JP3896256B2 - 電子部品用金属製支持材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、図1に示すように、半導体といった電子部品を支持するための凹部を上面に形成させた金属製支持材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図4に示すような半導体電子部品が広く用いられているが、このような電子部品は、金属製の支持材に設置して使用されている。
【0003】
ところで、上記の電子部品は使用の際にかなりの発熱を伴い、この熱が電子部品の作動に影響を及ぼす。そこで、電子部品を設置した金属製支持材を放熱フィンと圧入嵌合して、電子部品から発せられる熱を金属製支持材を通して放熱フィンへ拡散させ、電子部品の発熱による上記影響を回避している。
【0004】
従来、電子部品用の金属製支持材は、その形状から見て、後方押出加工によって電子部品を設置する凹部が形成されていたと考えられる。図2(イ)に後方押出加工による金属製支持材の成形工程を示す。金属製素材21をコンテナ22に挿入し(図中左側破断面)、ポンチ23で図中下方向に金属製素材21をプレスする。後方押出加工では、押出される金属製素材21が、ポンチ23の運動方向に対し後方に流出する(図中破線右側)。こうして金属製素材の一部を押出し、上記の凹部を形成するのであるが、この際、図中a部やb部には、ポンチによる押出圧力が十分に伝達されず、流出する金属製素材の充満が不十分となる傾向にある。
【0005】
このようにして成形された金属製支持材では、後方押出加工時の上記b部が上面の周縁部、同a部が底面の周縁部に当たるが、加工時の金属製素材の充満の不十分さから、この部分のアール半径が大きくなることを抑制することは困難であった。
【0006】
こうした金属製支持材底面周縁部のアール半径の大きさは、従来では問題とされていなかったが、最近になって、電子部品の小型化・軽量化が要求されると共に、金属製支持材も小型化(小厚み・小直径)が求められるようになっており、これに伴って、下記の如き問題が生ずる。
【0007】
すなわち、上記底面周縁部のアール半径が大きいと、金属製支持材と放熱フィンを圧入嵌合した際に、支持材−放熱フィン間に非接触領域が大きくなる。従来であれば、金属製支持材がある程度の大きさを有していることから、放熱フィンとの接触領域も、電子部品の発する熱を十分に拡散できる程度に確保できていたが、金属製支持材が小型化すると、上記のような底面周縁部の形状に基づく放熱フィンとの非接触領域の熱拡散への影響を無視できなくなるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子部品から発せられた熱を効率よく放熱フィンへ伝達できる形状の電子部品用金属製支持材と、その製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明の電子部品用金属製支持材(以下、単に「支持材」ということがある)とは、放熱フィンに設けられた貫通孔に圧入嵌合(すなわち無理嵌め)して使用される、半導体部品の電極を兼ねた柱状、好ましくは円柱状の電子部品用金属製支持材であって、
上面に半導体部品が設置される凹部を有するとともに、前記凹部を前方押出し加工または前後方押出加工で成形することによって前後支持材の上面周縁部にガイドテーパーが形成され、且つ前記支持材の全高さをL1(mm)、側壁面高さをL2(mm)としたとき、下式(1)で表されるpが75%以上となるように、前記支持材の上面周縁部および底面周縁部にアールが形成されているところに要旨を有するものである。
p(%)=(L2/L1)×100 (1)
【0010】
ここで、上記「全高さ」とは、上記支持材の全高さ(図3中L1部)を、「側壁面高さ」とは、底面と垂直な面部分の高さ(図3中L2部)を意味する。すなわち、「側壁面高さ」が上記支持材−放熱フィン間で接触領域を形成できる高さである。
【0011】
さらに、上記支持材には、圧入方向に平行な凹凸条を側壁面に形成することも好ましく、この場合、該凹凸条のピッチが1.0mm以上、凹部深さが0.1mm以下、凹部長さが0.3mm以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の電子部品用金属製支持材は、以下の方法により製造できる。
【0013】
