JP3887668B2 - 光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定方法および測定装置 - Google Patents

光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定方法および測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば生体組織に光パルスを照射して、その透過光や散乱光の時間分解プロファイルを測定して生体組織の吸光係数および光散乱係数を求め、これに基づいて生体組織の生理状況等を測定するのに好適に用いられる、光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定方法および測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光散乱吸光媒質の光散乱係数μs'(reduced scattering coefficient)および吸光係数μa (absorption coefficient)を測定する手法として、光パルスを光散乱吸光媒質である測定対象物に入射させ、光散乱吸光媒質内で多重散乱によって時間的に拡がった光を時間分解分光法(time-resolved spectroscopy)により時間分解計測し、この計測結果に光拡散方程式およびフィックの法則の解析的な解を当てはめることにより、光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数を求める手法が知られている。
【0003】
図9は、光散乱吸光媒質に入射した光パルスの多重散乱の説明図であり、図9(a)は光散乱吸光媒質に入射した光パルスの反射光の説明図、図9(b)は光散乱吸光媒質に入射した光パルスの透過光の説明図である。この図に示すように、光パルスが光散乱吸光媒質に入射して多重散乱されて出射した反射光・透過光を時間分解計測すると、その時間分解プロファイルは、入射光のプロファイルと比べて時間的に拡がったプロファイルになる。そして、この時間分解プロファイルの形状が光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数に依存することから、時間分解プロファイルの形状に基づいて、光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数を求めることができる。
【0004】
これに際して、時間分解計測の解析的な解を求めるための光拡散方程式は、
【数1】
Figure 0003887668
で表される。Dは光拡散係数、φは光子密度、cは光散乱吸光媒質中の光速、tは時間変数、rは位置変数、qは入射光、μs'は光散乱吸光媒質の光散乱係数、μa は光散乱吸光媒質の吸光係数である。光子密度φは、位置変数rおよび時間変数tの関数である。また、フィックの法則は、
【数2】
Figure 0003887668
で表される。Jは光子流密度であり、dは入射位置と検出位置との間の距離であり、nは光子の流れの向きを表す。
【0005】
例えば、図9(a)に示したような平坦で均質な光散乱吸光媒質において、(1)式および(2)式を解くと、反射率R(d,t)は、
【数3】
Figure 0003887668
なる式で表される(参考文献: M.S.Patterson, et al., Applied Optics, Vol.28, No.12, pp.2331-2336 (1989))。この(3)式で表される反射率R(d,t)と時間分解計測による時間分解プロファイルとから、光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数が求められる。
【0006】
このような測定技術は、例えば、強い光散乱吸光媒質である生体組織の検査への応用が検討されており、特に、適切な波長を用いて測定することにより、生体組織中の水、脂肪、糖分などの濃度、また、ビリルビンなどの生体内物質の濃度の定量測定への応用が検討されている。その他、生体組織内には、生理状態の変化に応じて光吸光スペクトルが変化する物質が数多く存在する。
【0007】
例えば、血液中に存在するヘモグロビンは、生体組織の各臓器への酸素運搬の担っているものであるが、周囲の酸素濃度に応じて吸光係数が変化する。そこで、生体組織の吸光係数を測定することにより、生体組織の酸素代謝情報を得ることができる。また、他の例として、筋肉中のミオグロビン、細胞のミトコンドリア内に存在するチトクローム等の蛋白質、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)等の物質も、生体組織の酸素代謝状況やエネルギ代謝状況に応じて吸光係数の変化が起こるとされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、測定対象物は、一般的に幾何学的に複雑な形状をしており、光学的に不均質である。このような光散乱吸光媒質の場合には、(1)式および(2)式とを解析的に解くことは困難である。このような場合であっても、近似的に(3)式を用いることも考えられるが、誤差が大きい。そこで、幾何学的に複雑な形状で光学的に不均質な光散乱吸光媒質の測定に際しては、(1)式および(2)式とを有限要素法等の手法を用いて近似的に解くか、あるいは、モンテカルロシミュレーション等の方法で解析することが行われている。しかし、これらは膨大な計算量を必要とし、光散乱吸光媒質の光散乱係数およぶ吸光係数をリアルタイムに測定することは困難である。
【0009】
