JP3892749B2 - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、純水等の処理液による洗浄処理が終了した半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等(以下、「基板」と称する)を乾燥させる基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板処理装置では、種々の薬液による薬液処理、純水による洗浄処理等の表面処理が順次実施される。そして、純水による仕上げの洗浄が行われた後に、最終の処理として乾燥処理が実行される。このような基板の乾燥処理として、例えば、基板1枚ずつに対して基板処理を施すいわゆる枚葉式の基板処理装置において、従来より、基板を高速に回転させてその遠心力により水分を基板上から振り切って除去する振り切り乾燥(スピンドライ)が知られている。
【0003】
しかし、この振り切り乾燥では、近年の半導体デバイス構造の複雑化に伴い、ウォーターマークと呼ばれる乾燥不良が問題となっている。ウォーターマークとは、基板表面に付着した水分が基板の素材であるシリコンおよび空気中の酸素と反応して生じる乾燥シミであり、基板表面に水分が付着している時間が長いほど発生しやすい。
【0004】
そこで、純水より表面張力が小さく、かつ、蒸発潜熱の小さい有機溶剤であるイソプロピルアルコール(以下、「IPA」とも呼ぶ)を基板に吹きつけつつ、基板を回転させて乾燥させる方式も提案されている。IPAは、純水と比較して表面張力が小さく、浸透性が高いため、基板上に形成されたトレンチ構造等の微細パターン内部に入り込んだ水滴を容易に乾燥することができる。また、IPAは純水と比較して蒸発潜熱が小さく乾燥速度が速い。これらの理由により、基板を回転しつつ基板上にIPAを吹き付ける乾燥方式では、基板上の微細パターン内部に入り込んだ水滴を排水しつつ、基板上の水滴を振り切るため、基板表面に水分が付着している時間を短縮して、ウォーターマークの発生を抑制し、乾燥性能を向上させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、IPAのように環境に負荷を与える物質は、そのまま外部に放出することができず、所定の排液処理を施して無害な物質とする必要があるため、基板処理のコストが上昇するといった問題が生じる。また、IPAを使用する場合、防爆構造等の特別な安全機構を設ける必要があるため、基板処理装置が大型化し、さらに、基板処理装置の製造コストが上昇するといった問題も生じる。
【0006】
また、近年の半導体のさらなる微細化・複雑化にともない、IPAを使用しても、微細パターン内部に入り込んだ水滴を排水することが困難な場合も生じている。
【0007】
そして、このようなIPAを使用した乾燥処理の問題は、枚葉式の基板処理装置に限らず、複数の基板に対して一度に基板処理を行うバッチ式の基板処理装置においても生じる問題である。
【0008】
そこで、本発明は、乾燥剤を供給しながら乾燥する基板処理装置において、微細化・複雑化された構造を有する基板であってもウォーターマークを発生させることなく、しかも乾燥処理に要するコストの上昇を抑制することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、処理液による洗浄処理が終了した複数の基板の乾燥処理を行う基板処理装置であって、処理液を貯留し、前記処理液中に複数の基板を浸漬して所定の基板処理を行う処理槽と前記基板処理が終了した複数の基板を略鉛直姿勢にて保持しつつ前記処理槽から引き揚げる引き揚げ手段と前記処理槽の上方に設けられており、前記引き揚げ手段から受け渡された複数の基板を略鉛直姿勢にて保持する保持手段と、略水平方向に沿った回転軸を中心として複数の基板を保持して前記保持手段を回転させる回転手段と、前記回転手段を用いて基板を回転させつつ、処理液が付着した基板にフッ素系溶剤を主剤とする乾燥剤を供給する溶剤供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記保持手段に保持された基板に前記溶剤供給手段から乾燥剤を供給する際に、前記回転手段による基板の回転数を減少させる回転数制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、前記溶剤供給手段は、乾燥剤の蒸気を基板に供給することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記フッ素系溶剤はハイドロフルオロエーテルであることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記乾燥剤は、前記フッ素系溶剤とイソプロピルアルコールとを混合した溶剤であることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、処理液による洗浄処理が終了した基板の乾燥処理を行う基板処理方法であって、(a) 処理槽に貯留された処理液中に複数の基板を浸漬して所定の基板処理を行う工程と、 (b) 前記工程 (a) が終了した複数の基板を引き揚げ手段により略鉛直姿勢にて保持しつつ前記処理槽から引き揚げる工程と(c) 前記工程 (b) によって引き揚げられた略鉛直姿勢の複数の基板を前記引き揚げ手段から保持手段に受け渡す工程と(d) 前記保持手段に保持された基板を回転させつつ、処理液が付着した基板にフッ素系溶剤を主剤とする乾燥剤を供給する工、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、処理液による洗浄処理が終了した複数の基板の乾燥処理を行う基板処理装置であって、処理液を貯留し、前記処理液中に複数の基板を浸漬して所定の基板処理を行う処理槽と前記基板処理が終了した複数の基板を略鉛直姿勢にて保持しつつ前記処理槽から引き揚げる引き揚げ手段と前記処理槽の上方に設けられており、前記引き揚げ手段から受け渡された複数の基板を略鉛直姿勢にて保持する保持手段と、略水平方向に沿った回転軸を中心として複数の基板を保持して前記保持手段を回転させる回転手段と、前記回転手段を用いて基板を回転させつつ、処理液が付着した基板にシリコーン系溶剤を主剤とする乾燥剤を供給する溶剤供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
