JP3897138B2 - 難燃性ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は難燃性ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法に関する。さらに詳細には、一般式1で表される有機りん化合物を含有している事を特徴とする難燃性ポリエステル樹脂組成物または一般式1で表される有機りん化合物をポリエステルの製造過程で添加する事を特徴とする難燃性ポリエステル樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【化2】
(Rはアルキレン基、主鎖中にエーテル酸素を持っているアルキレン基、α,α′−キシリレン基またはベンゼン核に置換基を持っていてもよいα,α′−メタキシリレン基を示し、ここでアルキレン基の炭素数は1〜12、好ましくは2〜9である)。
【0003】
【従来の技術】
本発明において称するポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート及びその改質体、ポリ−1,4−ブチレンテレフタレート(PBT)やポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)などが例示されるが、一般にはポリエチレンテレフタレート(PET)がよく知られ、合成繊維または種々の成形品の材料として広く利用されている。この合成繊維は大きな強度、高い耐熱性、高いヤング率、優れた染色性、優れた風合いまたは優れた耐久性などの繊維としての数々の良い特性を備えているので、衣料はもとより、寝具、インテリアまたはタイヤコードなどの用途にも利用されている。また、成形品としては、ポリエチレンテレフタレートの優れた透明性、優れた耐熱性、無毒性または優れた機械的強度などの特性を活かして、写真フィルム、磁気テープ、農業用フィルム、食品用ボトルまたは機械部品などの用途に応用されている。そして、このような幅広い用途の拡大に伴って、ポリエステルの製造コストも次第に引き下げられて、今では、大規模な生産量を誇る化成品の一つにまで成長している。
【0004】
現在、ポリエステルは大別して次の二つの方法で製造されている。
【0005】
その一つは、今ではエステル交換法と称されている旧来の方法であり、まずエステル交換機と称される反応機にジメチルテレフタレート(DMT)および過剰量のエチレングリコールを仕込み、触媒の存在下にメタノールを除去しながら、反応を進行させ、テレフタル酸のエチレングリコールエステルを生成させる。続いてこれをオートクレーブと称されている重縮合機に移して、加熱、減圧下に重縮合反応を進行させてから、オートクレーブを窒素圧で加圧して、高粘度の生成物を排出すると同時に生成物をペレット化する。最後にこのペレットを押し出し機で繊維または成形品に加工する。
【0006】
他の一つは、直接法と称されている比較的に新しい方法であり、まずエステル化機と称される反応機にテレフタル酸および過剰量のエチレングリコールを仕込み、触媒の存在下で大気圧ないしは加圧下に加熱反応させてから、これをオートクレーブに移して、以下、エステル交換法と同様にして製造する方法である。
【0007】
何れにしろ、ポリエステルの製造はテレフタル酸のエチレングリコールエステルを製造するエステル化過程、この生成物を重縮合させる重合過程および重縮合物を目的形状に加工する成形過程の三段階の過程から構成されている。
【0008】
難燃性ポリエステル樹脂組成物は昭和45年(1970年)頃から始まった合成繊維の難燃化の要求に応じるため広く検討され、幾多の変遷の末に現在の共重合型のりん含有難燃性ポリエステルが完成されたものである。現在、難燃性ポリエステルの共重合に使用されている有機りん化合物は次の構造式2および構造式3で表される二つが代表的である。
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
これらについては、特開昭和52−47891号公報、同52−91878号公報、同52−97981号公報および同52−98089号公報などに詳しい。
【0011】
そして、従来の難燃性ポリエステルには通常、りんが0.3ないし1.0重量%の範囲で含有されるように上記有機りん化合物が共重合されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ポリエステルの難燃剤としては、有機りん化合物が最も適していると言われている。しかしながら、目下、難燃性ポリエステル樹脂組成物の製造に適したエステル化ないしはエステル交換反応に対して不活性であり、充分に分子量が大きくて非揮発性である有機りん化合物は見出だされていない。従って有機りん化合物によるポリエステルの難燃化には逆に、有機りん化合物を前の二つの例のように、エステル化可能な官能基を二個持った構造にしてポリエステルに共重合させる方法がとられているのが現状である。