特に、生体組織内の生理状態を測定しようとする場合には、その生理状態の変化が速いので、上述の物質を計測またはモニタするためには秒単位での繰り返し測定が必要不可欠である。しかし、生体組織は複雑な構造をしており、生体組織の構造を単純な幾何学的構造にモデル化することは困難である。中でも、脳組織は、一般に筋肉や脳などの臓器よりも光散乱係数が高い頭蓋骨に囲まれているため、図10に示すように光の大部分が脳組織を透過する状況であっても、頭蓋骨における光散乱の影響が脳組織における光の時間的拡散に影響を及ぼして、単純な光拡散方程式の解での解析が困難となっている。したがって、測定対象物の光散乱係数および吸光係数を正確に測定することができないという問題点も生じている。
【0010】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、光散乱吸光媒質が幾何学的に複雑な形状であったり又は光学的に不均質であっても、その吸光係数および光散乱係数をリアルタイムに且つ正確に測定することができる、光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定方法および測定装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光散乱吸光媒質(ヒトを除く)の吸光係数および光散乱係数の測定方法は、(1) 光散乱吸光媒質である測定対象物と同じ形状のものについて、入射光量、吸光係数および光散乱係数をパラメータとする光拡散方程式の解を求める第1のステップと、(2) 吸光係数および光散乱係数が既知である標準試料に対して光パルスを照射し、標準試料における多重散乱に伴って発生した出射光を時間分解計測して第1の時間分解プロファイルを求める第2のステップと、(3) 第1の時間分解プロファイルに、標準試料の吸光係数および光散乱係数それぞれの値が代入された光拡散方程式の解を当てはめて、実効的入射光量を求める第3のステップと、(4) 測定対象物に対して光パルスを照射し、測定対象物における多重散乱に伴って発生した出射光の光強度を測定するとともに、該出射光を時間分解計測して第2の時間分解プロファイルを求める第4のステップと、(5) 第2の時間分解プロファイルを出射光の光強度に基づいて補正する第5のステップと、(6) 第5のステップで補正された第2の時間分解プロファイルに、実効的入射光量が代入された光拡散方程式の解を当てはめて、測定対象物の吸光係数および光散乱係数を求める第6のステップと、を備えることを特徴とする。
【0012】
この測定方法によれば、第1のステップで光散乱吸光媒質である測定対象物と同じ形状のものについて求められた光拡散方程式の解は、第2のステップで吸光係数および光散乱係数が既知である標準試料について求められた第1の時間分解プロファイルに、第3のステップにおいて当てはめ計算が行われて、実効的入射光量が求められる。次に、第4のステップで、測定対象物について出射光の光強度と第2の時間分解プロファイルが求められ、第5のステップで、第2の時間分解プロファイルは出射光の光強度に基づいて補正され、第6のステップで、第5のステップで補正された第2の時間分解プロファイルに、実効的入射光量が代入された光拡散方程式の解が当てはめられて、測定対象物の吸光係数および光散乱係数が求められる。
【0013】
第2のステップは、単一光子検出時間相関法により、第1の時間分解プロファイルを求め、第4のステップは、単一光子検出時間相関法により、出射光の光強度を測定するとともに第2の時間分解プロファイルを求めることとしてもよい。この場合、出射光が微弱であっても、吸光係数および散乱係数を正確に求めることができる。
【0014】
第2のステップは、互いに時間的に重なることなく且つ互いに異なる複数の波長の光パルスを標準試料に照射して、第1の時間分解プロファイルを求め、第3のステップは、第1の時間分解プロファイルに基づいて、複数の波長の光パルスそれぞれについての時間分解プロファイルを求めて、複数の波長の光パルスそれぞれについての実効的入射光量を求め、第4のステップは、複数の波長の光パルスを測定対象物に照射して、出射光の光強度を測定するとともに、第2の時間分解プロファイルを求め、第5のステップは、第2の時間分解プロファイルに基づいて複数の波長の光パルスそれぞれについての時間分解プロファイルを求めて補正し、第6のステップは、複数の波長の光パルスそれぞれについて測定対象物の吸光係数および光散乱係数を求めることとしてもよい。この場合、分光分析が可能となる。
【0015】
また、本発明に係る光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置は、(1) 光パルスを出力して、光散乱吸光媒質である測定対象物、または、吸光係数および光散乱係数が既知である標準試料に光パルスを入射させる光パルス光源部と、(2) 光パルスが照射された測定対象物または標準試料における多重散乱に伴って発生した出射光の光強度を測定する光強度測定部と、(3) 出射光を時間分解計測して、時間分解プロファイルを求める光強度時間分解測定部と、(4) 標準試料に光パルスが照射されたときに光強度時間分解測定部により測定された出射光の時間分解プロファイルに、測定対象物と同じ形状のものについて解かれた光拡散方程式の解に標準試料の吸光係数および散乱係数それぞれの値が代入されたものを当てはめて、実効的入射光量を求める入射光量算出手段と、(5) 測定対象物に光パルスが照射されたときに光強度時間分解測定部により測定された出射光の時間分解プロファイルを、光強度測定部により測定された出射光の光強度に基づいて補正する時間分解プロファイル補正手段と、(6) 時間分解プロファイル補正手段により補正された時間分解プロファイルに、実効的入射光量が代入された光拡散方程式の解を当てはめて、測定対象物の吸光係数および光散乱係数を求める光散乱係数・吸光係数算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この測定装置によれば、光パルス光源部から出力された光パルスは、光散乱吸光媒質である測定対象物、または、吸光係数および光散乱係数が既知である標準試料に入射される。