JP3919065B2 - サイドバーシリンダ錠 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダ錠に関し、更に詳しくはタンブラとサイドバーとを備えて形成されているサイドバーシリンダ錠に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来この種のシリンダ錠としては、例えば鍵孔が軸方向に延びて形成されると共に、この鍵孔の長手方向に沿って板状のタンブラが配置された内筒と、この内筒を回転自在に収納する外筒とを備えてなるものがある。この従来品の場合は、サイドバーを介して内筒が外筒に係合され、キーを鍵孔に差し込むとタンブラがセットされてサイドバーの基端がタンブラの凹みに係合し、これにより内筒と外筒との係合状態が解除され、内筒が回転可能になるものである（例えば特開平２ー３８６７５号公報参照）。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこの種のシリンダ錠は、防犯性能が良くなるよう、ピック（開錠工具）を使用した不正開錠行為（ピッキング）を確実に防止できるよう形成されているのが望ましい。
【０００４】
しかるに従来品は、タンブラの先端が鍵孔の縦方向（キーの上下の高さ方向）に沿って鍵孔に臨まれ、タンブラが板状に形成されていただけではなく、鍵孔の長手方向に沿って一列に配置されていたから、従来品によると、ピックを鍵孔に差し入れて操作し易く、その結果防犯性能が悪い、という問題点があった。
【０００５】
又従来品は、サイドバーを複数のコイルバネで側方に弾発させる構造であったから、従来品によるとコイルバネの装填作業やサイドバーの組付け作業が面倒で、その分、この種シリンダ錠の組立て作業に手間暇がかかる、という問題点があった。
【０００６】
本発明は、このような従来品の問題点に鑑み、提案されたものである。
【０００７】
従って本発明の技術的課題は、サイドバーを備えてなるシリンダ錠において、不正開錠行為を確実に防止できるようにして防犯性能を高め、又サイドバーの組付け作業の簡単化、迅速化を図ることができるよう形成したサイドバーシリンダ錠を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような技術的手段を採る。
【０００９】
即ち本発明は、図１に示されるように、軸方向に延びて鍵孔１ａが形成されると共に、この鍵孔１ａの長手方向に沿って配置されたタンブラ１ｂを有する内筒１と、この内筒１を回転自在に収納する外筒２とを備え、上記の内筒１が側方に弾発されているサイドバー４を介して外筒２に係合され、キー５が鍵孔１ａに差し込まれるとタンブラ１ｂがセットされサイドバー４の基端がタンブラ１ｂの凹み１ｂ1に係合して内筒１が外筒２に対して回転自在になるサイドバーシリンダ錠であって、上記の鍵孔１ａが内筒１の偏心位置に且つサイドバー４の弾発方向と平行状に開口され、上記のタンブラ１ｂがピン状に形成されると共に、鍵孔１ａに先端を臨ませて二列に並列状に設けられ、上記のサイドバー４が内筒１の直径線上に左右一対設けられると共に、板バネ３で弾発されて外筒２の内周面の係合溝２ａに係合され、又上記のキー５の長手方向に延びる端縁で制御されるサイドピン１ｅを備え、このサイドピン１ｅは鍵孔１ａと連通する収納孔１ｆに、基端が鍵孔１ａに対し侵入自在に収納され、このサイドピン１ｅの先端に対応する外筒２の内周面位置に、サイドピン１ｅの先端と係合する凹部２ｂが溝状に形成され、上記のサイドバー４と係合する外筒２の内周面の係合溝２ａが、周方向に９０度づつ隔てて計３本形成されていることを特徴とする（請求項１）。
【００１０】
本発明品の場合は、サイドピン１ｅを備えているため、その分、ピッキングを防止でき、防犯性能の向上を図ることができる。
【００１１】
