JP3903834B2 - トロイダル型無段変速機の変速制御機構 - Google Patents

トロイダル型無段変速機の変速制御機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トロイダル型無段変速機の変速制御機構、特にトロイダル伝動ユニットを一対1組として具えるデュアルキャビティー式トロイダル型無段変速機の変速制御機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トロイダル型無段変速機は通常、入出力ディスクを同軸に対向配置して具え、これら入出力ディスク間に一対のパワーローラを相互に対向させて挟圧し、これらパワーローラを介し入出力ディスク間で動力の受け渡しが可能な構成にする。
【0003】
変速に当たっては、両パワーローラを個々に回転自在に支持したトラニオンをトラニオン軸線方向へ相互逆向きにストロークさせることで両パワーローラを、それぞれの回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差する中立位置からオフセットさせる。
この時パワーローラが、回転時の分力を受けてそれぞれのトラニオンと共にトラニオン軸線の周りで傾転され、入出力ディスクに対する接触軌跡円径を変化されることで無段変速を行うことができ、変速比が目標値になった時トラニオンの復帰ストロークによりパワーローラを上記の中立位置に戻すことで目標変速比を維持することができる。
【0004】
上記の変速に鑑み明らかなように、パワーローラに作用するトラニオン軸線方向の抗力はパワーローラ間で差が発生しないよう均等である必要があり、従来はかかる要求から例えば特開平2−163567号公報に記載のごとく、各トラニオンに個々にサーボピストンを設け、これら全てのサーボピストンに同様な油圧を作用させる構成を採用するのが普通であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように各トラニオンに個々にサーボピストンを設けることが必須である従来の構成では、サーボピストンの設置個数が多くなり、トラニオンに対するサーボピストンの取り付け位置が限定されることもあって、レイアウトの自由度が低いと共にトロイダル型無段変速機の小型化が妨げられるという問題を生ずる。
【0006】
特に、入出力ディスクからパワーローラへの大きな挟圧力を相殺させて変速機ケースに作用しないようにするため、また、トロイダル型無段変速機のトルク伝達容量を倍加するため、上記の構成になるトロイダル伝動ユニットを一対1組として具え、これらトロイダル伝動ユニットを、入力ディスク同士、または出力ディスク同士が背中合わせになるよう同軸に配置した、所謂デュアルキャビティー式トロイダル型無段変速機にあっては、パワーローラを回転自在に支持したトラニオンの数も倍になるため上記の問題が更に顕著になる。
【0007】
そこで本発明は特に、デュアルキャビティー式トロイダル型無段変速機において、各パワーローラのトラニオン軸線方向抗力を均等にするに際し、従来のように油圧バランスに頼るのではなく、機構上の工夫により当該抗力の均等を実現し得るようになし、これにより、トラニオンが多数個であってもトラニオンのストロークを司るアクチュエータが1個のみで足りるようにして上記の問題を解消したトロイダル型無段変速機の変速制御機構を提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的のため、本発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御機構は、請求項1に記載のごとくに構成する。
つまり、上記したデュアルキャビティー式トロイダル型無段変速機におけるトラニオンのうち、入出力ディスクの回転軸線に関し同じ側における前後トラニオンの隣り合う一端部間にそれぞれ前後連結リンクを架設する。
当該架設に当たっては、これら前後連結リンクをそれぞれ対応するトラニオンの上記一端部に対し、トラニオン軸線周りに回転自在に、且つ、トラニオン軸線方向へ変位不能に係着して揺動自在に連結する。
そして、前後連結リンクのトラニオン連結部間における中央箇所同士を、これら中央箇所のうち一方の前後連結リンクに係わる中央箇所に作用するトラニオン軸線方向の力が、他方の前後連結リンクに係わる中央箇所に伝達されて、該他方の前後連結リンクに係わる中央箇所にも、前記一方の前後連結リンクに係わる中央箇所に作用するトラニオン軸線方向力と同じ向きで、且つ、同じ大きさのトラニオン軸線方向力が作用するようになす連結機構で連結した構成となす。
【0009】
【発明の効果】
かかる本発明の構成によれば、連結機構が前後連結リンクのトラニオン連結部間における中央箇所を相互に連結するため、また、連結機構が前後連結リンクの中央箇所に作用するトラニオン軸線方向の力を共に同じ方向および同じ大きさにするよう機能するため、
全てのパワーローラに作用するトラニオン軸線方向の抗力が、これらパワーローラに係わるトラニオン、前後トラニオン間にそれぞれ架設した前後連結リンク、およびこれら前後連結リンクの中央箇所を相互に連結する連結機構を介して相互に影響し合うこととなって、全てのパワーローラのトラニオン軸線方向抗力を同じにすることができる。
【0010】
従って本発明の構成によれば、デュアルキャビティー式トロイダル型無段変速機であるが故にパワーローラを回転自在に支持するラニオンが多数個であってもトラニオンのストロークを司るアクチュエータが1個のみで足りることとなり、従来のように各トラニオンに個々にサーボピストンを設ける場合に生じていたレイアウトの自由度に関する問題およびトロイダル型無段変速機の大型化に関する問題を解消することができる。
【0011】
なお、上記のように変速制御機構を構成する場合においては請求項2に記載のごとく、
前後連結リンクのトラニオンに対する揺動自在部を前後連結リンクの長手方向へ変位可能にするのが良い。
この場合、各前後連結リンクが対応する側における前後パワーローラのトラニオン軸線方向抗力を同じにするよう動作する時のこじりを無くして上記の作用効果を一層確実なものにすることができる。
