JP3887979B2 - 情報処理装置及びエンジン制御装置 - Google Patents

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  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド型車両の内燃機関を制御する技術に関し、特に、所定条件下で当該内燃機関の運転を停止するハイブリッド型車両の内燃機関を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両は、内燃機関によって発生させた回転出力を車輪(駆動輪)に伝達して走行するようになっているが、騒音や排気ガスが発生するため、モータを走行動力源として走行するようにした電気自動車が提案されている。
【0003】
ところが、電気自動車は、バッテリに予め充電しておいた電力のみを利用するものであることから、航続距離が短いという欠点があり、そのため、近年では、内燃機関とモータとを併有したハイブリッド型車両が注目されている。
そして、この種のハイブリッド型車両としては、様々な型式のものが提案されている。内燃機関により発電機を駆動し、その発電電力によりモータを回転させて、そのモータの回転出力を車輪に伝達するといった具合に、内燃機関がモータを回転させるために用いられる発電機の駆動だけを行いモータのみにより車輪の駆動を行うシリーズ型のものや、内燃機関とモータとの両方によって車輪に駆動力を与えるパラレル型のもの、更に、内燃機関の出力を、車両の走行状態に応じて、モータのための発電機の駆動のみに用いたり、モータの出力と共に車輪の駆動に用いたりするパラレル・シリーズ型のもの等がある。
【0004】
このようなハイブリッド型車両では、内燃機関によるモータを回転させるための発電機の駆動あるいは車輪の駆動が特に必要とされない期間中、内燃機関の運転を停止して騒音や排気ガスの発生を抑えることが考えられる。例えば特開平9−322305号公報には、種々の運転モードで走行するハイブリッド型車両に関する技術として、内燃機関の運転停止状態から内燃機関始動までのタイムラグをモータ側の出力で補う技術が開示されている。すなわち、ここに開示されるハイブリッド型車両は、運転モードによって内燃機関の運転を停止するものの一例である。
【0005】
このような内燃機関の運転制御は、エンジンECUと呼ばれる内燃機関の制御装置(以下「エンジン制御装置」という。)によって行われるのであるが、このエンジン制御装置は、内燃機関の出力軸の回転に同期して出力される回転角信号及び基準信号に基づいて、燃料噴射処理、燃料への点火処理を実行するのが一般的である。回転角信号とは、内燃機関の出力軸の回転角度を把握するために出力される信号であり、通常ne信号と呼ばれるものである。また、基準信号とは、内燃機関の出力軸の基準位置を示し、出力軸(クランク軸)のずれを検出するための信号であり、通常g信号と呼ばれるものである。このような内燃機関の出力軸に同期した2系統の信号に基づき、内燃機関の複数の気筒を識別し点火処理を行うのが一般的である。なお、特許第2744627号公報には、内燃機関の出力軸の回転に同期した1系統の回転角信号に基づき、内燃機関の複数の気筒を識別し点火処理を行う技術も開示されている。また、エンジン制御装置は、点火処理、燃料噴射処理だけでなく、回転角信号に基づく所定のダイアグノーシス処理(以下「ダイアグ」という。)等を実行する。
【0006】
このように、エンジン制御装置は、内燃機関の出力軸の回転に同期して出力される回転角信号に基づいて所定の処理を実行する。したがって、内燃機関の運転停止状態から内燃機関を始動させる場合、出力軸を例えばスタータによって回転させ、回転角信号を強制的に発生させることによって、エンジン制御装置による運転制御が開始される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関の運転停止状態にあっても、車両の振動等によって内燃機関の出力軸が正方向(内燃機関の運転時に回転する方向)、逆方向に微少な回転角度で交互に回転したり、あるいは、出力軸が発電機等に接続されていれば、接続された発電機等からの負荷によって逆回転させられる可能性がある。
【0008】
さて、出力軸の回転に同期した回転角信号は、例えば特許第2744627号公報に開示されるように出力軸の回転に連動して回転する円盤に設けられた窓の通過を光学式のセンサによって検出したり、また、出力軸の回転に連動して回転する円盤の周囲に所定間隔で設けられた突起を電磁式のセンサで検出したりして得られるものである。
【0009】
そのため、出力軸が正方向、逆方向へ交互に回転した場合、微少な回転角度であっても、上述した円盤に設けられた窓あるいは突起がセンサ付近に存在すると、あたかも出力軸が回転しているかのように回転角信号が発生する。また、出力軸が例えば発電機からの負荷によって逆回転する場合も、同様に、あたかも出力軸が正常に回転しているかのように回転角信号が発生することになる。つまり、内燃機関が運転状態あるいは始動状態にないにもかかわらず、回転角信号(異常な回転角信号)が発生する可能性がある。
【0010】
ところが、内燃機関の制御装置は、回転角信号の正常、異常を区別せず、一律に回転角信号に基づく処理を実行する。その理由は、ハイブリッド型車両でなければ、走行中に内燃機関の運転を停止するという概念が存在せず、異常な回転角信号が発生することもなかったからである。
【0011】
そして、このような異常な回転角信号に基づく処理を実行すれば、以下に示すような不都合が生じることになる。すなわち、ダイアグが実行されれば、誤った診断をしてしまうことが考えられる。このダイアグには、例えば内燃機関に吸入される空気量を検出するセンサであるエアフローメータの断線ダイアグ、排ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサのダイアグ、一種の振動ピックアップであるノックセンサのダイアグ、水温センサのダイアグ等が考えられる。これらのダイアグでは、内燃機関の運転を条件としているが、実際には内燃機関は運転停止状態にあるため正確な診断がなされない。また、例えば内燃機関の出力軸が逆回転させられている状態で、燃料噴射処理、点火処理等が実行されれば、内燃機関が破壊されてしまうおそれがある。
【0012】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、内燃機関の運転停止状態において出力された回転角信号が異常であるか否かを判断し、異常な回転角信号に基づく処理によって生じる不具合を防止することを目的する。
【0013】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
本発明の情報処理装置は、内燃機関とモータとを併有するハイブリッド型車両に用いられる。ここで内燃機関とモータとを併有するハイブリッド型車両には、モータのみを走行動力源とし、内燃機関をモータを回転させるための電力を生成する発電機の駆動に用いるシリーズ型のハイブリッド型車両、モータ及び内燃機関を共に走行動力源とするパラレル型、パラレルシリーズ型のハイブリッド型車両を含む。また、ここでいうハイブリッド型車両は、所定条件下で内燃機関の運転を停止するものである。所定条件には、内燃機関が発電機のみを駆動するために用いられるハイブリッド型車両であれば、例えばその発電機によってバッテリが十分に充電されている場合等が該当する。また、モータ及び内燃機関を共に走行動力源とするハイブリッド型車両であれば、例えばモータのみの出力で十分な駆動力が得られる走行状態にある場合等が該当する。
【0014】
そして、本発明の情報処理装置には、回転位置検出手段から出力される回転角信号と、基準位置検出手段から出力される基準信号とが入力される。回転位置検出手段は、内燃機関の出力軸が、出力軸の一回転に対して複数設定される所定の回転位置となったことを検出する。一方、基準位置検出手段は、内燃機関の出力軸の回転位置が、出力軸の一回転に対して設定される基準位置となったことを検出する。この基準位置は、回転角信号の出力される所定の回転位置の間隔よりも広い間隔で設定される。このように本情報処理装置には、外部より内燃機関の出力軸の回転に同期して出力される2系統の信号が入力されることを前提としている。
【0015】
情報処理装置は、少なくとも回転角信号に基づく所定の処理を実行する。例えば回転角信号及び基準信号に基づき、内燃機関に対する燃料噴射制御、点火時期制御等を実行することが考えられる。また、回転角信号に基づき各種ダイアグ等の処理を実行することが考えられる。なお、燃料噴射制御、点火時期制御は、燃料噴射量や点火タイミングである制御量を算出し、外部の燃料噴射装置や点火装置へその制御量を出力するものである。
【0016】
ここで、以下の説明に対する理解を容易にするため、回転位置検出手段及び基準位置検出手段、また、それら各手段から出力される回転角信号及び基準信号について具体的な説明を加えることとする。
回転位置検出手段及び基準位置検出手段は、具体的には、クランク軸等に一体に設けられた円盤周囲の突起を検出してパルス信号を出力する電磁式のセンサであることが考えられる。また、特許第2744627号公報に開示されるような、クランク軸等に一体に設けられた円盤の窓を検出してパルス信号を出力する光学式のセンサであることも考えられる。
【0017】
そして、回転位置検出手段から出力される回転角信号は、内燃機関の出力軸の回転に同期して出力されるものであり、ne信号と呼ばれるものである。この回転角信号は、クランク軸の回転角を検出するための信号であり、複数箇所設定された所定の回転位置で出力される。例えばクランク軸の360度回転に対して34箇所の回転位置が設定され、この34箇所の回転位置で出力される信号という具合である。この回転位置は、例えばクランク軸と一体に設けられた円盤周囲の突起に対応する。円盤周囲の突起は原則として所定角度間隔で設けられるのであるが、クランク軸が360度回転したことを検出できるように、円盤周囲には欠け歯と呼ばれる突起の欠落部が形成される。例えば、円盤周囲の突起に1〜34の番号を割り振っていくと、1番目、2番目、3番目、・・・、34番目までの突起は10度毎に連続して設けられ、34番目と1番目との突起が30度の間隔で設けられるという具合である。
【0018】
一方、基準位置検出手段から出力される基準信号も、内燃機関の出力軸の回転に同期して出力されるものであり、g信号と呼ばれる。基準信号は、主としてクランク軸のずれを検出するための信号であり、所定の基準位置で出力される。例えばクランク軸の360度回転に対して3箇所の基準位置が設定され、この3箇所の基準位置で出力されるという具合である。この基準位置も、例えばクランク軸等と一体に設けられた円盤周囲の突起に対応するという具合である。
【0019】
ここで特に、本発明の情報処理装置では、異常判定手段が、回転角信号のみが出力され、基準信号が出力されない場合には、当該出力された回転角信号が異常であると判定し、異常判定手段によって回転角信号が異常であると判定された場合には、処理禁止手段が当該回転角信号に基づく処理を禁止する。
【0020】
上述したように、内燃機関が運転停止状態にあっても、車両の振動等によって出力軸が微少角度で正方向、逆方向へ交互に回転するような場合、あたかも出力軸が正常に回転しているかのように回転角信号が発生する。すると、この回転角信号に基づき所定の処理が実行されてしまう。例えば、回転角信号に基づく各種ダイアグが実行されるという具合である。このような場合、正常な診断がなされない等の不都合が発生する。
【0021】
そこで、本発明では、回転角信号と同様に内燃機関の出力軸の回転に同期して出力される基準信号に着目した。すなわち、内燃機関の出力軸が微少角度で正方向、逆方向へ交互に回転して回転角信号が出力されている場合、回転角信号の出力される回転位置よりも広い間隔で設定された基準位置に対応して出力される基準信号は、出力されない可能性が高い。例えば、上述した例で言えば、クランク軸が360度回転する間に、回転角信号のパルスは34個出力されるのに対して、基準信号のパルスは3個である。回転角信号及び基準信号のパルスが等間隔で出力されると仮定すれば、基準位置は、回転角信号が出力される回転位置の10倍以上の間隔で設定されていることになる。
【0022】
そのため、回転角信号のみが出力され、基準信号が出力されていない場合は、内燃機関の出力軸が微少角度で正方向、逆方向へ交互に回転することによって発生した異常な回転角信号であるとみなして、この回転角信号に基づく処理を禁止する。これによって、内燃機関の出力軸が微少角度で正方向、逆方向へ交互に回転することによって発生する異常な回転角信号に基づく処理実行による不都合を回避できる可能性が高くなる。
【0023】
