JP3914435B2 - 新規なアミノプロピルホスフィン酸 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明はGABAB受容体1種以上に対する親和性を有する新規化合物並びに製薬上許容しうるその塩、溶媒和物および立体異性体に関する。本発明はまたその製造方法、上記治療上活性化合物を含有する医薬組成物および治療における上記活性化合物の使用に関する。
【0002】
【従来技術】
逆流
胃食道逆流症(GORD)は最も多い上部胃腸管疾患である。現在の治療は胃酸分泌を低減するか、食道クリアランス、下部食道括約筋緊張および胃空虚化を促進することにより食道酸曝露を低減することを目的としている。逆流の主な機序は当初は低緊張性下部食道括約筋によるものと考えられていた。しかしながら、最近の研究(例えばHolloway & Dent(1990), Gastroenterol. Clin. N. Amer. 19, 517-535)によれば、大部分の逆流状態は一過性下部食道括約筋弛緩、即ちこれよりTLOSRと記載する嚥下により惹起されない弛緩の間に発症する。胃酸の分泌はGORD患者では正常であることも知られている。
【0003】
この結果、TLOSRの発生率を低下し、これにより逆流を減少する化合物が求められている。
下部食道括約筋の弛緩に適応された局所麻酔剤を含有する医薬組成物がWO 87/04077および米国特許5,036,057号に記載されている。最近GABAB受容体アゴニストがTLOSRを抑制することがわかり、WO 98/11885に記載されている。
【0004】
GABAB受容体アゴニスト
GABA(4−アミノブタン酸)は中枢および末梢神経系における内因性神経伝達物質である。GABAの受容体は伝統的にはGABAA受容体およびGABAB受容体のサブタイプに分類されている。GABAB受容体はg蛋白結合受容体のスーパーファミリーに属する。GABAB受容体アゴニストは、CNS障害、例えば脊髄痙性における筋肉弛緩、心臓血管障害、喘息、腸運動性障害、例えば過敏性腸症候群(IBS)の治療において有用であるものとして、そして、前運動性(prokinetic)および鎮咳剤として報告されている。GABAB受容体アゴニストはまた嘔吐の治療において(WO 96/11680)、そして最近では前述の通り、TLOSRの抑制において(WO 98/11885)有用であることが開示されている。
【0005】
最も研究されているGABAB受容体アゴニストはスイス国特許CH 449,046号に開示されているバクロフェン(4−アミノ−3−(クロロフェニル)ブタン酸)である。バクロフェンは数年間抗痙攣剤として使用されている。EP 0356128は治療における強力なGABAB受容体アゴニストとしての特定の化合物(3−アミノプロピル)メチルホスフィン酸の使用を記載している。EP 0181833はGABAB受容体部位に対して極めて高い親和性を有することがわかった置換3−アミノプロピルホスフィン酸を開示している。バクロフェンと同様、化合物は例えば筋弛緩のために使用できる。EP 0399949は強力なGABAB受容体として記載されている(3−アミノプロピル)メチルホスフィン酸の誘導体を開示している。これらの化合物は筋弛緩剤として有用であるとされている。EP 0463969およびFR 2722192ともにブチル鎖の3−炭素において種々の複素環置換基を有する4−アミノブタン酸誘導体に関する出願である。GABAB受容体経の親和性に関する数種のホスフィン酸類縁体の構造−活性関連性並びにその筋弛緩作用はJ. Med. Chem. (1995), 38, 3297-3312に記載されている。この文献の結論は、望ましくないCNS作用の発生を伴うことなくバクロフェンよりもかなり強力な筋弛緩作用が3−アミノ−2−ヒドロキシプロピルメチルホスフィン酸の(S)−エナンチオマーを用いて達成できたとしている。
【0006】
文献では、リンに連結した水素原子を有するホスフィン酸は亜ホスホン酸(phosphonous acid)とも呼ばれている。これらは同じ化合物に対する二種の名称であり、両方の名称を使用できる。しかしながら、我々は本発明の化合物に付いてはホスフィン酸という名称を使用することとした。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、下記式I:
【化16】
[式中、R1は水素、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンであり;
R2はヒドロキシ、メルカプト、ハロゲンまたはオキソ基であり;
R3は水素または低級アルキル(場合によりヒドロキシ、メルカプト、低級アルコキシ、低級チオアルコキシまたはアリールで置換されたもの)であり;
R4は水素、低級アルキル(場合によりアリールで置換されたもの)またはアリールである]の化合物および製薬上許容しうるその塩、溶媒和物およびその立体異性体、ただし下記物質:
i)(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸のラセミ混合物、および、
ii)(2R/S,3R)−(3−アミノ−2−ヒドロキシブチル)ホスフィン酸
を除く上記物質を提供する。
【0008】
好ましい実施態様においては、
R1が水素、低級アルキルまたはハロゲンであり;
R2がハロゲン、ヒドロキシまたはオキソ基であり;
R3が水素であり;そして
R4が水素であるが、
(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸のラセミ混合物は除外される。
【0009】
更に好ましい化合物は、(3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸、(2R)−(3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸、(2S)−(3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸、(3−アミノ−2−フルオロ−1−メチルプロピル)ホスフィン酸、(3−アミノ−2−オキソプロピル)ホスフィン酸、(2S)−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸、(2R)−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸および(3−アミノ−1−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸である。
【0010】
本発明の範囲内において、R2がオキソ基である場合はR2と炭素との間の結合は二重結合である。
本発明の範囲内において、「低級」の基および化合物とは、例えば炭素原子7個まで、特に4個までを有するものとする。また一般的用語は以下の意味を有する。
【0011】
低級アルキルは例えば、C1−C4アルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピルまたはn−ブチル、イソプロピル、イソブチル、s−ブチルまたはt−ブチル)、またはC5−C7アルキル基(例えばペンチル、ヘキシルまたはヘプチル基)である。
【0012】
低級アルコキシは例えば、C1−C4アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシまたはn−ブトキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、s−ブトキシまたはt−ブトキシ、またはC5−C7アルコキシ基、例えばペントキシ、ヘキソキシまたはヘプトキシ基である。
【0013】
低級チオアルコキシは、例えばC1−C4チオアルコキシ、例えばチオメトキシ、チオエトキシ、n−チオプロポキシまたはn−チオブトキシ、チオイソプロポキシ、チオイソブトキシ、s−チオブトキシまたはt−チオブトキシ、またはC5−C7チオアルコキシ基、例えばチオペントキシ、チオヘキソキシまたはチオヘプトキシ基である。
ハロゲンは原子番号35までのハロゲンであり、例えばフッ素または塩素、そして好適度は低いが臭素が挙げられる。
【0014】
本発明の式Iの化合物は両性であり、内部塩の形態で存在する場合がある。これらはまた酸付加塩および塩基との塩を形成できる。このような塩は特に製薬上許容しうる酸付加塩、並びに塩基と形成された製薬上許容しうる塩である。このような塩の形成に適する酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸またはリン酸のような無機酸またはスルホン酸およびカルボン酸のような有機酸を包含する。塩基との塩は、例えばアルカリ金属の塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩、またはアルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩、並びにアンモニウム塩、例えばアンモニアまたは有機アミンとのものである。塩は従来の方法で製造してよい。
【0015】
分子内に立体中心が1個以上存在する場合は、式Iの化合物は立体異性体の混合物、即ちジアステレオマーの混合物および/またはラセミ混合物の形態で、または単一の立体異性体、即ち単一のエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの形態であることができる。化合物はまた溶媒和物、例えば水和物の形態であることができる。