光パルスが照射された測定対象物または標準試料における多重散乱に伴って発生した出射光の強度は、光強度測定部により測定される。また、その出射光は、光強度時間分解測定部により、時間分解計測されて、時間分解プロファイルを求められる。入射光量算出手段により、標準試料に光パルスが照射されたときに光強度時間分解測定部により測定された出射光の時間分解プロファイルに、測定対象物と同じ形状のものについて解かれた光拡散方程式の解が当てはめられて、実効的入射光量が求められる。時間分解プロファイル補正手段により、測定対象物に光パルスが照射されたときに光強度時間分解測定部により測定された出射光の時間分解プロファイルが、光強度測定部により測定された出射光の光強度に基づいて補正される。そして、光散乱係数・吸光係数算出手段により、時間分解プロファイル補正手段により補正された時間分解プロファイルに、実効的入射光量が代入された光拡散方程式の解が当てはめられて、測定対象物の吸光係数および光散乱係数が求められる。
【0017】
光強度測定部は、出射光の個々の光子を検出して電気的パルス信号を出力する単光子検出部と、電気的パルス信号を計数して出射光の光強度を求めるパルスカウンタを備え、光強度時間分解測定部は、光パルスの出射時刻から電気的パルス信号の発生時刻までの時間に応じた波高値の電気信号を出力する時間パルス波高変換部と、電気信号の波高値分布を生成して時間分解プロファイルを出力する波高分析部を備えることとしてもよい。この場合、単一光子検出時間相関法により出射光の光強度および時間分解プロファイルが得られるので、出射光が微弱であっても、吸光係数および散乱係数を正確に求めることができる。
【0018】
更に、(1) 互いに時間的に重なることなく且つ互いに異なる複数の波長の光パルスが照射された測定対象物または標準試料における多重散乱に伴って発生した出射光について光強度時間分解測定部により測定された時間分解プロファイルに基づいて、複数の波長の光パルスそれぞれについての時間分解プロファイルを求める各波長時間分解プロファイル決定部と、(2) 複数の波長の光パルスそれぞれについての時間分解プロファイルおよび光強度測定部により測定された出射光の光強度に基づいて、複数の波長の光パルスそれぞれについての出射光の光強度を求める各波長検出強度決定部と、を備え、(a) パルス光源部は、複数の波長の光パルスそれぞれを順次出力し、(b) 入射光量算出手段は、複数の波長の光パルスそれぞれについて実効的入射光量を求め、(c) 時間分解プロファイル補正手段は、複数の波長の光パルスそれぞれについて時間分解プロファイルを補正し、(d) 光散乱係数・吸光係数算出手段は、複数の波長の光パルスそれぞれについて測定対象物の吸光係数および光散乱係数を求める、こととしてもよい。この場合、分光分析が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置の構成図である。
【0021】
光パルス光源110は、一定強度の光パルスを出力する。この光パルスは、入射用導光部120を経て、光散乱吸光媒質である測定対象物102、または、吸光係数および光散乱係数が既知である標準試料104に照射される。光パルス照射に伴い、測定対象物102または標準試料104において多重散乱に伴って発生した透過光または反射光は、受光用導光部130を経て、光パワーメータ140および光強度時間分解測定部150に入射する。
【0022】
ここで、入射用導光部120および受光用導光部130それぞれとして、例えば光ファイバが用いられる。また、受光用導光部130は、入射端は1つであるが、途中で2分岐しており2つの出射端を有し、一方の出射端が光パワーメータ140に接続されており、他方の出射端が光強度時間分解測定部150に接続されている。光パワーメータ140は、測定対象物102または標準試料104の内部で多重散乱した後に透過または反射して出射した光パルスの時間平均的な光強度Iobs を計測する。また、光強度時間分解測定部150は、例えばストリーク管が好適に用いられ、光パルス光源110から出力される光パルスに同期したトリガー信号をも入力し、このトリガー信号到達時刻を基準時刻として、測定対象物102または標準試料104の内部で多重散乱した後に透過または反射して出射した光パルスの光強度の時間分解プロファイルfobs(t)を測定する。
【0023】
光パワーメータ140により測定された光強度Iobs 、および、光強度時間分解測定部150により測定された光強度の時間分解プロファイルfobs(t)は、演算部160に入力する。そして、演算部160は、光強度時間分解測定部150により測定された光強度の時間分解プロファイルfobs(t)が測定対象物102および標準試料104の何れについてのものであるかに依って以下の処理を行う。
【0024】
標準試料104から反射または透過した光パルスの光強度の時間分解プロファイルfobs(t)は、演算部160の入射光量A算出部164により、
【数4】
Figure 0003887668
なる当てはめ計算が行われて、実効的な入射光量Aが決定される。この当てはめ計算に際しては例えば最小自乗法が用いられる。ここで、fcalc(t,μs',μa)は、測定対象物102と同じ形状のものについて解かれた光拡散方程式((1)式)の解であって、時間変数t、光散乱係数μs'および吸光係数μaをパラメータとするものである。ただし、ここでは、標準試料104の光散乱係数μs'および吸光係数μa は既知であり、光拡散方程式の解には、これら既知の光散乱係数μs'および吸光係数μa それぞれの値が代入されている。
【0025】
一方、測定対象物102から反射または透過した光パルスの光強度の時間分解プロファイルfobs(t)は、光パワーメータ140で測定された光強度Iobs とともに、演算部160の時間分解プロファイル補正部162により、
【数5】
