JP3901808B2 - キャリアブースト補正回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、異なる分光特性を有する色フィルタを任意の配列で画素毎に配置されたカラー固体撮像素子から出力されるアナログ映像信号を、デジタル映像信号に変換した後に必要なカメラ信号処理を行う場合の、キャリアブースト補正回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
CCD(電荷結合素子)などを用いた固体撮像素子が開発され、これを用いたビデオカメラや電子スチルカメラが盛んに商品化されている。このCCDを用いたカメラの主流は単板式である。これは、色フィルタを任意の配列で画素毎に配置した単板のカラーCCDを用いて、そのCCDの出力信号を基に、色分離・輝度/輪郭処理を行う方式である。
【0003】
補色色差線順次方式のCCDでは、8画素(4色×2種配列の色フィルタ)が基本ユニットとなっており、有効画素数またはTV放送方式に関わらず、この基本ユニットが繰り返し配置されている。このCCDでは、フィールド毎に異なる組合せで垂直方向に2画素の信号を加算した映像信号が読み出される。
【0004】
読み出される映像信号は、図8に示すように、画素単位かつライン毎にその信号成分が異なり、第1の水平ラインではYe+Mg(2R+G+B),Cy+G(2G+B)成分の繰り返し信号となり、第2の水平ラインではYe+G(R+2G),Cy+Mg(R+G+2B)成分の繰り返し信号となる。この繰り返しに伴い発生する交流振幅成分を、CCDから出力される色キャリア(変調色信号)成分と称する。色キャリア成分は、CCDの受光部上に配置された色フィルタを通過した光がフォトダイオードにより光電変換され、蓄積された電荷が垂直2画素加算された後に読み出されて発生するので、被写体照度に応じてその振幅が拡大するばかりか、照明の色温度と被写体の彩度によっても、その極性と振幅が変化する。
【0005】
図9に示した補色色差線順次方式の基本的なカメラシステムにおいても、2画素×2ラインの映像信号から色分離して、色を再生している。また、補色色差線順次方式では、水平方向に隣接する任意の2画素の信号和は、常に近似輝度成分(2R+3G+2B)となり輝度信号として利用できる。
【0006】
一方、CCDを用いたカメラ信号処理では、小形化と低消費電力化、多機能化の観点から大幅にデジタル化されている。特に、低価格化を重視する民生用カメラの分野では、「単板式&デジタル信号処理」が標準となり、商品開発が進んでいる。
【0007】
一般的に民生用として利用できるA/D変換器は、その変換(サンプリング)速度によって量子化精度が大きく異なり、ビデオカメラを含む映像機器の分野では8〜10ビット精度のものが主流となっている。10ビット精度以上の高速A/D変換器も存在するが、規模とコストの点から民生用に適しているとは言えない。ビデオカメラ信号処理回路においては、ダイナミックレンジ、カメラ特有のガンマ補正処理等の理由から8〜10ビット精度のA/D変換器では、アナログ信号処理に比べて量子化精度が不足すると言われている。特に、単板式のデジタル信号処理カラーカメラの場合、輝度成分の量子化精度に比べ、色キャリア成分の量子化精度が不足している場合が多い。CCDから出力される映像信号は、輝度成分に対して振幅の小さな色キャリア成分が重畳されている信号と同等なためである。色キャリア成分の量子化精度が不足すると色の再生能力が低下し、信号処理回路によっては偽信号(ノイズ)を発生する。
【0008】
図9に示したとおり、CCDを用いたビデオカメラの場合、CCD101の出力信号は、ノイズ低減を行う相関二重サンプリング(CDS)と呼ばれる、S/H(サンプル・ホールド)回路と差動増幅器からなるCDS回路102を通して、不要ノイズを除去した後に信号処理する方式が一般的である。
【0009】
デジタル信号処理カメラの場合も、CDS回路102でノイズ低減を行った後に、A/D変換して信号処理する場合が多い。これは、信号処理回路において不要なリセットノイズ成分をA/D変換する必要もなく、かつノイズ成分をA/D変換器に入力する必要もないためと、アナログ回路でノイズ低減し、AGCアンプ103で増幅した後に、A/D変換した方が量子化精度が確保できS/Nが良いとともに、変換速度も必要最小限にできるためである。反面、CCD101〜CDS回路102〜A/D変換器104の間のアナログ信号処理系での周波数特性は、色キャリア成分の信号振幅に影響する。