【0016】
式Iの化合物は全て、TLOSRの抑制のため、従って胃食道逆流症の治療のために使用することができる。TLOSRの上記抑制はまた式Iの上記化合物が乳幼児における逆流の治療のために使用できることを意味する。乳幼児における逆流の効果的な対処は摂取された栄養の過剰な損失による生育の不良に対処する重要な方法である。更にまた新規化合物はGORD関連または非GORD関連の喘息、おくび、咳、疼痛、コカイン中毒、しゃっくり、IBS、消化不良、嘔吐および侵害受容の治療のために使用できる。
【0017】
従来の報告とは逆に(J. Med. Chem. (1995) 3297-3312およびThe GABA Receptors:第二版、S.J. Enna, Norman Bowery編、Humana Press (1997)、特にp281-282)、本発明の化合物は、P−H結合の存在にも関わらず意外にも高い代謝安定性を有する。その化合物はまた、意外にも高い治療指数を有する。
【0018】
製造
本発明の式Iの化合物は以下の方法の1つにより製造してよい。
A)下記式II:
【化17】
[式中、R1およびR3は式Iにおいて上記定義した通りであり、Xは水素または−CCH3(OCH2CH3)2のような保護基であり、Zはt−ブチルオキシカルボニルのような保護基であり、そしてYは水素または低級アルキルのような保護基である]の化合物、ただしここで、式IIの化合物は、下記スキーム1:
【化18】
に従って、R3が前記定義したものであり、Wが低級アルキルのような保護基であり、そしてZが式IIに定義したものである適切なN−保護アミノ酸エステル、およびR1が式Iにおいて前記定義したものであり、XおよびYが式IIにおいて定義したものである適当に保護されたホスフィン酸およびリチウムジイソプロピルアミドのような塩基を用いた縮合反応により合成されたものを、
【0019】
a)場合により、R4が水素と等しくないことが望まれる場合はR4を導入するためにN−アルキル化反応、そしてその後の加水分解反応により変換して下記式III:
【化19】
[式中R1、R3およびR4は式Iにおいて前記定義したとおりである]の化合物を得て、そして場合により上記形成された化合物IIIを式IIIの別の化合物に変換し、および/または形成された異性体混合物を分離して個々の異性体とし、および/または形成された塩を式IIIの遊離の化合物および/または別の塩に変換し、および/または形成された式IIIの遊離の化合物を上記定義に相当する塩に変換するか、または
【0020】
b)還元反応、場合によりR4が水素と等しくないことが望まれる場合はR4を導入するためにN−アルキル化反応、そして最終的に加水分解反応により変換して下記式IV:
【化20】
[式中R1、R3およびR4は式Iにおいて前記定義したとおりである]の化合物を得て、そして場合により上記形成された化合物IVを式IVの別の化合物に変換し、および/または形成された異性体混合物を分離して個々の異性体とし、および/または形成された塩を式IVの遊離の化合物および/または別の塩に変換し、および/または形成された式IVの遊離の化合物を上記定義に相当する塩に変換するか、または
【0021】
c)還元反応、次いでデオキソハロゲン化反応、場合によりR4が水素と等しくないことが望まれる場合はR4を導入するためにN−アルキル化反応、そして最終的に加水分解反応により変換して下記式V:
【化21】
[式中R1、R3およびR4は式Iにおいて前記定義したとおりであり、Haloはハロゲン原子である]の化合物を得て、そして、場合により上記形成された化合物Vを式Vの別の化合物に変換し、および/または形成された異性体混合物を分離して個々の異性体とし、および/または形成された塩を式Vの遊離の化合物および/または別の塩に変換し、および/または形成された式Vの遊離の化合物を上記定義に相当する塩に変換するか;
または
【0022】
B)下記式VI:
【化22】
[式中、R1およびR3は式Iにおいて上記定義した通りであり、Xは水素または−CCH3(OCH2CH3)2のような保護基であり、Tは−NH2基に変換できる基であり、そして、Yは水素または低級アルキルのような保護基である]の化合物、ただしここで式VIの化合物は、下記スキーム2:
【化23】
に従って、R1およびR3が式Iに置いて前記定義したものである適切なN−保護2,3−エポキシプロピルアミン誘導体またはエピクロロヒドリン誘導体のような2,3−エポキシプロピル誘導体、およびXおよびYが式VIにおいて定義したものであるO−シリル化により活性化された適当な保護ホスフィン酸誘導体、および無水ZnCl2のようなルイス酸を用いた縮合反応により合成されたものを、
【0023】
a)トリメチルシリル基が水素原子で置きかえられる反応、式VIにおいて定義したT基が−NHR4(ただしR4が式Iにおいて前記定義したもの)に変換される反応、そして最終的に加水分解反応により変換して下記式IV:
【化24】
[式中R1、R3およびR4は式Iにおいて前記定義したとおりである]の化合物を得て、そして、場合により上記形成された化合物IVを式IVの別の化合物に変換し、および/または形成された異性体混合物を分離して個々の異性体とし、および/または形成された塩を式IVの遊離の化合物および/または別の塩に変換し、および/または形成された式IVの遊離の化合物を上記定義に相当する塩に変換するか、または
【0024】
b)トリメチルシリル基が水素原子で置きかえられる反応、酸化反応、式VIにおいて定義したT基が−NHR4(ただしR4が式Iにおいて前記定義したもの)に変換される反応、そして最終的に加水分解反応により変換して下記式III:
【化25】
[式中R1、R3およびR4は式Iにおいて前記定義したとおりである]の化合物を得て、そして場合により、上記形成された化合物IIIを式IIIの別の化合物に変換し、および/または形成された異性体混合物を分離して個々の異性体とし、および/または形成された塩を式IIIの遊離の化合物および/または別の塩に変換し、および/または形成された式IIIの遊離の化合物を上記定義に相当する塩に変換するか、または
【0025】
c)トリメチルシリル基が水素原子で置きかえられる反応、デオキソハロゲン化反応、式VIにおいて定義したT基が−NHR4(ただしR4が式Iにおいて前記定義したもの)に変換される反応、そして最終的に加水分解反応により変換して下記式V:
【化26】
[式中R1、R3およびR4は式Iにおいて前記定義したとおりであり、Haloはハロゲン原子である]の化合物を得て、そして場合により、上記形成された化合物Vを式Vの別の化合物に変換し、および/または形成された異性体混合物を分離して個々の異性体とし、および/または形成された塩を式Vの遊離の化合物および/または別の塩に変換し、および/または形成された式Vの遊離の化合物を上記定義に相当する塩に変換するか;
または
【0026】
C)下記式VII:
【化27】
[式中、R1は式Iにおいて上記定義した通りであり、Xは水素または−CCH3(OCH2CH3)2のような保護基であり、Uは例えば−CH2NH2基に変換できる−CNまたは−CO2Etのような電子吸引性基であり、そしてYは水素または低級アルキルのような保護基であり、Haloはハロゲン原子である]の化合物、ただしここで、式VIIの化合物は下記スキーム3:
【化28】
に従って、R1が式Iにおいて前記定義したものであり、Uおよびhaloは式VIIにおいて定義したものである不飽和の化合物、およびXおよびYが式VIIにおいて定義したものであるO−シリル化により活性化された適当な保護ホスフィン酸誘導体を用いた付加反応によりにより合成されたものを、U基をR4が式Iにおいて上記定義したものである−NHR4に変換される反応、および加水分解反応により変換して、下記式VIII:
【化29】
[式中R1およびR4は式Iにおいて前記定義したとおりであり、Haloはハロゲン原子である]の化合物を得て、そして場合により形成された化合物VIIIを式VIIIの別の化合物に変換し、および/または形成された異性体混合物を分離して個々の異性体とし、および/または形成された塩を式VIIIの遊離の化合物および/または別の塩に変換し、および/または形成された式VIIIの遊離の化合物を上記定義に相当する塩に変換するか;
または
【0027】
D)場合により個々の立体異性体としての下記式IX:
【化30】
[式中R1、R3およびR4は式Iにおいて前記定義したとおりであり、Zはt−ブチルオキシカルボニルのような保護基であり、Haloはハロゲン原子である]の化合物、ただしここで、式IXの化合物は、下記スキーム4:
【化31】
に従って、R1、R3およびR4は前記定義したとおりであり、Lは脱離基(例えばヨード)であり、ZおよびHaloは前記定義した通りである親電子化合物およびO−シリル化により活性化されたホスフィン酸を用いた置換反応により合成されたものを、加水分解反応により変換して下記式V:
【化32】
[式中R1、R3およびR4は式Iにおいて前記定義したとおりである]の化合物とし、そして場合により形成された化合物Vを式Vの別の化合物に変換し、および/または形成された異性体混合物を分離して個々の異性体とし、および/または形成された塩を式Vの遊離の化合物および/または別の塩に変換し、および/または形成された式Vの遊離の化合物を上記定義に相当する塩に変換するか;
