JP3883913B2 - 防火区画体の貫通構造及び同貫通構造を形成する貫通筒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の壁、床等の防火区画体を貫通する貫通孔内に設置された貫通筒体の内周面と、貫通筒体内に挿通されたケーブルの外周面との間に設けられる耐火材を速やかに膨張させるための防火区画体の貫通構造及び同貫通構造を形成する貫通筒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建築物の防火区画体としての防火区画壁に管材、ケーブル等の挿通体を貫通させて設置するために、防火区画壁には貫通構造が形成され、その貫通構造としては、実開平4−95053号に開示されるものが知られている。
【0003】
この貫通構造は、防火区画壁に設けられた貫通孔内に金属材料製の固定具が貫通筒体として挿通され、その固定具の外周面と貫通孔の内周面との間の隙間にモルタル、ロックウール等が充填されて構成されている。また、固定具内にはケーブル等の長尺物が防火区画壁を貫通するように挿通され、固定具の両端側における内周面と、長尺物の外周面との間には耐火材としての熱発泡性耐焔材が充填されている。
【0004】
そして、防火区画壁に上記貫通構造が形成された建築物に万一、火災が発生した場合、前記モルタル、ロックウール等により固定具の外周面と貫通孔の内周面との間が延焼経路、煙の経路となることが防止される。また、前記熱発泡性耐焔材が火災の熱により発泡し、その発泡した熱発泡性耐焔材により固定具内が密封される。その結果、貫通孔内における延焼、熱の伝播が遮断され、防火区画壁における防火効果が発揮される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来構造においては、固定具の端部側の内部から外部へ露出している熱発泡性耐焔材のみが火災発生時の熱により直接的に加熱される。そして、貫通孔の内周面と、固定具の外周面との間には、モルタル等が充填されているため、固定具の内部から外部へ露出せず、防火区画壁内に位置する熱発泡性耐焔材は、固定具の端部から中央側へ伝導した熱によって外周側から加熱される。即ち、防火区画壁内に位置する熱発泡性耐焔材は、外部へ露出した熱発泡性耐焔材よりも遅れて徐々に膨張していく。
【0006】
従って、ケーブルの延焼速度が速いと、防火区画壁内に位置する熱発泡性耐焔材は、固定具を伝導した熱によって膨張するよりも先に、ケーブルの延焼により発生した熱によって膨張してしまう。その結果、ケーブルが延焼するよりも先に熱発泡性耐焔材を膨張させて固定具内を密封して、ケーブルの延焼を阻止することができず、防火区画体における防火効果が低下する虞があるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、防火区画体内に位置する耐火材を速やかに膨張させることができ、防火区画体における防火効果を効果的に発揮させることができる防火区画体の貫通構造及び同貫通構造を形成する貫通筒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、建築物の防火区画体に挿通体を貫通させるため、防火区画体を上下方向に貫通する貫通孔内に設置された金属材料製の貫通筒体内に挿通体が挿通されるとともに、同挿通体の外面と貫通筒体の内周面との間の隙間に、膨張状態で前記貫通筒体内を充填密封する耐火材が設けられることにより構成される防火区画体の貫通構造であって、前記貫通筒体の外周面には、複数の突出部が貫通筒体の周方向に等間隔おきに設けられ、前記貫通筒体の貫通孔内への設置状態において、前記突出部によって貫通筒体の外周面を貫通孔の内周面から離間させることにより、火災等で発生する熱を伝播させる熱伝播空間が、貫通孔の径方向に沿う幅が貫通孔の周方向全体に亘ってほぼ同じ幅に維持されるように貫通孔内に形成されているとともに、熱によって膨張する材料よりなり、火災等の発生時に、熱によって膨張して膨張状態で前記熱伝播空間を遮断する遮断手段としての耐火膨張材が、前記熱伝播空間において貫通孔の貫通方向上部の一部を閉鎖し、その遮断箇所の下側に、遮断された熱伝播空間を形成するように防火区画体の上面側となる位置で貫通孔の内周面又は貫通筒体の外周面から熱伝播空間に向けて突出しているとともに、貫通孔の下側の開口へ臨むように設けられており、前記耐火材の一部は、貫通孔の貫