前記支持材で必要とされる体積の円柱状金属製素材をコンテナに挿入し、前方押出加工または前後方押出加工により成形する方法。支持材側壁面に上記凹凸条を形成する場合は、上記押出加工の際に同時に形成するか、該押出加工による成形後、転造加工を施して形成させればよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の電子部品用金属製支持材は、上述の通り、支持する電子部品(半導体部品)から発生する熱を放熱フィンに効率よく伝導するために、支持材−放熱フィン間の接触領域をできるだけ大きくする観点から、上式(1)で表されるpを75%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは83%以上と規定したところに最大の特徴を有する。支持材−放熱フィン間の非接触領域は、上述したように、主として支持材上面および底面周縁部のアール半径が大きくなることにより、増大する。よって、pを上記範囲とするためには、これらのアール半径を小さくすることが必要となる。
【0015】
本発明の支持材は、その外観が柱状であるが、製造の容易さや放熱フィンへの圧入嵌合の容易さから円柱状が好ましい。図1に本発明の支持材の模式図を示す。このように上面に半導体部品設置用の凹部を有し、さらに上面周縁部にガイドテーパー部(図示しない)を有している。
【0016】
すなわち、本発明の支持材は、放熱フィンに設けられた貫通孔に圧入嵌合されて使用されるため、例えば、圧入前の支持材が円柱状の場合は、該直径を放熱フィンの貫通孔の直径よりも大きくする必要があると共に、図4に示すように、上面周縁部にガイドテーパー44を形成させる必要がある。よって、このガイドテーパー部分も放熱フィンとの非接触領域となる。また、ガイドテーパー面と、支持材側壁面とが形成する角部のアール半径の長さが問題となる場合もある。上記角部のアール半径を小さくするには、ガイドテーパーを形成させる前の周縁部のアール半径を小さくしておけばよい。よって、pを上記範囲とするためには、上面および底面の周縁部のアール半径を小さくしておき、さらに、圧入嵌合が可能な範囲で、できる限りガイドテーパー部を小さく形成する必要がある。
【0017】
具体的には、底面周縁部、およびガイドテーパー面と支持材側壁面が形成する角部のアール半径の平均値を、上記全高さの10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下とすることが推奨され、これに合わせて、pが上記範囲となるようにガイドテーパー部を形成すればよい。なお、本発明の支持材においては、放熱フィンとの接触領域を大きくするためにpを上記範囲としているため、底面周縁部などのアール形状や、上面周縁部のガイドテーパーの他にも、支持材に放熱フィンとの非接触領域を形成するような他の原因がある場合は、これも含めてpが上記範囲を満足すればよい。
【0018】
また、上記支持材においては、放熱フィンへの圧入方向に平行な凹凸条を、側壁面に形成させることが好ましい。支持材を放熱フィンに圧入する際に、凸部が楔のように放熱フィンにめり込んで、両者の接合が強固となり、また、凸部のめり込みにより生じた応力が凹部側に拡散して残留応力が緩和されるのである。しかしながら、上記凹部の深さが大きすぎると、凹部がそのまま支持材−放熱フィン間の非接触領域となってしまう。よって、非接触領域の低減と良好な接合性を確保する観点から、上記凹凸条においては、ピッチが1.0mm以上、好ましくは1.5mm以上、さらに好ましくは1.7mm以上であって、凹部深さ(すなわち凸部の最高位置から凹部の最低位置までの深さ)が0.1mm以下、好ましくは0.08mm以下、さらに好ましくは0.06mm以下、凹部長さ(すなわち、隣接する凸部の最高位置間に挟まれる凹部の長さ)が0.3mm以下、好ましくは0.25mm以下、さらに好ましくは0.2mm以下であることが推奨される。なお、上記最小ピッチ、最大凹部深さ、および最大凹部長さが上記範囲にあれば、一つの支持材におけるこれらの値は、一定でなくともよい。
【0019】
支持材の厚み、すなわち上記全高さは、一般に3〜10mm程度、直径は10〜20mm程度であるが、支持する電子部品(半導体部品)のサイズにより、適宜変更できる。また、支持材の上面に形成される半導体部品設置用の凹部のサイズも、支持する半導体部品のサイズによって適宜決定されるが、直径6〜15mm、深さ1〜5mm程度が推奨される。
【0020】
支持材の材質としては、Cu−Fe−P合金[例えば,Fe:0.05〜0.2%(質量%の意味、以下同じ),P:0.05%以下を含有するCu合金など]、Cu−Zr合金(例えば、Zr:0.05〜0.25%を含有するCu合金など)などのCu合金や、無酸素純銅などが一般に使用される。また、放熱フィンの材質としては、支持材と同様のCu合金の他、Al−Mg合金(例えば、Mg:1.5〜3.5%を含有するAl合金や、Mg:3.5〜5.5%,Mn:0.2〜0.7%,Cr:0.1〜0.3%を含有するAl合金など)などのAl合金や、工業用純アルミなどが一般的であるが、支持材および放熱フィンの材質はこれら例示のものに限定されるわけではなく、本発明の効果を損なわないものであれば使用可能である。
