JP3904120B2 - 二液を用いたインクジェット記録方法に用いられる反応液およびそれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

二液を用いたインクジェット記録方法に用いられる反応液およびそれを用いたインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、記録媒体に反応液とインク組成物とを付着させて印字を行うインクジェット記録方法およびそれに用いられる反応液に関する。
【0002】
背景技術
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有する。通常インクジェット記録に使用されるインク組成物は、水を主成分とし、これに着色成分および目詰まり防止等の目的でグリセリン等の湿潤剤を含有したものが一般的である。
【0003】
一方、インクジェット記録方法として、最近新たに、多価金属塩溶液を記録媒体に適用した後、少なくとも一つのカルボキシル基を有する染料を含むインク組成物を適用する方法が提案されている(例えば、特開平5−202328号公報)。この方法においては、多価金属イオンと染料とから不溶性複合体が形成され、この複合体の存在により、耐水性がありかつカラーブリードがない高品位の画像を得ることができるとされている。
【0004】
また、少なくとも浸透性を付与する界面活性剤または浸透性溶剤および塩を含有するカラーインクと、この塩との作用により増粘または凝集するブラックインクとを組合せて使用することにより、画像濃度が高くかつカラーブリードがない高品位のカラー画像が得られるという提案もなされている(特開平6−106735号公報)。すなわち塩を含んだ第一の液と、インク組成物との二液を印字することで、良好な画像が得られるとするインクジェット記録方法が提案されている。
【0005】
また、その他にも二液を印字するインクジェット記録方法が提案されている(例えば、特開平3−240557号公報、特開平3−240558号公報)。
【0006】
【発明の概要】
本発明者等は、今般、このような二液を印字するインクジェット記録方法において用いられる、多価金属塩を含んでなる反応液において、特定の化合物を存在させることで、反応液の保存性および印字安定性の改善、更には得られる印刷画像の品質の改善が得られるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0007】
従って、本発明は、二液を印字するインクジェット記録方法に用いられる、良好な反応液の提供をその目的としている。
【0008】
また、本発明は、目詰まりが無く、良好な印刷画像を実現する二液を印字するインクジェット記録方法の提供をその目的としている。
【0009】
本発明による反応液は、記録媒体に、反応液とインク組成物とを付着させて、印字を行うインクジェット記録方法に用いられるものであって、多価金属塩と、含窒素化合物または含硫黄化合物、アミン、およびカチオン性界面活性剤からなる群から選択される成分とを少なくとも含んでなるものである。
【0010】
また、本発明によるインクジェット記録方法は、前記反応液を利用するもの、である。
【0011】
【発明の具体的説明】
インクジェット記録方法
本発明によるインクジェット記録方法は、記録媒体に反応液とインク組成物とを印字する工程を含んでなるものである。
【0012】
反応液とインク組成物を記録媒体に適用する順序としては、いずれが先であってもよく、すなわち反応液を記録媒体に付着させその後この記録媒体にインク組成物を付着させる方法、インク組成物を印字した後反応液を付着させる方法、さらに反応液とインク組成物をその射出直前または直後に混合する方法のいずれも好適に行うことができる。
【0013】
この本発明によるインクジェット記録方法によれば、良好な印字が実現できる。以下はあくまで仮定の理論であって、それによって本発明が限定されて解釈されることを望むものではないが、良好な印字が実現できる理由は以下の通りと考えられる。反応液とインク組成物とが接触すると、反応液中の多価金属塩がインク組成物中の着色剤などの分散状態を破壊し、着色剤成分などを凝集させる。この凝集物が記録媒体上に付着し、色濃度の高い、にじみ、ムラの少ない印字を実現するものと考えられる。さらに、カラー画像においては、異なる色の境界領域での不均一な色混じり、すなわちカラーブリードを有効に防止できるとの利点も有する。
【0014】
反応液の記録媒体への付着に関しては、インク組成物を付着させる場所にのみ選択的に反応液を付着させるという方法と、紙面全体に反応液を付着させる方法のいずれの態様であってもよい。前者が反応液の消費量を必要最小限に抑えることができ経済的であるが、反応液とインク組成物双方を付着させる位置にある程度の精度が要求される。一方、後者は、前者に比べ反応液およびインク組成物の付着位置の精度の要求は緩和されるが、紙面全体に大量の反応液を付着させることとなり、乾燥の際、紙がカールしやすい。従って、いずれの方法を採用するかは、インク組成物と反応液との組み合わせを考慮して決定されてよい。前者の方法を採用する場合、反応液の付着は、インクジェット記録方法によることが可能である。
【0015】
反応液
本発明において用いられる反応液は、基本的に少なくとも多価金属塩と、含窒素化合物または含硫黄化合物、アミン、およびカチオン性界面活性剤からなる群から選択される成分とを含んでなる。
【0016】
多価金属塩
反応液に用いることができる多価金属塩とは、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶なものである。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+などの二価金属イオンAl3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオンがあげられる。陰イオンとしては、Cl- 、NO3 - 、I- 、Br- 、ClO3 - よびCH3 COO- などがあげられる。
【0017】
とりわけ、Ca2+またはMg2+より構成される金属塩は、反応液のpH、得られる印刷物の品質という二つの観点から、好適な結果を与える。
【0018】
これら多価金属塩の反応液中における濃度は印字品質、目詰まり防止の効果が得られる範囲で適宜決定されてよいが、好ましくは0.1〜40重量%程度であり、より好ましくは5〜25重量%程度である。
【0019】
本発明の好ましい態様においては、反応液に含まれる多価金属塩は、二価以上の多価金属イオンと、これら多価金属イオンに結合する硝酸イオンまたはカルボン酸イオンとから構成され、水に可溶なものである。
【0020】
ここで、カルボン酸イオンは、好ましくは炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸または炭素数7〜11の炭素環式モノカルボン酸から誘導されるものである。炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸の好ましい例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸などが挙げられる。特に蟻酸、酢酸が好ましい。
【0021】
このモノカルボン酸の飽和脂肪族炭化水素基上の水素原子は水酸基で置換されていてもよく、そのようなカルボン酸の好ましい例としては、乳酸が挙げられる。
【0022】
さらに、炭素数6〜10の炭素環式モノカルボン酸の好ましい例としては、安息香酸、ナフトエ酸等が挙げられ、より好ましくは安息香酸である。
【0023】
含窒素化合物または含硫黄化合物を含んだ反応液
本発明の第一の態様によれば、含窒素化合物または含硫黄化合物を含んだ反応液が提供される。なお、本明細書において含窒素化合物とは、窒素を少なくとも一つ含んでなる、5または6員飽和または不飽和複素環化合物、およびアルキル置換されていてもよいアミド誘導体を意味する。
