JP3916403B2 - 自動車用室温硬化性シール材組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は自動車用室温硬化性シール材組成物に関し、特に速硬化性、深部硬化性に優れ、更には耐エンジンオイル性、耐ロングライフクーラント性、耐水性に優れた縮合硬化型の自動車用室温硬化性シール材組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
縮合硬化型の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物については、従来、ベースポリマーである両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンに対して架橋剤を極限まで減量して加水分解による架橋速度を向上させた1液タイプのもの、及びベースポリマーである両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと架橋剤とを別梱包とし、使用時に混合する2液タイプのものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、1液タイプの前記組成物は、表面からの硬化速度が速いというだけであり、深部硬化には一定の時間が必要であるため速硬化性とは言い難い。2液タイプの前記組成物に於いては、深部硬化性には比較的優れているものの、2液混合する割合が体積比で1:1でないため取り扱いが複雑であり、また、自動混合機などに適合しにくいという欠点がある。更に、深部まで完全に硬化させるにはオルガノポリシロキサンもしくはポリオキシアルキレンポリマーの両末端ヒドロキシ量と架橋剤の添加量を厳密に規定するか、深部硬化剤として更に水を加えることが必要である。
【0004】
一方、付加硬化型のオルガノポリシロキサン組成物に於いては、2液混合する割合が1:1であり作業性に優れるが、通常、硬化には加熱炉が必要である。また、付加毒の存在下で硬化触媒が被毒されるため、作業環境が限定されるという欠点があった。
【0005】
そのため、特開平5-279570号公報では分子鎖両末端が加水分解性シリル基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンに対し1分子中に少なくとも1個のカルボニル基(C=O基)を有する有機化合物、及び1分子中に少なくとも1個の1級アミノ基(NH2基)を有する有機化合物を含有してなる組成物が提案されている。これはカルボニル基と1級アミノ基によるケチミン生成反応から副生する水を利用して深部硬化性、速硬化性を改良したものであるが、深部硬化性、速硬化性には優れるものの、未硬化時に熱が加えられた場合、縮合反応生成物であるジアルキルケトオキシムが急速にガス化して硬化物中に気泡が発生し、シール性が大幅に低下し、特に自動車のオイルシール用途には問題があった。
【0006】
本発明者らは、上記実状に鑑み、速硬化性、深部硬化性に優れ、更には市場の要求である耐エンジンオイル性、耐ロングライフクーラント性、耐水性に優れた縮合硬化型の自動車用室温硬化性シール材組成物について鋭意検討を進めた結果、反応性のカルボニル基を有する化合物及び1級アミノ基を有するアミン化合物のカルボニル基と1級アミノ基との反応により生成する水により組成物の速硬化、深部硬化を促進しつつ、耐エンジンオイル性の向上のためには塩基性充填材として酸化亜鉛を使用し、更に耐ロングライフクーラント性、耐水性の向上のためには酸化亜鉛表面をシラン、シラザン、もしくはシロキサンで疎水化処理することが有効であることを見出し本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本願発明は、下記の成分:
(A)分子鎖両末端が水酸基で封鎖され、25℃での粘度が1000〜100000mPa・sであるジメチルポリシロキサン100重量部;
(B)一般式 CH2=CHSi(O−N=CR1R2)3
(式中、R1及びR2は同一または異なっていてもよい炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基である)で示されるシラン化合物またはその部分加水分解物2〜15重量部;
(C)ケトン化合物 上記成分(A)100重量部に対し、成分(D)1級アミノ基と反応性のカルボニル基0.001〜1.0モルが存在する量;
(D)1級アミノ基を有するアミン化合物 上記成分(A)100重量部に対して0.001〜1.0モルの1級アミノ基が存在する量;及び、
(E)表面疎水化処理された酸化亜鉛5〜150重量部;
を含有する自動車用室温硬化性シール材組成物であって、該成分(E)の酸化亜鉛が表面疎水化処理された後に加えられたものである、前記自動車用室温硬化性シール材組成物を提供する。
【0008】
本発明においては、前記成分(E)の酸化亜鉛は、シラン、シラザン及びシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物によって疎水化処理されていることが好ましく、成分(E)の酸化亜鉛の疎水化処理に用いられる化合物は、ジメチルジクロロシラン及びメチルトリクロロシラン等のクロロシラン類;及びテトラメトキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン及びテトラエトキシシラン等のアルコキシシラン類などのシラン類;ヘキサメチルジシラザン等のシラザン類;並びにオクタメチルシクロテトラシロキサン及びα、ωトリメチルシロキシジメチルポリシロキサン等のシロキサン類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0009】
