JP3889884B2 - 駆動連結装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一つの回転伝達系に選択的に2つの駆動系を連結する駆動連結装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、反転機構付枚葉輪転印刷機においては、各胴を回転させる胴のギア群によって構成される駆動系に、噛合および噛合が解除されるギアが設けられ、このギアを噛合させ、このギアをモータによって回転駆動させることにより、胴の位相を変えて片面刷から両面刷に切り替えるようにしている。また、この駆動系には、噛合および噛合が解除される別のギアが設けられ、印刷時に胴間に紙が詰まったときに、この別のギアを駆動系に噛合させハンドルを手動で操作することにより、胴を回動させ詰まった紙を取り除くようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の駆動連結装置においては、2つのギアが同時に駆動系に噛合できる構造になっているので、片面刷から両面刷に対応するように胴の位相を位置付けている間またはその直後に、誤ってハンドルを操作してしまうと、胴の位相がずれ、このまま印刷機を駆動すると、胴の位相がずれたことによって機械を破損するおそれがあった。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、誤連結を防止した駆動連結装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係る駆動連結装置は、移動自在に支持された第1の軸に軸着された第1のギアと、移動自在に支持された第2の軸に軸着された第2のギアと、これら第1のギア、第2のギアが噛合する第3のギアとを備えた駆動連結装置において、前記第1のギアと前記第3のギアとが噛合している状態において、前記第1の軸に、前記第2のギアの前記第3のギアと噛合する方向への移動を規制し前記第2のギアと前記第3のギアとの噛合を阻止する押圧部材を設けたものである。
したがって、第1のギアと第2のギアとが同時に第3のギアに噛合することがない。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る駆動連結装置を適用した反転機構付枚葉輪転印刷機の要部を断面して示す側面図、図2は図1におけるII矢視図、図3は同じく印刷切替装置を断面して示す側面図である。
図1において、1aは原動側のフレームであって、このフレーム1aには、スタッド2を介して断面が略ロの字状に形成されたブラケット3が取り付けられており、このブラケット3には一対のスタッド部材4,4を介して支持板5が取り付けられている。この支持板5には補助原動モータ6が固定され、この補助原動モータ6のモータ軸7は、ブラケット3に回転自在に支持された伝達軸9の一端にカップリング8を介して連結されている。回転軸9の他端には歯幅が大きく形成されたギア10が軸着され、このギア10にはギア11が噛合し、このギア11は軸12に軸着され、この軸12はブラケット3に回転自在で、かつ図中矢印A−B方向に移動自在に支持されている。
【0007】
この軸12のフレーム1a側に突出した一端には、相対向する一対の円板14a,14aによって溝が形成された溝カム14が固着されている。図2において、15はブラケット3に枢着されたエアシリンダであって、ロッド16がレバー17の一端に枢着されている。18は枢軸であって、この枢軸18はブラケット3に固定された軸支承部材19に回動自在に支持され、一端に前記レバー17の他端が軸着されている。この枢軸18の他端にはレバー20の一端が軸着され、レバー20の他端には前記溝カム14の溝に係入するカムフォロア21が支持されている。したがって、エアシリンダ15が作動してロッド16が前進すると、枢軸18が図1中時計方向に回動し、カムフォロア21が矢印A方向に移動するので、軸12が矢印A方向に移動し、軸12のブラケット3から突出した他端に軸着されたギア23がギア24に噛合するように構成されている。軸12の突出端部には、ギア23の径よりも小さい径に形成された押圧部材25が取り付けられている。
【0008】