【0010】
カラーCCDには、色フィルタの分光バラツキによる色キャリア成分の振幅バラツキが存在する。色キャリア成分は、A/D変換器104に与えるクロック周波数の1/2の周波数成分なので、A/D変換器104の性能差によっても信号振幅が変動する。図10、図11に示すように、色キャリア成分の信号振幅の減衰は、量子化精度の悪化だけでなく、固定係数の色分離回路においては、色が薄くなる問題を生じる。
【0011】
A/D変換器には必ず飽和点が存在し、その飽和点を越えて入力されたアナログ信号は飽和点にクリップされる。図11、図12に示すように、色キャリア成分を含むアナログ映像信号をA/D変換すれば、高輝度被写体を撮影したときに一部の色キャリア成分から飽和点にクリップされ、ライン間の輝度成分(2R+3G+2B)にズレを生じて画面上に横スジが発生する。
【0012】
以上の説明からも判るように、単板式デジタル信号処理カラーカメラにおける、ダイナミックレンジと色キャリア成分の量子化精度とは相反する関係にあり、この問題を解決するために様々な方策が実施されている。図13、図14を用いてこの方策の代表的な2例について説明する。
【0013】
図13は、A/D変換前の色キャリア成分を含むアナログ映像信号において、色キャリア成分のみを増幅してA/D変換する手法である。CDS回路102から出力される色キャリア成分を含む映像信号を、AGC回路103を介して信号aを得、これをアナログBPF104に入力して色キャリア成分を抽出し、増幅器105で増幅した後に、クリップ回路106を用いて過大振幅をクリップする。クリップ回路106より得られた補正用色キャリア信号bとCDS回路102の出力信号を、遅延回路107を用いて遅延させた信号とを、加算器108を用いて加算し、色キャリア成分の振幅を拡大した信号cとした後に、A/D変換器109でA/D変換することで、色キャリア成分の量子化精度を向上させている。
【0014】
この方法により、色キャリア成分の量子化精度は向上するが、逆にA/D変換器109における実用ダイナミックレンジが低下して高輝度被写体を撮影したときに横スジが発生しやすくなる問題が残る。アナログBPF104には必ず遅延時間が存在し、CDS回路102の出力信号と抽出した色キャリア成分との時間差は、A/D変換前にキャンセルする必要もある。
【0015】
ダイナミックレンジと色キャリア成分の量子化精度とは相反する関係にある。
単純に色キャリア成分のみを増幅してA/D変換した場合は、色キャリア成分の量子化精度は向上するが、ダイナミックレンジが低下して高輝度被写体の撮影時に横スジが発生する。
【0016】
図14は、A/D変換前の色キャリア成分を含むアナログ映像信号において、非線形処理を施し高輝度部分を振幅圧縮してA/D変換する手法である。CDS回路102から出力される色キャリア成分を含む映像信号aを、非線形特性のアナログ演算を行い高輝度信号の振幅を圧縮するプリガンマ補正回路141に入力し、得られる高輝度部分の映像信号dに示すように、色キャリア成分も含めて振幅圧縮してA/D変換することで、見掛け上の色キャリア成分の量子化精度を向上させ、かつ高輝度被写体を撮影した場合にも横スジの発生を抑えている。
【0017】
しかしながら、この方法では色キャリア成分の振幅圧縮と輝度成分の振幅圧縮に誤差が生じ、厳密には色を再生できない。そこで、CDS回路102の出力信号から輝度成分を抽出し、その輝度レベルに応じて振幅圧縮を行う場合が多い。このときアナログ非線形処理回路の周波数特性にも留意する必要がある。この方式では、アナログ非線形処理回路において減衰した色キャリア成分は復元できないためである。高輝度部分の色キャリア成分を含む映像信号を振幅圧縮してA/D変換した場合でも、CCD〜A/D変換器までのアナログ信号処理系で減衰した色キャリア成分を復元できず、かつCCD〜A/D変換器までのバラツキを補正できない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のキャリアブースト補正回路の、まず色キャリア成分のみを増幅してA/D変換する方式では、色キャリア成分の量子化精度は向上するがダイナミックレンジが低下して高輝度被写体の撮影時に横スジが発生する。また、高輝度部分の色キャリア成分を含む映像信号を振幅圧縮してA/D変換する方式では、CCD〜A/D変換器までのアナログ信号処理系で減衰した色キャリア成分を復元できず、これら間でのバラツキを補正できない。