【0024】
本発明による含窒素化合物を含んだ反応液は、その保存中、析出物の発生が少ないものである。含窒素化合物または含硫黄化合物の存在が析出物の発生を抑制するものと考えられている。含窒素化合物または含硫黄化合物が存在しない場合、保存中の反応液、とりわけ高温(例えば60℃を越える温度)に一旦さらされた反応液において、大きさ10μm〜50μm程度の析出物の発生がしばしば観察される。このような析出物はインクジェット記録ヘッドのノズルの目詰まりの原因となるので好ましくない。含窒素化合物または含硫黄化合物を、多価金属塩を含む反応液に存在させることで、保存中の反応液、とりわけ上記のような高温にさらされた反応液にあっても、析出物の発生が実質的に観察されない、との利点が得られる。これによって、インクジェット記録方法の信頼性の向上が図られる。
【0025】
これら含窒素化合物または含硫黄化合物を反応液に存在させることによって析出物の発生が抑制される理由は定かではないが、窒素原子または硫黄原子が有する不対電子の作用によって析出物の原因となるイオン種などが安定化されていることが考えられる。しかしながら、これらはあくまで仮説であって、本発明はこの仮説に限定されてるものではない。
【0026】
窒素を少なくとも一つ含んでなる5または6員飽和または不飽和複素環化合物としては、5または6員飽和化合物として、ピロリジン、ピペリジンが、5または6員不飽和化合物として、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンが、また(アルキル置換)アミド誘導体として、ピロリドン、N−置換ピロリドン、イミダゾリジノン、N−置換イミダゾリジノンなどが挙げられる。より好ましい具体例としては2−ピロリドン、N−低級アルキル(好ましくはメチル)置換ピロリドン、1,3−低級アルキル置換(好ましくはメチル)−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
また、含硫黄化合物とは好ましくは、チオジグリコールが挙げられる。
【0027】
これら含窒素化合物または含硫黄化合物の反応液中における濃度は印字品質、目詰まり防止の効果が得られる範囲で適宜決定されてよいが、好ましくは0.5〜20重量%程度であり、より好ましくは2〜10重量%程度である。
【0028】
アミンを含んだ反応液
本発明の第二の態様によれば、アミンを含んだ反応液が提供される。アミンの添加によって、印字品質と印字安定性とを同時に改善することができる。この態様において反応液に含まれるアミンとは、アンモニアまたはアンモニアの1〜3の水素原子が疎水性の炭化水素基で置換されたもの、すなわち一級、二級および三級アミンを意味する。
【0029】
本発明の好ましい態様によれば、本発明による反応液はアミンとしてアンモニアを含んでなる。アンモニアは、通常の炭化水素基を有するアミンと比較して反応液に添加した時の粘度上昇が少ないこと、また水への溶解度も高い。よって、印刷品質および印字安定性の双方を満足するのに充分な量を添加することができる。また、アンモニアの添加は、反応液の表面張力にほとんど影響を与えず、反応液の濡れ性を必要以上に低下させない。よって、得られる印刷物はエッジがシャープであり、かつそのOD値は高いものとなる。さらに、アンモニアは揮発性を有するため、インクの乾燥速度が短くなり、乾燥後は堅牢な耐擦性を有するという効果も得られる。
【0030】
アンモニアの添加量は、反応液のpHを考慮しながら適宜決定されてよいが、反応液において一般的には0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下の量で添加する。
【0031】
また、一級、二級、および三級アミンの炭化水素基とは、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基いずれであってもよく、また直鎖または分岐鎖のいずれであってもよい。
【0032】
本発明の好ましい態様によれば、アミノ基(−NH2 )に炭化水素基が結合した一級アミンとしては、炭素数が6〜18程度の直鎖状の炭化水素基を有するアミンが好ましく、より好ましくは炭素数が12〜18程度の直鎖状の炭化水素基である。これらの具体例としては、ラウリルアミン、セチルアミン、あるいはステアリルアミンが挙げられる。これらの添加によって、印刷品質および印字安定性の双方を高いレベルで両立することができる。
【0033】
これらアミンの添加量は、アミンの種類によって適宜決定されてよく、具体的には印字品質、印字安定性、およびアミンの溶解度を考慮しながら、アミンごとに個別に決定することができる。一般的には、反応液において0.01重量%〜1重量%程度の量で添加される。炭化水素基の炭素数が小さいアミンは反応液に比較的大量に添加することが可能であるが、炭化水素基の炭素数が大きいアミンは、溶解度が低くかつ反応液の粘度を高くするため、一般的には添加可能な量は制限される。
【0034】
第二級アミンおよび第三級のアミンもまた、上記第一級アミンと同様に本発明において利用することができる。第二級アミンおよび第三級の例としては、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−アミルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジステアリルアミン(以上、第二級アミン)、トリメチルアミン、プロピルジメチルアミン、ブチルジメチルアミン、オクチルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン(以上、第三級アミン)が挙げられる。
【0035】
また、炭化水素基が環状構造を有するアミンを利用することも可能である。その例としては、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、N−シクロヘキシル−n−ドデシルアミン、N−ベンジル−n−ドデシルアミン、N−o−トリル−n−ドデシルアミン、N−p−トリル−n−ドデシルアミンなどがあげられる。
【0036】
さらに、本発明においてアミンは環状イミンを含む意味に用いることとする。環状イミンの例としては、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、オクタメチレンイミン、デカメチレンイミンが挙げられ、いずれも安定した印字特性を得ることができる。特にメチレン鎖が8〜10のオクタメチレンイミン等は、良好な効果を与え、炭素原子の総数が同じオクチルアミンや、ジブチルアミンと比較して、印字安定性が飛躍的に向上する。
【0037】
本発明においてアミンは、無機酸塩、またはアミドの形で添加されることが好ましい。無機酸の例としては、硝酸、亜硝酸、塩酸、臭素酸、クロム酸等の、各種無機酸が挙げられる。アミンを無機酸塩の形で反応液に添加することにより、アミンの溶解性が向上するとともに、保存安定性および印字安定性を向上させることができる。また、無機酸の種類を適当に選択することにより、pHがアルカリ側に偏ることを防止することもできる。
【0038】
アミドの例としては、アミンと脂肪酸の混合物を加熱処理したものがあげられ、Cn 2n+1NH2 とCn-1 2n-1COOHとの混合物(nは整数、以下同じ)、(Cn 2n+12 NHとCn-1 2n-1COOHとの混合物、(Cn 2n+13 NとCn-1 2n-1COOHとの混合物を加熱処理したものは、アミンを反応液に添加した場合と同様の効果を与える。
【0039】
なお、炭化水素基が環状構造を有するアミンの一部、環状イミン、およびアミドは、上記の第一の態様による反応液の含窒素化合物としての機能を併せ持つものである。
【0040】