前記成分(B)のシラン化合物は、ビニルトリスブタノキシムシラン、ビニルトリスプロパノキシムシラン、ビニルトリスペンタノキシムシラン、ビニルトリスイソペンタノキシムシラン、ビニルトリスシクロペンタノキシムシラン及びビニルトリスシクロヘキサノキシムシランからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0010】
前記成分(C)のケトン化合物は、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類;並びにシクロペンタノン、シクロヘキサノン及び2−メチルシクロペンタノン等の環状ケトン類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0011】
前記成分(D)のアミン化合物は、メチルアミン、エチルアミン及びブチルアミン等の脂肪族アミン類;エチレンジアミン及びトリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類;アニリン等の芳香族アミン類;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン及び2−エチルシクロヘキシルアミン等の脂肪族環状アミン類;アミノプロピルトリメトキシシラン及びアミノプロピルトリエトキシシラン等の1級アミノ基含有シランカップリング剤;並びに1級アミノ基含有ポリシロキサン等の1級アミノ基含有有機珪素化合物類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の自動車用室温硬化性シール材組成物は、前記成分のうち成分(A)及び(C)を含有し、且つ成分(D)を含有しない第1液と、成分(A)及び(D)を含有し、且つ成分(C)を含有しない第2液とに分離されており、成分(B)及び(E)は第1液と第2液の両方もしくはいずれか一方に含有されており、第1液と第2液を混合して使用することが好ましく、前記第1液及び第2液を体積比で略1:1で混合したときに、その組成物が上記記載の割合で成分(A)〜(E)を含有するように調製されていることが好ましい。
【0013】
さらに、前記成分(A)〜(E)に加えて、成分(F)硬化触媒を前記成分(A)ジメチルポリシロキサン100重量部に対して0.01〜20重量部含むことが好ましく、成分(F)の硬化触媒は、有機錫触媒であることが好ましい。
【0014】
さらに、成分(G)煙霧質シリカを含有することが好ましく、成分(G)の煙霧質シリカは、表面未処理の煙霧質シリカ、並びに表面ジメチルシリル基処理及びトリメチルシリル基処理等の表面疎水化処理煙霧質シリカからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明について更に詳細に説明する。
【0016】
成分(A)のジメチルポリシロキサンは、下記化学構造を有するベースポリマーであり、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されていることが必要である。この水酸基と架橋剤である成分(B)シラン化合物又はその部分加水分解物とが反応することにより、ゴム弾性体の硬化物を形成するからである。成分(A)のジメチルポリシロキサンは、25℃における粘度が1000〜100000 mPa・sである。
【0017】
【化1】
【0018】
(式中、nは25℃における粘度が1000〜100000 mPa・sとなる整数である)粘度が1000 mPa・s未満であると硬化物の伸びが低下して充分なシール性が得られず、100000 mPa・sを超えると組成物粘度が高くなり過ぎ、作業性が著しく低下する。成分(A)のジメチルポリシロキサンは1種を単独で用いても粘度の異なる2種以上を併用してもよい。
【0019】
成分(B)は、一般式
CH2=CHSi(O−N=CR1R2)3
で示されるシラン化合物又はその部分加水分解物(具体的には、ビニルトリスジアルキルケトオキシムシランまたはその部分加水分解物)であり、本発明の組成物中で架橋剤として作用するものである。
【0020】
ここでR1及びR2は同一または異なってもよい炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基であるか、又は、R1がR2が互いに結合し、且つR1がR2が結合する炭素原子を含んで環状炭化水素基を形成してもよい。
【0021】
成分(B)のシラン化合物の具体例としては、ビニルトリスブタノキシムシラン、ビニルトリスプロパノキシムシラン、ビニルトリスペンタノキシムシラン、ビニルトリスイソペンタノキシムシラン、ビニルトリスシクロペンタノキシムシラン、ビニルトリスシクロヘキサノキシムシラン等が例示される。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
【0022】
成分(B)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、2〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。2重量部未満では弾性、及び機械的強度に優れた硬化物が得られず、15重量部を超えると硬化物が硬く、脆いものとなる。
【0023】
成分(C)はケトン化合物であり、反応性のカルボニル基を有するものであれば特に制限されないが、具体的にはアセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及び2−メチルシクロペンタノン等の環状ケトン等が例示される。これらは1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0024】