通方向における前記耐火膨張材よりも熱伝播空間側に設けられ、前記熱伝播空間を伝播した熱により貫通筒体を外周面側から加熱させ、同貫通筒体を伝導した熱によって前記耐火材を加熱、膨張させることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、建築物の防火区画体に挿通体を貫通させるため、防火区画体を横方向に貫通する貫通孔内に設置された金属材料製の貫通筒体内に挿通体が挿通されるとともに、同挿通体の外面と貫通筒体の内周面との間の隙間に、膨張状態で前記貫通筒体内を充填密封する耐火材が設けられることにより構成される防火区画体の貫通構造であって、前記貫通筒体の外周面には、複数の突出部が貫通筒体の周方向に間隔をおいて設けられ、前記貫通筒体の貫通孔内への設置状態において、前記突出部によって貫通筒体の外周面を貫通孔の内周面から離間させることにより、火災等で発生する熱を伝播させる熱伝播空間が、貫通孔の径方向に沿う幅が貫通孔の周方向全体に亘ってほぼ同じ幅に維持されるように貫通孔内に形成されているとともに、熱によって膨張する材料よりなり、火災等の発生時に、熱によって膨張して膨張状態で前記熱伝播空間を遮断する遮断手段としての耐火膨張材が、前記熱伝播空間において貫通孔の貫通方向中央部の一部を遮断し、その遮断箇所の両側に、遮断された熱伝播空間を形成するように貫通孔の貫通方向の中央部となる位置で貫通孔の内周面又は貫通筒体の外周面から熱伝播空間に向けて突出しているとともに、前記貫通孔の両開口へ臨むように設けられており、前記耐火材の一部は、貫通孔の貫通方向における前記耐火膨張材よりも熱伝播空間側に設けられ、前記熱伝播空間を伝播した熱により貫通筒体を外周面側から加熱させ、同貫通筒体を伝導した熱によって前記耐火材を加熱、膨張させることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の防火区画体の貫通構造において、前記貫通筒体は、防火区画体の上面側に形成された熱伝播空間の開口を、防火区画体の上面側から閉塞する閉塞体を遮断手段としてさらに備えていることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の防火区画体の貫通構造において、前記閉塞体は、貫通筒体の上端部の外周面全体から外方へ突出する鍔部により形成されていることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の防火区画体の貫通構造において、前記耐火膨張材は貫通筒体の外周面に設けられていることを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の防火区画体の貫通構造において、前記突出部は、前記耐火膨張材を貫通筒体の外周面に位置決めする機能を兼ね備えていることを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の防火区画体の貫通構造において、前記突出部は、非膨張状態にある耐火膨張材の外周面よりも突出していることを要旨とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、建築物の防火区画体に挿通体を貫通させるため、前記防火区画体を上下方向に貫通する貫通孔内に設置され、内部に挿通体が挿通されるとともに、同挿通体の外面との間の隙間に、膨張状態で内部を密封する耐火材が設けられることにより防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体であって、前記貫通孔内への設置状態で、当該貫通孔の内周面から外周面が離間すべく外径が貫通孔の直径より小さく形成されているとともに、外周面には、複数の突出部が貫通筒体の周方向に沿って間隔をおいて設けられ、前記突出部によって貫通孔の内周面との間に、火災等で発生する熱を伝播させる熱伝播空間を、貫通孔の径方向に沿う幅が貫通孔の周方向全体に亘ってほぼ同じ幅に維持されるように形成するとともに、熱によって膨張する材料よりなり、火災等の発生時に、熱によって膨張して膨張状態で前記熱伝播空間を遮断する遮断手段としての耐火膨張材が、貫通孔内への設置状態で、前記熱伝播空間において貫通孔の貫通方向上部の一部を遮断し、その遮断箇所の下側に、遮断された熱伝播空間を形成するように貫通筒体の一端側の外周面から前記熱伝播空間に向けて突出しているとともに、貫