【0012】
また前記連結機構は、請求項3に記載のごとく以下の構成にすることができる。
つまり、前後連結リンクの前記中央箇所にそれぞれ変速リンク部材を連結し、これら変速リンク部材を相互に接近する方向に延在させて、これら変速リンク部材の先端同士を両前後連結リンクの中央箇所間で相互に連節し、各変速リンク部材を当該連節部と、対応する前後連結リンクの中央箇所との間で枢支して連結機構を構成する。
【0013】
かかる連結機構の構成によれば、前後連結リンクの中央箇所にそれぞれ作用するトラニオン軸線方向抗力が、上記のごとくに設けた変速リンク部材を介して相互に影響し合うため、前後連結リンク中央箇所のトラニオン軸線方向抗力をそれぞれ同じにすることができ、従って、全てのパワーローラのトラニオン軸線方向抗力を同じにすることができる。
これがため、デュアルキャビティー式トロイダル型無段変速機であるが故にパワーローラを回転自在に支持するラニオンが多数個であってもトラニオンのストロークを司るアクチュエータが1個のみで足りることとなり、従来のように各トラニオンに個々にサーボピストンを設ける場合に生じていたレイアウトの自由度に関する問題およびトロイダル型無段変速機の大型化に関する問題を解消することができる。
【0014】
なお連結機構を上記の構成とする場合、請求項4に記載のごとく、
各変速リンク部材の先端間連節部を変速リンク部材の前記枢支点周りにおける回動時も該連節部がこじられることのないよう変速リンク部材の延在方向へ変位可能にするのが良い。
この場合、変速リンク部材が前後連結リンク中央箇所のトラニオン軸線方向抗力をそれぞれ同じにするよう動作する時のこじりを無くして上記の作用効果を一層確実なものにすることができる。
【0015】
前記したパワーローラの変速用のオフセットを生じさせるようにするためには、請求項5に記載のごとく、両変速リンク部材の前記枢支点を固定とし、両変速リンク部材の回動可能に連節した先端同士を相互に回動方向へ接近または離反させることにより当該オフセットを生じさせるアクチュエータを設けるのが良い。
この場合アクチュエータを、モータのような電動機とその回転駆動により上記接近または離反を行うネジ構造との組み合わせとすることができ、変速制御機構の設計の自由度が飛躍的に高くなる。
またアクチュエータを油圧式に構成するにしても、位置制御のみでよく力の制御が不要であるから、制御油圧を低く設定することが可能となってポンプ駆動負荷の低減により伝動効率を高めることができる。
【0016】
パワーローラの変速用のオフセットを生じさせるようにするためには、上記に代えて請求項6に記載のごとく、一方の変速リンク部材の前記枢支点を固定とし、他方の変速リンク部材の前記枢支点をトラニオン軸線方向にストロークさせることにより前記オフセットを生じさせるアクチュエータを設けるのが良い。
この場合、請求項5に記載の構成によると同じ上記作用効果が得られるほか、上記他方の変速リンク部材に係わる枢支点のストローク位置を、固定部に対する相対位置として位置制御することになるため、変速制御が高精度になると共に変速制御がし易くなるという作用効果が得られる。
【0017】
前記の連結機構は、請求項3に記載のものに代えて請求項7に記載のごとくに構成することができる。
つまり、前後連結リンクの前記中央箇所にそれぞれ変速リンク部材を連結し、これら変速リンク部材を前後連結リンクの長手方向へ延在させて、これら変速リンク部材の延長端を共通な固定軸線上に揺動可能に支持し、両変速リンク部材の延長端を相互に前記共通な固定軸線周りで一体的に回動するよう連結する回動連結手段を設けて連結機構を構成する。
【0018】
かかる連結機構の構成によれば、前後連結リンクの中央箇所にそれぞれ作用するトラニオン軸線方向抗力が、上記のごとくに設けた変速リンク部材および回動連結手段を介して相互に影響し合うため、前後連結リンク中央箇所のトラニオン軸線方向抗力をそれぞれ同じにすることができ、従って、全てのパワーローラのトラニオン軸線方向抗力を同じにすることができる。
これがため、デュアルキャビティー式トロイダル型無段変速機であるが故にパワーローラを回転自在に支持するラニオンが多数個であってもトラニオンのストロークを司るアクチュエータが1個のみで足りることとなり、従来のように各トラニオンに個々にサーボピストンを設ける場合に生じていたレイアウトの自由度に関する問題およびトロイダル型無段変速機の大型化に関する問題を解消することができる。
【0019】
なお上記の回動連結手段は、請求項8に記載のごとく、
上記共通な固定軸線上における両変速リンク部材の延長端にそれぞれ設けたウォームホイールと、これらウォームホイールにそれぞれ噛合したウォームを軸線方向相対変位不能に支承する共通なウォーム支持箱とで構成し、このウォーム支持箱をウォームの軸線方向へ変位可能に支持して、前記両変速リンク部材の延長端を相互に前記共通な固定軸線周りで一体的に回動させ得るようなものとするのがよい
【0020】
かかる回動連結手段によれば、一方の前後連結リンクの中央箇所に作用するトラニオン軸線方向抗力が、対応する側の変速リンク部材、その延長端におけるウォームホイール、これに噛合したウォーム、ウォーム支持箱、他方のウォーム、これに噛合したウォームホイール、他方の変速リンク部材を順次介して他方の前後連結リンクの中央箇所に及ぶことから、前後連結リンクの中央箇所に作用するトラニオン軸線方向抗力が相互に影響し合うこととなり、前後連結リンク中央箇所のトラニオン軸線方向抗力をそれぞれ同じにすることができ、従って、全てのパワーローラのトラニオン軸線方向抗力を同じにすることができ、前記の作用効果を達成することが可能になる。
【0021】
回動連結手段を上記のような構成とする場合において、パワーローラの変速用のオフセットを生じさせるようにするためには、請求項9に記載のごとく、
前記の両ウォームを相互に逆方向へ回転するよう駆動連結し、一方のウォームを回転することにより前記オフセットを生じさせるアクチュエータを設けるのが良い。