【0019】
この発明では、横スジやバラツキ補正のないデジタル信号処理カラーカメラにおけるキャリアブースト補正回路を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、この発明のキャリアブースト補正回路では、異なる分光特性を有する複数種類の色フィルタを、任意の配列で画素毎の受光部上に配置した固体撮像素子を用いたカラー固体撮像装置のキャリアブースト回路において、前記固体撮像素子から読み出された色キャリア成分を含むアナログ映像信号を色キャリア成分を含むデジタル映像信号にA/D変換する手段と、前記デジタル映像信号から色キャリア成分を抽出する手段と、前記デジタル映像信号から輝度成分を抽出してその輝度レベルまたは前記色キャリア成分の信号振幅に応じて、低輝度または高輝度被写体の撮影時と判断される場合には小振幅となり、中輝度被写体の撮影時には大振幅となるような、連続した補正用色キャリア信号を非線形処理回路で生成する手段と、前記デジタル映像信号に、前記補正用色キャリア信号を加えて信号処理用の信号を取り出す手段とからなることを特徴とする。
【0021】
上記した手段により、固体撮像素子からA/D変換手段までのアナログ信号処理回路を簡単な構成とするとともに、中輝度部分での色キャリア成分の振幅が拡大され、かつ量子化精度も確保されているので、以降の信号処理回路で良好な色を再生することが可能となる。逆に、高輝度部分での色キャリア成分の振幅は引き算されて縮小する。高輝度部分では、色を再生する必要がなく、画面上に発生する横スジを低減させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施の形態について説明するための構成図である。図1において、カラーCCD11から読み出されたアナログ映像信号は、CDS回路12によりノイズ低減され、カメラ信号処理に不要なリセットノイズ成分が除去され、カメラ感度を得るためのAGC回路13を介して色キャリア成分を含むアナログ映像信号としてA/D変換器14に入力する。A/D変換され出力される色キャリア成分を含むデジタル映像信号は、加算器15の一方と色キャリア成分のみを抽出するためのBPF16に入力する。
【0023】
ここで、BPF16は3タップ係数(−1,2,−1)を有するものを用いている。BPF16を介して抽出された色キャリア成分は、ノイズ成分を主とする低振幅信号のみを振幅圧縮するためのクリスプニング(NC)回路17に入力する。ここでノイズ成分とは、偽キャリア成分やノイズ成分や量子化誤差成分であり、少なくとも色キャリア成分にはこれらの1つの成分が含まれている。クリスプニング回路17では、ノイズ成分の少ない色キャリア成分が生成できる。
【0024】
また、A/D変換されたデジタル映像信号は、輝度成分のみを抽出するための3タップ係数(1,2,1)を有するLPF18に入力する。LPF18を介して抽出された輝度成分は、その輝度信号レベルに対応した増幅係数を発生させる、片サイン波状のROMテーブルで構成された非線形処理回路19に入力する。
【0025】
クリスプニング回路17より出力されるノイズ成分が圧縮された色キャリア成分を有する信号と、非線形処理回路19より出力される輝度信号レベルに応じた増幅係数とを乗算器20に入力してここで乗算を行い、その結果を補正用の色キャリア信号として加算器15の他方に入力する。
【0026】
たとえば、ある輝度信号レベルのときに非線形処理回路19の増幅係数が最大となるが、それ以上の輝度信号レベルでは逆に増幅係数が小さくなり、A/D変換後の色キャリア成分の振幅が拡大しても、補正用色キャリア信号の振幅は縮小する。増幅係数がゼロになれば、補正用の色キャリア信号の振幅もゼロになる。更に、増幅係数が負になれば、補正用の色キャリア信号の極性が反転する。加算器15では、A/D変換されたデジタル映像信号と補正用の色キャリア信号と加算(減算)してキャリアブースト補正を行い、出力端子21に出力する。
【0027】
出力端子21より、補正用の色キャリア成分を含むデジタル映像信号が以降のカメラの信号処理(色分離)に用いられる。補正用の色キャリア成分を含むデジタル映像信号は、中輝度部分での色キャリア成分の振幅が拡大され、かつ量子化精度も確保されているので、以降の信号処理回路で良好な色を再生することが可能となる。逆に、高輝度部分での色キャリア成分の振幅は引き算されて縮小する。高輝度部分では、色を再生する必要がなく、画面上に発生する横スジを低減させることができる。