または
【0028】
E)下記式XI:
【化33】
[式中R1、R3およびR4は式Iにおいて前記定義したとおりであり、Xは水素または−CCH3(OCH2CH3)2のような保護基であり、そしてYは水素または低級アルキルのような保護基である]の化合物、ただしここで、式XIの化合物はスキーム5:
【化34】
に従って、R1、R3およびR4が式Iにおいて前記定義したものである不飽和のホスフィン酸を、H2S、メルカプチドイオン(HS-)、または、後に保護基を除去する場合はベンジルチオールのような保護されたメルカプト化合物で処理する付加反応により合成しておいたものを、加水分解反応により下記式XII:
【化35】
[式中R1、R3およびR4は式Iにおいて前記定義したとおりである]の化合物とし、そして場合により形成された化合物XIIを式XIIの別の化合物に変換し、および/または形成された異性体混合物を分離して個々の異性体とし、および/または形成された塩を式XIIの遊離の化合物および/または別の塩に変換し、および/または形成された式XIIの遊離の化合物を上記定義に相当する塩に変換する。
【0029】
【発明の詳述】
本発明を以下の限定しない実施例により更に詳述する。
実施例1
(3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸
THF(テトラヒドロフラン)中のエチル(3−アミノ−2−フルオロ−3−オキソプロピル)(ジエトキシメチル)ホスフィネートのアイスバス冷却溶液に、1M BH3−THFをアルゴン雰囲気下に添加した。10分後、溶液を2.5時間還流下に加熱した。溶液を室温に冷却し、6N HCl(200mL)を添加した。THFをロータリーエバポレーターで除去し、水層を2.5時間還流した。溶液を冷却し、蒸発させた。残存物をイオン交換カラムクロマトグラフィー(DOWEX(R) 500WX-8-200、H+型、3.5×4.0cm)で精製した。イオン交換樹脂を2:1 メタノール/水(400mL)で予備洗浄した。1:1 メタノール/水に溶解した粗生成物をカラムに適用し、1:1 メタノール/水(400mL)で洗浄した。溶離剤を3:1 メタノール/濃水酸化アンモニウムに変えた。2画分(総量150mL)を合わせ、蒸発させ、(3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸645mg(34%)を白色固体として得た。データ:融点203〜207℃;Rf=0.35(60:40:1 メタノール、塩化メチレン、濃水酸化アンモニウム);1H NMR(300MHz, D2O) δ 7.11(d, J=528Hz, 1H), 5.18(dm, J=54Hz, 1H), 3.28-3.45(m, 2H), 1.65-2.23(m, 2H); 13C NMR(125MHz, D2O+ジオキサン) δ 87.8(d, J=170Hz), 44.3(dd, J=12.6, 21.6Hz), 35.6(dd, J=20.2, 86.5Hz); APIMS: m/z=142(M+H)+。
【0030】
実施例2
(2S)−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸
エチル(2S)−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(1.0g、3.5ミリモル)および濃塩酸(50mL)の混合物を2時間還流下に加熱した。溶液を室温に冷却し、蒸発させた。残存物をメタノール(100mL)に溶解し、室温でプロピレンオキシド(2mL)で処理した。混合物を5時間攪拌した後、溶媒を傾瀉することにより沈殿した固体を採取した。固体をアルゴン気流で乾燥し、白色固体として(2S)−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸220mg(45%)を得た。
データ:1H NMR(300MHz, D2O) δ 7.1(d, J=540Hz, 1H), 4.2(m, 1H), 2.9-3.2(m, 2H), 1.7-2.0(m, 2H); 31P NMR(121MHz, D2O) δ 24.2(d,J=522Hz); FABMS: m/z=140(M+H)+; [α]D at 20℃=+8゜(0.1M HCl中0.5%)。
【0031】
実施例3
(2R)−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸
エチル(2R)−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(0.9g、3.2ミリモル)および濃塩酸(50mL)の混合物を2時間還流下に加熱した。溶液を室温に冷却し、蒸発させた。残存物をメタノール(50mL)に溶解し、室温でプロピレンオキシド(3mL)で処理した。混合物を5時間攪拌した後、溶媒を傾瀉することにより沈殿した固体を採取した。固体をアルゴン気流で乾燥し、白色固体として(2R)−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸260mg(59%)を得た。
データ:1H NMR(300MHz, D2O) δ 7.1(d, J=540Hz, 1H), 4.2(m, 1H), 2.9-3.2(m, 2H), 1.7-2.0(m, 2H); 31P NMR(121MHz, D2O) δ 23.9(d, J=525Hz); FABMS: m/z=140(M+H)+; [α]D at 20℃=−8゜(0.1M HCl中0.5%)。
【0032】
実施例4
(3−アミノ−2−オキソプロピル)ホスフィン酸
エチル[3−[N−(t−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−オキソプロピル](1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート試料(8.11g、21.0ミリモル)を予め溶液にN2を通してバブリングすることにより脱酸素化した3N HCl(400mL)に溶解した。混合物を室温で14時間攪拌し、次に濃縮した。残存物をメタノールで共蒸発させた。次に残存物をメタノール(10mL)に溶解し、プロピレンオキシド(10mL)を添加した。混合物を6時間攪拌し、得られた沈殿物を濾過により単離した。固体を冷メタノールで洗浄し、50℃で真空下に乾燥し、オフホワイト固体として(3−アミノ−2−オキソプロピル)ホスフィン酸2.1g(73%)を得た。データ:融点126〜127℃;Rf=0.64(85:15 メタノール、水);1H NMR(300MHz, D2O) δ 7.13(d,J=551Hz, 1H), 4.14(s, 2H), 3.14(d, J=18Hz, 2H);13C NMR(75MHz, D2O+ジオキサン) δ 199.5, 49.2, 47.3(d, J=69Hz); FABMS: m/z=138(M+H)+。
【0033】
実施例5
(2R)−(3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸
次ホスフィン酸アンモニウム(73.8g、0.89モル)を機械攪拌器、温度計、添加漏斗およびアルゴンバブラーを装備した3つ首2−Lフラスコに添加した。フラスコを室温でウォーターバス内に置き、N,O−ビス−(トリメチルシリル)アセトアミド(215mL、0.87モル −BSA)を内部温度が38℃以下に維持するような速度(約30分)で添加した。BSAの添加完了後、反応混合物を45〜48℃に加熱し、1時間この温度を維持した。反応混合物を室温に冷却し、塩化メチレン(300mL)中のt−ブチル(2R)−2−フルオロ−3−ヨードプロピルカーバメート(27.3g、0.09モル)の溶液を反応混合物に添加した。次に、反応混合物を18時間室温で攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、メタノール(275mL)、次に水(32mL)で慎重にクエンチングした。反応混合物を30分間攪拌し、その後反応混合物を濾過し、固体をメタノールで洗浄した。濾液を濃縮し、残存物を一夜高真空(0.1mmHg)下に置いた。粗製の残存物を塩化メチレン、メタノール、濃水酸化アンモニウム溶液(80:20:1)で磨砕し、濾過した。濾液を減圧下に濃縮し、繰り返し磨砕した。粗製の濃縮物を2−Lフラスコに移し、メタノール(375mL)に溶解し、室温でウォーターバス内に置いた。酢酸エチル(500mL)中の塩化水素ガスの飽和溶液を添加し、混合物を3時間攪拌した。反応混合物を濾過し、固体をメタノールと酢酸エチルの混合物(90:10)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮し、粗生成物をTLC分析で物質が検出されなくなるまで、1:1 メタノール/水を溶離剤として、Dowex(R) 50WX8-200メッシュ H+型(500g、8×15cm)カラムを通した。次に必要な粗生成物を1:3 濃水酸化アンモニウム溶液/メタノールで溶離した。生成物をクロロホルム、メタノール、濃水酸化アンモニウム溶液(6:3:1)を溶離剤とするカラムクロマトグラフィーでさらに精製し、白色固体として(2R)−(3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸(3.12g、24%)を得た。