この場合アクチュエータは、上記一方のウォームを回転させるモータのような電動機とすることができ、変速制御機構の設計の自由度が飛躍的に高くなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施の形態になる変速制御機構を具えたロイダル型無段変速機を示し、このトロイダル型無段変速機は、図1に明示するごとく一対のトロイダル伝動ユニット1,2を1組として具えるデュアルキャビティー式トロイダル型無段変速機とする。
【0023】
動力源であるエンジン3に近いフロント側トロイダル伝動ユニット1、およびエンジン3から遠いリヤ側トロイダル伝動ユニット2はそれぞれ同様な構成とし、入力ディスク4F,4Rと、これに同軸に対向配置した出力ディスク5F,5Rと、これら入出力ディスク4F,5F間および4R,5R間における一対ずつのパワーローラ6FL,6FRおよび6RL,6RRとを主たる要素とする。
【0024】
両トロイダル伝動ユニット1,2は、出力ディスク5F,5Rが背中合わせになるよう同軸に配置し(入力ディスク4F,4Rが背中合わせになるような同軸配置でもよい)、
入力ディスク4F,4Rは図示せざるローディングカムを介してエンジン3のクランクシャフトに駆動結合するが、該ローディングカムが伝達トルクに応じて発生させるスラストにより相互に接近する方向へ変位可能とし、
出力ディスク5F,5Rは、共通な出力歯車7に結合して軸線方向に位置決めする。
この出力歯車7に噛合させてカウンターギヤ8を設け、このカウンターギヤ8をカウンターシャフト9に結合する。
【0025】
一対ずつのパワーローラ6FL,6FRおよび6RL,6RRはそれぞれ、フロント側トロイダル伝動ユニット1に関して図2に明示するごとく、対応する入出力ディスク4F,5F間および4R,5R間で油膜の剪断により動力伝達を行うようこれら対応する入出力ディスク間に介在させ、これら入出力ディスクの回転軸線Oを挟んで左右両側に対向配置する。
【0026】
そしてパワーローラ6FL,6FR,6RL,6RRは、個々のトラニオン10FL,10FR,10RL,10RRに回転自在に支持し、これらトラニオン10FL,10FR,10RL,10RRは、相互に隣り合う上端同士を板状アッパーリンク11の4隅角に連節し、相互に隣り合う下端同士を板状ロアリンク12の4隅角に連節する。
これらの連節に当たっては、外側の球面継手と内側の回転軸受とで構成される複合継手13によりトラニオン10FL,10FR,10RL,10RRの上端および下端を板状リンク11,12に対し回転自在に且つ交角変化可能に連節する。
【0027】
ここで板状リンク11,12は、パワーローラ6FL,6FR,6RL,6RRが対応する入出力ディスク間からの挟圧力によっても、これら入出力ディスク間から追い出されることのないよう機能する。
なお、板状ロアリンク12は図2に示すごとく、トラニオン10FL,10FRの下端間、およびトラニオン10RL,10RRの下端間においてそれぞれ、変速機ケースに球面継手14により揺動可能に支持する。
【0028】
上記トロイダル型無段変速機の伝動作用を説明するに、エンジン3から入力ディスク4F,4Rへの回転入力は前記した通り図示せざるローディングカムを介して行われる。
このローディングカムは入力トルクに応じたスラストを発生して、入力ディスク4F,4Rを出力ディスク5F,5Rに向け付勢し、これによりパワーローラ6FL,6FR,6RL,6RRを伝達トルクに応じたスラストで対応する入出力ディスク間に挟圧する。
よってパワーローラ6FL,6FR,6RL,6RRはそれぞれ、対応する入出力ディスク間での動力伝達を行うことができる。
つまり、入力ディスク4F,4Rの回転は、これに油膜の剪断を介して係合するパワーローラ6FL,6FR,6RL,6RRに伝達され、パワーローラ6FL,6FR,6RL,6RRを軸線Oの周りに回転させ、パワーローラ6FL,6FR,6RL,6RRは、これらに油膜の剪断を介して係合する出力ディスク5F,5Rに回転を伝達し、これら出力ディスクから出力歯車7およびカウンターギヤ8並びにカウンターシャフト9を経て動力を取り出すことができる。
【0029】
上記の伝動中にトラニオン10FL,10FR,10RL,10RRを、パワーローラ回転軸線Oと直交するトラニオン軸線Oの方向へ、同位相で(同じ変速方向:トラニオン10FLおよび10RLと、10FRおよび10RRとを相互に逆の方向に)同期してストロークさせることにより以下の変速作用を行うものとする。
つまり、トラニオン10FL,10FR,10RL,10RRの上記ストロークによりパワーローラ6FL,6FR,6RL,6RRは、パワーローラ回転軸線Oがディスク回転軸線Oと交差した、図1および図2に示す中立(非変速)位置からトラニオン軸線Oの方向へ変位され、パワーローラ回転軸線Oがディスク回転軸線Oから対応方向へずれたオフセット位置になる。
【0030】
かかるオフセットによりパワーローラ6FL,6FR,6RL,6RRは上記の回転伝動中に、トラニオン軸線Oの周りの回転分力を入出力ディスクから受けるようになり、トラニオン軸線Oの周りに同期して同位相で傾転される。
これにより入出力ディスクに対するパワーローラ6FL,6FR,6RL,6RRの接触軌跡円径が連続的に変化し、入出力ディスク間の伝動比(変速比)を無段階に変化させることができる。
なお、変速比が所定値になったところで、パワーローラ6FL,6FR,6RL,6RRをオフセット0の中立位置に戻すことにより、当該所定変速比を維持することができる。
【0031】
ところで本実施の形態においては、上記変速のための変速制御機構を特に以下の構成とする。
つまり、ディスク回転軸線Oに関して同じ右側における前後トラニオン10FRおよび10RR間に図1および図2のごとく前後連結リンク15Rを架設し、ディスク回転軸線Oに関して同じ左側における前後トラニオン10FLおよび10RL間にも図2に示すごとく同様な前後連結リンク15Lを架設する。
