動変換部の振動変換効率が向上される。
【0153】
請求項19に記載の発明によれば、別に電極を組付ける工程を必要とせず、製造コストが低減される。
請求項20に記載の発明によれば、振動変換効率の良好な超音波モータを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の超音波モータを示す斜視図。
【図2】 同じく分解斜視図。
【図3】 同じく断面図。
【図4】 第2の実施の形態の超音波モータを示す断面図。
【図5】 一部を分解したステータを示す斜視図。
【図6】 第3の実施の形態の超音波モータを示す分解斜視図。
【図7】 第3の実施の形態の超音波モータを示す断面図。
【図8】 第3の実施の形態の超音波モータを製造する方法の説明図。
【図9】 (a),(b)共に別例の超音波モータを示す正面図。
【図10】 (a),(b)共に別例の超音波モータを示す正面図。
【図11】 (a)別例の超音波モータを示す正面図、(b)別例の振動変換部を示す斜視図。
【図12】 別例の超音波モータを示す斜視図。
【図13】 別例の超音波モータを示す断面図。
【図14】 別例の素板を示す斜視図。
【図15】 従来例の超音波モータを示す斜視図。
【符号の説明】
2,63,112…弾性振動励起部としてのステータ、3,80…回転部としてのロータ、4,113…第1振動励起部としての第1ブロック、5…第2振動励起部としての第2ブロック、6…圧電素子を構成する第1圧電素子、7…同じく第2圧電素子、11,65,115…振動変換部としての上側ブロック、11a,65a…周面、14,71,77,114,131〜134…素板、15,72,86,87,89,92,119,135…スリット、17,73,118,131a〜134a…貫通部としての切り欠き部、51…ケース、58…回転軸、74…圧入嵌合部を構成する凸状嵌合部、75…同じく嵌合孔。
【発明の属する技術分野】
本発明は、定在波型の超音波モータ、超音波モータ用ステータ、超音波モータ用ロータ及び超音波モータの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
定在波型の超音波モータには、超音波振動の縦振動と捩り振動との組み合わせでロータを回転駆動する楕円軌跡を生成するものがある。図15は、そのような超音波モータであるランジュバン型振動子からなる超音波モータを示している。図15に示すように、この超音波モータのステータ100は、縦振動モードで振動する回転体状の一対の圧電素子101が円筒状の一対の金属ブロック102,103にて挟持されたランジュバン振動子を備えている。両金属ブロック102,103による各圧電素子101の挟持は、それぞれの中心を貫通する図示しないボルトにて行われている。一方、ロータ104は前記ボルトと一体で同軸に設けられた支持軸にて、ステータ100の上面に摺接する状態で回動可能に支持されている。
【0003】
この超音波モータでは、縦振動の捩り振動への変換が、外周部に複数のスリット105が設けられたステータ100の一部により行われている。このスリット105は全て同一形状に形成され、外周部において周方向に等角度間隔で設けられている。各スリット105は、ステータ100の周面からある程度深い位置まで形成されている。
【0004】
このようなスリット105をステータ100の外周部に形成するには、従来、エンドミルやメタルソーを用いて切削加工していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、金属にて円筒状に形成されたステータ100の外周面にエンドミル、メタルソーにより複数のスリットを切削加工すると、その加工時間が長くかかり生産性が低い問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、スリットを備え縦振動を捩り振動に変換もしくは捩り振動を縦振動に変換する振動変換部を有する超音波モータ、超音波モータ用ステータ及びロータにおいて、スリットの切削加工なしで容易に振動変換部を形成することができるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、スリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記スリットは、積層された各素板の貫通部にて形成された。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波モータにおいて、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記弾性振動励起部は、前記圧電素子を挟持するように設けられた第1振動励起部及び第2振動励起部を備えた。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記振動変換部は、前記弾性振動励起部に設けられた。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の超音波モータにおいて、前記圧電素子に接続される電極は、ほぼ円板状に形成され、前記振動変換部に中心軸方向に積層されて配設される。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記振動変換部は、前記回転部に設けられた。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の超音波モータにおいて、前記回転部を形成する複数の前記素板の内の少なくとも1つは、周方向に係合する動力伝達部を有する。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記素板には、該素板同士を連結固定するための圧入嵌合部が形成され、前記振動変換部は、各素板同士を前記圧入嵌合部により連結固定して形成された。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記振動変換部は、該振動変換部を形成する前記素板が脱着可能である。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記弾性振動励起部は、該弾性振動励起部、前記回転部及び振動変換部を覆うように形成されたケースに固定支持され、前記回転部は、前記ケースに回転可能かつ中心軸方向に移動不能に支持されるとともに該ケースから外部に延出された回転軸に固定連結された。
【0016】
請求項12に記載の発明は、圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、スリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部とを備えた超音波モータ用ステータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記スリットは、積層された各素板の貫通部にて形成された。
【0017】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の超音波モータ用ステータにおいて、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部である。
【0018】
請求項14に記載の発明は、圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部とを備えた超音波モータ用ステータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され、外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された。
【0019】
請求項15に記載の発明は、スリットが形成され、該スリットの作用により弾性振動励起部に励起された超音波の縦振動を捩り振動に変換、もしくは、捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータ用ロータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記スリットは、積層された各素板の貫通部にて形成された。
【0020】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の超音波モータ用ロータにおいて、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部である。
【0021】
請求項17に記載の発明は、外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により弾性振動励起部に励起された超音波の縦振動を捩り振動に変換、もしくは、捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータ用ロータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され、外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された。
