JP3906724B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、停車時等に圧縮機の駆動源である車両エンジンを一時的に停止させる車両に適用される蓄冷式の車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護、車両エンジンの燃費向上等を目的にして、信号待ち等の停車時に車両エンジンを自動的に停止する車両(ハイブリッド車等のエコラン車)が実用化されており、今後、停車時に車両エンジンを停止する車両が増加する傾向にある。
【0003】
ところで、車両用空調装置においては、冷凍サイクルの圧縮機を車両エンジンにより駆動しているので、上記エコラン車においては信号待ち等で停車して、車両エンジンが停止される毎に、圧縮機も停止して冷房用蒸発器の温度が上昇し、車室内への吹出空気温度が上昇するので、乗員の冷房フィーリングを損なうという不具合が発生する。
【0004】
そこで、車両エンジン(圧縮機)の稼働時に蓄冷される蓄冷手段を備え、車両エンジン(圧縮機)が停止して蒸発器の冷却作用が停止したときには蓄冷手段の蓄冷熱量を使用して車室内への吹出空気を冷却できる蓄冷式の車両用空調装置の必要性が高まっている。
【0005】
この種の蓄冷式の車両用空調装置として、従来、特開2000−313226号公報に記載されたものが知られている。この従来技術では、図13に示すように車両エンジンにより駆動される圧縮機1を有する空調用冷凍サイクルRにおいて、車室内への吹出空気を冷却する蒸発器8と並列に蓄冷材40aを内蔵する蓄冷熱交換器40を設けている。
【0006】
そして、車両エンジン(圧縮機1)の稼働時に蓄冷を行う時は電磁弁41を開弁して、膨張弁により減圧された低圧冷媒を蒸発器8と蓄冷熱交換器40に並列に流して蓄冷材40aを冷却し、蓄冷材40aへの蓄冷を行う。
【0007】
そして、車両エンジンの停止により圧縮機1が停止した時には電動ポンプ42を作動させて、蓄液タンク43→電磁弁41→電動ポンプ42→蓄冷熱交換器40→蒸発器8→蓄液タンク43の閉回路にて冷媒を循環させる。蒸発器8で蒸発した気相冷媒を蓄冷熱交換器40において蓄冷材40aの蓄冷熱量により凝縮し、この凝縮後の液冷媒を蒸発器8に循環させる。これにより、蒸発器8の冷却作用を圧縮機1の停止時にも続行して車室内の冷房機能を発揮できるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したように従来技術では、圧縮機1の稼働時には膨張弁7から蓄液タンク43、蒸発器8を通過して圧縮機1の吸入側へ向かう方向に冷媒が流れる。これに反し、圧縮機1の停止時(放冷冷房時)には圧縮機1の吸入側から蒸発器8を通過して蓄液タンク43側へ向かう方向、すなわち、圧縮機稼働時と逆方向に冷媒が流れる。
【0009】
このように、圧縮機1の稼働時と停止時とで蒸発器8の冷媒流れ方向が逆転するので、蒸発器8における熱交換性能が変動する。そのため、蒸発器熱交換性能を圧縮機1の稼働時、圧縮機停止時の双方で高い状態に維持できないという不具合が生じる。
【0010】
この不具合を図14に示す蒸発器8の具体的な冷媒流路構成に基づいて説明する。図14は蒸発器8の冷媒流路構成の具体的一例を示すものであり、特開平9−170850号公報記載の冷媒流路構成である。この公報記載のものは直交流と対向流とを組み合わせた冷媒流路構成により蒸発器8の熱交換効率の向上を図っている。
【0011】
すなわち、図14において、蒸発器8は空気流れ方向Aの風下側に冷媒入口側熱交換部81を配置し、空気流れ方向Aの風上側に冷媒出口側熱交換部82を配置している。そして、冷媒入口側熱交換部81においては、蒸発器8の左右両側の側面部のうち、一方(右側)の側面部83aに冷媒入口84を配置し、この冷媒入口84から冷媒を矢印B1のように下側タンク部85の右側空間85a内に流入する。ここで、下側タンク部85の内部空間は仕切り板86により右側空間85aと左側空間85bとに仕切られている。
【0012】
冷媒は下側タンク部85の右側空間85aから冷媒入口側熱交換部81の右側冷媒流路81aを上昇して上側タンク部87に至る。この上側タンク部87内には仕切り板が設けてないので、この上側タンク部87内を冷媒は矢印B2のように左側へ流れる。
【0013】
次に、冷媒は冷媒入口側熱交換部81の左側冷媒流路81bを下降して下側タンク部85の左側空間85bに至り、この左側空間85bを矢印B3のように左側へ冷媒が流れる。
【0014】
蒸発器8の左右両側の側面部のうち、他方(左側)の側面部83bには側面冷媒流路88が形成してあり、下側タンク部85の左側端部はこの側面冷媒流路88の下端部に連通している。そして、この側面冷媒流路88の上端部は冷媒出口側熱交換部82の上側タンク部89の左側空間89aに連通しているので、冷媒はは側面冷媒流路88を通過して左側空間89aに流入し、左側空間89aを矢印B4のように右側へ流れる。
【0015】
ここで、上側タンク部89の内部空間は仕切り板90により左側空間89aと右側空間89bとに仕切られている。このため、上側タンク部89の左側空間89a内の冷媒は次に、冷媒出口側熱交換部82の左側冷媒流路82aを下降して下側タンク部91内に至る。
【0016】
この下側タンク部91内には仕切り板が設けてないので、冷媒は下側タンク部91内を矢印B5のように右側へ流れる。下側タンク部91の右側領域から冷媒は冷媒出口側熱交換部82の右側冷媒流路82bを上昇して上側タンク部89の右側空間89bに至る。この右側空間89bには蒸発器8の一方(右側)の側面部83aに配置した冷媒出口92が連通しているので、右側空間89bの冷媒は冷媒出口92から蒸発器8の外部へ流出する。
【0017】
なお、各冷媒流路81a、81b、82a、82bは模式的に図示したが、実際にはいずれも並列配置された複数のチューブにより構成される。このチューブは周知のようにアルミニウム等の金属薄板の貼り合わせ構造にて構成される。
【0018】
図14の蒸発器冷媒流路構成では、冷媒入口側熱交換部81および冷媒出口側熱交換部82における冷媒流れ方向(蒸発器8の左右方向)に対して空気が直交する方向Aに流れて、直交流の冷媒流路構成となっている。そして、空気流れ方向Aの風下側に冷媒入口側熱交換部81を配置し、空気流れ方向Aの風上側に冷媒出口側熱交換部82を配置することにより、対向流の冷媒流路構成となっている。
【0019】
蒸発器上流側に配置される減圧装置は、通常、温度式膨張弁7(図13)で構成され、この温度式膨張弁7により蒸発器出口冷媒が所定の過熱度となるようにサイクル循環冷媒流量が調整される。そのため、蒸発器8ではその冷媒出口側領域に冷媒の過熱域が形成され、蒸発器8の出口側冷媒温度が入口側冷媒温度よりも高くなる。
【0020】
従って、上記のように空気流れ方向Aに対して対向流の冷媒流路を構成することにより、冷媒入口側熱交換部81および冷媒出口側熱交換部82の双方において空気と冷媒との温度差を大きくして、蒸発器8の熱交換性能を向上できる。