Figure 0003887668
なる演算が行われて補正係数kが求められ、さらに、補正された時間分解プロファイルk・fobs(t)が得られる。
【0026】
そして、演算部160の光散乱係数・吸光係数算出部166は、時間分解プロファイル補正部162で得られた補正された時間分解プロファイルk・fobs(t)と、光拡散方程式の解fcalc(t,μs',μa)とから、
【数6】
Figure 0003887668
なる当てはめ計算を行い、測定対象物102の光散乱係数μs'および吸光係数μa を求める。この当てはめ計算に際しても例えば最小自乗法が用いられる。(6)式における値Aは、(4)式で求められた実効的な入射光量Aの値が用いられる。
【0027】
次に、本実施形態に係る測定装置を用いた測定方法について説明する。先ず、第1のステップとして、予め、演算部160は、光散乱吸光媒質である測定対象物102と同じ形状のものについて、入射光量、光散乱係数μa および吸光係数μs'をパラメータとする光拡散方程式((1)式)の解を求めておく。
【0028】
第2のステップとして、標準試料104について測定を行って光強度Iobs および時間分解プロファイルfobs(t)を求める。すなわち、光パルス光源110から光パルスを出射し、その光パルスを入射用導光部120を経て標準試料104に対して入射させる。そして、標準試料104から出力された光パルスの反射光または透過光を、受光用導光部130を経て光パワーメータ140および光強度時間分解測定部150それぞれに入射させて、平均的な光強度Iobs および光強度の時間分解プロファイルfobs(t)それぞれを測定する。
【0029】
そして、第3のステップとして、この標準試料104について求められた光強度Iobs および時間分解プロファイルfobs(t)に基づいて、実効的な入射光量Aを求める。すなわち、入射光量A算出部164により、光強度Iobs および時間分解プロファイルfobs(t)を用いて、(4)式の当てはめ計算が行われて、実効的な入射光量Aが求められる。
【0030】
続いて、第4のステップとして、標準試料104に替えて測定対象物102に対して、同様に、光パルス光源110から出射された光パルスが入射され、測定対象物102から出力された光パルスの反射光または透過光が、受光用導光部130を経て、光パワーメータ140および光強度時間分解測定部150それぞれに入射して、平均的な光強度Iobs および光強度の時間分解プロファイルfobs(t)それぞれが測定される。
【0031】
そして、第5のステップとして、時間分解プロファイル補正部162により、測定対象物102について得られた光強度Iobs および時間分解プロファイルfobs(t)に基づいて、(5)式に従って、補正された時間分解プロファイルk・fobs(t)が求められる。さらに、第6のステップとして、光散乱係数・吸光係数算出部166により、(6)式の当てはめ計算が行われて、測定対象物102の光散乱係数μs'および吸光係数μa が求められる。
【0032】
このような構成としたことにより、(6)式の当てはめ計算に際して入射光の実効値Aについては既知であるので、測定対象物102の光散乱係数μs'および吸光係数μa の2つの値のみを求めればよい。したがって、これらの値を短時間に算出することが可能となり、測定対象物102が生体試料であっても、その生理変化の様子をリアルタイムに測定することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図2は、第2の実施形態に係る光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置の構成図である。本実施形態に係る測定装置は、単一光子検出時間相関法により光強度Iobs および時間分解プロファイルfobs(t)それぞれを測定するものであり、測定対象物からの出射光が微弱である場合に好適に用いられるものである。
【0034】
本実施形態では、光パルス光源110から出力された光パルスは、入射用導光部120を経て測定対象物102または標準試料104に入射し、測定対象物102または標準試料104の内部で多重散乱した後に出射された反射光または透過光は、受光用導光部132を経て単光子検出部170により光子検出されて電気パルス信号に変換される。この単光子検出部170として例えば光電子増倍管が好適に用いられる。
【0035】
この単光子検出部170から出力された電気パルス信号は、パルスカウンタ172および時間パルス波高変換部174に入力する。パルスカウンタ172は、単光子検出部170から出力された電気パルス信号を一定時間計数し、この計数値を光強度Iobs として出力する。
【0036】
一方、時間パルス波高変換部174は、光パルス光源110から出力された光パルスに同期したトリガー信号をも入力し、このトリガー信号到達時刻を基準時刻として、単光子検出部170から出力された電気パルス信号が入力される時刻に応じた波高値を有する電気パルス信号を出力する。波高分析部176は、この時間パルス波高変換部174から出力された電気パルス信号を入力して、その波高値毎に計数して波高分布を求め、この波高分布を時間分解プロファイルfobs(t)として出力する。
【0037】
このようにして単一光子検出時間相関法により測定された光強度Iobs および時間分解プロファイルfobs(t)は、前述の第1の実施形態と同様に、演算部160に入力される。そして、入射光量A算出部164により、標準試料104を用いた測定により得られた時間分解プロファイルfobs(t)に基づいて、(4)式に当てはめ計算が行われて、入射光の実効値Aが求められる。次に、時間分解プロファイル補正部162により、測定対象物102を用いた測定により得られた光強度Iobs および時間分解プロファイルfobs(t)に基づいて、(5)式に従って、補正された時間分解プロファイルk・fobs(t)が算出される。さらに、光散乱計数・吸光計数算出部166により、(6)式の当てはめ計算が行われて、測定対象物102の光散乱係数μs'および吸光係数μa が求められる。
