JP3918604B2 - 体内挿入型超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、体内に挿入されて、超音波走査を行うようにした体内挿入型超音波診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
体内に挿入される挿入部の先端に超音波トランスデューサを設けて、この超音波トランスデューサを回転方向または直線方向に移動させることにより走査する構成とした体内挿入型超音波診断装置は、従来から用いられている。この種の超音波診断装置は、直接または内視鏡等をガイド手段として体腔内に挿入される挿入部とその操作部とから構成され、この挿入部は操作部と一体に設けられるか、または別個の部材で形成して、両者を着脱可能に連結する構成としている。
【0003】
挿入部の先端に設けられる超音波トランスデューサの保護等を図るために、先端を閉塞させるか、または音響特性に優れたキャップを装着する等により閉塞させた可撓性チューブからなる軟性部材を用い、この軟性部材の先端部内に超音波トランスデューサを装着するようにしている。超音波トランスデューサによってラジアル走査を行う場合には、軟性部材内で超音波トランスデューサを回転駆動する。この超音波トランスデューサを回転駆動するために、超音波トランスデューサを回転支持基台に装着して、この回転支持部材に回転伝達部材を連結して、この回転伝達部材を挿入部の基端部にまで延在させるようにしている。挿入部と操作部とが一体に設けられる場合には、回転伝達部材は操作部にまで延在されて、モータ等の駆動手段に接続される。また、挿入部と操作部とを別部材としたものにあっては、回転伝達部材は挿入部の基端部に延在されて、カップリング部に連結されており、このカップリング部を操作部における駆動手段に着脱可能に接続するように構成している。リニア走査を行う際には、走査時には超音波トランスデューサを回転駆動する必要はないが、超音波トランスデューサの方向を制御するために、やはり回転伝達部材を設けて、超音波トランスデューサをこの回転伝達部材により方向転換させることができるようになっている。
【0004】
ここで、超音波トランデューサが挿入部内で軸線方向の位置を規制する必要があり、この超音波トランスデューサの位置規制を行なうようにしたものが、例えば特開平7−275243号公報に開示されている。この従来技術による体内挿入型超音波診断装置では、挿入部の先端近傍に係止リングを設けて、この係止リングに超音波トランスデューサを装着した回転支持部材の基端面を押し付ける方向に付勢することにより、超音波トランスデューサを回転自在で、かつ軸線方向には動かないように保持する構成としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した従来技術の超音波診断装置においては、超音波トランスデューサの軸線方向の動きを規制するための手段としての係止リングの内径は、超音波トランスデューサの回転支持部材の外径より小さいために、この回転支持部材は係止リングの内部を通過させることはできない。従って、係止リングへの挿入はフレキシブルシャフト側から行なうことになる。つまり係止リングへの挿入は、先端側から行なわなければならない。ここで、挿入部の先端は閉塞させているので、挿入部の先端部分を開放した状態でしか、挿入部に超音波トランスデューサとその回転支持部材及びフレキシブルシャフトからなるユニットを装着することはできない。このために、挿入部において、係止リングの装着部より先端側の位置で少なくとも2分割する必要がある。従来技術において、挿入部を軟性チューブと先端キャップとの2部材で構成し、軟性チューブ側に係止リングを取り付けておき、超音波トランスデューサを含むユニットを、フレキシブルシャフト側から係止リングの内部に挿通させ、回転支持部材が係止リングの先端面に当接した状態で、先端キャップを軟性チューブに連結するようにしている。
【0006】
以上の従来技術の構成では、挿入部を2部材で形成して、相互に連結するようにすると、その構成が複雑になるだけでなく、挿入部の組立が面倒になる等といった問題点がある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、超音波トランスデューサを挿入部の外装部を先端が閉塞した軟性チューブで構成し、かつこの超音波トランスデューサを軟性チューブの軸線方向の位置を固定的に保持できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、先端が閉塞した軟性チューブと、この軟性チューブの先端部の内部に配設され、回転支持基台に装着した超音波トランデューサと、この