26はプーリであって、図示を省略した原動モータの回転がベルトを介して伝達され、前記ギア24はこのプーリ26に固定されており、このプーリ26を介して駆動軸27の一端部に軸着されている。この駆動軸27はフレーム1aとこのフレーム1aに固定されたブラケット28とによって回転自在に支持され、他端部にはギア29が軸着されている。このギア29には、図示を省略した1番目の印刷ユニットの圧胴の端軸に軸着されたギアが噛合している。したがって、補助原動モータ6の回転は、ギア10,11,23,24,29を介して圧胴に伝達されるように構成されている。
【0009】
図3において、30は連結軸であって、この連結軸30は、上述した補助原動モータ6の回転が伝達されて回動する圧胴の操作側のフレーム1b側の端軸に軸着されたギア、クラッチ手段およびかさ歯車等(いずれも図示せず)を介して補助原動モータ6の回転が伝達されるように構成されている。この連結軸30はフレーム1bの外側に固定された軸支承部材36に回動自在に支持されており、連結軸30の一端にはかさ歯車31が軸着され、このかさ歯車31にはかさ歯車32が噛合している。このかさ歯車32は軸33の一端に軸着され、軸33はフレーム1bとブラケット34とによって回動自在に支持されており、軸33の他端のフレーム1b内に突出した突出端部には中間ギア35が軸着されている。
【0010】
フレーム1bの内面には、2番目の印刷ユニットの圧胴36と同心円上に設けられた環状のカム台37がボルトによって固定されている。このカム台37には、環状の片面刷用カム38が、その外周カム面を後述するカムフォロア44に対接するようにして軸承され、ボルトによってカム台37に固定されている。カム台37の外周面には、上述した中間ギア35に噛合する環状の調整ギア39が軸承されている。この調整ギア39には、移動カムとして機能する環状の両面刷用カム40がその外周カム面をカムフォロア44に対接されるようにして軸承され、ボルトによって調整ギア39に固定されている。
【0011】
圧胴36の外周部をその円周方向において2等分する箇所には、断面三角形状の切欠き(図示せず)が設けられており、両方の切欠き内には、それぞれ回動自在に支持された爪軸42が設けられている。それぞれの爪軸42には、くわえ爪装置が並設されており、爪軸42の両端部には、レバー43が固定され、その遊端部には幅広のカムフォロア44がピンによって枢着されている。
このような構成において、連結軸30を回動させると、かさ歯車31,32、軸33、中間歯車35を介して調整歯車39が回動し、これと一体の両面刷用カム40と、フレームに固定された片面刷用カム38との位相が調整され、片面刷と両面刷との切替えが行われる。
【0012】
45はエアシリンダであって、そのロッド46には、レバー47の一端が固定され、このレバー47の他端には、レバー48の一端が枢着されている。フレーム1bの外面には凹部49が形成され、この凹部49の底部には固定台50が固定されている。この固定台50の上部には、上述したレバー48の他端部が、ピン51を介して回動自在に支持されており、レバー48の他端には、カム部48aが突設されている。51は揺動部材であって、一端がレバー48のカム部48aに係合するように、凹部49の両側部に横架されたピン52を介して揺動自在に支持されており、一端側には、調整ねじ53がねじ込まれ先端が突出している。
【0013】
54は略円柱状に形成された押圧子であって、皿ばね55によって上述した調整ねじ53の先端を押圧し、揺動部材51をピン52を回動中心として図中反時計方向に回動するように付勢されている。フレーム1bの凹部49の底部の調整ギア39に対応した部位には挿通孔49aが穿設され、この挿通孔49aには、略円柱状の押圧部材54が矢印A−B方向に摺動自在に支持されている。押圧部材54の上端部の側面に植設されたピン55が揺動部材51の他端の下端に係合している。
【0014】
このような構成において、図示を省略した両面刷切替スイッチを起動すると、図2におけるエアシリンダ15が作動し、ロッド16が前進するので、図1においてカムフォロア21が矢印A方向に移動する。軸12が矢印A方向に移動するので、ギア23がギア24に噛合する。このとき、ギア10の歯幅が大きく形成されているので、ギア10とギア11とは噛合状態が保持される。
【0015】
