JP3909995B2 - 重低音補正システム及びこれを用いた音響装置 - Google Patents

重低音補正システム及びこれを用いた音響装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型スピーカやヘッドホン等を使用して音声信号の再生を行う際に、その低域側カットオフ周波数が高いことによって生じる低音再生不良を聴感上修正し、豊かな重低音の再生を実現することができる重低音補正システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
音源から入力される音声信号の周波数帯域はスピーカの再生可能な周波数帯域に比べて広いことが普通である。そのため、音源から入力される音声信号を忠実に再生するには、再生可能な周波数帯域ができる限り広範囲に及ぶスピーカを設ける必要がある。ここで、前記スピーカの再生可能な周波数帯域の広さはスピーカの寸法や構造等によってそれぞれ固有の範囲を有しているが、一般的にスピーカの寸法が小型になるほど低域側カットオフ周波数が高くなり、低音域の再生特性は悪化する傾向にある。
【0003】
しかしながら、ノートパソコンやポータブルオーディオ再生装置といった携帯性を求められる機器、省スペースをコンセプトとしたコンパクトオーディオシステム、あるいは自動車室内といった限られた空間に設置されるカーオーディオシステム等に採用されるスピーカもしくはヘッドホンは、その設置場所の制限等からできる限り小型・軽量なものが望まれている。そのため、どうしても低音域の再生特性が犠牲となり、使用者にとっては低音域の再生が不十分であるといった不満を禁じ得ないものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の課題を解決する手段として、従来の音響装置には低域周波数成分の利得増幅を行う重低音補正システムを設けている。図7は従来の重低音補正システムにおける周波数−利得特性の一例を示すグラフである。このグラフにおいて横軸は周波数を、縦軸は利得をそれぞれ示している。図中の実線1は小型スピーカの再生可能な周波数帯域(周波数fL〜周波数fH)を示しており、ここでは20Hz(fL)〜20kHz(fH)の音声信号を再生可能な小型スピーカを例に挙げている。ただし、この小型スピーカの低域側カットオフ周波数f0は100Hz程度であり、100Hz以下の低域周波数成分については十分な再生を行うことができない。
【0005】
また、図中の破線3は従来の重低音補正システムにおける利得増幅量の周波数特性を示している。図中に示す通り、従来では0Hz〜1kHzといった低域周波数領域全体の利得を一律に増幅している。なお、図中の一点鎖線2は0dBのフラットなラインを示しており、全周波数帯域で自然界に存在する音を仮定している。
【0006】
確かに、上記のように低音域の利得を増幅する構成であれば、ある程度までは小型スピーカ等における低音域の再生特性をカバーすることができる。しかしながら、この例で示した小型スピーカの場合、いくら低域周波数成分の利得のみを上げたとしても、低域側カットオフ周波数f0が100Hzであるため、それ以下(特に、20Hz以下)の低域周波数成分を再生するには限界がある。かと言って、低音域の利得増幅を過度に行うと音割れやスピーカ筐体のビビリなど別問題が発生するため、おのずと低音域の利得増幅量も制限される。
【0007】
さらに、前にも述べた通り、従来の重低音補正システムでは低域周波数領域全体の利得を一律に増幅しているので、ある周波数成分にとっては適当な増幅度であっても、別の周波数成分にとっては必要以上の増幅であることが多い。このため、使用者にとっては聴感上非常にうるさく感じ、本来の豊かな暖かみのある重低音とはかけ離れた再生音となっている。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑み、小型スピーカやヘッドホン等を使用して音声信号の再生を行う際に、その低域側カットオフ周波数が高いことによって生じる低音再生不良を聴感上修正し、歪みの少ない豊かな重低音の再生を実現することができる重低音補正システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る重低音補正システムにおいては、音源から2系統に分けて入力される音声信号のLチャンネル成分及びRチャンネル成分の低域周波数成分をそれぞれ抜き出すための抽出手段と、前記抽出手段によって抜き出した前記低域周波数成分が入力されるアナログ乗算器と、前記アナログ乗算器の出力信号を前記Lチャンネル成分及び前記Rチャンネル成分に加えるための加算手段とを有する構成としている。特に、前記アナログ乗算器は、入力された前記低域周波数成分を元のほぼ2倍の周波数帯域にシフトさせるとともに、その振幅を元のほぼ2乗にして出力する構成である。