【0022】
請求項18に記載の発明は、圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、スリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータの製造方法において、前記振動変換部を、ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成し、前記スリットを、積層された各素板の貫通部にて形成する。
【0023】
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載の超音波モータの製造方法において、前記素板を複数個積層して、前記振動変換部を形成する際、ほぼ円板状に形成され、前記圧電素子に接続される電極を前記素板と共に積層して配設する。
【0024】
請求項20に記載の発明は、請求項18又は19に記載の超音波モータの製造方法において、前記弾性振動励起部、前記振動変換部及び前記回転部を仮に組付け、該振動変換部の振動変換効率を測定し、その測定結果に基づいて、該振動変換部の該素板の枚数を変更又は同素板の枚数の異なる前記振動変換部に変更して、該振動変換部の振動変換効率が所定の値となるようにする。
【0025】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、円板状の素板に形成された貫通部により、各素板にて形成される振動変換部にスリットが形成される。振動変換部が縦振動もしくは捩り振動すると、スリットの作用により縦振動の一部が捩り振動に変換もしくは捩り振動の一部が縦振動に変換される。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部であるため、スリットは振動変換部の内周面に開口される。従って、振動変換部が例えばブロック等の間で締結される際に、該スリットが形成される部分が外周部に比べて強く締結される。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、板状の素板の外周部に形成された切り欠き部により、各素板にて形成される振動変換部の外周部にスリットが形成される。振動変換部が縦振動もしくは捩り振動すると、縦振動の一部がスリットの作用により捩り振動に変換もしくは捩り振動の一部が縦振動に変換される。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、弾性振動励起部により大きな振幅の縦振動もしくは捩り振動が励起される。従って、より大きな振幅の楕円振動が励起される。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、弾性振動励起部の少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成された部分がスリットを備えた振動変換部となる。従って、振動変換部に直接縦振動もしくは捩り振動が励起される。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、前記圧電素子に接続される電極は、ほぼ円板状に形成され、前記振動変換部に中心軸方向に積層されて配設されるため、1つの工程で電極を備えた振動変換部を製造することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、回転部の少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成された部分がスリットを備えた振動変換部となる。従って、弾性振動励起部から伝達された縦振動が捩り振動に変換もしくは捩り振動が縦振動に変換される。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、前記回転部を形成する複数の素板の内の少なくとも1つは、周方向に係合する動力伝達部を有するため、例えば出力軸を容易に連結することができる。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、素板に形成された圧入嵌合部により素板同士が互いに連結固定されて振動変換部が形成される。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、振動変換部を形成する素板が脱着可能であるため、その枚数を適宜変更することができる。
請求項11に記載の発明によれば、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、弾性振動励起部、振動変換部及び回転部がケース内に収容され、ケースから外部に延出された回転軸が回転する。
【0035】
請求項12に記載の発明によれば、ステータの少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成される部分がスリットを備えた振動変換部となる。従って、ステータに縦振動と捩り振動とが合成された楕円振動が生成される。
【0036】
請求項13に記載の発明によれば、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部であるため、スリットは振動変換部の内周面に開口される。従って、ステータの振動変換部が例えばブロック等の間で締結される際に、該スリットが形成される部分が外周部に比べて強く締結される。
【0037】
請求項14に記載の発明によれば、ステータの少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成される部分が外周部にスリットを備えた振動変換部となる。従って、ステータに縦振動と捩り振動とが合成された楕円振動が生成される。
【0038】
請求項15に記載の発明によれば、ロータの少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成された部分がスリットを備えた振動変換部となる。従って、ロータは外部から伝達される縦振動の一部を捩り振動に変換もしくは捩り振動の一部を縦振動に変換し、その縦振動と捩り振動により生成される楕円振動により回転する。
【0039】
請求項16に記載の発明によれば、前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部であるため、スリットは振動変換部の内周面に開口される。従って、ロータの振動変換部が例えばステータとナットとの間で締結される際に、該スリットが形成される部分が外周部に比べて強く締結される。
【0040】
請求項17に記載の発明によれば、ロータの少なくとも一部が素板を積層して形成され、この素板で形成される部分が外周部にスリットを備えた振動変換部となる。従って、ロータは外部から伝達される縦振動の一部を捩り振動に変換もしくは捩り振動の一部を縦振動に変換し、その縦振動と捩り振動により生成される楕円振動により回転する。
【0041】
請求項18に記載の発明によれば、振動変換部は、ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記スリットは、積層された各素板の貫通部にて形成される。従って、スリットの切削加工なしでスリットを備えた振動変換部が容易に形成される。
【0042】
請求項19に記載の発明によれば、素板を複数個積層して、前記振動変換部を形成する際、ほぼ円板状に形成され、前記圧電素子に接続される電極は、前記素板と共に積層して配設される。従って、1つの工程で電極を備えた振動変換部が製造される。
【0043】
請求項20に記載の発明によれば、前記弾性振動励起部、前記振動変換部及び前記回転部が仮に組付けられ、該振動変換部の振動変換効率が測定され、その測定結果に基づいて、該振動変換部の該素板の枚数が変更又は同素板の枚数の異なる前記振動変換部に変更され、該振動変換部の振動変換効率が所定の値とされる。従って、振動変換部を更に切削してその振動変換効率を所定の値とする方法等に比べて、振動変換効率の良好な超音波モータが容易に製造される。
【0044】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図3に従って説明する。
【0045】
図1は超音波モータ1を示す摸式斜視図であり、図2は同じく分解斜視図である。図1に示すように、超音波モータ1は、弾性振動励起部としてのステータ2及び回転部としてのロータ3を備えている。ステータ2は、第1振動励起部としての第1ブロック4、第2振動励起部としての第2ブロック5、第1圧電素子6、第2圧電素子7、第1電極8及び第2電極9を備えている。尚、本実施の形態では、第1圧電素子6及び第2圧電素子7にて圧電素子が構成されている。