【0038】
このような構成として単一光子検出時間相関法を採用したことにより、測定対象物102に光パルスが入射して多重散乱した後に出射される出射光が微弱であっても、測定対象物の光散乱係数および吸光係数を精度よく且つリアルタイムに測定することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図3は、第3の実施形態に係る光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置の構成図である。本実施形態に係る測定装置は、複数の光パルス光源を備えて、複数波長それぞれについて光散乱係数μs'および吸光係数μa を求めることができ、分光分析にも応用できるものである。
【0040】
複数の光パルス光源211,212,…,21Nそれぞれは、互いに異なる波長λ1 ,λ2 ,…,λN それぞれの光パルスを出力するものであり、トリガー信号発生器278から出力されたトリガー信号に基づいて、順次光パルスを1パルスづつ出力する。複数の光パルス光源211〜21Nそれぞれから出力された光パルスそれぞれは、入射用導光部220のそれぞれの入射端に入射して合波された後、入射用導光部220の出射端から、測定対象物102または標準試料104に照射される。そして、この光パルス照射に伴って測定対象物102または標準試料104から出射された反射光または透過光は、受光用導光部230を経て単光子検出部270により光子検出されて電気パルス信号に変換される。
【0041】
この単光子検出部270から出力された電気パルス信号は、パルスカウンタ272および時間パルス波高変換部274に入力する。パルスカウンタ272は、単光子検出部270から出力された電気パルス信号を一定時間計数し、この計数値を光強度Iobs として出力する。
【0042】
一方、時間パルス波高変換部274は、トリガー信号発生器278から出力されたトリガー信号をも入力し、このトリガー信号到達時刻を基準時刻として、単光子検出部270から出力された電気パルス信号が入力される時刻に応じた波高値を有する電気パルス信号を出力する。波高分析部276は、この時間パルス波高変換部274から出力された電気パルス信号を入力してその波高値毎に計数して波高分布を求め、この波高分布を時間分解プロファイルfobs(t)として出力する。
【0043】
この複数の光パルス光源211,212,…,21Nそれぞれから出力された光パルスの強度波形、および、波高分析部276により生成される時間分解プロファイルfobs(t)を図4に示す。この図に示すように、トリガー信号発生器278から出力される1つのトリガー信号に対して、光パルス光源211〜21Nそれぞれから順次に光パルスが出力される。ここで、各光パルスは互いに時間的に重なることはなく、また、各波長λi 毎の時間分解プロファイルfi,obs(t)も互いに時間的に重なることはない(i=1,2,…,N)。
【0044】
この波高分析部276により生成された時間分解プロファイルfobs(t)は、各波長時間分解プロファイル決定部268により、各波長λi 毎に分解されて、各波長λi それぞれについての時間分解プロファイルfi,obs(t)が得られる(i=1,2,…,N)。さらに、各波長検出強度決定部269により、各波長λi 毎の光強度Ii,obs (i=1,2,…,N)が以下のようにして求められる。すなわち、パルスカウンタ272により求められた光強度Iobs は、各波長λi の光強度Ii,obs (i=1,2,…,N)の和、すなわち、
【数7】
Figure 0003887668
で表され、また、各波長λi についての光強度Ii,obs は時間分解プロファイルfi,obs(t)の時間積分値に比例し(i=1,2,…,N)、
【数8】
Figure 0003887668
なる関係式が成り立つ。これらの関係式から、各波長λi の光パルスについての光強度Ii,obs が求められる(i=1,2,…,N)。また、(5)式と同様の
【数9】
Figure 0003887668
なる関係式が各波長λi (i=1,2,…,N)の光パルスについて成立する。
【0045】
したがって、前述の第1または第2の実施形態と同様にして、各波長λi それぞれについて、光強度Ii,obs および時間分解プロファイルfi,obs(t)に基づいて測定対象物102の光散乱係数μs'および吸光係数μa が求められる(i=1,2,…,N)。すなわち、標準試料104から反射または透過した波長λi の光パルスの光強度の時間分解プロファイルfi,obs(t)は、演算部260の各波長入射光量Ai算出部264により、(4)式の当てはめ計算が行われて、実効的な入射光量Aiが決定される。この当てはめ計算に際しては例えば最小自乗法が用いられる。ここで、fcalc(t,μs',μa)は、測定対象物102と同じ形状のものについて解かれた光拡散方程式((1)式)の解であって、時間変数t、光散乱係数μs'および吸光係数μa をパラメータとするものである。ただし、標準試料104の場合であるので、光散乱係数μs'および吸光係数μa は既知である。
【0046】
一方、測定対象物102から反射または透過した波長λi の光パルスの光強度の時間分解プロファイルfi,obs(t)は、各波長検出強度決定部269で決定された光強度Ii,obs とともに、演算部260の各波長時間分解プロファイル補正部262により、(9)式の演算が行われて補正係数kが求められ、さらに、補正された時間分解プロファイルk・fi,obs(t)が得られる。
【0047】