超音波トランデューサを回転駆動するために、密着コイルからなり、その一端が前記回転支持部材に連結され、他端が回転駆動部に連結される回転体に連結されたフレキシブルシャフトとからなる挿入部を有する体腔内挿入型超音波診断装置であって、前記フレキシブルシャフトには、内径が前記フレキシブルシャフトの外径より大きく、前記回転支持部材の外径より小さく、かつ外径寸法が前記軟性チューブの内径より小さい係止リングを嵌合させて設け、前記軟性チューブの外周部には、この軟性チューブを縮径させることにより前記係止リングが軟性チューブの軸線方向に移動不能となるように固定するリング固定部材を設け、また前記回転部材は前記軟性チューブの基端部に連結した固定側部材に当接させて設け、前記フレキシブルシャフトを自然状態にしたときに、その前記回転支持部材への連結部から前記固定側部材への連結部までの長さ寸法は、前記軟性チューブに固定した前記係止リングの先端面から前記固定側部材との連結部間の長さ寸法より短くし、前記フレキシブルシャフトを前記挿入部内で引き伸ばした状態に装着する構成としたことをその特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態においては、内視鏡の処置具挿通チャンネルをガイドとして体腔内に挿入される超音波診断装置であって、その挿入部を操作部に着脱可能に連結するように構成したものを示すが、本発明の超音波診断装置はこれに限定されるものではなく、体腔内に直接挿入されるものや、挿入部と操作部とを一体に設けたもの等として構成することもできる。また、超音波トランスデューサによってラジアル走査を行うように構成したものを示すが、これ以外の、例えばリニア走査方式等にも適用できる。
【0010】
而して、図1には、超音波診断装置を内視鏡に挿通させた状態を示す。図中において、1は内視鏡であり、内視鏡1は本体操作部2に体腔内への挿入部3を連設してなるものであり、この挿入部3の先端部には、照明窓4及び観察窓5からなる内視鏡観察手段が装着されている。また、本体操作部2から挿入部3の先端に至るまでの部位には、鉗子その他の処置具を挿通するための処置具挿通チャンネル6が設けられており、この処置具挿通チャンネル6の先端は、これら照明窓4,観察窓5等を設けた部位の近傍に処置具導出口6aとして開口している。
【0011】
超音波診断装置10は、挿入部11と操作部12とを有し、挿入部11の基端部は操作部12に着脱可能に接続されるようになっており、また操作部12は、内視鏡1の本体操作部2において、処置具挿通チャンネル6の入口部6bに着脱可能に装着されるようになっている。また、操作部12には、超音波観測装置(図示せず)に接続されるコード13が装着されている。
【0012】
図2に挿入部11の構成を、また図3に操作部12の構成をそれぞれ示す。挿入部11の外装部としては、電気絶縁性の良好な樹脂材からなり、先端が閉塞されたウレタン樹脂等の軟性樹脂材からなる軟性チューブ20で構成されており、内部には超音波伝達媒体が封入されている。そして、この軟性チューブ20内における先端部分に超音波トランスデューサ21を装着した回転支持部材としての回転支持基台22が設けられている。回転支持基台22にはフレキシブルシャフト23の先端部が連結されている。
【0013】
フレキシブルシャフト23は、金属線材を密巻き螺旋状に巻回した密着コイルからなり、この密着コイルは2重構造になっている。外側の密着コイルの巻回方向と、内側の密着コイルの巻回方向とは相互に反対方向となっており、これによってフレキシブルシャフト23の基端部を左右いずれの方向に回転させても、その回転力を確実に先端部分にまで及ぼすことができ、もって超音波トランスデューサ21を装着した回転支持基台22を回転駆動できるようになっている。また、フレキシブルシャフト23内には、ケーブル24が挿通されており、このケーブル24の先端は超音波トランスデューサ21に接続されている。なお、フレキシブルシャフト23は、2重の密着コイルだけでなく、回転方向が1方向であれば、1重のものであっても良く、また3重乃至それ以上の密着コイルや、複数本の金属線材を螺旋状に巻回した多条コイルや、また複数本の金属線材を2重乃至それ以上に巻回した多条・多重コイル等によっても形成できる。
【0014】