【0013】
しかるに、一般的な傾向ではあるが、これらの有機りん化合物を共重合させた共重合型のポリエステルは純粋なポリエステルに比べて、その融点が低く、加熱処理によって縮みを生じる傾向のある事が知られ、これが最も大きな改良を望まれる点となっている。本発明の第一の課題はこの問題を解決する事である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的はエステル化またはエステル交換反応に対して全く不活性で、しかも非揮発性の有機りん化合物を使用する事によって、ポリエステルの何れの製造過程でも添加が可能であるとともに、融点が高く、加熱処理によっても縮みの生じる事が少ない耐縮性の難燃性ポリエステル樹脂組成物を提供する事である。
【0015】
このような目的のために見出だされた有機りん化合物は一般式1で表される。この有機りん化合物は分子量が充分に大きく、非揮発性であるから高温、高真空であるポリエステルの製造過程でも蒸発によるロスが少ない事、一旦ポリエステルに混合された有機りん化合物はドライクリーニングなどによっても脱落しないなどの利点となっている。また、この有機りん化合物は高温下でも充分に安定であって、しかも、エステル化反応またはエステル交換反応にも全く不活性であるから、エステル化過程または重合過程で添加してもポリエチレンテレフタレートのセグメントとして組み込まれてその融点を低下させる事も少ないし、成形過程でポリエチレンテレフタレートに混合してもその分子量を低下させる事もない。
【0016】
【発明の実施の形態】
一般式1で表される有機りん化合物はポリエステルの製造過程でりん含量が0.3ないし1.0重量%程度になるように添加される。
【0017】
一般式1で表される有機りん化合物は構造式4で表される有機りん化合物(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド)と式中のRを形成させるのに適したハロゲン化合物またはスルホン酸エステルとをアルカリの存在下に反応させて製造される。また、Rが置換基をもっていてもよいα,α′−メタキシリレン基の場合には、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドと式中のRを形成させるのに適したベンゼン環に二つのアルコキシメチル基を持った化合物、ベンゼン環に二つのアミノメチル基を持った化合物またはベンゼン環に二つのN,N−ジアルキルアミノメチル基を持った化合物とを縮合反応させて製造する事が出来る。
【0018】
【化5】
一般式1中のRを形成させるのに適したハロゲン化合物またはスルホン酸エステルとしては、1,2−ジクロロエタン、1−クロロ−3−ブロモプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,6−ジクロロヘキサン、2,2′−ジクロロエチルエーテル、1,2−ビス−(2′−クロロエトキシ)エタン、α,α′−ジクロロオルソキシレン、α,α′−ジクロロメタキシレン、α,α′−ジクロロパラキシレンまたはネオペンチルグリコールのベンゼンスルホン酸ジエステルなどが挙げられる。また、アルコキシメチル化合物、アミノメチル化合物またはN,N−ジアルキルアミノメチル化合物としては1,3−ジメトキシメチル−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1,3−キシリレンジアミン、1,3−ジ(ジメチルアミノメチル)−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1,3−ジ(ジメチルアミノメチル)−4−ヒドロキシ−5−ターシャリブチルベンゼンまたは1,3−ジ(ジメチルアミノメチル)−4−メトキシ−5−ターシャリブチルベンゼンなどを挙げる事が出来る。
【0019】
ゆえに、これらの試剤から誘導されるRとしては1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、3−オキサ−1,5−ペンチレン基、3,6−ジオキサ−1,8−オクチレン基、α,α′−オルソキシリレン基、α,α′−メタキシリレン基、α,α′−パラキシリレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、2−メトキシ−5−メチル−α,α′−メタキシリレン基、4−ヒドロキシ−5−ターシャリブチル−α,α′−メタキシリレン基または4−メトキシ−5−ターシャリブチル−α,α′−メタキシリレン基などである。