【0010】
なお、上記構成の重低音補正システムにおいては、前記音声信号から前記低域周波数成分を除去するためのハイパスフィルタを設け、前記アナログ乗算器の出力信号を前記ハイパスフィルタの出力信号に加える構成とするとよい。さらに、前記アナログ乗算器と前記加算手段との間に、不要な高域周波数成分を除去するためのローパスフィルタを設けてもよい。
【0011】
また、本発明に係る音響装置においては、上記した重低音補正システムを小型スピーカやヘッドホン等の駆動システムに用いたことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る重低音補正システムにおける周波数−利得特性の一例を示すグラフである。このグラフにおいて横軸は周波数を、縦軸は利得をそれぞれ示している。図中の実線1は小型スピーカの再生可能な周波数帯域(周波数fL〜周波数fH)を示しており、ここでは20Hz(fL)〜20kHz(fH)の音声信号を再生可能な小型スピーカを例に挙げている。ただし、この小型スピーカの低域側カットオフ周波数f0は100Hz程度であり、100Hz以下の低域周波数成分については十分な再生を行うことができない。また、図中の一点鎖線2は0dBのフラットなラインを示しており、全周波数帯域で自然界に存在する音を仮定している。
【0013】
ここで、本発明に係る重低音補正システムにおいては、低域周波数領域の利得のみを一律に増幅する従来構成とは異なり、入力される音声信号の低域周波数成分(図中Aで示す領域)を元のほぼ2倍の周波数帯域にシフトさせるとともに、その振幅を元のほぼ2乗にして出力する(図中Bで示す領域)手段を有する構成としている。
【0014】
まず、本発明に係る重低音補正システムの第1実施形態について説明する。図2は第1実施形態における重低音補正システムの概略構成を示すブロック図である。ここでは、音源から入力される音声信号がLチャンネル成分とRチャンネル成分を有するステレオ信号である場合を例に挙げて説明を行う。
【0015】
図中に示すように、端子aはバッファ10を介してローパスフィルタ12(以下、LPF12と呼ぶ)の入力端と第1加算器15の入力端とに接続されている。また、端子bはバッファ11を介してローパスフィルタ13(以下、LPF13と呼ぶ)の入力端と第2加算器16の入力端とに接続されている。LPF12の出力端はアナログ乗算器14の第1入力端子sに接続されており、LPF13の出力端はアナログ乗算器14の第2入力端子tに接続されている。
【0016】
さらに、このアナログ乗算器14の出力端子uは第1加算器15及び第2加算器16の各入力端に接続されている。第1加算器15の出力端はバッファ17を介して端子cに接続されており、第2加算器16の出力端はバッファ18を介して端子dに接続されている。なお、端子c及び端子dは図示しないスピーカに接続されている。
【0017】
次に、上記構成を有する重低音補正システムにおける信号処理の流れについて説明する。前記音源から端子aに入力される音声信号のLチャンネル成分LINは、バッファ10を介してLPF12と第1加算器15にそれぞれ入力される。また、前記音源から端子bに入力される音声信号のRチャンネル成分RINは、バッファ11を介してLPF13と第2加算器16にそれぞれ入力される。
【0018】
ここで、LPF12及びLPF13は所定の遮断周波数(ここでは、前記スピーカの低域カットオフ周波数f0に合わせて100Hzとする)を有しており、この遮断周波数よりも低い周波数成分のみを通過させる特性がある。よって、LPF12、13からアナログ乗算器14に対して出力される信号は、前記音声信号のLチャンネル成分LIN及びRチャンネル成分RINから低域周波数成分のみを抽出した信号となる。
【0019】
アナログ乗算器14はLPF12、13の出力信号を掛け合わせることで、元のほぼ2倍の周波数帯域にシフトさせる処理、すなわち入力信号の倍音化(あるいはオクターブ変換とも言う)を行うとともに、その振幅を元のほぼ2乗にして出力するものである。このアナログ乗算器14の構成及び動作については後ほど詳細に説明を行う。アナログ乗算器14の出力信号は第1加算器15及び第2加算器16によって、元のLチャンネル成分LIN及びRチャンネル成分RINに加えられる。その後、第1加算器15の出力信号はLチャンネル成分LOUTとして端子cから前記スピーカに出力され、第2加算器16の出力信号はRチャンネル成分ROUTとして端子dから前記スピーカに出力される。
【0020】
ここで、前述したアナログ乗算器14の構成及び動作について説明する。本実施形態に設けたアナログ乗算器14は特別な回路構成を有するものではなく、2系統の入力信号X、Yに対してその積信号XYを出力するといった極めて一般的なものである。
