JP3914814B2 - カルシウムを含む飛灰の処理方法 - Google Patents

カルシウムを含む飛灰の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルシウムの含有率の高い飛灰から、カルシウムを回収し、セメント等の原料として再資源化するための飛灰の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市ゴミの焼却飛灰等に含まれるカルシウムの含有率が高いことに着目して、飛灰中のカルシウムを回収して、セメント原料として利用する技術が開発されている。
例えば、特開2001−179215号公報には、廃棄物を硫酸浸出スラリーとして該廃棄物に含まれる銅および亜鉛を液中に溶出させる硫酸浸出工程、この硫酸浸出スラリーの固形分を分離してアルカリ浸出することにより固形分中の鉛を液中に溶出させるアルカリ浸出工程、このアルカリ浸出スラリーを固液分離した濾液と上記硫酸浸出スラリーの濾液とを混合し、濾液のpHを銅、亜鉛および鉛の共沈領域に調整することによりこれらの金属を共沈させて固液分離する混合沈澱工程からなる処理系を有することを特徴とする廃棄物の処理方法が、記載されている。該公報の技術において、廃棄物中のカルシウムは、硫酸浸出工程で石膏に転じて固形分に残り、さらにアルカリ浸出工程で石膏から水酸化カルシウムに転じて、最終的に、重金属を含まないセメント原料として利用することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報の技術では、廃棄物(飛灰)に含まれるカルシウムの含有率が高いと、硫酸浸出工程で生成する石膏の量や、アルカリ浸出工程で生成する水酸化カルシウムの量が多くなるため、硫酸等の薬剤の使用量が増大し、かつ、処理に要する時間が長くなるなど、処理の効率が低下する。
一方、良質のセメント原料(水酸化カルシウム)を得るためには、カルシウムと、セメントの物性に悪影響を与える重金属の分離を十分に行なう必要がある。つまり、処理の効率を高めるだけでなく、セメント原料(水酸化カルシウム)中に鉛等の重金属が混入しないように、処理工程において、カルシウムと鉛等の重金属とが十分に分離されるようにしなければならない。
したがって、本発明は、飛灰に含まれるカルシウムの含有率が高い場合であっても、カルシウムを効率的に回収することができ、かつ、回収されるカルシウムに鉛等の重金属が混入することのない飛灰の処理方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、飛灰と水とを混合してスラリーとした後、このスラリーに塩酸を添加して、スラリーのpHを特定の数値範囲内に調整し、固液分離すれば、鉛等の重金属を混入させることなく、カルシウムの一部(例えば、全カルシウム量の70〜80%程度)を溶出させて回収することができること、及び、固液分離で得られた固形分を対象にして、カルシウムの残部(例えば、全カルシウム量の20〜30%程度)及び鉛等の重金属を分別して回収すれば、カルシウムの一部が既に除去されていることから、硫酸等の薬剤の使用量を削減することができ、処理方法全体として、カルシウムのセメント原料化(再資源化)を効率的に行なうことができることに想到し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明(請求項1)のカルシウムを含む飛灰の処理方法は、(A)カルシウム及び各種の重金属(例えば、銅、亜鉛、鉛)を含みかつ該カルシウムの含有率が酸化物換算で10重量%以上である飛灰と、水とを混合してスラリーとするスラリー化工程と、(B)該スラリー化工程(A)で得られたスラリーに塩酸を添加して、pHを7.0〜11.0に調整した後、固液分離して、上記飛灰に含まれていたカルシウムの一部(例えば、全カルシウム分の70〜80%程度の量に相当するカルシウムイオン)及びその他の成分(例えば、塩化物イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)を含む液分と、カルシウムの残部及び各種の重金属を含む固形分とを得るカルシウム溶出工程と、(C)該カルシウム溶出工程(B)で得られた固形分と、水とを混合してスラリーとした後、該スラリーに硫酸を添加して、pHを1.5〜3.0に調整し、その後、該スラリーを固液分離して、上記固形分から溶出した銅及び亜鉛を含む液分と、上記カルシウムの残部を含む固形分(具体的には、硫酸カルシウムや硫酸鉛を含む固形分)とを得る銅及び亜鉛溶出工程と、(D)該銅及び亜鉛溶出工程(C)で得られた固形分と、水とを混合してスラリーとした後、該スラリーにアルカリ化剤(例えば、水酸化ナトリウム)を添加して、pHを13.0以上に調整し、その後、該スラリーを固液分離して、上記固形分から溶出した鉛を含む液分と、上記カルシウムの残部を含む固形分(具体的には、水酸化カルシウムを含む固形分)とを得る鉛溶出工程と、上記カルシウム溶出工程(B)で得られた上記液分にアルカリ化剤を添加して、pH13.0以上に調整し、その後、固液分離して、上記液分中に含まれるカルシウムを固形分として回収するカルシウム回収工程とを含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の飛灰の処理方法によれば、飛灰に含まれるカルシウムの含有率が高い場合であっても、カルシウム溶出工程(B)において、鉛等の重金属を溶出させることなく、カルシウムの一部を溶出させて回収することができるため、銅及び亜鉛溶出工程(C)における硫酸の使用量、及び鉛溶出工程(D)におけるアルカリ化剤(例えば、水酸化ナトリウム)の使用量を削減することができ、飛灰の処理を効率的に行なうことができる。
【0007】
本発明においては、高含有率のカルシウムを含む飛灰を処理対象物としているので、硫酸等の薬剤の使用量を削減し、飛灰の処理の効率を高めようとする本発明の目的をより効果的に達成することができる。
【0008】
本発明においては、液分に、水酸化ナトリウム等のアルカリ化剤を加えて、pHを特定の数値(13.0)以上に調整した後、固液分離しているので、鉛等の重金属を含まない水酸化カルシウムを固形分として回収し、鉛溶出工程(D)で得られる固形分(水酸化カルシウム)と共に、セメントの原料として利用することができる。
【0009】
上記飛灰の処理方法は、上記銅及び亜鉛溶出工程(C)で得られた上記液分と、上記鉛溶出工程(D)で得られた上記液分とを混合して、混合液を得た後、該混合液から銅、亜鉛及び鉛を固形分として回収する重金属回収工程を含むことができる。
例えば、上記2つの液分を混合した後、混合液のpHを特定の数値範囲内(例えば、9.0〜12.0)に調整することによって、鉛は、硫酸塩として沈澱し、銅及び亜鉛は、水酸化物として沈澱する。沈澱物は、固液分離して固形分として回収した後、精錬原料等として用いることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のカルシウムを含む飛灰の処理方法は、飛灰と水とを混合してスラリーとするスラリー化工程(A)と、得られたスラリーに塩酸を添加して、pHを7.0〜11.0に調整した後、固液分離して、飛灰中のカルシウムの一部を含む液分と、カルシウムの残部及び鉛等の重金属を含む固形分を得るカルシウム溶出工程(B)と、得られた固形分と水とを混合してスラリーとした後、該スラリーに硫酸を添加して、pHを1.5〜3.0に調整し、その後、該スラリーを固液分離して、銅及び亜鉛を含む液分と、硫酸カルシウム及び硫酸鉛を含む固形分を得る銅及び亜鉛溶出工程(C)と、得られた固形分と水とを混合してスラリーとした後、該スラリーに水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ化剤を添加することによって、pHを13.0以上に調整し、その後、該スラリーを固液分離して、鉛を含む液分と、水酸化カルシウムを含む固形分を得る鉛溶出工程(D)とを含むものである。
図1及び図2は、本発明の飛灰の処理方法の一例を示すフロー図である。
【0011】
[(A)スラリー化工程]
飛灰を処理するに際し、まず、飛灰と水とを混合して、スラリーを調製する。
飛灰としては、例えば、ゴミや焼却灰の溶融設備から排出される溶融飛灰や、ゴミや下水汚泥の焼却設備等から排出される焼却飛灰や、セメントキルン等の高温処理工程で発生する飛灰(例えば、塩素バイパスダスト)等が挙げられる。