【0028】
なお、A/D変換器14と加算器15との間には、BPF16、LPF18との遅延合わせのために遅延回路が必要ではあるが、実際のデジタル回路では、フィルタの遅延素子と共用できるため、特別な回路を構成する必要はないので、図面上では省略する。
【0029】
この実施の形態では、CCDからA/D変換器までのアナログ信号処理回路を簡単な構成とし、中輝度部分では色キャリア成分の振幅を拡大させて、量子化精度が確保できるので、以降の信号処理回路で良好な色を再生することが可能となる。逆に、高輝度部分での色キャリア成分の振幅は、引き算されて縮小し、色を再生する必要がないことから、画面上に発生する横スジを低減させることができる。
【0030】
図2は、この発明の第2の実施の形態について説明するための回路構成図である。この実施の形態は、クリスプニング回路と非線形処理回路を直列的に接続した構成部分が図1の実施の形態と異なり、同一の機能部分には同一の符号を付して説明する。
【0031】
図2において、色キャリア成分を含むアナログ映像信号を、A/D変換器14に入力する。このA/D変換器14より出力される色キャリア成分を含むデジタル映像信号は、色キャリア成分のみを抽出するためのBPF16に入力する。BPF16を介して抽出された色キャリア成分は、低振幅信号のみを振幅圧縮するためのクリスプニング回路17に入力する。クリスプニング回路17において、偽信号成分が圧縮された色キャリア成分は、乗算器20で任意の係数で乗算を行い振幅調整する。振幅調整された色キャリア成分は、その振幅に対応した補正用の色キャリア信号を発生させるサイン波状のROMテーブルで構成された非線形処理回路191に入力する。
【0032】
たとえば、色キャリア成分がある振幅のときに、補正用の色キャリア信号の振幅も最大となるが、色キャリア成分がそれ以上の振幅になったときは、補正用の色キャリア信号の振幅は逆に縮小する。更に、補正用の色キャリア信号は、その信号振幅がゼロになる場合、その信号振幅が反転する場合もあり得る。色キャリア成分と輝度成分は比例する関係にあるので、色キャリア成分のみを使用して補正用の色キャリア信号を発生させることが可能となる。
【0033】
A/D変換されたデジタル映像信号は、補正用色キャリア信号と加算するための加算器15に入力される。この加算器15よりキャリアブースト補正が行われた出力を出力端子21に出力する。出力端子21以降では、補正用の色キャリア成分を含むデジタル映像信号が以降のカメラ信号処理に使われる。
【0034】
この実施の形態では、補正用色キャリア信号は、BPFを用いて抽出した色キャリア成分のみを基に生成している。このため、輝度レベルに関係なく色キャリア成分の振幅を制限できる。反面、小振幅の色キャリア成分の補正には有効ではないものの、実際のビデオカメラにおいては、輝度成分と色キャリア成分とはそのレベルが比例しており、高輝度(大振幅)時の色キャリア成分に対しては色キャリア信号の振幅を減衰させるという同効果を得ることができる。
【0035】
上記した第1および第2の実施の形態では種々の変形が考えられる。たとえば図1の乗算器20と加算器15との間と図2の非線形処理回路191と加算器15との間にそれぞれ乗算器を介挿し、この乗算器に任意の係数を入力可能にする。この場合、カメラ毎に異なるバラツキの補正が可能となる。
【0036】
また、図1と図2のそれぞれの実施の形態の加算器15の出力に、A/D変換器14の飽和点レベルよりも低い任意の飽和レベルを有するクリップ回路を追加する。この場合、高輝度被写体の撮影時に画面上に発生する横ズシを低減させることが可能となる。
【0037】
次に、図3に示す構成図を用いてこの発明の第3の実施の形態について説明する。この実施の形態は、A/D変換器14の出力とBPF16とLPF18のそれぞれの入力との間にLPF31を配置した構成部分が図1の実施の形態と異なる。
【0038】
すなわち、LPF31により予めA/D変換されたデジタル映像信号に含まれるノイズ成分を除去した上で、BPF16とLPF18にそれぞれ入力する構成としたため、BPF16に入力される色キャリア成分の量子化精度の向上が図れる。これにより、出力端子21以降の信号処理において、良好な色再生を実現できる。
【0039】
