JP3913200B2 - 野菜類及び/または豆類の不快味・不快臭の除去方法とそれを用いて得られた加工食品 - Google Patents

野菜類及び/または豆類の不快味・不快臭の除去方法とそれを用いて得られた加工食品 Download PDF

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Description

本発明は、乳酸菌による野菜類及び/または豆類の不快味・不快臭の除去方法に関する。また、この方法によって得られる、不快味・不快臭が除去されたことを特徴とする野菜類及び/または豆類の加工食品に関する。
現在の食生活において様々な食品が加工され飲食品として摂食されている。しかし、一部の飲食品では栄養学的に優れているにもかかわらず、その飲食品のもつ独特な苦味、渋味、酸味、収斂味や青臭さ等の特異な風味が一般に好ましくない異味及び嫌味として呈されることがある。しかし、これらの好ましくない風味を低減及び除去することにより、飲食をしやすくすることが可能である。
この中でも、特に、風味改善が求められる食品として、野菜類及び豆類が挙げられる。野菜類には、各種ミネラルやビタミン等がバランスよく含まれており、栄養生理学的に非常に注目されている。また、大豆を原料とする豆乳や豆腐等の大豆加工食品や小豆等の豆類は、良質なタンパク質を含むとともに、コレステロールを含まないことから、高タンパク質の健康食品として注目されている。しかしながら、野菜類や豆類は特有の不快臭や不快味を有していたり、加工処理することでそれぞれが有する特有の不快臭や不快味が強調されたり、風味の変化を起こしたりするため、嗜好性の点では良好とはいえないものが多い。大豆加工食品では、2−ヘキサナールや数種のサポニン類等の微量成分による青臭さ、えぐみ等の不快臭や不快味を有することが最大の欠点となっている。
一般的に、野菜類または豆類の特有な不快臭や不快味を脱臭もしくは低減するために、煮る、焼く、炒める及び揚げる等の加熱調理方法や、水洗いをする、水にさらす等の非加熱調理方法等がある。このように調理することで、野菜類または豆類特有の不快臭や不快味を低減することが可能となる。また、調理の際に香辛料や調味料を添加したり、他の食材と組み合わせて野菜類または豆類特有の不快臭を低減することも行われている。また、豆乳を含む豆類または野菜類に特有の不快臭を低減する消臭剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は、野菜類または豆類を調理する際に、甘蔗由来の抽出物を含有させることを特徴としている。また、野菜汁や豆乳等を乳酸菌により発酵させることで風味の改善が試みられており、例えば、野菜汁や果汁のみで十分に発酵可能なサイレージから分離した新規乳酸菌を用いた発酵人参ジュースや乳酸菌飲料(例えば、特許文献2及び3参照。)、果汁に乳製品を添加して、これを乳酸発酵させた乳酸発酵飲料(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。また、発酵大豆食品、主に発酵豆乳の製造方法等に関する技術も開示されており、製造段階において特定の処理を行うことや特定の乳酸菌を組み合わせて使用することにより、風味改善がなされている(例えば、特許文献5〜9参照。)。
このように、豆乳等の大豆加工食品を発酵させることで、豆乳や豆類加工食品が有している上記の青臭さや収斂味等の異風味はある程度防げるものの、その効果は必ずしも満足できるものとは言えなかった。また、発酵による発酵臭が、新たに独特の豆臭さ、青臭さ、えぐみや酸味等の不快味や不快臭を発生させてしまうという問題があった。特に、豆類の場合は、酸味が腐敗と結びつけられやすく、乳酸発酵はあまり好まれない傾向にある。また、上記の先行技術で用いられる乳酸菌の中で、ラクトースやグルコースを主発酵に利用する菌では、豆類中にこれらの糖がほとんど存在しないため、これらの菌体が資化可能である糖を添加する等の方法も開示されている(例えば、特許文献7参照。)。この方法も、乳酸菌で豆乳を発酵させることにより、大豆独特の風味を除去することは可能であるが、酸味が強くなるという問題も起こる。
以上に述べた先行技術による方法では、野菜類及び/または豆類の不快臭や不快味を除去し、かつ、野菜類及び/または豆類本来の風味を残すことが難しく、未だ本課題に関する解決が求められている状況にある。