また、本発明の好ましい態様によれば、アミンは適度な揮発性を有するものであるのが好ましい。揮発性を有するアミンを含むインク組成物は、紙に付着した後速やかに乾燥し、乾燥後は堅牢な耐擦性を有する印刷物が得られる。
【0041】
本発明の好ましい態様によれば、アミンの蒸気圧は25℃で0.01Pa以上である。具体的には、上述のアンモニアの他、ジシクロヘキシルアミン亜硝酸塩などが該当する。
【0042】
カチオン性界面活性剤
本発明の第三の態様によれば、カチオン性界面活性剤を含んでなる反応液が提供される。上記の通り、本発明によるインクジェット記録方法においては、反応液中の多価金属塩がインク組成物中の着色剤などの分散状態を破壊し、着色剤成分などを凝集させ、この凝集物が記録媒体上に付着し、色濃度の高い、にじみ、ムラの少ない印字を実現するものと考えられる。カチオン性界面活性剤の添加は、上記凝集物の発生を更に促進するものと思われる。その結果、着色剤成分の速やかかつ確実な記録媒体上への定着が得られ、良好な印字が行える。ここで、カチオン性界面活性剤は水系溶媒への溶解度が高いため、反応液に含まれるカチオン性界面活性剤を高濃度とする事が出来る点でも有利である。さらに、カチオン性界面活性剤は浸透剤としても作用する。よって、印刷物の乾燥性の向上をも同時に実現する利点も有する。さらに、カラー画像においては、異なる色の境界領域での不均一な色混じり、すなわちカラーブリードを有効に防止できるとの利点も有する。
【0043】
本発明において用いられるカチオン性界面活性剤としては、第一級、第二級、第三級、および第四級アンモニウム塩類およびそれらから誘導されるもの、ならびに硫酸系のカチオン性界面活性剤が挙げられる。とりわけ、第四級窒素原子を1個含んでなるカチオン性界面活性剤が好ましい。さらに、その第四級窒素原子に結合する置換基の少なくとも二個以上が、各々炭素原子を六個以上含んでなるものが、その高い凝集力の観点から好ましい。
【0044】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、下記の式(I)で表される第四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0045】
1 2 3 4 + - (I)
(式中、R1 およびR2 は独立してC8 〜C20アルキル基、ベンジル基、またはフェニル基を表わし、R3 およびR4 は独立してC1 〜C4 アルキル基を表わし、X- はカウンターイオンを表わす)
【0046】
式(I)で表されるカチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、オクタデシルアミン酢酸塩が挙げられる。
【0047】
カチオン性界面活性剤の反応液への添加量は特に限定されないが、好ましくは0.1〜20重量%程度であり、より好ましくは5〜10重量%程度である。
【0048】
反応液のその他の成分
また、本発明による反応液は、後記のインク組成物の項で記載したカラー着色剤を添加して着色され、インク組成物の機能を兼ね備えたものとされてもよい。この場合において、着色剤が染料である場合、反応液はさらにグリセリンを含んでなるのが好ましい。グリセリンを存在させることによって、染料の析出に起因すると思われる析出物の発生をより抑制することが出来る。
【0049】
グリセリンの反応液中における濃度は目詰まり防止の効果が得られる範囲で適宜決定されてよいが、反応液基準(または染料基準)で好ましくは0.5〜40重量%程度であり、より好ましくは2〜20重量%程度である。
【0050】
本発明の好ましい態様によれば、反応液は高沸点有機溶媒からなる湿潤剤を含んでいてもよい。高沸点有機溶媒は、反応液の乾燥を防ぐことによりヘッドの目詰まりを防止する。高沸点有機溶媒の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類、尿素、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0051】
高沸点有機溶媒の添加量は特に限定されないが、好ましくは0.5〜40重量%程度であり、より好ましくは2〜20重量%程度である。
【0052】
本発明の好ましい態様によれば、反応液は低沸点有機溶剤を含んでいてもよい。低沸点有機溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどがあげられる。特に一価アルコールが好ましい。低沸点有機溶剤は、インクの乾燥時間を短くする効果がある。低沸点有機溶剤の添加量は0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量%の範囲である。
【0053】
本発明の好ましい態様によれば、反応液は浸透剤を含んでいてもよい。浸透剤としては、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の各種界面活性剤、メタノール、エタノール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルなどがあげられる。
【0054】
さらに本発明に用いることができる浸透剤は、下記式(I)で表わされる化合物及び/または多価アルコールの低級アルコールエーテルが、より好ましい。
【0055】
【化1】
Figure 0003904120
(式中、0≦m+n≦50、R1 、R2 、R3 、およびR4 は独立してアルキル基である)
上記式(I)で表される化合物の代表的なものとして具体的にはオルフィンY、サーフィノール82、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485(いずれも製造:Air Products and Chemicals.Inc.)等がある。これらは単独でまたは2種類以上添加しても良い。
【0056】
本発明の好ましい態様によれば、反応液はpH調整のためにトリエタノールアミンを含んでなる。トリエタノールアミンが添加される場合、その添加量は、0〜2.0重量%程度が好ましい。
【0057】
インク組成物
本発明においてインク組成物とは、モノクロ印字を行う場合にはブラックインク組成物を意味し、さらにカラー印字を行う場合にはカラーインク組成物、具体的にはイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物、更に場合によってブラックインク組成物を意味するものとする。
【0058】
本発明において用いられるインク組成物は、少なくとも着色剤と水とを含んでなる。
【0059】
本発明において用いられるインク組成物に含まれる着色剤としては、染料、顔料のいずれであってもよいが、インク組成物の不溶化あるいは増粘等の作用によって、インク中の着色成分の浸透を抑制する場合は、水性媒体中に溶解している染料よりも分散している顔料の方が有利である。
【0060】
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、など通常インクジェット記録に使用する各種染料を使用することができる。
【0061】
顔料としては、特別な制限なしに無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
【0062】
本発明の好ましい態様によれば、これらの顔料は、分散剤または界面活性剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。
【0063】
分散剤または界面活性剤の好ましい例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0064】
本発明の好ましい態様によれば、これらの共重合体は重量平均分子量が3,000〜50,000程度であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜30,000程度、最も好ましくは7,000〜15,000程度である。
