JP3894741B2 - 食器洗浄機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄機本体と、その洗浄機本体の収納空間内に収納自在な洗浄槽とを備え、前記洗浄槽が、前記収納空間内に収納される収納位置と収納空間から水平または略水平方向に引き出される引き出し位置との間で、前記洗浄機本体に対して収納移動ならびに引き出し移動自在に構成されている食器洗浄機に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような食器洗浄機としては、洗浄機本体に対し、洗浄槽が、洗浄機本体内に収納される収納位置と洗浄機本体から引き出される引き出し位置との間で、収納移動ならびに引き出し移動自在に構成されており、その洗浄槽の収納移動ならびに引き出し移動に関し、従来、特別な配慮が払われていなかったのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、食器洗浄機の洗浄槽では、洗浄槽内に多数の食器が収納されているときと空のときで重量がかなり異なるため、例えば、食器が収納されているつもりで強い力で収納移動や引き出し移動させたところ、洗浄槽が空のために軽量で、洗浄槽が勢いよく収納位置や引き出し位置にまで移動されて、大きな衝撃音を生じたり、洗浄機本体や洗浄槽に衝撃を与えるという問題がある。
【0004】
特に、洗浄槽を収納移動させる場合には、洗浄槽を前方に押して移動させるので、引き出す場合に比べて強い力を入れ易く、また、洗浄機本体と洗浄槽との間に指などを詰める可能性もあって、収納移動に際して特に問題であり、さらに、引き出し式の食器洗浄機にあっては、重量のある洗浄ポンプなどが洗浄槽側に取り付けられているため、強い力で収納移動させると、大きな慣性力が作用することになり、この点に改良の余地があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、洗浄機本体に対して収納自在な洗浄槽をたとえ強い力で収納移動させても、洗浄機本体洗浄槽などに大きな衝撃を与える虞がなく、かつ、指などを詰める虞のない食器洗浄機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1に記載の発明によれば、洗浄機本体と、その洗浄機本体の収納空間内に収納自在な洗浄槽とを備え、前記洗浄槽が、前記収納空間内に収納される収納位置と収納空間から水平または略水平方向に引き出される引き出し位置との間で、前記洗浄機本体に対して収納移動ならびに引き出し移動自在に構成されている食器洗浄機であって、 前記洗浄槽が前記収納位置側へ収納移動されるとき、前記収納位置に至る前の減速作用位置から前記収納位置の間において、前記洗浄槽の収納移動方向への移動速度を減速させる一方向式のダンパー式の収納緩衝手段が、前記洗浄槽と洗浄機本体との間に設けられ、 前記洗浄槽が収納移動されるとき、前記減速作用位置またはその近くに位置する収納付勢作用位置から前記収納位置の間において、前記洗浄槽を収納位置側に付勢移動させ、且つ、前記洗浄槽が前記引き出し位置側へ引き出し移動されるとき、引き出し付勢作用位置からそれよりも前記引き出し位置側の位置の間において、前記洗浄槽を引き出し位置側に付勢移動させるトグル機構が、前記洗浄槽が前記引き出し位置から前記収納位置側へ収納移動されたのち前記引出し位置と前記収納付勢作用位置との間において前記洗浄槽と連係し、且つ、前記洗浄槽が前記引出付勢作用位置よりも前記引き出し位置側に移動したときに前記引出し位置と前記収納付勢作用位置との間において前記洗浄槽と離脱するように構成されている。
【0007】
すなわち、洗浄機本体の収納空間内に収納自在な洗浄槽が、その収納位置側へ収納移動されるとき、収納位置に至る前の減速作用位置において、洗浄槽の収納移動方向への移動速度を減速させるダンパー式の収納緩衝手段が、前記洗浄槽洗浄機本体との間に設けられているので、たとえ強い力で洗浄槽を収納移動させても、洗浄槽が減速作用位置に至ると、ダンパー式の収納緩衝手段の作用で洗浄槽の移動速度が減速され、したがって、洗浄機本体洗浄槽などに大きな衝撃を与えることも、大きな衝撃音を発することもなく、また、減速作用位置の設定次第では、洗浄機本体洗浄槽との間への指詰めなどを確実に防止することができる。
【0008】