【0046】
第1ブロック4は、ほぼ円筒状の回転体に形成されている。第1ブロック4は、下側ブロック10と、振動変換部としての上側ブロック11を備えている。図2に示すように、下側ブロック10は導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円筒状に形成され、中心軸方向に貫通する貫通孔12を備えている。下側ブロック10の外周面においてその上側周縁には、モータ固定用のフランジ部13が設けられている。
【0047】
上側ブロック11は、図2に示すように、導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円環状に形成された複数の素板14を中心軸方向に積層して形成されている。各素板14はプレス加工にて全て同一形状に形成され、接着により接合されている。
【0048】
素板14の中心には中心軸方向に貫通する軸孔16が形成され、外周部には複数の同一形状の貫通部としての切り欠き部17が形成されている。各切り欠き部17は、素板14の径方向に延びるように形成されるとともにその周面14aに開口するように形成されている。
【0049】
上側ブロック11の外周部には、複数の同一形状のスリット15が周方向に等角度間隔で設けられている。各スリット15は、上側ブロック11の中心軸に対して傾斜した状態で形成され、周面11aに開口されている。この各スリット15の作用により、上側ブロック11に励起された超音波の縦振動の一部が捩り振動に変換されるようになっている。各スリット15は、中心軸回りに順次ずらすように積層された各素板14の切り欠き部17にて形成されている。
【0050】
第1ブロック4の上面には、第1電極8、第1圧電素子6、第2電極9、第2圧電素子7、及び第2ブロック5がこの順で積層されている。
第1圧電素子6は圧電材料にて円板状に形成され、中心軸方向に貫通する軸孔18を備えている。第1圧電素子6には、縦振動モードの高周波振動を発生する分極処理が施されている。第1電極8は円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記軸孔18と同径の軸孔19を備えている。第1電極8の周面には、外周側に突出する端子片20が設けられている。
【0051】
同じく、第2圧電素子7も円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記軸孔18と同径の軸孔21を備えている。第2圧電素子7には縦振動モードの高周波振動を発生するため分極処理が施されている。第2電極9は円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記軸孔18と同径の軸孔22を備えている。第2電極9の周面には、外周側に突出する端子片23が設けられている。
【0052】
第1圧電素子6及び第2圧電素子7は、分極方向がそれぞれ上下逆にされている。
第2ブロック5は、導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にてほぼ円筒状の回転体に形成されている。第2ブロック5は、図3に示すように、上面に開口する収容凹部5aと、その収容凹部5aから下面に貫通する孔5bとを備えている。尚、孔5bと、前記下側ブロック10の貫通孔12と、前記素板14の軸孔16とは、同じ径に形成されている。
【0053】
前記積層される第1電極8、第1圧電素子6、第2電極9及び第2圧電素子7の前記各孔19,18,22,21の内側には絶縁材で円筒状に形成されたカラー30が配設される。カラー30の内周面の径は、前記各孔5b,12,16の径と同じに形成されている。
【0054】
図3は、超音波モータ1の中心軸を含む平面における断面図である。図3に示すように、第2ブロック5、第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6、第1電極8、及び第1ブロック4は、連結軸24により連結されている。
【0055】
詳述すると、連結軸24は、図2に示すように、第2ブロック5、カラー30(第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6、第1電極8)及び第1ブロック4に嵌挿される嵌挿軸部25と、その嵌挿軸部25の上端に径を太くして形成される大径部26と、その大径部26の上端から径を細くして軸方向に延びる支持軸部27と、その支持軸部27の先端に形成される先端雄ねじ部28とを備えている。そして、嵌挿軸部25を第2ブロック5の上側から嵌挿して、大径部26の下面を第2ブロック5の収容凹部5aの上面に当接させる。そして、図3に示すように、第1ブロック4(下側ブロック10)の下面に形成された収容凹部29に突出した該嵌挿軸部25の下端を潰してかしめることにより、第2ブロック5、第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6、第1電極8及び第1ブロック4を連結している。
【0056】
第2ブロック5の上側には、ロータ3が設けられている。ロータ3は金属(本実施の形態ではステンレス鋼)にて円柱状に形成されている。ロータ3の中心軸方向の中央部には、その下面に開口する挿通孔32と、該挿通孔32よりも大径の軸受孔33と、該軸受孔33よりも大径に形成されロータ3の上面に開口する収容穴34とがこの順で同一中心軸上に形成されている。軸受孔33には軸受35が支持されている。
【0057】
挿通孔32にはその下方から連結軸24の支持軸部27が挿通され、該支持軸部27は軸受35にて回動可能に支持されている。収容穴34内には連結軸24の先端雄ねじ部28が配置され、該先端雄ねじ部28には軸受35の上面との間にばね受け36及び板ばね37を介在した状態でナット38が螺合されている。
【0058】
ロータ3の下面にはライニング材39が接着され、該ライニング材39を介してロータ3が第2ブロック5に摺接されている。
この超音波モータ1では、前記第1圧電素子6には、第1電極8と第2電極9とが電気的に接続され、第2圧電素子7には、第2電極9と、第1電極8に第1ブロック4及び連結軸24を介して電気的に接続されている第2ブロック5が電気的に接続されている。
【0059】
次に、以上のように構成された超音波モータ及び超音波モータ用ステータの作用について説明する。
第1電極8及び第2電極9に高周波交流電圧が供給されると、第1圧電素子6及び第2圧電素子7には極性が逆の高周波交流電圧が印加される。すると、第1圧電素子6及び第2圧電素子7とは分極方向が逆であるため、両圧電素子6,7は同じ状態の縦振動モードで振動する。言い換えると、第1圧電素子6が伸びるときには第2圧電素子7も伸び、第1圧電素子6が縮むときには第2圧電素子7も縮む。その結果、ステータ2には圧電素子が1個であるときよりも振幅の大きな縦振動が励起される。
【0060】
第1ブロック4に励起された縦振動の一部は、各スリット15の作用により捩り振動に変換される。その結果、第2ブロック5のロータ3との摺接面に縦振動と捩り振動とが合成された楕円振動が発生し、この楕円振動によりロータ3が一方に回転駆動される。
【0061】
以上詳述したように、本実施の形態の超音波モータ及び超音波モータ用ステータによれば、以下の効果を得ることができる。
(a) 振動変換部(上側ブロック11)を円板状に形成された素板14を積層して形成し、各素板14に設けた切り欠き部17にて該振動変換部の外周部にスリット15を形成した。従って、円柱状の金属材に対してエンドミル、メタルソー等でスリットの切削加工を行うことなく容易にスリット15を備えた振動変換部を形成することができる。
【0062】
(b) 振動変換部を、弾性振動励起部(ステータ2)に設けた。従って、縦振動の一部が振動変換部に直接励起されるため、振動変換部に縦振動が直接励起されない場合に比較して捩り振動が高い効率で生成される。その結果、楕円振動を高い効率で生成することができ、超音波モータ1の高い効率を得ることができる。
【0063】
(c) 圧電素子6,7を第1振動励起部(第1ブロック4)及び第2振動励起部(第2ブロック5)にて挟持して弾性振動励起部(ステータ2)を構成した。従って、弾性振動励起部に大きな振動の縦振動が励起されるため、超音波モータ1の効率を向上することができる。
【0064】
(d) 同期した縦振動モードで振動する2つの圧電素子6,7で振動励起部に縦振動を励起するようにした。従って、励起する縦振動の振幅を一層大きくすることができるため、超音波モータ1の効率を一層向上することができる。
【0065】
(e) 各スリット15を中心軸に対して同一周方向に傾斜した状態で設けたので、励起された縦振動が高い効率で捩り振動に変換される。その結果、超音波モータ1の効率を高くすることができる。
【0066】
(f) 全ての素板14を同一形状としたので、部品の種類を少なくすることができる。