これら架設に当たっては、ロアリンク12から下方に突出する前後トラニオン10FRおよび10RRの下端にそれぞれ、前後連結リンク15Rの両端をトラニオン軸線Oの周りに回転自在とするが、トラニオン軸線Oの方向に変位不能に係着して揺動自在に取り付け、またロアリンク12から下方に突出する前後トラニオン10FLおよび10RLの下端にそれぞれ、前後連結リンク15Lの両端をトラニオン軸線Oの周りに回転自在とするが、トラニオン軸線Oの方向に変位不能に係着して揺動自在に取り付ける。
【0032】
これがため図3(a),(b)にも示すごとく、前後トラニオン10FR,10RRおよび10FL,10RLの下端に各々円盤16を回転自在に嵌合し、この円盤16を、その両側に位置するよう前後トラニオン10FR,10RRおよび10FL,10RLに固設した対向フランジ17,18間に挟んでトラニオン軸線Oの方向に変位不能に係着する。
なお、円盤16とフランジ17,18との間には転がり素子19を介装して円盤16が前後トラニオン10FR,10RRおよび10FL,10RLに対して容易に相対回転し得るようにする。
【0033】
円盤16の外周には、直径方向に対向する2箇所において径方向外方へ突出するピン16aを設け、前後連結リンク15R,15Lの両端を図3(b)に明示するごとく二股形状として、それぞれの脚部端面に開口するよう切り欠き溝15aを形成し、円盤16の2個のピン16aをこれら切り欠き溝15a内に滑入させることにより前後連結リンク15R,15Lの両端をピン16aの周りで揺動可能とすると共に、前後連結リンク15R,15Lをそれぞれの長手方向へ変位可能とする。
【0034】
前後連結リンク15R,15Lの両端間中央箇所は、これら箇所に作用するトラニオン軸線Oの方向における力が相互に影響し合って共に同じになるようにする連結機構20により相互に連結する。
以下に連結機構20を詳述するに、前後連結リンク15R,15Lの両端間中央箇所にそれぞれ、前後連結リンク15Rにつき図1に明示するごとく、パワーローラ回転軸線Oに対し平行な方向に延在するピン21により前後連結リンク支持部材22R,22L(部材22Lは図2参照)を連結して設ける。
そして、ピン21から遠い前後連結リンク支持部材22R,22Lの基端にそれぞれ図2に明示するごとく、入出力ディスク回転軸線Oに平行な方向へ延在するピン23R,23Lを介し変速リンク部材24R,24Lを揺動可能に連結して設ける。
【0035】
変速リンク部材24R,24Lは図2に示すごとく、相互に接近する方向に延在させて、これら変速リンク部材24R,24Lの先端同士をピン23R,23L間の、好ましくは中間位置で変速リンク部材24R,24Lの上記揺動に呼応した回動が可能となるよう連節する。
これがため図2に示すように、変速リンク部材24R,24Lの先端にそれぞれ球面継手25,26を摺動自在に嵌合し、これら球面継手25,26間をコネクティングロッド27により連結する。
球面継手26はコネクティングロッド27の先端ネジ部に螺合させ、球面継手25はコネクティングロッド27に対しロッド軸線方向に位置決めして回転自在に取着する。
【0036】
コネクティングロッド27の下端は、変速アクチュエータである変速制御モータ28のモータ駆動軸29に図4(a),(b)のごとく駆動結合する。
すなわち、モータ駆動軸29を中空としてその内部にコネクティングロッド27の下端27aを挿入するが、この下端27aを円板形状として、モータ駆動軸29の中空孔内周面に対向するよう形成した一対の軸線方向溝29a内に滑動可能に回転係合させる。
かくてコネクティングロッド27は、モータ駆動軸29からの回転力を入力され得るが、モータ駆動軸29に対し軸線方向には自由に相対変位可能であり、また、円板形状とした下端27aの平面内で図4(a)の矢αのごとく自由に相対傾動可能である。
【0037】
コネクティングロッド27は更に、円板形状とした下端27aの平面に直角な平面内でも矢βのごとく傾動可能にするため、コネクティングロッド27を球面継手25および下端27a間において軸線方向に分割すると共にこれら分割した部分間をピン31により相互に傾動可能に連結する。
【0038】
各変速リンク部材24R,24Lは更に図2のごとく、両者の先端間連節部(球面継手25,26)と、対応するピン23R,23Lとの間、好ましくは中間位置においてピン32R,32Lにより枢支する。
これら枢支ピン32R,32Lは固定ブロック33R,33Lに挿通することで位置を固定し、これらピン32R,32Lにより提供される変速リンク部材24R,24Lの枢支点を固定とする。
ただし変速リンク部材24R,24Lの、ピン23R,23Lによる揺動取り付け部および変速リンク部材24R,24Lの先端間連節部は、これら部分がそれぞれ図1および図2、並びに図4につき前述した構造であるため、位置を固定されることがなくて変速リンク部材24R,24Lの延在方向に変位可能である。
【0039】
上記本実施の形態になる変速制御機構の作用を次に説明する。
先ず、パワーローラ6FR,6FL,6RR,6RLに作用するトラニオン軸線方向の抗力が常に均等になる作用を説明する。
トルク伝達に伴って例えば図1にFで示す上向きのトラクション力がパワーローラ6FRに加わると、前後連結リンク15Rが両端間中央箇所におけるピン21の周りで時計方向の回動力によりパワーローラ6RRに同じ大きさFの下向き力を作用させる。
これによりパワーローラ6RRは、トルク伝達に伴うトラクション力を上向きにFだけ発生するような運転状態となり、結果として、ディスク回転軸線Oに関し同じ右側にあるパワーローラ6FR,6RRは共に同じトルクを伝達することができる。
【0040】
ディスク回転軸線Oに関し同じ左側にあるパワーローラ6FL,6RLも同様に、前後連結リンク15Lにより相互に連結されているため、また、この前後連結リンク15Lが両端間中央箇所を、図2に示す部材22Lにより揺動可能に支持されているため、同じ原理で共に同じトルクを伝達することができる。
【0041】