1H NMR(300MHz, D2O) δ 7.90(s, 0.5H), 6.15(s, 0.5H), 5.12-5.29(m, 0.5H), 4.92-5.10(m, 0.5H), 3.12-3.42(m, 2H), 1.74-2.26(m, 2H)。
【0034】
実施例6
(2S)−(3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸
次ホスフィン酸アンモニウム(58.1g、0.70モル)を機械攪拌器、温度計、添加漏斗およびアルゴンバブラーを装備した3つ首2−Lフラスコに添加した。N,O−ビス−(トリメチルシリル)アセトアミド(175.9mL、0.71モル −BSA)を内部温度が35〜40℃の間を維持するような速度で添加した。BSAの添加完了後、反応混合物を45分間35〜40℃で維持した。塩化メチレン(150mL)を添加し、混合物をさらに45分間35〜40℃で攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、塩化メチレン(300mL)中のt−ブチル(2S)−2−フルオロ−3−ヨードプロピルカーバメート(42.5g、0.14モル)の溶液を反応混合物に添加した。次に反応混合物を一夜室温で攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、メタノール(150mL)、次に水(60mL)で慎重にクエンチングした。反応混合物を濃縮し、残存物を高真空(0.1mmHg)下に置いた。残存物を濃水酸化アンモニウム(50mL)を添加することにより約pH8に調整し、次に塩化メチレン(400mL)およびメタノール(250mL)を添加した。得られた固体を濾過し、濾液を濃縮した。残存物を塩化メチレン、メタノール、濃水酸化アンモニウム(80:20:1;400mL)で磨砕し、濾過した。濾液を減圧下に濃縮し、粗製の濃縮物をメタノール(400mL)に溶解した。酢酸エチル中塩化水素ガス飽和溶液(600mL)を添加し、混合物を3時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。粗生成物をTLC分析で物質が検出されなくなるまで、1:1 メタノール/水を溶離剤としてDowex(R) 50WX8-200メッシュ H+型(450g)カラムを通した。次に必要な粗生成物を1:3 濃水酸化アンモニウム/メタノールで溶離した。生成物を塩化メチレン、メタノール、濃水酸化アンモニウム溶液(6:3:1)を溶離剤とするカラムクロマトグラフィーでさらに精製し、白色固体として(2S)−(3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸(3.46g、17%)を得た。
1H NMR(300MHz, D2O) δ 7.90(s, 0.5H), 6.15(s, 0.5H), 5.12-5.29(m. 0.5H), 4.92-5.10(m, 0.5H), 3.12-3.42(m, 2H), 1.74-2。
【0035】
実施例7
(3−アミノ−1−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸
エチル(3−(N−(t−ブトキシカルボニル)アミノ)−1−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(180mg、4.5ミリモル)をメタノール(2mL)に溶解し、3N塩酸(20mL、60ミリモル、使用直前にアルゴンでパージ)で処理した。混合物をアルゴン雰囲気下に6時間室温で攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、粗生成物をメタノール(5mL)に再溶解し、残存した水分をメタノールで減圧下に共蒸発させて除去した。粗生成物(70mg)を塩化メチレン、メタノール、濃水酸化アンモニウム溶液(6:3:1)を溶離剤とするカラムクロマトグラフィー(1×10cmカラム)でさらに精製した。生成物を含有する画分を減圧下に濃縮し、アセトニトリル(2×10mL)、次にメタノール(1×10mL)で共蒸発させ、高真空(0.1mmHg)下に一夜乾燥した。この工程で白色固体として(3−アミノ−1−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸(40mg、56%)を得た。
1H NMR(300MHz, D2O) δ 7.93(s, 0.5H), 6.11(s, 0.5H), 4.60-4.20(m, 2H), 3.42-3.08(m, 2H)。
【0036】
実施例8
(3−アミノ−2−フルオロ−1−メチルプロピル)ホスフィン酸
THF(15mL)中のエチル3−アミノ−2−フルオロ−1−メチル−3−オキソプロピル(ジエトキシメチル)ホスフィネート(1.6g、5.3ミリモル)のアイスバス冷却溶液に1M BH3−THF(12.3mL、12.3ミリモル)をアルゴン雰囲気下に添加した。10分後、溶液を3時間還流下に加熱した。溶液を室温に冷却し、6N HCl(100mL)を滴加した。THFをロータリーエバポレーターによって除去し、さらに6N塩酸(100mL)を添加した。混合物を3時間還流した。溶液を冷却し、蒸発させ、水、次にエタノールで共蒸発させた。残存物をイオン交換クロマトグラフィー(DOWEX(R) 50WX-8-200、H+型、3.5×4.0cm)で精製した。イオン交換樹脂を2:1 メタノール/水で予備洗浄した。1:1 メタノール/水に溶解した粗生成物をカラムに適用し、1:1 メタノール/水で洗浄した。溶離剤を3:1 メタノール/濃水酸化アンモニウムに変えた。適切な画分を合わせ、蒸発させて油状物として(3−アミノ−2−フルオロ−1−メチルプロピル)ホスフィン酸のジアステレオマー混合物150mg(15%)を得た。
1H NMR(400MHz, D2O) δ 6.2-7.8(m, 1H), 4.8-5.2(m, 1H), 3.2-3.5(m, 2H), 1.8-2.2(m, 1H), 1.0-1.2(m, 3H); MS: m/z=156(M+H)+。
【0037】
以下の中間体は本発明の化合物の製造に使用された。
中間体
実施例I 1
エチル3−[(ジエトキシメチル)(エトキシ)ホスホリル]−2−フルオロプロパノエート(実施例1の化合物の中間体)
エチル(ジエトキシメチル)ホスフィネート(26.0g、133ミリモル)と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(28mL、133ミリモル)の混合物をアルゴン雰囲気下に2時間還流下に加熱した。混合物を室温に冷却し、フルオロアクリレート(10.5g、89.0ミリモル)を添加した。試薬をアルゴン雰囲気下に3日間60℃に加熱した。混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(300mL)で希釈し、1N塩酸(2×150mL)と飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上に乾燥し、濾過し、蒸発させて黄色の油状物32.0gを得た。残存物を97:3 塩化メチレン/メタノールを溶離剤とするウェットパックされたシリカゲルカラム(6×30cm)上のクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、蒸発させて透明な油状物としてエチル3−[(ジエトキシメチル)(エトキシ)ホスホリル]−2−フルオロプロパノエート16.0g(57%)を得た。
データ:1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 5.32(dm, 1H), 4.67-4.77(m, 1H), 4.18-4.32(m, 2H), 3.58-3.91(m, 4H), 2.30-2.62(m, 2H), 1.20-1.41(m, 9H)。
【0038】
実施例I 2
エチル(3−アミノ−2−フルオロ−3−オキソプロピル)(ジエトキシメチル)ホスフィネート(実施例1の化合物の中間体)
エタノール(22mL)中のエチル3−[(ジエトキシメチル)(エトキシ)ホスホリル]−2−フルオロプロパノエート(16.0g、51.1ミリモル)に、濃水酸化アンモニウム(14.8N、3.5mL、51.1ミリモル)を添加した。溶液を16時間攪拌し、蒸発させた。残存物を96.5:3.5 塩化メチレン/メタノールで溶離剤とするウェットパックされたシリカゲルカラム(7×37cm)上のクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、蒸発させて、透明な油状物としてエチル(3−アミノ−2−フルオロ−3−オキソプロピル)(ジメトキシメチル)ホスフィネート3.43g(27%)を得た。
データ:1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 6.43(s, 1H), 5.70(s, 1H), 5.21-5.49(dm, 1H), 4.7(dd, 1H), 4.18-4.31(m, 2H), 3.65-3.91(m, 4H), 2.21-2.81(m, 2H), 1.30-1.40(m, 3H), 1.20-1.28(m, 6H)。
【0039】
実施例I 3
エチル(2R)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(実施例2の化合物の中間体)