(g) 素板14をアルミニウム合金で形成したので、振動変換部(上側ブロック11)さらに超音波モータ1を軽量化することができる。
【0067】
(第2の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態を図4及び図5に従って説明する。
【0068】
図4は、超音波モータ50の中心軸を含む平面における断面図である。超音波モータ50は、ケース51を備え、該ケース51は、ほぼ円筒状の胴部52とほぼ円板状の基板53とを備えている。基板53の中心には挿通孔54が形成され、この挿通孔54には軸受55が支持されている。胴部52の内部において底面52a(図4において上側)の中央には凹状支持部56が設けられ、該凹状支持部56には軸受57が支持されている。両軸受55,57により、基板53側からケース51外部に延出された回転軸58が中心軸方向に移動不能に支持されている。回転軸58の上部にはフランジ部59が設けられ、該フランジ部59の上面と軸受57の下面との間にはワッシャ60が介在されている。
【0069】
基板53の内側面には、径が異なる円環状の一対の防振ゴム61,62がその各中心軸を回転軸58の中心軸と一致させた状態で固定されている。両防振ゴム61,62の上面には、弾性振動励起部としてのほぼ円筒状のステータ63が固定支持されている。
【0070】
図5は、ステータ63の一部を分解した斜視図である。図5に示すように、ステータ63は、下側ブロック64と、振動変換部としての上側ブロック65とを備えている。下側ブロック64はほぼ円筒状に形成され、中心軸方向に貫通し回転軸58が挿通される挿通孔66を備えている。下側ブロック64は、導電性金属にてほぼ円環平板状に形成された1種類の素板67を中心軸方向に複数積層して形成されている。
【0071】
素板67はプレス加工により形成され、その周縁部の上面には同一形状の4つの凸状嵌合部68が同一円周上に等角度間隔で形成されている。又、周縁部上面には、前記各凸状嵌合部68が圧入嵌合可能な同一形状の4つの嵌合孔69が凸状嵌合部68と同一円周上に等角度間隔で形成されている。さらに、各凸状嵌合部68と各嵌合孔69とは、同一円周上において交互に等角度間隔となるように設けられている。そして、下側ブロック64は、一方の素板67の各凸状嵌合部68を他方の素板67の各嵌合孔69に圧入嵌合(かしめ)して多数連結固定することにより形成されている。
【0072】
又、図5に示すように、上側ブロック65は、ほぼ円筒状に形成され中心軸方向に貫通し回転軸58が挿通された挿通孔70を備えている。上側ブロック65は、下側ブロック64と同様に、導電性金属にてほぼ円環平板状に形成された素板71を中心軸方向に複数積層して形成されている。
【0073】
上側ブロック65の外周部には、同一形状の複数のスリット72が周方向に等角度間隔で設けられている。各スリット72は、その中心軸が上側ブロック65の中心軸に対して平行となるように形成されるとともに周方向の幅が中心軸方向に等しいように形成され、周面65aに開口されている。この各スリット72により、上側ブロック65に励起された縦振動の一部が捩り振動に変換されるようになっている。
【0074】
各素板71はプレス加工により同一形状に形成され、その外周部には複数の同一形状の切り欠き部73が周方向に等角度間隔で形成されている。切り欠き部73は、ほぼ径方向に延びるように形成され周面71aに開口されている。周縁部の上面において各切り欠き部73の間には、その1つおきに前記凸状嵌合部68と同一の4つの凸状嵌合部74が同一円周上に等角度間隔で形成されている。又、周縁部の上面において各切り欠き部73の間に、前記凸状嵌合部74が設けられていない1つおきに、各凸状嵌合部74が圧入嵌合可能な同一形状の4つの嵌合孔75が凸状嵌合部74と同一円周上に等角度間隔で形成されている。さらに、各凸状嵌合部74と各嵌合孔75とは、同一円周上において交互に等角度間隔となるように設けられている。そして、上側ブロック65は、一方の素板67の各凸状嵌合部74を他方の素板67の嵌合孔75に圧入嵌合して多数連結固定することにより形成されている。本実施の形態では、凸状嵌合部74及び嵌合孔75にて圧入嵌合部が構成されている。
但し、図5に示すように、上側ブロック65の最上部に設けられる素板77だけは、他の素板74に設けられている凸状嵌合部74の代わりに、その凸状嵌合部74に対応する位置にも嵌合孔75が形成されている。これは、形成された上側ブロック65の上面に、凸状嵌合部74を突出させないためである。尚、下側ブロック64と上側ブロック65とは、下側ブロック64の最上段の素板67の各凸状嵌合部68が上側ブロック65の最下段の素板71の各嵌合孔75に圧入嵌合することにより接合されている。
【0075】
図4に示すように、ステータ63の下面、即ち、下側ブロック64の下面には、圧電材にて円環状に形成された圧電素子78が固定保持されている。この圧電素子78には、縦振動モードで高周波振動するための分極処理が施されている。圧電素子78は、防振ゴム61と防振ゴム62との間に配置されている。圧電素子78の下面には、電極79が貼り合わされている。
【0076】
ステータ63の上面には、金属にて円板状に形成され中心に回転軸58が貫通した状態で固定連結された回転部としてのロータ80が設けられている。ロータ80の下面には円環状に形成され下方に突出するステータ接触部81が形成され、このステータ接触部81の下面全体にはライニング材82が貼着されている。ステータ接触部81は、ライニング材82を介してステータ63の上面に摺接されている。
【0077】
回転軸58のフランジ部59とロータ80との間には、それぞれ回転軸58が貫挿する円環状のばね83と、円環状のばね受け84とが設けられている。ばね83は、ばね受け84とロータ80との間で、弾性圧縮変形された状態で設けられている。
【0078】
以上のように構成された超音波モータ50において、電極79に高周波交流電圧が印加されると、圧電素子78が縦振動モードで振動する。すると、ステータ63に縦振動が励起される。
【0079】
上側ブロック65に励起された縦振動の一部は、各スリット72の作用により捩り振動に変換される。その結果、ステータ63のロータ80との摺接面に縦振動と捩り振動とが合成された楕円振動が生成され、この楕円振動によりロータ80が一方に回転駆動される。
【0080】
以上詳述したように、本実施の形態の超音波モータによれば、前記第1の実施の形態において(a),(b),(e),(g)に記載する各効果以外に、以下の効果を得ることができる。
【0081】
(a) ステータ63及びロータ80をケース51で覆い、ロータ80に固定した回転軸58をケース51から外部に延出させた。従って、従来の電動モータのようにケース51を固定した状態で回転軸58から駆動力を得ることができる。
【0082】
(b) 各素板71に凸状嵌合部74と嵌合孔75とを設け(但し、素板77だけは嵌合孔75のみ)、素板71同士を凸状嵌合部74と嵌合孔75との圧入嵌合により連結固定して振動変換部(上側ブロック65)を形成した。従って、接着剤を用いることなく素板71同士を連結固定して振動変換部を形成することができる。
【0083】
(第3の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施の形態を図6〜図8に従って説明する。尚、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分については同様の符号を付して説明する。
【0084】
図6は超音波モータ111の分解斜視図である。図7に示すように、超音波モータ111は、弾性振動励起部としてのステータ112及び回転部としてのロータ3を備えている。ステータ112は、第1振動励起部としての第1ブロック113、第2振動励起部としての第2ブロック5、第1圧電素子6、第2圧電素子7、第1電極114及び第2電極9を備えている。尚、本実施の形態では、第1圧電素子6及び第2圧電素子7にて圧電素子が構成されている。
【0085】
第1ブロック113は、ほぼ円筒状の回転体に形成されている。第1ブロック113は、下側ブロック10と、振動変換部としての上側ブロック115を備えている。下側ブロック10は導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円筒状に形成され、中心軸方向に貫通する貫通孔12を備えている。下側ブロック10の外周面においてその上側周縁には、モータ固定用のフランジ部13が設けられている。
【0086】
上側ブロック115は、図6に示すように、導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円環状に形成された複数の素板116を中心軸方向に積層して形成されている。各素板116は全て同一形状に形成され、接着により接合されている。
【0087】