一方で、前後連結リンク15Rの両端間中央箇所におけるピン21には、右側における前後トラニオン10FR,10RRにそれぞれ作用するトラクション力Fの和値である2Fの力が図1の上向きに働き、この上向き力2Fは図2に示すように、ピン23Rを介し変速リンク部材24Rにピン32Rを中心とする反時計方向回動力を付与し、コネクティングロッド27に図2に矢で示すような下向き力を及ぼす。
【0042】
この時コネクティングロッド27が図4の構成に起因して同方向に変位し得るから、これから変速リンク部材24Lに、ピン32Lを中心とする時計方向回動力が作用し、その結果として反対側における前後連結リンク15Lの中央箇所にも部材22Lを介し、前後連結リンク15Rの中央箇所におけると同じ上向きの力2Fが働く。
前後連結リンク15Lの中央箇所に作用する上向き力2Fは、前後連結リンク15Lにより2分されて、ディスク回転軸線Oに関し同じ左側にあるパワーローラ6FL,6RLにそれぞれ同じ上向き力Fが発生する。
よって、左側にある前後パワーローラ6FL,6RLはそれぞれ、トルク伝達に伴うトラクション力を下向きにFだけ発生するような運転状態となり、同じトルクを伝達することができる。
なお上記した通り、左右にあるパワーローラ6FL,6RLと6FR,6RRとはトラクション力が上下逆向きであるが、左右パワーローラは点対称の関係にあるのでトラクション力が上下逆向きであることによって同じトルクを伝達することができる。
【0043】
以上により、パワーローラ6FR,6FL,6RR,6RLに作用するトラニオン軸線方向の抗力が常に均等になり、パワーローラ6FR,6FL,6RR,6RLは全て同じトルクを伝達することができる。
なおこの目的のため前記の好適例では、変速リンク部材24R,24Lの先端間連節部(球面継手25,26)を、変速リンク部材24R,24Lの揺動取り付け部(ピン23R,23L)間の中間位置に位置させ、変速リンク部材24R,24Lの固定枢支部(ピン32R,32L)を変速リンク部材24R,24Lの延在方向中間位置に位置させて、前後連結リンク15R,15Lの中央箇所に働くトラニオン軸線方向力が同じ値となるようにしたが、この代わりに、変速リンク部材24Rに係わるレバー比と変速リンク部材24Lに係わるレバー比との他の組み合わせでも同様の目的を達成することができることは言うまでもない。
【0044】
次に変速作用を説明するに、或る方向への変速に当たっては、図1および図2に示すごとくパワーローラ回転軸線Oが入出力ディスク回転軸線Oと交差した中立(非変速)状態から、変速モータ28によりモータ駆動軸29を回転させてネジ作用により球面継手26を図2の上方へ変位させ、球面継手25から離反させる。
この時、自己の軸線方向へ変位可能なコネクティングロッド27は、前後連結リンク15R,15Lの中央箇所へのトラニオン軸線方向抗力を均等にする前記の作用に起因して球面継手25に反力を作用させ、この球面継手25を球面継手26と同じ距離だけ図2の下方へ変位させる。
【0045】
球面継手26,25の変位はそれぞれ変速リンク部材24L,24Rを図2において反時計方向に回動させ、その結果前後連結リンク15L,15Rの中央箇所がトラニオン軸線Oの方向へ相互逆向きに変位されて、左側の前後パワーローラ6FL,6RLと右側の前後パワーローラ6FR,6RRとを相互逆向きに入出力ディスク回転軸線Oからオフセットさせる。
パワーローラ6FL,6RL,6FR,6RRはかかるオフセットにより入出力ディスクからトラニオン軸線Oの周りの回転分力を受けるようになり、当該トラニオン軸線Oの周りに傾転されて所定の変速を行う。
【0046】
そしてこの間も、コネクティングロッド27の軸線方向変位を介して得られる前後連結リンク15L,15Rの中央箇所へのトラニオン軸線方向抗力を均等にする作用により、全てのパワーローラ6FL,6RL,6FR,6RRの伝達トルクは同じに保たれ、1個の変速制御モータ28のみでもパワーローラ6FL,6RL,6FR,6RRの伝達トルクを等しく保ちつつ上記の変速を行わせることができる。
この変速により変速比が目標変速比になった時、モータ28の戻し回転により球面継手26,25の相対位置を図2の中立位置に復帰させることで、当該目標変速比を維持することができる。
【0047】
逆方向への変速に当たっては、図1および図2に示す中立(非変速)状態から、変速モータ28によりモータ駆動軸29を逆方向に回転させてネジ作用により球面継手26を図2の下方へ変位させ、球面継手25に接近させる。
この時、自己の軸線方向へ変位可能なコネクティングロッド27は、前後連結リンク15R,15Lの中央箇所へのトラニオン軸線方向抗力を均等にする前記の作用に起因して球面継手25に反力を作用させ、この球面継手25を球面継手26と同じ距離だけ図2の上方へ変位させる。
【0048】
球面継手26,25の変位はそれぞれ変速リンク部材24L,24Rを図2において時計方向に回動させ、その結果前後連結リンク15L,15Rの中央箇所がトラニオン軸線Oの方向へ前記と逆の向きに変位されて、左側の前後パワーローラ6FL,6RLと右側の前後パワーローラ6FR,6RRとを前記と逆の向きに入出力ディスク回転軸線Oからオフセットさせる。
パワーローラ6FL,6RL,6FR,6RRはかかるオフセットにより入出力ディスクからトラニオン軸線Oの周りで前記と逆向きの回転分力を受けるようになり、当該トラニオン軸線Oの周りに対応方向へ傾転されて所定の変速を行う。
【0049】
そしてこの間も、コネクティングロッド27の軸線方向変位を介して得られる前後連結リンク15L,15Rの中央箇所へのトラニオン軸線方向抗力を均等にする作用により、全てのパワーローラ6FL,6RL,6FR,6RRの伝達トルクは同じに保たれ、1個の変速制御モータ28のみでもパワーローラ6FL,6RL,6FR,6RRの伝達トルクを等しく保ちつつ上記の変速を行わせることができる。
この変速により変速比が目標変速比になった時、モータ28の戻し回転により球面継手26,25の相対位置を図2の中立位置に復帰させることで、当該目標変速比を維持することができる。
【0050】