図1において、補助原動モータ6が回転を開始し、その回転は、モータ軸7、伝達軸9、ギア10、ギア11、軸12、ギア23を介してギア24に伝達される。図3に示すエアシリンダ45が作動しロッド46が後退し、レバー48がピン51を回動中心として、図中反時計方向に回動し、レバー48の大径部48aが揺動部材51を皿ばね55の弾発力に抗してピン52を回動中心として時計方向に回動させる。したがって、押圧部材54によって調整ギア39を介して片面刷用カム38に押圧されていた両面刷用カム40の押圧が解除され、両面刷用カム40がカム台48の周りを回動自在になり、片面刷用カム38に対する位相調整が可能になる。
【0016】
連結軸30とギア24との間のクラッチ(図示せず)が接続されると、補助原動モータ6の回転は連結軸30に伝達され、図3に示すように、連結軸30の回転は、かさ歯車31,32を介して軸33に伝達され、中間ギア35、調整ギア39を介して、両面刷用カム40が片面刷用カム38に対して位相調整される。以上説明した印刷切替装置については、従来から広く使用されている反転機構付枚葉輪転印刷機における印刷切替装置と格別変わるところはない。
【0017】
次に、図1に基づいて、本発明の特徴である手動によって各胴を回動させる手動回動装置について説明する。
60はスタッド部材4の外側に立設するように固定された支持板であって、この支持板60には、スタッド61,61を介してブラケット62が固定され、このブラケット62には金具63を介してリミットスイッチ64が取り付けられている。65は操作軸であって、前記支持板60とブラケット62の孔に矢印A−B方向に摺動自在に支持され、この操作軸65は上述した軸12と同軸上となるように位置付けられている。
【0018】
この操作軸65の支持板60から突出した突出端部にはギア66が軸着され、このギア66のギア23に対向する端面には、押圧部材25が係入する凹部67が形成されている。操作軸65の支持板60に近接した部位にはストッパ68が取り付けられ、リミットスイッチ64に近接した部位には作動部材69が取り付けられている。また操作軸65の他端には、この操作軸65に直交するようにクランク部材70の一端が固定され、このクランク部材70の他端にはハンドル71が固定されている。
【0019】
この操作軸65を矢印B方向に移動させ、ストッパ68を支持板60に当接させると、ギア66がギア24に噛合し、作動部材69がリミットスイッチ64を動作させるように構成されている。リミットスイッチ64が動作すると、印刷切替用の補助原動モータ6と印刷機の各胴を回転させる図示を省略した原動モータを非作動状態とする。したがって、操作軸65を矢印B方向に移動させて、ギア66をギア24に噛合させ、ハンドル71を手によって把持しクランク部材70を介して操作軸65を回動させると、ギア24を介して各胴が回動するので、詰まった紙を取り除くことができる。
【0020】
このような構成において、エアシリンダ15を作動させロッド16を前進させてギア23をギア24に噛合させ、片面・両面刷の切替動作中あるいは切り替え終了直後に、誤って操作軸65を矢印B方向に移動させても、軸12の押圧部材25がギア66の凹部67に係合する。したがって、操作軸65の矢印B方向への移動が規制され、ギア66がギア24に噛合することがなく、このため、片面・両面刷の切替えによって位置付けられた胴位相のずれを防止することができる。また、軸12と操作軸65とを同軸上に設けたので、装置が小型化される。また、ギア23とギア66とを直接係合させるようにしたので、部品点数が最小限で済むとともに、構造が簡素化される。
【0021】
なお、この第1の実施の形態では、軸12と操作軸65とを同軸上に設けたが、ギア23とギア66との相対向する面が係合する範囲であれば、軸12と操作軸65とを必ずしも同軸上に設ける必要はない。
【0022】
図4は本発明の第2の実施の形態の要部を断面して示す側面図である。
この第2の実施の形態が上述した第1の実施の形態と異なる点は、操作軸65にも、軸12に設けた溝カム14およびカムフォロア21と同じ溝カム75とカムフォロア76が設けられている点にある。すなわち図示を省略したエアシリンダを作動させると、枢軸77が図中時計、反時計方向に回動し、カムフォロア76が矢印A−B方向に移動するので、操作軸65が溝カム75を介して矢印A−B方向に移動するように構成されている。そして、この溝カム75を介して操作軸65を移動させる図示を省略したエアシリンダは、軸12を移動させるエアシリンダ15と連動動作する。