エチル(ジエトキシエチル)ホスフィネート(15.0g、71ミリモル)およびトルエンの混合物を蒸発させて乾燥した後、残存物と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(13.2g、82ミリモル)をアルゴン雰囲気下に3時間還流下に加熱した。混合物を室温に冷却し、蒸発させた。(R)−エピクロロヒドリン(6.6g、71ミリモル)と無水塩化亜鉛(2.5g、18ミリモル)を添加し、試薬をアルゴン雰囲気下に一夜60℃に加熱した。混合物を室温に冷却し、塩化メチレンと水で希釈した。有機層を水で洗浄し、MgSO4上に乾燥し、濾過し、蒸発させて、黄色の油状物として20.7gを得た。残存物を酢酸1%を含有するメタノール(150mL)中に溶解し、溶液を一夜攪拌した。溶媒を除去し、透明な油状物としてエチル(2R)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート17.7g(82%)を得た。
データ:1H NMR(500MHz, CDCl3) δ 4.3-4.4(m, 1H), 4.1-4.3(m, 2H), 3.5-3.8(m, 4H), 1.9-2.4(m, 2H), 1.5(dd, J=2.3, 11.4Hz, 3H), 1.32-1.37(m, 3H), 1.18-1.24(m, 6H)。
【0040】
実施例I 4
エチル(2S)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(実施例2の化合物の中間体)
アンモニア9%を含有するエタノール中のエチル(2R)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(5.0g、17ミリモル)の溶液を4日間室温でさらに1日間60℃でオートクレーブ内に攪拌した。溶液を蒸発させ、残存物を塩化メチレン/トリエチルアミン5%を含有するメタノール(5〜8%MeOH)を溶離剤とするウェットパックされたシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、蒸発させ、塩化メチレンと水で希釈した。水層をNa2CO3の10%水溶液を数mL添加することによりpHを調整し、塩化メチレンで繰り返し抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上に乾燥し、蒸発させて透明な油状物としてエチル(2S)−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート1.2g(26%)を得た。
データ:1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 4.40-4.55(b, 1H), 4.10-4.30(m, 2H), 3.55-3.80(m, 4H), 3.20-3.30(m, 1H), 3.00-3.10(m, 1H), 2.00-2.40(m, 2H), 1.45-1.53(dd, J=3.4, 11.7Hz, 3H), 1.30-1.40(m, 3H), 1.15-1.25(m, 6H)。
【0041】
実施例I 5
エチル(2S)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(実施例3の化合物の中間体)
エチル(ジエトキシエチル)ホスフィネート(15.0g、71ミリモル)とトルエンとの混合物を蒸発させて乾燥した後、残存物と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(13.2g、82ミリモル)をアルゴン雰囲気下に3時間還流下に加熱した。混合物を室温に冷却し、蒸発させた。(S)−エピクロロヒドリン(6.6g、71ミリモル)と無水塩化亜鉛(2.5g、18ミリモル)を添加し、試薬をアルゴン雰囲気下に一夜60℃に加熱した。混合物を室温に冷却し、塩化メチレンと水で希釈した。有機層を水で洗浄し、MgSO4上に乾燥し、濾過し、蒸発して黄色の油状物として20.7gを得た。残存物を酢酸1%を含有するメタノール(150mL)に溶解し、溶液を一夜攪拌した。溶媒を除去し、透明な油状物としてエチル(2S)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネートを得た。
データ:1H NMR(500MHz, CDCl3) δ 4.4(m, 1H), 4.2-4.3(m, 2H), 3.6-3.8(m, 4H), 1.9-2.4(m, 2H), 1.5(dd, J=2.3, 11.4Hz, 3H), 1.32-1.37(m, 3H), 1.18-1.24(m, 6H)。
【0042】
実施例I 6
エチル(2R)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(実施例3の化合物の中間体)
アンモニア9%を含有するエタノール中のエチル(2S)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(5.0g、17ミリモル)の溶液を6日間室温で、さらに1日間55℃でオートクレーブ内に攪拌した。溶液を蒸発させ、残存物を塩化メチレン/トリエチルアミン5%を含有するメタノール(5〜8%MeOH)を溶離剤とするウェットパックされたシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、蒸発させ、塩化メチレンと水で希釈した。水層をNa2CO3の10%水溶液を数mL添加することによりpHを調整し、塩化メチレンで繰り返し抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上に乾燥し、蒸発させて透明な油状物としてエチル(2R)−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート0.9g(19%)を得た。
データ:1H NMR(500MHz, CDCl3) δ 4.1-4.3(m, 2H), 4.05(b, 1H), 3.60-3.80(m, 4H), 2.4-2.9(m, 2H), 1.7-2.1(m, 2H), 1.4-1.5(dd, 3H), 1.3-1.4(m, 3H), 1.2(m, 6H)。
【0043】
実施例I 7
エチル[3−[N−(t−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−オキソプロピル](1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(実施例4の化合物の中間体)
−10℃でTHF(5mL)中のジイソプロピルアミン(3.0mL、21ミリモル)の溶液にn−BuLi(ヘキサン中2.5M、8.6mL、21ミリモル)を滴加した。10分後、反応混合物を−78℃に冷却し、THF(5mL)中のエチル(1,1−ジエトキシエチル)(メチル)ホスフィネート(4.80g、21.0ミリモル)の溶液を滴加した。添加後、溶液を1時間−78℃で攪拌した。THF(15mL)中のN−Boc−グリシンメチルエステル(810mg、4.3ミリモル)の溶液を滴加した。添加が完了した後、反応混合物を45分間攪拌した。酢酸(1.2mL、21ミリモル)を添加し、反応混合物を室温に加温した。反応混合物を塩化メチレンと水の間に分配し、層を分離した。水層を塩化メチレンで1回抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4上に乾燥し、濾過し、蒸発させて油状物4.89gを得た。残存物を酢酸エチルを溶離剤とするシリカゲル100g上のクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を収集し、油状物としてエチル[3−[N−(t−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−オキソプロピル](1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート1.2g(74%)を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 5.48(s, 1H), 4.10-4.30(m, 2H), 4.17(d, 2H), 3.60-3.80(m, 4H), 3.01-3.30(m, 2H), 1.52(d, 3H), 1.43(s, 9H), 1.32(t, 3H), 1.19(t, 6H)。
【0044】
実施例I 8
(2R)−3−(ジベンジルアミノ)−2−フルオロ−1−プロパノール(実施例5の化合物の中間体)