通孔の下側の開口に臨むように設けられており、前記耐火材の一部は、貫通孔の貫通方向における前記耐火膨張材よりも熱伝播空間側となる位置に設けられ、前記熱伝播空間を伝播した熱により外周面側から加熱され、同外周面側から伝導した熱によって前記耐火材が加熱、膨張されることを要旨とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、建築物の防火区画体に挿通体を貫通させるため、前記防火区画体を横方向に貫通する貫通孔内に設置され、内部に挿通体が挿通されるとともに、同挿通体の外面との間の隙間に、膨張状態で内部を密封する耐火材が設けられることにより防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体であって、前記貫通孔内への設置状態で、当該貫通孔の内周面から外周面が離間すべく外径が貫通孔の直径より小さく形成されているとともに、外周面には、複数の突出部が貫通筒体の周方向に沿って間隔をおいて設けられ、前記突出部によって貫通孔の内周面との間に、火災等で発生する熱を伝播させる熱伝播空間を、貫通孔の径方向に沿う幅が貫通孔の周方向全体に亘ってほぼ同じ幅に維持されるように形成するとともに、熱によって膨張する材料よりなり、火災等の発生時に、熱によって膨張して膨張状態で前記熱伝播空間を遮断する遮断手段としての耐火膨張材が、貫通孔への設置状態で、熱伝播空間において貫通孔の貫通方向中央部の一部を遮断し、その遮断箇所の両側に遮断された熱伝播空間を形成するように貫通筒体の軸方向中央部の外周面から前記熱伝播空間に向けて突出しているとともに、貫通孔の両開口に臨むように設けられており、前記耐火材の一部は、貫通孔の貫通方向における前記耐火膨張材よりも熱伝播空間側に設けられ、前記熱伝播空間を伝播した熱により外周面側から加熱され、同外周面側から伝導した熱によって前記耐火材が加熱、膨張されることを要旨とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体において、前記耐火膨張材が外周面に設けられていることを要旨とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体において、前記突出部は、前記耐火膨張材を貫通筒体の外周面に位置決めする機能を兼ね備えていることを要旨とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項10又は請求項11に記載の防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体において、前記突出部は、非膨張状態にある耐火膨張材の外周面よりも突出していることを要旨とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、請求項8〜請求項12のいずれか一項に記載の防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体において、前記耐火材は内周面に予め設けられていることを要旨とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した防火区画体の貫通構造及び同貫通構造を形成する貫通筒体の第1の実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0023】
図1に示すように、建築物の防火区画体としての防火区画壁11における貫通構造は、コンクリート製の防火区画壁11に防火効果を付与した状態で挿通体としてのケーブル12を貫通させるために形成されるものである。即ち、前記貫通構造は防火区画壁11を横方向へ貫通する貫通孔13内に設置された貫通筒体14内にケーブル12が挿通され、同ケーブル12の外面と貫通筒体14の内周面との間の隙間に、膨張状態で貫通筒体14内を充填密封する耐火材15が設けられることにより形成されている。
【0024】
図2に示すように、貫通構造を形成する前記貫通筒体14は金属材料により略円筒状に形成された筒本体16を備え、図1に示すように、同筒本体16内には前記ケーブル12を挿通可能に形成されている。
【0025】
また、筒本体16の外径は、前記貫通孔13の直径より小さく形成されている。そして、貫通筒体14の貫通孔13内への設置状態で、筒本体16の外周面が貫通孔13の内周面から離間し、その離間により形成された空間に筒本体16と同心円状をなす熱伝播空間Sが形成されるように筒本体16の外径が設定されている。