<1.第1実施形態>
(1) 基板処理装置の構成
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本発明の第1実施形態における基板処理装置100の正面図を、図2に、図1に示す基板処理装置100の側面図を、図3に、図1に示す基板処理装置100の構成要素であるローター30の斜視図をそれぞれ示す。なお、図1および以降の各図にはそれらの方向関係を明確にするため必要に応じてZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平平面とするXYZ直交座標系を付している。
【0020】
第1実施形態における基板処理装置100は、いわゆるバッチ式の基板処理装置であり、一度に複数の基板処理を施すことができるため、基板処理のスループットを向上させることができる。図1に示すように、基板処理装置100は、フッ酸等の薬液や純水(以下、「処理液」とも呼ぶ)を貯留した処理槽10に、複数の基板Wを略鉛直姿勢にて保持して浸漬し、所定の基板処理を行うものであり、主として、収容器1、処理槽10、リフター20およびローター30を備えている。
【0021】
収容器1は、その内部に処理槽10、リフター20、ローター30、窒素ガス吐出ノズル40、乾燥剤吐出ノズル50、純水吐出ノズル60等を収容する筐体である。収容器1の上部は図示を省略するスライド式開閉機構によって開閉可能とされている。収容器1の上部を開放した状態では、その開放部分から基板の搬出入を行う。一方、収容器1の上部を閉鎖した状態では、その内部を密閉空間とする。
【0022】
処理槽10は、処理液を貯留して複数の基板に順次表面処理を行う槽であり、収容器1の内部に収容されている。処理槽10の底部近傍には図示しない2本の処理液吐出ノズルが配置されており、処理液を処理槽10に貯留することにより、所定の基板処理を行うことができる。
【0023】
処理液は処理槽10の底部から供給されて処理槽10の上端部から溢れ出る。このため、処理槽10の上端部には回収部12が配置されており、処理槽10の上部から溢れ出た処理液の排液は回収部12において回収される。そして回収部12で回収された排液と、処理槽10の底部から排出される排液とは、収容器1の底部に連通接続された排液管15を介して基板処理装置100外部の排液ドレイン16へ排出される。なお、この排液管15を含めて、処理液等の液体の供給路や排出路は配管によって構成されている。
【0024】
図2に示すように、リフター20は、リフターアーム23、3本の保持棒21a、21b、21cおよび昇降駆動部22を備えている。昇降駆動部22は、リフターアーム23を図1の矢印AR2(Z軸方向)に沿って昇降させる機能を有している。リフターアーム23には、3本の保持棒21a、21b、21cがその長手方向が略水平(Y軸方向)となるように固設されており、3本の保持棒21a、21b、21cのそれぞれには基板Wの外縁部がはまり込んで基板Wを略鉛直姿勢にて保持する複数の保持溝が所定のピッチにて配列して設けられている。それぞれの保持溝は、Y方向に沿って形成された切欠状の溝である。
【0025】
このような構成により、リフター20は3本の保持部21a、21b、21cによって相互に平行に配列されて保持された複数の基板Wを処理槽10内に貯留されている処理液中に浸漬する浸漬位置(図1の実線位置)と収容器1内における処理槽10よりも上方の引き揚げ位置(図1の一点鎖線位置)との間で昇降される。また、リフター20は、基板Wを引き揚げ位置よりもさらに上方の受渡位置(装置外部の搬送ロボットとの間で基板Wの受け渡しを行わせる位置)にまで上昇させる。
【0026】
図3に示すように、ローター30は、上記の引き揚げ位置に設けられており、モータ31、回転板32および4本の保持アーム33を備える。保持アーム33は柱状の部材であって、その長手方向がY軸方向に沿うように回転板32に取り付けられている。保持アーム33は、Y軸方向と平行であってかつその中心軸から偏心した軸周りで揺動可能に回転板32に取り付けられている。4本の保持アーム33は、図示省略のリンク機構によって相互に連動して揺動するように構成されており、図1の矢印AR1に示すように、引き揚げ位置に位置する基板Wの端縁部に当接・押圧して当該基板Wを保持する保持位置(図1の実線位置)と基板Wの端縁部から離間して当該基板Wを開放する開放位置(図1の点線位置)との間で揺動する。
【0027】
リフター20からローター30に基板Wを渡すときには、リフター20が上昇して基板Wを引き揚げ位置に保持する。なお、リフター20の昇降時においては、保持アーム33が開放位置に位置して保持アーム33の間を基板Wが通過可能となるようにされている。リフター20によって引き揚げ位置に基板Wが保持された状態において、保持アーム33が開放位置から保持位置まで揺動して基板Wの端縁部に当接し、基板Wを保持する。この状態でリフター20が降下しても基板Wは保持アーム33によってローター30に保持された状態が維持される。逆に、ローター30からリフター20に基板Wを渡すときには、リフター20が上昇して保持棒21a、21b、21cがローター30に保持された基板Wの下端部に接触する。その状態にて保持アーム33が保持位置から開放位置まで揺動して基板Wの端縁部から離間し、基板Wはリフター20の3本の保持部21a、21b、21cによって保持されることとなる。
【0028】