成分(C)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、0.001〜1.0モル、好ましくは0.01〜0.1モルの反応性のカルボニル基が存在する量である。存在する反応性のカルボニル基が0.001モル未満の場合、後述する成分(D)のアミン化合物と反応して生成する水の量が少なく、充分な深部硬化性が発現せず、1.0モルを超えると得られる硬化物の特性が不充分となるからである。
【0025】
成分(D)は1級アミノ基を有するアミン化合物であり、成分(C)のケトン化合物と反応して水を生成し、組成物の深部硬化性を著しく向上させるものである。成分(D)としては、1級アミノ基を有するものであれば特に制限されないが、具体的にはメチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン等の脂肪族アミン;エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン;アニリン等の芳香族アミン;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、2−エチルシクロヘキシルアミン等の環状アミン類;アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン等の1級アミノ基含有シランカップリング剤;及び1級アミノ基含有ポリシロキサン等の1級アミノ基含有有機珪素化合物等が例示される。これらは1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0026】
成分(D)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、0.001〜1.0モル、好ましくは0.01〜0.1モルの1級アミノ基が存在する量である。存在する1級アミノ基が0.001モル未満の場合、成分(C)のケトン化合物と反応して生成する水の量が少なく、充分な深部硬化性が発現せず、1.0モルを超えると得られる硬化物の特性が不充分となるからである。
【0027】
成分(E)は、その表面が疎水化処理された酸化亜鉛であり、具体的にはシラン、シラザン、またはシロキサン等の有機ケイ素化合物で表面処理された酸化亜鉛である。成分(E)の酸化亜鉛は自動車エンジンオイル中に含まれる酸性成分の中和剤として作用し、シール剤の耐油性を向上させるものである。また、その表面をシラン、シラザン、シロキサン等で疎水化処理することで親油性が増大し、耐エンジンオイル性の向上は更に著しいものとなり、更にロングライフクーラント、水等に浸漬した場合の組成物の耐久性も飛躍的に向上させることができる。
【0028】
酸化亜鉛の疎水化処理に使用されるシラン、シラザン又はシロキサンとして、具体的にはジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のクロロシラン類;テトラメトキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン類;ヘキサメチルジシラザン等のシラザン類;並びにオクタメチルシクロテトラシロキサン、α、ωトリメチルシロキシジメチルポリシロキサン等のシロキサン類等を例示することができる。
【0029】
成分(E)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、5〜150重量部、好ましくは10〜100重量部である。5重量部未満では充分な中和効果が得られないためシール剤の耐油性が充分でなく、150重量部を超えると、得られる弾性体硬化物が硬くなり過ぎ、伸びが低下してシール性が不充分となる。
【0030】
本発明の組成物には、上記(A)〜(E)の必須成分の他、必要に応じて種々の配合剤を添加することができる。特にシール材組成物の硬化速度を速める(F)硬化触媒を添加することが好ましい。(F)硬化触媒としては公知のものを使用することができ、具体的には有機錫エステル、有機錫キレート錯体等の有機錫系触媒;並びに有機チタン酸エステル、有機チタンキレート錯体等の有機チタン系触媒等が例示され、有機錫系触媒が特に好ましい。成分(F)硬化触媒の配合量は成分(A)100重量部に対して0.01〜20重量部、特に0.02〜10重量部である。0.01重量部未満では、硬化促進効果が得られず、20重量部を超えると、硬化後組成物の耐熱性が低下する等の不具合を生じる。
【0031】
また、組成物の粘度を調整したり、強度を向上させる必要がある場合には、成分(G)煙霧質シリカを配合することが好ましい。成分(G)の煙霧質シリカとしては、具体的には表面未処理の煙霧質シリカ;並びに表面ジメチルシリル基処理、トリメチルシリル基処理等の表面疎水化処理煙霧質シリカが好適に使用できる。成分(G)の煙霧質シリカの配合量は成分(A)100重量部に対し、0〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。20重量部を超えると組成物の粘度が高くなりすぎ、使用時の作業性が悪くなる。
【0032】
その他、沈降性シリカ、石英粉末、炭素粉末、ベントナイト等の補強性充填剤;顔料、染料等の着色剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの接着性向上剤;並びにトリメチルシロキシ単位およびSiO2単位よりなるポリシロキサンなどの液状補強剤などを必要に応じて添加してもよい。
【0033】