なお、内燃機関の出力軸が微少角度で正方向、逆方向へ交互に回転する場合であっても、基準位置の前後であれば基準信号が出力される可能性が考えられる。そこで、請求項2に示すように、異常判定手段を、さらに、回転角信号及び基準信号が出力されている場合であっても、少なくとも一方の信号が適切なタイミングで出力されていない場合には、当該出力された回転角信号が異常であると判定するよう構成するとよい。「少なくとも一方の信号が適切なタイミングで出力されていない場合」は、例えば回転角信号に基づき計算される内燃機関の回転数と、基準信号に基づき計算される内燃機関の回転数との差が所定範囲内であるか否かを判断することが考えられる。つまり、どちらの信号に基づいて計算したとしても、誤差の範囲で内燃機関の回転数は一致するはずだからである。このようにすれば、内燃機関の出力軸が微少角度で正方向、逆方向へ交互に回転することによって発生する回転角信号を確実に異常であると判定することができる。結果として、このような回転角信号に基づくダイアグ等の処理を禁止することができ、処理実行に伴う不都合を確実に回避することができる。
【0024】
また、請求項3に示すように、異常判定手段は、さらに、回転角信号が出力されず、基準信号のみが出力されている場合には、回転位置検出手段を含む信号系が異常であると判定するよう構成してもよい。基準信号が出力されている場合には、基準位置に対して狭い間隔で設定された所定回転位置で出力される回転角信号は当然に出力されると考えられる。したがって、基準信号のみが出力されていれば、例えばセンサの断線等で回転角信号が出力されないと推定でき、回転位置検出手段を含む回転角信号系が異常であると判断できる。
【0025】
さて、本発明では、回転位置検出手段から出力される回転角信号が正常であるか異常であるかを判定し、異常である場合には、その回転角信号に基づく処理を禁止する。したがって、上述したように回転角信号系が異常である場合、回転角信号が全く出力されないのであれば、特に、回転角信号に基づく処理を禁止しなくてもよい。しかし、例えばセンサの接触不良等で一時的に出力されなくなった回転角信号が、再び出力されることも考えられる。この場合、いつまた回転角信号が出力されなくなるか分からない。すなわち、一度回転角信号系が異常であると判断された場合、その後再び回転角信号が出力されたとしても、その回転角信号の信頼性は低下してしまう。
【0026】
そこで、請求項4に示すように、処理禁止手段は、異常判定手段によって回転位置検出手段を含む信号系が異常であると判定された場合、その後は回転角信号に基づく処理を禁止するよう構成することが望ましい。これによって、信頼性の低い回転角信号に基づく処理実行を回避することができる。
【0027】
ところで、内燃機関が運転停止状態にあっても、内燃機関の出力軸が発電機等に接続されていると、接続された発電機等からの負荷によって逆回転させられる可能性がある。この場合も、あたかも出力軸が正常に回転しているかのように回転角信号が発生する。すると、この回転角信号に基づく所定の処理が実行されてしまい、正常な診断がなされない等の不都合が発生する。また、回転角信号に基づき算出される出力軸の回転数が所定回転数以上になると、燃料噴射処理、点火処理等が実行されるのが一般的であり、このように内燃機関の出力軸が逆回転させられている状態で、燃料噴射処理、点火処理等が実行されれば、内燃機関が壊れてしまうおそれがある。
【0028】
しかしながら、この場合は、回転角信号と共に適切なタイミングで基準信号が出力されるため、基準信号に基づいて回転角信号の異常性を判断する上述の構成では対応できない。
そこで、請求項5に示す構成を採用することが考えられる。
【0029】
請求項5に記載の情報処理装置は、請求項1〜4に記載の情報処理装置と同様に、内燃機関とモータとを併用するハイブリッド型車両に用いられる。ここでいうハイブリッド型車両は、請求項1〜4の説明として上述したハイブリッド車両と同様の範疇のものをいう。
【0030】
そして、本発明の情報処理装置には、内燃機関の出力軸の回転位置が複数箇所設定された所定回転位置となったことを検出する回転位置検出手段から出力される回転角信号が入力されることを前提としている。なお、少なくとも回転角信号が入力されておればよく、請求項1と同様の基準信号が入力されるものであっても構わない。ここで「所定の処理」、「回転角信号」については、請求項1に記載の情報処理装置の説明として上述した説明と同様となるため省略する。
【0031】
本発明の情報処理装置では、回転方向判定手段が内燃機関の出力軸の回転方向を判定し、回転角信号が出力されている場合であっても、回転方向判定手段によって内燃機関の出力軸が逆回転していると判定された場合、異常判定手段は、当該出力された回転角信号が異常であると判定する。そして、異常判定手段によって回転角信号が異常であると判定された場合、処理禁止手段が当該回転角信号に基づく処理を禁止する。つまり、内燃機関の出力軸が正方向に回転しているか、逆方向に回転しているかを判定し、逆方向に回転している場合に回転角信号に基づく処理を禁止するのである。なお、回転方向判定手段は、例えば出力軸の回転方向を直接的に検出するセンサ等であってもよい。また、回転角信号等に基づき間接的に判定する回路等であってもよい。後者では、例えば回転角信号が電磁式センサから出力されることを前提とすれば、その回転角信号の波形に基づいて回転方向を判断することが考えられる。なお、回転角信号等としたのは、基準信号が入力される構成であれば、基準信号に基づいて判定してもよいからである。
【0032】
これによって、内燃機関の出力軸が、負荷によって逆回転している場合に発生する回転角信号を異常と判定することができる。負荷とは、例えば出力軸が発電機等に接続されていることによる発電機等からのものが一例として考えられる。ただし、これに限定されるものではない。このように回転角信号の異常性を判定することができるため、内燃機関の出力軸が逆回転させられている状態において、回転角信号に基づく処理が実行されることによる不都合を回避することができる。また、内燃機関の出力軸に微少角度の正回転、逆回転が交互に生じている場合であっても、少なくとも逆回転している間の回転角信号が異常と判断され、その回転角信号に基づく処理が禁止される。しかし、正回転、逆回転を交互に繰り返す場合、正回転時に出力された回転角信号については、異常と判断されないことになる。
【0033】
そこで、内燃機関の出力軸が基準回転角となったことを判断するための欠け歯部が、出力軸の回転に伴って回転角信号中に出現するよう複数箇所の回転位置が設定されていることを前提とすれば、さらに、回転角信号に欠け歯部が存在するか否かを判定する欠け歯判定手段を備える構成とし、異常判定手段が、回転角信号が異常であると一度判定した後は、回転方向判定手段によって内燃機関の出力軸が正回転していると判定された場合であっても、欠け歯判定手段によって回転角信号に欠け歯部が存在すると判定されないうちは、回転角信号を異常と判断するよう構成することが考えられる。
【0034】
回転角信号の説明として上述したように、クランク軸の例えば360度というような基準回転角度を検出できるように、回転角信号を発生させる円盤周囲には欠け歯と呼ばれる突起の欠落部が形成されるのが一般的である。そこで、出力軸の正回転が判断された場合に、上述したように微少角度の正回転、逆回転が交互に生じている場合の一時的な正回転であるのか、あるいは、内燃機関の運転による正回転又はスタータ等による強制的な正回転であるのかをこの欠け歯部を判定することによって切り分ける。これによって、内燃機関の出力軸に微少角度の正回転、逆回転が交互に生じている場合に出力される回転角信号に基づく処理を禁止することができ、処理実行に伴って生じる不都合を確実に回避することができる。
【0035】
なお、請求項5に示した情報処理装置は、少なくとも回転角信号が入力されることを前提とするものであったが、当該装置が、回転角信号と共に基準信号が入力されることを前提とすれば、請求項に示すように、欠け歯判定手段によって欠け歯部が存在すると判定された回転角信号が出力されており、回転方向判定手段によって内燃機関の出力軸が正回転していると判定された場合であって、基準信号が出力されない場合、基準位置検出手段を含む基準信号系が異常であると判定するよう異常判定手段を構成してもよい。
【0036】
すなわち、請求項5に示す情報処理装置では、基準信号を用いることなく、出力軸の回転方向、欠け歯等を用いて回転角信号の正常・異常を判断する。したがって、回転角信号が正常であると判定した場合に、基準信号が出力されていなければ、例えばセンサの断線等で基準信号が出力されないと推定でき、基準位置検出手段を含む基準信号系が異常であると判断できる。
【0037】
また、請求項に示すように、基準信号のみが出力されている場合に回転位置検出手段を含む回転角信号系を異常と判断したり、請求項に示すように、回転角信号系が異常と判断された場合に処理判断手段が回転角信号に基づく処理を禁止するようにしたりできることもできる。請求項及びに記載の情報処理装置についての詳しい説明は、上述した請求項3及び4に記載の情報処理装置の説明と同様となるため省略する。
【0038】
なお、請求項1〜4、のいずれかに記載の情報処理装置は少なくとも回転角信号に基づいて所定の処理を実行するものであるが、回転角信号及び基準信号に基づいて内燃機関の点火処理及び燃料噴射処理を実行可能なエンジン制御装置として実現することが考えられる。
【0039】
そして、上述した異常判定手段によって回転角信号が異常であることが判定されるため、その後の点火処理及び燃料噴射処理は確実に禁止されるが、異常判定手段による判定がなされるまでのわずかな期間に、異常な回転角信号に基づいて、内燃機関に対する点火処理又は燃料噴射処理が実行されてしまう可能性が考えられる。そして、例えば内燃機関の出力軸が逆回転している状態で、このような点火処理、燃料噴射処理が実行されると、内燃機関が壊れてしまうといった事態を招くことが考えられる。
【0040】
そこで、請求項に示すように、点火処理又は燃料噴射処理の実行中、回転角信号及び基準信号が所定の関係にない場合には、点火及び燃料噴射に係るダイアグを禁止することによって内燃機関への点火及び燃料の噴射を禁止する点火噴射禁止手段を備えるようにすることが考えられる。この場合は、上述した異常判定手段による判定処理とは別に、点火処理及び燃料噴射処理の途中で、さらに、回転角信号及び基準信号が所定関係にあるか否かを判断し、内燃機関に対する点火、燃料噴射の前提となるダイアグを禁止する。その結果、異常判定手段による判定がなされるまでのわずかな期間にあっても、異常な回転角信号に基づく点火噴射処理を適切に禁止することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施形態は、下記のものに何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
[第1実施形態]
まず図1は、第1実施形態のハイブリッド型車両を表わす概略構成図である。
【0042】
図1に示すように、本第1実施形態のハイブリッド型車両は、内燃機関としてのエンジン1と、モータあるいは発電機として動作する2つのモータ/ジェネレータ(以下「M/G」と記す)3,5とを備えている。ここでエンジン1の出力軸1a、M/G3,5のロータから伸びた出力軸は、それぞれ図示しない遊星ギヤユニットの所定ギヤに接続されている。また、M/G5の出力軸7は、ディファレンシャルギヤ9を介して、当該車両の車輪(駆動輪)11R,11Lに接続されている。
【0043】
そして更に、本実施形態のハイブリッド型車両には、M/G3,5の各々を2つのインバータ13,15を介して制御するモータ/ジェネレータ制御装置(以下、M/G・ECUという)17と、このM/G・ECU17との間で制御情報をやり取りしつつエンジン1を制御するエンジン制御装置(以下、エンジンECUという)19とが設けられている。そして、本第1実施形態においては、このエンジンECU19が「情報処理装置」に相当する。
【0044】
なお、各インバータ13,15は、M/G・ECU17からの指令に基づき、図示しないバッテリの直流電力を交流電力に変換してM/G3,5をモータとして動作させ、また、M/G・ECU17からの指令に基づき、M/G3,5を発電機として動作させると共に、その発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリに充電させる。但し、2つのM/G3,5のうちの一方がモータとして動作し、他方が発電機として動作する場合には、モータとして動作する方のM/Gは、バッテリのみならず発電機として動作する方のM/Gからの電力によっても駆動される。
【0045】