【0021】
図3はアナログ乗算器14の一構成例を示す回路図である。まず、本実施形態におけるアナログ乗算器14の回路構成について説明する。LPF12で抽出されたLチャンネル成分LINの低域周波数成分が入力される第1入力端子sは、結合コンデンサC1を介してトランジスタQ1のベースに接続されている。図中に示す差動増幅器30はLチャンネル成分LINの低域周波数成分を増幅するものであり、差動接続された一対のnpn型トランジスタQ1、Q2を有している。
【0022】
これらのトランジスタQ1、Q2のエミッタはそれぞれ定電流源I1、I2に接続されており、トランジスタQ1、Q2のエミッタ間には抵抗R2が接続されている。また、トランジスタQ1、Q2のベースはそれぞれ抵抗R1、R4を介してバイアス源(図示せず)に接続されている。一方、トランジスタQ1、Q2のコレクタはそれぞれダイオードD1、D2を介して共通の抵抗R3に接続されており、この抵抗R3は直流電源電圧VCCに接続されている。
【0023】
ここで、差動増幅器30の出力はトランジスタQ1、Q2の各コレクタから導出され、次段の乗算器32の上段差動対を構成するnpn型トランジスタQ5、Q6、Q7、Q8へ供給される。なお、トランジスタQ1のコレクタはトランジスタQ6、Q7の各ベースと共通に接続されており、トランジスタQ2のコレクタはトランジスタQ5、Q8の各ベースとそれぞれ接続されている。
【0024】
次に、LPF13で抽出されたRチャンネル成分RINの低域周波数成分が入力される第2入力端子tは、結合コンデンサC2を介してnpn型トランジスタQ3のベースに接続されている。図中に示す差動増幅器31はRチャンネル成分RINの低域周波数成分を増幅するものであり、差動接続された一対のnpn型トランジスタQ3、Q4を有している。
【0025】
この差動増幅器31は前述の差動増幅器30と同様の構成を成しており、トランジスタQ3、Q4は前述のトランジスタQ1、Q2に対応している。同様に、定電流源I3、I4は前述の定電流源I1、I2にそれぞれ対応し、ダイオードD3、D4は前述のダイオードD1、D2のそれぞれ対応している。また、抵抗R5、R6、R7、R8は前述の抵抗R1、R2、R3、R4にそれぞれ対応している。
【0026】
この差動増幅器31の出力はトランジスタQ3、Q4の各コレクタから導出され、次段の乗算器32の下段差動対を構成するnpn型トランジスタQ9、Q10へ供給される。なお、トランジスタQ3のコレクタはトランジスタQ9のベースと接続されており、トランジスタQ4のコレクタはトランジスタQ10のベースとそれぞれ接続されている。
【0027】
乗算器32は二重平衡差動接続回路(ダブルバランス型差動接続回路)で構成されており、その下段差動対を構成するトランジスタQ9、Q10のエミッタはそれぞれ定電流源I5、I6に接続されている。なお、これらの定電流源I5、I6の他端はいずれも接地されている。また、トランジスタQ9、Q10のエミッタ間には抵抗R9が接続されている。一方、トランジスタQ9のコレクタは上段差動対を構成するトランジスタQ5、Q6の各エミッタに共通に接続され、トランジスタQ10のコレクタは上段差動対を構成するトランジスタQ7、Q8の各エミッタに共通に接続されている。
【0028】
さらに、トランジスタQ5、Q7のコレクタはそれぞれpnp型トランジスタQ11のコレクタ及びベースに接続され、トランジスタQ6、Q8のコレクタはそれぞれpnp型トランジスタQ12のコレクタ及びベースに接続されている。ここで、トランジスタQ11はpnp型トランジスタQ14とともに第1のカレントミラー回路を構成しており、トランジスタQ11、Q14のベースは互いに接続されている。
【0029】
また、トランジスタQ12はpnp型トランジスタQ13とともに第2のカレントミラー回路を構成しており、トランジスタQ12、Q13のベースはともに接続されている。なお、トランジスタQ11、Q12、Q13、Q14のエミッタはいずれも抵抗R10、R11、R12、R13を介して直流電源電圧VCCに接続されている。
【0030】
一方、トランジスタQ13のコレクタは第3のカレントミラー回路を構成するnpn型トランジスタQ15、Q16の各ベース、及びトランジスタQ15のコレクタに接続されている。また、トランジスタQ14のコレクタはトランジスタQ16のコレクタに接続されるとともに、出力端子uにも接続されている。この出力端子uは別途、抵抗R16を介してバイアス源(図示せず)に接続されている。なお、トランジスタQ15、Q16のベースは互いに接続されており、エミッタはそれぞれ抵抗R14、R15を介してグランドに接続されている。
【0031】
