JP3900731B2 - 電源スイッチ回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池の出力電圧を負荷に供給するための電源スイッチ回路に係り、特に過負荷電流や負荷短絡から電池を保護し、装置が発熱によって発火するのを防止できるようにした電源スイッチ回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電池動作のビデオカメラや携帯端末機等の携帯電気機器は、当該機器全体の機能を動作させるための主電池と、時計、カレンダー、データ保持用等のバックアップ電池を搭載している。
【0003】
このような2電池式の携帯電気機器では、図5に示すように、主電池B1とバックアップ電池B2の各々の正極出力経路にダイオードD1,D2を挿入して、主電池B1の電圧がバックアップ電池B2のそれより低下すると、バックアップ電池B1により電力を供給するようにしている。
【0004】
また、もう少し複雑なものでは、図6に示すように、図5おけるダイオードD1,D2に代えてPMOSトランジスタMP11,MP12を接続し、主電池B1側の電圧を電圧検出部21で常時監視しておいて、その主電池B1の電圧が所定値を下回ったときそこから検出信号「H」を出力して、トランジスタMP11をオン→オフ、MP12をオフ→オンに切替えるようにしたものもある。INV11はトランジスタMP11,MP12の一方を選択するためのインバータである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図5の回路では、過剰な負荷電流が流れたりあるいは負荷が短絡したような場合に、電池が破損するおそれがあり、最悪の場合、発熱による発火を起こすおそれがある。また、図6の回路では、トランジスタMP11,MP12をカットオフ領域と飽和領域で使用しているので、負荷電流が過剰になる場合の細かい制御ができない。
【0006】
本発明の課題は、過電流が流れたり負荷が短絡した場合にも回路が保護され、また過電流に至らないけれども過剰電流が流れた場合にそれを規制できるようにした電源スイッチ回路を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の発明は、入力端子と出力端子との間に接続したスイッチ素子と、カットオフ信号入力により前記スイッチ素子をカットオフさせ非カットオフ信号入力により前記スイッチ素子を完全導通させる制御部と、前記スイッチ素子に流れる負荷電流と相似な電流を流す過電流検出部と、該過電流検出部で検出された電流が所定値を超えると動作して前記制御部をして前記スイッチ素子の内部抵抗を増大させて前記負荷電流を制限する検出信号増幅部とを具備し、前記検出信号増幅部に、前記制御部に前記カットオフ信号が入力するときオフする別のスイッチ素子を接続し、前記カットオフ信号入力時に前記検出信号増幅部を完全に非動作状態にするよう構成した。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記スイッチ素子が、第1のPMOSトランジスタで構成され、前記過電流検出部が、前記出力端子に接続した第1の抵抗と、該第1の抵抗と前記入力端子との間に接続した第2のPMOSトランジスタとを有し、該第2のPMOSトランジスタのゲートが前記第1のPMOSトランジスタのゲートに共通接続されてなり、前記検出信号増幅部が、前記出力端子に接続された第1のNMOSトランジスタと、前記入力端子に接続された第2の抵抗と、前記第1のNMOSトランジスタと前記第2の抵抗との間に接続された第4のPMOSトランジスタとを有し、前記第1のNMOSトランジスタは前記第1の抵抗に発生する電圧が所定値を超えると導通し、前記第4のPMOSトランジスタは前記カットオフ信号が「H」のときオンし「L」のときオフするようにしてなり、前記制御部が、前記入力端子と前記第1のPMOSトランジスタのゲートとの間に直列接続された第3のPMOSトランジスタおよび第3の抵抗と、前記第1のPMOSトランジスタのゲートと接地との間に直列接続された第2,第3のNMOSトランジスタと、前記第1のNMOSトランジスタと前記第4のPMOSトランジスタの共通接続点と接地との間に接続された第4のNMOSトランジスタを有し、前記第2のNMOSトランジスタおよび前記第3のPMOSトランジスタのゲートは前記第1のNMOSトランジスタと前記第4のPMOSトランジスタの共通接続点に各々接続され、前記第3のNMOSトランジスタは前記カットオフ信号が「H」のときオンし「L」のときオフし、前記第4のNMOSトランジスタは前記カットオフ信号が「H」のときオフし「L」のときオンするようにしてなるよう構成した。
【0011】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