一方、エンジン1の吸気経路21には、エンジン1の吸入空気量(延いては、エンジン1の出力)を調節するためのスロットル弁23が設けられており、そのスロットル弁23の開度は、アクチュエータとしてのDCモータ25により調節されるようになっている。
【0046】
また、エンジン1には、その出力軸1aの回転角度、すなわちエンジン1のクランク軸の回転角度を検出するための「回転位置検出手段」としてのNEセンサ31、出力軸1aの回転位置が基準位置となったことを検出するための「基準位置検出手段」としてのGセンサ33が設けられている。NEセンサ31及びGセンサ33からの信号は、エンジンECU19に入力されている。
【0047】
また、図示はされていないが、M/G・ECU17には、車両運転者により操作されるアクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ、車両のブレーキペダルが操作されたことを検出するブレーキセンサ、及び当該車両の走行速度(車速)を検出する車速センサなど、当該車両の運転状態を検出するための各種センサからの信号も入力されている。
【0048】
このような本第1実施形態のハイブリッド型車両においては、バッテリを電力源とするM/G5の出力軸7からディファレンシャルギヤ9を介して車輪11R,11Lに駆動力が伝達されるのであるが、M/G5のロータからの出力軸は、前述したように、遊星ギヤユニットを介してM/G3のロータからの出力軸及びエンジン1の出力軸1aに接続されているため、車輪11R,11Lへの駆動力あるいは車輪11R,11Lからの減速力は、各M/G3,5とエンジン1とに分担される。
【0049】
そこで、M/G・ECU17が、バッテリの充電状態及び遊星ギヤユニットのギヤ比や、アクセル開度センサ及び車速センサから検出される車両の走行負荷などに基づき、各M/G3,5の回転数と発生トルク(モータとして動作する際の出力トルク及び発電機として動作する際の回生トルク)を決定して、各M/G3,5の界磁電流をインバータ13,15により制御すると共に、エンジン1の目標出力(即ち、目標トルク及び目標回転数)を該エンジン1の燃費及びエミッションが最良となるように決定する。ここで目標トルク「0」、目標回転数「0」となる場合があり得る。すなわち、エンジン1を停止させる場合である。そして、M/G・ECU17は、エンジン1の出力軸1aに上記決定した目標トルクが負荷として加わるように、M/G3,5の出力を制御する。
【0050】
そして、エンジンECU19は、NEセンサ31及びGセンサ33からの信号に基づき、エンジン1に対する燃料噴射制御及び点火制御を行うと共に、回転角センサ31からの信号に基づき検出されるエンジン1の回転数が、M/G・ECU17から指令される上記目標回転数に収束するように、DCモータ25を駆動してスロットル弁23の開度を制御し、これにより、エンジン1の出力がM/G・ECU17により決定された目標出力に制御される。また、エンジンECU19は、NEセンサ31からの回転角信号に基づいて、各種ダイアグを実行する。各種ダイアグとしては、例えばエアフローメータの断線ダイアグ、酸素センサが活性化したか劣化したかの判定ダイアグ、ノックセンサに基づく異常判定ダイアグ、水温センサの断線ダイアグ、失火検出のダイアグ等が挙げられる。
【0051】
そして、このようなM/G・ECU17及びエンジンECU19の動作により、各M/G3,5及びエンジン1は、様々な電力収支パターンで制御される。
例えば、バッテリが所定量以上充電されており且つ走行負荷が小さければ、M/G5をモータとして動作させて該M/G5の出力により車両を走行させると共に、エンジン1の出力を「0」として、エンジン1の運転を停止させる。そして、この状態で、走行負荷が大きくなると、図示しないスタータによってエンジン1の出力軸1aを強制的に回転させてエンジン1を始動し、M/G5の出力で不足する駆動力を、エンジン1の出力で補填させる。また、バッテリが所定量以上放電して充電電力が減少している場合には、エンジン1の出力でM/G5を介して車両を走行させると共に、エンジン1の残りの出力を利用してM/G3によりバッテリを充電させる、といった制御を行うこともある。
【0052】
以上説明したように、ハイブリッド型車両のエンジン1を制御するエンジンECU19は、少なくともNEセンサ31からの回転角信号に基づいて所定の処理を実行するのであるが、本実施形態のエンジンECU19は、NEセンサ31からの回転角信号が異常な信号であるか否かを判断し、異常な回転角信号であると判定した場合には、その回転角信号に基づく処理を禁止する。
【0053】
ここで以下の説明に対する理解を容易にするため、最初にNEセンサ31により検出される回転角信号及びGセンサ33により検出される基準信号について説明しておく。
本第1実施形態では、図3(a)に示すようなシグナルロータ41が、エンジン1の出力軸1aに一体に取り付けられている。シグナルロータ41は、出力軸1aに同軸的に取り付けられており、シグナルロータ41の外周には突起41aが複数個形成されている。シグナルロータ41の突起41aは360度/36=10度毎に並び、このうち2つ分の欠落部(以下「欠け歯」という。)41bを有する。そして、NEセンサ31がシグナルロータ41の外側に配置されており、シグナルロータ41の回転に伴う突起41aの通過を検出するようになっている。
【0054】
そして、図4には、NEセンサ31から出力される信号波形を示した。図4(a)には、出力軸1aが正方向(エンジン1の運転により回転する方向)に回転した場合の信号波形を示した。また、図4(b)には、出力軸1aが逆方向に回転した場合の信号波形を示した。
【0055】
ここで突起41aの1つ分に対する波形は、NEセンサ31に最も近くなる時点を境に正負が逆転する形状の波形(以下「突起対応波形」という。)となる。したがって、出力軸1aが一定の方向に回転した場合、すなわちシグナルロータ41が一定の方向に回転した場合には、NEセンサ31から出力される信号は、この突起対応波形の繰り返しパターンとなる。なお、欠け歯41bに対応して、この突起対応波形の間隔が広くなる部分(以下「欠け歯部」という。)が生じる(図4参照)。
【0056】
図3(b)は、突起41aの位置とNEセンサ31から出力される信号波形との対応関係を説明するためのものであり、突起41aの位置を記号α,β,γの3つの記号で示すこととする。すなわち、上述した正方向(記号Aで示した方向)に回転する場合、突起41aは位置α→β→γという順序でNEセンサ31の前を横切り、一方、逆方向(記号Bで示した方向)に回転する場合、突起41aは位置γ→β→αという順序でNEセンサ31の前を横切ることになる。なお、位置αと位置γは、位置βを中心として対称となっている。
そして、これらの位置α,β,γと信号波形との対応関係は図4に示す如くである。すなわち、図4(a)は、突起41aが位置α→β→γの順に通過する場合であり、シグナルロータ41が正回転する場合を示している。この場合、位置αにおいて「0」である信号は、まずプラス側へゆっくりと増加し、位置β前後で急激にマイナス側へ反転し、その後、位置γにおいて「0」となるようにゆっくりと増加する。また、図4(b)は、突起41aが位置γ→β→αの順に通過する場合であり、シグナルロータ41が逆回転する場合を示している。この場合、位置γにおいて「0」である信号は、まずマイナス側へゆっくりと減少し、位置β前後で急激にプラス側へ反転し、位置αにおいて再び「0」となるようにゆっくりと減少する。
【0057】
Gセンサ33によって検出される基準信号も同様の波形となる。ただし、エンジン1の出力軸1aに取り付けられる図示しないシグナルロータの外周には、3箇所の基準位置に突起が設けられている。したがって、出力軸1aが360度回転する期間に図4に示した突起1つ分に対する波形である突起対応波形が3つ出力されることになる。
【0058】
次に、図2のフローチャートに基づいて、エンジンECU19で実行される信号異常判定処理を説明する。この信号異常判定処理は、エンジンECU19にて所定時間間隔で繰り返し実行されるものである。
まず最初のステップS100において、NEセンサ31からの回転角信号に基づいてエンジン1の回転数E(ne)を算出する。回転数E(ne)は、クランク軸が360度回転する期間の回転角信号のパルス時間間隔の計測結果から算出される。
【0059】
続くS110では、Gセンサ33からの基準信号に基づいてエンジン1の回転数E(g)を算出する。S100と同様に、回転数E(g)は、クランク軸が360度回転する期間の基準信号のパルス時間間隔の計測結果から算出される。
続くS120では、S110で算出した回転数E(g)を補正してE’(g)を求める。上述したように、Gセンサ33はクランク軸が360度回転する間に3つの突起を検出するのみである。したがって、基準信号に基づいて算出した回転数E(g)は、回転角信号に基づいて算出した回転数E(ne)と比較して誤差が大きい。そのため、ここでは、VVT(Variable Valve Timing )制御に用いられる基準信号の進角・遅角制御量を利用してE(g)を補正し、E’(g)を算出する。その後、S130へ移行する。
【0060】
S130では、回転数E’(g)が「0」であるか否かを判断する。ここでE’(g)≠0である場合(S130:YES)、すなわち基準信号が出力されている場合には、S140へ移行する。一方、E’(g)=0である場合(S130:NO)、すなわち基準信号が出力されていない場合には、S190へ移行する。
【0061】
基準信号が出力されている場合に移行するS140では、回転数E(ne)が「0」であるか否かを判断する。ここでE(ne)≠0である場合(S140:YES)、すなわち回転角信号が出力されている場合には、S150へ移行する。一方、E(ne)=0である場合(S140:NO)、すなわち回転角信号が出力されていない場合には、S180にて回転角信号系異常フラグX(ne)に「1(異常)」を代入し、その後、本信号異常判定処理を終了する。この場合は、基準信号があるにもかかわらず、回転角信号を出力されていない場合であり、NEセンサ31等の故障や断線と考えられるからである。
【0062】
S150では、回転数E(ne)と回転数E’(g)との差が所定値δよりも小さいか否かを判断する。ここで|E(ne)−E’(g)|<δである場合(S150:YES)、すなわち、両信号が適切なタイミングで出力されている場合には、S160へ移行する。一方、|E(ne)−E’(g)|≧δである場合(S150:NO)、S170へ移行する。|E(ne)−E’(g)|≧δである場合、回転角信号と基準信号が共に出力されてはいるが、両信号が適切なタイミングで出力されていない場合である。
【0063】
S160では、回転角信号異常フラグXK(ne)に「0(正常)」を代入し、基準信号系異常フラグX(g)に「0(正常)」を代入して、その後、本信号異常判定処理を終了する。
S170では、回転角信号異常フラグXK(ne)に「1(異常)」を代入し、すなわち回転角信号を異常と判定して、その後、本信号異常判定処理を終了する。
【0064】
上述のS130で否定判断された場合、すなわち基準信号が出力されていないと判断された場合に移行するS190では、回転角信号異常フラグXK(ne)に「1」を代入し、その後、本信号異常判定処理を終了する。この場合、回転角信号が出力されていない場合も考えられるが、基準信号がない場合には、一律に回転角信号を異常と判断する。
【0065】
次に、図5のフローチャートに基づいて、上述した信号異常判定処理に続き、エンジンECU19にて実行される禁止処理を説明する。この禁止処理は、上述した信号異常判定処理の処理結果に基づくものである。
まず最初のステップS300において、回転角信号系異常フラグX(ne)又は回転角信号異常フラグXK(ne)の少なくとも一方が「1」であるか否かを判断する。ここで少なくとも一方が「1」である場合(S300:YES)、S310にて回転角信号に基づく処理を禁止し、その後、本禁止処理を終了する。一方、両方とも「0」である場合(S300:NO)、S320にて回転角信号に基づく処理を許可し、その後、本禁止処理を終了する。ここで回転角信号に基づく処理というのは、例えば回転角信号の発生を条件として行われるダイアグ処理、例えばGセンサ33の断線ダイアグ等が考えられる。また、回転角信号に基づき計算されるエンジン1の出力軸1aの回転数(以下「エンジン回転数」という。)に基づいて実行されるダイアグが考えられる。さらに、回転角信号に基づいて生成される所定の信号による割込処理が考えられる。
【0066】
次に、本第1実施形態のエンジンECU19が発揮する効果を説明する。