【0021】
また、蒸発器8の冷媒流路構成では、冷媒入口側から冷媒出口側へ向かうにつれて冷媒の蒸発が次第に進行し、気相冷媒の比率(乾き度)が増大するので、冷媒出口側流路では冷媒流速の上昇による圧損の増大が顕著となる。そこで、この圧損増大を低減するために、冷媒入口側熱交換部81の冷媒流路81a、81bに比較して冷媒出口側熱交換部82の冷媒流路82a、82bの流路断面積を大きくするように設計している。
【0022】
従って、圧縮機稼働時(通常冷房・蓄冷時)において蒸発器8に冷媒が図14の冷媒流れ方向で流れるように設定すると、図13の従来技術では圧縮機停止時(放冷冷房時)に蒸発器8に冷媒が逆方向に流れるので、空気流れの風上側に入口側冷媒流路が位置し、空気流れの風下側に出口側冷媒流路が位置して、並行流の状態となる。そのため、出口側冷媒流路では空気と冷媒との温度差が大幅に減少し、熱交換性能が大幅に低下する。
【0023】
また、圧縮機停止時(放冷冷房時)には流路断面積の大きい冷媒流路が冷媒入口側となり、流路断面積の小さい冷媒流路が冷媒出口側となるので、蒸発器8の圧損が圧縮機稼働時に比較して大幅に増大し、その結果、蒸発器8への冷媒循環流量が減少し、熱交換性能が更に低下する。
【0024】
すなわち、図13の従来技術によると、圧縮機停止時の蒸発器8への冷媒流れ方向が圧縮機稼働時と逆方向になるため、圧縮機停止時には蒸発器8の本来の熱交換性能を発揮できず、放冷冷房性能が著しく低下する。
【0025】
本発明は上記点に鑑みて、蓄冷式の車両用空調装置において、圧縮機停止に伴う放冷冷房モード時における蒸発器の熱交換性能を圧縮機稼働時と同様に良好に発揮できるようにすることを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、少なくとも停車時に車両エンジン(4)を停止する制御を行う車両に搭載される車両用空調装置であって、車両エンジン(4)により駆動される圧縮機(1)と、圧縮機(1)から吐出された高圧冷媒の放熱を行う高圧側熱交換器(6)と、高圧側熱交換器(6)を通過した冷媒を減圧する減圧手段(70)と、減圧手段(70)により減圧された低圧冷媒を蒸発させて車室内へ送風される空気を冷却する蒸発器(8)と、圧縮機(1)の稼働時に低圧冷媒により冷却される蓄冷材(11a)を有する蓄冷熱交換器(11)と、蒸発器(8)の冷媒出口側に配置されるアキュムレータタンク(120)とを備え、
蓄冷熱交換器(11)を蒸発器(8)の冷媒出口側とアキュムレータタンク(120)との間に設け、
アキュムレータタンク(120)の内部にて蓄冷熱交換器(11)出口の低圧冷媒の気液を分離して、気相冷媒を圧縮機(1)の吸入側に導出するようになっており、
圧縮機(1)の稼働時に蓄冷熱交換器(11)を通過した低圧冷媒がアキュムレータタンク(120)内部を通過して圧縮機(1)に吸入されるようにし、
アキュムレータタンク(120)内の液冷媒を蒸発器(8)に導入するポンプ手段(14)を備え、
車両エンジン(4)が停止して圧縮機(1)が停止したときに、蒸発器(8)で蒸発した気相冷媒を蓄冷材(11a)の蓄冷熱により冷却して凝縮し、この凝縮後の液冷媒をアキュムレータタンク(120)を通してポンプ手段(14)により蒸発器(8)に導入するとともに、
圧縮機(1)の停止時における蒸発器(8)への冷媒流れ方向を圧縮機(1)の稼働時における蒸発器(8)への冷媒流れ方向と同一にしたことを特徴とする。
【0027】
これにより、蓄冷式の車両用空調装置において、蒸発器(8)への冷媒流れが圧縮機停止時と圧縮機稼働時とで同一方向であるため、圧縮機停止に伴う放冷冷房時の蒸発器熱交換性能を圧縮機稼働時と同様に良好に発揮できる
【0035】
請求項1に記載の発明は、蒸発器出口側にアキュムレータタンク(120)を配置するアキュムレータ式冷凍サイクルに関するものであって、これにより、減圧手段として膨張弁(7)を使用しなくても圧縮機(1)への液冷媒戻り、ひいては液圧縮を防止できる。このように減圧手段として膨張弁(7)を使用しない場合は、蓄冷熱交換器(11)を蒸発器(8)の冷媒出口側に設けてもサイクルの冷媒流量調節作用に支障は生じない。
【0036】
また、蓄冷熱交換器(11)を通過した低圧冷媒がアキュムレータタンク(120)内部を通過して圧縮機(1)に吸入されるから、蓄冷熱交換器(11)での冷却作用により低圧冷媒が液化しても、その液冷媒はアキュムレータタンク(120)内に溜めることができる。従って、蓄冷熱交換器(11)のための液冷媒貯留機能をアキュムレータタンク(120)に兼務させることができる。
【0037】
そして、蒸発器(8)の冷媒流路での圧力損失分だけ、蒸発器(8)の冷媒出口側の方が冷媒入口側よりも低圧冷媒温度が低下するので、蒸発器出口側に蓄冷熱交換器(11)を設けることにより、低圧冷媒温度と蓄冷材(11a)との温度差が拡大して、蓄冷材(11a)を効率よく冷却できる。
【0038】
請求項に記載の発明のように請求項において、減圧手段(70)は、具体的には固定絞りもしくは高圧冷媒状態に応動する可変絞りにて構成できる。
【0039】
請求項に記載の発明では、請求項1または2において、圧縮機(1)の稼働時に、低圧冷媒がポンプ手段(14)をバイパスして蓄冷熱交換器(11)に流れるようになっていることを特徴とする。
【0040】
これにより、圧縮機稼働時にポンプ手段(14)自体の存在により冷媒流量を減少させるといった不具合が生じない。
【0041】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0042】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態による車両用空調装置の冷凍サイクルRを示す。車両用空調装置の冷凍サイクルRは冷媒を吸入、圧縮、吐出する圧縮機1を有し、この圧縮機1には動力断続用の電磁クラッチ2が備えられている。圧縮機1には電磁クラッチ2およびベルト3を介して車両エンジン4の動力が伝達されるので、電磁クラッチ2への通電を空調用制御装置5により断続することにより圧縮機1の運転が断続される。
【0043】
圧縮機1から吐出された高温、高圧の過熱気相冷媒は高圧側熱交換器をなす凝縮器6に流入し、図示しない冷却ファンより送風される外気と熱交換して冷却され凝縮する。凝縮器6は凝縮部6aと、凝縮部6aを通過後の冷媒の気液を分離して液冷媒を溜めるとともに液冷媒を導出する受液器6bと、受液器6bからの液冷媒を過冷却する過冷却部6cとを一体に構成した周知のものである。
【0044】
この過冷却部6cからの過冷却液冷媒は減圧手段をなす膨張弁7により低圧に減圧され、低圧の気液2相状態となる。膨張弁7は冷房用熱交換器をなす蒸発器8の出口冷媒の過熱度を調節するように弁7aの開度(冷媒流量)を調節する温度式膨張弁である。特に、本例では、蒸発器8の出口冷媒が流れる蒸発器出口冷媒流路7bをボックス型のハウジング7c内に構成して、蒸発器8の出口冷媒の感温機構をハウジング7c内に一体構成するタイプの温度式膨張弁7を用いている。