次に、上記の回路構成を有するアナログ乗算器14の動作について説明する。LPF12によって抽出されたLチャンネル成分LINの低域周波数成分は差動増幅器30によって差動増幅され、乗算器32の上部差動対を構成するトランジスタQ5、Q6、Q7、Q8に送出される。一方、LPF13によって抽出されたRチャンネル成分RINの低域周波数成分は差動増幅器31によって差動増幅され、乗算器32の下部差動対を構成するトランジスタQ9、Q10に送出される。
【0032】
乗算器32の上段差動対を構成するトランジスタQ5、Q6、Q7、Q8では、各ベースに入力されるLチャンネル成分LINの低域周波数成分と、各エミッタに入力されるRチャンネル成分RINの低域周波数成分との乗算が行われ、その乗算結果はトランジスタQ11、Q12のコレクタ電流として取り出される。そして、これらのコレクタ電流は第1〜第3カレントミラー回路を介してトランジスタQ14及びトランジスタQ16のコレクタ電流となる。
【0033】
よって、出力端子uからそれらの差分を取り出すことにより、Lチャンネル成分LINの低域周波数成分とRチャンネル成分RINの低域周波数成分との乗算信号を出力として得ることができる。このように、本実施形態におけるアナログ乗算器14は非常に簡易な回路構成であり、容易に集積化が可能である。
【0034】
ここで、上記に説明したアナログ乗算器14の第1入力端子s及び第2入力端子tに対して、次の(1)式に示すような全く同一の入力信号X、Yを入力した場合を考える。なお、(1)式中における入力信号X、Yは時間tの関数であり、振幅A、周波数fで振動する正弦波であるとする。
【数1】
Figure 0003909995
【0035】
このような入力信号X、Yをアナログ乗算器14に入力すると、その出力信号XYは三角関数の変換公式から、次の(2)式のように表すことができる。
【数2】
Figure 0003909995
【0036】
上の(2)式から明らかなように、アナログ乗算器14に対して全く同一の入力信号X、Yを入力した場合、その出力信号XYの周波数は2fとなり入力信号X、Yの周波数fを2倍した値となる。また、出力信号XYの振幅はA2となり入力信号X、Yの振幅Aを2乗した値となる。このように、アナログ乗算器14に対して全く同一の信号を入力することによって、ある周波数成分を有する入力信号を元の2倍の周波数帯域にシフトさせるとともに、その振幅を元の2乗にして出力することが可能である。
【0037】
ここで、本実施形態においてはLPF12、13の各出力信号を前述の入力信号X、Yとしてアナログ乗算器14に入力する構成としている。このような構成とすることにより、LPF12、13で抽出されたほぼ同じ信号成分の低域周波数成分(0〜100Hz)同士を掛け合わせることになるので、アナログ乗算器14の出力信号は元のほぼ2倍の周波数帯域(0〜200Hz)に倍音化される。(LPF12、13の出力が全く同一であればちょうど2倍の周波数帯域に倍音化される。)
【0038】
これにより、低音再生能力の乏しい前記スピーカであっても、その再生可能な周波数帯域に前記低域周波数成分がシフトされてくるため、聴感上は前記低域周波数成分をかなり忠実に再生することが可能となる。また、前述の(2)式からも分かるように、入力信号X、Yに歪みがなければその出力信号XYも歪むことはないため、重低音補正システムにアナログ乗算器14を適用することで非常に高品質な重低音補正が可能となる。
【0039】
続いて、アナログ乗算器14による利得増幅作用について説明する。図4はアナログ乗算器14の入出力特性を示すグラフである。このグラフにおいて横軸はアナログ乗算器14への入力信号の振幅を示しており、縦軸はアナログ乗算器14の出力信号の振幅を示している。ここで、図中の実線4はアナログ乗算器14の入出力特性を示しており、破線5は入力信号がそのまま出力信号となる場合の入出力特性を示している。
【0040】
前述した通り、アナログ乗算器14に対して全く同一の2信号を入力すると、元の入力信号の振幅を2乗した値が出力信号の振幅となる特性があるので、入力信号の振幅が1より大きい信号はアナログ乗算器14によって増幅され、逆に1より小さい信号は低減される。
【0041】
ここで、本実施形態においてはLPF12、13の各出力信号を前述の入力信号X、Yとしてアナログ乗算器14に入力する構成としている。このような構成とすることにより、LPF12、13で抽出された低域周波数成分はアナログ乗算器14によって掛け合わされ、その出力信号の振幅は元のほぼ2乗の大きさとなる。(LPF12、13の出力が全く同一であればちょうど2乗の振幅となる。)よって、重低音補正システムにアナログ乗算器14を適用することで、非常にメリハリの利いた引き締まった出力信号を得ることができる。
【0042】