素板116の中心には中心軸方向に貫通する軸孔117が形成されている。又、素板116には、径方向に延び、前記軸孔117に開口する貫通部としての切り欠き部118が複数形成されている。
【0088】
上側ブロック115には、複数の同一形状のスリット119が周方向に等角度間隔で設けられている。この各スリット119の作用により、上側ブロック115に励起された超音波の縦振動の一部が捩り振動に変換されるようになっている。各スリット119は、積層された各素板116の切り欠き部118にて形成されている。
【0089】
第1ブロック113の上面には、第1電極114、第1圧電素子6、第2電極9、第2圧電素子7、及び第2ブロック5がこの順で積層されている。
第1圧電素子6は圧電材料にて円板状に形成され、中心軸方向に貫通する軸孔18を備えている。第1圧電素子6には、縦振動モードの高周波振動を発生する分極処理が施されている。第1電極114は導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記素板116の軸孔117と同径の軸孔120を備えている。第1電極114の周面には、外周側に突出する端子片121が設けられている。
【0090】
同じく、第2圧電素子7も円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記軸孔18と同径の軸孔21を備えている。第2圧電素子7には縦振動モードの高周波振動を発生するため分極処理が施されている。第2電極9は導電性金属にて円板状に形成され、中心軸方向に貫通し前記軸孔18と同径の軸孔22を備えている。第2電極9の周面には、外周側に突出する端子片23が設けられている。
【0091】
第1圧電素子6及び第2圧電素子7は、分極方向がそれぞれ上下逆にされている。
第2ブロック5は、導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にてほぼ円筒状の回転体に形成されている。第2ブロック5は、図7に示すように、上面に開口する収容凹部5aと、その収容凹部5aから下面に貫通する孔5bとを備えている。尚、孔5bと、前記下側ブロック10の貫通孔12と、前記第1電極114の軸孔120と、前記素板116の軸孔117とは、同じ径に形成されている。
【0092】
前記積層される第1圧電素子6、第2電極9及び第2圧電素子7の前記各孔18,22,21の内側には絶縁材で円筒状に形成されたカラー122が配設される。カラー122の内周面の径は、前記各孔5b,12,120,117の径と同じに形成されている。
【0093】
図7に示すように、第2ブロック5、第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6、第1電極114、及び第1ブロック113は、連結軸123により連結されている。
【0094】
詳述すると、連結軸123は、図6に示すように、第2ブロック5、カラー30(第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6)、第1電極114及び第1ブロック113に嵌挿される嵌挿軸部124と、その嵌挿軸部124の下端に形成される雄ねじ部125と、同嵌挿軸部124の上端に径を太くして形成される大径部126と、その大径部126の上端から径を細くして軸方向に延びる支持軸部127と、その支持軸部127の先端に形成される先端雄ねじ部128とを備えている。そして、嵌挿軸部124を第2ブロック5の上側から嵌挿して、大径部126の下面を第2ブロック5の収容凹部5aの上面に当接させる。そして、図7に示すように、第1ブロック113(下側ブロック10)の下面に形成された収容凹部29に突出した雄ねじ部125にナット129を螺合することにより、第2ブロック5、第2圧電素子7、第2電極9、第1圧電素子6、第1電極114及び第1ブロック113を連結している。
【0095】
第2ブロック5の上側には、ロータ3が設けられている。ロータ3は金属(本実施の形態ではステンレス鋼)にて円柱状に形成されている。ロータ3の中心軸方向の中央部には、その下面に開口する挿通孔32と、該挿通孔32よりも大径の軸受孔33と、該軸受孔33よりも大径に形成されロータ3の上面に開口する収容穴34とがこの順で同一中心軸上に形成されている。軸受孔33には軸受35が支持されている。
【0096】
挿通孔32にはその下方から連結軸24の支持軸部27が挿通され、該支持軸部27は軸受35にて回動可能に支持されている。収容穴内34には連結軸24の先端雄ねじ部28が配置され、該先端雄ねじ部28には軸受35の上面との間にばね受け36及び板ばね37を介在した状態でナット38が螺合されている。
【0097】
ロータ3の下面にはライニング材39が接着され、該ライニング材39を介してロータ3が第2ブロック5に摺接されている。
この超音波モータ1では、前記第1圧電素子6には、第1電極114と第2電極9とが電気的に接続され、第2圧電素子7には、第2電極9と、第1電極114に第1ブロック113及び連結軸24を介して電気的に接続されている第2ブロック5が電気的に接続されている。
【0098】
次に、上記のように構成した超音波モータ111の製造方法を図8に従って説明する。
ステップS1では、素板116を打ち抜きにより製造する。
【0099】
一方、ステップS2では、電極114を打ち抜きにより製造する。
次に、ステップS3では、複数の素板116を積層して接着するとともに電極114を積層して接着し、電極114を上部に備えた上側ブロック115を製造する。尚、このとき、積層された素板116の切り欠き部118にてスリット119が形成される。又、本実施の形態では、素板116の枚数が異なる複数種類の上側ブロック115を製造する。
【0100】
一方、ステップS4では、下側ブロック10、第2ブロック5、ロータ3、第1及び第2圧電素子6,7、連結軸123及びナット129等の他の部品を公知の方法(例えば、打ち抜き・プレス等)で製造する。
【0101】
次に、ステップS5では、上側ブロック115、下側ブロック10、第2ブロック5、ロータ3、第1及び第2圧電素子6,7、連結軸123及びナット129等の部品を仮に組付け超音波モータを製造する。
【0102】
次に、ステップS6では、前記組み付けた超音波モータにおける上側ブロック115の振動変換効率を測定する。尚、本実施の形態でいう振動変換効率とは、上側ブロック(振動変換部)115が第1及び第2圧電素子6,7の縦振動を捩り振動に変換する効率であって、上側ブロック115が組み付けられた他の部品(特に、第2ブロック5、ロータ3)に対して適正かどうかを示す値である。
【0103】
次に、ステップS7では、測定した振動変換効率が基準値を満たしているかどうかを判定する。尚、基準値とは、超音波モータが正常に動作するかどうかを判断するために予め測定した値である。
【0104】
ステップS7において、測定した振動変換効率が基準値を満たしていないと判定されると、ステップS8に移る。ステップS8では、測定した上側ブロック115を、その振動変換効率に基づいて、素板116の枚数が異なる他の上側ブロック115に変更する。そして、前記ステップ5に移り、前述したように組付けて、超音波モータを製造する。
【0105】
ステップS7において、測定した振動変換効率が基準値を満たしていると判定されると、超音波モータの製造を完了する。
次に、以上のように構成された超音波モータ及び超音波モータ用ステータの作用について説明する。
【0106】
第1電極114及び第2電極9に高周波交流電圧が供給されると、第1圧電素子6及び第2圧電素子7には上下方向において極性が逆の高周波交流電圧が印加される。すると、第1圧電素子6と第2圧電素子7とは分極方向が逆であるため、両圧電素子6,7は同じ状態の縦振動モードで振動する。言い換えると、第1圧電素子6が伸びるときには第2圧電素子7も伸び、第1圧電素子6が縮むときには第2圧電素子7も縮む。その結果、ステータ2には圧電素子が1個であるときよりも振幅の大きな縦振動が励起される。
【0107】
第1ブロック113に励起された縦振動の一部は、各スリット119の作用により捩り振動に変換される。その結果、第2ブロック5のロータ3との摺接面に縦振動と捩り振動とが合成された楕円振動が発生し、この楕円振動によりロータ3が一方に回転駆動される。
【0108】
以上詳述したように、本実施の形態の超音波モータ111では、以下の効果を得ることができる。
(a) 振動変換部(上側ブロック115)を円板状に形成された素板116を積層して形成し、各素板116に設けた切り欠き部118にてスリット119を形成した。従って、円柱状の金属材に対してエンドミル、メタルソー等でスリットの切削加工を行うことなく容易にスリット119を備えた振動変換部を形成することができる。
【0109】
(b) 振動変換部を、弾性振動励起部(ステータ112)に設けた。従って、縦振動の一部が振動変換部に直接励起されるため、振動変換部に縦振動が直接励起されない場合に比較して捩り振動が高い効率で生成される。その結果、楕円振動を高い効率で生成することができ、超音波モータ111の高い効率を得ることができる。