回転板32の中心部はモータ31の回転軸34に固設されている。これにより、モータ31は回転板32、4本の保持アーム33およびそれらに保持された複数の基板WをY軸周りにて回転させることができる。すなわち、ローター30は、リフター20から渡された複数の基板Wを保持して水平軸周りにて一斉に回転させるものである。
【0029】
収容器1の内部には、上から順番に、窒素ガス吐出ノズル40、乾燥剤吐出ノズル50および純水吐出ノズル60が、それぞれ2本ずつ設けられている。図2に示すように、窒素ガス吐出ノズル40、乾燥剤吐出ノズル50および純水吐出ノズル60のそれぞれは、X方向に沿って伸びる中空の管状部材であり、X方向に等間隔にて配列された複数の吐出孔40a、50a、60aをそれぞれ備えている。窒素ガス吐出ノズル40に設けられている複数の吐出口40a、乾燥剤吐出ノズル50に設けられている複数の吐出口50aのそれぞれは、吐出方向が斜め下方向となるように、また、純水吐出ノズル60に設けられている複数の吐出口60aのそれぞれは、吐出方向が略水平方向となるように形成されている。
【0030】
また、2本の窒素ガス吐出ノズル40は、図1に示すように、配管41(41a、41b、41c、41d)およびバルブ42を介して窒素ガス供給源43と、2本の乾燥剤吐出ノズル50は、配管51(51a、51b、51c、51d)およびバルブ52を介して乾燥溶剤供給源56と、純水吐出ノズル60は、配管61(61a、61b、61c、61d)およびバルブ62を介して純水供給源63とそれぞれ連通接続されている。そのため、バルブ42を開放することにより、窒素ガス吐出ノズル40から窒素ガスを吐出して、収容器1内に窒素ガスを含む雰囲気を形成する。また、バルブ52を開放することにより乾燥剤吐出ノズル50から乾燥溶剤(後述するHFE)を、バルブ62を開放することにより純水吐出ノズル60から純水を吐出してローター30に保持された複数の基板Wに供給する。
【0031】
収容器1の内部で処理槽10の下方には、回収部11が設けられており、乾燥剤吐出ノズル50や純水吐出ノズル60から吐出される処理液、および処理槽10や回収部12からの排液を回収するのに使用される。回収部11は、処理槽10や回収部12と同様に、収容器1の底部の排液管15と連通接続されており、回収部11で回収された排液は基板処理装置100外部の排液ドレイン16へ排出される。
【0032】
また、収容器1内の雰囲気は、収容器1と連通接続された排気管17を介して基板処理装置100外部の排気ドレイン18に排気される。そのため、収容器1内の圧力は一定圧力に保たれる。
【0033】
制御部70は、プログラムや変数等を格納するメモリ71と、メモリ71に格納されたプログラムに従った制御を実行するCPU72とを備えている。CPU72は、メモリ71に格納されているプログラムに従って、リフター20の昇降制御、ローター30の回転制御、および各バルブの開閉制御等を所定のタイミングで行う。
【0034】
(2) 基板の乾燥処理シーケンス
ここでは、第1実施形態の基板処理装置100による基板の乾燥処理シーケンスについて説明する。図4は、所定の薬液処理が終了した複数の基板Wを、リフター20によって引き揚げ、リフター20からローター30に受け渡した時刻t0から乾燥処理が終了するまでの、バルブ40、50、60の開閉状態およびローター30の構成要素であるモータ31の回転数の一例を示すタイミングチャートである。
【0035】
時刻t0より前の期間において、リフター20によって保持された基板Wは、処理槽10に貯留される処理液に浸漬され、洗浄処理等の所定の基板処理が施される。所定の基板処理が終了すると、複数の基板Wはリフター20によって引き揚げ位置(図1の一点鎖線位置)まで上昇させられ、リフター20からローター30に受け渡される。この基板Wを浸漬位置(図1の実線位置)から引き揚げ位置まで上昇させて保持するまでの期間、窒素ガス供給源43と連通しているバルブ42が開放されて、収容器1内の雰囲気は、窒素ガスで満たされており、また、リフター20は浸漬位置から引き揚げ位置まで速やかに上昇させられるため、基板Wの表面に付着した水分等により発生するウォーターマークを抑制して、乾燥処理が施される引き揚げ位置まで基板Wを上昇することができる。なお、収容器1内の雰囲気は、排気管17を介して基板処理装置100外と連通接続されているため、窒素ガスが供給され続けても収容器1内の圧力は一定に保たれる。
【0036】
時刻t0において、停止しているモータ31の回転数nがn0に設定され、ローター30に保持されている基板Wが回転し始める。なお、時刻t0においても、バルブ42が開放されており、収容器1内は窒素雰囲気となっている。
【0037】
次に、モータ31の回転数がn0となった状態で時刻t1において、純水供給源63と連通するバルブ62が開放され、ローター30に保持されている複数の基板Wに純水が供給されて基板Wが純水洗浄される。このとき、バルブ42が開放されており、基板Wは、窒素雰囲気内で回転しつつ純水により洗浄される。そのため、基板Wでのウォーターマークの発生を抑制しつつ、洗浄処理を進行することができる。
【0038】
後に詳述するように、次の時刻t2においては、乾燥溶剤供給源56内に液体状態で収容されたフッ素系溶剤のハイドロフルオロエーテル(以下、「HFE」とも呼ぶ)が乾燥剤吐出ノズル50から噴霧されることにより、HFEの蒸気が基板Wに乾燥剤として供給される。ここでHFEは、その構造中に塩素原子を含まないフッ素系化合物であり、近年問題となっているオゾン層破壊の原因とならず、さらに、地球温暖化への影響も少ない環境問題に配慮された有機溶剤である。また、従来の乾燥処理において乾燥溶剤として使用されているIPAと比較して、引火性もない。そのため、IPAを使用して乾燥処理を行う従来の基板処理装置のように、防爆構造等の特別な安全機構を設ける必要がなく、基板処理装置が大型化するのを防ぐことができる。さらに、所定の排液処理を施して無害な物質とする必要がないため、排液処理のためのコストを低減することができる。