本発明の組成物は、上記成分(A)〜(E)を好ましくは乾燥(無水)雰囲気中で均一に混合して得られる1液型の室温速硬化組成物である。また、使用時までの保存性を確保するため、成分(A)、(C)と成分(A)、(D)を別々に混合しておき、使用時にこれを混合する方式とすることも可能である。この場合、成分(B)、(E)はどちらに混合されてもよい。例えば、第1液は前記成分(A)、(B)、(C)、(E)よりなり、第2液は、前記成分(A)、(B)、(D)、(E)とすることができる。すなわち、成分(C)のケトン化合物と成分(D)のアミン化合物を別々の液に配合しておけば、他の成分は、いずれの液又は両方の液に配合しておいてもよい。
【0034】
ここで、第1液、第2液の「液」とは、第1液、第2液が必ずしも液体状態であることを意味するのではなく、均一に混合された一つのまとまり(配合物)を意味する。
【0035】
前記第1液と第2液を、体積比で略1:1で混合したときにその混合物が成分(A)〜(E)を上記の割合で含有するよう調製しておけば、使用時の作業性、取扱性を向上することができる。
【0036】
本発明の組成物は、空気中の水分の存在により硬化すると共に、その深部で成分(C)のケトン化合物と成分(D)のアミン化合物との反応により水が生成し、表面からの硬化のみならず内部からも硬化を生じるため、速硬化性及び深部硬化性が向上する。また、得られた硬化物は優れた機械的性質を有するため優れた性質のシール材を提供することができる。更に、エンジンオイル中に含まれる酸性成分の中和剤として働く成分(E)の疎水化処理された酸化亜鉛を用いることで耐エンジンオイル性に加え耐ロングライフクーラント性、耐水性を向上させることができる。従って、本発明の組成物は、特に自動車用のオイルシール材として好適である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、粘度は25℃における測定値である。
【0038】
<比較例1>
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された、粘度が30000 mPa・sの
ジメチルポリシロキサン 100重量部
ビニルトリスブタノキシムシラン 7重量部
アセトン 2重量部
ブチルアミン 4重量部
酸化亜鉛粉末(表面疎水化処理されていないもの) 50重量部
ジブチルスズジオクトエート 0.1重量部
煙霧質シリカ 5重量部
を無水の状態で混合して1液型速硬化性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0039】
<比較例2>
比較例1の酸化亜鉛粉末を炭酸亜鉛粉末に替え、比較例1と同様の方法により、1液型速硬化性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0040】
<比較例3>
比較例1の酸化亜鉛粉末を炭酸カルシウム粉末に替え、比較例1と同様の方法により、1液型速硬化性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0041】
<実施例1>
比較例1の酸化亜鉛粉末をメチルトリメトキシシランで疎水化処理した酸化亜鉛粉末に替え、比較例1と同様の方法により、1液型速硬化性シリコーンゴム組成物を調整した。
【0042】
<実施例2>
比較例1の酸化亜鉛粉末をヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した酸化亜鉛粉末に替え、比較例1と同様の方法により、1液型速硬化性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0043】
<実施例3>
比較例1の酸化亜鉛粉末を粘度が100 mPa・sのα、ωトリメチルシロキシジメチルポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛粉末に替え、比較例1と同様の方法により、1液型速硬化性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0044】
上記比較例1〜3及び実施例1〜3で調製した1液型速硬化性シリコーンゴム組成物を、厚さ2mmのシート状に形成し23℃、相対湿度50%で5日間硬化させてサンプルを調製した。JIS-K-6249に準じて各サンプルより3号ダンベルを打ち抜き物性測定を行った。また、別途作成した各ダンベルをトヨタ自動車株式会社製純正エンジンオイル5W20SJに150℃で240時間浸漬した後物性の測定を行った。さらに、別途作成した各ダンベルをトヨタ自動車株式会社製純正ロングライフクーラント50%水溶液に120℃で240時間浸漬した後物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0045】
なお、表1中に示す「硬さ」は、デュロメータAによって測定した値である。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の結果から、5日間硬化後の硬さ、切断時伸び、引張強さのいずれについても、実施例と比較例との間で、顕著な差異は見られないが、エンジンオイル浸漬後では、比較例についてはいずれの物性も大きく低下しているのに比べ、実施例では硬さについては低下しているが、その低下の程度は小さく、切断時伸び及び引張強さは、硬化後と大差がないことがわかる。
【0048】
また、ロングライフクーラント浸漬後では、比較例については、各物性が測定できないほどに低下してしまったが、実施例では、硬さと引張強さは低下したものの、切断時伸びについては、硬化後と変わらないことがわかる。なお、比較例において、各物性が測定不能であったが、これらはいずれも浸漬後にダンベルが大幅に劣化して測定前に破壊されている状態であった。
【0049】
【発明の効果】