【0110】
(c) 圧電素子6,7を第1振動励起部(第1ブロック113)及び第2振動励起部(第2ブロック5)にて挟持して弾性振動励起部(ステータ113)を構成した。従って、弾性振動励起部に大きな振動の縦振動が励起されるため、超音波モータ111の効率を向上することができる。
【0111】
(d) 同期した縦振動モードで振動する2つの圧電素子6,7で振動励起部に縦振動を励起するようにした。従って、励起する縦振動の振幅を一層大きくすることができるため、超音波モータ111の効率を一層向上することができる。
【0112】
(e) 素板116の切り欠き部118を内周面(軸孔117)に開口するように形成し、スリット119を上側ブロック115の内周面に開口するようにした。従って、連結軸123の大径部126とナット129との間で締結される際に、スリット119が形成される部分が外周部に比べて強く締結される。その結果、スリット119が形成される部分で振動が効率良く伝達され、上側ブロック(振動変換部)115の振動変換効率が向上される。
【0113】
(f) 電極114を素板116が積層されて形成される上側ブロック115の上面に積層して配設した。そして、複数の素板116を積層して接着するとともに電極114を積層して接着し、1つの工程で電極114を上部に備えた上側ブロック115を製造するようにした。従って、別に電極114を組付ける工程を必要とせず、その製造コストが低減される。
【0114】
(g) 上側ブロック115の振動変換効率の測定結果に基づいて、該上側ブロック115を素板116の枚数が異なる他の上側ブロック115に変更し、振動変換効率が基準値を満たすようにした。従って、上側ブロック(振動変換部)を更に切削して振動変換効率が基準値を満たすようにする方法等に比べて、正常に動作する超音波モータ111を容易に製造することができる。
【0115】
(h) 全ての素板116を同一形状としたので、部品の種類を少なくすることができる。
(i) 素板116をアルミニウム合金で形成したので、振動変換部(上側ブロック115)を軽量化することができ、超音波モータ111を軽量化することができる。
【0116】
尚、実施の形態は上記実施の形態に限らず、以下のように変更してもよい。
○ 第1の実施の形態で、図9(a)に示すように、第1ブロック4の全体を素板を積層して形成される振動変換部とするとともに、第1ブロック4の全体にスリット15を設けてもよい。この場合にも、第1の実施の形態の各効果を得ることができる。又、第3の実施の形態における第1ブロック113の全体を素板を積層して形成される振動変換部とし、第1ブロック113の全体にスリット119を設けてもよい(図示略)。
【0117】
○ 第1及び第3の実施の形態で、図9(b)に示すように、第2ブロック5の中心軸方向における一部を振動変換部85とし、この振動変換部85にスリット86を設けた構成としてもよい。この場合にも、第1及び第3の実施の形態の各効果を得ることができる。
【0118】
○ 第1及び第3の実施の形態で、図10(a)に示すように、第2ブロック5の全体を振動変換部とするとともに、第2ブロック5の全体にスリット87を設けた構成としてもよい。この場合にも、第1及び第3の実施の形態の各効果を得ることができる。
【0119】
○ 第1及び第3の実施の形態で、図10(b)に示すように、ロータ3の中心方向における一部を振動変換部88とし、この振動変換部88にスリット89を設けてもよい。この場合に、ロータ3全体を素板を積層して形成してもよい。この場合にも、第1及び第3の実施の形態の各効果を得ることができる上に、両ブロック4,113,5の締め付けトルクの大小により各スリット89の形状が影響を受けないため、超音波モータ1,111の効率がばらつかない。
【0120】
さらに、素板を積層して形成したロータ3の全体にスリットを設けて振動変換部としてもよい。
○ 第1の実施の形態において、振動変換部(上側ブロック11)の各スリット15は、中心軸に対して傾斜する方向が逆方向であってもよい。この場合にも、励起された縦振動を高い効率で捩り振動に変換することができる。
【0121】
○ 第1及び第3の実施の形態で、圧電素子6,7を1つとしてもよい。この場合にも、第1及び第3の実施の形態における(d)に記載の効果以外の各効果を得ることができる。
【0122】
○ 第2の実施の形態で、回転軸58をステータ63を挿通して基板53側から外部に延出させる代わりに、ステータ63を挿通させず胴部52の底面52a中心から外部に延出させてもよい。この場合には、基板53に軸受55を設ける必要がないため、その分だけ中心軸方向に小型化することができる。
【0123】
○ 第2の実施の形態で、各素板71に設ける凸状嵌合部74の数、及び、嵌合孔75の数は、それぞれ4個ずつに限られるものではなく、素板71の外径や厚さ、切り欠き部73の数、凸状嵌合部74及び嵌合孔75の大きさ等により、適宜変更してもよい。
【0124】
○ 各実施の形態で、縦振動モードで超音波振動する圧電素子の代わりに捩り振動モードで超音波振動する圧電素子とし、弾性振動励起部にて捩り振動を励起するように構成する。この弾性振動励起部にて励起した捩り振動の一部を振動変換部にて縦振動に変換する。そして、弾性振動励起部に励起された捩り振動と、振動変換部にて変換された縦振動とから回転体を回転駆動するための楕円振動を生成するようにしてもよい。この場合にも、円柱状の金属材に対してエンドミル、メタルソー等でスリットの切削加工を行うことなく容易にスリットを備えた振動変換部を形成することができる。
【0125】
○ 図11(a)に示すように、ステータ2とロータ3の両方にそれぞれ振動変換部90,91を設けた構成としてもよい。
○ 振動変換部に設けるスリットの形状は、中心軸方向に等しい幅で形成されるものに限らず、その他例えば図11(b)に示すように、その周方向の幅が中心軸方向に次第に小さくもしくは大きくなるように変化するように形成されるスリット92であってもよい。このスリット92は、切り欠き部の形状を徐々に変化させた複数の種類の素板を積層して振動変換部を形成することにより形成することができる。又、曲面状に形成されるスリットでもよい。
【0126】
○ 各実施の形態で、振動変換部に設けるスリットの数は、6個に限らず、5個以下、あるいは、7個以上であってもよい。
○ 各実施の形態で、素板14,74,77,116をアルミニウム合金以外の導電性金属、例えば、鉄、銅、それらの導電性合金により形成してもよい。
【0127】
○ 振動変換部を備えるロータ3を、素板を積層して構成するとともに、その素板の少なくとも1つに周方向に係合する動力伝達部を備えるようにしてもよい。
【0128】
例えば、図12及び図13に示すように、振動変換部を備えるロータ3を、4種類の素板131〜134を積層して構成する。素板131〜134は、導電性金属(本実施の形態ではアルミニウム合金)にて円環状に形成されている。素板131〜134には、径方向に延び、外周面に開口する切り欠き部131a〜134aがそれぞれ複数形成されている。素板131〜133は、その内周面が円形に形成され、その内径は図13に示すようにそれぞれ異なる大きさに形成されている。素板134は、図14に示すように、その内周面に動力伝達部としての2つの相対向する平行部134bが形成されている。そして、素板131〜134を積層して、接着することによりロータ3を形成している。このとき、積層された各素板131〜134の各切り欠き部131a〜134aにてスリット135が形成されている。
【0129】
このようにすると、図12に示すように、ロータ3と例えば出力軸136とを該平行部134bにて容易に回転方向に係合させることができ、容易に連結することができる。しかも、このロータ3は、スリット135を備えた振動変換部を有するが、エンドミル、メタルソー等でスリットの切削加工を行うことなく容易に作成することができる。尚、図12及び図13では、ステータ2を第1の実施の形態のステータ2と同様にしたが、第3の実施の形態のステータ112等の他のステータとしてもよい。又、動力伝達部は、周方向に係合可能な形状であれば、平行部134b以外の形状で構成してもよい。
【0130】
○第3の実施の形態では、ステップS3で素板116の枚数が異なる複数種類の上側ブロック115を製造し、ステップS8で上側ブロック115を素板116の枚数が異なる他の上側ブロック115に変更するとしたが、ステップS3で1種類の上側ブロック115を製造し、ステップS8で上側ブロック115の素板116を脱着して、その枚数を変更するようにしてもよい。この場合、上側ブロック115の素板116を適宜脱着可能とする必要があり、例えば剥がすことのできる接着剤を使用して素板116を連結固定したり、嵌合させることにより素板116を連結固定する必要がある。このようにしても、正常に動作する超音波モータ111を容易に製造することができる。