【0039】
また、HFEは表面張力が小さく、水のそれが71.8dyn/cm、IPAが20.8dyn/cmであるのに対して、HFEの表面張力は16.6dyn/cm以下である。そのため、HFEの浸透性はIPAより高く、トレンチ構造等の基板W上に形成された微細な配線パターン内部に入り込んだ水滴を容易に乾燥することができ、配線パターン内部に入り込んだ水滴の排水効率を向上させることができる。
【0040】
さらに、HFEは蒸発潜熱も小さく、水のそれが2256J/g、IPAが674J/gであるのに対して、低分子シリコーン系溶剤の蒸発潜熱は210J/g以下である。そのため、HFEを使用した乾燥処理は、IPAを使用した場合と比較して乾燥に要する時間を短縮することができる。
【0041】
このようなHFEの物性により、HFEを乾燥剤として使用した乾燥処理は、IPAを用いた従来の乾燥処理と比較して、微細パターン内部に入り込んだ水分を排水効率を向上させつつ、乾燥時間を短縮することができる。そのため、微細パターン内部に入り込んだ水分に起因したウォーターマークの発生をより抑制することができる。
【0042】
上記時刻t2における動作を詳述する。バルブ62を閉鎖して純水の供給を、バルブ42を閉鎖して窒素ガスの供給をそれぞれ停止するとともに、乾燥溶剤供給源56に連通接続するバルブ52が開放されて、基板Wに乾燥剤としてHFEが基板Wに供給される。また時刻t2において、モータ31の回転数nをn0からn1に低下させる。
【0043】
ここで、モータ31の回転数nを低下させるのは、基板Wに供給されてHFEがモータ31の回転による遠心力によって振り切られずに基板上に留まらせつつ基板W表面全体にHFEを行き渡らせて、基板Wに付着した純水とHFEとの置換効率を高めるためである。このとき、基板Wに供給されたHFEは、表面に付着した純水や微細パターン内部に入り込んだ純水と置換されていく。
【0044】
続いて、時刻t3において、バルブ52が閉鎖されてHFEの供給が停止されるとともに、バルブ42が開放されて窒素ガスが収容器1内に再供給され、収容器1内は窒素ガス雰囲気に置換されとともに、モータ31の回転数がn1からn0に増加される。そのため、基板W上に付着した純水と大部分のHFEとは、回転による遠心力によって振り切られて除去される。また、トレンチ構造等の微細パターン内部に入り込んだHFEは蒸発して基板W上から除去される。このとき、排気管17を介して外部と連通接続されている収容器1内には窒素ガスが供給され続けており、気化したHFEの蒸気は速やかに窒素ガスと置換されて、収容器1内のHFE蒸気の密度が収容器1内の雰囲気温度によって定まるHFEの蒸気が存在できる最大密度を超えることがないため、基板W上に留まっているHFEは速やかに蒸発する。そして、時刻t4において、モータ31の回転数をゼロに設定し、基板Wの回転を停止させて乾燥処理を終了する。
【0045】
(3) 第1実施形態の基板処理装置の利点
以上のように、第1実施形態の基板処理装置100の乾燥処理では、乾燥剤として、従来の乾燥処理において使用されていたIPAと比較して、蒸発潜熱が小さく、表面張力が小さいHFEを、純水が付着した基板Wに供給しながら、モータ31によって基板Wを回転させており、微細パターン内部の水滴の排水効率を向上させつつ、基板W上の水滴とフッ素系溶剤とを遠心力によって振り切って一気に除去することができる。そのため、微細パターン内部の乾燥不良をさらに抑制しつつ、乾燥性能を高めることができる。
【0046】
また、乾燥剤としてHFEを使用することにより、IPAを使用する従来の基板処理装置で必須となる防爆のための特別な装置を設置する必要がないため、乾燥処理に要するコストの上昇を抑制することができる。さらに、HFEは、その構造中に塩素原子を含まず、近年問題となっているオゾン層破壊の原因とならず、また、地球温暖化への影響も小さいため、排液処理を施して無害な物質とする必要がなく、排液処理のためのコストを低減することができる。
【0047】
また、基板WにHFEを供給する際に、モータ31の回転数を低下させることにより、基板W上に付着した純水とHFEとの置換効率を高めることができるため、乾燥効率を高めることができる。
【0048】
また、第1実施形態の基板処理装置100は、複数の基板Wを保持して、同時に乾燥処理を施すことができるため、処理のスループットを向上させることができる。
【0049】
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態における基板処理装置は、第1実施形態と比較して、後述するように乾燥剤供給機構が異なること、および基板Wに供給される乾燥剤が異なることを除いては、第1実施形態と同じである。そこで、以下ではこの相違点を中心に説明する。
【0050】
(1) 基板処理装置の構成
図5に、本発明の第2実施形態における基板処理装置100の正面図を示す。
第2実施形態における乾燥処理では、乾燥剤としてHFEの溶剤でなくHFEの蒸気を複数の基板Wに供給することにより乾燥処理が施される。そこで、ここでは、HFE蒸気供給部を中心に基板処理装置100の機構的構成について説明する。
【0051】
図5に示すように、2本の乾燥剤吐出ノズル50は、配管51(51a、51b、51c、51d)およびバルブ52を介して乾燥ガス供給源53と連通接続されている。乾燥ガス供給源53は、その内部にフッ素系溶剤であるHFEが液体状態で貯留されている。また、乾燥ガス供給源53は、配管54を介して窒素ガス供給源55と接続されており、乾燥ガス供給源53の内部に貯留されているHFEに窒素ガスを気泡として供給して、いわゆる窒素ガスによるバブリングを行うことができる。そのため、このバブリングによって窒素ガス中にHFEの気相(ガス)が混合し、窒素ガスをキャリアガスとしてHFE蒸気からなる乾燥ガスを配管51に送り、2本の乾燥剤吐出ノズル50からローター30に保持された複数の基板Wに供給する。