ホウ化水素リチウム(5.3g、0.24ミリモル)を窒素雰囲気下にTHF(200mL)中に懸濁させ、攪拌しながら−15℃に冷却した。メチル(2R)−3−(ジベンジルアミノ)−2−フルオロプロパノエート(56.6g、0.19ミリモル)をTHF(250mL)中に懸濁し、1時間かけて、添加中の内部温度を−10℃以下に維持しながら、混合物に滴加した。添加完了後、反応混合物を室温に戻し、17時間この温度で攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液(300mL)で慎重にクエンチングした。反応混合物を酢酸エチル(2×200mL)で抽出し、有機層を減圧下に濃縮した。粗製の残存物を2N塩酸(200mL、pH=約2)に溶解し、水層をエーテル(2×200mL)で洗浄した。水層を塩水中の80%水酸化アンモニウムで塩基性化(pH=約10)し、酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウム(10g)上に乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、黄色の油状物として(2R)−3−(ジベンジルアミノ)−2−フルオロ−1−プロパノール(48g、93%)を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 7.15-7.38(m, 10H), 4.65-4.78(m, 0.5H), 4.48-4.58(m, 0.5H), 3.50-3.82(m, 6H), 2.70-2.88(m, 2H)。
【0045】
実施例I 9
(2R)−3−アミノ−2−フルオロ−1−プロパノール(実施例5の化合物の中間体)
(2R)−3−(ジベンジルアミノ)−2−フルオロ−1−プロパノール(29.2g、0.11モル)をエタノール(300mL)に溶解した。炭素上10重量%の水酸化パラジウム(II)(5.0g)を添加し、混合物をParr(R)振とう器上に置き、6時間水素雰囲気(5.5psi)下に振とうした。水素の取り込みが観察されなくなった時点で、混合物をCelite(R)(20g)のパッドを通して濾過した。水酸化パラジウム(II)(5g)の新たなバッチをエタノール混合物に添加し、17時間上記水素化条件に再び付した。粗製の反応化合物をCelite(R)を通して濾過し、減圧下に濃縮し、淡黄色の油状物として(2R)−3−アミノ−2−フルオロ−1−プロパノール(9.6g、96%)を得た。
1H NMR(300MHz, CD3OD) δ 4.78-5.00(br s, 3H), 4.49-4.62(m, 0.5H), 4.32-4.46(m, 0.5H), 3.54-3.70(m, 2H), 2.70-2.96(m, 2H)。
【0046】
実施例I 10
t−ブチル(2R)−2−フルオロ−3−ヒドロキシプロピルカーバメート(実施例5の化合物の中間体)
(2R)−3−アミノ−2−フルオロ−1−プロパノール(4.6g、49ミリモル)を25%ジオキサン水溶液(160mL)に溶解し、炭酸カリウム(7.1g、51ミリモル)を添加し、混合物を0℃に冷却した。二炭酸ジ−t−ブチル(11.6g、53ミリモル)を2回に分けて添加した。次に混合物を一夜室温に戻した。粗製の反応生成物を濃縮して乾燥し、水(150mL)、次いで硫酸水素カリウム飽和水溶液を添加した(pH=約3まで)。有機物質を塩化メチレン(2×150mL)で抽出し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、無色の油状物としてt−ブチル(2R)−2−フルオロ−3−ヒドロキシプロピルカーバメート(9.5g、100%)を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 4.82-5.04(br s, 1H), 4.62-4.72(m, 0.5H), 4.48-4.58(m, 0.5H), 3.62-3.72(m, 2H), 3.32-3.62(m, 2H), 3.20-3.44(br s, 1H), 1.48(s, 9H)。
【0047】
実施例I 11
t−ブチル(2R)−2−フルオロ−3−ヨードプロピルカーバメート(実施例5の化合物の中間体)
イミダゾール(26.6g、0.39モル)を室温で塩化メチレン(400mL)中に溶解した。ヨウ素(102.5g、0.39モル)を添加し、反応混合物を室温で10分間攪拌し、次に0℃に冷却した。トリフェニルホスフィン(102.5g、0.39モル)を内部温度が10℃以下に留まるように10分かけて少しずつ添加した。塩化メチレン(100mL)中のt−ブチル(2R)−2−フルオロ−3−ヒドロキシプロピルカーバメート(60.4g、0.31モル)の溶液を滴加した。t−ブチル(2R)−2−フルオロ−3−ヒドロキシプロピルカーバメートの添加完了後、追加の塩化メチレン(200mL)を添加した。反応混合物を室温に戻し、17時間攪拌を続けた。反応混合物をCelite(R)(50g)のパッドを通して濾過し、追加の塩化メチレンで洗浄した。濾液を減圧下に濃縮し、塩化メチレンを溶離剤とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。この工程で白色固体としてt−ブチル(2R)−2−フルオロ−3−ヨードプロピルカーバメート(64.7g、68%)が得られた。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 4.80-5.10(br s, 1H), 4.58-4.72(m, 0.5H), 4.42-4.56(m, 0.5H), 3.48-3.70(m, 1H), 3.20-3.46(m, 3H), 1.48(s, 9H)。
【0048】
実施例I 12
メチル(2S)−3−(ジベンジルアミノ)−2−フルオロプロパノエート(実施例6の化合物の中間体)
メチル(2R)−2−(ジベンジルアミノ)−3−ヒドロキシプロパノエート(231.7g、0.77モル)をTHF(850mL)に溶解し、THF(400mL)中のDAST(196g、1.2モル)の溶液をゆっくり滴加した。添加完了後、反応混合物をさらに1.5時間攪拌した。TLC分析が出発物質の消費を示した。次に反応混合物を0℃に冷却し、水(1.5L)をゆっくり添加してクエンチングし、次いで固体重炭酸ナトリウムを添加して中和した。中和した後、濃水酸化アンモニウム/塩化ナトリウム飽和水溶液の1:1混合物を添加し、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、減圧下に濃縮した。粗製の混合物を酢酸エチル、ヘキサン(1:4)を溶離剤とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、油状物として所望の化合物(188.3g、62%)を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 7.18-7.38(m, 10H), 5.12-5.17(m, 0.5H), 4.95-5.00(m, 0.5H), 3.81-3.87(m, 2H), 3.69(s, 3H), 3.49-3.55(m, 2H), 2.90-3.12(m, 2H)。
【0049】
実施例I 13
(2S)−3−(ジベンジルアミノ)−2−フルオロ−1−プロパノール(実施例6の化合物の中間体)
ホウ化水素リチウム(17.7g、0.81モル)を窒素雰囲気下にTHF(400mL)中に懸濁し、攪拌しながら−15℃に冷却した。メチル(2S)−3−(ジベンジルアミノ)−2−フルオロプロパノエート(188.3g、0.62モル)をTHF(400mL)中に懸濁し、混合物に添加した。添加完了後、反応混合物を室温に戻し、3時間この温度で攪拌した。TLC分析が出発物質の完全な消費を示した。反応混合物を0℃に冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液(300mL)で慎重にクエンチングした。追加の水(400mL)を添加し、次に反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を減圧下に濃縮した。粗製の残存物を2N塩酸に溶解し、水層をエーテルで2回洗浄した。水層を塩水中の80%水酸化アンモニウムで塩基性化(pH=約10)し、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、黄色油状物として(2S)−3−(ジベンジルアミノ)−2−フルオロ−1−プロパノール(156.6g、92%)を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 7.15-7.38(m, 10H), 4.65-4.78(m, 0.5H), 4.48-4.58(m, 0.5H), 3.50-3.82(m, 6H), 2.70-2.88(m, 2H)。
【0050】
実施例I 14
(2S)−3−アミノ−2−フルオロ−1−プロパノール(実施例6の化合物の中間体)
(2S)−3−(ジベンジルアミノ)−2−フルオロ−1−プロパノール(39.1g、0.14モル)をエタノール(300mL)に溶解した。炭素上10重量%の水酸化パラジウム(II)(5.0g)を添加し、混合物をParr(R)振とう器上に置き、一夜水素雰囲気(55psi)下に振とうした。水素の取り込みが観察されなくなった時点で混合物をCelite(R)のパッドを通して濾過した。新たなバッチの水酸化パラジウム(II)(5g)をエタノール混合物に添加し、12時間上記水素化条件に再び付した。再び水素の取り込みが観察されなくなった時点で混合物をCelite(R)のパッドを通して濾過した。新たなバッチの水酸化パラジウム(II)(5g)をエタノール混合物に添加し、12時間上記水素化条件に再び付した。粗製の反応混合物をCelite(R)を通して濾過し、減圧下に濃縮し、淡黄色油状物として(2S)−3−アミノ−2−フルオロ−1−プロパノール(13.3g、100%)を得た。