処理対象物である飛灰中のカルシウムの含有率(酸化物換算)は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上である。カルシウムの含有率が高い飛灰は、カルシウム溶出工程(B)と鉛溶出工程(D)の2つの工程に分けてカルシウムを回収し、飛灰の処理効率の向上を図ろうとする本発明の目的に合致し、処理対象物として好適である。
【0012】
本発明の方法で処理される飛灰は、水と混合してスラリーとした後、塩酸を添加してpHを7.0〜11.0に調整されるものであるので、水との混合によってpHが11.0を超えるスラリーを生成し得るものが対象となる。特に、水との混合によってpHが11.5以上のスラリーを生成し得る飛灰を、処理対象物とすることは、塩酸によるpHの調整によって、飛灰に含まれているカルシウムの一部を液中に溶出させようとする本発明の目的に合致し、好ましい。
飛灰との混合に用いる水の量は、固液比(スラリー1リットル中の飛灰の質量)で、好ましくは100〜600g/リットル、より好ましくは150〜400g/リットルである。該固液比が100g/リットル未満では、スラリー量が増加し、反応槽の容積が大きくなるばかりでなく、固液分離に要する時間が増大するため、処理効率が低下する。該固液比が600g/リットルを超えると、飛灰に含まれるカルシウムや水溶性塩素分等を液中に十分溶出させることができないおそれがあるとともに、pHの調整に要する時間が増大して、本工程の処理の効率が低下するなどの不都合がある。
飛灰と水を混合するには、混合槽等の中で所定時間、撹拌すればよい。撹拌時間は、スラリーの量や固液比等の条件によっても異なり、特に限定されないが、例えば、10〜40分間程度である。
【0013】
[(B)カルシウム溶出工程]
本工程では、まず、スラリー化工程(A)で得られたスラリーに塩酸を添加して、スラリーのpHを7.0〜11.0 、好ましくは7.5〜10.5、より好ましくは8.0〜10.0に調整する。
該pHが7.0未満であると、液中への亜鉛等の重金属の溶出量が増大するので、液中のカルシウムを固形分として回収する際に、固形分中に重金属(主に亜鉛)が混入することになり、良質のセメント原料を得ることができなくなる。該pHが11.0を超えると、カルシウムの溶出量が低下し、カルシウムを効率的に回収しようとする本発明の目的を十分に達成することができなくなるとともに、鉛の一部が液中に溶出するので、重金属の回収工程が複雑化し、好ましくない。
【0014】
本発明では、塩酸を用いることによって、pHの調整を迅速に行なうことができる。塩酸の代わりに硫酸を用いた場合には、飛灰に含まれている鉛及びカルシウムが、難溶性の硫酸塩(硫酸鉛及び硫酸カルシウム)を形成し、pHの迅速な調整が困難になるとともに、液中へのカルシウムの溶出量が少なくなり、本発明の目的であるカルシウムの効率的な回収を実現することができなくなる。
また、本発明では、塩酸を用いることによって、飛灰に由来する成分以外の成分がスラリー中に混入するのを防止することができる。すなわち、塩酸を構成する成分(塩化物イオン)は、飛灰に含まれる塩化物を構成する水溶性塩素分(塩化物イオン)と同じであるため、飛灰に由来する塩化物と共に回収することができる。
【0015】
次に、pHを7.0〜11.0に調整したスラリーを、濾過等によって固液分離する。固液分離によって、飛灰から溶出したカルシウムの一部(カルシウムイオン)及びその他の水溶性の成分(具体的には、塩化物イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)を含む液分と、カルシウムの残部及び各種の重金属(具体的には、銅、亜鉛、鉛等)を含む固形分とを得ることができる。
このうち、固形分は、次工程の鉛及び亜鉛溶出工程(C)で処理される。
【0016】
一方、液分については、水酸化ナトリウム等のアルカリ化剤を加えて、pHを13.0以上、好ましくは13.5以上に調整した後、濾過等によって固液分離することによって、水酸化カルシウムからなる固形分と、塩化物イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等を含む液分とを得ることができる。得られた固形分(水酸化カルシウム)は、鉛等の重金属をほとんど含まず、後述の鉛溶出工程(D)で得られる水酸化カルシウムからなる固形分と共に、セメント原料として用いることができる。また、カルシウムが除去された後の液分は、例えば、晶析法によって処理すれば、各種の塩化物(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等)を分別して回収することができる。