【0052】
(2) 基板の乾燥処理シーケンス
ここでは、第2実施形態の基板処理装置100による基板の乾燥処理シーケンスについて説明する。図6は、第1実施形態と同様に、所定の薬液処理が終了した複数の基板Wをローター30に保持した時刻t0から乾燥処理が終了するまでの、バルブ40、50、60の開閉状態およびローター30の構成要素であるモータ31の回転数の一例を示すタイミングチャートである。ここでも、第1実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0053】
時刻t0において、停止しているモータ31の回転数nがn0に設定され、ローター30に保持されている基板Wが回転し始める。
【0054】
次に、モータ31の回転数がn0となった状態で時刻t1において、純水供給源63と連通するバルブ62が開放され、ローター30に保持されている複数の基板Wに純水が供給されて基板Wが純水洗浄される。このとき、収容器1内は窒素雰囲気となっており、基板Wは、モータ31によって回転されつつ純水の供給をうけているため、ウォーターマークの発生を抑制することができる。
【0055】
続いて、時刻t2において、バルブ62を閉鎖して純水の供給を、バルブ42を閉鎖して窒素ガスの供給をそれぞれ停止するとともに、乾燥溶剤供給源56に連通接続するバルブ52が開放されて、基板Wに乾燥剤としてHFEの蒸気が基板Wに供給される。このとき、HFEの蒸気は基板W上で凝縮して水滴と置換する。HFEは、従来の乾燥処理において乾燥剤として使用されていたIPAと比較して表面張力が小さく、蒸発潜熱が小さいため、トレンチ構造等の微細な配線パターン内部に入り込んだ水滴も良好に排水して乾燥させることができる。さらに、HFE蒸気を乾燥剤として使用する場合、HFE溶剤を使用する場合と比較して、HFEの使用量を低減することができる。
【0056】
また、時刻t2において、モータ31の回転数nがn1に設定されて基板の回転速度が低下する。このとき、モータ31の回転数をn1に低下させるのは、基板W上にHFEを効率的に凝縮させるためである。
【0057】
続いて、時刻t3において、HFEの供給が停止されるとともに、窒素ガスが収容器1内に再供給され、収容器1内のHFE蒸気は窒素ガスと置換されて、排気管17を介して排気ドレイン18に排気される。さらに、モータ31の回転数がn1からn0に増加される。その結果、基板W上に付着した純水と大部分のHFEとは、回転による遠心力によって振り切られ、トレンチ構造等の微細パターン内部に入り込んだHFEは気化して基板W上から除去される。そして、時刻t4において、モータ31の回転数をゼロに設定し、基板Wの回転を停止させて乾燥処理を終了する。
【0058】
(3) 第2実施形態の基板処理装置の利点
このように、第2実施形態では、HFE蒸気を基板Wに供給し、基板Wで凝縮したHFE蒸気と純水とを置換することにより、基板処理装置100の乾燥処理を行っているため、第2実施形態の乾燥処理は第1実施形態と同様な長所を有することができる。
【0059】
さらに、第2実施形態では、HFE蒸気を乾燥剤として使用する場合、HFE溶剤を使用する場合と比較して乾燥処理におけるHFE使用量を低減し、処理液コストを低減することができる。
【0060】
<3.第3実施形態>
(1) 基板処理装置の構成
ここでは、本発明の第3実施形態について説明する。図7に、第3実施形態における基板処理装置200の正面図を、図8に、図7に示す基板処理装置200の上面図をそれぞれ示す。第3実施形態における基板処理装置200は、いわゆる枚葉式の基板処理装置であり、基板1枚ごとに基板処理を施すことができるため、基板間の処理のバラツキを抑制することができる。
【0061】
図7に示すように、第3実施形態における基板処理装置200は、基板Wを略水平姿勢にて保持しながら回転し、基板Wの上方から処理液を供給して所定の基板処理を行うものであり、主として、スピンベース110、雰囲気遮断板120およびカップ130を備えている。
【0062】
スピンベース110は、その上面に、複数のチャックピン111を立設して有している。この複数のチャックピン111のそれぞれが基板Wの周縁部を把持することによって、その基板Wをスピンベース110から所定間隔を隔てて略水平姿勢にて保持する。このときに基板Wの周縁部を確実に把持するために、チャックピン111の上端部は基板Wの上面より若干突き出る。
【0063】
スピンベース110の中心部下面側には回転軸112が垂設されている。回転軸112は、ベルト駆動機構114を介してモータ113と連動連結されている。モータ113が駆動すると、その駆動力はベルト駆動機構114を介して回転軸112に伝達され、回転軸112、スピンベース110とともにチャックピン111に保持された基板Wが水平面内にて鉛直方向に沿った軸を中心として矢印AR5方向に回転される。
【0064】
雰囲気遮断板120は、スピンベース110に対向して設けられた円盤形状の部材である。雰囲気遮断板120の中心部上面側には回転軸122が垂設されている。回転軸122の内側は中空となっており、その中空部分に処理液ノズル121が挿設されている。回転軸122はモータ123に連結されている。モータ123が駆動すると、回転軸122を介して雰囲気遮断板120が水平面内にて鉛直方向に沿った軸を中心として回転される。すなわち、雰囲気遮断板120は基板Wと平行かつ同軸に、しかもほぼ同じ回転数にて回転される。
【0065】
また、処理液ノズル121は、配管151(151a、151b)およびバルブ152を介して乾燥溶剤供給源156と連通接続されている。そのため、バルブ152を開放することによって、処理液ノズル121から基板Wの上面に乾燥溶剤を吐出する。なお、配管151は図示しない薬液供給源とも接続されており、図示しないバルブの開閉動作により所定の薬液を基板W上にして薬液処理を施すことができる。
【0066】