【0045】
蓄冷ユニット9は図1の2点鎖線枠内の機器を1つの組立ユニットとして一体的に構成しているものであって、温度式膨張弁7の弁7aの出口流路を流路切替弁10を介して蓄冷熱交換器11に接続している。この蓄冷熱交換器11は、蓄冷材を封入した多数の蓄冷材容器11aをタンク部材11bの内部に配置したものである。
【0046】
より具体的には、多数の蓄冷材容器11aをその容器相互間に冷媒が流通する隙間部を形成する状態でタンク部材11b内に配置する。ここで、蓄冷材容器11aの形態は具体的には図2(a)に示す冷媒流れ方向に沿って細長く延びる円筒状からなるスティックタイプ、図2(b)に示すボールタイプ、図2(c)に示すカプセルタイプのいずれでもよい。蓄冷材容器11aは樹脂製の薄膜状パック部材、あるいはアルミニュウム等の金属板材で形成することができる。
【0047】
蓄冷材容器11a内に封入する蓄冷材としては、低圧冷媒により冷却されて相変化(液相→固相)して凝固潜熱を蓄冷できる材料、すなわち、低圧冷媒温度よりも高い温度で凝固する材料を選択する。
【0048】
ここで、低圧冷媒温度は蒸発器8でのフロスト防止のために、通常3〜4℃程度の温度に制御され、また、冷房時における車室内吹出空気温度の目標上限温度は冷房フィーリングの確保、蒸発器8からの悪臭防止等のために、通常は12℃〜15°程度の温度に設定される。
【0049】
従って、蓄冷材としては、凝固点が上記低圧冷媒温度と冷房時吹出空気温度の目標上限温度との間に位置する材料が好ましく、具体的には、凝固点が6℃〜8℃程度のパラフィンが最適である。もちろん、低圧冷媒温度を0℃以下に制御すれば、蓄冷材として水(氷)を使用することもできる。
【0050】
蓄冷材の蓄冷状態(凝固状態)を維持するためには、タンク部材11b内部を蓄冷材の凝固点以下の低温状態に維持する必要があるため、タンク部材11bは断熱タンクとして構成する必要がある。従って、タンク部材11bは断熱性に優れた樹脂タンク、あるいは金属タンク表面に断熱材を貼り付けたもの等を用いる。
【0051】
なお、蓄冷熱交換器11をシェルアンドチューブタイプの熱交換器として構成してもよく、その場合はシェル(タンク部材)内部に配置されるチューブにサイクル低圧冷媒を流通させ、そして、シェル内部においてチューブの外側空間に蓄冷材を充填してサイクル低圧冷媒により冷却すればよい。
【0052】
そして、蓄冷ユニット9において蓄冷熱交換器11より下方部位に液冷媒タンク部12を配置し、この液冷媒タンク部12は、後述の圧縮機停止に伴う放冷冷房モード時(図6)に、蓄冷熱交換器11で凝縮した液冷媒を溜めるものである。なお、液冷媒タンク部12を蓄冷熱交換器11のタンク部材11bの下部に一体に形成することが可能である。
【0053】
液冷媒タンク部12の上端部は流路切替弁10と蓄冷熱交換器11との間の冷媒流路13に接続されている。液冷媒タンク部12の下端部(底部)は、液冷媒循環用ポンプ手段をなす電動ポンプ14に接続されている。
【0054】
この電動ポンプ14は放冷冷房モード時に、液冷媒タンク部12内の液冷媒を吸入して逆止弁15→流路切替弁10→蒸発器8→蓄冷熱交換器11を経て液冷媒タンク部12に至る閉回路にて循環する。すなわち、蒸発器8には、後述の圧縮機稼働時(通常冷房時・蓄冷冷房時)および圧縮機停止時(放冷冷房モード時)の双方において常に同一方向Bに冷媒が流れるようにしてある。
【0055】
ここで、電動ポンプ14は、例えば、インペラ(羽根車)を用いた遠心式のポンプにより構成される。また、流路切替弁10は具体的には、サーボモータのようなアクチュエータにより回転角が制御されるロータ式の弁体を有する電気制御弁であって、この弁体の回転角制御により後述の図4〜図6に示すように、温度式膨張弁7の出口流路を蓄冷熱交換器11の入口側冷媒流路13又は逆止弁15側の冷媒流路に切り替える三方弁タイプの流路切替作用を果たすものである。
【0056】
蒸発器8の出口冷媒流路16は膨張弁7内部の蒸発器出口冷媒流路7bに接続される。この蒸発器8の出口冷媒流路16の途中には蓄冷熱交換器11の冷媒流路17が接続されている。この冷媒流路17は、圧縮機稼働時には蓄冷熱交換器11にとって出口側流路となり、圧縮機停止時には蓄冷熱交換器11にとって入口側流路となる。
【0057】
また、蒸発器8内の具体的冷媒流路は、前述の図14に例示する直交・対向流タイプの流路として構成され、且つ、図14に示す冷媒入口側熱交換部81の冷媒流路81a、81bに比較して冷媒出口側熱交換部82の冷媒流路82a、82bの流路断面積を大きくするように設計してある。これにより、蒸発器8の出口側冷媒流路82a、82bにおいて気相冷媒の比率(乾き度)の増大→冷媒流速の上昇による圧損の増大を低減するようにしてある。
【0058】
なお、図1の例では、膨張弁7を蓄冷ユニット9と別体として図示しているが、膨張弁7も蓄冷ユニット9の一部分として一体化し、膨張弁7と蓄冷ユニット9を一体状態にて車両に搭載するようにしてもよい。
【0059】
蓄冷ユニット9は蓄冷熱交換器11内部の低温状態を維持するためには蓄冷熱交換器11内への熱の侵入をできるだけ抑制した方が良い。そのためには、蓄冷ユニット9を車室内、例えば、車室内前部の計器盤内側等に設置した方が良い。しかし、車室内のスペース的制約から車室内に蓄冷ユニット9の搭載スペースを確保できない場合は、蓄冷ユニット9を車室外、例えば、エンジンルール等に設置することになる。
【0060】
図3は空調室内ユニット20を示すものであり、空調室内ユニット20は通常、車室内前部の計器盤内側に搭載される。空調室内ユニット20の空調ケース21は車室内へ向かって送風される空気の通路を構成するものであり、この空調ケース21内に蒸発器8が設置されている。
【0061】
空調ケース21において、蒸発器8の上流側には送風機22が配置され、送風機22には遠心式送風ファン22aと駆動用モータ22bが備えられている。送風ファン22aの吸入側には内外気切替箱23が配置され、この内外気切替箱23内の内外気切替ドア23aにより外気(車室外空気)または内気(車室内空気)が切替導入される。
【0062】
空調ケース21内で、蒸発器8の下流側にはエアミックスドア24が配置され、このエアミックスドア24の下流側には車両エンジン4の温水(冷却水)を熱源として空気を加熱する温水式ヒータコア25が暖房用熱交換器として設置されている。
【0063】
そして、この温水式ヒータコア25の側方(上方部)には、温水式ヒータコア25をバイパスして空気(冷風)を流すバイパス通路26が形成されている。エアミックスドア24は回動可能な板状ドアであり、温水式ヒータコア25を通過する温風とバイパス通路26を通過する冷風との風量割合を調節するものであって、この冷温風の風量割合の調節により車室内への吹出空気温度を調節する。従って、本例においてはエアミックスドア24により車室内への吹出空気の温度調節手段が構成される。