挿入部11の基端部は、操作部12に着脱可能に接続されるコネクタ25となっている。このコネクタ25は、回転側部材と固定側部材とから構成される。フレキシブルシャフト23は回転体としての回転筒26に固着して設けられており、この回転筒26は保持筒27に連結され、この保持筒27はケーブル24が接続される回転電極28を抱持するようになっている。一方、軟性チューブ20はスリーブ29に嵌合されており、このスリーブ29は外筒30に螺挿された保持部材31に固着して設けられている。そして、連結筒31には折れ止めようのゴムチューブ32が嵌合固着されており、挿入部11における軟性チューブ20の基端側の部位をこのゴムスリーブ32に囲繞させるようにしている。従って、フレキシブルシャフト23に連結した回転筒26,保持筒27及び回転電極28が回転側部材を構成し、また軟性チューブ20に連結したスリーブ29,連結筒31及び外筒30、さらにゴムスリーブ32は固定側部材となっている。
【0015】
この挿入部11のコネクタ25が接続される操作部12は、ハウジング40を有し、このハウジング40には、コネクタ25が装着される接続部41が設けられている。この接続部41は、挿入部11の外筒30を回転不能に受承するためのものであって、またこの接続部41には、回転電極28が着脱可能に接続される回転体42が臨んでいる。回転体42には一対の電極が設けられている。そして、回転電極28を回転体42に連結すると、両者が電気的に接続されると共に、回転体42を回転させると、回転電極28は確実に追従回転するようになっている。このために、回転体42と回転電極28との間には、図示は省略するが、例えば回転体42の周胴部に面取りを施し、回転電極28には、この面取り部に当接する回転規制部を設ける等によって、両者の相対回転を防止する機構を介在させる。
【0016】
回転体42は、ハウジング40内において、軸受43,43により回転自在に支承されており、その他端は流体接点,ブラシ接点,スリップリング等を介して固定ソケット44に連結されており、この固定ソケット44にはコード13内に挿通したケーブル45が接続されている。これによって、フレキシブルシャフト23内に挿通されて、それと共に回転するケーブル24は、回転電極28,回転体42及び固定ソケット44を順次介して非回転状態となっているコード13内のケーブル45に電気的に接続される。
【0017】
フレキシブルシャフト23を回転駆動するために、ハウジング40内にはモータ46及びエンコーダ47が設けられており、回転電極28が連結される回転体42には、2個のプーリ48,49が設けられている。そして、モータ46の出力部46aとプーリ48との間及びエンコーダ47の入力部47aとプーリ49との間には、それぞれ動力伝達ベルト50,51が巻回して設けられている。従って、モータ46を作動させると、回転体42が回転することになり、この時の回転体42の回転角はエンコーダ47により検出されるようになっている。
【0018】
操作部12は、処置具挿通チャンネル6の入口部6bに着脱可能に接続されるようになっている。このために、操作部12にはこの入口部6bに挿嵌される取付部52が設けられており、この取付部52内には挿入部11を挿通させる挿通路52aが形成されている。従って、この取付部52を処置具挿通チャンネル6の入口部6bに挿嵌することによって、操作部12を固定でき、しかもこの状態で、挿入部11を挿通路52aに沿って適宜抜き差しすることによって、この挿入部11の先端部分の処置具導出口6aからの突出長さを調整できるようになっている。
【0019】
以上のように構成される超音波診断装置を用いて体内の超音波診断を行うには、まず内視鏡1の挿入部3を体腔内に挿入して、超音波診断装置10の挿入部11を処置具挿通チャンネル6に挿入し、この挿入部11が接続されている操作部12の取付部52を入口部6bに固定する。そして、超音波診断を行うべき部位に内視鏡1の挿入部3が位置すると、超音波診断装置10の挿入部11を処置具導出口6aから所定の長さ突出させる。
【0020】
この状態で、操作部12に設けたモータ46を駆動することによって、回転体42を回転させる。この回転体42の回転は、回転電極28及び保持筒27を介してフレキシブルシャフト23に連結されている回転筒26が回転する。これによって、回転力がフレキシブルシャフト23に伝達されて、このフレキシブルシャフト23がその軸回りに回転することになって、その先端に連結した回転支持基台21に装着した超音波トランスデューサ21が回転駆動される。而して、軟性チューブ20内に封入されている超音波伝達媒体として潤滑機能を持ったものを用いれば、フレキシブルシャフト23の回転時に、それと軟性チューブ20の内面との摺動摩擦の低減を図ることができ、より円滑な回転が可能となる。
【0021】
ここで、この超音波トランスデューサ21は、回転体42と一体に回転するものであって、この回転体42の回転角はエンコーダ47により検出されることから、このエンコーダ47からの出力信号に基づいて、所定回転角毎に超音波トランスデューサ21から軟性チューブ20を介して超音波パルスを体内に向けて送信し、体内における組織断層部からの反射エコーを超音波トランスデューサ21で受信させて、この受信信号をケーブル24から回転電極28及び回転体42、さらには固定ソケット44及びケーブル45を介して超音波観測装置に伝送して、この超音波観測装置において、所定の信号処理を行って、モニタにその超音波画像が表示される。