特に、洗浄槽における食器の有無を間違えて、空であるにもかかわらず強い力で洗浄槽を収納移動させる可能性が高く、さらに、たとえ洗浄槽が空であっても、洗浄ポンプなどが取り付けられて重量的に重く、それによって大きな慣性力が作用するため、その作用効果も顕著となる。
【0010】
又、収納移動される洗浄槽が、前記減速作用位置またはその近くに位置する収納付勢作用位置に至ると、トグル機構によって収納位置側に付勢移動されることになり、ダンパー式の収納緩衝手段により減速作用を受ける洗浄槽が、トグル機構により付勢移動作用をも受け、両作用による協働によって、洗浄槽は適切な速さで収納位置に移動される。
【0012】
又、前記洗浄槽は、収納位置側への収納移動時のみならず、引き出し位置側への引き出し移動時においても、引き出し付勢作用位置に至ると、トグル機構によって引き出し位置側に付勢移動されることになり、洗浄槽の引き出し操作を軽く、容易に行うことができる。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、前記トグル機構が、前記収納付勢作用位置が前記引出し付勢作用位置よりも前記洗浄槽の引き出し移動方向側に位置されるように、トグル切り換え位置が前記洗浄槽の前記引出し位置側への引き出し移動により変更されるように構成されている。
【0014】
したがって、洗浄槽の収納移動時においては、洗浄機本体洗浄槽との間への指詰めなどを確実に防止しながら、引き出し移動時においては、少し引き出し操作するだけで引き出し位置側への付勢移動が可能となり、実際の使用に際してきわめて合理的な食器洗浄機を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明による食器洗浄機の実施の形態を図面に基づいて説明する。
の食器洗浄機は、図1および図2に示すように、金属製の板材などで形成されて、その前面が開口する箱状の洗浄機本体1を備え、かつ、洗浄機本体1内側の収納空間内に収納自在な上部開口の洗浄槽2を備えている。
洗浄槽2の底部下方には、洗浄ポンプ3などが、洗浄槽2の内部には、洗浄ノズル4やヒータ5などが配置されて、それぞれ洗浄槽2に一体的に組み付けられ、かつ、洗浄槽2の内部には、食器などを収納載置する洗浄かご6が取り出し自在に収納されている。
【0016】
食器洗浄機の正面視において、洗浄機本体1の左右の内側には、レールなどで構成された一対のスライド機構7が設けられ、その左右一対のスライド機構7を介して、洗浄槽2が、洗浄機本体1に対して、水平または略水平方向に沿って、矢印Aで示す収納移動方向へのスライド移動と、矢印Bで示す引き出し移動方向へのスライド移動が可能なように構成されている。
前記洗浄槽2の前面には、把手8などを備えた本体蓋9が取り付けられ、収納移動方向Aへスライド移動させることで、図2に示すように、洗浄槽2を洗浄機本体1の収納空間内に収納させた状態にして、食器を洗浄したり乾燥したりできるように、また、引き出し移動方向Bへスライド移動させることで、図1に示すように、洗浄槽2を洗浄機本体1の収納空間から引き出した状態にして、食器や洗浄かご6を取り出したり収納したりできるように構成され、洗浄槽2が収納された状態で、洗浄槽2の上部開口を密閉する蓋体10が、洗浄機本体1の内側上部に取り付けられている。
【0017】
食器洗浄機の正面視において、洗浄機本体1の左右内側の一側方には、図3および図4に示すように、洗浄槽2の収納移動方向Aおよび引き出し移動方向Bに沿うラック11が取り付けられ、洗浄槽2側には、ダンパー式の収納緩衝手段としてのロータリーダンパー12が取り付けられ、そのロータリーダンパー12から下方に突出するピニオン13が、洗浄機本体1側のラック11に交合ならびに離脱可能に構成されている。
ロータリーダンパー12の詳しい説明は省略するが、内部にオイルなどが充填され、そのオイル通流用の絞り部を有してピニオン13と連動して回転する回転体(図示せず)が収納されていて、その回転体に対して流体により抵抗を与えることによって、ピニオン13の回転に制動を加える作用を有するもので、この実施形態におけるロータリーダンパー12は、洗浄槽2を収納移動方向Aに移動させるときにのみ、ピニオン13の回転に制動を加えるように構成された一方向式のものが使用されている。
【0018】
したがって、洗浄機本体1の収納空間から引き出した引き出し位置Dにある洗浄槽2を収納移動方向Aに沿って移動させて、洗浄機本体1の収納空間に収納される収納位置C側に移動させる際、ロータリーダンパー12のピニオン13がラック11に交合すると、つまり、ピニオン13がラック11に交合する減速作用位置Eに至ると、ロータリーダンパー12の作用によってピニオン13の回転に制動が加えられ、たとえ洗浄槽2が速い速度で移動されていても、その後においては減速された状態でゆっくりと移動することになる。