【0064】
温水式ヒータコア25からの温風とバイパス通路26からの冷風を空気混合部27で混合して、所望温度の空気を作り出すことができる。さらに、空調ケース21内で、空気混合部27の下流側に吹出モード切替部が構成されている。すなわち、車両フロントガラス内面に空気を吹き出すデフロスタ開口部28、車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイス開口部29、および車室内乗員の足元に向けて空気を吹き出すフット開口部30を吹出モードドア31〜33により開閉するようになっている。
【0065】
蒸発器8の温度センサ34は空調ケース21内で蒸発器8の空気吹出直後の部位に配置され、蒸発器吹出温度Teを検出する。ここで、蒸発器温度センサ34により検出される蒸発器吹出温度Teは、通常の空調装置と同様に、圧縮機1の電磁クラッチ2の断続制御や、圧縮機1が可変容量型である場合はその吐出容量制御に使用され、これらのクラッチ断続制御や吐出容量制御により蒸発器8の冷却能力を調節して、蒸発器8の吹出温度を制御する。
【0066】
空調用制御装置5には、上記の温度センサ34の他に、空調制御のために、内気温Tr、外気温Tam、日射量Ts、温水温度Tw等を検出する周知のセンサ群35から検出信号が入力される。また、車室内計器盤近傍に設置される空調制御パネル36には乗員により手動操作される温度設定スイッチ、風量切替スイッチ、吹出モードスイッチ、内外気切替スイッチ、圧縮機1のオンオフ信号を発生するエアコンスイッチ等の種々な操作スイッチ群(図示せず)が備えられ、この操作スイッチ群の操作信号も空調用制御装置5に入力される。
【0067】
また、空調用制御装置5はエンジン用制御装置37に接続されており、エンジン用制御装置37から空調用制御装置5には車両エンジン4の回転数信号、車速信号等が入力される。空調用制御装置5は上記の各種入力信号に基づいて所定の演算処理を行って、電磁クラッチ2、流路切替弁10、電動ポンプ14等の作動を制御する。
【0068】
エンジン用制御装置37は周知のごとく車両エンジン4の運転状況等を検出するセンサ群38からの信号に基づいて車両エンジン4への燃料噴射量、点火時期等を総合的に制御するものである。さらに、本実施形態の対象とするエコラン車においては、車両エンジン4の回転数信号、車速信号、ブレーキ信号等に基づいて停車状態を判定すると、エンジン用制御装置37は、点火装置の電源遮断、燃料噴射の停止等により車両エンジン4を自動的に停止させる。
【0069】
また、エンジン停止後、運転者の運転操作により車両が停車状態から発進状態に移行すると、エンジン用制御装置37は車両の発進状態をアクセル信号等に基づいて判定して、車両エンジン4を自動的に始動させる。なお、空調用制御装置5は、車両エンジン4停止後の放冷冷房モードの時間が長時間に及び、蓄冷熱交換器11の蓄冷熱量による冷房を持続できない状態になった時はエンジン再稼働要求の信号をエンジン用制御装置37に出力する。
【0070】
空調用制御装置5およびエンジン用制御装置37はCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータと、その周辺回路にて構成されるものである。なお、空調用制御装置5およびエンジン用制御装置37を1つの制御装置として統合してもよい。
【0071】
次に、上記構成において第1実施形態の作動を説明する。図4は車両走行時の通常冷房モード時の作動を示すものであり、この通常冷房モード時では車両エンジン4によって圧縮機1を駆動することにより冷凍サイクルRが運転される。従って、圧縮機1から吐出された高圧気相冷媒が凝縮器6にて冷却され、過冷却状態の液冷媒となって膨張弁7に流入する。この膨張弁7の弁部7aで高圧液冷媒が減圧されて低温低圧の気液2相状態となる。
【0072】
ここで、通常冷房モード時には空調制御装置5の制御出力により流路切替弁10が、膨張弁7の出口流路と蓄冷熱交換器11との間を遮断し、膨張弁7の出口流路を電動ポンプ14側の流路に連通させる状態に操作される。このとき、電動ポンプ14側の流路への冷媒流入は逆止弁15の閉弁により阻止される。
【0073】
従って、膨張弁7を通過した低圧冷媒の全量が図4の太線矢印に示すように蒸発器8に流入し、蒸発器8において空調ケース21内の送風空気から低圧冷媒が吸熱して蒸発し、気相冷媒となる。この気相冷媒は、蒸発器8の出口冷媒流路16および膨張弁7内部の蒸発器出口冷媒流路7bを経て圧縮機1に吸入され、再度圧縮される。蒸発器8にて吸熱された冷風はフェイス開口部29等から車室内へ吹き出して車室内を冷房する。
【0074】
次に、車両走行時において、冷房熱負荷が所定量以下に低下して、冷房能力に余裕が生じたとき、あるいは、車両減速時、すなわち、車両の慣性動力により圧縮機1を駆動することができて、車両エンジン4による圧縮機駆動動力を節減できる状態を空調制御装置5にて判定したときは、通常冷房モードから蓄冷冷房モードに切り替える。
【0075】
ここで、冷房熱負荷が所定量以下に低下した状態は、具体的には、例えば、蒸発器吹出温度Teが所定温度以下に低下したこと等に基づいて判定できる。車両減速時は車速等に基づいて判定できる。
【0076】
蓄冷冷房モードにおいては空調制御装置5の制御出力により流路切替弁10が図5に示すように膨張弁7の出口流路と蓄冷熱交換器11との間を連通する状態に操作される。従って、膨張弁7の出口流路に蒸発器8と蓄冷熱交換器11が並列接続された状態となり、膨張弁7を通過した低圧冷媒が図5の太線矢印のように蒸発器8と蓄冷熱交換器11とに並列に流れる。
【0077】
これにより、蒸発器8においては空調ケース21内の送風空気から低圧冷媒が吸熱して蒸発することにより送風空気が冷却され、蒸発器8通過後の冷風がフェイス開口部29等から車室内へ吹き出して車室内を冷房する。これと同時に、蓄冷熱交換器11においては蓄冷材への蓄冷が行われる。
【0078】
すなわち、蒸発器8の冷房熱負荷が低下すると、膨張弁7の弁部7aの開度が減少し、冷凍サイクルの低圧圧力が低下し、低圧冷媒温度が蓄冷熱交換器11の蓄冷材の凝固点より低下するようになる。従って、蓄冷熱交換器11では低圧冷媒の蒸発により蓄冷材の凝固が開始され、蓄冷材に対して凝固潜熱が蓄冷される。そして、蒸発器8および蓄冷熱交換器11で蒸発した気相冷媒は、蒸発器8の出口冷媒流路16および膨張弁7内部の蒸発器出口冷媒流路7bを経て圧縮機1に吸入され、再度圧縮される。
【0079】
ところで、液冷媒タンク部12は蓄冷熱交換器11の入口側の冷媒流路13および蓄冷熱交換器11より下方位置に配置されているので、蓄冷冷房モードにおいて冷媒流路13から蓄冷熱交換器11に流入する気液2相状態の低圧冷媒のうち、一部の液冷媒が気相冷媒との密度差にて分離され、液冷媒タンク部12内に溜まる。
【0080】