本第1実施形態のエンジンECU19では、基準信号が出力されていない場合(図2中のS130:NO)は、回転角信号を異常と判定し、回転角信号異常フラグXK(ne)を「1」とする(図2中のS190)。このように、本第1実施形態では、回転角信号と同様にエンジン1の出力軸1aの回転に同期し、Gセンサ33から出力される基準信号に着目した。すなわち、エンジン1の出力軸1aが微少角度で正方向、逆方向へ交互に回転して回転角信号が出力されている場合、回転角信号の出力される回転位置よりも広い間隔で設定された基準位置に対応して出力される基準信号は出力されない可能性が高い。例えば本実施形態では、クランク軸が360度回転する間に、回転角信号のパルスは34個出力されるのに対して、基準信号のパルスは3個である。そのため、回転角信号のみが出力され、基準信号が出力されていない場合は、内燃機関の出力軸が微少角度で正方向、逆方向へ交互に回転することによって発生した異常な回転角信号であるとみなして、この回転角信号に基づく処理を禁止する。これによって、エンジン1の出力軸1aが微少角度で正方向、逆方向へ交互に回転することによって発生する異常な回転角信号に基づくダイアグ等の処理が禁止され、誤った診断がなされる等という不都合を回避できる。
【0067】
また、基準信号と共に回転角信号が出力されている場合であっても(図2中のS130:YES,S140:YES)、回転角信号に基づき計算されたエンジン回転数E(ne)と、基準信号に基づき計算されたエンジン回転数E’(g)との差が所定範囲内となるか否かを判断して(図2中のS150)、所定範囲内にない場合には、回転角信号が異常であると判断し(図2中のS170)、回転角信号に基づく処理を禁止する(図5中のS310)。
【0068】
このようにすれば、エンジン1の出力軸1aが微少角度で正方向、逆方向へ交互に回転することによって発生する回転角信号と共に、基準信号がたまたま出力されてしまった場合や、また、回転角信号系などの接触不良によって回転角信号の出力タイミングが異常となっている場合において、出力された回転角信号の異常を判定することができる。結果として、このような回転角信号に基づくダイアグ等の処理を禁止することができ、処理実行に伴う不都合を確実に回避することが可能となる。
【0069】
さらにまた、基準信号のみが出力され、回転角信号が出力されていないときは(図2中のS130:YES,S140:NO)、NEセンサ31を含む回転角信号系が異常であると判定し、回転角信号系異常フラグX(ne)を「1」とする。この場合、回転角信号が出力されていないため、回転角信号に基づく処理は実行されないことになるが、例えば接触不良等の原因により、その後、再び回転角信号が出力される可能性が考えられる。その場合、またいつ回転角信号が出力されなくなるか分からず、回転角信号の信頼性が低いものとなる。したがって、この場合も、回転角信号に基づく処理を禁止する(図5中のS310)。これによって、信頼性の低い回転角信号に基づく処理の実行をなくすことができるという点で有利である。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本第2実施形態は、前述した第1実施形態に対して、エンジンECU19で実行される信号異常判定処理が異なっている。
【0070】
上記第1実施形態では、図2のフローチャートを用いて説明したように、基準信号に基づき算出されたエンジン回転数E’(g)が「0」であるか否かを判断することによって、すなわち基準信号の有無を判断することによって、回転角信号の異常性を判定するものであった。これに対して、本第2実施形態の信号異常判定処理は、エンジン1の出力軸1aの回転方向を判定することによって、回転角信号の異常性を判定する。なお、この信号異常判定に係る構成以外の構成については、上記第1実施形態と同様となるため、以下では相違部分のみを説明することとする。
【0071】
最初に図6及び図7に基づいて、信号異常判定処理を説明する。
まず最初のステップS600において、回転角信号が有るか否かを判断する。この判断は、NEセンサ31からの入力信号に基づいて行われる。ここで回転角信号が有ると判断された場合(S600:YES)、S610へ移行する。一方、回転角信号が無いと判断された場合は(S600:NO)、S760へ移行する。
【0072】
回転角信号が有ると判断された場合に移行するS610では、回転角信号に欠け歯部が存在するか否かを判定する。ここで欠け歯部が存在すると判定された場合(S610:YES)、S620へ移行する。一方、欠け歯部が存在しないと判定された場合(S610:NO)、図7のS690へ移行する。
【0073】
S620では、エンジン1の出力軸1aが正回転しているか否かを判断する。この判断は、後述する第1判定回路から出力されるREVD信号に基づいて行われる。第1判定回路によってエンジン1の出力軸1aが正回転していると判定されるとREVD信号はhighレベルとなり、逆回転していると判定されるとREVD信号はlowレベルとなる。ここで正回転していると判断された場合(S620:YES)、S630にて、回転角信号異常フラグXK(ne)に「0」を代入し、逆回転フラグrevに「0」を代入して、その後、S650へ移行する。一方、逆回転していると判断された場合(S620:NO)、S640にて、回転角信号異常フラグXK(ne)に「1」を代入し、逆回転フラグrevに「1」を代入して、その後、S650へ移行する。
【0074】
上述したS610で欠け歯部が存在しないと判定された場合に移行する図7のS690では、逆回転フラグrevに「1」がセットされているか否かを判断する。この判断は、エンジン1の出力軸1aが逆回転しているか否かを判断するものである。ここでrev=1である場合(S690:YES)、すなわち出力軸1aが逆回転している場合には、S700へ移行する。一方、rev=0である場合(S690:NO)、すなわち出力軸1aが正回転している場合には、S730へ移行する。
【0075】
S700及びS730では、それぞれエンジン1の出力軸1aの回転方向が反転したか否かを判定する。この判定は、後述する第2判定回路からの出力信号であるREVD信号に基づいて行われる。
エンジン1の出力軸1aが逆回転している場合に移行するS700において、回転方向の反転があったと判断された場合(S700:YES)、すなわち正回転となった場合には、S710にて逆回転フラグrevに「0」を代入し、その後、図6のS650へ移行する。一方、回転方向の反転がないと判断された場合(S700:NO)、すなわち逆回転を続けている場合には、S720にて回転角信号異常フラグXK(ne)に「1」を代入し、逆回転フラグrevに「1」を代入して、図6のS650へ移行する。
【0076】
出力軸1aが正回転している場合に移行するS730において、回転方向の反転があったと判断された場合(S730:YES)、すなわち逆回転となった場合には、S750にて回転角信号異常フラグXK(ne)に「1」を代入し、逆回転フラグrevに「1」を代入して、その後、図6のS650へ移行する。一方、回転方向の反転がないと判断された場合(S730:NO)、すなわち正回転を続けている場合には、S740にて逆回転フラグrevに「0」を代入し、その後、図6のS650へ移行する。
【0077】
図6のS650には、上述したように、S630,640,図7中のS710,720,740,750のいずれかの処理より移行する。
このS650では、回転角信号異常フラグXK(ne)が「0」であるか否かを判断する。すなわち、回転角信号が正常と判定されたか否かを判断する。ここでXK(ne)=0である場合(S650:YES)、S660へ移行する。一方、XK(ne)=1である場合(S650:NO)、本信号異常判定処理を終了する。
【0078】
回転角信号が正常と判定された場合に移行するS660では、Gセンサ33からの基準信号が有るか否かを判断する。ここで基準信号が有ると判断された場合(S660:YES)、S670にて基準信号系異常フラグX(g)に「0」を代入し、その後、本信号異常判定処理を終了する。一方、基準信号が無いと判断された場合(S660:NO)、出力されている回転角信号が正常であるにもかかわらず基準信号が出力されていないのであるから、Gセンサ33を含む基準信号系の異常と判定し、S680にて基準信号系異常フラグX(g)に「1」を代入し、その後、本信号異常判定処理を終了する。
【0079】
さて、上述したS600にて否定判断された場合、すなわち回転角信号が無いと判断された場合に移行するS760では、回転角信号異常フラグXK(ne)に「1」を代入する。
続くS770では、回転角信号系異常フラグX(ne)が「1」、又は、基準信号が有る場合を判断する。ここでX(ne)=1又は基準信号が有る場合(S770:YES)、すなわち一度回転角信号系が異常と判断された後、又は、回転角信号がないにもかかわらず基準信号がある場合には、NEセンサ31を含む回転角信号系が異常であると判定し、S780にて回転角信号系異常フラグX(ne)に「1」を代入し、その後、本信号異常判定処理を終了する。一方、X(ne)=0で、かつ、基準信号がない場合(S770:NO)、S790にて回転角信号系異常フラグX(ne)に「0」を代入し、本信号異常判定処理を終了する。なお、回転角信号及び基準信号が共に出力されていない場合は、正常にエンジン1が停止している場合も考えられるが、一方、NEセンサ31及びGセンサ33が共に故障していることも考えられる。そのため、上述のS600にて回転角信号が無いと判断された場合には、一律に回転角信号異常フラグXK(ne)を「1」としておく。
【0080】
続けて、上述したS620における判断を可能とする第1判定回路について説明する。
図8は、本第2実施形態の第1判定回路を示す回路図であり、図9は、この回路の所定部分の信号波形を示すタイムチャートである。
【0081】
図8に示すように、判定回路は、LPF(ローパスフィルタ)51と、LPF51を介して入力される回転角信号の信号レベルを判定する2つのコンパレータ52,53と、LPF51を介して入力される回転角信号中の欠け歯部を判定する欠け歯部判定回路54と、これらコンパレータ52,53及び欠け歯部判定回路54の出力によって動作するラッチ55,56と、ラッチの55,56の出力によって動作するセットリセットラッチ(以下「SRラッチ」と記述する。)57とを備えている。なお、2台のコンパレータ52,53を区別するため、Aコンパレータ52,Bコンパレータ53と記述する。また、Aコンパレータ52に接続されたラッチ55をAラッチ55と記述し、Bコンパレータ53に接続されたラッチ56をBラッチ56と記述して区別する。
【0082】
LPF51の入力端子にはNEセンサ31の出力端子が接続され、LPF51の出力端子は、Aコンパレータ52の非反転入力端子(+)、Bコンパレータ53の反転入力端子(−)及び欠け歯判定回路54に接続されている。Aコンパレータ52の反転入力端子(−)の電位は、「0」よりもわずかに高い比較電圧Vth1に設定されている。一方、Bコンパレータ53の非反転入力端子(+)の電位は、「0」よりもわずかに低い比較電圧Vth2に設定されている。Aコンパレータ52の出力端子は、プルアップ抵抗58を介して電源に接続されると共に、Aラッチ55の入力端子(D)に接続されている。また、Bコンパレータ53の出力端子は、プルアップ抵抗58を介して電源に接続されると共に、Bラッチ56の入力端子(D)に接続されている。欠け歯判定回路54の出力端子は、インバータ59に接続されており、インバータ59の出力端子は、A,Bのラッチ55,56のリセット端子(R)に接続されている。そして、Aラッチ55の出力端子(Q)は、SRラッチ57のセット端子(S)に接続されている。また、Bラッチ56の出力端子(Q)は、SRラッチ57のリセット端子(R)に接続されている。そして、SRラッチ57の出力端子(Q)が回転方向を示すREVD信号となる。
【0083】
Aコンパレータ52では、非反転入力端子(+)に入力された回転角信号の信号レベルが、反転入力端子(−)の比較電圧Vth1を上回ると、出力端子の信号レベルがhigh(以下「H」と記述する。)になる。一方、Bコンパレータ53では、反転入力端子(−)に入力された回転角信号の信号レベルが、非反転入力端子(+)の比較電圧Vth2を下回ると、出力端子の信号レベルがHになる。
【0084】
また、A,Bのラッチ55,56は、リセット端子(R)の信号レベルがlow(以下「L」と記述する。)となっているときに、入力端子(D)の信号レベルがLからHに変化すると、出力端子(Q)の信号レベルをHに保持し、リセット端子(R)の信号レベルがHとなると、出力端子(Q)の信号レベルをLに保持するように動作する。
【0085】
SRラッチ57は、セット端子(S)の信号レベルがHとなると、出力端子(Q)の信号レベルをHに保持し、リセット端子(R)の信号レベルがHとなると、出力端子(Q)の信号レベルをLに保持するように動作する。