そして、演算部260の各波長光散乱係数・吸光係数算出部266は、各波長時間分解プロファイル補正部262で得られた補正された時間分解プロファイルk・fi,obs(t)と、光拡散方程式の解fcalc(t,μs',μa)とから、(6)式の当てはめ計算を行い、測定対象物102の光散乱係数μs'および吸光係数μa を求める。この当てはめ計算に際しても例えば最小自乗法が用いられる。(6)式における値Ai は、(4)式で求められた実効的な入射光量Aiの値が用いられる。
【0048】
このような構成としたことにより、各波長毎に測定対象物102の光散乱係数μs'および吸光係数μa の2つの値のみを求めればよく、したがって、これらの値を短時間に算出することが可能となり、測定対象物102が生体試料であっても、その生理変化の様子をリアルタイムに多波長で分光測定することができる。
【0049】
(測定例)
次に、第2の実施形態に係る測定装置を用いた測定例について説明する。この測定において、測定対象物102は、麻酔下にある子豚の頭部であり、図5に示すように、照明用導光部120および受光用導光部132が互いに3cmの距離だけ離れて固定配置されている。この子豚は、人工呼吸器につながれていて吸入酸素濃度(FiO2 )の調整が可能となっている。
【0050】
光パルス光源110としてレーザ光源(波長760nm、パルス幅約1ピコ秒程度)を用い、この子豚頭部(測定対象物102)に、光パルス光源110から出力され照明用導光部120を経た光パルスを入射し、子豚頭部からの反射光を受光用導光部132を経て単光子検出部170で光子検出し、時間パルス波高変換部174および波高分析部176により時間分解プロファイルを求めた。その測定結果を図6に示す。
【0051】
この図において、破線は、本測定で用いた時間分解プロファイル測定系(単光子検出部170、時間パルス波高変換部174および波高分析部176)の測定精度を示すものであり、光パルス光源110から出力されたパルス幅数ピコ秒の光パルスをそのまま受光した場合であっても、この破線に示す程度の拡がりのあるパルスとして検出されることを示している。点は、実際に光パルス光源110からの光パルスを測定対象物102に入射し、その測定対象物102から出射した反射光について、波高分析部176により得られた時間分解プロファイルの測定結果を示す。
【0052】
実線は、標準試料104について求めた実効的な入射光量Aと、点で示された測定対象物(子豚頭部)102での時間分解プロファイルとから、破線で示された時間分解プロファイル測定系の測定精度をも考慮して、時間分解プロファイル補正部162による(5)式の補正計算および光散乱係数・吸光係数算出部166による(6)式の当てはめ計算を行った結果を示す。この当てはめ計算の結果、子豚頭部内の光散乱係数の値として0.92mm-1、吸光係数の値として0.012mm-1が得られた。ここで、標準試料は、波長800nmにおいて、光散乱係数が1mm-1であり、吸光係数が0.01mm-1である試料である。また、実効的な入射光量Aは、この標準試料104に光パルスを入射して得られた出射光の光強度および時間分解プロファイルに基づいて、入射光量A算出部164における(4)式の当てはめ計算により決定された値である。
【0053】
この測定を繰り返し行い、その間に人工呼吸器による子豚への吸入酸素濃度(FiO2 )を、当初20.9%(即ち、空気中の酸素濃度)、次に100%、最後に14.6%というようにステップ状に変化させて同様に測定した。また、子豚頭部への実効的な入射光量Aは一定であるとして同様の(6)式の当てはめ計算を行った。その結果のグラフを図7に示す。図7(a)は、光散乱係数・吸光係数算出部166により(6)式の当てはめ計算の結果として得られた子豚頭部内の光散乱係数(図中の○印)および吸光係数(図中の△印)の変化の様子を、図7(b)は、パルスカウンタ172により得られた光強度Iobs の変化の様子を、それぞれ示す。
【0054】
図7(a)に示すように、子豚の吸入酸素濃度が高くなれば、吸光係数は小さくなり、逆に、子豚の吸入酸素濃度が低くなれば、吸光係数は大きくなっていることが判る。この結果は、以下のように説明される。すなわち、近赤外領域(波長650nm〜1300nm)の光の生体内における吸収は、血液中のヘモグロビンによる吸収が大部分であり、その中でも特に波長760nm付近の光は、酸素化ヘモグロビン(HbO2 )より脱酸素化ヘモグロビン(Hb)に強く吸収される。したがって、子豚の吸入酸素濃度を下げると、子豚頭部内の酸素濃度が減少し、血液中の脱酸素化ヘモグロビン(Hb)の割合が高くなり、子豚頭部内の吸光係数が高くなる。つまり、吸光係数の変化は、子豚頭部内のヘモグロビンの脱酸素化を反映したものとなっていることが判る。
【0055】
また、図7(a)および(b)から、子豚の吸入酸素濃度が20.9%または100%の場合には、光散乱係数は殆ど一定であるが、子豚の吸入酸素濃度が14.6%になると、これに伴って、子豚頭部内において酸素交換が行われなくなり脱酸素化ヘモグロビン(Hb)の割合が大きくなって子豚頭部内の吸光係数が増加し、これにやや遅れて、子豚頭部内の光散乱係数が減少していることが認められる。
【0056】
この本発明に係る測定方法による測定結果を、従来の方法による測定結果と比較してみる。図8は、従来の方法による測定結果を示すグラフである。実験条件は、本発明に係る測定における条件と同様である。この図8を見ると、従来方法では、子豚への吸入酸素濃度が20.6%から100%に変化しても、測定により得られた吸光係数は殆ど変化していない。また、子豚への吸入酸素濃度が100%から14.6%に変化したときに、吸光係数と光散乱係数とは略同時に変化を開始している。
【0057】
以上のことから、従来方法では、吸光係数の変化と光散乱係数の変化とが分離測定されておらず、正確な測定結果が得られていないのに対して、本発明に係る測定方法によれば、吸光係数と光散乱係数とが分離して測定され、より正確な測定結果が得られていることが判る。