次に、信号待ち等の停車時に車両エンジン4を自動的に停止する場合について説明すると、停車時には空調作動状態(送風機22の作動状態)であっても、車両エンジン4の停止に伴って冷凍サイクルRの圧縮機1も強制的に停止状態となる。そこで、空調用制御装置5ではこの停車時の車両エンジン(圧縮機)停止状態を判定して、図6に示すように、空調制御装置5の制御出力により流路切替弁10が通常冷房モード時と同じ状態に操作される。
【0081】
すなわち、流路切替弁10は、膨張弁7の出口流路と蓄冷熱交換器11との間を遮断し、膨張弁7の出口流路を電動ポンプ14側の流路に連通させる状態に操作される。また、空調制御装置5の制御出力により蓄冷ユニット9内の電動ポンプ14に給電し、電動ポンプ14を作動させる。
【0082】
これにより、冷凍サイクルRでは図6の太線矢印に示すように、液冷媒タンク部12→電動ポンプ14→逆止弁15→流路切替弁10→蒸発器8→冷媒流路16、17→蓄冷熱交換器11→液冷媒タンク部12からなる冷媒循環回路が形成されるとともに、液冷媒タンク部12内の液冷媒が蒸発器8に導入される。
【0083】
従って、蒸発器8では液冷媒タンク部12からの液冷媒が送風機22の送風空気から吸熱して蒸発するので、圧縮機停止後においても蒸発器8の冷却作用を継続でき、車室内の冷房作用を継続できる。蒸発器8で蒸発した気相冷媒の温度は蓄冷熱交換器11の蓄冷材の凝固点より高いので、蓄冷材は気相冷媒から融解潜熱を吸熱して固相から液相に相変化(融解)する。これにより、気相冷媒は蓄冷材により冷却され液化する。この液冷媒は重力により落下して液冷媒タンク部12に蓄えられる。
【0084】
そして、蓄冷材が液相に相変化していくことにより、液冷媒タンク部12内の液冷媒量が次第に減少していくが、液冷媒タンク部12内の液冷媒が残存している間、停車時(圧縮機停止時)の車室内冷房作用を継続できる。
【0085】
なお、信号待ちによる停車時間は通常、1〜2分程度の短時間であるから、蓄冷材として、凝固点=6℃、凝固潜熱=229kJ/kgのパラフィンを、420g程度用いることにより、1〜2分程度の停車時の間、車室内冷房作用を継続できることを確認している。
【0086】
ところで、図4〜図6に示すように、通常冷房モード、蓄冷冷房モード、および放冷冷房モードのいずれにおいても、蒸発器8における冷媒流れ方向は、膨張弁7の出口流路から蒸発器出口流路16へ向かう同一方向Bである。従って、圧縮機停止に伴う放冷冷房モード時における蒸発器8の熱交換性能を圧縮機稼働時と同様に良好に発揮できる。
【0087】
以下このことを具体的に説明すると、第1実施形態の冷凍サイクルRでは、減圧装置として温度式膨張弁7を用いて、この温度式膨張弁7により蒸発器出口冷媒が所定の過熱度となるようにサイクル循環冷媒流量が調整される。そのため、蒸発器8ではその冷媒出口側領域に冷媒の過熱域が形成され、蒸発器8の出口側冷媒温度が入口側冷媒温度よりも高くなる。
【0088】
従って、図14に示すように空気流れ方向Aに対して対向流の冷媒流路を構成することにより、冷媒入口側熱交換部81および冷媒出口側熱交換部82の双方において空気と冷媒との温度差を大きくして、蒸発器8の熱交換性能を向上できる。
【0089】
また、蒸発器8の冷媒流路構成では、冷媒入口側から冷媒出口側へ向かうにつれて冷媒の蒸発が次第に進行し、気相冷媒の比率(乾き度)が増大するので、冷媒出口側流路では冷媒流速の上昇による圧損の増大が顕著となる。そこで、第1実施形態の蒸発器8では、冷媒入口側熱交換部81の冷媒流路81a、81bに比較して冷媒出口側熱交換部82の冷媒流路82a、82bの流路断面積を大きくするように設計して、この圧損増大を低減している。
【0090】
そして、上記の3つの冷房モードにおける蒸発器8での冷媒流れ方向がすべて同一方向Bであるため、対向流による熱交換性能の向上効果および冷媒出口側流路82a、82bでの圧損増大の低減効果を放冷冷房モード時にも他のモードと同様に発揮できる。
【0091】
なお、図13の従来技術において、放冷冷房モード時に遠心式の電動ポンプ42の作動により、蓄冷熱交換器40→電動ポンプ42→電磁弁41→蓄液タンク43→蒸発器8の方向に冷媒を循環させれば、放冷冷房モード時にも蒸発器8に対して圧縮機稼働時と同一方向へ冷媒を流すことが可能となる。しかし、このようにすると、蓄冷冷房モード時に、電動ポンプ42のポンプ機構部を正規の冷媒流れ方向と逆方向に冷媒が流れ、この電動ポンプ42を通して蓄冷熱交換器40に冷媒が流れるので、蓄冷熱交換器40への冷媒流れが電動ポンプ42のポンプ機構部により著しく制限される。その結果、蓄冷熱交換器11への冷媒流量が減少して蓄冷熱交換器40における蓄冷能力が極端に低下するので、実際はこのような対策を採用できない。
【0092】
これに対し、第1実施形態によると、蓄冷冷房モード時に流路切替弁10から冷媒流路13を通過して蓄冷熱交換器11に冷媒が流れ、電動ポンプ42をバイパスして冷媒が流れるので、電動ポンプ42の存在により蓄冷熱交換器11への冷媒流量が減少することは全くない。
【0093】
なお、第1実施形態では、図4の通常冷房モード時に、流路切替弁10、電動ポンプ14、液冷媒タンク部12を通過して蓄冷熱交換器11に冷媒が流れることを防止するために、逆止弁15を用いているが、通常冷房モード時に、停止状態にある電動ポンプ14自身の流路抵抗により蓄冷熱交換器11への冷媒流入を僅少量に制限できるのであれば、逆止弁15を廃止できる。
【0094】
また、逆止弁15の機能を流路切替弁10に一体化してもよい。つまり、流路切替弁10を、(1)通常冷房モード時には蓄冷熱交換器11側および電動ポンプ14側の流路を両方とも遮断し、(2)蓄冷冷房モード時には蓄冷熱交換器11側の流路のみ連通状態とし、電動ポンプ14側の流路は遮断状態とし、(3)放冷冷房モード時には電動ポンプ14側の流路のみ連通状態とし、蓄冷熱交換器11側の流路は遮断状態とするように構成してもよい。
【0095】
(第2実施形態)
上記の第1実施形態では、蓄冷冷房モード時に蓄冷熱交換器11側の流路を蒸発器8の冷媒流路に対して並列接続し、蒸発器8と蓄冷熱交換器11とに冷媒が並列に流れるように構成しているが、第2実施形態では蓄冷熱交換器11を蒸発器8の入口側冷媒流路に直列に配置し、圧縮機稼働時には蓄冷熱交換器11と蒸発器8との直列流路に常に冷媒が流れるようにし、それにより、第1実施形態の流路切替弁10を廃止する。
【0096】
図7は第2実施形態による通常冷房・蓄冷モードの状態を示し、図8は第2実施形態による放冷冷房モードの状態を示す。なお、第2実施形態では圧縮機稼働時に蓄冷熱交換器11と蒸発器8との直列流路に常に冷媒が流れるので、第1実施形態の通常冷房モードと蓄冷冷房モードとを合体した通常冷房・蓄冷モードが設定されるだけとなる。
【0097】