図3の実施の形態においては、LPF31によりデジタル映像信号に含まれるノイズ成分を除去した上で、BPF16に入力している。このため、BPF16の出力にノイズ成分がないか、あっても極めて少ない場合は、クリスプニング回路17を削除し、BPF16の出力を乗算器20に印加してもよい。
【0040】
このことは、図2の実施の形態において、BPF16の前段にノイズ除去を行うためのLPFを配置し、結果BPF16の出力からの出力にノイズ成分がないか、あっても極めて少ない場合は、図2のクリスプニング回路17を削除することができる。
【0041】
図4は、この発明の第4の実施の形態について説明するための構成図である。
この実施の形態は、A/D変換器14の出力とBPF16とLPF18のそれぞれの入力との間に、1H(1水平期間)遅延線41,42、加算器43、スイッチ44からなる、2H後の水平信号とを比較し、その結果を補正用色キャリア信号とし、A/D変換されたデジタル映像信号とを加算器15して、キャリアブースト補正を行う。
【0042】
この場合、図8に示すように、CCDからの出力が2H毎に同画素配列の色キャリア成分が出力されるようになっている。このため、現在の水平ラインと2H後の水平ラインとの比較した信号に基づいて補正用色キャリア信号を生成していることら、より確実なノイズ除去の実現が図れ、より色キャリア成分の量子化精度を向上させている。
【0043】
この実施の形態では、1H遅延線41,42を用いて2H後の水平信号とを比較したが、1H遅延線41,42を1V(1垂直帰線期間)遅延線としても同様の効果を奏する。
【0044】
図5は、図1の実施の形態およびその変形と図3の実施の形態とを組み合わせた構成を示したものである。すなわち、図1の構成に、A/D変換器14の出力とBPF16およびLPF18の入力との間にLPF31を挿入した部分と、乗算器20と加算器15の間に任意の係数を入力した乗算器を挿入した部分と加算器15と出力端子21の間にクリップ回路を挿入した部分を組み合わせものである。
【0045】
このように、組み合わされた構成によれば、カメラ毎に存在するバラツキを補正し、中輝度被写体での色付きを改善でき、色S/Nを向上させて良好な色を再生できる。さらに、高輝度被写体において発生する横スジを低減することが、同時に実現可能となる。ライン相関LPFまたは画面相関LPFを用いていないので、色の偽信号に対する抑圧効果は少ないが、メモリを必要としないので、小規模ながら効果の大きなキャリアブースト補正回路を実現できる。
【0046】
図6は、この発明の第5の実施の形態について説明するための構成図である。
この実施の形態において、図1と同一の構成部分には同符号を付して説明する。
この実施の形態は、A/D変換器14から加算器15に直接入力していたラインを削除し、LPF18の出力を非線形処理回路19に入力するとともに、加算器15に入力した構成部分が図1と異なる。
【0047】
A/D変換器14の出力である輝度成分と色キャリア成分との複合デジタル映像信号から、BPF16を用いて色キャリア成分を、LPF18を用いて輝度成分をそれぞれ分離抽出する。抽出された輝度成分および色キャリア成分に基づき補正用色キャリア信号を発生させる。
【0048】
乗算器20の出力である補正用色キャリア信号にはA/D変換器14の出力に含まれる色キャリア成分が一部存在し、以降の信号処理において、色を再現するために必要な情報も存在している。そこで、補正用色キャリア信号を加算する加算器15の出力を入力として、LPF18より出力される輝度成分を用いると、補正用色キャリア信号に色キャリア成分が含まれているので加算器15の出力からは色信号処理のための輝度成分と色キャリア成分を得ることができる。
【0049】
この実施の形態では、図1の実施の形態の効果に加え、LPF18より出力からは輝度成分のみを加算器15に入力し、加算器15では補正された色キャリア成分とを加算している。加算器15の出力の色キャリア成分には補正されもののみが出力される分、補正効果の向上が図れる。
【0050】
図7は、この発明の第6の実施の形態について説明するための構成図である。
この実施の形態において、図2の実施の形態と同一の構成部分には同一の符号を付して説明する。この実施の形態も図6と同様に、A/D変換器14から加算器15に入力していたラインを削除し、LPF18の出力を非線形処理回路191に入力するとともに、加算器15に入力した部分の構成が図2と異なる。
【0051】
A/D変換器14の出力である輝度成分と色キャリア成分との複合デジタル映像信号から、BPF16を用いて色キャリア成分を、LPF18を用いて輝度成分をそれぞれ分離抽出する。抽出された輝度成分および色キャリア成分に基づき補正用キャリア信号を発生させる。
【0052】
非線形処理回路191の出力である補正用キャリア信号にはA/D変換器14の出力に含まれる色キャリア成分が一部存在し、以降の信号処理において、色を再現するために必要な情報も存在している。そこで、補正用色キャリア信号を加算する加算器15の出力を入力として、LPF18より出力される輝度成分を用いることも構成上可能となる。
【0053】
この実施の形態では、図2の実施の形態の効果に加え、LPF18より出力からは輝度成分のみを加算器15に入力し、加算器15では補正された色キャリア成分とを加算している。加算器15の出力の色キャリア成分には補正されもののみが出力される分、補正効果の向上が図れる。
【0054】
図7において、A/D変換器14の出力とBPF16およびLPF18のそれぞれの入力との間にLPFを配置してもよい。この場合、A/D変換器14の後段のLPFにより、予めA/D変換されたデジタル映像信号に含まれるノイズ成分を除去した上で、BPF16とLPF18にそれぞれ入力する構成としたため、BPF16に入力される色キャリア成分の量子化精度の向上を図ることができる。
【0055】
また、非線形処理回路191と加算器15との間に乗算器を介挿し、この乗算器に任意の係数を入力可能にすることで、カメラ毎に異なるバラツキの補正が可能となる。
【0056】
【発明の効果】
この発明によれば、固体撮像素子〜A/D変換器の間のアナログ信号処理回路を簡単な構成で実現でき、かつカメラ毎に存在するバラツキを補正し、中輝度被写体での色付きを改善でき、色S/Nを向上させて良好な色を再生でき、色の偽信号を抑圧でき、高輝度被写体において発生する横スジを低減できる。低コスト・高画質な単板式デジタル信号処理ビデオカメラを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態について説明するための構成図。
【図2】この発明の第2の実施の形態について説明するための構成図。
【図3】この発明の第3の実施の形態について説明するための構成図。
【図4】この発明の第4の実施の形態について説明するための構成図。
【図5】図1の実施の形態およびその変形と図3の実施の形態とを組み合わせた構成図。
【図6】この発明の第5の実施の形態について説明するための構成図。
【図7】この発明の第6の実施の形態について説明するための構成図。
【図8】一般の補色色差線順次方式の固体撮像素子から読み出される映像信号について説明するための説明図。
【図9】CCDを用いた従来のビデオカメラの基本的な構成例について説明するためのブロック図。
【図10】カラー固体撮像素子の出力信号に含まれる色キャリア成分について説明するための説明図。
【図11】デジタル信号処理カメラにおけるA/D変換器の飽和点とDレンジの関係について説明するための説明図。
【図12】A/D変換後の色キャリア成分について説明するための説明図。
【図13】アナログで色キャリア成分を増幅してA/D変換する従来例について説明するためのブロック図。
【図14】アナログで高輝度部分を振幅圧縮してA/D変換する従来例について説明するためのブロック図。
【符号の説明】
11…CCD、12…CDS回路、13…AGC回路、14…A/D変換器、15,43…加算器、16…BPF、17…クリスプニング回路、18,31…LPF、19,191…非線形処理回路、20…乗算器、21…出力端子、41,42…1H遅延線、44…スイッチ。
Claims (10)
- 異なる分光特性を有する複数種類の色フィルタを、任意の配列で画素毎の受光部上に配置した固体撮像素子を用いたカラー固体撮像装置のキャリアブースト回路において、
前記固体撮像素子から読み出された色キャリア成分を含むアナログ映像信号を色キャリア成分を含むデジタル映像信号にA/D変換する手段と、前記デジタル映像信号から色キャリア成分を抽出する手段と、
前記デジタル映像信号から輝度成分を抽出してその輝度レベルまたは前記色キャリア成分の信号振幅に応じて、低輝度または高輝度被写体の撮影時と判断される場合には小振幅となり、中輝度被写体の撮影時には大振幅となるような、連続した補正用色キャリア信号を非線形処理回路で生成する手段と、
前記デジタル映像信号に、前記補正用色キャリア信号を加えて信号処理用の信号を取り出す手段とからなること