【0026】
熱伝播空間Sにおける貫通孔13の径方向への長さ、即ち、熱伝播空間Sの幅は、熱伝播空間Sの内奥方へ熱を効率良く伝播させるために少なくとも5mmに設定されることが好ましい。なお、熱伝播空間Sの厚みは少なくとも5mmに限定されるものではなく、貫通孔13の直径、防火区画壁11の厚み、筒本体16の外径等に依存して任意に変更される。
【0027】
図1及び図2に示すように、筒本体16の外周面には、同筒本体16の周方向に沿って等間隔おきに外方へ延びる突片17が突出部として形成され、各突片17の先端縁における外径も貫通孔13の直径より若干小さく形成されている。なお、各突片17の外方への突出長さは、貫通筒体14の貫通孔13内への設置状態で、貫通筒体14が上下に移動しても突片17が貫通孔13の内周面に即座に当接して熱伝播空間S全体の幅がほぼ同じに維持されるように設定されている。また、筒本体16の周方向に沿った突片17同士の間には熱伝播空間Sを形成する隙間が形成されている。
【0028】
前記突片17のうち、筒本体16の長さ方向の中央部に位置するとともに、同長さ方向に沿って隣接する突片17の間には、遮断手段としての耐火膨張材18が充填されている。この耐火膨張材18は120℃以上の熱を受けると体積が加熱前の3〜5倍に膨張するものである。また、耐火膨張材18は積層構造をなし、加熱により層間隔が広がって膨張し、その層間が広がる方向は、耐火膨張材18の外周面が筒本体16の外周面から離れ、同耐火膨張材18の厚みが増す方向のみに設定されている。
【0029】
筒本体16の内周面には、前記耐火膨張材18と同じ材質よりなる耐火材15が予め塗布され設けられている。この耐火材15の膨張する方向は、前記層間が広がる方向が、耐火材15の内周面が筒本体16の内周面から離れ、同耐火材15の厚みが増す方向のみに設定されている。筒本体16の一端側(図1及び図2では右端側)の外周面には複数の係止爪20が一定間隔おきに複数箇所に形成されている。
【0030】
そして、図1に示すように、筒本体16、耐火材15、突片17及び耐火膨張材18よりなる貫通筒体14が貫通孔13内に挿入され、前記係止爪20が貫通孔13の開口縁部である防火区画壁11の外面に係止される。すると、筒本体16の下側に位置する突片17の先端が貫通孔13の内周面に当接して、貫通筒体14が防火区画壁11に設置されるとともに、貫通孔13内に設置される。
【0031】
この設置状態で、突片17により、熱伝播空間Sが周方向全体に亘ってほぼ同じ幅に維持され、筒本体16の外周面と、貫通孔13の内周面との間が離間して熱伝播空間Sが形成されている。また、耐火膨張材18が貫通孔13の貫通方向における中央部に位置しているとともに、貫通筒体14が貫通孔13内にほぼ水平に設置されている。
【0032】
さらに、貫通孔13内に設置された貫通筒体14内にケーブル12が挿通されることによって、ケーブル12が防火区画壁11を貫通する状態に配置される。貫通筒体14内に挿通されたケーブル12の外周面と耐火材15の内周面との間には若干の隙間が形成されている。
【0033】
次に、上記構成の貫通筒体14を用いて形成された防火区画壁11の貫通構造の作用を説明する。
さて、図1に示すように、防火区画壁11に貫通構造が形成された建築物において、防火区画壁11の一面側(図1では右側面側)で火災等が発生し、ケーブル12の被覆部が燃えたとする。すると、火災等により発生した熱が熱伝播空間Sを伝播し、その熱により耐火膨張材18が加熱される。このとき、耐火膨張材18は貫通孔13の内周面と、貫通筒体14の外周面との間に設けられ、熱伝播空間Sに設けられている。そのため、耐火膨張材18が貫通筒体14内に設けられている場合と比較して、耐火膨張材18を速やかに加熱され、膨張する。
【0034】
その結果、図3に示すように、耐火膨張材18が膨張し、その膨張した耐火膨張材18により、貫通孔13の貫通方向の内周面における中央部と貫通筒体14の外周面の中央部との間に位置する熱伝播空間Sが全周に亘って密封閉鎖される。即ち、熱伝播空間Sが熱、煙の経路となり、防火区画壁11の他面側(図1では左側面側)へ熱、煙が伝わる不都合がなくなる。
【0035】