【0021】
以下に、本発明の製造方法を説明する。なお、以下の説明に当たっては、本発明の支持材のうち、特に好ましい円柱状のものの製造方法を例示するが、本発明の支持材はこれに限定されるものではなく、他の柱状(四角柱状、六角柱状など)のものであっても構わず、以下の製造方法は、このような円柱状以外の支持材の製造にも適用可能である。また、記載する製造条件についても、これらに限定されるものではなく、本発明の支持材の製造が可能であれば適宜変更できる。
【0022】
図5は、上記支持材に係る第一の製造方法の説明図である。支持材で必要とする直径の棒状金属製素材51の端面に、フォーミング切削により半導体部品が設置される凹部を形成する[図5(イ)左側]。すなわち、この凹部形成面が支持材の上面となる。凹部形成時の切削速度は20〜2000m/min、送り速度は0.01〜10mm/rev、切り込みは0.01〜10mm、とすることが一般的である。なお、この切削加工の際に、上記条件で、上面周縁部にガイドテーパーを付けることも可能である。
【0023】
その後、金属製素材を支持材で必要とされる高さピッチ(すなわち上記全高さ)に切断し、本発明の支持材が得られる[図5(イ)右側]。切断の際の切削速度は20〜2000m/min、送り速度は0.01〜0.5mm/rev、とすることが一般的である。なお、このようにして金属製素材を切断した後に、上記の凹部加工を行ってもよい。
【0024】
図5(ロ)は、支持材の側壁面に、転造加工による凹凸条の形成法を説明する鳥瞰図である。このようにして支持材の側壁面に凹凸条を形成することができる。転造加工の条件としては、加工される支持材の回転速度を500〜2500rpm(転造ダイスが平ダイスの場合、移動速度を10〜200m/min)とすることが一般的である。
【0025】
次に、上記支持材に係る第二の製造方法であるが、ここでは先ず、支持材で必要な直径の棒状金属製素材の側面に、長さ方向に平行に上記凹凸条を形成させる。該形成方法としては、遊星転造や平板転造などの転造加工の他、引き抜き加工も適用できる。引き抜き加工の条件としては、引き抜き速度を10〜100m/minとすることが一般的である。また、転造加工の場合は、上記同様、加工される金属製素材の回転速度を500〜2500rpmとすることが一般的である。
【0026】
その後、上記第一の製造方法と同様の加工法により、金属製素材を支持材の必要な高さピッチに切断し、該切断の前または後に、上記の凹部形成をする。このようにして、側壁面に凹凸条を有する本発明の支持材を製造することができる。
【0027】
次に、上記支持材に係る第三の製造方法を説明する。ここでは、前方押出加工あるいは前後方押出加工により本発明の支持材を成形する。図2(ロ)は、前方押出加工による支持材の成形工程の説明図である。支持材で必要とされる体積の金属製素材21をコンテナ22に挿入し(図中左側破断面)、ポンチ23で図中下方向に金属製素材21をプレスする。前方押出加工では、押出される金属製素材21が、ポンチ23の運動方向に対し前方(すなわち、図中下方向)に流出する(図中右側破断面)。こうして金属製素材21の一部を押出し、凹部を形成する。
【0028】
また、図2(ハ)は、前後方押出加工による支持材の成形工程の説明図である。この加工手順は次の通りである。
(1)支持材で必要とされる体積の金属製素材21をコンテナ22に挿入する(図中左側破断面)。
(2)ポンチ23で図中下方向、あるいは上方向に金属製素材21をプレスする。この際、金属製素材21の一部がポンチ23の運動方向に対し前方、あるいは後方に流出する(図中右側破断面)。
(3)上記プレス方向と反対の方向に金属製素材21をプレスする。
なお、図2(ハ)で示すようにコンテナ側面24が駆動できる機構を備えている場合は、上記(2)と(3)の間に該側面24を図中上方向→下方向、あるいは図中下方向→上方向に摺動させることで、図中a部、およびb部の形状を整えることができ(すなわち、アール半径を小さくすることができ)、より良好な成形を達成することができる。
【0029】