1H NMR(300MHz, CD3OD) δ 4.78-5.00(br s, 3H), 4.49-4.62(m, 0.5H), 4.32-4.46(m, 0.5H), 3.54-3.70(m, 2H), 2.70-2.96(m, 2H)。
【0051】
実施例I 15
t−ブチル(2S)−2−フルオロ−3−ヒドロキシプロピルカーバメート(実施例6の化合物の中間体)
(2S)−3−アミノ−2−フルオロ−1−プロパノール(38.6g、0.41モル)をジオキサン25%水溶液(1.4L)に溶解し、炭酸カリウム(60.1g、0.43モル)、次いで二炭酸ジ−t−ブチル(99.5g、0.46モル)を添加した。混合物を一夜攪拌した。TLC分析は出発物質の完全な消費を示した。粗製の反応混合物を濃縮し、乾燥した。水(300mL)、次いで硫酸水素カリウム飽和水溶液を添加した(pH=約3まで)。有機物質を2回塩化メチレンで抽出し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮し、淡黄色の油状物としてt−ブチル(2S)−2−フルオロ−3−ヒドロキシプロピルカーバメート(79.5g、99%)を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 4.82-5.04(br s, 1H), 4.62-4.72(m, 0.5H), 4.48-4.58(m, 0.5H), 3.62-3.72(m, 2H), 3.32-3.62(m, 2H), 3.20-3.44(br s, 1H), 1.48(s, 9H)。
【0052】
実施例I 16
t−ブチル(2S)−2−フルオロ−3−ヨードプロピルカーバメート(実施例6の化合物の中間体)
イミダゾール(19.8g、0.29モル)を室温で塩化メチレン(900mL)に溶解した。ヨウ素(73.9g、0.29モル)を添加し、反応混合物を室温で10分間攪拌し、次に0℃に冷却した。トリフェニルホスフィン(76.3g、0.29モル)を内部温度が10℃以下に留まるように10分間かけて少しずつ添加した。塩化メチレン(300mL)中のt−ブチル(2S)−2−フルオロ−3−ヒドロキシプロピルカーバメート(45.0g、0.23モル)の溶液を滴加した。反応混合物を室温に戻し、12時間攪拌を続けた。反応混合物をCelite(R)のパッドを通して濾過し、追加の塩化メチレンで洗浄した。濾液を減圧下に濃縮し、塩化メチレンを溶離剤としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。この工程で無色の油状物としてt−ブチル(2S)−2−フルオロ−3−ヨードプロピルカーバメート(42.5g、62%)を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 4.80-5.10(br s, 1H), 4.58-4.72(m, 0.5H), 4.42-4.56(m, 0.5H), 3.48-3.70(m, 1H), 3.20-3.46(m, 3H), 1.48(s, 9H)。
【0053】
実施例I 17
エチル(フルオロメチル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(実施例7の化合物の中間体)
水素化ナトリウム(1.4g、57.1ミリモル)を窒素雰囲気下に圧力フラスコ内でTHF(50mL)中に懸濁し、攪拌しながら−10℃に冷却した。THF(20mL)中のエチル(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(10.0g、47.6ミリモル)を添加中内部温度が0℃以下に維持されるように10分間かけて混合物に添加した。添加完了後、反応混合物を90分間この温度で攪拌した。フラスコを−78℃に冷却し、クロロフルオロメタンガス(9.7g、142.8ミリモル)を反応混合物内に凝縮させた。隔壁を除去し、フラスコをスクリュースレッドストッパーでシールした。次にフラスコを室温まで戻し、次に24時間50℃に加熱した。反応混合物を0℃に冷却し、水(25mL)で慎重にクエンチングした。塩化メチレン(50mL)を反応混合物に添加し、乳濁液をCelite(R)のパッドを通し濾過した。水層を塩化メチレン(2×100mL)で抽出し、無水硫酸マグネシウム上に乾燥し、有機層を減圧下に濃縮し、淡黄色の油状物として粗製の生成物(6.93g)を得た。粗製の残存物をヘキサン中の20%アセトンを溶離剤とするシリカゲルカラムクロマトグラフィー(6×25cmカラム)で精製した。この工程で透明な無色の油状物としてエチル(フルオロメチル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(4.4g、42%)を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 4.94-4.54(m, 2H), 4.32-4.20(m, 2H), 3.82-3.54(m, 4H), 1.60-1.44(m, 3H), 1.40-1.28(m, 3H), 1.26-1.08(m, 6H)。
【0054】
実施例I 18
エチル(3−(N−(t−ブトキシカルボニル)アミノ)−1−フルオロ−2−オキソプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(実施例7の化合物の中間体)
−10℃でTHF(30mL)中のジイソプロピルアミン(2.5mL、14.5ミリモル、3.5eq)の溶液にn−BuLi(ヘキサン中の1.4M、9.0mL、14.5ミリモル)を滴加(約10分)した。10分後、反応混合物を−78℃に冷却し、THF(10mL)中のエチル(フルオロメチル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(2.0g、8.26ミリモル、2eq)の溶液を10分間かけて滴加した。添加後、反応混合物を1時間−78℃で攪拌した。THF(10mL)中のN−Boc−グリシンメチルエステル(0.8g、4.1ミリモル)の溶液を内部温度が−70℃以下を維持するように10分間かけて滴加した。添加完了後、反応混合物を1時間−78℃で攪拌した。反応混合物を酢酸(1mL、14.5ミリモル)でクエンチングし、次に室温に戻した。塩化ナトリウム飽和水溶液(75mL)を反応混合物に添加し、有機層を分離した。次に水層を酢酸エチル(2×75mL)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上に乾燥し、減圧下に濃縮して、淡黄色油状物として粗生成物(2.69g)を得た。粗生成物をヘキサン中の40%酢酸エチルを溶離剤とするカラムクロマトグラフィー(2×35cmカラム)で精製した。この方法により透明無色の油状物としてエチル(3−(N−(t−ブトキシカルボニル)アミノ)−1−フルオロ−2−オキソプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(0.73g、44%)を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 5.78-5.24(m, 2H), 4.52-4.08(m, 4H), 3.94-3.50(m, 4H), 1.62-1.51(m, 3H), 1.50-1.32(m, 3H), 1.42(s, 9H), 1.30-1.12(m, 6H)。
【0055】
実施例I 19
エチル(3−(N−(t−ブトキシカルボニル)アミノ)−1−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(実施例7の化合物の中間体)
窒素雰囲気下に−5℃でメタノール(30mL)中のエチル(3−(N−(t−ブトキシカルボニル)アミノ)−1−フルオロ−2−オキソプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネート(0.7g、1.8ミリモル)の溶液にホウ化水素ナトリウム(76mg、2.0ミリモル)を1回で添加した。僅かに発熱が起こったが、内部温度は−2℃以下を維持した。反応混合物を1時間0℃で攪拌した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(5mL)でクエンチングした。粗製の混合物を減圧下に濃縮した。粗製の残存物を酢酸エチル(30mL)で抽出し、塩化ナトリウム飽和水溶液(5mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上に乾燥した。減圧下に溶媒を除去し、淡黄色の油状物として粗生成物(580mg)を得た。カラムクロマトグラフィーによる精製で2つの画分が得られたが、これはエチル(3−(N−(t−ブトキシカルボニル)アミノ)−1−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル)(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネートの異なるジアステレオマーの存在と合致した。極性のより低い画分は2つのジアステレオマーの1:1混合物であると考えられた。一方、極性のより高い画分は1H NMR分析によれば主に1つのジアステレオマーであった(190mg、26%)。