一方、回転軸122の内壁と処理液ノズル121との間の隙間は、配管141(141a、141b)およびバルブ142を介して窒素ガス供給源143と連通接続されている。そのため、バルブ142を開放することによって、回転軸122から基板Wの上面に不活性ガスとして窒素ガスを供給する。
【0067】
カップ130は、スピンベース110、それに保持された基板Wおよび雰囲気遮断板120の周囲を取り囲むように配置されており、それらの回転によって飛散した処理液を回収する。回収された処理液はカップ130の底部に設けられた排出口131および排液管115(115a、115b、115c)を介して基板処理装置200外部の排液ドレイン116に排出される。
【0068】
また、この種の基板処理装置は通常クリーンルーム内に設置されるものであり、そのクリーンルーム内を流下している清浄空気のダウンフローがカップ130の上部開口から流れ込む。カップ130に流れ込んだ清浄空気は、カップ130の底部に設けられた排出口131および排気管117(117a、117b、117c)を介して基板処理装置200外部の排気ドレイン118に排気される。このときに、カップ130内を浮遊している処理液の微小なミストも排気されることとなる。
【0069】
なお、上記以外にも、この基板処理装置には例えばカップ130や雰囲気遮断板120を矢印AR3方向に昇降させる機構等が設けられている。
【0070】
図8に示すように、カップ130の側部側の所定の位置に、純水吐出ノズル160が矢印AR6の方向に回動可能に設けられている。純水吐出ノズル160は、配管161(161a、161b)およびバルブ162を介して純水供給源163と連通接続されている。そのため、雰囲気遮断板120を純水吐出ノズル160と干渉しない所定位置まで移動させ、純水吐出ノズル160の吐出口を基板W上の中心位置の直上付近まで移動させ、バルブ162を開放することにより、基板Wに純水を供給する。
【0071】
制御部170は、プログラムや変数等を格納するメモリ171と、メモリ171に格納されたプログラムに従った制御を実行するCPU172とを備えている。CPU172は、メモリ171に格納されているプログラムに従って、モータ113、123の回転制御と、雰囲気遮断板120およびカップ130の昇降制御、および各バルブの開閉制御等を所定のタイミングで行う。
【0072】
(2) 基板の乾燥処理シーケンス
ここでは、第3実施形態における基板処理装置200による基板の乾燥処理シーケンスについて説明する。図9は、所定の薬液処理が終了した時刻t0から乾燥処理が終了するまでの、バルブ142、152、162の開閉状態およびモータ113、123の回転数の一例を示すタイミングチャートである。
【0073】
時刻t0より前の期間において、図示を省略する搬送ロボットによって未処理の基板Wがスピンベース110に渡され、チャックピン111によって周縁部が把持されることにより水平姿勢にて当該基板Wが保持される。次に、雰囲気遮断板120がスピンベース110に近接して基板Wの上方を覆うとともに、カップ130がスピンベース110および雰囲気遮断板120の周囲を囲むように位置する。続いて、スピンベース110および雰囲気遮断板120が回転され、それに伴い、スピンベース110に保持された基板Wが回転される。そして、回転している基板Wに対して、処理液ノズル121から所定の薬液が吐出されることにより所定の薬液処理が施される。
【0074】
時刻t0において、雰囲気遮断板120が純水吐出ノズル160と干渉しない位置まで矢印AR3方向に上昇されるとともに、純水吐出ノズル160が退避位置(図8の実線位置)から吐出位置(図8の点線位置)まで回動されて、純水吐出ノズル160の吐出口が基板W上方の所定位置に移動させられる。純水吐出ノズル160の移動が完了すると、純水供給源163に連通するバルブ162が開放され、純水が純水吐出ノズル160から吐出されて基板Wに供給される。このとき、モータ113は回転数n0'で回転し続けているため、基板W上に吐出された純水は、回転による遠心力によって純水落下位置から基板外側に向かって広がり、洗浄処理が進行する。
【0075】
また、時刻t0において、バルブ142が開放されており、窒素ガス供給源143と連通接続されている回転軸122の内壁と処理液ノズル121との間の隙間から窒素ガスが供給され続けている。そのため、基板W付近が窒素ガス雰囲気となり、基板Wと酸素とが接触することを抑制することができ、ウォーターマークの発生を抑制することができる。
【0076】
次に、時刻t1において、バルブ162が閉鎖されて純水の供給が停止され、純水吐出ノズル160が吐出位置から退避位置に移動させられるとともに、バルブ142が閉鎖されて窒素ガスの供給が停止される。また、時刻t1において、雰囲気遮断板120が純水吐出ノズル160と干渉しない位置から矢印AR3方向に下降されて複数のチャックピン111と干渉しない位置まで移動させられる。さらに、乾燥溶剤供給源156に連通するバルブ152が開放されて基板Wに乾燥剤としてHFEが基板Wに供給されるとともに、モータ113の回転数n'をn0'からn1'に低下させる。
【0077】
ここで、雰囲気遮断板120を下降させるのは、基板Wを回転させる際にカップ130から跳ね返った処理液や汚染物質が基板Wの表面に付着するのを防止する目的である。また、モータ113の回転数n'を低下させるのは、基板Wに供給されてHFEがモータ31の回転による遠心力によって振り切られずに基板上に留まらせつつ基板W表面全体にHFEを行き渡らせるためである。そして、基板Wに供給されたHFEは、微細パターン内部にも入り込んでいく。
【0078】
このように、第3実施形態では第1実施形態と同様に乾燥剤としてHFEを使用している。HFEは、従来の乾燥処理で使用されていたIPAと比較して表面張力が小さく蒸発潜熱が小さいため、従来乾燥処理と比較して微細パターン内部に入り込んだ水分を排水効率を向上させつつ、乾燥時間を短縮することができ、微細パターン内部に入り込んだ水分に起因したウォーターマークの発生をより抑制することができる。