欠け歯部判定回路54は、回転角信号の続けて出力される2つの突起対応波形の時間間隔を検出し、その時間間隔が直前に検出した時間間隔の2.5倍以上になると、所定期間だけ信号レベルをHに保持し、その他は、信号レベルをLに保持する。
【0086】
次に、図9のタイムチャートに基づいて、図8に示した第1判定回路の動作を説明する。
図9(a)及び(b)は、LPF51から出力される回転角信号、Aコンパレータ52の出力端子の信号レベル(ne+)、Bコンパレータ53の出力端子の信号レベル(ne−)、欠け歯部判定回路54の出力端子の信号レベル、SRラッチ57の出力端子(Q)の信号レベル、すなわちREVD信号のレベルを対応させて記載したものである。なお、図9(a)は、エンジン1の出力軸1aが正回転している場合であり、一方、図9(b)は、エンジン1の出力軸1aが逆回転している場合である。
【0087】
図9に示すように、LPF51からの回転角信号のレベルが、Aコンパレータ52の反転入力端子(−)の比較電圧Vth1を上回ると、Aコンパレータ52の出力端子の信号レベル(ne+)はLからHとなり、比較電圧Vth1を下回ると、出力端子の信号レベル(ne+)はHからLとなる。すなわち、回転角信号の波形がプラス側に現れると、Aコンパレータ52の出力端子は、Hレベルとなるのである。逆に、LPF51からの回転角信号のレベルが、Bコンパレータ53の非反転入力端子(+)の比較電圧Vth2を下回ると、Bコンパレータ53の出力端子の信号レベル(ne−)はLからHとなり、比較電圧Vth2を上回ると、出力端子の信号レベル(ne−)はHからLとなる。すなわち、回転角信号の波形がマイナス方向に現れると、Bコンパレータ53の出力端子はHレベルとなるのである。
【0088】
欠け歯部判定回路54は、回転角信号中の欠け歯部を判定すると、出力端子の信号レベルを所定期間だけHレベルとする(図9参照)。欠け歯部判定回路54の出力端子は、インバータ59を介してA,Bのラッチ55,56のリセット端子(R)に入力される。したがって、欠け歯部があると判定された直後に欠け歯部判定回路54からの出力信号がHレベルとなる所定期間には、A,Bのラッチ55,56のリセット端子(R)はLレベルとなり、それ以外の期間ではリセット端子(R)はHレベルとなる。そのため、A,Bのラッチ55,56は、欠け歯部が判定された直後の所定期間に、対応するA,Bのコンパレータ52,53の出力端子の信号レベルがLからHとなると、リセット端子(R)がHとなるまでの期間、出力端子(Q)の信号レベルをHに保持する。したがって、欠け歯が判定された直後の所定期間にAコンパレータ52の出力端子の信号レベルがHとなると、SRラッチのセット端子(S)がHレベルとなり、出力端子(Q)、すなわちREVD信号はHレベルとなる。また、欠け歯が判定された直後の所定期間にBコンパレータ53の出力端子の信号レベルがHとなると、SRラッチのリセット端子(R)がHレベルとなり、出力端子(Q)、すなわちREVD信号はLレベルとなる。
【0089】
つまり、図8に示す第1判定回路は、回転角信号の欠け歯部の直後の波形がプラス方向に現れるか、マイナス方向に現れるかを判定するのである。プラス方向に現れれば、すなわちエンジン1の出力軸1aが正回転であれば、REVD信号がHレベルとなり、マイナス方向に現れれば、すなわちエンジン1の出力軸1aが逆回転であれば、REVD信号がLレベルとなる。
【0090】
したがって、上述した信号異常判定処理中のS620では、このREVD信号がHレベルであるか否かによって、エンジン1の出力軸1aが正回転であるか否かを判定できる。
さらに続けて、上述した信号異常判定処理中のS700及びS730(図7参照)における判断を可能とする第2判定回路について説明する。
【0091】
この第2判定回路は、第1判定回路と異なり、欠け歯部の有無に関係なく回転方向を判断するものである。この判定手法は、回転角信号の波形の形状に基づいてエンジン1の出力軸1aの回転方向を判断するものである。以下説明する回路についての理解を容易にするために、この判断手法の概念的説明を図4を用いて最初に行う。
【0092】
この手法は、回転角信号のプラス側又はマイナス側に現れる波形の1つに着目したものである。図4(a)において、プラス側に現れる波形の1つに着目すれば、その信号レベルは、ゆっくりと増加し、瞬時に減少することが分かる。すなわち、図4(a)に示すように、エンジン1の出力軸1aが正回転している場合、プラス側に現れる波形の1つに対し、その信号レベルの増加期間をT1、減少期間をT2とすれば、T1>T2となっている。同様に図4(b)について見れば、すなわちエンジン1の出力軸1aが逆回転している場合、T1<T2となっている。そして、マイナス側に現れる波形の1つに着目した場合であっても、同様に、正回転と逆回転では信号レベルの増加期間と減少期間とが逆転する。
【0093】
したがって、プラス側又はマイナス側に現れる1つの波形に着目し、その信号レベルの増加期間、減少期間の大小を判定すれば、エンジン1の出力軸1aの回転方向を判定することができる。
このような判定を行うための第2判定回路を以下説明する。
【0094】
図10及び図11は、第2判定回路を示す回路図であり、図12は、この回路の所定部分の信号波形を示すタイムチャートである。
図10及び図11に示すように、第2判定回路は、LPF(ローパスフィルタ)61と、LPF61を介して入力される回転角信号の信号レベルを判定する2つのコンパレータ62,63と、LPF51を介して入力される回転角信号の波形の微分波形信号を出力する微分回路64と、この微分回路64からの微分波形信号の信号レベルを判定する2つのコンパレータ65,66とを備えている。以下、4つのコンパレータ62,63,65,66を、それぞれAコンパレータ62、Bコンパレータ63、Cコンパレータ65及びDコンパレータ66と記述する。
【0095】
また、第2判定回路は、所定クロック周波数のパルス信号を出力する発振器75と、4つのカウンタ81,82,83,84と、カウンタ81,82,83,84からの出力結果を比較する比較回路85,86と、SRラッチ87とを備えている。以下、カウンタ81〜84を、Aカウンタ81、Bカウンタ82、Cカウンタ83及びDカウンタ84と記述し、2つの比較回路85,86を、A比較回路85及びB比較回路86と記述して、それぞれ区別する。
【0096】
上述したA〜Dの各コンパレータ62,63,65,66の出力端子は、それぞれ別のプルアップ抵抗69を介して電源に接続されている。
A及びBのコンパレータ62、63は、図8を用いて上述した第1判定回路のA,Bのコンパレータ52,53と同様であり、Aコンパレータ62は、LPF61から出力される回転角信号の波形がプラス側に現れるとHレベルとなる。また、Bコンパレータ63は、LPF61から出力される回転角信号の波形がマイナス側に現れるとHレベルとなる。
【0097】
微分回路64は、回転角信号の信号波形を微分した微分波形信号を出力する。この微分回路64は、OPアンプ,帰還抵抗、コンデンサなどによって構成される周知の回路である。
Cコンパレータ65の非反転入力端子(+)及びDコンパレータ66の反転入力端子(−)は、微分回路64の出力端子に接続されている。Cコンパレータ65の反転入力端子(−)の電位は、「0」よりもわずかに大きな比較電圧Vth3に設定されている。また、Dコンパレータ66の非反転入力端子(+)の電位は、「0」よりもわずかに小さな比較電圧Vth4に設定されている。
【0098】
したがって、Cコンパレータ65の出力端子の信号レベルは、微分回路64から出力される信号レベルが比較電圧Vth3を上回るとLからHとなり、比較電圧Vth3を下回るとHからLとなる。また、Dコンパレータ66の出力端子の信号レベルは、微分回路64から出力される信号レベルが比較電圧Vth4を下回るとLからHとなり、比較電圧Vth4を上回るとHからLとなる。つまり、微分回路64から出力される微分波形信号がプラス側に現れると、Cコンパレータ65の出力端子の信号レベルがHレベルとなり、微分回路64から出力される微分波形信号がマイナス側に現れると、Dコンパレータ66の出力端子の信号レベルがHレベルとなるのである。
【0099】
また、図11に示すように、A〜Dのコンパレータ62,63,65,66の出力端子は、2入力の4つのアンド回路76,77,78,79に所定の組み合わせで接続されている。これら4つのアンド回路76〜79を、Aアンド回路76、Bアンド回路77、Cアンド回路78及びDアンド回路79と記述して以下区別する。
【0100】
Aコンパレータ62からの信号(ne+)及びCコンパレータ65からの信号(ne’+)がAアンド回路76に入力され、Aコンパレータ62からの信号(ne+)及びDコンパレータ66からの信号(ne’−)がBアンド回路77に入力されている。また、Bコンパレータ63からの信号(ne−)及びDコンパレータ66からの信号(ne’−)がCアンド回路77に、Bコンパレータ63からの信号(ne−)及びCコンパレータ65からの信号(ne’+)がDアンド回路79に入力されている。
【0101】
A〜Dのアンド回路76〜79の出力端子は、それぞれA〜Dのカウンタ81〜84の許可端子に接続されている。
A〜Dのカウンタ81〜84のクロック端子(CLK)には、上述した発振器75の出力端子が接続されている。また、A,Bのカウンタ81,82のリセット端子(RST)は、A比較回路85の完了端子と接続されており、C,Dのカウンタ83,84のリセット端子(RST)は、B比較回路86の完了端子と接続されている。Aカウンタ81の出力端子は、A比較回路85の第1の入力端子(入力a)に接続されており、Bカウンタ82の出力端子は、A比較回路85の第2の入力端子(入力b)に接続されている。
【0102】
また、A比較回路85の比較タイミング端子(比較)には、Aコンパレータ62の出力端子が接続されており、B比較回路86の比較タイミング端子(比較)には、Bコンパレータ63の出力端子が接続されている。A,Bの比較回路85,86の2つの出力端子(真、偽)は、それぞれ2つのオア回路88,89に入力されている。これら2つのオア回路88,89をAオア回路88、Bオア回路89と記述する。Aオア回路88の入力端子には、A比較回路85の出力端子(真)とB比較回路86の出力端子(真)が接続されている。また、Bオア回路89の入力端子には、A比較回路85の出力端子(偽)とB比較回路86の出力端子(偽)が接続されている。
【0103】
SRラッチ87のセット端子(S)には、Aオア回路88の出力端子が接続されている。また、リセット端子(R)には、Bオア回路89の出力端子が接続されている。そして、SRラッチ87の出力端子(Q)が第2判定回路からの出力となり、出力端子(Q)からの信号がREVD信号となる。
【0104】
ここで上述したA〜Dのカウンタ81〜84及びA,Bの比較回路85,86の動作を説明しておく。
A〜Dの各カウンタ81〜84は、許可端子の信号レベルがHレベルとなっている期間に、クロック端子(CLK)に入力される発振器75からのパルス信号に基づいてカウントを行う。カウント値は、出力端子からA又はBの比較回路85,86に出力される。そして、リセット端子(RST)の信号レベルがHレベルとなると、カウンタ値をリセットする。
【0105】
A比較回路85は、比較タイミング端子(比較)に入力されるAコンパレータ62からの信号レベルがHからLになった時点で、第1の入力端子(入力a)に入力されるAカウンタ81からのカウント値aと、第2の入力端子(入力b)に入力されるBカウンタ82からのカウント値bとを比較する。ここで、第1の入力端子(入力a)に入力されているカウント値aが、第2の入力端子(入力B)に入力されているカウント値bよりも大きい場合には、出力端子(真)の信号レベルがLレベルからHレベルとなると共に、完了端子の信号レベルがLレベルからHレベルとなる。一方、第1の入力端子(入力a)に入力されているカウント値aが、第2の入力端子(入力B)に入力されているカウント値b以下の場合には、出力端子(偽)の信号レベルがLレベルからHレベルとなると共に、完了端子の信号レベルがLレベルからHレベルとなる。
【0106】
B比較回路86も、A比較回路85と同様に、比較タイミング端子(比較)に入力されるBコンパレータ63からの信号レベルがHからLになった時点で、第1の入力端子(入力c)に入力されるCカウンタ83からのカウント値cと、第2の入力端子(入力d)に入力されるDカウンタ84からのカウント値dとを比較する。ここで、c<dであれば、出力端子(真)の信号レベルがLレベルからHレベルとなると共に、完了端子の信号レベルがLレベルからHレベルとなる。一方、c≧dであれば、出力端子(偽)の信号レベルがLレベルからHレベルとなると共に、完了端子の信号レベルがLレベルからHレベルとなる。
【0107】
なお、SRラッチ87の動作については、図8を用いて上述した第1判定回路におけるSRラッチ57と同様である。