極性のより高い化合物の1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 5.32-5.04(br s, 1H), 4.88-4.82(m, 0.5H), 4.72-4.68(m, 0.5H), 4.40-4.08(m, 4H), 3.90-3.26(m, 6H), 1.66-1.52(m, 3H), 1.50-1.32(m, 3H), 1.44(s, 9H), 1.30-1.12(m, 6H)。
【0056】
実施例I 20
エチル3−[(ジエトキシメチル)(エトキシ)ホスホリル]−2−フルオロブタノエート(実施例8の化合物の中間体)
エチル(ジエトキシメチル)ホスフィネート(21.70g、110ミリモル)と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(23.3mL、110ミリモル)をアルゴン雰囲気下に2時間還流下に加熱した。混合物を室温に冷却し、エチル2−フルオロブタ−2−エノエートのジアステレオマー混合物(14.6g、110ミリモル)を添加した。試薬をアルゴン雰囲気下に80℃に1日、そして120℃に2時間加熱した。混合物を室温に冷却し、別のトリエチルシリルで活性化したエチル(ジエトキシメチル)ホスフィネートを添加した(これは、エチル(ジエトキシメチル)ホスフィネート(21.70g、110ミリモル)と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(23.3mL、110ミリモル)から上記と同様の方法で製造された)。混合物を3日間100℃に加熱し、さらに別のトリエチルシリルで活性化したエチル(ジエトキシメチル)ホスフィネートを添加した。混合物をアルゴン雰囲気下に3日間100℃に加熱し、室温に冷却し、次に酢酸エチル(300mL)で希釈した。溶液を1N HCl(2×200mL)と塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄した。有機層をMgSO4上に乾燥し、濾過し、蒸発させて黄色の油状物として42.0gを得た。この残存物を塩化メチレン、次に塩化メチレン/メタノール98:2を溶離剤とするウェットパックされたシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、蒸発させて透明な油状物としてエチル3−[(ジエトキシメチル)(エトキシ)ホスホリル]−2−フルオロブタノエート3.6g(10%)を得た。
1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 4.9-5.6(m, 1H), 4.7-4.8(m, 1H), 4.2-4.4(m, 4H), 3.6-4.0(m, 4H), 2.6-2.9(m, 1H), 1.2-1.4(m, 12H)。
【0057】
実施例I 21
エチル3−アミノ−2−フルオロ−1−メチル−3−オキソプロピル(ジエトキシメチル)ホスフィネート(実施例8の化合物の中間体)
エタノール(3mL)中のエチル−3−[(ジエトキシメチル)(エトキシ)ホスホリル]−2−フルオロブタノエート(1.8g、5.5ミリモル)に濃水酸化アンモニウム(14.8M、0.5mL、7.4ミリモル)を添加した。溶液を40℃で24時間攪拌し、次に蒸発させて透明な油状物としてエチル3−アミノ−2−フルオロ−1−メチル−3−オキソプロピル(ジエトキシメチル)ホスフィネートのジアステレオマー混合物1.6g(97%)を得た。
1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 5.7-6.7(m, 2H), 4.9-5.56(m, 1H), 4.7-4.8(m, 1H), 4.1-4.4(m, 2H), 3.8-4.0(m, 4H), 2.8-3.0(m, 1H), 1.2-1.4(m, 12H)。
【0058】
医薬製造物
本発明の式Iの化合物は経口、直腸、硬膜下、静脈内、筋肉内、皮下、経鼻投与、および輸液による投与、またはその他の適当な投与
経路のための医薬製造物における活性成分として使用できる。好ましくは投与経路は経口または注射/輸液である。
【0059】
医薬製造物は1種以上の製薬上許容しうる成分と組み合わせて本発明の化合物を含有する。最終剤型は知られた製薬工程により製造される。通常は活性化合物の量は製造物重量の0.1〜95%、好ましくは非経口用途の製造物では0.2〜20重量%、そして経口投与用途の製造物では1〜50重量%である。
【0060】
経口投与のための固体投与単位の形態の本発明の化合物を含有する医薬製造物の製造においては、選択された化合物を固体の製薬上許容しうる成分(例えば錠剤分解剤および潤滑剤)と混合してよい。次に混合物を処理して顆粒、錠剤、カプセルまたはカシェ剤とする。
【0061】
直腸投与のための投与単位は坐薬形態;ゼラチン直腸カプセル形態;製造済みマイクロ浣腸剤の形態;または投与直前に適当な溶媒で希釈製造するための乾燥マイクロ浣腸製剤の形態に製造してよい。
【0062】
経口投与に適する液体製造物は、シロップまたは懸濁液の形態、または、使用前に適当な溶媒で希釈製造するための乾燥混合物の形態に製造してよい。
非経腸投与のための溶液は、製薬上許容しうる溶媒中の本発明の化合物の溶液として製造してよく、そしてアンプルまたはバイアルに分注する。これらはまた使用直前に適当な溶媒で希釈製造するための乾燥製造物として製造してよい。
活性化合物の典型的一日当たり用量は、例えば各患者の個々の要求性、投与経路および疾患などの種々の要因に応じたものである。一般的に、用量は1μg〜100mg/日kg体重、好ましくは10μg〜20mg/日kg体重の範囲である。
【0063】
生物学的試験
[3H]GABA放射性リガンド結合アッセイ
本質的に既に報告されているとおり(Zukin等、(1974),Proc. Natl. Acad. USA 71, 4802-4807)、ラットシナプス膜はSprague Dawley系ラット(オス)全脳から採取した。Olpe等の方法(1990, Eur. J. Pharmacol. 187, 27-38)の変法による[3H]GABAの競合アッセイは、20nMの[3H]GABA(比放射能:3テラベクレル(TBq/mmol))、被験化合物あるいは溶媒そして80μgのシナプス膜タンパク質を含む200μlのTCI(Tris Calcium Isoguvacine)緩衝液(50mMトリス(トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、pH7.4、2.5mM CaCl2および40μMイソグバシン)中で96穴プレートを用いて行った。室温において12〜20分間インキュベーションした後、96穴プレートセルハーベスター(SkatronあるいはTomtec)を用いて、0.3%ポリエチレンイミンにより前処理したガラス繊維フィルター(Printed filtermat B filters, Wallac)を通す高速濾過によりインキュベーションを終了した。フィルターは50mMのトリス(トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン)および2.5mM CaCl2を含有するpH7.4、4℃の緩衝液で洗浄し、55℃において乾燥した。MeltiLex B/HSシンチレータシート(Wallac)をフィルター上で溶融し、放射能をマイクロベータシンチレーションカウンター(Wallac)で測定した。
【0064】
結果および考察
本発明の化合物は、結合アッセイと回腸アッセイ各々における低IC50およびEC50のにより明らかになったとおり、GABABレセプターに対して高い結合性と効力を持つことがわかった。また本化合物は静注並びに経口で動物モデルに投与した場合もTLOSRを低減することがわかった。3−アミノプロピルホスフィン酸誘導体がP−H結合を持っていると文献に述べられていたことに反して、本発明の化合物が動物モデルにおいて高い代謝安定性を持つことがわかった。さらに、(マウスの体温低下によって測定されるような)中枢神経系の副作用は観察されなかったか、あるいは非常に高用量において観察されたのみであった。従って、治療用量(イヌモデルにおけるTLOSRの抑制)と副作用を引き起こす用量(マウスモデルにおいて)の相違は意外にも大きかった。
Claims (6)
- (3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸である請求項1記載の化合物。
- (2R)−(3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸である請求項2記載の化合物。
- (2S)−(3−アミノ−2−フルオロプロピル)ホスフィン酸である請求項2記載の化合物。
- (3−アミノ−2−オキソプロピル)ホスフィン酸である請求項1記載の化合物。
- エチル3−[(ジエトキシメチル)(エトキシ)ホスホリル]−2−フルオロプロパノエート、エチル(3−アミノ−2−フルオロ−3−オキソプロピル)(ジエトキシメチル)ホスフィネート、およびエチル[3−[N−(t−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−オキソプロピル](1,1−ジエトキシエチル)ホスフィネートよりなる群から選択される化合物。
Applications Claiming Priority (5)
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