また、火災によって発生した熱により、耐火材15において、貫通筒体14の右端部内から外部へ露出する部分が直接的に加熱されるとほぼ同時に、防火区画壁11外面より突出する貫通筒体14の外周面が熱により加熱される。さらに、熱が熱伝播空間Sから貫通孔13内に入り込み、さらに熱伝播空間Sを伝播する。
【0036】
このとき、筒本体16の周方向に沿った突片17同士の間には間隔があいているため、突片17によって熱の伝播が妨げられることはない。すると、熱伝播空間Sを伝播した熱により防火区画壁11内に位置し、貫通筒体14の中央部側に位置する貫通筒体14が外周面側から加熱され、同貫通筒体14を伝導した熱により耐火材15が加熱される。
【0037】
その結果、貫通筒体14の右側に位置する耐火材15は、外部に露出した部分だけでなく、防火区画壁11内に位置する部分も速やかに加熱、膨張される。そして、その膨張した耐火材15により、貫通筒体14の右側内部が速やかに充填密封されるとともに、同内部に位置するケーブル12が耐火材15内に埋められる。また、耐火膨張材18より左側の耐火材15は筒本体16を伝導した熱により加熱され、膨張する。
【0038】
従って、ケーブル12が耐火材15内に埋まることにより、ケーブル12の周りに酸素が無くなり、貫通筒体14内でのケーブル12のそれ以上の延焼が防止されるとともに、貫通筒体14内での熱の伝播、煙の通過等が防止され、防火区画壁11における防火効果が発揮される。
【0039】
第1の実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)防火区画壁11に貫通構造が形成された建築物に万一火災が発生しても、熱伝播空間Sにより貫通孔13内に熱を伝播させ、防火区画壁11内に位置し、貫通筒体14外へ露出しない耐火材15も速やかに膨張させて貫通筒体14内を密封することができる。従って、ケーブル12が延焼していくよりも先に耐火材15が膨張し、その膨張した耐火材15によりケーブル12のそれ以上の延焼を阻止することができ、防火区画壁11における防火効果を効果的に発揮させることができる。
【0040】
(2)耐火膨張材18及び耐火材15は、筒本体16の外周面及び内周面に予め付着されている。そのため、防火区画壁11に貫通構造を形成する際に、その形成現場で筒本体16に耐火膨張材18及び耐火材15を塗布する作業が不要となり、貫通構造の形成作業の時間短縮を図ることができる。
【0041】
(3)突片17により、筒本体16の外周面に設けられた耐火膨張材18の筒本体16の長さ方向に沿った位置ずれ等を防止することができる。従って、耐火膨張材18が貫通筒体14の長さ方向における中央部に設置された状態を維持することができる。
【0042】
(4)耐火膨張材18が膨張することにより、熱伝播空間Sを速やかに遮断することができ、貫通孔13が熱、煙の経路となる虞をなくすことができる。従って、防火区画壁11による防火効果を発揮させることができる。
【0043】
(5)貫通孔13の貫通方向の中央部で耐火膨張材18による熱伝播空間Sの遮断を行うことができる。従って、耐火膨張材18が貫通筒体14のいずれかの端部側に設けられ、その耐火膨張材18が設けられた端部側で火災が発生した場合に、耐火膨張材18の膨張により熱伝播空間Sでの熱の伝播効率が低下してしまう虞をなくすことができる。その結果、火災が貫通筒体14のいずれの端部側から発生しても、熱伝播空間Sによる熱の伝播効果を発揮させることができる。
【0044】
(6)加熱により膨張する耐火膨張材18により遮断手段を構成した。そのため、火災発生時には、耐火膨張材18は速やかかつ確実に膨張して熱伝播空間Sを速やかかつ確実に遮断することができる。
【0045】
(7)突片17の先端が貫通孔13の内周面に当接するため、筒本体16の外周面と貫通孔13の内周面とが一定の幅で離間した状態を維持することができる。従って、熱伝播空間Sが偏って狭くなる位置が生じることなく、熱伝播空間S全周に亘って熱の伝播作用を確実に発揮させることができる。
【0046】
(8)耐火膨張材18は貫通孔13の内周面と、貫通筒体14の外周面との間に設けられ、熱伝播空間Sに設けられている。そのため、耐火膨張材18が貫通筒体14内に設けられている場合と比較して、耐火膨張材18を速やかに加熱され、膨張する。従って、耐火膨張材18により熱伝播空間Sを速やかに遮断することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した防火区画体の貫通構造及び同貫通構造を形成する貫通筒体の第2の実施形態を図4〜図6に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の防火区画体及び貫通筒体を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0048】