【0065】
分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明による他の効果を失わない範囲で適宜添加されて良い。本発明の好ましい態様によれば、その使用量は顔料:分散剤として1:0.06〜1:3程度の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3程度の範囲である。
【0066】
インクへの顔料の添加量は、0.5〜25重量%程度が好ましく、より好ましくは2〜15重量%程度である。
【0067】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は樹脂エマルジョンを含んでなるのが好ましい。ここで、樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次のような樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、などがあげられる。
【0068】
本発明の好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
【0069】
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂モノマーを、場合によって界面活性剤とともに水中で分散重合することによって得ることができる。例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステル、または(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレンを、界面活性剤とともに水中で分散重合させることによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲にあることでより良好なインクの耐水性、浸透性が得られる。界面活性剤は特に限定されないが、好ましい例としてはアニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)があげられ、これらを単独または二種以上を混合して用いることができる。また、アセチレングリコール(オレフィンY、ならびにサーフィノール82、104、440、465、および485(いずれもAir Products and Chemicals Inc. 製))を用いることも可能である。
【0070】
また、分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200の範囲が適当である。
【0071】
また、市販の樹脂エマルジョンを使用することも可能であり、例えばマイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、などがあげられる。
【0072】
本発明に使用するインクは、樹脂エマルジョンを、その樹脂成分がインクの0.1〜40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%の範囲である。
【0073】
樹脂エマルジョンは、多価金属イオンとの相互作用により、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録媒体への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録媒体上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果も有する。
【0074】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は樹脂エマルジョン形態の熱可塑性樹脂を含むことができる。ここで、熱可塑性樹脂とは、軟化温度が50℃〜250℃、好ましくは60℃〜200℃、のものである。ここで、軟化温度という語は、熱可塑性樹脂のガラス転移点、融点、粘性率が1011〜1012ポアズになる温度、流動点、樹脂エマルジョンの形態にある場合その最低造膜温度(MFT)のうち最も低い温度を意味するものとする。このような樹脂エマルジョンを含んでなるインク組成物を用いた場合、記録後記録媒体を熱可塑性樹脂の軟化温度以上の温度で加熱する加熱工程を実施するのが好ましい。
【0075】
また、これらの樹脂としては、軟化または溶融温度以上に加熱され冷却された際に強固な耐水性、耐擦性のある膜を形成するものを選択するのが好ましい。
【0076】
水不溶性の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリメタアクリル酸エステル、ポリエチルアクリル酸、スチレン‐ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ポリオレフィン樹脂、セルロース、スチレン‐アクリル酸共重合体、スチレン‐メタアクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレン‐アクリルアミド共重合体、ポリイソブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ロジン系樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニリデン樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル‐アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、ロジンエステル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0077】
低分子量の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、アルコールワックス、合成酸化ワックス、αオレフィン‐無水マレイン酸共重合体、カルナバワックス等の動植物系ワックス、ラノリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0078】
このような樹脂エマルジョンとして、公知の樹脂エマルジョンを用いることも可能であり、例えば特公昭62−1426号、特開平3−56573号、特開平3−79678号、特開平3−160068号、特開平4−18462号などに記載の樹脂エマルジョンをそのまま用いることができる。
【0079】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物はアルギン酸誘導体を含むことができる。アルギン酸誘導体の好ましい例としては、アルギン酸アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)アルギン酸有機塩(例えば、トリエタノールアミン塩)、アルギン酸アンモニウム塩、等が挙げられる。
【0080】
このアルギン酸誘導体のインク組成物への添加量は、好ましくは0.01〜1重量%程度であり、より好ましくは0.05〜0.5重量%程度である。
【0081】
アルギン酸誘導体の添加により良好な画像が得られる理由は確定できないが、反応液に存在する多価金属塩が、インク組成物中のアルギン酸誘導体と反応し、着色剤の分散状態を変化させ、着色剤の記録媒体への定着が促進されることに起因するものと考えられる。
【0082】