既述の通り、後方押出加工では、成形された支持材の上面および底面周縁部のアール半径が大きくなることを回避困難であったが、上記前方押出加工、および前後方押出加工では、ポンチによる押出圧力が、支持材の上面および底面周縁部に相当する箇所にまで伝達され易く、該周縁部のアール半径を小さくでき、pを上記範囲とすることが可能になる。前後方押出加工において、コンテナ側面を摺動させる方法を採用する場合は、特に好ましい形状の支持材成形が達成できる。これら、前方押出加工、および後方押出加工を採用する場合、圧力は300〜700MPa、成形速度は50〜500個/min程度が一般的である。また、これらの押出加工を採用する場合は、ガイドテーパーを押出加工時に同時に形成させてもよく、押出加工後、上記の切削加工により形成させてもよい。
【0030】
なお、支持材側壁面に凹凸条を形成する場合は、上記成形時に形成させる他、上記第一の製造方法で記載した転造加工を採用してもよい。
【0031】
次に、上記支持材に係る第四の製造方法を説明する。この方法では支持材の必要高さと同じ厚さの板状金属製素材の板面に、切削加工により凹部を形成し、該凹部を含み且つ必要とする横断面状に(円柱状の支持材であれば必要とする直径で)打ち抜くことによって、支持材を製造するものである。
【0032】
図6は、上記第四の製造方法の説明図である。先ず板状金属製素材の板面に、エンドミル切削などにより凹部を形成させる[図6(イ)]。次いで打ち抜きポンチ63で打ち抜いて本発明の支持材を得る[図6(ロ)→(ハ)]。なお、凹部形成と打ち抜きの間に、支持材上面周縁部となる箇所に、エンドミル切削によりガイドテーパーを付けることもできる。
【0033】
上記打ち抜きの際に、支持材側面に上記凹凸条を形成できるように、内壁面に、打ち抜き方向に平行に凹凸形状を持たせた打ち抜きダイ66を用いることも好ましい。また、内壁面にこのような凹凸形状を持たない打ち抜きダイ66を使用して得られた支持材については、側壁面に上記凹凸条を形成させる場合は、上記の転造加工によって行えばよい。
【0034】
第四の製造方法においては、加工速度を50〜250個/min程度とすることが一般的である。
【0035】
上記第一〜第四の製造方法で得られる本発明の支持材のうち、これらの工程でガイドテーパーが形成されていない場合は、例えば、上記第一の製造方法で示した切削加工により、形成させることができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0037】
実験1
直径10mmのCu−Zr合金(Zr:0.15質量%)製の棒の端面に切削加工(切削速度:800m/min、送り速度:0.1mm/rev、切り込み:0.2mm)により、半導体部品設置用の凹部(凹部直径6.2mm、深さ1.8mm)、およびガイドテーパーを形成した。これから高さ3.7mmの支持材を切断した(切削速度:1500m/min、送り速度:0.3mm/rev)。得られた支持材の底面周縁部、およびガイドテーパー面と側壁面が形成する角部のアール半径はいずれも平均0.0mmであり、pは83%であった。
【0038】
実験2
直径10mmのCu−Zr合金(Zr:0.15質量%)製の棒の側面長さ方向に、引き抜き加工により、ピッチ1.3mm,凹部深さ0.07mm,凹部長さ0.2mmの凹凸条を形成した。その後、このCu−Zr合金棒の端面に半導体部品設置用の凹部(凹部直径6.4mm、深さ2.0mm)、およびガイドテーパーを形成した。これから高さ3.8mmの支持材を切断した(切削速度:1500m/min、送り速度:0.3mm/rev)。得られた支持材の底面周縁部、およびガイドテーパー面と側壁面が形成する角部のアール半径はいずれも平均0.0mmであり、pは83%であった。
【0039】
実験3
直径20mmのCu−Zr合金(Zr:0.15質量%)製の棒の側面長さ方向に、遊星転造加工により、ピッチ1.7mm,凹部深さ0.1mm,凹部長さ0.3mmの凹凸条を形成した。その後、このCu−Zr合金棒の端面に半導体部品設置用の凹部(凹部直径16mm、深さ4mm)、およびガイドテーパーを形成した。これから高さ6.5mmの支持材を切断した(切削速度:1500m/min、送り速度:0.3mm/rev)。得られた支持材の底面周縁部、およびガイドテーパー面と側壁面が形成する角部のアール半径はいずれも平均0.0mmであり、pは82%であった。
【0040】
実験4
直径10mm,高さ4.5mmのCu−Zr合金(Zr:0.15質量%)製の円柱(体積353mm3)を使用して、前方押出加工により、全高さ4mm,直径12mm,上面凹部の直径8.2mm,凹部深さ1.9mmの支持材を成形した。押出条件は、圧力500MPa,成形速度250個/minとした。得られた支持材の底面周縁部、およびガイドテーパー面と側壁面が形成する角部のアール半径は、夫々平均0.3mm、平均0.1mmであり、pは77%であった。
【0041】
実験5