【0020】
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドと一般式1中のRを形成させるのに適したハロゲン化合物またはスルホン酸エステルとの縮合反応は通常、有機溶媒と有機塩基の存在下に行なわれる。また9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドとメトキシメチル化合物、アミノメチル化合物またはN,N−ジアルキルアミノメチル化合物との縮合反応は塩化亜鉛などの触媒の存在下に加熱下に行なわれる。これらの縮合反応によって得られた一般式1で表される有機りん化合物は通常、若干の精製を施して、ポリエステルの製造過程で添加される。
【0021】
ポリエステルの製造過程はエステル化過程、重合過程そして成形過程の三つの過程から構成されていて、そのいずれの過程において本発明に係る一般式1で表される有機りん化合物を添加しても同じ難燃性ポリエステル樹脂組成物が得られる。しかしながら、製造上の便利さからは成形過程で添加されるのが最もこのましい。
【0022】
【実施例】
本発明をさらに明確にするために、本発明に係る有機りん化合物の製造例、本発明の実施例および比較例を挙げて説明する。なお、例中の%はことわらないかぎり重量%を表すものとする。
製造例1
かきまぜ機、温度計、還流冷却器およびガス吹き込み口の付いた内容積3,000ミリリットルの硬質ガラス製四つ口フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド(構造式4)843グラム(1.5×2×1.3モル=3.9モル)、トリエチルアミン333グラム(1.5×2×1.1モル=3.3モル)およびジメチルアセトアミド600グラムを仕込み加熱した。内容物が溶解したら、かきまぜ始め、フラスコを冷却して内容物の温度を60℃にした。この温度でパラキシリレンジクロライド262.5グラム(1.5モル)のうちの半量を加えた。反応がただちに、進行して内容物の温度が上昇する傾向にあったので、フラスコを冷却して、内容物の温度が60℃をこえないようにした。3時間後に残りの半量を加えて、内容物の温度を60℃に保って、3時間反応させた後、フラスコを加熱し2時間かけて内容物の温度を90℃にした。90℃に2時間保ったところ、液体クロマトグラフィーにより反応の完結が確認された。反応混合物にあらかじめ準備していた目的物の結晶を結晶核として少量加えて、60℃に一夜放置した。60℃の温度で、この反応混合物を濾過し、結晶を採取した。結晶は目的化合物とトリエチルアミンの塩酸塩であった。結晶を水2,000ミリリットルを仕込んである内容積3,000ミリリットルのフラスコに移して、内容物を1時間沸騰させた。これを40℃まで冷却してから濾過し結晶を採取した。結晶を濾過して採取し、トリクロルベンゼンで再結晶法によって精製して、目的物約350グラムが得られた。
【0023】
かきまぜ機、温度計および還流冷却器の付いた内容積5,000ミリリットルの三つ口フラスコに水2,500グラム、トルエン600グラムおよび35%塩酸30グラムを仕込み、かきまぜながら、フラスコを加熱して内容物の温度を80℃にした。これに最初に得られた濾液を加えた。充分かきまぜた後、フラスコを30℃まで冷却して、静置してから、水相を除去した。フラスコに炭酸ナトリウム30グラムを含有した水2,000グラムを加えて、かきまぜながら内容物を沸騰させた。ふたたび内容物を30℃まで冷却してから静置し水相を除去した。トルエン相は目的化合物の非結晶性の立体異性体を含有していた。この異性体を結晶性の目的物に異性化して、さらに結晶性粉末約420グラムが得られた。一回目の結晶と合わせて770グラムであり、これは理論収量にたいしては96%であった。りんの分析によれば、りん含有量が11.6%、マススペクトル分析によれば、分子量が534、熱分析によれば、融点が279.3℃であった。ゆえに、この有機りん化合物は構造式5である。
【0024】
【化6】
製造例2