図1は本発明の実施形態1の電源スイッチ回路の回路図である。1は電池B1又はB2が接続される入力端子2と負荷(図示せず)に接続される出力端子3との間に接続したスイッチ素子であり、PMOSトランジスタMP1から構成されている。
【0012】
4はそのスイッチ素子1に流れる電流が所定値を超えるか否かを検出する過電流検出部であり、PMOSトランジスタMP2と抵抗R1から構成されている。このトランジスタMP2は前記トランジスタMP1とカレントミラー接続関係にあり、そのトランジスタMP1に流れる負荷電流に相似な小さな電流がMP1,MP2の面積比に応じてそのトランジスタMP2に流れ、それに対応した電圧Vaが抵抗R1に発生する。
【0013】
5はその過電流検出部4の検出信号Vaを増幅する検出信号増幅部であり、NMOSトランジスタMN1と抵抗R2から構成されている。ここでは、抵抗R1に発生した電圧Vaに応じてそのトランジスタMN1の内部抵抗が減少し、ドレイン側の電圧Vbを低下させる。
【0014】
6はスイッチ素子1の動作を制御するための第1制御部であり、PMOSトランジスタMP3と抵抗R3から構成されている。ここでは、トランジスタMP3が導通するとその内部抵抗に応じて抵抗R3を介して電源電圧VinがトランジスタMP1のゲートに印加し、そのトランジスタMP1の導通状態を制御する。
【0015】
7は制御端子8に外部から入力する制御信号Vcや検出信号増幅部5の信号Vbに応じてスイッチ素子1や第1制御部6を制御する第2制御部であり、NMOSトランジスタMN2,MN3,MN4とインバータINV1から構成されている。ここでは、制御端子8が「H」(非カットオフ)のときはトランジスタMN3がオンでトランジスタMN4がオフ、「L」(カットオフ)のときはその逆に制御される。また、トランジスタMN2は検出信号増幅部5の電圧Vbに応じて内部抵抗が制御される。
【0016】
さて、通常動作時では、制御端子8の制御信号Vcが「H」(非カットオフ)になっており、トランジスタMN3がオン、MN4がオフの状態にある。
【0017】
このとき、トランジスタMP1を通って出力端子3に流れる負荷電流が正常値(所定値以下)であれば、トランジスタMP2を流れる電流もそれに対応して正常であり、抵抗R1に発生する電圧Vaは小さくなっており、トランジスタMN1はカットオフ状態で内部抵抗は高く、電圧Vbは高く(=Vin)なって、トランジスタMN2は十分導通している。また、トランジスタMP3はカットオフ状態にある。よって、トランジスタMP1はそのゲートが接地GNDに接続され、飽和領域で動作している。
【0018】
次に、負荷電流が増大し、抵抗R1に発生する電圧Vaが増大しきてトランジスタMN1のしきい値電圧(Vth)を超えると、そのトランジスタMN1の内部抵抗が減少して電圧Vbが低下する。このため、トランジスタMN2はその内部抵抗が大きくなりトランジスタMP1、MP2の内部抵抗を大きくする方向に作用する。また、電圧Vbの低下によりトランジスタMP3の内部抵抗は逆に小さくなり、これも、トランジスタMP1、MP2の内部抵抗を大きくする方向に作用する。
【0019】
以上のようにして、負荷電流が増大するとそれを減少させる方向にトランジスタMP1の内部抵抗が変化してシステム保護が図られる。このとき、トランジスタMP2も同時に制御されるため、電圧Vaも低下する方向に変化するが、この電圧VaがトランジスタMN1のしきい値電圧(Vth)より若干大きな値で落ち着くよう、抵抗R1〜R3、トランジスタMN1,MN2,MP1,MP2,MP3を設定しておく。この結果、出力電流Ioutと出力電圧Voutの関係は、図2のA点からB点に移りここにとどまる。なお、負荷が短絡したときも、同様な動作により、図2のB点に落ち着く。
【0020】
次に、制御端子8の制御信号が「L」(カットオフ)になると、トランジスタMN3がオフ、MN4がオンになって、トランジスタMP3のゲートが接地に接続され、そのトランジスタMP3が完全にオンする。このため、トランジスタMP1はカットオフし、負荷電流はカットされ、図2のC点の状態となる。
【0021】
以上のようにこの実施形態1では、通常動作時は必要な負荷電流を供給し、その負荷電流が大きくなったときや負荷短絡時に負荷電流が制限されて、電池が保護される。また、トランジスタMP1以外のトランジスタは大きな電流を流す必要がないので、小さな素子で済み、電池動作のシステムに一体化(1チップ化)する際であっても、面積増加はわずかで済む。
【0022】
[実施形態2]
図3は上記した電源スイッチ回路を符号10,11に示すように、2個使用して主電池B1とバックアップ電池B2の切替えに使用した実施形態を示すものである。電圧検出部12は主電池B1の電圧が所定値以上では「H」、所定値未満となる「L」の検出信号を出力する。INV2はインバータである。