なお、晶析法は、種々の塩化物を含む溶液を減圧下で加熱して、液量を減少させた後、液温を変化させ、結晶析出温度の差異に基づいて、各種の塩化物を分別して回収する方法である。例えば、液温を50℃以上に調整して、塩化ナトリウムを析出させ、回収した後、液温を30℃以下に調整して、塩化カリウムを析出させ、回収することができる。
【0017】
[(C)鉛及び亜鉛溶出工程]
本工程では、まず、カルシウム溶出工程(B)で得られた固形分(カルシウム及び各種の重金属を含むもの)と、水とを混合してスラリーを調製する。
固形分との混合に用いる水の量は、固液比(スラリー1リットル中の固形分の質量)で、好ましくは100〜600g/リットル、より好ましくは150〜400g/リットルである。該量が100g/リットル未満では、スラリー量が増加し、反応槽の容積が大きくなるなるばかりでなく、固液分離に要する時間が増大するため、処理効率が低下する。該量が600g/リットルを超えると、固形分に含まれる銅及び亜鉛を液中に十分溶出させることが困難になるとともに、pHの調整に要する時間が増大して、本工程における処理の効率が低下するなどの不都合がある。
固形分と水を混合するには、混合槽等の中で所定時間、撹拌すればよい。
【0018】
次に、調製されたスラリーに硫酸を添加して、pHを1.5〜3.0、好ましくは2.0〜3.0に調整する。該pHが1.5未満では、硫酸の使用量が増大し、本工程の処理の効率が低下する等の不都合がある。該pHが3.0を超えると、銅の溶出量が減少して、銅の回収率が低下するとともに、鉛溶出工程(D)で得られる水酸化カルシウムからなる固形分中に銅が混入するので、好ましくない。
なお、スラリー中のカルシウムは、硫酸の添加によって硫酸カルシウム(石膏)を生成する。
【0019】
次に、pHを1.5〜3.0に調整済みのスラリーを、濾過等によって固液分離する。固液分離によって、固形分から溶出した銅及び亜鉛を含む液分と、硫酸カルシウムを含む固形分とを得ることができる。
このうち、硫酸カルシウムを含む固形分は、鉛溶出工程(D)で処理される。
一方、液分は、後述のように、鉛溶出工程(D)で得られる液分と混合された後、処理される。
【0020】
[鉛溶出工程(D)]
本工程では、まず、鉛及び亜鉛溶出工程(C)で得られた固形分と、水とを混合して、スラリーを調製する。
固形分との混合に用いる水の量は、固液比(スラリー1リットル中の固形分の質量)で、好ましくは100〜600g/リットル、より好ましくは150〜400g/リットルである。該量が100g/リットル未満では、スラリー量が増加し、反応槽の容積が大きくなるばかりでなく、固液分離に要する時間が増大するため、処理効率が低下する。該量が600g/リットルを超えると、固形分に含まれる鉛を液中に十分溶出させることが困難になるとともに、pHの調整に要する時間が増大して、本工程における処理の効率が低下するなどの不都合がある。
固形分と水を混合するには、混合槽等の中で所定時間、撹拌すればよい。
【0021】
次に、調製されたスラリーにアルカリ化剤を添加して、スラリーのpHを13.0以上、好ましくは13.5以上に調整する。アルカリ化剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムは、カルシウム溶出工程(B)における固液分離で得られた液分中のナトリウムイオン及びカリウムイオン(飛灰に由来する溶出成分)と共に、塩化物として回収することができる。
【0022】
次に、pHを13.0以上に調整済みのスラリーを、濾過等によって固液分離する。固液分離によって、固形分から溶出した鉛を含む液分と、飛灰中のカルシウム(具体的には、飛灰に含まれていた全カルシウム中、カルシウム溶出工程(B)で溶出させたカルシウム以外の残余のカルシウム)がアルカリ化剤と反応して生じた水酸化カルシウムを含む固形分とが得られる。