次に、本発明に係る重低音補正システムの第2実施形態について説明する。図5は第2実施形態における重低音補正システムの概略構成を示すブロック図である。本実施形態は前述の第1実施形態をさらに発展させたものであり、第1加算器15及び第2加算器16に入力される元々の音声信号のLチャンネル成分LIN及びRチャンネル成分RINから、予め低域周波数成分を除去しておくためのハイパスフィルタ19、20(以下、HPF19、20と呼ぶ)を設けている。そして、HPF19、20の出力信号とアナログ乗算器14の出力信号とを加えて前記スピーカに出力する構成としている。
【0043】
HPF19、20はいずれも、LPF12、13及びアナログ乗算器14から成る低音補正部に対して並列となっており、HPF19の入力端はバッファ10に接続され、出力端は第1加算器15に接続されている。一方、HPF20の入力端はバッファ11に接続され、出力端は第2加算器16に接続されている。ここでHPF19、20は所定の遮断周波数(ここでは、前記スピーカの低域カットオフ周波数f0に合わせて100Hzとする)を有しており、この遮断周波数よりも高い周波数成分のみを通過させる特性がある。よって、HPF19、20から第1加算器15及び第2加算器16に対して出力される信号は、元のLチャンネル成分LIN及びRチャンネル成分RINからアナログ乗算器14に送られる低域周波数成分を取り除いた信号となる。
【0044】
このような構成とすることにより、本実施形態の重低音補正システムでは、前記音源から入力されるLチャンネル成分LIN及びRチャンネル成分RINが元々有していた低域周波数成分をアナログ乗算器14の出力信号に置換し、その結果得られた音声信号をLチャンネル成分LOUT及びRチャンネル成分ROUTとして端子c及び端子dから出力することになる。よって、元のLチャンネル成分LIN及びRチャンネル成分RINが有していた低域周波数成分と、アナログ乗算器14によって補正を受けた低域周波数成分とが互いに干渉するようなことがないので、非常に良質の低音再生が実現できる。
【0045】
次に、本発明に係る重低音補正システムの第3実施形態について説明する。図6は第3実施形態における重低音補正システムの概略構成を示すブロック図である。本実施形態は前述の第1実施形態もしくは第2実施形態をさらに発展させたものであり、アナログ乗算器14と第1加算器15及び第2加算器16との間にローパスフィルタ21(以下、LPF21と呼ぶ)を設けており、LPF21の入力端はアナログ乗算器14の出力端子uに接続され、出力端は第1加算器15及び第2加算器16に接続されている。
【0046】
ここで、LPF21は所定の遮断周波数(ここでは、200Hzとする)を有しており、この遮断周波数よりも低い周波数成分のみを通過させる特性がある。よって、LPF21から第1加算器15及び第2加算器16に対して出力される信号は、アナログ乗算器14の出力信号から200Hzより高い不要な周波数成分を取り除いた信号となる。このように、アナログ乗算器14での重低音補正によって高音域側に発生する不要な周波数成分を除去することにより、前記スピーカからの再生音はよりクリアなものとなり、非常に高忠実な再生を行うことが可能となる。
【0047】
上記に説明した実施形態の重低音補正システムに設けたLPF12、LPF13、HPF19、HPF20、及びLPF21の各遮断周波数や、アナログ乗算器14の出力利得といった特性値については、入力される音源、小型スピーカやヘッドホン等の周波数特性、及び使用環境等により異なる調整を行う必要がある。また、これらの特性値を過度に設定をしてしまうと、本来の音源の聴感を損なう恐れがある。こうしたことから、前記特性値を設定する際には何種類かの聴感を試し、全ての聴感に対してバランスの良い再生結果が得られるように調整を行うことが望ましい。
【0048】
なお、他の実施形態としては単一の音源から2つの入力信号を作り、これを乗算器に入力するようにしても構わない。また、このような乗算器を多重段設けることにより、低域周波数成分をさらに強調するようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】
本発明に係る重低音補正システムにおいては、音源から2系統に分けて入力される音声信号のLチャンネル成分及びRチャンネル成分の持つ低域周波数成分をそれぞれ抽出し、その低域周波数成分同士をアナログ乗算器によって掛け合わせることで低音補正を行う構成としている。特に、本発明に係る重低音補正システムにおけるアナログ乗算器では、入力される前記低域周波数成分を元のほぼ2倍の周波数帯域にシフトさせるとともに、その振幅を元のほぼ2乗にして出力する構成としている。
【0050】