製造例1と同じ内容積3,000ミリリットルの四つ口フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド843グラム、2,2′−ジクロロエチルエーテル215グラム(1.5モル)およびN,N−ジメチルアセトアミド600グラムを仕込んだ。フラスコを加熱して内容物の温度が130℃に達したので滴下ロートからトリエチルアミン333グラムを滴下した。トリエチルアミンの滴下はフラスコ内が還流状態を保ち、しかも内容物の温度が130℃以下にならないように調節した。滴下におよそ4時間を要した。その後、内容物の温度を150℃まで上昇させ、この温度に10時間保った。この間液体クロマトグラフィーによって内容物の変化を追跡して反応の終点を見極めた。反応の終了を確認してから、反応混合物を製造例1と同様に処理して、目的物の白色結晶性粉末830グラムが得られた。分析によれば、生成物はりん含量が12.3%、マススペクトルによる分析によれば、分子量が502であった。ゆえに、生成物は構造式6である。
【0025】
【化7】
製造例3
製造例1で使用したパラキシリレンジクロライド262.5グラムをネオペンチルグリコールのベンゼンスルフォン酸ジエステル576グラムに代えた以外は製造例1と全く同様にして、87%の収率で、約650グラムの有機りん化合物が得られた。これは分析によって、りん含量が12.4%、マススペクトルの分析によって、分子量が500である事が確認された。従って、これは構造式7である。
【0026】
【化8】
製造例4
かきまぜ機、温度計、還流冷却器および滴下ロートの付いた内容積3,000ミリリットルの硬質ガラス製の四つ口フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ファスファフェナンスレン−10−オキサイド864グラム(4モル)を仕込み、フラスコを加熱した。120℃で内容物が融解したのでかきまぜ始めた。ここで、滴下ロートから1,3−ジ(ジメチルアミノメチル)−2−メトキシ−5−メチルベンゼン401グラム(1.7モル)を2時間にわたって滴下した。この間、ガス状のジメチルアミンが発生したので還流冷却器の頂部から除去した。滴下終了後、次第に温度を上昇させて200℃で約8時間この温度を保った。反応の進行を液体クロマトグラフィーによって追跡して反応の終点を見極めた。反応混合物にジメチルアセトアミド1,000グラムを加えてから温度を80℃に保って一夜放置した。フラスコ内容物は白色の結晶を含有した懸濁状態に変化した。以降、製造例1と同様にして、約855グラムの有機りん化合物が得られ、収率は87%であった。分析によれば、りん含量が10.7%であり、マススペクトルの分析によって分子量が578である事が確認された。ゆえに、生成物は構造式8である。
【0027】
【化9】
実施例1
かきまぜ機、温度計、ガラス製のラッシッヒリングを充填した精留塔およびガス吹き込み口の付いた内容積3,000ミリリットルの四つ口フラスコにジメチルテレフタレート1,746グラム(9モル)、エチレングリコール1,426グラム(23モル)、三酸化アンチモン0.15グラム、酢酸亜鉛0.5グラム、トリメチルホスフェート0.4グラムおよび製造例1で得られた構造式5で表される有機りん化合物100グラムを仕込んでフラスコを加熱した。内容物が130℃で溶解したのでかきまぜ始めた。さらにフラスコを加熱して、内容物の温度を上昇させたら精留塔頂から反応によって生成したメタノールが留出したのでこれを除去した。精留塔頂からはメタノールだけが留出してエチレングリコールが留出しないように加熱を調節しながら徐々に内容物の温度を上昇させた。内容物の温度が約230℃に達してメタノールの留出がほとんど停止した。液体クロマトグラフィーによって構造式5は全く変化のない事が確認された。これを内容積3,000ミリリットルのステンレススチール製のポリエステル重合用オートクレーブに移し、オートクレーブを加熱してエチレングリコールを除去した。次に、オートクレーブ内の圧力を次第に減じて、最後には、0.1Torr、275℃の条件で重合過程を終了した。オートクレーブを窒素で加圧して、常法によって反応物を排出すると同時にペレット化した。ペレットは固有粘度が0.63であり、りん含量は0.61%であった。続いて、このペレットを紡糸機で紡糸延伸してフィラメントにした。この固有粘度は0.62、融点は272℃、そしてりん含量はペレットと同じく0.61%であった。
実施例2
実施例1で使用した内容積3,000ミリリットルのフラスコにジメチルテレフタレート1,746グラム、エチレングリコール1,426グラム、三酸化アンチモン0.15グラム、酢酸亜鉛0.5およびトリメチルホスフェート0.4グラムを仕込んで、実施例1と同様にエステル交換反応を行なわせた。これに構造式5で表されるりん化合物100グラムを加えて、内容積3,000ミリリットルのオートクレーブに移した。以後、実施例1と同様にして、フィラメントにした。フィラメントの固有粘度は0.62、融点は270℃、そしてりん含量は0.61%であった。
実施例3