【0023】
この結果、図3の電源システムでは、主電池B1が所定値以上のとき電源スイッチ回路10が動作して主電池B1の電圧が出力電圧Voutとして出力するが、当該所定値を下回ると、電源スイッチ回路10がカットオフし、電源スイッチ回路11が動作して、バックアップ電池B2の電圧が出力電圧Voutとして出力する。また、いずれの電源スイッチ回路10,11においても、負荷電流が所定値を超えるときは前記した保護動作に入り、出力電流が制限される。
【0024】
[実施形態3]
図4は図1に示した電源スイッチ回路の変形例を示す図である。ここでは、図1の回路における検出信号増幅部5を、その抵抗R2に直列にPMOSトランジスタMP4を接続した検出信号増幅部5’に変更し、このトランジスタMP4のゲートを第2制御部7のインバータINV1の出力信号で制御するようにしたものである。
【0025】
この電源スイッチ回路では、制御信号Vcが「L」(カットオフ)時にはトランジスタMP1,MP2がカットオフになるが、トランジスタMP4もカットオフになるので、抵抗R2、トランジスタMN4の経由で流れる電流を遮断できるので、無駄な電流消費を防止できる。
【0026】
【発明の効果】
以上から本発明の電源スイッチ回路によれば、カットオフ信号の入力に応じた動作の外に、負荷電流が大きいときや負荷短絡時に負荷電流を所定値以下に制限する保護動作が行われ、電池や負荷の保護の万全を図ることができる。また、過負荷や負荷短絡により直ちにカットオフするのではないので、コンピュータシステムの保護が図りやすい利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1の電源スイッチ回路の回路図である。
【図2】 図1の回路の動作特性図である。
【図3】 本発明の実施形態2の電源システムの回路図である。
【図4】 本発明の実施形態3の電源スイッチ回路の回路図である。
【図5】 従来の電源システムの回路図である。
【図6】 従来の別の電源システムの回路図である。
【符号の説明】
1:スイッチ素子、2:入力端子、3:出力端子、4:電流検出部、5、5’:検出信号増幅部、6:第1制御部、7:第2制御部。
Claims (2)
- 入力端子と出力端子との間に接続したスイッチ素子と、カットオフ信号入力により前記スイッチ素子をカットオフさせ非カットオフ信号入力により前記スイッチ素子を完全導通させる制御部と、前記スイッチ素子に流れる負荷電流と相似な電流を流す過電流検出部と、該過電流検出部で検出された電流が所定値を超えると動作して前記制御部をして前記スイッチ素子の内部抵抗を増大させて前記負荷電流を制限する検出信号増幅部とを具備し、
前記検出信号増幅部に、前記制御部に前記カットオフ信号が入力するときオフする別のスイッチ素子を接続し、前記カットオフ信号入力時に前記検出信号増幅部を完全に非動作状態にするようにしたことを特徴とする電源スイッチ回路。 - 請求項1に記載の電源スイッチ回路において、
前記スイッチ素子が、第1のPMOSトランジスタで構成され、
前記過電流検出部が、前記出力端子に接続した第1の抵抗と、該第1の抵抗と前記入力端子との間に接続した第2のPMOSトランジスタとを有し、該第2のPMOSトランジスタのゲートが前記第1のPMOSトランジスタのゲートに共通接続されてなり、
前記検出信号増幅部が、前記出力端子に接続された第1のNMOSトランジスタと、前記入力端子に接続された第2の抵抗と、前記第1のNMOSトランジスタと前記第2の抵抗との間に接続された第4のPMOSトランジスタとを有し、前記第1のNMOSトランジスタは前記第1の抵抗に発生する電圧が所定値を超えると導通し、前記第4のPMOSトランジスタは前記カットオフ信号が「H」のときオンし「L」のときオフするようにしてなり、
前記制御部が、前記入力端子と前記第1のPMOSトランジスタのゲートとの間に直列接続された第3のPMOSトランジスタおよび第3の抵抗と、前記第1のPMOSトランジスタのゲートと接地との間に直列接続された第2,第3のNMOSトランジスタと、前記第1のNMOSトランジスタと前記第4のPMOSトランジスタの共通接続点と接地との間に接続された第4のNMOSトランジスタを有し、前記第2のNMOSトランジスタおよび前記第3のPMOSトランジスタのゲートは前記第1のNMOSトランジスタと前記第4のPMOSトランジスタの共通接続点に各々接続され、前記第3のNMOSトランジスタは前記カットオフ信号が「H」のときオンし「L」のときオフし、前記第4のNMOSトランジスタは前記カットオフ信号が「H」のときオフし「L」のときオンするようにしてなることを特徴とする電源スイッチ回路。
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