ところで本実施の形態においては、デュアルキャビティー式トロイダル型無段変速機におけるトラニオン10FL,10RL,10FR,10RRのうち、入出力ディスク回転軸線Oに関し同じ側における前後トラニオン10FL,10RLおよび10FR,10RRの隣り合う下端部間にそれぞれ前後連結リンク15L,15Rを前記のようにして架設し、
前後連結リンク15L,15Rの両端間(トラニオン連結部間)における中央箇所を相互に、これら中央箇所に作用するトラニオン軸線方向の力が同じになるようにする連結機構20で連結したため、
全てのパワーローラ6FL,6RL,6FR,6RRに作用するトラニオン軸線方向の抗力が、これらパワーローラに係わるトラニオン10FL,10RL,10FR,10RR、前後トラニオン10FL,10RL間および10FR,10RR間にそれぞれ架設した前後連結リンク15L,15R、およびこれら前後連結リンク15L,15Rの中央箇所を相互に連結する連結機構20を介して相互に影響し合うこととなって、全てのパワーローラのトラニオン軸線方向抗力を同じにすることができる。
【0051】
従って本実施の形態によれば、デュアルキャビティー式トロイダル型無段変速機であるが故にパワーローラ6FL,6RL,6FR,6RRを回転自在に支持するトラニオン10FL,10RL,10FR,10RRが多数個であってもこれらトラニオンのストロークを司る変速用のアクチュエータ28が1個のみで足りることとなり、従来のように各トラニオンに個々にサーボピストンを設ける場合に生じていたレイアウトの自由度に関する問題およびトロイダル型無段変速機の大型化に関する問題を解消することができる。
【0052】
また本実施の形態においては、前後連結リンク15L,15Rのトラニオン10FL,10RLおよび10FR,10RRに対する揺動自在部を図3に示す切り欠き溝15aにより前後連結リンク15L,15Rの長手方向へ変位可能にしたから、
各前後連結リンク15L,15Rが対応する側における前後パワーローラ6FL,6RLおよび6FR,6RRのトラニオン軸線方向抗力を同じにするよう動作する時のこじりを無くして上記の作用効果を一層確実なものにすることができる。
【0053】
また連結機構20を図2につき前記したように、前後連結リンク15L,15Rの両端間中央箇所にそれぞれ連結した変速リンク部材24L,24Rで構成し、これら変速リンク部材24L,24Rの相互に接近する方向に延在する先端同士を前後連結リンク15L,15Rの中央箇所間で球面継手26,25により相互に連節し、各変速リンク部材24L,24Rを当該連節部と、対応する前後連結リンク15L,15Rの中央箇所との間でピン32L,32Rにより枢支する場合、前記の作用効果を簡単な構成で実現させることができる。
【0054】
なお連結機構20をかかる構成とするに当たり本実施の形態においては、各変速リンク部材24L,24Rの先端間連節部を図4につき前述した構成により変速リンク部材24L,24Rの延在方向へ変位可能にしたから、
変速リンク部材24L,24Rが前後連結リンク中央箇所のトラニオン軸線方向抗力をそれぞれ同じにするよう動作する時のこじりを無くして前記の作用効果を一層確実なものにすることができる。
【0055】
また本実施の形態においては、上記の連結機構20における両変速リンク部材24L,24Rの枢支点をピン32L,32Rにより固定とし、両変速リンク部材24L,24Rの回動可能に連節した先端(球面継手26,25)同士をアクチュエータ28により相互に回動方向へ接近または離反させることによりパワーローラの変速用のオフセットを生じさせるよう構成したから、
アクチュエータ28としてモータのような電動機を用い、これと、その回転駆動により上記接近または離反を行うネジ構造との組み合わせにより変速を行わせることができ、変速制御機構の設計の自由度が飛躍的に高くなる。
またアクチュエータ28を油圧式に構成するにしても、位置制御のみでよく力の制御が不要であるから、制御油圧を低く設定することが可能となってポンプ駆動負荷の低減により伝動効率を高めることができる。
【0056】
図5は本発明の他の実施の形態を示し、本実施の形態においては連結機構20をほぼ前記したと同様に構成するが、変速リンク部材24L,24Rの相互に接近する方向に延在する先端同士をトラニオン軸線Oの方向に位置ずれさせず、トラニオン軸線Oの方向の同じ位置において重合させ、この重合部において変速リンク部材24L,24Rの先端同士を入出力ディスク回転軸線Oの方向へ延在するピン41で回動可能に連節する。
なおピン41は、変速リンク部材24Lに対し固設するが、変速リンク部材24Rに対しては長孔42により変速リンク部材24Rの長手方向へ遊びを持たせて相対変位可能とし、これにより、前記した実施の形態におけると同様にこじりの問題を生じなくする。
【0057】
そして変速リンク部材24Rの枢支ピン32Rは、前記した実施の形態におけると同様に固定とするが、変速リンク部材24Lの枢支ピン32Lを、トラニオン軸線Oの方向に変位可能にして当該変位により変速制御を行い得るようになす。
これがためピン32Lは、トラニオン軸線Oの方向にストローク可能な油圧ピストン43のピストンロッド44に設け、ピストン43の位置をその両側におけるシリンダ室45,46への油圧により制御する。
【0058】
本実施の形態においても、前記した実施の形態におけると同様の原理により、4個の全てのパワーローラに作用するトラニオン軸線方向の抗力を常に均等にすることができる。
変速に当たっても、図5に示す中立(非変速)状態から、ピストン43を介し変速リンク部材24Lの枢支ピン32Lを図の上方または下方へ変位させることで、4個のパワーローラが前記したと同様なオフセットを生じて所定の変速を行わせることができる。
【0059】
ところで、4個のパワーローラに作用するトラニオン軸線方向の抗力が変速リンク部材24L,24Rおよび前後連結リンク15L,15Rを介して全て同じになるような構成のため、トラニオンが4個であってもトラニオンのストロークを司る変速用のアクチュエータが1個の油圧ピストン43のみで足りることとなり、従来のように各トラニオンに個々にサーボピストンを設ける必要がなく、各トラニオンに個々にサーボピストンを設ける場合に生じていたレイアウトの自由度に関する問題や、トロイダル型無段変速機の大型化に関する問題を解消することができる。