本発明においては、表面疎水化処理された酸化亜鉛(成分(E))を配合することによって、表面速硬化性及び深部硬化性に優れ、同時に耐エンジンオイル性、耐ロングライフクーラント性及び耐水性に特に優れた縮合硬化型の自動車用室温硬化性シール材組成物が提供できる。
Claims (12)
- 下記の成分:
(A)分子鎖両末端が水酸基で封鎖され、25℃での粘度が1000〜100000mPa・sであるジメチルポリシロキサン100重量部;
(B)一般式 CH2=CHSi(O−N=CR1R2)3
(式中、R1及びR2は同一または異なっていてもよい炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基である)で示されるシラン化合物またはその部分加水分解物2〜15重量部;
(C)ケトン化合物 上記成分(A)100重量部に対して、成分(D)1級アミノ基と反応性のカルボニル基0.001〜1.0モルが存在する量;
(D)1級アミノ基を有するアミン化合物 上記成分(A)100重量部に対して0.001〜1.0モルの1級アミノ基が存在する量;及び、
(E)表面疎水化処理された酸化亜鉛5〜150重量部;
を含有する自動車用室温硬化性シール材組成物であって、該成分(E)の酸化亜鉛が表面疎水化処理された後に加えられたものである、前記自動車用室温硬化性シール材組成物。 - 前記成分(E)の酸化亜鉛が、シラン、シラザン及びシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物によって疎水化処理されている、請求項1に記載の自動車用室温硬化性シール材組成物。
- 前記成分(E)の酸化亜鉛の疎水化処理に用いられる化合物が、ジメチルジクロロシラン及びメチルトリクロロシラン等のクロロシラン類、及びテトラメトキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン及びテトラエトキシシラン等のアルコキシシラン類などのシラン類;ヘキサメチルジシラザン等のシラザン類;並びにオクタメチルシクロテトラシロキサン及びα、ωトリメチルシロキシジメチルポリシロキサン等のシロキサン類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1又は2記載の自動車用室温硬化性シール材組成物。
- 前記成分(B)のシラン化合物が、ビニルトリスブタノキシムシラン、ビニルトリスプロパノキシムシラン、ビニルトリスペンタノキシムシラン、ビニルトリスイソペンタノキシムシラン、ビニルトリスシクロペンタノキシムシラン及びビニルトリスシクロヘキサノキシムシランからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜3のいずれか1項記載の自動車用室温硬化性シール材組成物。
- 前記成分(C)のケトン化合物が、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類;並びにシクロペンタノン、シクロヘキサノン及び2-メチルシクロペンタノン等の環状ケトン類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜4のいずれか1項記載の自動車用室温硬化性シール材組成物。
- 前記成分(D)のアミン化合物が、メチルアミン、エチルアミン及びブチルアミン等の脂肪族アミン類;エチレンジアミン及びトリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類;アニリン等の芳香族アミン類;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン及び2-エチルシクロヘキシルアミン等の脂肪族環状アミン類;アミノプロピルトリメトキシシラン及びアミノプロピルトリエトキシシラン等の1級アミノ基含有シランカップリング剤;並びに1級アミノ基含有ポリシロキサン等の1級アミノ基含有有機珪素化合物類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜5のいずれか1項記載の自動車用室温硬化性シール材組成物。
- 前記成分のうち成分(A)及び(C)を含有し、且つ成分(D)を含有しない第1液と、成分(A)及び(D)を含有し、且つ成分(C)を含有しない第2液とに分離されており、成分(B)及び(E)は第1液と第2液の両方もしくはいずれか一方に含有されており、第1液と第2液を混合して使用する、請求項1〜6のいずれか1項記載の自動車用室温硬化性シール材組成物。
- 前記第1液及び第2液を体積比で略1:1で混合したときに、その組成物が請求項1に記載の割合で成分(A)〜(E)を含有するように調製されている、請求 項7記載の自動車用室温硬化性シール材組成物。
- 更に成分(F)硬化触媒を前記成分(A)ジメチルポリシロキサン100重量部に対して0.01〜20重量部含む、請求項1〜8のいずれか1項記載の自動車用室温硬化性シール材組成物。
- 前記成分(F)の硬化触媒が、有機錫触媒である、請求項9記載の自動車用室温硬化性シール材組成物。
- 更に成分(G)煙霧質シリカを含有する、請求項1〜10のいずれか1項記載の自動車用室温硬化性シール材組成物。
- 前記成分(G)の煙霧質シリカが、表面未処理の煙霧質シリカ;並びに表面ジメチルシリル基処理及びトリメチルシリル基処理等の表面疎水化処理煙霧質シリカからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項11記載の自動車用室温硬化性シール材組成物。
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---|---|---|---|
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