【0058】
また、従来方法では、測定対象物について得られた時間分解プロファイルに基づいて当てはめ計算を行って吸光係数および光散乱係数を算出するのに、約5秒要していたのに対して、本発明に係る方法によれば、計算量が削減されたことにより、約2秒であった。したがって、本発明によれば、生理状態が時々刻々と変化する生体組織の吸光係数および光散乱係数をリアルタイムに測定することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり本発明によれば、先ず、光散乱吸光媒質である測定対象物と同じ形状のものについて求められた入射光量、吸光係数および光散乱係数をパラメータとする光拡散方程式の解は、吸光係数および光散乱係数が既知である標準試料について求められた第1の時間分解プロファイルに当てはめ計算が行われて、実効的入射光量が求められる。次に、測定対象物について出射光の光強度と第2の時間分解プロファイルが求められ、この第2の時間分解プロファイルは出射光の光強度に基づいて補正され、この補正された第2の時間分解プロファイルに、実効的入射光量が代入された光拡散方程式の解が当てはめられて、測定対象物の吸光係数および光散乱係数が求められる。
【0060】
このような構成としたので、測定対象物について得られた第2の時間分解プロファイルに光拡散方程式の解の当てはめ計算を行う際には、実効的入射光量が既に得られているので、光散乱係数および吸光係数の2変数のみについて解析すればよく、従来技術に比べて計算量が少なくて済み、リアルタイム測定が可能となる。したがって、時間経過とともに変化する生体組織の生理状態を観察する場合であっても、リアルタイムに観察することが可能となる。
【0061】
さらに、実効的入射光量については標準試料を用いて求め、測定対象物の光散乱係数および吸光係数については、第2の時間分解プロファイルに光拡散方程式の解の当てはめ計算を行うことに求めることとしたので、それぞれの測定を正確に行うことが可能となり、測定対象物の光散乱係数および吸光係数それぞれの変化を分離して測定することが可能となる。
【0062】
また、単一光子検出時間相関法により出射光の光強度および時間分解プロファイルを測定すれば、その出射光が微弱である場合でも、測定対象物の光散乱係数および吸光係数を精度良く測定することができる。
【0063】
また、複数波長の光パルスを順次に測定対象物または標準試料に照射して、複数波長の光パルスそれぞれについて出射光の光強度および時間分解プロファイルを求めることにより、分光分析を行うことができ、更に有用な情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置の構成図である。
【図2】第2の実施形態に係る光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置の構成図である。
【図3】第3の実施形態に係る光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置の構成図である。
【図4】第3の実施形態に係る光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置における複数の光パルス光源それぞれから出力された光パルスの強度波形、および、波高分析部により生成される時間分解プロファイルである。
【図5】第2の実施形態に係る光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置を用いた測定における測定対象物の説明図である。
【図6】第2の実施形態に係る光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置を用いた測定における時間分解測定結果を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置を用いた測定において、吸入酸素濃度を、当初20.9%(即ち、空気中の酸素濃度)、次に100%、最後に14.6%というようにステップ状に変化させた場合の測定結果を示すグラフである。
【図8】従来の方法による測定結果を示すグラフである。
【図9】光散乱吸光媒質に入射した光パルスの多重散乱の説明図である。
【図10】頭蓋骨の中の脳組織に光パルスを入射したときの光検出の説明図である。
【符号の説明】
102…測定対象物、104…標準試料、110…光パルス光源、120…入射用導光部、130,132…受光用導光部、140…光パワーメータ、150…光強度時間分解測定部、160…演算部、162…時間分解プロファイル補正部、164…入射光量A算出部、166…光散乱係数・吸光係数算出部、170…単光子検出部、172…パルスカウンタ、174…時間パルス波高変換部、176…波高分析部、211,212,…,21N…光パルス光源、220…入射用導光部、230…受光用導光部、260…演算部、262…各波長時間分解プロファイル補正部、264…各波長入射光量Ai算出部、266…光散乱係数・吸光係数算出部、268…各波長時間分解プロファイル決定部、269…各波長検出強度決定部、270…単光子検出部、272…パルスカウンタ、274…時間パルス波高変換部、276…波高分析部、278…トリガー信号発生器。

Claims (6)

  1. 光散乱吸光媒質である測定対象物(ヒトを除く)と同じ形状のものについて、入射光量、吸光係数および光散乱係数をパラメータとする光拡散方程式の解を求める第1のステップと、
    吸光係数および光散乱係数が既知である標準試料に対して光パルスを照射し、前記標準試料における多重散乱に伴って発生した出射光を時間分解計測して第1の時間分解プロファイルを求める第2のステップと、
    前記第1の時間分解プロファイルに、前記標準試料の吸光係数および光散乱係数それぞれの値が代入された前記光拡散方程式の解を当てはめて、実効的入射光量を求める第3のステップと、