図12は、LPF61から出力される回転角信号、Aコンパレータ62から出力される信号(ne+)、Bコンパレータ63から出力される信号(ne−)、微分回路64から出力される回転角信号の微分波形信号(ne’)、A〜Dのカウンタ81〜84から出力されるカウント値、及びSRラッチ87の出力端子(Q)のREVD信号を対応させて示したものである。
【0108】
ここで、回転角信号に基づくAコンパレータ62からの出力信号(ne+)及びBコンパレータ63からの出力信号(ne−)は、上述した判定回路と同様である。すなわち、回転角信号の波形がプラス側に現れると、ne+信号がHレベルとなり、マイナス側に現れると、ne−信号がHレベルとなる。なお、Aコンパレータ62、Bコンパレータ63の比較電圧は、上述したようにそれぞれ「0」よりもわずかに大きな比較電圧Vth1、「0」よりもわずかに小さなVth2が設定されているが、図12では、煩雑になるのを避ける意味で比較電圧を「0」として示した。
【0109】
微分回路64から出力される微分波形信号(ne’)とC,Dのコンパレータ65,66との関係は、上述した回転角信号とA,Bのコンパレータ62,63との関係と同様である。すなわち、微分回路64から出力される微分波形信号がプラス側に現れると、Cコンパレータ65の出力端子の信号レベルがHレベルとなり、微分回路64から出力される微分波形信号がマイナス側に現れると、Dコンパレータ66の出力端子の信号レベルがHレベルとなる。言い換えれば、Cコンパレータ65の出力端子は、回転角信号の信号レベルが増加している場合にHレベルとなり、Dコンパレータ66の出力端子は、回転角信号の信号レベルが減少している場合にHレベルとなる。
【0110】
したがって、Aアンド回路76の出力は、▲1▼回転角信号の波形がプラス側に現れており、かつ、回転角信号の信号レベルが増加しているときに、Hレベルとなる。Bアンド回路77の出力は、▲2▼回転角信号の波形がプラス側に現れており、かつ、回転角信号の信号レベルが減少しているときに、Hレベルとなる。Cアンド回路78の出力は、▲3▼回転角信号の波形がマイナス側に現れており、かつ、回転角信号の信号レベルが減少しているときに、Hレベルとなる。Dアンド回路79の出力は、▲4▼回転角信号の波形がマイナス側に現れており、かつ、回転角信号の信号レベルが増加しているときに、Hレベルとなる。
【0111】
そして、A〜Dのアンド回路76〜79の出力がHレベルになっている期間内に、それぞれ対応するA〜Dのカウンタ81〜84は、カウントアップを行う。したがって、A〜Dのカウンタ81〜84のカウント値a〜dは、上記▲1▼〜▲4▼のいずれかの条件が成立している期間を計時したものとなっている。
【0112】
図12では、期間[t1,t2]は上記▲1▼の条件にあてはまる期間であり、Aカウンタ81がカウントアップを行う。そして、Aカウンタ81のリセット端子(RST)へHレベルの信号が入力されるまで、期間[t1,t2]でのカウント値を保持する。期間[t2,t3]は上記▲2▼の条件にあてはまる期間であり、Bカウンタ82がカウントアップを行う。そして、時刻t3で信号ne+がHレベルからLレベルとなるため、A比較回路85が、Aカウンタ81のカウント値aとBカウンタ82のカウント値bを比較し、a>bならば出力端子(真)をHレベルにする。一方、a≦bならば出力端子(偽)をHレベルにする。図12における期間[t1,t3]の例では、a>bであるため、出力端子(真)がHレベルとなる。これによって、SRラッチのセット端子(S)がHレベルとなるため、図12に示すように時刻t3でSRラッチ87の出力端子(Q)、すなわちREVD信号がHレベルとなる。また、時刻t3において、A比較回路85の完了端子がHレベルとなり、A,Bのカウンタ81,82のリセット端子(RST)がHレベルとなるため、A,Bのカウンタ81,82のカウント値a,bはリセットされて「0」となる。
【0113】
また、期間[t3,t4]は上記▲3▼の条件にあてはまる期間であり、Cカウンタ83が、また、期間[t4,t5]は上記▲4▼の条件を満たす期間であり、Dカウンタ84がカウントアップを行う。そして、時刻t5では信号ne−がHレベルからLレベルへ反転するため、時刻t5において、B比較回路86は、Cカウンタ83のカウント値cとDカウンタ84のカウント値dとを比較し、この場合、c<dであるため出力端子(真)の信号レベルがHレベルとなる。これによって、SRラッチ87のセット端子(S)がHレベルとなるため、SRラッチ87の出力端子(Q)はHレベルに保持される。すなわち、REVD信号はHレベルのままである。
【0114】
時刻t5の後、記号αで示した時点でエンジン1の出力軸1aの回転方向が反転している。したがって、期間[t6,t7]では、Cカウンタ83のカウント値cとDカウンタ84のカウント値dとが逆転する。したがって、B比較回路86は、時刻t7で出力端子(偽)をHレベルとする。そのため、SRラッチ87のリセット端子(R)がHレベルとなり、SRラッチ87の出力端子(Q)はLレベルへ反転する。すなわちREVD信号の信号レベルがLレベルへ反転する。つまり、時刻t7において、エンジン1の出力軸1aの回転方向が反転したことが判定される。
【0115】
第2判定回路は、このように欠け歯部がない場合であっても回転角信号の波形に基づいてエンジン1の出力軸1aの回転方向を判断し、出力軸1aが正回転であればREVD信号を「1」にセットし、逆回転であればREVD信号を「0」にリセットする。したがって、上述した図7中のS700、S730の判定処理において、この第2判定回路からの出力信号であるREVD信号の反転があったか否かを判断すれば、エンジン1の出力軸1aの回転方向が反転したか否かを判断することができる。
【0116】
次に、本第2実施形態のエンジンECU19が発揮する効果を説明する。
本第2実施形態では、回転角信号中に欠け歯部が存在すると判定された場合には(図6中のS610:YES)、欠け歯部直後の回転角信号からエンジン1の出力軸1aの回転方向を判定する第1判定回路の出力結果に基づいてエンジン1出力軸1aの回転方向を判定する(図6中のS620)。また、欠け歯部が存在しないと判定された場合には(図6中のS610:NO)、回転角信号の波形形状からエンジン1の出力軸1aの回転方向を判定する第2判定回路の出力結果に基づいてエンジン1の出力軸1aの回転方向の反転を判定する(図7中のS700,S730)。そして、逆回転していると判定された場合には、回転角信号を異常と判定する(図6中のS640,図7中のS720,S750)。
【0117】
そして、その場合には、上記第1実施形態と同様に、図5に示す禁止処理によって、回転角信号に基づく処理を禁止する(図5中のS310)。
これによって、エンジン1の出力軸1aが、M/G3,5に接続されていることによって、接続されたM/G3,5からの負荷によって逆回転している場合に発生する回転角信号を異常と判断することができ、エンジン1の出力軸1aが逆回転させられている状態で出力される回転角信号に基づく処理を実行することによって発生する不都合を回避することができる。
【0118】
また、本第2実施形態のエンジンECU19は、エンジン1の出力軸1aの逆回転が判断され、一度回転角信号異常フラグXK(ne)が「1」となった後においては、欠け歯部が存在すると判定され(図6中のS610:YES)、正方向の回転であると判断されて(図6中のS620:YES)はじめて、回転角信号異常フラグXK(ne)が「0」となる。つまり、一度回転角信号異常フラグXK(ne)が「1」となった後は、エンジン1の出力軸1aの回転方向が反転し正回転になったと判断された場合であっても(図7中のS700:YES,S730:NO)、回転角信号異常フラグXK(ne)を「0」にリセットすることはない(図7中のS710,S740参照)。
【0119】
これは、エンジン1の出力軸1aの正方向の回転が判断された場合に、回転角信号中に欠け歯部が存在するか否かを判定することによって、微少角度の正回転、逆回転が交互に生じている場合の一時的な正回転であるのか、又は、エンジン1の運転による正回転あるいはスタータ等による強制的な正回転であるのかを切り分ける。これによって、エンジン1の出力軸1aに微少角度の正回転、逆回転が交互に生じている場合に出力される回転角信号に基づく処理を禁止することができ、処理実行に伴って生じる不都合を確実に回避することができる。
【0120】
さらにまた、本第2実施形態では、回転角信号が正常に出力されているにもかかわらず(図6中のS650:YES)、基準信号が出力されていない場合には(図6中のS660:NO)、Gセンサ33を含む基準信号系が異常であると判定し、基準信号系異常フラグX(g)を「1」にセットする。これによって、例えばGセンサ33の故障等で基準信号が出力されないことを判定することができる。
【0121】
また、本第2実施形態では、回転角信号が出力されず(図6中のS600:NO)、基準信号のみが出力されている場合には(図6中のS770:YES)、NEセンサ31を含む回転角信号系が異常であると判定して、回転角信号系異常フラグX(ne)に「1」をセットする。基準信号のみが出力されている場合には、基準位置に対して狭い間隔で設定された所定回転位置で出力される回転角信号は当然に出力されると考えられるからである。これによって、NEセンサ31の断線等を判定することができる。
【0122】
そして、回転角信号が異常と判定された場合、すなわち回転角信号異常フラグXK(ne)に「1」がセットされている場合だけでなく、NEセンサ31を含む回転角信号系が異常であると判定された場合、すなわち回転角信号系異常フラグX(ne)に「1」がセットされている場合にも、回転角信号に基づく処理を禁止する(図5中のS310)のは、上記第1実施形態と同様の理由からである。すなわち、信頼性の低い回転角信号に基づく処理実行を禁止している。
【0123】
上記第1実施形態は、Gセンサ33からの基準信号に基づいてNEセンサ31からの回転角信号の異常性を判定するものであった。これに対して、本第2実施形態は、回転角信号の波形に基づきエンジン1の出力軸1aの回転方向を判定し、これに基づいて回転角信号の異常性を判定するものである。したがって、エンジン1の出力軸1aが例えばM/G3,5からの負荷によって逆回転している場合に出力される回転角信号を異常な信号として判定することができる点で有利である。また、基準信号を異常性判断の基準としないため、基準信号を出力するGセンサ33の異常性を合わせて判定することができる(図6中のS660〜S680)。
【0124】
なお、本第2実施形態のエンジンECU19が実行する図6及び図7に示した信号異常判定処理が「異常判定手段」としての処理に相当し、図5に示した禁止処理は「処理禁止手段」としての処理に相当する。また、図8、図10及び図11に基づいて説明した第1及び第2判定回路が、「回転方向判定手段」に相当する。
[その他]
(1)上記第2実施形態では、図10〜図12を用いて説明したような第2判定回路を用いてエンジン1の出力軸1aの回転方向を判定していたが、別の回路によっても、同様の判定を行うことができる。
【0125】
そこで次に、別の判定回路として第3判定回路を図13及び図14を用いて説明する。
この判定手法も、回転角信号の波形の形状に基づいて回転方向を判断しようとするものであり、回転角信号のプラス側又はマイナス側に現れる波形の1つに着目したものである点においては、上述した第2判定回路と同様である。上記第2実施形態では、回転角信号のプラス側又はマイナス側に現れる波形において、その信号レベルの増加期間と減少期間とを比較した。
【0126】
これに対して、以下説明する判定手法では、回転角信号のプラス側又はマイナス側に現れる波形の傾きを比較する。最初に図4に基づき概要を説明しておく。
図4(a)において、プラス側に現れる波形の1つに着目すれば、その信号レベルは、ゆっくりと増加し、瞬時に減少することが分かる。すなわち、エンジン1の出力軸1aが正回転している場合、プラス側に現れる波形の1つに着目すれば、その信号レベルの増加期間における所定時点での傾きの絶対値は、減少期間における所定時点での傾きの絶対値よりも小さくなっている。同様に図4(b)で見れば、増加期間における所定時点の傾きの絶対値は、減少期間における所定時点での傾きの絶対値よりも大きくなっている。したがって、これら所定時点における傾きの絶対値を比較すれば、エンジン1の出力軸1aの回転方向を判定することができる。
【0127】
以下、このような手法によってエンジン1の出力軸1aの回転方向を判定する第3判定回路について説明する。なお、上記第2実施形態で説明した第2判定回路と異なる部分のみを説明する。
この第3判定回路は、図10に示した回路構成のうちLPF61、A,Bの2つのコンパレータ62,63及び微分回路64を備えている。