このように、野菜類及び/または豆類由来の独特な不快臭や不快味を抑制させる技術や素材は多種提案されているものの、これらは必ずしも満足し得るものではなかった。
特開平11−155516号公報 特開平5−84065号公報 特開平5−84066号公報 特開平1−179646号公報 特開平11−75828号公報 特開平11−75687号公報 特許第3327155号公報 特開平10−201415号公報 特開平6−276979号公報
本発明は、野菜類及び/または豆類の青臭さやえぐみといった不快味や不快臭を抑制し、かつ乳酸菌による発酵臭がなく、野菜類及び/または豆類本来の風味を残した優れた不快味・不快臭の除去方法を提供することを課題とする。また、この方法によって得られる、不快味や不快臭が除去されたことを特徴とする野菜類及び/または豆類の加工食品、及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を達成するために、野菜類及び/または豆類の不快味や不快臭を除去できる多くの乳酸菌を探索し、鋭意研究を進めた結果、乳酸菌による発酵をさせずに野菜類及び/または豆類固有の不快味や不快臭を除去できる方法を見出した。本方法により、従来の乳酸発酵では得られなかった野菜類及び/または豆類固有の不快味や不快臭を顕著に改善し、素材の持つこくや旨味及び素材の本来有する良好な風味を持った野菜類及び/または豆類の加工食品を調製することが可能となった。
すなわち、本発明は、野菜類及び/または豆類にラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌を1×104個/g以上添加し、30分以上保持することによって得られる、野菜類及び/または豆類の加工食品中の産生乳酸量が0〜0.3%である、野菜類及び/または豆類の不快味・不快臭が除去されたことを特徴とする野菜類及び/または豆類の加工食品を提供することにある。
更に、本発明は、野菜汁及び/または豆汁にラクトバチルス・ガセリである乳酸菌を1×104個/g以上添加し、30分以上保持することによって得られる、乳酸量を増加させずに、野菜汁及び/または豆汁の加工食品中の産生乳酸量が0〜0.3%である、野菜汁及び/または豆汁の不快味・不快臭が除去されたことを特徴とする野菜汁及び/または豆汁の加工食品を提供することにある。
更に、本発明は、野菜類及び/または豆類に、ラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌を1×104個/g以上添加して、30分以上保持し、野菜類及び/または豆類の加工食品中の産生乳酸量が0〜0.3%である、野菜類及び/または豆類の不快味・不快臭が除去されたことを特徴とする野菜類及び/または豆類の加工食品の製造方法を提供することにある。
更にまた、本発明は、野菜汁及び/または豆汁に、ラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌を1×104個/g以上添加して、30分以上保持し、野菜汁及び/または豆汁の加工食品中の産生乳酸量が0〜0.3%である、野菜汁及び/または豆汁の不快味・不快臭が除去されたことを特徴とする野菜汁及び/または豆汁の加工食品の製造方法を提供することにある。
本発明は、乳酸菌の添加により、乳酸菌による乳酸発酵をさせずに、乳酸菌を添加して保持することにより野菜類及び/または豆類の独特な不快臭や不快味を低減させることが可能であり、官能的に優れた野菜類及び/または豆類の加工食品の製造が可能となる。
以下に、本発明について詳しく説明する。
本発明において野菜類とは、キャベツ、ハクサイ、ホウレンソウ、レタスやシュンギク等の葉菜類、ダイコン、ニンジン、ゴボウ等の根菜類、キュウリ、カボチャやウド等の茎菜類、ブロッコリー、カリフラワー等の花菜類等を例示することができる。また、本発明において豆類とは、大豆、小豆、そら豆、グリーンピース、さやえんどう等の豆類を例示することができる。