【0022】
ところで、軟性チューブ20内に収納され、超音波トランスデューサ21が装着されている回転支持基台22は、この軟性チューブ20内における先端部に配置されていることが、所望の位置の超音波走査を行うことができ、また観察窓5を介して超音波トランスデューサ21の位置を確認する上で必要となる。即ち、超音波トランスデューサ21は、軟性チューブ20内において、できるだけ先端位置に配置され、しかも挿入部11が曲げられたとしても、その位置は常に一定であることが好ましい。つまり、軟性チューブ20の先端近傍に軸線方向に移動不能に保持されていなければならない。
【0023】
以上の要請を満たすために、挿入部11の先端部分の構成を図4に示したようにしている。ここで、挿入部11の外装部を構成する軟性チューブ20は先端が閉塞したものから構成される。即ち、挿入部11の外装体は単一の部材で構成される。そして、この軟性チューブ20の内部に係止リング35が固定されており、回転支持基台22が当接している。フレキシブルシャフト23の全長、即ちこのフレキシブルシャフト23の回転支持基台22への連結部から回転筒26への連結部までの自然状態における長さL1を、固定側部材である軟性チューブ20の係止リング35の先端面から連結筒31の回転筒26との当接部までの長さL2より短く設定する。これによって、回転支持基台22の端面22aと、回転筒26の端面26aとがフレキシブルシャフト23の両端のストッパ部として機能し、またこれら端面22a,26aと当接する固定側部材としての係止リング35の先端面35a及び連結筒31の端面31aとが係止部として機能する。
【0024】
このように構成することによって、フレキシブルシャフト23がある程度引っ張られた状態にして装着されるようになる。ここで、フレキシブルシャフト23側の長さL1と、軟性チューブ20側の長さL2との差は、内視鏡1の挿入部3を体腔内に挿入することにより、超音波診断装置10の挿入部11が処置具挿通チャンネル6に沿って曲がった時に、軟性チューブ20内でフレキシブルシャフト23が前方に移動する長さ以上に設定する。例えば、内視鏡として胃鏡の場合には、内視鏡側の挿入部は口腔から咽喉部を経て食道を通り、胃まで導かれるが、この挿入経路での曲がりを考慮し、その間にフレキシブルシャフト23の前方への移動量以上の長さの差を持たせる。一般に、軟性チューブ20の内径と、フレキシブルシャフト23の外径との径差を、この軟性チューブ20内でフレキシブルシャフト23が円滑に回転するのを阻害しないことを限度として、できるだけ小さくした場合には、フレキシブルシャフト23の引き伸ばし量は、1%以下で十分である。
【0025】
これによって、挿入部11が挿入経路に沿って曲がって、フレキシブルシャフト23が軟性チューブ20内で、この曲がった部分の内面に沿うように変位した時に、このフレキシブルシャフト23は収縮するだけで、その先端に連結されている回転支持基台22が前方に押し出されるようなことはなく、回転支持基台22の端面22aは係止リング35の端面35aと当接した状態に保持される。従って、回転支持基台22を軟性チューブ20における先端キャップ20aに極めて近接した位置に配設しても、それが軟性チューブ20の先端面に当接するようなことはなくなる。その結果、挿入部11を処置具挿通チャンネル6の処置具導出口6aから突出させた時に、この突出部分の最先端部位で超音波走査を行うことができるようになることから、体腔内に凹凸等がある場合でも、所望の位置の超音波走査を行うことができるようになる。また、観察窓5を介して挿入部11の先端部分の位置を確認すれば、ほぼその位置に超音波トランスデューサ21が配置されていることを検出できるので、超音波走査位置の確認が容易であり、従って超音波トランスデューサ21を確実に目的とする位置に配置して超音波走査を行える等、超音波診断装置の操作性が著しく良好となる。
【0026】
フレキシブルシャフト23は、密着コイルからなるものであり、引っ張った状態にして装着して装着することは可能である。ただし、引っ張った状態にすると、コイル相互間の密着性が損なわれることになる。しかしながら、前述したように、その引き伸ばし量が1%以下であれば、引っ張った状態に装着しても、超音波トランスデューサ21に対する回転力の伝達をほぼ遊びがなく、効率的に行える。この状態では、回転支持基台22と係止リング35との当接部及び回転筒26と連結筒31との間の当接部には、比較的に弱いが、ある程度の圧接力が作用する。このために、これらの間の摺動摩擦を最小限に抑制する必要がある。そこで、一方のストッパ部を構成する連結筒31を金属で形成して、その端面31aを平滑に仕上げるようにする。また、回転筒26を滑りの良い樹脂材で形成して、端面26aをやはり平滑に仕上げる。このように、平滑に仕上げた金属と樹脂とを接触させることによって、相互の円滑な摺動が可能となる。