図7、図8において、第1実施形態と同等部分には同一符号を付して説明を省略し、相違点のみを以下具体的に説明する。膨張弁7の弁7aの出口部に接続される蒸発器8の入口側冷媒流路18に蓄冷熱交換器11を配置し、蓄冷熱交換器11を第1逆止弁15aを介して蒸発器8の入口部に接続している。そして、蓄冷熱交換器11の下方位置に配置される液冷媒タンク部12と電動ポンプ14とを、第1逆止弁15aと並列に設けている。
【0098】
ここで、電動ポンプ14は液冷媒タンク部12内の液冷媒を吸入して蒸発器8の入口部に向けて吐出するように構成されている。第1逆止弁15aは電動ポンプ14の作動時に閉弁して、ポンプ吐出冷媒が直接、液冷媒タンク部12側へ向かうことを阻止する。
【0099】
一方、蒸発器8の出口冷媒流路16は膨張弁7内の蒸発器出口冷媒流路7bに接続されるとともに、冷媒戻し流路19を経て蓄冷熱交換器11の冷媒入口側に接続される。この冷媒戻し流路19には第2逆止弁15bを設け、この第2逆止弁15bにより膨張弁7の出口冷媒が直接、蒸発器8の出口冷媒流路16へ向かうことを阻止するようになっている。
【0100】
次に、第2実施形態の作動を説明する。図7は車両走行時の通常冷房・蓄冷モード時の作動を示すものであり、この通常冷房・蓄冷モード時では車両エンジン4によって圧縮機1を駆動することにより冷凍サイクルRが運転され、図7の太線矢印に示すように、膨張弁7通過後の低圧冷媒が蓄冷熱交換器11と蒸発器8との直列流路に常に流れる。
【0101】
従って、膨張弁7通過後の低温の低圧冷媒により先ず蓄冷熱交換器11の蓄冷材が冷却され、蓄冷材への蓄冷を行う。そして、蓄冷熱交換器11を通過した低圧冷媒は次に蒸発器8において空調ケース21内の送風空気から吸熱して蒸発し、気相冷媒となる。この気相冷媒は、蒸発器8の出口冷媒流路16および膨張弁7内部の蒸発器出口冷媒流路7bを経て圧縮機1に吸入され、再度圧縮される。蒸発器8にて冷却された冷風はフェイス開口部29等から車室内へ吹き出して車室内を冷房する。なお、蓄冷熱交換器11を通過した低圧冷媒中の一部の液冷媒が重力にて下方の液冷媒タンク部12に溜まる。
【0102】
通常冷房・蓄冷モード時は液冷媒循環用の電動ポンプ14の作動が不要であるため、空調制御装置5の出力により電動ポンプ14が停止している。このため、電動ポンプ14が流通抵抗となるので、液冷媒タンク部12の液冷媒が電動ポンプ14を介して蒸発器8の入口側に流入する量は僅少である。
【0103】
次に、通常冷房・蓄冷モード時における蓄冷ユニット9での冷媒の挙動をより具体的に説明すると、夏期の高外気温時に冷房を始動する場合には蒸発器8の吸い込み空気温度が40℃以上にも及ぶ高温となり、蒸発器8の冷房熱負荷が非常に大きくなる。このような冷房高負荷条件の下では、蒸発器8の出口冷媒の過熱度が過大となり、膨張弁7の弁部7aの開度が全開となり、冷凍サイクルの低圧圧力が上昇する。
【0104】
そのため、蓄冷ユニット9の蓄冷熱交換器11に流入する低圧冷媒の温度が蓄冷熱交換器11の蓄冷材の凝固点(6〜8℃程度)より高い温度となる。従って、蓄冷材は低圧冷媒との熱交換で凝固せず、蓄冷材から顕熱分を吸熱するだけである。その結果、冷房高負荷条件では低圧冷媒が蓄冷熱交換器11にて吸熱する熱量は僅少量となる。そのため、低圧冷媒のほとんどは蓄冷熱交換器11を持たない通常の空調装置と同様に蒸発器8にて車室内吹出空気から吸熱して蒸発する。
【0105】
なお、冷房高負荷時には、通常、図3の内外気切替箱23から内気を吸入する内気モードが選択されるから、冷房始動後の時間経過により蒸発器8の吸い込み空気温度が低下し、冷房熱負荷が低下する。これにより、蒸発器8の出口冷媒の過熱度が減少するので、膨張弁7の弁部7aの開度が減少し、冷凍サイクルの低圧圧力が低下し、低圧冷媒温度が低下する。
【0106】
そして、低圧冷媒温度が蓄冷熱交換器11の蓄冷材の凝固点より低下すると、蓄冷材の凝固が開始され、低圧冷媒は蓄冷材から凝固潜熱を吸熱するので、蓄冷材からの吸熱量が増加する。しかし、蓄冷材がこのように凝固潜熱を蓄冷する段階に至った時点では、既に、冷房熱負荷の低下により低圧冷媒温度が十分低下し、車室内吹出空気が十分低下している。
【0107】
従って、蓄冷材への凝固潜熱の蓄冷作用によって、冷房高負荷条件における急速冷房性能(クールダウン性能)が大きく阻害されることがない。換言すると、蓄冷熱交換器11を冷房用蒸発器8の冷媒回路に直列接続し、蓄冷熱交換器11に低圧冷媒が常に流れても、冷房高負荷条件における急速冷房性能を、僅少量低下させるだけであり、良好に発揮できる。
【0108】
次に、信号待ち等の停車時に車両エンジン4を自動的に停止する場合について説明すると、停車時には空調作動状態(送風機22の作動状態)であっても、車両エンジン4の停止に伴って冷凍サイクルRの圧縮機1も強制的に停止状態となる。そこで、空調用制御装置5ではこの停車時の車両エンジン(圧縮機)停止状態を判定して、蓄冷ユニット9内の電動ポンプ14に給電し、電動ポンプ14を作動させる。
【0109】
これにより、蓄冷熱交換器11タ下部の液冷媒タンク部12に溜まっている液冷媒を電動ポンプ14が吸入して、蒸発器8の入口側に向かって液冷媒を吐出する。この電動ポンプ14による液冷媒の吸入、吐出作用によって、第1逆止弁15aには冷媒圧力が逆方向に作用して第1逆止弁15aは閉弁する。これに反し、第2逆止弁15bには冷媒圧力が順方向に作用して第2逆止弁15bは開弁する。
【0110】
そのため、図8の太線矢印に示すように、液冷媒タンク部12→電動ポンプ14→蒸発器8→出口冷媒流路16→冷媒戻し流路19→第2逆止弁15b→蓄冷熱交換器11→液冷媒タンク部12からなる冷媒循環回路で冷媒が循環する。
【0111】
従って、蒸発器8では液冷媒タンク部12からの液冷媒が送風機22の送風空気から吸熱して蒸発するので、圧縮機停止後においても蒸発器8の冷却作用を継続でき、車室内の冷房作用を継続できる。
【0112】
蒸発器8で蒸発した気相冷媒は、蓄冷熱交換器11を通過する際に蓄冷材の融解潜熱により冷却され凝縮する。この液冷媒は重力により落下して液冷媒タンク部12に蓄えられる。
【0113】
そして、蓄冷材が凝固潜熱を気相冷媒から吸熱して液相に相変化していくことにより、液冷媒タンク部12内の液冷媒量が減少していくが、液冷媒タンク部12内の液冷媒が残存している間、停車時(圧縮機停止時)の車室内冷房作用を継続できる。
【0114】
ところで、第2実施形態においても、通常冷房・蓄冷モード時および放冷冷房モード時の双方において、蒸発器8には同一方向Bに冷媒が流れるから、第1実施形態と同様に蒸発器8の熱交換性能を常に良好な状態に維持できる。
【0115】
また、第2実施形態では、第1実施形態と異なり、「冷房用蒸発器8に対して蓄冷熱交換器11を直列接続する」構成を備えているので、次に、この第2実施形態に独自の構成による有利さを第1実施形態との対比により詳述する。第1実施形態では、空調用冷凍サイクルRにおいて蓄冷材を内蔵する蓄冷熱交換器11を圧縮機稼働時における冷媒流れに対して冷房用蒸発器8と並列に設けているので、蓄冷熱交換器11の冷媒流路を冷凍サイクルの運転状況に応じて流路切替弁10により切り替えることが必須となる。このことは前述の従来技術(特開2000−313226号公報)も同じである。