直径14mm,高さ8.2mmのCu−Zr合金(Zr:0.15質量%)製の円柱(体積1262mm3)を使用して、前後方押出加工により、全高さ6mm,直径16mm,上面凹部の直径12mm,凹部深さ4mmの支持材を成形した。押出条件は、圧力650MPa,コンテナ側面の摺動速度300回/min、成形速度150個/minとした。得られた支持材の底面周縁部、およびガイドテーパー面と側壁面が形成する角部のアール半径は、いずれも平均0.1mm、pは81%であった。
【0042】
実験6
Cu−Zr合金(Zr:0.15質量%)製の板(厚さ4mm)の板面に、エンドミル切削により半導体設置用の凹部(凹部直径8.2mm,深さ1.9mm)、およびガイドテーパーを形成し、これを打ち抜いて、直径12mmの支持材を得た。これらの加工は連続して行い、加工速度を200個/minとした。得られた支持材の底面周縁部、およびガイドテーパー面と側壁面が形成する角部のアール半径は、いずれも平均0.0mm、pは82%であった。
【0043】
実験7
直径10mm,高さ4.5mmのCu−Zr合金(Zr:0.15質量%)製の円柱(体積353mm3)を使用して、後方押出加工により、全高さ4mm,直径12mm,上面凹部の直径8.2mm,凹部深さ1.9mmの支持材を成形した。押出条件は、圧力600MPa,成形速度150個/minとした。得られた支持材の底面周縁部、およびガイドテーパー面と側壁面が形成する角部のアール半径は、夫々平均0.7mm、平均0.5mmであり、pは59%であった。
【0044】
以上の各実験のうち、実験1〜6の支持材は本発明の要件を満足する実施例である。また、実験7の支持材は従来品であり、本発明の要件を満足しない比較例である。以上の通り、実験1〜6の支持材では、pが実験7の支持材よりも大きく、放熱フィンに圧入嵌合した際の接触領域を大きくすることができる。なお、実験1〜7の各支持材の上面凹部に半導体部品を設置した後、貫通孔を有するAl製の放熱フィンに圧入嵌合したところ、いずれも良好に圧入嵌合できた。
【0045】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されており、圧入嵌合した際に、放熱フィンとの接触領域を大きくできる電子部品用金属製支持材と、その製造方法を提供することができた。本発明の電子部品用金属製支持材は、設置した半導体部品から発せられる熱を十分に放熱フィンに伝導できる形状を有しており、半導体部品の小型化、すなわち電子部品用金属製支持材の小型化の要求にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子部品用金属製支持材の模式図である。
【図2】 電子部品用金属製支持材の製造方法である押出加工法の説明図である。
【図3】 電子部品用金属製支持材の断面図である。
【図4】 半導体部品を設置した電子部品用金属製支持材を放熱フィンに圧入嵌合した部材の断面図である。
【図5】 本発明の電子部品用支持材の製造方法のうち、第一の製造方法の説明図である。
【図6】 本発明の電子部品用支持材の製造方法のうち、第四の製造方法の説明図である。
【符号の説明】
21,51,61 金属製素材
23 ポンチ
41,55,67 電子部品用金属製支持材
42 放熱フィン
43 半導体部品
44 ガイドテーパー
53 バイト
54 転造ダイス
62 エンドミル
63 打ち抜きポンチ
64 背圧ポンチ
65 押えダイ
66 打ち抜きダイ
Claims (4)
- 放熱フィンに設けられた貫通孔に圧入嵌合して使用される、半導体部品の電極を兼ねた柱状の電子部品用金属製支持材であって、
上面に半導体部品が設置される凹部を有するとともに、
前記凹部を前方押出し加工または前後方押出加工で成形することによって前後支持材の上面周縁部にガイドテーパーが形成され、且つ前記支持材の全高さをL1(mm)、側壁面高さをL2(mm)としたとき、下式(1)で表されるpが75%以上となるように、前記支持材の上面周縁部および底面周縁部にアールが形成されていることを特徴とする電子部品用金属製支持材。
p(%)=(L2/L1)×100 (1) - 円柱状である請求項1に記載の電子部品用金属製支持材。
- 圧入方向に平行な凹凸条を側壁面に有し、且つ該凹凸条のピッチが1.0mm以上、凹部深さが0.1mm以下、凹部長さが0.3mm以下である請求項1または2に記載の電子部品用金属製支持材。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子部品用金属製支持材を製造するに当たり、前記支持材の側壁面に、圧入方向に平行な凹凸条を、転造加工により形成することを特徴とする電子部品用金属製支持材の製造方法。
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