又本発明は、凹部２ｂが溝状に形成されているから、これによると、サイドピン１ｅの配設位置を、外筒２の長手方向に沿って適宜変更しても、変更位置に合わせて凹部２ｂを個別に形成する必要がない。なお本発明の場合、サイドピン１ｅは、鍵孔１ａの両側に設けられるのでも良い。この場合は、一層、防犯性能の向上を図ることができるからである。
【００１２】
又本発明の場合は、上記の通り、係合溝２ａが、周方向に９０度づつ隔てて計３本形成されている。従ってこれによると、９０度という明確で且つ操作し易い位置において施錠、開錠操作でき、又内筒１を９０度回転させたとき、サイドバー４の片方だけが係合溝２ａに係合するため、内筒１の係合状態の解除を小さな力で行なえ、操作を容易化できる。
【００１３】
而して本発明は、キー５の両板面及び両端縁に、タンブラ１ｂと係合する凹孔５ａ及びサイドピン１ｅと係合する凹段差部５ｂが同一パターンで形成されているのが好ましい（請求項２）。
【００１４】
なぜならこの場合は、キー５の表裏を確認することなくキー５を差し込み操作でき、その分、使い勝手が良くなるからである。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に従って説明する。
【００１６】
図１等において、１は内筒であり、２はこの内筒１を回転自在に収納する外筒である。内筒１は、軸方向に延びて鍵孔１ａが形成されると共に、この鍵孔１ａの長手方向に沿って配置されたタンブラ１ｂを備えて形成されている。
【００１７】
又上記の内筒１は、板バネ３で側方に弾発されているサイドバー４を介して外筒２に係合されている。サイドバー４は、内筒１の直径線上に左右一対設けられている。
【００１８】
上記の鍵孔１ａは、内筒１の偏心位置に、且つサイドバー４の弾発方向と平行状に開口されている。又上記のタンブラ１ｂは、ピン状に形成されると共に、鍵孔１ａに先端を臨ませて二列に並列状に設けられている。又このタンブラ１ｂは、サイドバー４の基端が係合する凹み１ｂ1を胴部に環状に備えて形成されている。１ｃは、タンブラ１ｂを鍵孔１ａの側に常時弾発するコイルスプリングである。又１ｄは、タンブラ１ｂ及びコイルスプリング１ｃの抜け落ちを防止するための閉じ蓋である。
【００１９】
５は、キーである。本発明は、このキー５が鍵孔１ａに差し込まれるとタンブラ１ｂがセットされ、サイドバー４の基端がタンブラ１ｂの凹み１ｂ1に係合して内筒１が外筒２に対して回転自在になる。キー５は、この実施形態では両板面及び両端縁に、タンブラ１ｂと係合する凹孔５ａ及びサイドピン１ｅと係合する凹段差部５ｂが同一パターンで形成されている。
【００２０】
上記の外筒２は、サイドバー４の先端と対応する内周面位置に、サイドバー４の先端が係合する係合溝２ａを備えている。この係合溝２ａは、外筒２の長手方向に延びて周方向に９０度づつ隔てて計３本形成されている。
【００２１】
又外筒２は、図３、図４に示されるように、外周面にナット６が螺合され、このナット６を締付けることで扉等の取付部７に固定されるものである。
【００２２】
サイドピン１ｅは、キー５の長手方向に延びる端縁で制御されるものである。このサイドピン１ｅは、鍵孔１ａと連通する収納孔１ｆに、基端が鍵孔１ａに対し侵入自在に収納され、この実施形態では鍵孔１ａの片側に設けられている。又サイドピン１ｅの先端は、対応する外筒２の内周面位置に形成された凹部２ｂに係合されるものである。この凹部２ｂは、外筒２の長手方向に延びて溝状に形成されている。
【００２３】
次に本発明の作用を説明する。
【００２４】
先ず使用者が、図１に示されるように、キー５を鍵孔１ａに差し込むと、各タンブラ１ｂがコイルスプリング１ｃの弾発力に抗して押し戻され、凹み１ｂ1がサイドバー４の基端と対応する位置に配置される。この場合、サイドピン１ｅもキー５の端縁の凹段差部５ｂと係合可能になる。
【００２５】