固有粘度が0.62、融点が275℃であるレギュラーポリエステル1,728グラムに構造式5で表される有機りん化合物100グラムを混合して、実施例1と同様にしてフィラメントを作成した。このフィラメントの固有粘度は0.61、融点は272℃、そしてりん含量は0.62%であった。
実施例4
固有粘度が0.62、融点が275℃であるレギュラーポリエステル1,728グラムに製造例2で得られた構造式6で表される有機りん化合物92グラムを混合して、実施例1と同様にしてフィラメントを作成した。このフィラメントの固有粘度は0.60、融点は270℃、そしてりん含量は0.61%であった。
実施例5
固有粘度が0.62、融点が275℃であるレギュラーポリエステル1,728グラムに製造例3で得られた構造式7で表される有機りん化合物92グラムを混合して、実施例1と同様にしてフィラメントを作成した。このフィラメントの固有粘度は0.60、融点は269℃、そしてりん含量は0.62%であった。
実施例6
固有粘度が0.62、融点が275℃であるレギュラーポリエステル1,728グラムに製造例4で得られた構造式8で表される有機りん化合物110グラムを混合し、実施例1と同様にして、フィラメントを作成した。このフィラメントの固有粘度は0.60、融点は272℃、そしてりん含量は0.63%であった。
比較例1
実施例1で使用した内容積3,000ミリリットルの四つ口フラスコにジメチルテレフタレート1,746グラム、エチレングリコール1,426グラム、三酸化アンチモン0.15グラム、酢酸亜鉛0.5グラム、トリメチルホスフェート0.4グラムおよび構造式2で表される有機りん化合物130グラムを仕込み、実施例1と全く同様にして難燃性ポリエステルのフィラメントが得られた。このフィラメントは固有粘度が0.61、融点あ264℃、そしてりん含量が0.62%であった。
比較例2
固有粘度が0.62、融点が275℃であるレギュラーポリエステル1,728グラムにトリフェニルホスフェート120グラムを混合し、実施例1と同様にして、フィラメントを作成しようとしたが、固有粘度の低下が著しくフェラメントは得られなかった。これは、ポリエステルとトリフェニルホスフェートが成形時の高温でエステル交換反応を起こして分子量の低下を来したためであると理解される。従って、以下の難燃性ポリエステルとしての評価は不可能であった。
実施例7
実施例1ないし実施例6、比較例1で得られたフィラメントおよびレギュラーポリエステルから作成したフィラメントをメリヤス編みにして、その1グラムを長さ10センチメートルの針金のコイルに入れた。これを45度の角度に保持して、下端から点火した。炎を外して、試料が消火した場合には再度点火を繰り返して、試料の全部を燃焼するに要した点火の回数を測定した。一つのサンプルについて、同じ測定を5回ずつ行なって難燃性の評価とした。その結果を表1に示す。
【0028】
表1
実施例8
実施例1ないし実施例6、比較例1で得られたフィラメントおよびレギュラーポリエステルを紡糸延伸して作成したフィラメントをそれぞれ水中で100℃、24時間の条件で耐縮性の評価をした。レギュラーポリエステルの耐縮性を5とし比較例1の耐縮合性を3として評価採点した。その結果を表2に示す。
【0029】
表2
【0030】
【発明の効果】
本発明に係る一般式1で表される有機りん化合物はエステル化反応またはエステル交換反応に対して不活性(無官能性)である事、分子量が大きく非揮発性ないしは非抽出性である事および熱に対して安定である事などの諸特性を備えているために、ポリエステルのどの製造過程で添加しても、難燃性ポリエステル樹脂組成物を製造し得る利点を有している。特に、ポリエステルの成形過程で添加し得る事は他に類を見ない長所となっている。
【0031】
また、本発明方法によって製造された難燃性ポリエステル樹脂組成物から得られる繊維は従来の難燃性ポリエステルから得られる繊維に比較して、難燃効果およびドライクリーニングなどによる非抽出性は同一であるが、融点の高い事および加熱時の縮みの少ない事などの繊維としての優れた特徴を有している。
Claims (4)
- ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請求項1記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
- ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請求項2記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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