また、本発明に用いられるインク組成物は、無機酸化物コロイドを含んでいてもよい。無機酸化物コロイドの好ましい例としては、コロイダルシリカ、アルミナコロイドがあげられる。これらは、一般的には、SiO2 、Al2 3 等の超微粒子を水または有機溶媒中に分散したコロイド溶液である。市販されている無機酸化物コロイドとしては、分散媒が水、メタノール、2−プロパノール、n−プロパノール、キシレンなどであり、SiO2 、Al2 3 等の粒子の粒径が5〜100nmであるものが一般的である。また、無機酸化物コロイド溶液のpHは中性領域ではなく酸性またはアルカリ性に調製されているものが多い。これは、無機酸化物コロイドの安定分散領域が酸性側かアルカリ性側に存在するためであり、インク組成物に添加する場合には、無機酸化物コロイドの安定分散領域のpHとインクのpHとを考慮して添加する必要がある。
【0083】
インク組成物中の無機酸化物コロイドの添加量は、0.1〜15重量%となるよう添加するのが好ましく、二種以上の添加も可能である。
【0084】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は有機溶媒を含んでなるのが好ましい。この有機溶媒は、好ましくは低沸点有機溶剤であり、その好ましい例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどがあげられる。特に一価アルコールが好ましい。低沸点有機溶剤は、インクの乾燥時間を短くする効果がある。
【0085】
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明に使用するインク組成物は、さらに高沸点有機溶媒からなる湿潤剤を含んでなることが好ましい。高沸点有機溶媒剤の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0086】
これら湿潤剤の添加量は、インクの0.5〜40重量%が好ましく、より好ましくは2〜20重量%の範囲である。また、低沸点有機溶剤の添加量はインクの0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量%の範囲である。
【0087】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシシール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などがあげられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
【0088】
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2 (CHOH)n CH2 OH(ここで、n=2〜5の整数を表す)で表される)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどがあげられる。
【0089】
これら糖類の含有量は、インクの0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
【0090】
その他、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤、防かび剤等を添加しても良い。
【0091】
インクジェット記録装置
本発明によるインクジェット記録方法を実施するインクジェット記録装置につて以下、図面を用いて説明する。
【0092】
図1のインクジェット記録装置は、インク組成物および反応液をタンクに収納し、インク組成物および反応液がインクチューブを介して記録ヘッドに供給される態様である。すなわち、記録ヘッド1とインクタンク2とがインクチューブ3で連通される。ここで、インクタンク2は内部が区切られてなり、インク組成物、場合によって複数のカラーインク組成物の部屋と、反応液の部屋とが設けられてなる。
【0093】
記録ヘッド1は、キャリッジ4に沿って、モータ5で駆動されるタイミングベルト6によって移動する。一方、記録媒体である紙7はプラテン8およびガイド9によって記録ヘッド1と対面する位置に置かれる。なお、この態様においては、キャップ10が設けられてなる。このキャップ10には吸引ポンプ11が連結され、いわゆるクリーニング操作を行う。吸引されたインク組成物はチューブ12を介して廃インクタンク13に溜め置かれる。
【0094】
記録ヘッド1のノズル面の拡大図を図2に示す。1bで示される部分が反応液のノズル面であって、反応液が吐出されるノズル21が縦方向に設けられてなる。一方、1cで示される部分がインク組成物のノズル面であって、ノズル22、23、24、25からはそれぞれイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、そしてブラックインク組成物が吐出される。
【0095】
さらにこの図2に記載の記録ヘッドを用いたインクジェット記録方法を図3を用いて説明する。記録ヘッド1は矢印A方向に移動する。その移動の間に、ノズル面1bより反応液が吐出され、記録媒体7上に帯状の反応液付着領域31を形成する。次に記録媒体7が紙送り方向矢印Bに所定量移送される。その間記録ヘッド1は図中で矢印Aと逆方向に移動し、記録媒体7の左端の位置に戻る。そして、既に反応液が付着している反応液付着領域にインク組成物を印字し、印字領域32を形成する。
【0096】
また、図4に記載のように記録ヘッド1において、ノズルを全て横方向に並べて構成することも可能である。図中で、41aおよび41bは反応液の吐出ノズルであり、ノズル42、43、44、45からはぞれぞれイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、そしてブラックインク組成物が吐出される。このような態様の記録ヘッドにおいては、記録ヘッド1がキャリッジ上を往復する往路、復路いずれにおいても印字が可能である点で、図2に示される記録ヘッドを用いた場合よりも速い速度での印字が期待できる。
【0097】
さらに反応液とインク組成物の表面張力を調節することにより、これらの付着順序にかかわらず、高品質の印字がより一定して得られる。この場合反応液の吐出ノズルを1つとすることもでき(例えば図中で41bのノズルを省くことができる)、さらなるヘッドの小型化と印字の高速化が達成できる。
【0098】
さらに、インクジェット記録装置には、インク組成物の補充がインクタンクであるカートリッジを取り替えることで行われるものがある。また、このインクタンクは記録ヘッドと一体化されたものであってもよい。
【0099】
このようなインクタンクを利用したインクジェット記録装置の好ましい例を図5に示す。図中で図1の装置と同一の部材については同一の参照番号を付した。図5の態様において、記録ヘッド1aおよび1bは、インクタンク2aおよび2bと一体化されてなる。記録ヘッド1aまたは1bをそれぞれインク組成物および反応液を吐出するものとする。印字方法は基本的に図1の装置と同様であってよい。そして、この態様において、記録ヘッド1aとインクタンク2aおよび記録ヘッド1aおよびインクタンク2bは、キャリッジ4上をともに移動する。
【0100】
さらに、印字がなされた記録媒体を加熱するヒータが設けられてなる、インクジェット記録装置の好ましい例を図6に示す。図6は、ヒータ14を設けた点以外は図1に示したものと同様なものである。このヒータ14は、記録媒体に接触してそれを加熱するものであっても、赤外線などを照射しまたは熱風を吹き付けるなど記録媒体に接触せずに加熱するものであってもよい。
【0101】
また、本発明の好ましい態様によれば、インクジェット記録装置は、さらに反応液とインク組成物とを収納し、かつインク組成物および反応液の量が、インク組成物が先に消費し尽くされるものとされたものが好ましい。
【0102】
また、別の好ましい態様によれば、インクジェット記録装置に用いられるインクタンクが提供される。このインクタンクは、好適には取り替え可能なカートリッジ式であってもよく、さらに好適には記録ヘッドと一体化されたものであってもよい。いずれの態様によっても、反応液とインク組成物とを収納し、かつインク組成物および反応液の量がインク組成物が先に消費し尽くされるものとされたものとするのが好ましい。