【0060】
また本実施の形態においては、パワーローラの変速用のオフセットを生じさせるに際し、一方の変速リンク部材24Rの枢支ピン32Rを固定とし、他方の変速リンク部材24Lの枢支ピン32Lをトラニオン軸線方向にストロークさせることにより上記変速用のオフセットを生じさせるようにしたから、前記した実施の形態によると同様な作用効果を奏し得るほかに以下の作用効果をも達成し得る。
つまり本実施の形態では、上記他方の変速リンク部材24Lに係わる枢支ピン32Lのストローク位置を、固定部に対する相対位置として位置制御することになるため、変速制御が高精度になると共に変速制御がし易くなるという別の作用効果も得られる。
【0061】
図6〜図8は本発明の更に他の実施の形態を示し、本実施の形態においては連結機構20を以下の構成とする。
つまり、左右両側における前後連結リンク15L,15Rの両端間中央箇所に設けたピン2にそれぞれ回動自在に支持して、変速リンク部材51L,51Rを図6および図7に示すごとくに設ける。
これら変速リンク部材51L,51Rは図8に示すように、前後連結リンク15L,15Rの長手方向、詳しくはエンジン3に向かう前方へ延在させ、これら変速リンク部材51L,51Rの延長端51La,51Raを左右方向に延在する筒状に形成して、変速機の前端下方に横架した共通な固定軸52上に揺動可能に支持する。
【0062】
両変速リンク部材51L,51Rの延長端51La,51Raを相互に接近する方向に延長して突き合わせ、当該延長端51La,51Raの相互突き合わせ部間に、延長端51La,51Ra(従って、変速リンク部材51L,51R)が相互に上記共通な固定軸52の周りで一体的に回動するよう連結する回動連結手段53を設け、以上により連結機構20を構成する。
【0063】
回動連結手段53は、図7および図8に示すごとく変速リンク部材51L,51Rの延長端51La,51Ra、詳しくはこれら延長端51La,51Raの相互突き合わせ部にそれぞれ設けたウォームホイール54L,54Rと、
これらウォームホイール54L,54Rにそれぞれ噛合した互いに平行なウォーム55L,55Rを軸線方向相対変位不能に支承する共通なウォーム支持箱56とで構成し、
ウォーム55L,55Rの軸を共通な固定ブラケット57に摺動自在に貫入させることにより、ウォーム支持箱56をウォーム55L,55Rと共にウォーム軸線方向へ制限範囲内で変位可能に支持する。
【0064】
以上の構成においては、図1につき前述したと同様にして前後連結リンク15Rの両端間中央箇所におけるピン21に、例えば図6に矢印で示すごとく上向き力2Fが作用した場合につき説明すると、変速リンク部材51Rに固定軸52を中心とする反時計方向回動力が作用し、この回動力が図7および図8に示すウォームホイール54R、ウォーム55R、ウォーム支持箱56、ウォーム55L、ウォームホイール54Lを順次経て変速リンク部材51Lにそのまま達し、前後連結リンク15Lの両端間中央箇所におけるピン21にも、前後連結リンク15Rの両端間中央箇所におけるピン21と同じ上向き力2Fを作用させる。
よって、パワーローラ6FR,6FL,6RR,6RLに作用するトラニオン軸線方向の抗力が常に均等になり、パワーローラ6FR,6FL,6RR,6RLは全て同じトルクを伝達することができて前記各実施の形態によると同様の作用効果を達成し得る。
【0065】
本実施の形態において変速制御を行い得るようにするためには、ウォーム55L,55Rが相互に逆向きに等速で回転するようウォーム55L,55R間を歯車組58により駆動結合し、一方のウォーム55Rを回転する変速用のアクチュエータ59を設ける。
かかる構成において変速を行わせるに当たっては、図示の中立(非変速)状態から、アクチュエータ59によりウォーム55Rを或る方向へ回転駆動する。この時ウォーム55Lは歯車組58を介してウォーム55Rと反対方向に回転され、ウォーム55R,55Rはそれぞれ変速リンク部材51L,51Rを固定軸52の周りで相互に逆方向へ回動する。
これにより前後連結リンク15L,15Rの両端間中央箇所におけるピン21が相互逆向きに上下動され、4個のパワーローラが前記したと同様なオフセットを生じて所定の変速を行わせることができる。
【0066】
かかる本実施の形態においてもアクチュエータ59は、上記一方のウォーム55Rを回転させるモータのような電動機とすることができ、変速制御機構の設計の自由度が飛躍的に高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態になる変速制御機構を具えたトロイダル型無段変速機を示す要部縦断側面図である。
【図2】同トロイダル型無段変速機を図1のII-II線上で断面とし矢の方向に見て示す縦断正面図である。
【図3】同変速制御機構における前後連結リンクのトラニオンに対する取り付け構造を示し、
(a)は、その縦断側面図、
(b)は、その底面図である。
【図4】同変速制御機構における変速リンク部材の先端間連節構造を示し、
(a)は、その縦断側面、
(b)は、その底面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態になる変速制御機構を具えたトロイダル型無段変速機を示す、図2と同様な縦断正面図である。
【図6】本発明の更に他の実施の形態になる変速制御機構を具えたトロイダル型無段変速機を示す図1と同様な縦断側面図である。
【図7】同トロイダル型無段変速機を図2と同様な断面として示す縦断正面図である。
【図8】同トロイダル型無段変速機の要部底面図である。
【符号の説明】
1 フロント側トロイダル伝動ユニット
2 リヤ側トロイダル伝動ユニット
3 エンジン
4F,4R 入力ディスク
5F,5R 出力ディスク
6FL,6FR,6RL,6RR パワーローラ
7 出力歯車
8 カウンターギヤ
9 カウンターシャフト
10FL,10FR,10RL,10RR トラニオン
11 板状アッパーリンク
12 板状ロアリンク
15L,15R 前後連結リンク