このような構成とすることにより、低音再生能力の乏しいスピーカであっても、その再生可能な周波数帯域に前記低域周波数成分がシフトされてくるため、聴感上は前記低域周波数成分をかなり忠実に再生することが可能となる。また、本発明に係る重低音補正システムではアナログ乗算器によって前記低域周波数成分に対する補正を行うため、入力される音声信号に歪みがなければその出力信号も歪むことはなく、非常に純粋な出力信号を得ることが可能となる。
【0051】
また、前記アナログ乗算器では元の入力信号の振幅をほぼ2乗した値が出力信号の振幅となる特性があるので、振幅が1より大きい信号は増幅され、逆に1より小さい信号は低減される。よって、本発明に係る重低音補正システムでは非常にメリハリの利いた引き締まった感のある重低音補正を行うことができる。なお、前記低域周波数成分以外の中高域周波数成分については、何ら補正を行わずにそのまま出力するため、前記中高域周波数成分が持つ本来の聴感を損なうことがない。
【0052】
また、上記構成に加えて、前記音源から入力される元の音声信号から前記低域周波数成分を除去するためのハイパスフィルタを設け、前記アナログ乗算器の出力信号を前記ハイパスフィルタの出力信号に加える構成とするとよい。このような構成とすることにより、この重低音補正システムは前記音声信号が元々有していた低域周波数成分を前記アナログ乗算器の出力信号によって置換する形となる。よって、元の音声信号が有していた低域周波数成分と、前記アナログ乗算器によって補正を受けた低域周波数成分とが互いに干渉するようなことがないので、非常に良質の低音再生が実現できる。
【0053】
さらに、前記アナログ乗算器の出力信号から不要な高域周波数成分を除去するためのローパスフィルタを設けてもよい。このような構成とすることにより、前記スピーカからの再生音はよりクリアなものとなり、非常に高忠実な再生を行うことが可能となる。
【0054】
上記したように本発明に係る重低音補正システムを音響装置における小型スピーカやヘッドホン等の駆動システムに用いることにより、低音再生能力の乏しい小型のスピーカであっても、聴感上はかなり忠実な低音再生を行うことが可能となるため、従来のように低音再生能力を求めてスピーカのサイズをむやみに大きくする必要がなくなる。よって、前記音響装置の小型化、軽量化、軽薄化、並びにローコスト化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る重低音補正システムにおける周波数−利得特性の一例を示すグラフである。
【図2】 第1実施形態における重低音補正システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】 アナログ乗算器14の一構成例を示す回路図である。
【図4】 アナログ乗算器14の入出力特性を示すグラフである。
【図5】 第2実施形態における重低音補正システムの概略構成を示すブロック図である。
【図6】 第3実施形態における重低音補正システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】 従来の重低音補正システムにおける周波数−利得特性の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
12 ローパスフィルタ
13 ローパスフィルタ
14 アナログ乗算器
15 第1加算器
16 第2加算器
19 ハイパスフィルタ
20 ハイパスフィルタ
21 ローパスフィルタ
30 差動増幅器
31 差動増幅器
32 乗算器

Claims (4)

  1. 音源から2系統に分けて入力される音声信号のLチャンネル成分及びRチャンネル成分の低域周波数成分をそれぞれ抜き出すための抽出手段と、前記抽出手段によって抜き出した前記低域周波数成分が入力されるアナログ乗算器と、前記アナログ乗算器の出力信号を前記Lチャンネル成分及び前記Rチャンネル成分に加えるための加算手段とを有することを特徴とする重低音補正システム。
  2. 前記音声信号から前記低域周波数成分を除去するためのハイパスフィルタを設け、前記アナログ乗算器の出力信号を前記ハイパスフィルタの出力信号に加える構成としたことを特徴とする請求項1に記載の重低音補正システム。
  3. 前記アナログ乗算器と前記加算手段との間に、不要な高域周波数成分を除去するためのローパスフィルタを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の重低音補正システム。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の重低音補正システムを小型スピーカやヘッドホン等の駆動システムに用いたことを特徴とする音響装置。
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