【0103】
なお、この態様とは逆に、反応液がインク組成物よりも先に消費し尽くされるようなものとされると、反応液は透明であることが一般的であるので、消費し尽された時点を知ることが難しくなる。すなわち、反応液が消費し尽くされたことを、印字を観察し、その印字品質が劣化していることで初めて知ることとなり、印字品質の観察を常に使用者に課すこととなる。
【0104】
一方、この態様によるインクジェット記録装置にあっては、インク組成物はそれ自体有色であることから、その消尽を容易に知ることができる。さらに、インク組成物が消費し尽くされる前に反応液がなくなることがないので、安定して二液を印字するインクジェット記録方法を行うことが可能となる。一方、インク組成物および反応液を収納するタンク部分にセンサー手段などを設けその消費を観察することも考えられるが、この態様にあってはそのような複雑な機構を極めて簡便な仕組みで代替できる点でも価値のあるものといえる。
【0105】
なお、この態様において、複数のインク組成物を用いた場合に、「反応液よりもインク組成物の方が先に消費し尽くされる」とは、いずれか一つのインク組成物が消費し尽くされた時点で依然として反応液が残っている限り、複数のインク組成物の全てが消費し尽くされた時においても反応液が残っていなければならないことを必ずしも意味する物ではないが、複数のインク組成物の全てが消費し尽くされた場合においても反応液が残っているようなものとされるのが好ましい。
【0106】
【実施例】
以下本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるれものではない。
【0107】
実施例A
反応液の調製
以下の成分を混合することにより反応液A1〜10を調製した。
【0108】
反応液A1
硝酸マグネシウム・六水和物 5重量%
グリセリン 20重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
2−ピロリドン 5重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0109】
反応液A2
硝酸マグネシウム・六水和物 5重量%
グリセリン 20重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
2−ピロリドン 10重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0110】
反応液A3
硝酸マグネシウム・六水和物 5重量%
グリセリン 20重量%
ジエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
1,3−ジメチル
−2−イミダゾリジノン 10重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0111】
反応液A4
硝酸マグネシウム・六水和物 5重量%
グリセリン 20重量%
サーフィノール465 0.7重量%
チオジグリコール 5重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0112】
反応液A5
硝酸カルシウム・四水和物 5重量%
グリセリン 20重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
2−ピロリドン 5重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0113】
反応液A6
アシッド・イエロー23 3.2重量%
硝酸マグネシウム・六水和物 5重量%
グリセリン 12重量%
ジエチレングリコール
モノブチルエーテル 3重量%
サーフィノール465 0.7重量%
シエチレングリコール 4重量%
2−ピロリドン 5重量%
トリエタノールアミン 0.1重量%
純水 残量
【0114】
反応液A7
リアクティブ・レッド180 4.2重量%
硝酸マグネシウム・六水和物 5重量%
グリセリン 17重量%
シエチレングリコール
モノブチルエーテル 3重量%
サーフィノール465 0.7重量%
ジエチレングリコール 4重量%
2−ピロリドン 5重量%
トリエタノールアミン 0.9重量%
純水 残量
【0115】
反応液A8
アシッド・ブルー9 1.5重量%
ダイレクト・ブルー199 3.5重量%
硝酸マグネシウム・六水和物 5重量%
グリセリン 12重量%
シエチレングリコール
モノブチルエーテル 3重量%
サーフィノール465 0.7重量%
ジエチレングリコール 4重量%
2−ピロリドン 5重量%
トリエタノールアミン 0.1重量%
純水 残量
【0116】
反応液A9
硝酸マグネシウム・六水和物 5重量%
グリセリン 20重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0117】
反応液A10
硝酸カルシウム・四水和物 5重量%
グリセリン 20重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0118】
インク組成物の調製
ブラックインクA1
カーボンブラックMA7 5重量%
(三菱化成株式会社製)
スチレンーアクリル酸共重合体 1重量%
(分散剤)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2−ピロリドン 2重量%
エタノール 4重量%
純水 残量
【0119】
カーポンブラックと分散剤とを混合し、サンドミル(安川製作所製)中でガラスピーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させた。その後、ガラスピーズを取り除き、他の成分を加え常温で20分間攪拌した。5μmのメンブランフルターでろ過して、インクジェット記録用ブラックインクを得た。
【0120】
反応液Aの評価
評価A1:異物の発生量
反応液をテフロンビンに入れて密封し、70℃で1週間放置した。放置後、反応液10mlを10μmのメッシュフィルターを通し、異物をろ集した。その結果は第1表に示される通りであった。表中、
ろ集された異物の数が20個未満−A
ろ集された異物の数が20個以上100個未満−B
ろ集された異物の数が100個以上−C
とした。
【0121】
評価A2:印刷安定性
反応液をMJ−500C(セイコーエプソン株式会社製)のインクカートリッジに充填し、プリンターに装着した。キャラクター、グラフィックが混在するパターンをA4紙に10000枚印刷し、途中で「飛行曲がり」や、「抜け」が生じないか観察した。
【0122】
なお、反応液1〜5は透明であるため、アシッド・ブルー9(染料)を0.5重量%添加し、曲がり、抜けが容易に確認できるよう着色した。
【0123】
その結果は、第1表に示される通りであった。表中、
曲りや抜けの発生回数が20回未満−A
曲りや抜けの発生回数が20回以上50回未満−B
曲りや抜けの発生回数が50回以上−C
とした。
【0124】
評価A3:印字品質(にじみ)
インクジェトプリンタMJ−500Cを用いて、以下の各紙に印刷を行った。印刷は、反応液を100%dutyで印刷した後、ブラックインクA1で文字を印刷した。乾燥後、文字におけるにじみの発生の有無を調べた。
【0125】
▲1▼XeroxP紙(ゼロックス株式会社製)
▲2▼Ricopy6200紙(リコー株式会社製)
▲3▼Xerox4024紙(ゼロックス株式会社製)
▲4▼Neenah Bond紙(キンバリークラーク社製)
▲5▼Xerox R紙(ゼロックス株式会社製・再生紙)
▲6▼やまゆり紙(本州製紙株式会社製・再生紙)
【0126】
その結果は、第1表に示される通りであった。表中、
にじみがなく鮮明な印刷の場合−A、
ひげ状のにじみが発生した場合−B、
文字の輪郭がはっきりしないほどにじみが発生した場合−C