【0128】
また、図13に示すように、4つのデータラッチ101,102,103,104と、2つの比較回路105,106と、SRラッチ107とを備えている。4つのデータラッチ101,102,103,104を、Aデータラッチ101、Bデータラッチ102、Cデータラッチ103及びDデータラッチ104と記述して以下区別する。また、2つの比較回路105,106を、A比較回路105及びB比較回路106と記述して以下区別する。
【0129】
Aデータラッチ101のラッチ端子及びBデータラッチ102のラッチ端子には、Aコンパレータ62から出力される信号(ne+)が入力される。また、Cデータラッチ103のラッチ端子及びDデータラッチ104のラッチ端子には、Bコンパレータ63から出力される信号(ne−)が入力される。
【0130】
そして、A〜Dのデータラッチ101〜104のデータ入力端子(D)には、微分回路64から出力される微分波形信号が入力される。
Aデータラッチ101は、Aコンパレータ62からの信号(ne+)がLレベルからHレベルに反転した時点、すなわちne+が立ち上がった時点でのデータ入力端子(D)の信号レベルを、リセット端子(RST)の信号レベルがHレベルとなるまで、出力端子に保持する。ここで、出力端子に保持される信号をデータaとする。
【0131】
Bデータラッチ102は、Aコンパレータ62からの信号(ne+)がHレベルからLレベルに反転した時点のデータ入力端子(D)の信号レベルを、リセット端子(RST)の信号レベルがHレベルとなるまで、出力端子に保持する。ここで、出力端子に保持される信号をデータbとする。
【0132】
同様に、Cデータラッチ103は、Bコンパレータ62からの信号(ne−)がLレベルからHレベルに反転した時点の、また、Dデータラッチ104は、Bコンパレータ62からの信号(ne−)がHレベルからLレベルに反転した時点のデータ入力端子(D)の信号レベルを、リセット端子(RST)の信号レベルがHレベルとなるまで、出力端子に保持する。Cデータラッチ103の出力端子に保持される信号をデータc、Dデータラッチ104の出力端子に保持される信号をデータdとする。
【0133】
A比較回路105の第1の入力端子(入力a)には、Aデータラッチ101の出力端子が接続され、第2の入力端子(入力b)には、Bデータラッチ102の出力端子が接続されている。そして、A比較回路105の比較タイミング端子には、Aコンパレータ62から出力される信号(ne+)が入力されている。A比較回路105は、比較タイミング端子の信号ne+の信号レベルがHレベルからLレベルとなった時点で、第1及び第2の2つの入力端子に入力されている信号レベルの絶対値を比較する。すなわち、|a|と|b|とを比較する。ここでデータaの絶対値がデータbの絶対値よりも小さい場合、出力端子(真)の信号レベルをHレベルとする。一方、データaの絶対値がデータbの絶対値以上である場合、出力端子(偽)の信号レベルをHレベルとする。
【0134】
また、B比較回路106の第1の入力端子(入力c)には、Cデータラッチ103の出力端子が接続され、第2の入力端子(入力d)には、Dデータラッチ104の出力端子が接続されている。そして、B比較回路106の比較タイミング端子には、Bコンパレータ63から出力される信号(ne−)が入力されている。B比較回路106は、比較タイミング端子の信号ne−の信号レベルがHレベルからLレベルとなった時点で、第1及び第2の2つの入力端子に入力されている信号レベルの絶対値を比較する。すなわち、|c|と|d|とを比較する。ここでデータcの絶対値がデータdの絶対値よりも大きい場合、出力端子(真)の信号レベルをHレベルとする。一方、データcの絶対値がデータdの絶対値以下である場合、出力端子(偽)の信号レベルをHレベルとする。
【0135】
A,Bの比較回路105,106の出力端子は、2入力の2つのオア回路108,109に接続されている。この2つのオア回路108,109をAオア回路108及びBオア回路109と記述して以下区別する。
Aオア回路108の一方の入力端子には、A比較回路105の出力端子(真)が接続され、他方の入力端子には、B比較回路106の出力端子(真)が接続されている。Bオア回路109の一方の入力端子には、A比較回路105の出力端子(偽)が接続され、他方の入力端子には、B比較回路106の出力端子(偽)が接続されている。
【0136】
そして、Aオア回路108の出力端子は、SRラッチ107のセット端子(S)に接続され、Bオア回路109の出力端子は、SRラッチ107のリセット端子(R)に接続されている。このSRラッチ107は、セット端子(S)の信号レベルがHレベルとなると、出力端子(Q)の信号レベルをHレベルに保持し、逆に、リセット端子(R)の信号レベルがHレベルとなると、出力端子(Q)の信号レベルをLレベルに保持する。
【0137】
したがって、A比較回路105の出力端子(真)又はB比較回路106の出力端子(真)のいずれか一方がHレベルとなると、SRラッチ107のセット端子(S)の信号レベルがHレベルとなるため、出力端子(Q)はHレベルに保持されることになる。また、A比較回路105の出力端子(偽)又はB比較回路の106の出力端子(偽)のいずれか一方がHレベルとなると、SRラッチ107のリセット端子(R)がHレベルとなるため、出力端子(Q)はLレベルに保持されることになる。
【0138】
さて、この第3判定回路の動作を図14のタイムチャートで説明すれば、時刻t1でne+信号がHレベルに反転すると、Aデータラッチ101がne’の信号レベルをデータaとしてラッチする。そして、時刻t2でne+信号がLレベルに反転すると、Bデータラッチ102がne’の信号レベルをデータbとしてラッチする。また、その直後にA比較回路105は、データaの絶対値とデータbの絶対値を比較する。ここで|a|<|b|であるため、A比較回路105は、出力端子(真)をHレベルとする。すると、SRラッチ107のセット端子(S)がHレベルとなり、出力端子(Q)の信号レベルがHレベルとなる。つまり、時刻t2ではREVD信号がHレベルに保持されることになる。
【0139】
続いて、時刻t3でne−信号がHレベルに反転すると、Cデータラッチ103がne’の信号レベルをデータcとしてラッチする。そして、時刻t4でne−信号がLレベルに反転すると、Dデータラッチ104がne’の信号レベルをデータdとしてラッチする。また、その直後に、B比較回路106は、データcの絶対値とデータdの絶対値を比較する。ここで|c|>|d|であるため、B比較回路106は、出力端子(真)をHレベルとする。すると、SRラッチ107のセット端子(S)がHレベルとなり、出力端子(Q)の信号レベルがHレベルに保持される。つまり、時刻t4ではREVD信号がHレベルに保持されることになる。
【0140】
そして、時刻t4の後(図14中に記号αで示した時点)にエンジン1の出力軸1aの回転方向が逆転している。このため、時刻t5にラッチされるデータcと時刻t6にラッチされるデータdとは|c|≦|d|の関係にあり、B比較回路106は、出力端子(偽)をHレベルとする。すると、SRラッチ107のリセット端子(R)がHレベルとなり、出力端子(Q)の信号レベルがLレベルに保持される。つまり、時刻t6ではREVD信号がLレベルに反転することになる。
【0141】
したがって、上記第2実施形態において、第2判定回路に代え、このような第3判定回路を用いても、図7中のS700、S730の判定処理において、REVD信号の反転を判断すれば、エンジン1の出力軸1aの回転方向の反転を判断することができる。
(2)上記第2実施形態における第2判定回路や、(1)として上述した第3判定回路を用いれば、エンジン1の出力軸1aの反転のみならず、その回転方向までを判断することができる。エンジン1の出力軸1aの反転のみを判定するのであれば、次のような手法を用いることもできる。それは、図15に示すように、エンジン1の出力軸1aの反転があった場合、ne+信号又はne−信号が2回続けてHレベルとなるため、ne+信号又はne−信号が2回続けてHレベルとなったか否かを判定するものである。上記第2実施形態の図7中のS700及びS730では、回転方向の反転のみを判断しているため、このような手法でも対応できる。
(3)ただし、上述した第2判定回路、第3判定回路では、エンジン1の出力軸1aの回転方向の反転を、回転角信号のプラス側又はマイナス側に現れる波形の1つに着目して行っていた。つまり、突起対応波形のプラス側又はマイナス側の波形が完全に出力されることを前提としている。
【0142】
ところが、このプラス側又はマイナス側の波形の出力途中でエンジン1の出力軸1aが反転する場合も考えられる。図16及び図17に示す回転角信号の如くである。
そこで、さらに、あらゆる場合に対応できるように上述した手法を補足する。
【0143】
例えば図16のタイムチャートに示すように、回転角信号が不連続、すなわち右方微分係数と左方微分係数とが一致しないような場合(図16中の時刻t1及びt2)も、エンジン1の出力軸1aの回転方向が反転している。このような場合には、ne’が連続的に変化しないため、このようなne’の断続的な変化を検出すれば、エンジン1の出力軸1aの回転方向の反転が判断できる。ne’の断続的な変化は、図16に示すようにne’が一瞬の間に反転するという波形として現れる。したがって、このような反転を検出すればよい。
【0144】
また、図17のタイムチャートに示すように、回転角信号が連続であっても、エンジン1の出力軸1aの回転方向が反転する場合がある。例えば回転角信号の最小値付近あるいは最大値付近でエンジン1の出力軸1aの回転方向が反転するような場合である。
【0145】
これは次に示すような事実に基づいて判定すればよい。すなわち、1つの突起に対応する回転角信号の波形は、正方向回転の場合、「0」から所定期間(以下「第1の期間」という。)にゆっくりと増加していき、急激にマイナス側に反転する期間(以下「第2の期間」という。)を経て、「0」まで第1の期間とほぼ同様の期間(以下「第3の期間」という。)にゆっくりと増加する。ここで第2の期間と第3の期間とを足した期間には、微分波形信号ne’は、2回だけ「0」となる。さらに、第2の期間は、非常に短い期間であるため、第2の期間と第3の期間とを足した期間は、第1の期間と同じとみなしても差し支えない。
【0146】
そこで、第1の期間を計時し、第1の期間終了後、その第1の期間と同一の時間が経過するまでの間に、微分波形信号ne’が、2回だけ「0」となるか否かを判定すればよい。つまり、1回又は3回「0」となれば、反転したと判定することができる。なお、この判定には、微分波形信号ne’を入力信号とするゼロクロス判定回路、又は、エッジ検出回路を用いることが考えられる。また、ここでは、正方向回転の場合を説明したが、逆方向回転の場合も同様である。
【0147】
例えば図17では、時刻t1から時刻t2までの第1の期間[t1,t2]をタイマAにて計時し、時刻t2からタイマAにて計時された時間Tが経過する期間[t2,t3]の間にゼロクロス判定回路からの出力を、カウンタAにてカウントしている。図17中の記号αで示した時刻でエンジン1の出力軸1aは反転しているため、カウンタAの値は時刻t3で「3」となり、出力軸1aの反転が判定される。
【0148】
同様に、期間[t4,t5]では、カウンタAが「1」となるので反転有りと判定され、期間[t6,t7]では、カウンタBが「2」となるので反転無しと判定される。
(4)さて、上記第1及び第2実施形態において、それぞれ説明した信号異常判定処理により回転角信号が異常であると判断された後には、図5に示した禁止処理によって回転角信号に基づく処理の実行が禁止され、処理実行に伴う不都合を確実に回避することができる。しかしながら、信号異常判定処理が実行され、回転角信号が異常と判断されるまでのわずかな期間に関しては、異常な回転角信号に基づく処理が実行される可能性がある。この場合に、特にエンジン1に対する点火及び燃料噴射のための点火処理、噴射処理が実行され、その点火処理、噴射処理の中で点火及び燃料噴射に直接的につながるダイアグが実行されると、実際に燃料噴射や点火が行われてしまう。もしエンジン1が逆回転させられている場合等に、このような燃料噴射や点火が行われるとエンジン1が壊れてしまう最悪の自体を招く。
【0149】
そこで、点火ダイアグや燃料噴射ダイアグに関しては、点火処理や噴射処理の中で適切に禁止してやることが考えられる。これについて説明する。