【0023】
すなわち軸12が矢印A方向に移動すると、操作軸65も矢印A方向に移動しその状態が保持され、軸12が矢印B方向に移動すると、操作軸65が矢印B方向に移動可能となるように構成されている。したがって、ギア23がギア24に噛合しているときは、ギア66がギア24に噛合することはない。ギア66をギア24に噛合させるには、エアシリンダ15を作動させ軸12を矢印B方向に移動させ、ギア24に対するギア23の噛合を解除する。この状態することにより、操作軸65を矢印B方向に移動させることが可能になるので、図示を省略したエアシリンダを作動させて、ギア66をギア24に噛合させ、ハンドル71を操作することにより、各胴を回動させることができる。
なお、この第2の実施の形態では、必ずしも軸12と操作軸65とを同軸上に設ける必要はない。
【0024】
図5は本発明の第3の実施の形態の要部を模式的に示す側面図である。
この第3の実施の形態が、上述した第1の実施の形態と異なる点は、軸12と操作軸65とが同軸上に設けられてなく、連結部材80を介して連結されている点にある。すなわち軸12が延設され、この延設部に連結部材80の一端が、スリーブ81を介して回動自在でかつ軸方向の移動が規制されるようにして取り付けられている。連結部材80の他端は、操作軸65にスリーブ82を介して回動自在でかつ軸方向の移動が規制されるようにして取り付けられている。
【0025】
このような構成において、軸12を矢印A方向に移動させ、ギア23を実線に示す位置、すなわちギア24に噛合させると、操作軸65は連結部材80を介して矢印A方向に移動するので、ギア66は実線で示す位置、すなわちギア24との噛合が解除した位置に移動する。また、ハンドル71を介して各胴を手動によって回動させる場合には、軸12を矢印B方向に移動させることにより、ギア23がギア24との噛合が解除する図中二点鎖線で示す位置に移動する。替わりに、連結部材80を介して操作軸65が矢印B方向に移動するので、ギア66がギア24に噛合する。
【0026】
なお、本実施の形態では、本発明の駆動連結装置を反転機構付枚葉輪転印刷機において、各胴を手動により回動させるハンドルと、印刷切替装置の補助原動モータとの間に適用したがこれに限定されない。例えば、印刷機の折機において、断裁胴の刃の位置を調整するための手回し用ハンドルと、本機を駆動するための原動モータとの間に用いてもよい。また、印刷ユニットのインキ装置を駆動する原動モータとインキ装置を洗浄するためのモータとの間のクラッチ手段として用いてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、誤連結が防止されるので、装置を破損するようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る駆動連結装置を適用した反転機構付枚葉輪転印刷機の要部を断面して示す側面図印刷切替装置を断面して示す側面図である。
【図2】 図1におけるII矢視図である。
【図3】 本発明に係る駆動連結装置を適用した反転機構付枚葉輪転印刷機における印刷切替装置を断面して示す側面図である。
【図4】 本発明に係る駆動連結装置の第2の実施の形態を適用した反転機構付枚葉輪転印刷機における印刷切替装置を断面して示す側面図である。
【図5】 本発明に係る駆動連結装置の第3の実施の形態を模式的に示した側面図である。
【符号の説明】
6…補助原動モータ、12…第1の軸、15…エアシリンダ、23…第1のギア、24…第3のギア、25…押圧部材、39…片面刷用カム、41…両面刷用カム、42…カム軸、65…操作軸、66…第2のギア、71…ハンドル。
Claims (1)
- 移動自在に支持された第1の軸に軸着された第1のギアと、
移動自在に支持された第2の軸に軸着された第2のギアと、
これら第1のギア、第2のギアが噛合する第3のギアとを備えた駆動連結装置において、
前記第1のギアと前記第3のギアとが噛合している状態において、前記第1の軸に、前記第2のギアの前記第3のギアと噛合する方向への移動を規制し前記第2のギアと前記第3のギアとの噛合を阻止する押圧部材を設けたことを特徴とする駆動連結装置。
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