【0131】
○第3の実施の形態のステップS3では、複数の素板116を積層して接着するとともに電極114を積層して接着し、電極114を上部に備えた上側ブロック115を製造するとしたが、複数の素板116のみを積層して接着し上側ブロック115を製造してもよい。尚、この場合、電極114をステップS5で組付ける等の必要がある。このようにしても(f)を除く第3の実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0132】
○第3の実施の形態では、上側ブロック115を振動変換部としたため、その製造方法では上側ブロック115を素板116を積層して製造するとしたが、第2ブロック5又はロータ3等を振動変換部に変更して、その製造方法では該振動変換部を素板を積層して製造するように適宜変更してもよい。このようにしても正常に動作する超音波モータを容易に製造することができる。
【0133】
以下、特許請求の範囲に記載された技術的思想の外に前述した各実施の形態で把握される技術的思想をその効果とともに記載する。
(1) 圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動が励起される弾性振動励起部と、外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された縦振動と、前記振動変換部にて変換された捩り振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された超音波モータ。このような構成によれば、超音波の縦振動を捩り振動に変換する振動変換部に切削加工なしでスリットを容易に設けることができる。
【0134】
(2) 圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の捩り振動が励起される弾性振動励起部と、外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、前記弾性振動励起部にて励起された捩り振動と、前記振動変換部にて変換された縦振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部とを備えた超音波モータにおいて、前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された超音波モータ。このような構成によれば、捩り振動を縦振動に変換する振動変換部に切削加工なしでスリットを容易に設けることができる。
【0135】
(3) 請求項2に記載の超音波モータにおいて、前記圧電素子は、同期した縦振動モードで振動する2つの圧電素子からなる。このような構成によれば、弾性振動励起部に大きな振幅の縦振動を励起することができる。
【0136】
(4) 請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の超音波モータにおいて、前記各スリットは、中心軸に対して同一周方向に傾斜した状態で設けられた。このような構成によれば、振動変換部にて縦振動が高い効率で捩り振動に変換、もしくは、捩り振動が高い効率で縦振動に変換されるため、モータの効率を向上することができる。
【0137】
(5) 請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載の超音波モータ用ステータにおいて、前記スリットは、中心軸に対して同一周方向に傾斜した状態で設けられた。このような構成によれば、縦振動が高い効率で捩り振動に変換、もしくは、捩り振動が高い効率で縦振動に変換される。
【0138】
(6) 請求項15〜請求項17のいずれか一項に記載の超音波モータ用ロータにおいて、前記スリットは、中心軸に対して同一周方向に傾斜した状態で設けられた。このような構成によれば、縦振動が高い効率で捩り振動に変換、もしくは、捩り振動が高い効率で縦振動に変換される。
【0139】
(7) 請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の超音波モータにおいて、前記素板はアルミニウム合金にて形成された。このような構成によれば、超音波モータの軽量化を図ることができる。
【0140】
(8) 請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載の超音波モータ用ステータにおいて、前記素板はアルミニウム合金にて形成された。このような構成によれば、ステータを軽量化することができる。
【0141】
(9) 請求項15〜請求項17のいずれか一項に記載の超音波モータ用ロータにおいて、前記素板はアルミニウム合金にて形成された。このような構成によれば、ステータを軽量化することができる。
【0142】
(10) 請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載の超音波モータ用ステータにおいて、前記素板には、素板同士を連結固定するための圧入嵌合部が形成され、前記振動変換部は、各素板同士を前記圧入嵌合部により連結固定して形成された。このような構成によれば、接着材を用いずに振動変換部を組み立てることができる。
【0143】
(11) 請求項15〜請求項17のいずれか一項に記載の超音波モータ用ロータにおいて、前記素板には、素板同士を連結固定するための圧入嵌合部が形成され、前記振動変換部は、各素板同士を前記圧入嵌合部により連結固定して形成された。このような構成によれば、接着材を用いずに振動変換部を組み立てることができる。
【0144】
尚、この明細書において、発明の構成に係る手段及び部材は、以下のように定義されるものとする。
(1) スリットとは、該振動変換部に励起された超音波の縦振動を捩り振動に変換、もしくは、捩り振動が高い効率で縦振動に変換する作用を備えたものであって、その軸線が振動変換部の中心軸に対して傾斜したもの及び傾斜していないものをも含み、又、曲面状に形成されるものをも含む。さらに、その周方向の幅が中心軸方向にほぼ一定に形成されるものや、同幅が中心軸方向で変化するように形成されるものを含むものとする。
【0145】
(2) 素板とは、金属にて円環状の平板に形成され、積層されて振動変換部を形成するものであって、形成された振動変換部に、該振動変換部に励起された超音波の縦振動を捩り振動に変換、もしくは、捩り振動を縦振動に変換する作用を有する複数のスリットを形成する貫通部(切り欠き部)が形成されたものであればよく、その厚さ、貫通部(切り欠き部)の数、材質は限定されない。
【0146】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1、請求項3及び請求項18に記載の発明によれば、スリットの切削加工なしでスリットを備えた振動変換部を容易に形成することができる。
【0147】
請求項2に記載の発明によれば、スリットが形成される部分で振動が効率良く伝達され、振動変換部の振動変換効率が向上される。
請求項4及び5に記載の発明によれば、大きな振幅の楕円振動が励起され、超音波モータの効率が向上される。
【0148】
請求項6に記載の発明によれば、別に電極を組付ける工程を必要とせず、製造コストが低減される。
請求項7に記載の発明によれば、回転部にて弾性振動励起部から伝達された縦振動が捩り振動に変換もしくは捩り振動が縦振動に変換される。
【0149】
請求項8に記載の発明によれば、例えば出力軸を容易に連結することができる。
請求項9に記載の発明によれば、接着剤を用いずに振動変換部を組み立てることができる。
【0150】
請求項10に記載の発明によれば、振動変換部の振動変換効率を適宜変更することができる。
請求項11に記載の発明によれば、ケースを固定して回転軸から駆動力を得ることができる。
【0151】
請求項12及び14に記載の発明によれば、スリットの切削加工なしでステータにスリットを備えた振動変換部を容易に形成することができる。
請求項13に記載の発明によれば、スリットが形成される部分で振動が効率良く伝達され、振動変換部の振動変換効率が向上される。
【0152】
請求項15及び17に記載の発明によれば、スリットの切削加工なしでロータにスリットを備えた振動変換部を容易に形成することができる。
請求項16に記載の発明によれば、スリットが形成される部分で振動が効率良く伝達され、振動変換部の振動変換効率が向上される。
【0153】
請求項19に記載の発明によれば、別に電極を組付ける工程を必要とせず、製造コストが低減される。
請求項20に記載の発明によれば、振動変換効率の良好な超音波モータを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の超音波モータを示す斜視図。
【図2】 同じく分解斜視図。
【図3】 同じく断面図。
【図4】 第2の実施の形態の超音波モータを示す断面図。