本発明において、上記した野菜類及び/または豆類を調理する際にラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌を1×104個/g以上添加して、30分以上保持することを特徴とする。調理する方法として煮る、焼く、炒める、蒸す及び揚げる等の加熱調理方法や、水洗いをする、水にさらす等の非加熱調理方法等があるが、いずれの調理方法においても本発明の方法を使用することが可能である。例えば、蒸煮による加熱調理方法の場合には、蒸煮前に野菜類及び/または豆類にラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌を1×104個/g以上添加しても良いし、蒸煮後に野菜類及び/または豆類の温度を下げてから野菜類及び/または豆類加工食品にラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌を1×104個/g以上添加しても良い。また、水にさらす等の非加熱調理方法の場合には、さらし水にラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌を1×104個/g以上添加して、30分以上保持することにより不快味・不快臭を除去することが可能である。また、乳酸菌は野菜類及び/または豆類に接種する前に加熱殺菌したものを用いることもできる。
本発明の不快味・不快臭の除去方法においては、野菜類及び/または豆類を搾汁したものに対して用いると、本発明の効果をより良く発揮できる。上記の野菜類及び/または豆類を破砕して搾汁したもの、あるいは、裏ごしをして皮や種子等を除去したものを用いることが好ましい。野菜類及び/または豆類の搾汁に食塩、香辛料、酸味料、調味料等を加え、殺菌後冷却、濃縮またはろ過したもの、あるいは濃縮、ろ過後に必要に応じて凍結し、使用する際に解凍したものも用いることもできる。また、数種の野菜の搾汁を混合したり、野菜類及び/または豆類の搾汁に果物の果汁を混合したものも用いることができる。本発明では野菜類を搾汁したものを野菜汁というものとし、豆類を搾汁したものを豆汁というものとする。また、本発明では日本農林規格が制定しているトマトジュース、トマトミックスジュース、トマト果汁飲料、ニンジンジュースまたはニンジンミックスジュース等も野菜類加工食品として用いることができる。また、ケールを主とし、モロヘイヤ等を配合したいわゆる青汁と呼ばれるものや、緑黄色野菜の搾汁を主原料とする野菜ジュース類も野菜類加工食品として用いることが可能である。
また、本発明に用いる豆類加工食品は、例えば大豆、小豆や脱脂大豆を水浸漬するか、または、含水状態にて破砕したものや、これをろ過等して不溶性画分を除去したものを使用することができるが、特に限定されるものではない。
本発明に用いる乳酸菌は、ラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌を使用することができる。乳酸菌の中では官能評価の結果より、ラクトバチルス・ガセリが特に好ましい結果を示した。
これらの乳酸菌を野菜類及び/または豆類に添加する方法については、乳酸菌のバルクスターターを調製し添加する方法、凍結濃縮菌体や凍結乾燥菌体を直接添加する方法のいずれであっても良い。乳酸菌の添加量は、対象とする野菜類及び/または豆類の種類やそれらの処理温度、処理時間によって異なるが、乳酸菌体の初発菌数が1×104個/g以上の濃度となるように添加する。また、添加する乳酸菌は添加前に殺菌することも可能である。殺菌の条件は通常用いられる方法でよく、例えば65℃、30分間などが挙げられる。乳酸菌による処理温度は4〜45℃で行い、処理時間は30分〜40時間にて行うが、野菜類及び/または豆類の加工食品中の産生乳酸量を0〜0.3%にコントロールする必要がある。よって、保持温度や保持時間等により、産生乳酸量を調整する。例えば、低温で処理を行った場合には、処理時間は長くなり、また、高温で処理を行った場合は、処理時間を短くする。サンプリングを行いながら、経時的にサンプル中の産生乳酸量を測定することにより、産生乳酸量を0〜0.3%にコントロールする。乳酸量の測定は、FキットD/L乳酸(ベーリンガーマンハイム社製)を用いて定量するが、簡易的には常法に従って乳酸酸度滴定法によっても測定可能である。さらに、経時的に風味検査を行うことで、酸味の発生が感じられるか否かによっても判断が可能であり、通常、産生乳酸量が0.3%を超えると本来の風味に酸味が付与されたように感じる。