図18は、エンジンECU19の内部の点火系のみの構成を示したものである。本発明の特徴である回転角信号の異常性判断は、エンジンECU19に入力される回転角信号(ne)及び基準信号(g)に基づいて処理禁止回路110にて行われるものであるが、同時に回転角信号(ne)及び基準信号(g)は、波形整形回路112を介して点火IC113に入力される。すると、CPU114にて所定の信号が算出され、これによってイグナイタへの通電が行われる。つまり、回転角信号の異常性判断の結果を待つことなく、エンジン1への点火が行われてしまうのである。したがって、少なくとも回転角信号の異常性が判断されるまでのわずかな期間に関しては、点火処理の中で点火ダイアグを適切に禁止してやることが望ましい。
【0150】
点火処理については、従来より周知であるため、ここでは簡単にその概略説明を行う。なお、この点火処理は、4気筒エンジンに関するものである。
図18に示すように、回転角信号及び基準信号がLPF111を介して波形整形回路112に入力される。波形成形された信号(ne36,G2)は、点火IC113に入力される。回転角信号(ne)は10度毎に発生し、途中突起2つ分の欠け歯部を有している。この回転角信号(ne)を波形成形した信号が、ne36信号である(図19参照)。
【0151】
点火IC113では、ne36信号を3分周したne12信号(図19参照)、ne36信号の欠け歯部を判定した場合にHレベルとなる欠け歯判定信号(図19参照)、ne12信号に基づく特定気筒のTDC(Top Dead Center )信号(図20参照)、欠け歯部判定信号から所定角度以内にG2信号があるか否かによってTDC信号の立ち下がりに同期して反転するG2O信号を作成し(図20参照)、CPU114へ出力する。CPU114は、ne12信号、TDC信号、G2O信号に基づき、IGT1I信号及びIGT2I信号を算出し、点火IC113へ出力する。点火IC113では、このIGT1I信号及びIGT2I信号と振り分け信号(振り分け#1,4信号,振り分け#2,3信号)とに基づき4つの各気筒に対する点火信号である、IGT1O信号、IGT2O信号、IGT3O信号、IGT4O信号をイグナイタに対して出力する(図22参照)。これによって、所定順序で各気筒に対する点火が行われる。
【0152】
このように、点火処理においては、回転角信号(ne)に基づいてTDC信号を作成し、基準信号(g)に基づいてG2O信号を作成する。そして、このTDC信号及びG2O信号を基準として点火を行う。
そこで、図21のフローチャートに示すように、まず最初にTDC信号及びG2O信号が所定の関係にあるか否かを判断する(S810)。この判断は、TDC信号及びG2O信号に基づくクランクカウンタの値を用いて行うことが考えられる。ここで所定の関係にない場合(S810:NO)、点火ダイアグを禁止する(S820)。これによって実際に点火が行われることがなくなる。一方、所定の関係にある場合(S810:YES)、点火ダイアグを許可する(S830)。
【0153】
このようにすれば、回転角信号が異常と判断されるまでのわずかな期間に関しても、異常な回転角信号に基づく処理が実行されない。結果として、燃料噴射や点火によってエンジン1が壊れてしまうというような最悪の事態を防止することができる。
【0154】
なお、ここでは点火処理について説明したが、燃料噴射処理も同様にTDC信号及びG2O信号を基準として行われるものであるため、同様の方法で燃料噴射ダイアグを禁止すればよい。
(5)図8を用いて説明した第1判定回路は、回転角信号の欠け歯部を判定し、その直後の回転角信号の波形がプラス側に現れるか否かを判定して、エンジン1の出力軸1aの回転方向を判定するものであった。これと同様に欠け歯部を判定して出力軸1aの回転方向を判定する手法として、シグナルロータに少なくとも3箇所の欠け歯を設け、この欠け歯位置がシグナルロータの正方向の回転と逆方向の回転で非対称になるように配置しておけば、欠け歯間の突起を係数することによって正回転、逆回転を判定することもできる。例えば図22に示す如くである。
【0155】
同様に、シグナルロータの少なくとも3箇所に突起を設け、この突起自体の大きさがシグナルロータの正方向の回転と逆方向の回転で非対称になるようにしてもよい。また、これら突起と突起の間隔がシグナルロータの正方向の回転と逆方向の回転で非対称になるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1及び第2実施形態のハイブリッド型車両の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態のエンジンECUが実行する信号異常判定処理を示すフローチャートである。
【図3】(a)はシグナルロータとNEセンサを示す説明図であり、(b)はシグナルロータの突起と回転角信号との対応を示すための説明図である。
【図4】NEセンサから出力される回転角信号の波形を示す説明図である。
【図5】第1及び第2実施形態のエンジンECUが実行する禁止処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態のエンジンECUが実行する信号異常判定処理を示すフローチャートの前半部分である。
【図7】第2実施形態のエンジンECUが実行する信号異常判定処理を示すフローチャートの後半部分である。
【図8】第1判定回路を示す回路図である。
【図9】第1判定回路の所定部分の信号を示すタイムチャートである。
【図10】第2判定回路を示す回路図である。
【図11】第2判定回路を示す回路図である。
【図12】第2判定回路の所定部分の信号を示すタイムチャートである。
【図13】第3判定回路を示す回路図である。
【図14】第3判定回路の所定部分の信号を示すタイムチャートである。
【図15】エンジンの出力軸の反転を判定する手法を示す説明図である。
【図16】エンジンの出力軸の反転を判定する手法を示す説明図である。
【図17】エンジンの出力軸の反転を判定する手法を示す説明図である。
【図18】エンジン制御装置における点火系の概略構成を示すブロック図である。
【図19】点火処理のための信号を示す説明図である。
【図20】点火処理のための信号を示す説明図である。
【図21】点火処理を示すフローチャートである。
【図22】欠け歯に基づくエンジンの出力軸の回転方向の判定手法を例示する説明図である。
【符号の説明】
1…エンジン 1a…出力軸
3,5…モータ/ジェネレータ 7…出力軸
9…ディファレンシャルギヤ 11R,11L…駆動輪
13,15…インバータ 17…モータ/ジェネレータ制御装置
19…エンジン制御装置 21…吸気経路
23…スロットル弁 25…DCモータ
31…NEセンサ 33…Gセンサ
41…シグナルロータ 41a…突起
41b…欠け歯
51,61,111…ローパスフィルタ
52,53,62,63,65,66…コンパレータ
54…欠け歯判定回路 55,56…ラッチ
57,87,107…セットリセットラッチ
58,69…プルアップ抵抗 59…否定回路
64…微分回路 75…発振器
76,77,78,79…アンド回路 81,82,83,84…カウンタ
85,86,105,106…比較回路
88,89,108,109…オア回路
101,102,103,104…データラッチ
112…波形整形回路 113…点火IC
114…CPU

Claims (9)

  1. 走行動力源として用いられるモータと、走行動力源又は前記モータを回転させるための電力を生成する発電機の駆動の少なくともいずれか一方に用いられる内燃機関とを併有するハイブリッド型車両であって、所定条件下では当該内燃機関の運転を停止するハイブリッド型車両に用いられ、前記内燃機関の出力軸が当該出力軸の一回転に対して複数設定された所定の回転位置となったことを検出する回転位置検出手段から出力される回転角信号と、前記内燃機関の出力軸が前記所定の回転位置の間隔よりも広い間隔で前記出力軸一回転に対して設定された基準位置となったことを検出する基準位置検出手段から出力される基準信号とが入力されるようになっており、少なくとも前記回転角信号に基づいて所定の処理を実行する情報処理装置において、前記回転角信号のみが出力され、前記基準信号が出力されない場合には、当該出力された前記回転角信号が異常であると判定する異常判定手段と、該異常判定手段によって前記回転角信号が異常であると判定された場合には、当該回転角信号に基づく処理を禁止する処理禁止手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
  2. 請求項1に記載の情報処理装置において、前記異常判定手段は、さらに、前記回転角信号及び前記基準信号が出力されている場合であっても、少なくとも一方の信号が適切なタイミングで出力されていない場合には、当該出力された前記回転角信号が異常であると判定することを特徴とする情報処理装置。
  3. 請求項1又は2に記載の情報処理装置において、前記異常判定手段は、さらに、前記回転角信号が出力されず、前記基準信号のみが出力されている場合には、前記回転位置検出手段を含む信号系が異常であると判定するよう構成されていることを特徴とする情報処理装置。
  4. 請求項3に記載の情報処理装置において、前記処理禁止手段は、前記異常判定手段によって前記回転位置検出手段を含む信号系が異常であると判定された場合、その後は前記回転角信号に基づく処理を禁止するよう構成されていることを特徴とする情報処理装置。
  5. 走行動力源として用いられるモータと、走行動力源又は前記モータを回転させるための電力を生成する発電機の駆動の少なくともいずれか一方に用いられる内燃機関とを併有するハイブリッド型車両であって、所定条件下では当該内燃機関の運転を停止するハイブリッド型車両に用いられ、前記内燃機関の出力軸の回転位置が複数箇所設定された所定の回転位置となったことを検出する回転位置検出手段から出力される回転角信号が入力されるようになっており、少なくとも前記回転角信号に基づいて所定の処理を実行する情報処理装置において、前記内燃機関の出力軸の回転方向を判定する回転方向判定手段と、前記回転角信号が出力されている場合であっても、前記回転方向判定手段によって前記内燃機関の出力軸が逆回転していると判定された場合には、当該出力された前記回転角信号が異常であると判定する異常判定手段と、該異常判定手段によって前記回転角信号が異常であると判定された場合には、当該回転角信号に基づく処理を禁止する処理禁止手段とを備え
    前記内燃機関の出力軸が基準回転角となったことを判断するための欠け歯部が、前記出力軸の回転に伴って前記回転角信号中に出現するよう前記所定の回転位置が設定されており、
    さらに、前記回転角信号に前記欠け歯部が存在するか否かを判定する欠け歯判定手段を備え、
    前記異常判定手段は、前記回転角信号が異常であると一度判定した後は、前記回転方向判定手段によって前記内燃機関の出力軸が正回転していると判定された場合であっても、前記欠け歯判定手段によって前記回転角信号に欠け歯部が存在すると判定されるまでは、前記回転角信号を異常と判定するよう構成されていること
    を特徴とする情報処理装置。
  6. 請求項に記載の情報処理装置において、前記回転角信号と共に、前記内燃機関の出力軸の回転位置が前記所定の回転位置よりも広い間隔で前記出力軸一回転に対して前記欠け歯部とは別に設定された基準位置となったことを検出する基準位置検出手段から出力される基準信号が入力されるようになっており、前記異常判定手段は、さらに、前記回転方向判定手段によって前記内燃機関の出力軸が正回転していると判定され、前記欠け歯判断手段によって前記回転角信号に欠け歯部が存在すると判定された場合に、前記基準信号が出力されていないときには、前記基準位置検出手段を含む信号系が異常であると判定するよう構成されていることを特徴とする情報処理装置。
  7. 請求項に記載の情報処理装置において、前記異常判定手段は、さらに、前記回転角信号が出力されず、前記基準信号のみが出力されている場合には、前記回転位置検出手段を含む信号系が異常であると判定するよう構成されていることを特徴とする情報処理装置。
  8. 請求項に記載の情報処理装置において、前記処理禁止手段は、前記異常判定手段によって前記回転位置検出手段を含む信号系が異常であると判定された場合、その後は前記回転角信号に基づく処理を禁止するよう構成されていることを特徴とする情報処理装置。
  9. 請求項1、2、3、4、6、7、8のいずれかに記載の情報処理装置を用いて構成されたエンジン制御装置であって、前記回転角信号及び前記基準信号に基づいて前記内燃機関の点火処理及び燃料噴射処理を実行するよう構成されており、当該点火処理及び燃料噴射処理において、前記回転角信号に基づく信号及び前記基準信号に基づく信号が所定の関係にない場合には、前記内燃機関に対する点火及び燃料噴射に係るダイアグを禁止することによって前記内燃機関への点火及び燃料の噴射を禁止する点火噴射禁止手段を備えることを特徴とするエンジン制御装置。
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