次に使用者が、キー５を同図において時計方向に回転させると、サイドバー４及びサイドピン１ｅは係合溝２ａ及び凹部２ｂの傾斜面によって徐々に内方に押し込まれ、夫々基端がタンブラ１ｂの凹み１ｂ1及びキー５の端縁の凹段差部５ｂに係合する。そしてサイドバー４及びサイドピン１ｅが内筒１内に完全に没すると、内筒１と外筒２の係合状態が解かれ、内筒１は回転可能になる（図６参照）。
【００２６】
そして図７に示されるように、時計方向に９０度回転させ、片方のサイドバー４の先端が上部の係合溝２ａと対応する位置に至ると、板バネ３の弾発力で片方のサイドバー４の先端が上部の係合溝２ａに係合し、内筒１が係止する。これにより例えばドアのロック状態が解かれて開錠する。
【００２７】
又施錠する場合は、図７の状態から使用者は反時計方向にキー５を回す。すると片方のサイドバー４が上例と同様の作用で内方に押し戻され、内筒１と外筒２の係合状態が解かれる。そして使用者が、キー５と一緒に内筒１を反時計方向に９０度回転させ（図１の状態参照）、キー５を鍵孔１ａから抜くと板バネ３の作用でサイドバー４が側方に弾発され、サイドバー４の先端が夫々係合溝２ａに係合し、内筒１が外筒２に係合される（図５の状態参照）。
【００２８】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、タンブラの先端が鍵孔の幅狭方向（キーの板厚に対応する方向）から鍵孔に臨まれ、タンブラが二列であり、又サイドバーは左右一対設けられているものである。
【００２９】
従って本発明の場合は、鍵孔にピックを差し込み難く、又ピックを鍵孔内で操作し難いから、これによれば防犯性能の向上を図ることができる。
【００３０】
又本発明は、板バネでサイドバーを弾発しているため、サイドバーの組付けを容易化、迅速化できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明シリンダ錠の好適な一実施形態を示す要部縦断面図である。
【図２】同上シリンダ錠の要部分解斜視図である。
【図３】同上シリンダ錠の正面図である。
【図４】同上シリンダ錠の要部分解側面図である。
【図５】同上シリンダ錠の要部縦断面図である。
【図６】同上シリンダ錠の作用を説明するための要部縦断面図である。
【図７】同上シリンダ錠の作用を説明するための要部縦断面図である。
【符号の説明】
１ 内筒
１ａ 鍵孔
１ｂ タンブラ
１ｂ1 凹み
２ 外筒
２ａ 係合溝
３ 板バネ
４ サイドバー
５ キー

Claims (2)

1. 軸方向に延びて鍵孔が形成されると共に、この鍵孔の長手方向に沿って配置されたタンブラを有する内筒と、この内筒を回転自在に収納する外筒とを備え、上記の内筒が側方に弾発されているサイドバーを介して外筒に係合され、キーが鍵孔に差し込まれるとタンブラがセットされサイドバーの基端がタンブラの凹みに係合して内筒が外筒に対して回転自在になるサイドバーシリンダ錠であって、上記の鍵孔が内筒の偏心位置に且つサイドバーの弾発方向と平行状に開口され、上記のタンブラがピン状に形成されると共に、鍵孔に先端を臨ませて二列に並列状に設けられ、上記のサイドバーが内筒の直径線上に左右一対設けられると共に、板バネで弾発されて外筒の内周面の係合溝に係合され、又上記のキーの長手方向に延びる端縁で制御されるサイドピンを備え、このサイドピンは鍵孔と連通する収納孔に、基端が鍵孔に対し侵入自在に収納され、このサイドピンの先端に対応する外筒の内周面位置に、サイドピンの先端と係合する凹部が溝状に形成され、上記のサイドバーと係合する外筒の内周面の係合溝が、周方向に９０度づつ隔てて計３本形成されていることを特徴とするサイドバーシリンダ錠。
2. 請求項１記載のサイドバーシリンダ錠であって、キーの両板面及び両端縁に、タンブラと係合する凹孔及びサイドピンと係合する凹段差部が同一パターンで形成されていることを特徴とするサイドバーシリンダ錠。

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