【0116】
これに反し、本実施形態によると、冷房用蒸発器8に対して蓄冷熱交換器11を直列接続しているから、夏期の冷房始動時のように冷房熱負荷が非常に高い条件においても、サイクル循環冷媒流量の全量が冷房用蒸発器8を通過するから、蓄冷熱交換器11の追加により冷房用蒸発器8への循環冷媒流量が減少することはない。
【0117】
しかも、蓄冷熱交換器11における蓄冷材の凝固点を前述のように冷房時吹出空気温度の目標上限温度(12〜15℃程度)よりも低い温度(6〜8℃程度)に設定することにより、冷房高熱負荷条件における低圧冷媒の温度よりも蓄冷材の凝固点が低い温度となる。このため、冷房高熱負荷条件では蓄冷材は低圧冷媒との熱交換で凝固せず、顕熱分の吸熱が僅かに行われるだけである。
【0118】
そのため、低圧冷媒の大部分は蓄冷熱交換器11を持たない通常の空調装置と同様に蒸発器8にて車室内吹出空気から吸熱して蒸発する。つまり、蓄冷熱交換器11への冷媒流れの切替のための特別の操作を行わなくても、冷房高熱負荷条件における冷房用蒸発器8の最大冷却能力を良好に発揮できる。
【0119】
また、蓄冷熱交換器11における蓄冷材の凝固が完了し、蓄冷完了状態になると、蓄冷熱交換器11における低圧冷媒の吸熱はほとんどなくなるが、蓄冷熱交換器11を冷房用蒸発器8の入口側に配置しているため、膨張弁7は蒸発器8の出口冷媒の過熱度を感知して冷媒流量を調節できる。従って、蓄冷完了後においても、蒸発器8の冷房熱負荷に応じた適切な冷媒流量を蒸発器8に供給できる。
【0120】
なお、図9は第2実施形態の比較例であり、この比較例のように、蓄冷熱交換器11をもし蒸発器8の出口側冷媒流路16に配置すると、蒸発器8の出口冷媒が過熱度を持っていても蓄冷材の蓄冷(凝固)完了状態では蒸発器8の出口冷媒が蓄冷材により冷却されて過熱度が小さくなってしまう。その結果、膨張弁7の開度が減少して、蒸発器8の冷房熱負荷に対して冷媒流量が過小になるという不具合が生じる。これに対し、第2実施形態では蓄冷熱交換器11を冷房用蒸発器8の入口側に配置することによりこのような不具合が生じない。
【0121】
(第3実施形態)
上記の第1、第2実施形態では、減圧手段として膨張弁7を用い、膨張弁7により蒸発器8の出口冷媒の過熱度を調節する冷凍サイクルについて説明したが、第実施形態は蒸発器8の出口側(圧縮機1の吸入側)にアキュムレータを配置し、このアキュムレータにおいて蒸発器出口冷媒の気液を分離して液冷媒を溜めて、気相冷媒を圧縮機1に吸入させるアキュムレータ式の冷凍サイクルに蓄冷熱交換器11を組み合わせるものである。
【0122】
図10、図11は第3実施形態を示すものであり、第1、第2実施形態と同等部分には同一符号を付して説明を省略する。また、制御装置5、37等の電気制御部は第1、第2実施形態と同じであるので、図10、図11ではこの電気制御部の図示を省略している。
【0123】
アキュムレータ式の冷凍サイクルにおいては、蒸発器8の出口側にアキュムレータタンク120を配置するので、第3実施形態ではこのアキュムレータタンク120に着目して蓄冷ユニット9をアキュムレータタンク120と一体に構成する。
【0124】
すなわち、第3実施形態では、蒸発器8の出口側冷媒流路に蓄冷ユニット9の蓄冷熱交換器11を配置するとともに、この蓄冷熱交換器11のタンク部材11bをアキュムレータタンク120の上方側に一体に構成する。従って、アキュムレータタンク120が第1、第2実施形態の液冷媒タンク部12の役割を兼務する。
【0125】
アキュムレータタンク120の内部にはU状に曲げ形成された出口パイプ121が配置され、この出口パイプ121のU状の底部にオイル戻し穴(図示せず)を開口し、このオイル戻し穴から液冷媒中に含まれる圧縮機潤滑用オイルを吸い込むようになっている。また、出口パイプ121のU状一端部に気相冷媒吸入口121aを設け、この気相冷媒吸入口121aをアキュムレータタンク120内の下部に溜まる液冷媒よりも上方の空間に開口することにより、アキュムレータタンク120内の上部の気相冷媒を吸入口121aから出口パイプ121内に吸入するようになっている。出口パイプ121の他端側はアキュムレータタンク120の上面部からタンク外部へ取り出して、圧縮機1の吸入側に接続するようになっている。
【0126】
そして、アキュムレータタンク120の底面部と蒸発器8の入口側流路との間を連通する冷媒戻し流路19を設け、この冷媒戻し流路19に液冷媒循環用の電動ポンプ14および逆止弁15bを配置し、アキュムレータタンク120内の液冷媒を電動ポンプ14により吸入して蒸発器8の入口側へ向かって吐出する。逆止弁15bは図7〜図9の第2逆止弁15bと同様のものである。
【0127】
なお、第3実施形態はアキュムレータ式の冷凍サイクルに関するものであって、アキュムレータタンク120にて蒸発器出口冷媒の気液を分離して液冷媒を溜める。そして、出口パイプ121の気相冷媒吸入口121aから気相冷媒を吸入して圧縮機1の吸入側に送り込むことができる。
【0128】
従って、蒸発器出口冷媒の過熱度の調節を行わなくても圧縮機1の液冷媒圧縮を防止できるので、第3実施形態では減圧装置70としてキャピラリチューブ、オリフィス等の固定絞り、あるいは高圧冷媒圧力に応動する可変絞り等を使用することができる。これらの減圧装置70は、過熱度制御機構を持つ温度式膨張弁7に比して構成が簡素で、安価である。
【0129】
図10は第3実施形態による車両走行時の通常冷房・蓄冷モードであり、車両エンジン4により圧縮機1が駆動されることにより、図10の太線矢印で示す回路、すなわち、圧縮機1の吐出側→凝縮器6→減圧装置70→蒸発器8→蓄冷熱交換器11→アキュムレータタンク120→圧縮機1の吸入側に至る回路にて冷媒が循環し、蒸発器8にて低圧冷媒が空調ケース21内の送風空気から吸熱して蒸発することにより送風空気が冷却され車室内の冷房を行うことができる。
【0130】
また、蓄冷熱交換器11において蓄冷材を低圧冷媒により冷却して凝固させることにより蓄冷材への蓄冷を行う。なお、通常冷房・蓄冷モードでは、電動ポンプ14は第1、第2実施形態と同様に停止しており、また、逆止弁15bは閉弁している。
【0131】
図11は第3実施形態による停車時の放冷冷房モードであり、このときは電動ポンプ14を作動させ、図11の太線矢印で示す回路により冷媒を循環させる。すなわち、アキュムレータタンク120内の液冷媒を電動ポンプ14にて吸入、吐出することにより、電動ポンプ14→逆止弁15b(開弁状態)→蒸発器8→蓄冷熱交換器11→アキュムレータタンク120に至る回路にて冷媒が循環する。
【0132】
これにより、アキュムレータタンク120内の貯留液冷媒を蒸発器8に循環するとともに、蒸発器8で蒸発した気相冷媒を蓄冷熱交換器11により冷却、液化させることにより、第3実施形態においても停車時の放冷冷房機能を良好に発揮できる。