【0027】
一方、係止リング35は、その先端面を回転支持基台22の基端面と当接させるが、さらにフレキシブルシャフト23に対して実質的に摺動させるようにするのが望ましい。これによって、フレキシブルシャフト23から回転支持基台22に回転力を伝達する際に、この回転支持基台22が振動するのを防止する。即ち、係止リング35は、実質的にフレキシブルシャフト23の先端部分を回転動作のみを行なわせる実質的な軸受リングの機能を発揮させる。このために、係止リング35の先端面と内面とを平滑に仕上げると共に、回転支持基台22の基端面も平滑化させて摺動摩擦の低減を図っている。
【0028】
以上により。超音波トランスデューサ21を設けた回転支持基台22は回転方向以外の動きが規制されて、みだりに軸線方向に移動したり、回転伝達時に振れ等が発生したりすることがなくなる。また、超音波走査時に、超音波トランスデューサ21が回転むらを起こしたりすることがなくなる。その結果、常に目標とする位置で、正確で安定的な超音波断層像が得られることになる。
【0029】
ところで、回転支持基台22が軟性チューブ20内において、係止リング35に規制されて、それ以上基端側に移動不能となっているので、そのままでは回転支持基台22及びフレキシブルシャフト23からなる超音波検査を行うユニットは軟性チューブ20の先端側からは挿入できない。以上のことから、係止リング35の内径寸法はフレキシブルシャフト23の外径寸法より大きく、より好ましくはほぼ同じ寸法とする。また、勿論、この係止リング35の内径より回転支持基台22の外径寸法より大きくする。係止リング35をこのような寸法とすることによって、この係止リング35はフレキシブルシャフト23の基端側から挿入して、回転支持基台22の基端部に当接する位置に配置することができる。
【0030】
一方、図5に示したように、係止リング35の外径寸法D1を軟性チューブ20の内径D2より小さくする。これによって、係止リング35をフレキシブルシャフト23に装着した状態で、これらとフレキシブルシャフト23の先端に連結され、超音波トランスデューサ21を装着した回転支持基台22は軟性チューブ20の基端側から挿入することができる。
【0031】
係止リング35は少なくとも軸線方向には固定的に保持されていなければならない。そこで、係止リング35は、それが軟性チューブ20内に挿入されて、所定の位置、つまり前述したフレキシブルシャフト23が引き伸ばされて、回転支持基台22の端面がこの係止リング35の先端面に当接するように付勢した状態となる位置で、軟性チューブ20に対して固定される。このために、軟性チューブ20を外面側から縮径させる。軟性チューブ20を外周側から圧縮すると、その内径が収縮して、係止リング35の外面に圧接されることになる。その結果、接着等の手段を用いることなく係止リング35が固定され、軟性チューブ20の内面に沿って軸線方向に移動することはない。
【0032】
ここで、軟性チューブ20を外周側から縮径させるために、図4に示したように、係止リング35が装着されている位置に糸を巻着する、所謂糸巻き部36を形成する。従って、この糸巻き部36は係止リング35を軟性チューブ20に対して固定するためのリング固定部材として機能する。そして、この糸巻き部36上には接着剤等を塗布することによって、実質的に凹凸のない、若しくは凹凸の少ない表面形状とする。なお、このリング固定部材としては、要するに軟性チューブ20を圧縮して、係止リング35に内面を圧接させ、かつこの軟性チューブ20を圧縮状態に保持するものであれば良く、例えば締め付けリング等で構成することもできる。
【0033】
以上のように、係止リング35は糸巻き部36により軟性チューブ20を弾性変形させて、押圧することにより固定的に保持されるが、図4に示したように、この係止リング35の固定性をより高めるために、係止リング35の外周面における前後の両端部に円環状の突条35bを形成しており、糸巻き部36はこの突条35b,35b間の位置に設けるようにしている。これによって、係止リング35の固定性がより向上する。さらに、突条35bの先端を鋭利な形状とすることによって、この突条35bが軟性チューブ20に食い込むので、さらに固定性が高くなる。
【0034】