とした。
【0127】
Figure 0003904120
【0128】
実施例B
反応液の調製
以下の成分を混合することにより反応液B1〜10を調製した。
反応液B1
硝酸マグネシウム・六水和物 25重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
グリセリン 20重量%
アンモニア水(29%水溶液) 0.05重量%
純水 残量
以上の成分を混合し、室温で1時間攪袢を行い、その後5μmのメンブランフルターで組成物を吸引ろ過して、反応液を得た。
【0129】
反応液B2
硝酸マグネシウム・六水和物 25重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
グリセリン 20重量%
アンモニア水(29%水溶液) 0.2重量%
純水 残量
【0130】
反応液B3
硝酸マグネシウム・六水和物 25重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
グリセリン 20重量%
シクロヘキシルアミン 0.1重量%
純水 残量
【0131】
反応液B4
硝酸マグネシウム・六水和物 25重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
グリセリン 20重量%
N−シクロヘキシル−
N−ドデシルアミン 0.1重量%
純水 残量
【0132】
反応液B5
硝酸マグネシウム・六水和物 25重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
グリセリン 20重量%
デカメチレンイミン 0.1重量%
純水 残量
【0133】
反応液B6
硝酸マグネシウム・六水和物 25重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
グリセリン 20重量%
ジシクロヘキシルアミン亜硝酸塩 0.1重量%
純水 残量
【0134】
反応液B7
硝酸マグネシウム・六水和物 25重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
グリセリン 20重量%
ジオクチルアミン 0.1重量%
ヘプタン酸 0.1重量%
純水 残量
【0135】
反応液B8
硝酸カルシウム・四水和物 20重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
グリセリン 20重量%
アンモニア水(29%) 0.2重量%
純水 残量
【0136】
反応液B9
硝酸マグネシウム・六水和物 25重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
グリセリン 20重量%
純水 残量
【0137】
反応液B10
硝酸カルシウム・四水和物 20重量%
トリエチレングリコール
モノブチルエーテル 10重量%
グリセリン 20重量%
純水 残量
【0138】
インク組成物の調製
ブラックインクB1
カーボンブラックMA7 5重量%
(三菱化成株式会社製)
スチレンアクリル酸共重合体 1重量%
(分散剤)
ボンコート4001 3重量%
(アクリル系樹脂エマルジョン、樹脂成分50%、MFT5℃、大日本インキ株式会社製)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2−ピロリドン 2重量%
エタノール 4重量%
純水 残量
【0139】
カーボンブラックと分散剤とを混合し、サンドミル(安川製作所製)中でガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させた。その後、ガラスビーズを取り除き、他の成分を加え常温で20分間攪袢した。5μmのメンブランフルターでろ過して、インクジェット記録用インクを得た。
【0140】
反応液の評価
評価B1:印字品質(にじみ)
インクジェトプリンタMJ−500C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、以下の各紙に印刷を行った。印刷は、まず反応液を100%dutyで印刷した後、ブラックインクB1で文字を印刷した。乾燥後、文字におけるにじみの発生の有無を調べた。
【0141】
▲1▼Xerox P紙(ゼロックス株式会社製)
▲2▼Ricopy 6200紙(リコー株式会社製)
▲3▼Xerox 4024紙(ゼロックス株式会社製)
▲4▼Neenah Bond紙(キンバリークラーク社製)
▲5▼Xerox R紙(ゼロックス株式会社製・再生紙)
▲6▼やまゆり紙(本州製紙株式会社製・再生紙)
【0142】
その結果は、第2表に示される通りであった。表中、
にじみがなく鮮明な印刷の場合−A
ひげ状のにじみが発生した場合−B
文字の輪郭がはっきりしないほどにじみが発生した場合−C。
【0143】
評価B2:目詰まり特性
インクジェットプリンタMJ−500Cのヘッドに反応液を充填し、10分間連続して英数文字を印刷した。その後プリンタを停止し、キャップをせずに40℃、25Rhの環境下で1月間放置した。放置後再び英数文字を印刷し、放置前と同等の印字が得られるまでに要した目詰まり復帰動作の回数を調べた。その結果は、第2表に示される通りであった。表中、
0〜2回の復帰動作で初期と同等の印刷が可能−A
3〜5回の復帰動作で初期と同等の印刷が可能−B
6回以上の復帰動作でも初期と同等の印刷が不可能−C。
【0144】
評価B3: 吐出安定性
インクジェットプリンタMJ−500Cのヘッドに反応液を充填し、A4サイズの紙に連続して英数文字を印字した。印字中に飛行曲がり(インク小滴がまっすぐ飛ばなくなることをいう)が発生した場合、復帰動作を行う。復帰動作を行なっても飛行曲がりが直らない場合、それまでに印刷した枚数を吐出安定性を表わすパラメータとした。
【0145】
その結果は第2表の通りであった。
【0146】
飛行曲がりが復帰しなくなるまでの印刷枚数が10000枚以上−A
飛行曲がりが復帰しなくなるまでの印刷枚数が10000枚以下−B
飛行曲がりが復帰しなくなるまでの印刷枚数が5000枚以下−C
【0147】
Figure 0003904120
【0148】
参考例
反応液の調製
以下の成分を混合することにより反応液C1〜5を調製した。
【0149】
反応液C1
スワノール CA−2150 10重量%
(塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、固形分50%、日光ケミカルズ(株)製)
硝酸マグネシウム・六水和物 5重量%
グリセリン 10重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0150】
反応液C2
スワノール CA−2350 10重量%
(塩化セチルトリメチルアンモニウム、固形分50%、日光ケミカルズ(株)製)
硝酸カルシウム・四水和物 5重量%
グリセリン 10重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0151】
反応液C3
スワノール CA−3080 3重量%
(塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、固形分80%、日光ケミカルズ(株)製)
酢酸マグネシウム・四水和物 5重量%
グリセリン 10重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0152】
反応液C4
カチオン M2−100 5重量%
(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、日本油脂(株)製)
酢酸カルシウム・一水和物 5重量%
グリセリン 10重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0153】