【0079】
続いて、時刻t2において、バルブ152が閉鎖されてHFEの供給が停止されるとともに、バルブ142が開放されて窒素ガスが再供給されて、基板W付近が窒素ガス雰囲気に置換されるとともに、モータ113の回転数がn1'からn0'に増加される。そのため、基板W上に付着した純水と大部分のHFEとは、回転による遠心力によって振り切られて除去され、効率的に基板W上の水滴を除去することができる。
【0080】
また、微細パターン内部に入り込んだHFEは気化して基板W上から除去される。このとき、基板W付近の雰囲気は、排出口131および排気管117を介して排気ドレイン118に連通接続されており、気化したHFEの蒸気は速やかに窒素ガスと置換されるため、基板W上に留まっているHFEは速やかに蒸発する。そして、時刻t3において、モータ113の回転数n'をゼロとし基板Wの回転が停止されて乾燥処理を終了する。
【0081】
(3) 第3実施形態の基板処理装置の利点
以上のように、第3実施形態の基板処理装置200の乾燥処理では、第1実施形態と同様に、純水が付着した基板Wに乾燥剤としてフッ素系溶剤のHFEの蒸気を供給しつつモータ113によって基板Wを回転させることにより、基板W上に形成された微細パターン内部の水滴と乾燥剤との置換効率を向上させ、当該微細パターン内部の水滴の排水効率を向上させしつつ、基板W上の水滴とフッ素系溶剤とを遠心力によって振り切って一気に除去することができる。そのため、IPAを乾燥剤として使用する従来の乾燥処理と比較して、微細パターン内部の乾燥不良をさらに抑制しつつ、乾燥性能を高めることができる。
【0082】
また、乾燥剤としてHFEを使用しているため、第1実施形態と同様に、従来の基板処理装置のように防爆のための特別な装置を設置する必要がなく、乾燥処理に要するコストの上昇を抑制することができる。さらに、HFEはオゾン層破壊の原因とならず、地球温暖化への影響も小さいため、排液処理のためのコストを低減することができる。
【0083】
また、基板WにHFEを供給する際に、モータ113の回転数を低下させることにより、乾燥効率を高めることができる。
【0084】
また、1枚ずつ基板処理することにより、基板間の乾燥処理のバラツキを抑制しつつ、乾燥不良を抑制することができる。
【0085】
<4.変形例>
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0086】
第1実施形態および第3実施形態において、乾燥剤としてフッ素系溶剤のHFEを使用しているが、HFEにIPAを1%〜10%(好ましくは3%〜7%、特に好ましくは5%)体積程度混合した溶剤(以下、「HFE混合溶剤」とも呼ぶ)を使用してもよい。HFE混合溶剤を乾燥剤として使用することにより、純水と乾燥溶剤との浸透性をさらに高めることができるため、基板上に形成された微細パターン内部に入り込んだ水滴の排水効率を高め、乾燥効率を向上させることができる。すなわち、この発明における乾燥剤としては、純粋なHFEだけでなく、HFEを主剤とする乾燥剤を利用できる。
【0087】
また、第2実施形態では、乾燥ガス供給源53に、フッ素系溶剤であるHFEを貯留しているが、これに代えてHFE混合溶剤を貯留し、基板にHFE混合溶剤の蒸気を供給してもよい。基板上で凝縮したHFE混合溶剤は、HFEと比較して純水への浸透性が高いため、基板上に形成された微細パターン内部に入り込んだ水滴の排水効率を高め、乾燥効率を向上させることができる。
【0088】
また、第2実施形態では、乾燥ガス供給源53に、フッ素系溶剤であるHFEを貯留しているが、これに代えてシリコーン系溶剤を主剤とする乾燥剤を貯留してもよい。例えば、2量体から5量体まで低分子シリコーン系溶剤の場合、蒸発潜熱は、純水が2256J/g、IPAが674J/gであるのに対して、低分子シリコーン系溶剤の蒸発潜熱は300J/g以下、表面張力も、水が71.8dyn/cm、IPAが20.8dyn/cmであるのに対して、低分子シリコーン系溶剤の表面張力は16.5dyn/cm以下となる。そのため、窒素ガスをキャリアガスとしたシリコーン系溶剤の蒸気を乾燥ガスとして使用した場合、IPA蒸気を使用する場合と比較して、純水との浸透性に優れ、かつ乾燥速度をも高めることができ、フッ素系溶剤の蒸気場合と同様、乾燥性能を向上させることができる。
【0089】
【発明の効果】
請求項1から請求項6に記載の発明によれば、純水が付着した基板上にフッ素系溶剤を主剤とする乾燥剤を供給しながら基板を回転させることにより、基板上に形成されたトレンチ構造等の微細パターン内部の水滴を排水しつつ、基板上の純水とフッ素系溶剤とを遠心力によって振り切って一気に除去することができる。そのため、微細パターン内部の乾燥不良を抑制しつつ、乾燥性能を高めることができる。
【0090】
また請求項1から請求項6に記載の発明によれば、同時に複数の基板を乾燥することができるため、乾燥処理のスループットを向上することができる。
【0092】
特に、請求項2に記載の発明によれば、フッ素系溶剤を主剤とする乾燥剤を供給する際に基板回転数を減少させることにより、微細パターン内部の純水の排水効率をさらに高め、乾燥効率を向上させることができる。
【0093】
特に、請求項3に記載の発明によれば、フッ素系溶剤の蒸気を基板に供給し、基板とフッ素系溶剤の蒸気とを効率的に接触させることにより、純水付着部分にフッ素系溶剤を主剤とする乾燥剤の蒸気を凝縮させるため、フッ素系溶剤の使用量を低減しつつ乾燥性能を向上させることができる。
【0094】
特に、請求項4に記載の発明によれば、純水と比較して表面張力が小さく蒸発潜熱の小さいハイドロフルオロエーテルを乾燥剤の主剤として使用することにより、基板上に付着した純水とハイドロフルオロエーテルとを置換することができるため、乾燥効率を向上させることができる。
【0095】