ただし、係止リング35に突条35bを設けると、この突条35bの先端部の径が軟性チューブ20の内面より小さくしなければならなくなる。そうすると、軟性チューブ20の内径と、フレキシブルシャフト23の外径との径差が小さい場合には、係止リング35の厚みが小さくなってしまう。従って、係止リング35の強度保持の観点からは、突条35bを設けない方が良い場合がある。軟性チューブ20を柔らかい材質のものであれば、糸巻き部36による縮径力で係止リング35を強力に締め付ければ、その固定性は十分高くなる。
【0035】
前述したように、係止リング35は軟性チューブ20に挿入された後に、この軟性チューブ20に固定的に保持できるようにしているので、軟性チューブ20はその基端側から閉塞した先端部までが一体に部材で形成できる。従って、挿入部11の外装部材の構成が著しく簡略化し、かつ超音波トランスデューサ21を装着した回転支持基台22及びフレキシブルシャフト23からなるユニットの組み付けも容易に行なうことができる。また、少なくともこのユニットの挿入操作は超音波伝達媒体中で行なうようにすれば、組み付けと同時に挿入部11の内部への超音波伝達媒体の封入作業も行なえる。そして、この作業時において、挿入部11内に、特にフレキシブルシャフト23のピッチ間に気泡が生じるのを確実に防止できるようになる。さらに、係止リング35は軸受部材として機能するものであるから、金属で形成するのが望ましい。このように、係止リング35を金属で形成しても、軟性チューブ20内に配置されているので、挿入部11において、体腔内壁と触れる可能性のある部分の電気絶縁性が完全なものとなる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、超音波トランスデューサを挿入部の外装部を先端が閉塞した軟性チューブで構成し、かつこの超音波トランスデューサを軟性チューブの軸線方向の位置を固定的に保持できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す超音波診断装置を内視鏡に挿通させた状態を示す説明図である。
【図2】超音波診断装置における挿入部の断面図である。
【図3】超音波診断装置における操作部の断面図である。
【図4】図2の先端近傍部の拡大断面図である。
【図5】挿入部に超音波トランスデューサ及びその回転伝達手段を組み込む前の状態を示す超音波診断装置の挿入部先端部分の断面図である。
【符号の説明】
1 内視鏡
6 処置具挿通チャンネル
10 超音波診断装置
11 挿入部
12 操作部
20 軟性チューブ
21 超音波トランスデューサ
22 回転支持基台
23 フレキシブルシャフト
26 回転筒
35 係止リング
35b 突条
36 糸巻き部
Claims (3)
- 先端が閉塞した軟性チューブと、この軟性チューブの先端部の内部に配設され、回転支持基台に装着した超音波トランデューサと、この超音波トランデューサを回転駆動するために、密着コイルからなり、その一端が前記回転支持部材に連結され、他端が回転駆動部に連結される回転体に連結されたフレキシブルシャフトとからなる挿入部を有する体腔内挿入型超音波診断装置において、
前記フレキシブルシャフトには、内径が前記フレキシブルシャフトの外径より大きく、前記回転支持部材の外径より小さく、かつ外径寸法が前記軟性チューブの内径より小さい係止リングを嵌合させて設け、
前記軟性チューブの外周部には、この軟性チューブを縮径させることにより前記係止リングが軟性チューブの軸線方向に移動不能となるように固定するリング固定部材を設け、
また前記回転部材は前記軟性チューブの基端部に連結した固定側部材に当接させて設け、
前記フレキシブルシャフトを自然状態にしたときに、その前記回転支持部材への連結部から前記固定側部材への連結部までの長さ寸法は、前記軟性チューブに固定した前記係止リングの先端面から前記固定側部材との連結部間の長さ寸法より短くし、
前記フレキシブルシャフトを前記挿入部内で引き伸ばした状態に装着する
構成としたことを特徴とする体内挿入型超音波診断装置。 - 前記係止リングの内面は前記フレキシブルシャフトと摺接する滑り面となし、かつその外面の両端部には係止突条を設け、この係止突条の先端部の外径は前記軟性チューブの内径より小さい寸法としたことを特徴とする請求項1記載の体内挿入型超音波診断装置。
- 前記リング固定部材は前記軟性チューブの外周面に巻着された糸巻きからなり、この糸巻き部を覆うように接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項1記載の体内挿入型超音波診断装置。
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