本発明では豆乳を用いた場合に37℃で3時間処理後に、不快味・不快臭の除去効果が確認された。乳酸菌による不快味・不快臭の除去方法は、静置、撹拌等で行うが、特に限定されるものではない。また、処理時の野菜類及び/または豆類の濃度は、製品の風味や乳酸菌の菌数等を考慮して適宜選択することができる。
一般に発酵製品を製造する際には、バルクスターターを調製し、原料用ミックスに1〜10%程度接種し、培養することで製造を行う。バルクスターターは、対数増殖期後期から定常期まで培養を行うため、バルク中の産生乳酸量は1〜3%程度に達する。このバルクスターターを原料用ミックスに接種したとき、バルクスターター中の乳酸の持ち込みによる原料用ミックス中の乳酸量は0.01〜0.3%となる。よって、スターターによる発酵が行われなくても最終製品には乳酸は含まれることとなる。また、野菜類が本来持っているラクトバチルス・プランタラム等の乳酸菌によっても乳酸が産生されるが、これらの乳酸の産生もできるだけ抑制する。
本発明は、乳酸菌による発酵をさせずに、乳酸菌を添加して保持することにより、乳酸菌による風味改善及び不快臭除去効果が認められること、また、乳酸発酵による好ましくない風味の発生を抑制するために、最終製品中の産生乳酸量は0〜0.3%に抑えることを特徴とする。したがって、本発明において、野菜類及び/または豆類の不快味・不快臭が除去されるのは、乳酸菌の発酵により生成される乳酸によるのではないことがわかった。本発明で乳酸は必須成分ではなく、任意成分であり、産生乳酸量は0〜0.3%に抑える。0.3%を超えると乳酸発酵臭が感じられるようになり、本発明の野菜類及び/または豆類の不快味・不快臭を除去するという目的を逸脱するので好ましくない。野菜類及び/または豆類の不快味・不快臭が除去されるのは、乳酸菌の細胞が何らかの除去作用を持っているのか、乳酸以外の物質を産生してその物質が除去作用を持っているのか明らかではないが、乳酸菌による発酵をさせなくとも、乳酸菌による風味改善及び不快臭の除去効果が認められることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
更に、豆類に野菜類を混合したものや豆類や野菜類の製品形態によっては、凝固剤を添加することも可能である。凝固剤の種類としては、天然にがり、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム等のカルシウム塩やグルコノデルタラクトン等であり、これらを単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。凝固剤の添加量は、凝固剤の種類により異なるが、塩としては豆類の粗タンパク質当り2〜8%程度が適当である。
得られた豆類加工食品は、冷却してそのままの状態で食してもよいし、撹拌後に均質化を行ってドリンクタイプとすることもできる。また、必要に応じて各種フレーバー、色素、安定剤を添加したり、フルーツプレザーブ等を添加して、フルーツミックスタイプの製品を作成することもできる。
以下に、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、これらは単に本発明の実施態様を例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
(豆乳の風味改善試験)
ラクトバチルス・ラムノーサス(Lb.rhamnosus)ATCC15820株、ラクトバチルス・ガセリ(Lb.gasseri)SBT2055(FERM P−15535)株、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lb. delbruekii subsp. bulgaricus)JCM1002株、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Str. thermophilus)TH3株(クリスチャンハンセン社製)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bif. longum)BB46株(クリスチャンハンセン社製)及びラクトバチルス・カゼイ(Lb. casei)ATCC334株の6種類の乳酸菌を、それぞれ脱脂乳培地(12%脱脂乳培地+0.3%酵母エキス(ディフコ社製)、115℃、20分間滅菌)で継代培養を行い、通常の方法により凍結スターターを調製した。この調製した各乳酸菌の凍結スターターを、90℃、30分間殺菌後冷却した無調整豆乳10Lに、初発菌数が1×10個/gとなるように添加し、37 ℃で3時間保持して本発明品1〜6を調製した。