水酸化カルシウムを含む固形分は、鉛等の重金属を含まず、セメント原料として利用することができる。
【0023】
一方、鉛を含む液分は、上述の銅及び亜鉛溶出工程(C)で得られた銅及び亜鉛を含む液分と混合される。次いで、混合液のpHを、銅、亜鉛及び鉛の共沈領域に調整し、これらの重金属を共沈させる。すなわち、混合液のpHを9.0〜12.0、好ましくは9.5〜11.5に調整し、これらの重金属を同時に沈澱させる。共沈した重金属(銅、亜鉛、鉛)は、固液分離して回収し、精錬原料等として利用することができる。固液分離後の濾液は、重金属が除去されており、廃水として系外に排出することができる。
【0024】
【実施例】
[実施例1]
溶融飛灰(元素の酸化物換算の重量割合:CaO:17.9%、CuO:0.4%、ZnO:9.0%、PbO:3.0%)と水とを固液比が200g/リットルになるように混合し、スラリーを得た。次いで、スラリーに塩酸を加えて、pHを9.0に調整した。その後、スラリーを濾過して、液分と固形分を得た。このうち、液分については、水酸化ナトリウムを加えて、pHを13.6に調整し、水酸化カルシウム(セメント原料)を得た。
一方、スラリーを濾過して得られた固形分と、水とを固液比が250g/リットルになるように混合した後、得られたスラリーに硫酸を加えて、pHを2.5に調整した。その後、スラリーを濾過して、液分(以下、液分Aという。)と固形分を得た。
このうち、固形分については、固液比が150g/リットルになるように水と混合してスラリーとした後、水酸化ナトリウムを加えて、pHを13.6に調整した。次いで、スラリーを濾過して、液分(以下、液分Bという。)と水酸化カルシウム(セメント原料)を得た。
次に、液分Aと液分Bを混合し、得られた混合液に水酸化ナトリウムを加えて、pHを10.4に調整し、銅、亜鉛及び鉛を含む沈澱物を得た。この沈澱物は、濾過して回収した。
【0025】
【発明の効果】
本発明の飛灰の処理方法によれば、飛灰に含まれるカルシウムの含有率が高い場合であっても、処理に要する硫酸等の薬剤の使用量を過度に増大させることなく、カルシウムを効率的に回収することができる。また、回収されたカルシウムは、鉛等の重金属をほとんど含まず、セメントの原料として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の飛灰の処理方法の一例(前段の工程)を示すフロー図である。
【図2】本発明の飛灰の処理方法の一例(後段の工程)を示すフロー図である。

Claims (2)

  1. (A)カルシウム及び各種の重金属を含みかつ該カルシウムの含有率が酸化物換算で10重量%以上である飛灰と、水とを混合してスラリーとするスラリー化工程と、
    (B)該スラリー化工程(A)で得られたスラリーに塩酸を添加して、pHを7.0〜11.0に調整した後、固液分離して、上記飛灰に含まれていたカルシウムの一部を含む液分と、カルシウムの残部及び各種の重金属を含む固形分とを得るカルシウム溶出工程と、
    (C)該カルシウム溶出工程(B)で得られた固形分と、水とを混合してスラリーとした後、該スラリーに硫酸を添加して、pHを1.5〜3.0に調整し、その後、該スラリーを固液分離して、上記固形分から溶出した銅及び亜鉛を含む液分と、上記カルシウムの残部を含む固形分とを得る銅及び亜鉛溶出工程と、
    (D)該銅及び亜鉛溶出工程(C)で得られた固形分と、水とを混合してスラリーとした後、該スラリーにアルカリ化剤を添加して、pHを13.0以上に調整し、その後、該スラリーを固液分離して、上記固形分から溶出した鉛を含む液分と、上記カルシウムの残部を含む固形分とを得る鉛溶出工程と、
    上記カルシウム溶出工程(B)で得られた上記液分にアルカリ化剤を添加して、pH13.0以上に調整し、その後、固液分離して、上記液分中に含まれるカルシウムを固形分として回収するカルシウム回収工程と
    を含むことを特徴とするカルシウムを含む飛灰の処理方法。
  2. 上記カルシウム回収工程において、pHを13.5以上に調整する請求項1に記載のカルシウムを含む飛灰の処理方法。
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