また、ハイドロフルオロエーテルは、非可燃性であり防爆のための特別な装置を設置する必要がないため、乾燥処理に要するコストの上昇を抑制することができる。
【0096】
さらに、ハイドロフルオロエーテルは、その構造中に塩素原子を含まず、近年問題となっているオゾン層破壊の原因とならず、また、地球温暖化への影響も小さく、環境問題に配慮された有機溶剤であり、排液処理を施して無害な物質とする必要がないため、排液処理のためのコストを低減することができる。
【0097】
特に、請求項5に記載の発明によれば、フッ素系溶剤にイソプロピルアルコールを混合させた溶剤を乾燥剤として使用することにより、フッ素系溶剤のみを乾燥剤として使用した場合と比較して、乾燥剤と純水との浸透性を高めることができるため、乾燥効率を高めることができる。
【0098】
請求項7に記載の発明によれば、純水が付着した基板上にシリコーン系溶剤を主剤とした乾燥剤を供給しながら基板を回転させることにより、基板上の純水を遠心力によって振り切って除去しながら、トレンチ構造等の微細パターン内部の水滴を排水しつつ基板を乾燥することができるため、請求項1と同様な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における基板処理装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1の基板処理装置の側面図である。
【図3】図1のローターの斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態における供給部のバルブ開閉状態およびモータの回転数の一例を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態における基板処理装置の全体構成を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態における供給部のバルブ開閉状態およびモータの回転数の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態における基板処理装置の全体構成を示す図である。
【図8】図7の基板処理装置の上面図である。
【図9】本発明の第3実施形態における供給部のバルブ開閉状態およびモータの回転数の一例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
100 基板処理装置
1 収容器
30 ローター
50 乾燥剤吐出ノズル
56 乾燥溶剤供給源
200 基板処理装置
110 スピンベース
113 モータ
121 処理液ノズル
156 乾燥溶剤供給源
W 基板

Claims (7)

  1. 処理液による洗浄処理が終了した複数の基板の乾燥処理を行う基板処理装置であって、
    処理液を貯留し、前記処理液中に複数の基板を浸漬して所定の基板処理を行う処理槽と
    前記基板処理が終了した複数の基板を略鉛直姿勢にて保持しつつ前記処理槽から引き揚げる引き揚げ手段と
    前記処理槽の上方に設けられており、前記引き揚げ手段から受け渡された複数の基板を略鉛直姿勢にて保持する保持手段と、
    略水平方向に沿った回転軸を中心として複数の基板を保持して前記保持手段を回転させる回転手段と、
    前記回転手段を用いて基板を回転させつつ、処理液が付着した基板にフッ素系溶剤を主剤とする乾燥剤を供給する溶剤供給手段と、
    を備えることを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記保持手段に保持された基板に前記溶剤供給手段から乾燥剤を供給する際に、前記回転手段による基板の回転数を減少させる回転数制御手段
    をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、
    前記溶剤供給手段は、乾燥剤の蒸気を基板に供給することを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記フッ素系溶剤はハイドロフルオロエーテルであることを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記乾燥剤は、前記フッ素系溶剤とイソプロピルアルコールとを混合した溶剤であることを特徴とする基板処理装置。
  6. 処理液による洗浄処理が終了した基板の乾燥処理を行う基板処理方法であって
    (a) 処理槽に貯留された処理液中に複数の基板を浸漬して所定の基板処理を行う工程と、
    (b) 前記工程 (a) が終了した複数の基板を引き揚げ手段により略鉛直姿勢にて保持しつつ前記処理槽から引き揚げる工程と
    (c) 前記工程 (b) において引き揚げられた略鉛直姿勢の複数の基板を前記引き揚げ手段から保持手段に受け渡す工程と
    (d) 前記保持手段に保持された基板を回転させつつ、処理液が付着した基板にフッ素系溶剤を主剤とする乾燥剤を供給する工程と
    を備えることを特徴とする基板処理方法
  7. 処理液による洗浄処理が終了した基板の乾燥処理を行う基板処理装置であって、
    処理液を貯留し、前記処理液中に複数の基板を浸漬して所定の基板処理を行う処理槽と
    前記基板処理が終了した複数の基板を略鉛直姿勢にて保持しつつ前記処理槽から引き揚げる引き揚げ手段と
    前記処理槽の上方に設けられており、前記引き揚げ手段から受け渡された複数の基板を略鉛直姿勢にて保持する保持手段と
    略水平方向に沿った回転軸を中心として複数の基板を保持して前記保持手段を回転させる回転手段と、
    前記回転手段を用いて基板を回転させつつ、処理液が付着した基板にシリコーン系溶剤を主剤とする乾燥剤を供給する溶剤供給手段と
    を備えることを特徴とする基板処理装置。
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