反応液C5
カチオン SA 5重量%
(オクタデシルアミン酢酸塩、日本油脂(株)製)
蟻酸カルシウム(無水) 5重量%
グリセリン 10重量%
トリエタノールアミン 0.2重量%
純水 残量
【0154】
インク組成物の調製
ブラックインクC1
カーボンブラックRaven1080 5重量%
(コロンビヤン・カーボン製)
スチレン−アクリル酸共重合体 1重量%
(分散剤)
ボンコート 4001 5重量%
(アクリル系樹脂エマルジョン、樹脂成分50%、大日本インキ化学工業(株)製)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2−ピロリドン 2重量%
エタノール 4重量%
純水 残量
【0155】
カーボンブラックと分散剤を混合し、サンドミル(安川製作所製)内でガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量(重量))と共に2時間分散させた。その後ガラスビーズを取り除き、他の成分を加え、常温で20分間攪拌した。5μmのメンブランフィルターで濾過し、インクジェット記録用インク組成物を得た。
【0156】
以下のブラックインクC2およびイエロー、シアン、マゼンタの各インク組成物からなるカラーインクセットC1の調製は、上記ブラックインクC1の方法に準じて行った。
【0157】
ブラックインクC2
カーボンブラック MA7 5重量%
(三菱化学(株)製)
スチレン−アクリル酸共重合体 1重量%
(分散剤)
ボンコート 5454 5重量%
(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、樹脂成分45%、大日本インキ化学工業(株)製)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2−ピロリドン 2重量%
エタノール 4重量%
純水 残量
【0158】
カラーインクセットC1
下記の着色剤(顔料)と液媒体とから、それぞれイエローインク、マゼンタインク、シアンインクを調製した。
【0159】
<顔料>
イエローインク
顔料KETYELLOW403 2重量%
(大日本インキ化学工業株式会社製)
マゼンタインク
顔料KETRED309 2重量%
(大日本インキ化学工業株式会社製)
シアンインク
顔料KETBLUEEX−1 2重量%
(大日本インキ化学工業株式会社製)
<液媒体>
スチレン−アクリル酸共重合体 0.4重量%
(分散剤)
ボンコート4001 2重量%
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2−ピロリドン 2重量%
エタノール 4重量%
純水 (残量)
【0160】
印字評価試験
以上示したインク組成物および反応液を、下記の第3表に示されるように組み合わせ、インクジェットプリンタで実際に印刷を行って印字品質等を評価した。
【0161】
評価C1:印字品質(にじみ)
評価A3に準じて実施した。結果は下記の第3表に示されるとおりであった。
【0162】
評価C2:印字品質(OD値)
インクジェットプリンターMJ−700V2Cを用いて上記評価C1で使用した紙に、100%dutyで反応液を印刷した後、ブラックインクで文字を印刷した。乾燥後、印刷物の反射OD値をMacbeth PCMII(マクベス社製)で測定した。
【0163】
その結果は下記の第3表に示される通りであった。
【0164】
評価C3:印刷ムラ
インクジェットプリンタMJ−700V2Cで、以下の各紙に100%dutyで印刷を行った。
【0165】
▲1▼Ricopy 6200紙(リコー(株)製)
▲2▼Canon PB PAPER紙(キャノン(株)製)
得られた印刷物の任意の5点のOD値をMachbeth PCMIIを用いて測定し、その平均値を求めた。この手順を5回繰り返し、5つの平均値の最大値と最小値を求めた。この差が0.5未満であると実用上問題なく、さらには0.4未満が好ましい。
【0166】
その結果は、下記の第3表に示される通りであった。表中、
A:OD値の差が0.2未満
B:OD値の差が0.2以上0.4未満
C:OD値の差が0.4以上。
【0167】
評価C4:カラーブリード
インクジェットプリンタMJ−700V2Cを用いて上記評価A3で使用した紙に、100%duty反応液を印刷した後、カラーインクセットC1の各色インク組成物により100%dutyの印刷を行い、同時にブラックインクC1またはC2により文字を印刷した。得られた印刷物の、文字の境界部分での不均一な色の混じりの有無を調べた。印字を目視により観察した。
【0168】
その結果は、下記の第3表に示される通りであった。表中、
A:色の混じりがなく境界が鮮明
B:ひげ状の色の混じりが発生した
C:文字も輪郭もはっきりしないほど色が混じる。
【0169】
第3表
反応液 ブラックインク 評価 C1 評価 C2 評価 C3 評価 C4
参考例1 C1 1 A 1.41 A −
2 C1 2 A 1.43 A −
3 C2 2 A 1.43 A −
4 C3 2 A 1.45 A −
5 C4 1 A 1.45 A −
6 C4 2 A 1.48 A A
7 C5 2 A 1.46 A A
8 − 2 B 1.33 B C
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による方法を実施するインクジェット記録装置を示す図であって、この態様においては記録ヘッドとインクタンクがそれぞれ独立してなり、インク組成物および第一液はインクチューブによって記録ヘッドに供給される。
【図2】記録ヘッドのノズル面の拡大図であって、1bが第一液のノズル面であり、1cがインク組成物のノズル面である。
【図3】図2の記録ヘッドを用いたインクジェット記録を説明する図である。図中で、31は第一液付着領域であり、32は第一液が付着されてた上にインク組成物が印字された印字領域である。
【図4】記録ヘッドの別の態様を示す図であって、吐出ノズルが全て横方向に並べて構成されたものである。
【図5】本発明による方法を実施するインクジェット記録装置を示す図であって、この態様においては記録ヘッドとインクタンクが一体化されてなる。
【図6】本発明による方法を実施するインクジェット記録装置を示す図であって、この態様において画像が記録された後の記録媒体を加熱する加熱手段14が設けられてなる。
【符号の説明】
1 記録ヘッド
2 インクタンク
3 インクチューブ
21 第一液吐出ノズル
22、23、24、25 インク組成物吐出ノズル
31 第一液付着領域
32 印字領域

Claims (5)

  1. 記録媒体に、反応液とインク組成物とを付着させて、印字を行うインクジェット記録方法に用いられる反応液であって、
    多価金属塩と、
    2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、チオジグリコール、アンモニア、シクロヘキシルアミン、N−シクロヘキシル−N−ドデシルアミン、デカメチレンイミン、ジシクロヘキシルアミン、およびジオクチルアミンから選択される少なくとも一種の成分とを少なくとも含んでなる、反応液。
  2. 多価金属塩が硝酸塩またはカルボン酸塩である、請求項1に記載の反応液。
  3. 記録媒体に、請求項1または2の反応液と、インク組成物とを付着させて、印字を行うインクジェット記録方法。
  4. 前記インク組成物が着色剤と樹脂エマルジョンとを含んでなるものである、請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 反応液を記録媒体に付着させ、その後該記録媒体にインク組成物を印字する、請求項3または4に記載のインクジェット記録方法。
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