【0133】
ところで、第3実施形態はアキュムレータ式の冷凍サイクルであるため、蒸発器8の出口側に蓄冷熱交換器11を直列接続している。これは次の理由による。すなわち、アキュムレータ式の冷凍サイクルでは、減圧装置70をキャピラリチューブ、オリフィス等の固定絞り、あるいは高圧冷媒圧力に応動する可変絞り等により構成することができ、膨張弁7を使用する必要がない。従って、蒸発器8の出口側に蓄冷熱交換器11を直列接続しても、前述の蒸発器出口冷媒の過熱度調節の不具合が生じない。
【0134】
そして、蒸発器8の冷媒流路を流れる冷媒流れには必ず圧力損失が発生するので、蒸発器8の入口側に比して出口側の方が冷媒圧力(蒸発圧力)が低下する。ここで、アキュムレータ式の冷凍サイクルでは、アキュムレータタンク120内部に冷媒の気液界面が形成され冷媒が飽和状態になっているので、蒸発器8内の冷媒が過熱状態にならない。そのため、蒸発器8の出口側では冷媒圧力の低下に伴って冷媒温度(蒸発温度)が必ず入口側よりも低下する。
【0135】
従って、アキュムレータ式の冷凍サイクルにおいて、蒸発器8の出口側に蓄冷熱交換器11を直列接続することにより、蓄冷材をより低温の冷媒にて冷却でき、蓄冷材と冷媒との温度差を拡大して熱交換効率を向上でき、蓄冷材の凝固をより短時間で完了できる。
【0136】
因みに、図12は第3実施形態の比較例であり、蒸発器8の入口側に蓄冷熱交換器11を直列接続しているので、蓄冷材を冷却する低圧冷媒の温度が第3実施形態より高くなり、蓄冷材の冷却能力が第3実施形態より低下する。
【0137】
なお、第3実施形態は、蒸発器8における入口側冷媒温度よりも出口側冷媒温度の方が低下するアキュムレータ式の冷凍サイクルであるから、蒸発器8における冷媒流路構成は、図14の対向流ではなく並行流とする。すなわち、図14において、空気流れ方向Aの風上側に冷媒入口側熱交換部81を配置し、空気流れ方向Aの風下側に冷媒出口側熱交換部82を配置している。これにより、アキュムレータ式冷凍サイクルの蒸発器8において、冷媒入口側熱交換部81および冷媒出口側熱交換部82の双方において空気と冷媒との温度差を大きくして、熱交換性能を向上できる。
【0138】
そして、第3実施形態においても、通常冷房・蓄冷モード時および放冷冷房モード時の双方において、蒸発器8には同一方向Bに冷媒が流れるから、第1、第2実施形態と同様に蒸発器8の熱交換性能を常に良好な状態に維持できる。
【0139】
なお、第3実施形態において逆止弁15bは電動ポンプ14の停止時、すなわち、通常冷房・蓄冷モード時に閉弁することにより、減圧装置70出口側の低圧冷媒が冷媒戻し流路19を経てアキュムレータタンク120に流入することを防止するものであるから、電動ポンプ14自身の停止時の流通抵抗により低圧冷媒の上記流れを実用上問題のないレベルに低下できるのであれば、逆止弁15bを廃止してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す冷凍サイクルの回路図である。
【図2】図1の蓄冷材容器を例示する斜視図である。
【図3】第1実施形態による空調室内ユニット部の概略断面図である。
【図4】第1実施形態による通常冷房モード時の作動説明用の回路図である。
【図5】第1実施形態による蓄冷冷房モード時の作動説明用の回路図である。
【図6】第1実施形態による放冷冷房モード時の作動説明用の回路図である。
【図7】第2実施形態による通常冷房・蓄冷モード時の作動説明用の回路図である。
【図8】第2実施形態による放冷冷房モード時の作動説明用の回路図である。
【図9】第2実施形態の比較例による通常冷房・蓄冷モード時の作動説明用の回路図である。
【図10】第3実施形態による通常冷房・蓄冷モード時の作動説明用の回路図である。
【図11】第3実施形態による放冷冷房モード時の作動説明用の回路図である。
【図12】第3実施形態の比較例による通常冷房・蓄冷モード時の作動説明用の回路図である。
【図13】従来装置の冷凍サイクルの回路図である。
【図14】従来装置および本発明の第1、第2実施形態で用いる蒸発器の冷媒流路の概略説明図である。
【符号の説明】
1…圧縮機、4…車両エンジン、6…凝縮器(高圧側熱交換器)、
7…膨張弁(減圧手段)、70…固定絞り等の減圧装置(減圧手段)、
8…蒸発器、9…蓄冷ユニット、10…タンク部材、11…蓄冷熱交換器、
11a…蓄冷材容器、15…電動ポンプ。

Claims (3)

  1. 少なくとも停車時に車両エンジン(4)を停止する制御を行う車両に搭載される車両用空調装置であって、
    前記車両エンジン(4)により駆動される圧縮機(1)と、
    前記圧縮機(1)から吐出された高圧冷媒の放熱を行う高圧側熱交換器(6)と、
    前記高圧側熱交換器(6)を通過した冷媒を減圧する減圧手段(70)と、
    前記減圧手段(70)により減圧された低圧冷媒を蒸発させて車室内へ送風される空気を冷却する蒸発器(8)と、
    前記圧縮機(1)の稼働時に前記低圧冷媒により冷却される蓄冷材(11a)を有する蓄冷熱交換器(11)と、
    前記蒸発器(8)の冷媒出口側に配置されるアキュムレータタンク(120)とを備え、
    前記蓄冷熱交換器(11)を前記蒸発器(8)の冷媒出口側と前記アキュムレータタンク(120)との間に設け、
    前記アキュムレータタンク(120)の内部にて前記蓄冷熱交換器(11)出口の低圧冷媒の気液を分離して、気相冷媒を前記圧縮機(1)の吸入側に導出するようになっており、
    前記圧縮機(1)の稼働時に前記蓄冷熱交換器(11)を通過した低圧冷媒が前記アキュムレータタンク(120)内部を通過して前記圧縮機(1)に吸入されるようにし、
    前記アキュムレータタンク(120)内の液冷媒を前記蒸発器(8)に導入するポンプ手段(14)を備え、
    前記車両エンジン(4)が停止して前記圧縮機(1)が停止したときに、前記蒸発器(8)で蒸発した気相冷媒を前記蓄冷材(11a)の蓄冷熱により冷却して凝縮し、この凝縮後の液冷媒を前記アキュムレータタンク(120)を通して前記ポンプ手段(14)により前記蒸発器(8)に導入するとともに、
    前記圧縮機(1)の停止時における前記蒸発器(8)への冷媒流れ方向を前記圧縮機(1)の稼働時における前記蒸発器(8)への冷媒流れ方向と同一にしたことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記減圧手段(70)は、固定絞りもしくは高圧冷媒状態に応動する可変絞りにて構成されることを特徴とする請求項に記載の車両用空調装置。
  3. 前記圧縮機(1)の稼働時に、前記低圧冷媒が前記ポンプ手段(14)をバイパスして前記蓄冷熱交換器(11)に流れるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
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