この洗浄槽2に対する移動速度の減速は、衝撃の緩和と使用者が洗浄槽2と洗浄機本体1との間に指などを詰めるのを防止するためのものであるから、上述した減速作用位置Eは、そのために必要な位置、例えば、洗浄槽2が収納位置Cに至る100mm程度前に設定されている。
【0019】
前記洗浄槽2の左右一側方の後方には、横方向に向けてキャッチャーピン14が突設され、このキャッチャーピン14に係合するキャッチャー15が、キャッチャーピン14に対応するように洗浄機本体1内側の左右一側方の後方に設けられている。キャッチャー15は、略L字状のレバーで構成され、そのキャッチャー15の中間部が、洗浄機本体1から突設のピン16に回動自在に枢着され、その上方の遊端部には、キャッチャーピン14が入り込むスリット状の係合溝15aが穿設されている。
前記ピン16には、さらに、スプリング取り付け板17の一端側が回動自在に枢着され、そのスプリング取り付け板17の他端には、略円弧状のガイド溝17aが穿設され、そのガイド溝17a内に戻し板18から突設の戻しピン19が係入されていて、キャッチャー15の下方遊端部とスプリング取り付け板17との間にわたってスプリング20が張設されている。
【0020】
前記戻し板18も略L字状のレバーにより構成されていて、その下方遊端部に前記戻しピン19が突設され、その上方遊端部は、外側に向けて傾斜するように曲げられて、傾斜案内部18aが形成され、その戻し板18の中間部が、洗浄機本体1から突設の固定ピン21周りに回動自在に取り付けらるとともに、戻しスプリング22によって洗浄槽2の収納移動方向A側、つまり、図3において時計方向周りに回動するように付勢されている。
このようにして、後に詳しく説明するように、キャッチャーピン14に係合するキャッチャー15、スプリング取り付け板17、ならびに、スプリング20などにより、洗浄槽2を収納位置Cや引き出し位置D側に付勢移動させるトグル機構23が構成され、そのトグル機構23を構成するスプリング取り付け板17と前記戻し板18とが、洗浄槽2の収納移動方向A側と引き出し移動方向B側への移動時において、トグル機構23の付勢力切り換え位置を変更するように構成されている。
【0021】
つぎに、以上の構成からなる食器洗浄機の動作につき、主としてロータリーダンパー12やトグル機構23の作用を中心にして、図5および図6も参照しながら説明する。
なお、図3〜図6においては、洗浄機本体1に対する洗浄槽2の相対位置を洗浄槽2の後方側端部を基準にして示す。
【0022】
前記洗浄槽2が図1に示す引き出し位置Dにある状態で、洗浄槽2を収納移動方向A側に押し込むと、図5の(イ)に示すように、洗浄槽2から突設のキャッチャーピン14が、キャッチャー15の係合溝15aに入り込んで、キャッチャー15を図において時計方向周りに回動させ、その後、図3および図4の(イ)に示すように、洗浄槽2が減速作用位置Eに至ると、ロータリーダンパー12から突出のピニオン13がラック11に交合する。
ラック11へのピニオン13の交合に伴ってピニオン13は回転するが、ロータリーダンパー12の作用でピニオン13の回転に制動が加えられるため、たとえ洗浄槽2が勢いよく押し込まれても、減速作用位置Eから後、つまり、洗浄槽2が収納位置Cに至る100mm程度前からは、洗浄槽2の移動速度が減速されてゆっくりと移動する。
【0023】
図5の(ロ)に示すように、洗浄槽2が減速作用位置Eに至ると同時に、あるいは、減速作用位置E近くの前後において、トグル機構23のスプリング20がピン16を越えるので、つまり、スプリング20がトグル切り換え位置Hを越えるので、スプリング20によって、今まで反時計方向周りに回動付勢されていたキャッチャー15が、時計方向周りに回動付勢されることになる。
換言すると、洗浄槽2が収納付勢作用位置Fに至ると、トグル機構23の作用によって、洗浄槽2が収納位置C側に向けて付勢移動され、その結果、洗浄槽2は、トグル機構23による付勢移動とロータリーダンパー12による制動により、ほぼ一定した速度で収納位置Cにまで移動され、その収納位置Cにおいて、洗浄槽2の上部開口が蓋体10により上方から密閉される。
【0024】