16 円盤
17,18 対向フランジ
19 転がり素子
20 連結機構
22L,22R 前後連結リンク支持部材
24L,24R 変速リンク部材
25,26 球面継手
27 コネクティングロッド
28 アクチュエータ(変速制御モータ)
32L,32R 枢支ピン
33L,33R 固定ブロック
41 連節ピン
42 長孔
43 油圧ピストン(アクチュエータ)
44 ピストンロッド
51L,51R 変速リンク部材
51La,51Ra 変速リンク部材延長端
52 固定軸
53 回動連結手段
54L,54R ウォームホイール
55L,55R ウォーム
56 ウォーム支持箱
57 固定ブラケット
58 歯車組
59 アクチュエータ

Claims (9)

  1. 同軸対向配置の入出力ディスク間に、一対の相互に対向するパワーローラを挟圧してなるトロイダル伝動ユニットを一対1組として具え、
    これらトロイダル伝動ユニットを、入力ディスク同士、または出力ディスク同士が背中合わせになるよう同軸に配置し、
    パワーローラを個々に回転自在に支持したトラニオンをトラニオン軸線方向へ同位相でストロークさせることによりパワーローラを、それぞれの回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差する中立位置からオフセットさせる時、パワーローラがそれぞれのトラニオンと共にトラニオン軸線の周りに傾転される変速作用が生起されるようにしたトロイダル型無段変速機において、
    前記入出力ディスクの回転軸線に関し同じ側における前後トラニオンの隣り合う一端部間にそれぞれ前後連結リンクを架設し、これら前後連結リンクをそれぞれ対応するトラニオンの前記一端部に、トラニオン軸線周りに回転自在に、且つ、トラニオン軸線方向へ変位不能に係着して揺動自在に連結し、
    これら前後連結リンクのトラニオン連結部間における中央箇所同士を、これら中央箇所のうち一方の前後連結リンクに係わる中央箇所に作用するトラニオン軸線方向の力が、他方の前後連結リンクに係わる中央箇所に伝達されて、該他方の前後連結リンクに係わる中央箇所にも、前記一方の前後連結リンクに係わる中央箇所に作用するトラニオン軸線方向力と同じ向きで、且つ、同じ大きさのトラニオン軸線方向力が作用するようになす連結機構で連結したことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。
  2. 請求項1に記載の変速制御機構において、前後連結リンクのトラニオンに対する揺動自在部を前後連結リンクの長手方向へ変位可能にしたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。
  3. 請求項1または2に記載の変速制御機構において、
    前後連結リンクの前記中央箇所にそれぞれ変速リンク部材を連結し、
    これら変速リンク部材を相互に接近する方向に延在させて、これら変速リンク部材の先端同士を前記両中央箇所間で相互に連節し、
    各変速リンク部材を該連節部と、対応する前後連結リンクの中央箇所との間で枢支して前記連結機構を構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。
  4. 請求項3に記載の変速制御機構において、
    前記各変速リンク部材の先端間連節部を変速リンク部材の前記枢支点周りにおける回動時も該連節部がこじられることのないよう変速リンク部材の延在方向へ変位可能にしたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。
  5. 請求項3または4に記載の変速制御機構において、両変速リンク部材の前記枢支点を固定とし、両変速リンク部材の回動可能に連節した先端同士を相互に回動方向へ接近または離反させることにより前記オフセットを生じさせるアクチュエータを設けたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。
  6. 請求項3または4に記載の変速制御機構において、一方の変速リンク部材の前記枢支点を固定とし、他方の変速リンク部材の前記枢支点をトラニオン軸線方向にストロークさせることにより前記オフセットを生じさせるアクチュエータを設けたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。
  7. 請求項1または2に記載の変速制御機構において、
    前後連結リンクの前記中央箇所にそれぞれ変速リンク部材を連結し、
    これら変速リンク部材を前後連結リンクの長手方向へ延在させて、これら変速リンク部材の延長端を共通な固定軸線上に揺動可能に支持し、
    両変速リンク部材の延長端を相互に前記共通な固定軸線周りで一体的に回動するよう連結する回動連結手段を設けて前記連結機構を構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。
  8. 請求項7に記載の変速制御機構において、
    前記回動連結手段を、前記共通な固定軸線上における両変速リンク部材の延長端にそれぞれ設けたウォームホイールと、
    これらウォームホイールにそれぞれ噛合したウォームを軸線方向相対変位不能に支承する共通なウォーム支持箱とで構成し、
    該ウォーム支持箱をウォームの軸線方向へ変位可能に支持して、前記両変速リンク部材の延長端を相互に前記共通な固定軸線周りで一体的に回動させ得るようにしたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。
  9. 請求項8に記載の変速制御機構において、前記両ウォームを相互に逆方向へ回転するよう駆動連結し、一方のウォームを回転することにより前記オフセットを生じさせるアクチュエータを設けたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。
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