また、対照として、無調整豆乳に乳酸菌を添加しないで、37℃、3時間保持したものを調製し、比較品1とした。本発明品と比較品について官能評価及び乳酸量測定とpHの測定を行った。
(評価方法)
・官能評価方法
熟練した8名のパネラーにより、野菜臭及び風味に関して、対照である乳酸菌無添加調製物(比較品)を3点として、本発明品を以下に示す5段階で評価して、平均点を算出した。ここでいう野菜臭とは、苦味、渋味、酸味、青臭さや収斂味等の野菜の持つ好ましくない風味のことをいう。
5点:野菜臭を感じなくなり、良好な風味を示した、4点:野菜臭をあまり感じなくなり、良好な風味を示した、3点:比較品と同等の風味を示した、2点:野菜臭がやや強く感じられた、1点:野菜臭が強く感じられた
・乳酸量測定方法
乳酸量は、FキットD/L乳酸(ベーリンガーマンハイム社製)を用いて定量を行った。
・pH測定方法
pHは、ガラス電極型pHメーターF-201型(堀場製作所社製)を用いて測定を行った。
官能評価結果を表1に、産生乳酸量とpH測定結果を表2に示した。
なお、産生乳酸量は、下記の式により算出した。
産生乳酸量(%)=(乳酸菌を添加して一定時間保持後の乳酸量)−(初発乳酸量)
Figure 0003913200
Figure 0003913200
官能評価の結果、本発明品1〜6は比較品1に比べて、大豆本来の甘味や旨味が引き立つとともに青臭さやえぐみといった不快味・不快臭が低減し、飲みやすく、美味しいという評価を得た。特に、ラクトバチルス・ガセリ(Lb.gasseri)を用いたものが、もっとも良い評価が得られた。
(トマトジュースの風味改善試験)
食塩無添加のトマトジュース(カゴメ株式会社製)1Lに対して、ラクトバチルス・ガセリ(Lb.gasseri) SBT2055(FERM P−15535)株を初発菌数が1×104個/gになるように添加し、39℃で3時間(本発明品7)、4℃で16時間(本発明品8)保持することにより本発明品7及び8を得た。
また、対照として、乳酸菌を添加しないトマトジュースを39℃で3時間保持したものを調製し、比較品2とした。本発明品と比較品について官能評価及び乳酸量とpHの測定を行った。
官能評価結果を表3に、産生乳酸量と保持後のpH測定結果を表4に示した。
なお、官能評価及び乳酸量とpHの測定は、実施例1と同様に行った。
Figure 0003913200
官能評価の結果、本発明品7及び8は、トマトジュース独特の臭みや青臭さが抑制され、マイルドな風味を有しており、飲みやすいという評価であった。これに対し、比較品2はトマトジュースの酸味や青臭さが強く感じられた。
Figure 0003913200
本発明品7及び8と比較品2のpH値はほとんど変わらず、乳酸菌による乳酸産生は認められなかった。
(キャロットジュースの風味改善試験)
キャロットジュース(カゴメ株式会社製)1Lに対して、ラクトバチルス・ガセリ(Lb.gasseri) SBT2055(FERM P−15535)株を初発菌数が1×106個/gになるように添加し、39℃で30分間(本発明品9)、4℃で16時間(本発明品10)保持することにより本発明品9及び10の調製を行った。
また、対照として乳酸菌を添加しないキャロットジュースを39℃、30分間保持したものを調製し、比較品3とした。本発明品と比較品について官能評価及び乳酸量とpHの測定を行った。
官能評価結果を表5に、産生乳酸量と保持後のpHの測定結果を表6に示した。
なお、官能評価及び乳酸量とpHの測定は、実施例1と同様に行った。
Figure 0003913200
官能評価の結果、本発明品9及び10は、キャロットジュース独特の臭みや青臭さ、ニンジン臭が抑制され、マイルドな風味を有しており、飲みやすいという評価であった。これに対し、比較品3は、ニンジンの独特な風味が強く感じられた。
Figure 0003913200
本発明品9及び10と比較品3とのpH値はほとんど変わらず、及び乳酸量は同等であり、乳酸菌による乳酸産生はほとんど認められなかった。
(青汁の風味改善試験)