を特徴とするキャリアブースト補正回路。 - 固体撮像素子から読み出された色キャリア成分を含むアナログ映像信号を、色キャリア成分を含むデジタル映像信号にA/D変換するA/D変換器と、前記A/D変換後の色キャリア成分を含むデジタル映像信号から色キャリア成分のみを抽出するBPFと、
前記BPFの出力信号に含まれるノイズ成分を振幅圧縮するためのクリスプニング回路と、前記A/D変換後の色キャリア成分を含むデジタル映像信号から輝度成分を抽出するLPFと、
前記LPFの出力輝度信号レベルに対応した乗算係数を発生させる非線形特性を有する処理回路と、
前記クリスプニング回路の出力信号と前記乗算係数とを乗算して補正用色キャリア信号を発生する乗算器と、
前記補正用色キャリア信号と前記A/D変換後の色キャリア成分を含むデジタル映像信号とを、少なくとも同色画素間において加算する加算器と
を具備してなることを特徴とするキャリアブースト補正回路。 - 固体撮像素子から読み出された色キャリア成分を含むアナログ映像信号を、色キャリア成分を含むデジタル映像信号にA/D変換するA/D変換器と、前記A/D変換後の色キャリア成分を含むデジタル映像信号から色キャリア成分のみを抽出するBPFと、
前記BPFの出力信号に含まれるノイズ成分の振幅を圧縮するためのクリスプニング回路と、
前記クリスプニング回路の出力信号と任意の係数とを乗算する乗算器と、
前記乗算器の乗算結果である色キャリア成分の信号振幅に対応した補正用色キャリア信号を発生させる非線形特性を有する処理回路と、
前記補正用色キャリア信号と前記A/D変換後の色キャリア成分を含むデジタル映像信号を少なくとも同色画素間において加算する加算器とを具備してなること
を特徴とするキャリアブースト補正回路。 - 補正用色キャリア信号と任意の係数とを乗算する乗算器により、補正用色キャリア信号の信号振幅を調整すること
を特徴とする請求項2または3に記載のキャリアブースト補正回路。 - 補正用色キャリア信号とA/D変換後の色キャリア成分を含むデジタル映像信号とを加算した後に、A/D変換器の飽和レベルよりも低い任意の飽和レベルを有するクリップ回路を付加する構成を特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のキャリアブースト補正回路。
- 少なくともBPFに入力する色キャリア成分を含むデジタル映像信号は、A/D変換後の色キャリア成分を含むデジタル映像信号を同色画素LPFに通した後のデジタル映像信号であること
を特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のキャリアブースト補正回路。 - 少なくともBPFに入力する色キャリア成分を含むデジタル映像信号は、少なくとも2ライン前(後もしくは前後)のデジタル映像信号、もしくは少なくとも2ライン前(後もしくは前後)のデジタル映像信号と現在のデジタル映像信号との加算平均されたデジタル映像信号であること
を特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のキャリアブースト補正回路。 - 少なくともBPFに入力する色キャリア成分を含むデジタル映像信号は、少なくとも1フィールドまたは1フレーム前のデジタル映像信号、もしくは少なくとも1フィールドまたは1フレーム前のデジタル映像信号と現在のデジタル映像信号との加算平均されたデジタル映像信号であることを
特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載のキャリアブースト補正回路。 - BPFから出力される色キャリア成分のノイズ成分をキャンセルしてクリスプニング回路を省略してなること
を特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のキャリアブースト補正回路。 - 後段の信号処理回路において必要となる色キャリア成分は、補正用色キャリア信号のみで再現できるものとし、補正用色キャリア信号を加算する加算器には、色キャリア成分を含むデジタル映像信号から輝度成分を演算発生するLPFの出力信号と補正用色キャリア信号とを加算する構成を特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載のキャリアブースト補正回路。
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