    前記測定対象物に対して光パルスを照射し、前記測定対象物における多重散乱に伴って発生した出射光の光強度を測定するとともに、該出射光を時間分解計測して第2の時間分解プロファイルを求める第4のステップと、
    前記第2の時間分解プロファイルを前記出射光の光強度に基づいて補正する第5のステップと、
    前記第5のステップで補正された前記第2の時間分解プロファイルに、前記実効的入射光量が代入された前記光拡散方程式の解を当てはめて、前記測定対象物の吸光係数および光散乱係数を求める第6のステップと、
    を備えることを特徴とする光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定方法。
  2. 前記第2のステップは、単一光子検出時間相関法により、前記第1の時間分解プロファイルを求め、
    前記第4のステップは、単一光子検出時間相関法により、前記出射光の光強度を測定するとともに前記第2の時間分解プロファイルを求める、
    ことを特徴とする請求項1記載の光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定方法。
  3. 前記第2のステップは、互いに時間的に重なることなく且つ互いに異なる複数の波長の光パルスを前記標準試料に照射して、前記第1の時間分解プロファイルを求め、
    前記第3のステップは、前記第1の時間分解プロファイルに基づいて、前記複数の波長の光パルスそれぞれについての時間分解プロファイルを求めて、前記複数の波長の光パルスそれぞれについての前記実効的入射光量を求め、
    前記第4のステップは、前記複数の波長の光パルスを前記測定対象物に照射して、前記出射光の光強度を測定するとともに、前記第2の時間分解プロファイルを求め、
    前記第5のステップは、前記第2の時間分解プロファイルに基づいて、前記複数の波長の光パルスそれぞれについての時間分解プロファイルを求めて補正し、
    前記第6のステップは、前記複数の波長の光パルスそれぞれについて前記測定対象物の吸光係数および光散乱係数を求める、
    ことを特徴とする請求項1記載の光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定方法。
  4. 光パルスを出力して、光散乱吸光媒質である測定対象物、または、吸光係数および光散乱係数が既知である標準試料に前記光パルスを入射させる光パルス光源部と、
    前記光パルスが照射された前記測定対象物または前記標準試料における多重散乱に伴って発生した出射光の光強度を測定する光強度測定部と、
    前記出射光を時間分解計測して、時間分解プロファイルを求める光強度時間分解測定部と、
    前記標準試料に前記光パルスが照射されたときに前記光強度時間分解測定部により測定された前記出射光の時間分解プロファイルに、測定対象物と同じ形状のものについて解かれた光拡散方程式の解に前記標準試料の吸光係数および散乱係数それぞれの値が代入されたものを当てはめて、実効的入射光量を求める入射光量算出手段と、
    前記測定対象物に前記光パルスが照射されたときに前記光強度時間分解測定部により測定された前記出射光の時間分解プロファイルを、前記光強度測定部により測定された前記出射光の光強度に基づいて補正する時間分解プロファイル補正手段と、
    前記時間分解プロファイル補正手段により補正された前記時間分解プロファイルに、前記実効的入射光量が代入された前記光拡散方程式の解を当てはめて、前記測定対象物の吸光係数および光散乱係数を求める光散乱係数・吸光係数算出手段と、
    を備えることを特徴とする光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置。
  5. 前記光強度測定部は、前記出射光の個々の光子を検出して電気的パルス信号を出力する単光子検出部と、前記電気的パルス信号を計数して前記出射光の光強度を求めるパルスカウンタを備え、
    前記光強度時間分解測定部は、前記光パルスの出射時刻から前記電気的パルス信号の発生時刻までの時間に応じた波高値の電気信号を出力する時間パルス波高変換部と、前記電気信号の波高値分布を生成して前記時間分解プロファイルを出力する波高分析部を備える、
    ことを特徴とする請求項4記載の光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置。
  6. 互いに時間的に重なることなく且つ互いに異なる複数の波長の光パルスが照射された前記測定対象物または前記標準試料における多重散乱に伴って発生した出射光について前記光強度時間分解測定部により測定された時間分解プロファイルに基づいて、前記複数の波長の光パルスそれぞれについての時間分解プロファイルを求める各波長時間分解プロファイル決定部と、
    前記複数の波長の光パルスそれぞれについての時間分解プロファイルおよび前記光強度測定部により測定された前記出射光の光強度に基づいて、前記複数の波長の光パルスそれぞれについての前記出射光の光強度を求める各波長検出強度決定部と、
    を更に備え、
    前記パルス光源部は、前記複数の波長の光パルスそれぞれを順次出力し、
    前記入射光量算出手段は、前記複数の波長の光パルスそれぞれについて前記実効的入射光量を求め、
    前記時間分解プロファイル補正手段は、前記複数の波長の光パルスそれぞれについて前記時間分解プロファイルを補正し、
    前記光散乱係数・吸光係数算出手段は、前記複数の波長の光パルスそれぞれについて前記測定対象物の吸光係数および光散乱係数を求める、
    ことを特徴とする請求項4記載の光散乱吸光媒質の吸光係数および光散乱係数の測定装置。
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