青汁(ファンケル株式会社製)1Lに対して、ラクトバチルス・ガセリ(Lb.gasseri) SBT2055(FERM P−15535)株を初発菌数が1×10個/gになるように添加し、39℃で3時間(本発明品11)、4℃で16時間(本発明品12)保持することにより本発明品11及び12の調製を行った。
対照として、乳酸菌を添加しないで青汁を39℃、3時間保持したものを比較品4とした。また、ラクトバチルス・ガセリ(Lb.gasseri)SBT2055(FERM P−15535)株の初発菌数を1×10個/gになるように添加して、産生乳酸量をコントロールせず、39℃で16時間保持したものを比較品5とした。
官能評価結果を表7に、産生乳酸量と保持後のpHの測定結果を表8に示した。
なお、官能評価及び乳酸量とpHの測定は、実施例1と同様に行った。
Figure 0003913200
官能評価の結果、本発明品11及び12は、ケール独特の臭みや青臭さが抑制され、マイルドな風味を有しており、飲みやすいとの評価が得られた。これに対し、対照品である比較品4は、ケールの独特な風味が強く感じられた。また、比較品5は、乳酸発酵による乳酸量が多く、発酵臭が強くなり、好ましくない風味を示した。
Figure 0003913200
本発明品11及び12と比較品4とのpH値はほとんど変わらず、乳酸菌による乳酸産生はほとんど認められなかった。比較品5では、乳酸菌の乳酸産生により著しいpHの低下が認められた。
(赤汁の風味改善試験)
赤汁(小豆の煮汁;田中製餡株式会社製)1Lに対してラクトバチルス・ガセリ (Lb.gasseri)SBT2055(FERM P−15535)株を初発菌数が1×10個/gになるように添加し、39℃で3時間(本発明品13)、4℃で16時間(本発明品14)保持することにより本発明品13及び14を得た。なお、ラクトバチルス・ガセリ(Lb.gasseri)SBT2055(FERM P−15535)株培養物は95℃、20分間加熱、殺菌した後添加した。
乳酸菌を添加しないで赤汁を39℃、3時間保持したものを比較品6とした。
官能評価の結果を表9に、産生乳酸量と保持後のpHの測定結果を表10に示した。
なお、官能評価及び乳酸量とpHの測定結果は、実施例1と同様に行った。
Figure 0003913200
官能評価の結果、本発明品13及び14は小豆独特の臭みや渋みが抑制され、マイルドな風味を有しており、飲みやすいとの評価が得られた。これに対し、比較品6は、小豆の独特な風味が強く感じられた。
Figure 0003913200
本発明品13及び14と比較品6のpH値はほとんど変わらず、乳酸菌による乳酸産生はほとんど認められなかった。官能評価の結果とともに評価すると、乳酸菌を添加することで小豆の独特な風味が軽減されると考えられる。

Claims (6)

  1. 野菜類及び/または豆類に、ラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌を1×104個/g以上添加し、30分以上保持し、産生乳酸量を0〜0.3%に抑制する、野菜類及び/または豆類の不快味・不快臭の除去方法。
  2. 野菜類及び/または豆類が、野菜汁及び/または豆汁である請求項1記載の不快味・不快臭の除去方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法によって得られる、野菜類及び/または豆類中の産生乳酸量が0〜0.3%である、不快味・不快臭が除去されたことを特徴とする野菜類及び/または豆類の加工食品。
  4. 請求項2記載の方法によって得られる、野菜汁及び/または豆汁中の産生乳酸量が0〜0.3%である、不快味・不快臭が除去されたことを特徴とする野菜汁及び/または豆汁の加工食品。
  5. 野菜類及び/または豆類に、ラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌を1×104個/g以上添加して30分以上保持し、野菜類及び/または豆類中の産生乳酸量を0〜0.3%に抑制する、不快味・不快臭が除去されたことを特徴とする野菜類及び/または豆類の加工食品の製造方法。
  6. 野菜類及び/または豆類が、野菜汁及び/または豆汁である請求項記載の加工食品の製造方法。
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