【図5】 一部を分解したステータを示す斜視図。
【図6】 第3の実施の形態の超音波モータを示す分解斜視図。
【図7】 第3の実施の形態の超音波モータを示す断面図。
【図8】 第3の実施の形態の超音波モータを製造する方法の説明図。
【図9】 (a),(b)共に別例の超音波モータを示す正面図。
【図10】 (a),(b)共に別例の超音波モータを示す正面図。
【図11】 (a)別例の超音波モータを示す正面図、(b)別例の振動変換部を示す斜視図。
【図12】 別例の超音波モータを示す斜視図。
【図13】 別例の超音波モータを示す断面図。
【図14】 別例の素板を示す斜視図。
【図15】 従来例の超音波モータを示す斜視図。
【符号の説明】
2,63,112…弾性振動励起部としてのステータ、3,80…回転部としてのロータ、4,113…第1振動励起部としての第1ブロック、5…第2振動励起部としての第2ブロック、6…圧電素子を構成する第1圧電素子、7…同じく第2圧電素子、11,65,115…振動変換部としての上側ブロック、11a,65a…周面、14,71,77,114,131〜134…素板、15,72,86,87,89,92,119,135…スリット、17,73,118,131a〜134a…貫通部としての切り欠き部、51…ケース、58…回転軸、74…圧入嵌合部を構成する凸状嵌合部、75…同じく嵌合孔。
Claims (20)
- 圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、
スリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、
前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部と
を備えた超音波モータにおいて、
前記振動変換部は、
ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記スリットは、積層された各素板の貫通部にて形成された超音波モータ。 - 前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部である請求項1に記載の超音波モータ。
- 圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、
外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、
前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部と
を備えた超音波モータにおいて、
前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された超音波モータ。 - 前記弾性振動励起部は、前記圧電素子を挟持するように設けられた第1振動励起部及び第2振動励起部を備えた
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波モータ。 - 前記振動変換部は、前記弾性振動励起部に設けられた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波モータ。
- 前記圧電素子に接続される電極は、ほぼ円板状に形成され、前記振動変換部に中心軸方向に積層されて配設される請求項5に記載の超音波モータ。
- 前記振動変換部は、前記回転部に設けられた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波モータ。
- 前記回転部を形成する複数の前記素板の内の少なくとも1つは、周方向に係合する動力伝達部を有する請求項7に記載の超音波モータ。
- 前記素板には、該素板同士を連結固定するための圧入嵌合部が形成され、前記振動変換部は、各素板同士を前記圧入嵌合部により連結固定して形成された請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波モータ。
- 前記振動変換部は、該振動変換部を形成する前記素板が脱着可能である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の超音波モータ。
- 前記弾性振動励起部は、該弾性振動励起部、前記回転部及び振動変換部を覆うように形成されたケースに固定支持され、前記回転部は、前記ケースに回転可能かつ中心軸方向に移動不能に支持されるとともに該ケースから外部に延出された回転軸に固定連結された請求項1乃至10のいずれか1項に記載の超音波モータ。
- 圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、
スリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と
を備えた超音波モータ用ステータにおいて、
前記振動変換部は、
ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記スリットは、積層された各素板の貫通部にて形成された超音波モータ用ステータ。 - 前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部である請求項12に記載の超音波モータ用ステータ。
- 圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、
外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と
を備えた超音波モータ用ステータにおいて、
前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され、外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された超音波モータ用ステータ。 - スリットが形成され、該スリットの作用により弾性振動励起部に励起された超音波の縦振動を捩り振動に変換、もしくは、捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、
前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部と
を備えた超音波モータ用ロータにおいて、
前記振動変換部は、
ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記スリットは、積層された各素板の貫通部にて形成された超音波モータ用ロータ。 - 前記貫通部は、略環状に形成される前記素板の内周面に開口するように形成される切り欠き部である請求項15に記載の超音波モータ用ロータ。
- 外周部には周面に開口するスリットが形成され、該スリットの作用により弾性振動励起部に励起された超音波の縦振動を捩り振動に変換、もしくは、捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、
前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部と
を備えた超音波モータ用ロータにおいて、
前記振動変換部は、ほぼ円板状に形成され、外周部にはほぼ径方向に延びるように形成されるとともに周面に開口する切り欠き部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成され、前記各スリットは、積層された各素板の切り欠き部にて形成された超音波モータ用ロータ。 - 圧電素子を備え、該圧電素子により超音波の縦振動もしくは捩り振動が励起される弾性振動励起部と、
スリットが形成され、該スリットの作用により前記弾性振動励起部に励起された前記縦振動を捩り振動に変換、もしくは、前記捩り振動を縦振動に変換する振動変換部と、
前記弾性振動励起部にて励起された超音波振動と、前記振動変換部にて変換された超音波振動との合成により生成される楕円振動により回転駆動される回転部と
を備えた超音波モータの製造方法において、
前記振動変換部を、
ほぼ円板状に形成されるとともに、ほぼ径方向に延びるように形成される貫通部が形成された素板を中心軸方向に複数個積層して形成し、前記スリットを、積層された各素板の貫通部にて形成する超音波モータの製造方法。 - 前記素板を複数個積層して、前記振動変換部を形成する際、ほぼ円板状に形成され、前記圧電素子に接続される電極を前記素板と共に積層して配設する請求項18に記載の超音波モータの製造方法。
- 前記弾性振動励起部、前記振動変換部及び前記回転部を仮に組付け、該振動変換部の振動変換効率を測定し、その測定結果に基づいて、該振動変換部の該素板の枚数を変更又は同素板の枚数の異なる前記振動変換部に変更して、該振動変換部の振動変換効率が所定の値となるようにする請求項18又は19に記載の超音波モータの製造方法。
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