さらに、洗浄槽2の移動に伴ってキャッチャーピン14が収納移動方向Aに移動する際、キャッチャーピン14は、戻し板18の傾斜案内部18aにより案内作用を受けて、図4の(イ)および図5の(ロ)に示すように、戻し板18の側面に摺接しながら移動し、洗浄槽2が収納位置Cに至った状態では、キャッチャーピン14は、図4の(ロ)および図6の(ハ)に示すように、戻し板18よりも後方側に位置している。
したがって、つぎに、洗浄槽2を引き出し移動方向B側に引き出すと、まず、キャッチャーピン14が戻し板18の後側に接当して、図6の(ニ)に示すように、戻し板18を戻しスプリング22の付勢力に抗して反時計方向周りに回動させる。
【0025】
この戻し板18の反時計方向への回動によって、洗浄槽2の位置に対するトグル機構23のトグル切り換え位置Hが変更され、上述した収納付勢作用位置Fよりも収納移動方向A側の引き出し付勢作用位置Gにおいて、トグル機構23による付勢方向が切り換えられ、洗浄槽2が引き出し位置D側に向けて付勢移動される。換言すると、収納付勢作用位置Fが、引き出し付勢作用位置Gよりも洗浄槽2の引き出し移動方向B側に位置され、その引き出し付勢作用位置Gは、収納位置Cから30mm程度に設定されている。
したがって、たとえ洗浄槽2を引き出しても、その引き出し量が30mm未満であれば、トグル機構23の作用で洗浄槽2は再び収納位置Cに戻されることになり、30mmを越えると、引き出し位置D側に向けて付勢移動されるのであり、その際にはロータリーダンパー12による制動は作用せず、洗浄槽2は比較的速く引き出し位置Dにまで引き出されることになる。
【0026】
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、ダンパー式の収納緩衝手段として機能するロータリーダンパー12に加えて、トグル機構23を設けた例を示したが、そのダンパー式の収納緩衝手段についても、特にロータリーダンパー12に限るものではなく、例えば、シリンダ式のダンパーや、その他、種々の構造のダンパーを使用することができ、また、そのダンパー式の収納緩衝手段を洗浄機本体1内側の左右にそれぞれ設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】食器洗浄機の全体斜視図
【図2】食器洗浄機の縦断側面図
【図3】食器洗浄機の要部を示す側面図
【図4】食器洗浄機の要部を示す平面図
【図5】食器洗浄機の要部を示す側面図
【図6】食器洗浄機の要部を示す側面図
【符号の説明】
洗浄機本体
洗浄槽
12 ダンパー式の収納緩衝手段
23 トグル機構
A 収納移動方向
B 引き出し移動方向
C 収納位置
D 引き出し位置
E 減速作用位置
F 収納付勢作用位置
G 引き出し付勢作用位置

Claims (2)

  1. 洗浄機本体と、その洗浄機本体の収納空間内に収納自在な洗浄槽とを備え、
    前記洗浄槽が、前記収納空間内に収納される収納位置と収納空間から水平または略水平方向に引き出される引き出し位置との間で、前記洗浄機本体に対して収納移動ならびに引き出し移動自在に構成されている食器洗浄機であって、
    前記洗浄槽が前記収納位置側へ収納移動されるとき、前記収納位置に至る前の減速作用位置から前記収納位置の間において、前記洗浄槽の収納移動方向への移動速度を減速させる一方向式のダンパー式の収納緩衝手段が、前記洗浄槽と洗浄機本体との間に設けられ、
    前記洗浄槽が収納移動されるとき、前記減速作用位置またはその近くに位置する収納付勢作用位置から前記収納位置の間において、前記洗浄槽を収納位置側に付勢移動させ、且つ、前記洗浄槽が前記引き出し位置側へ引き出し移動されるとき、引き出し付勢作用位置からそれよりも前記引き出し位置側の位置の間において、前記洗浄槽を引き出し位置側に付勢移動させるトグル機構が、前記洗浄槽が前記引き出し位置から前記収納位置側へ収納移動されたのち前記引出し位置と前記収納付勢作用位置との間において前記洗浄槽と連係し、且つ、前記洗浄槽が前記引出付勢作用位置よりも前記引き出し位置側に移動したときに前記引出し位置と前記収納付勢作用位置との間において前記洗浄槽と離脱するように構成されている食器洗浄機。
  2. 前記トグル機構が、前記収納付勢作用位置が前記引出し付勢作用位置よりも前記洗浄槽の引き出し移動方向側に位置されるように、トグル切り換え位置が前記洗浄槽の前記引出し位置側への引き出し移動により変更されるように構成されている請求項1記載の食器洗浄機。
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