図4に示すように、第2の実施形態における防火区画体は、建築物に形成されたコンクリート製の防火区画床21であり、その防火区画床21には上下方向へ貫通する貫通孔21aが形成されている。貫通筒体22は金属材料より略円筒状に形成された筒本体23を備え、同筒本体23内にケーブル12を挿通可能に形成されている。
【0049】
筒本体23の外径は、前記貫通孔21aの直径より小さく形成されている。即ち、筒本体23の外径は、貫通筒体22を貫通孔21a内に設置したとき、筒本体23の外周面が貫通孔21aの内周面から離間し、その離間した空間に筒本体23と同心円状をなす熱伝播空間Sが形成されるように設定されている。
【0050】
図4〜図6に示すように、筒本体23の一端(図4〜図6では上端)の内周縁には筒本体23の内方へ突出する爪片24が等間隔おきに4カ所に形成されている。そして、図5及び図6に示すように、筒本体23の一端側の内周面にはパテ等の難燃材25が設けられ、前記爪片24により難燃材25の筒本体23内からの脱落が防止されている。
【0051】
筒本体23の中央部より一端側及び他端(図4〜図6では下端)側の周壁には、それぞれ筒本体23の周壁を外方へ折り曲げることにより形成された折り曲げ片26が突出部として筒本体23の周方向に沿って複数箇所に設けられている。各折り曲げ片26の先端縁における外径も貫通孔21aの直径より若干小さく形成されている。
【0052】
なお、折り曲げ片26の突出長さは、貫通筒体22の貫通孔21a内への設置状態で、貫通筒体22が横方向へ移動しても折り曲げ片26が貫通孔21aの内周面に即座に当接して熱伝播空間S全体の幅がほぼ同じに維持されるように設定されている。
【0053】
さらに、筒本体23の一端側における折り曲げ片26は筒本体23の長さ方向に2段に形成されている。そして、2段に位置する折り曲げ片26の間には、筒本体23の周方向に沿って前記耐火膨張材18が遮断手段として設けられている。即ち、耐火膨張材18が折り曲げ片26により筒本体23の長さ方向に沿って移動しないように位置決めされている。
【0054】
筒本体23の上端側に位置する折り曲げ片26同士の間には、筒本体23の周壁を外方へ折り曲げることにより形成された係止突片27が設けられている。さらに、筒本体23の内周面には第1の実施形態と同様の耐火材15が塗布されて設けられている。
【0055】
そして、図4に示すように、貫通筒体22が貫通孔21a内に挿入され、前記係止突片27が貫通孔21aの開口縁部に係止して貫通筒体22が防火区画床21に設置される。このときも、折り曲げ片26により、熱伝播空間Sが周方向全体に亘ってほぼ同じ幅に維持されているとともに、貫通筒体22が貫通孔21a内にほぼ鉛直に設置されている。さらに、貫通孔21a内に設置された貫通筒体22内にケーブル12が挿通され、そのケーブル12は防火区画床21を貫通する状態となる。
【0056】
ケーブル12の外周面と耐火材15の内周面との間には若干の隙間が形成されている。貫通筒体22の防火区画床21への設置状態では熱伝播空間Sが形成されて貫通構造が形成されている。さらに、防火区画床21の上面側としての貫通孔21aの上部には、耐火膨張材18が遮断手段として設けられている。
【0057】
さて、図4に示す貫通構造が防火区画床21に形成された建築物において、防火区画床21の下側で火災が発生した場合、火災により発生した熱が熱伝播空間Sを下側から上側へ向かって伝播する。すると、その熱により耐火膨張材18が加熱され、図6に示すように、耐火膨張材18が膨張する。そして、その膨張した耐火膨張材18により、貫通孔21aにおいて、防火区画床21の上面側内周面と貫通筒体22の外周面の上端部との間に位置する熱伝播空間Sの一部が密封閉鎖される。また、難燃材25により防火区画床21の上面から突出するケーブル12の外面が保護される。
【0058】
さらに、貫通筒体14の下端部内から外部へ露出する耐火材15が火災により発生した熱によって直接的に加熱される。それとほぼ同時に、熱伝播空間S内を伝播した熱により、貫通筒体22の下側に位置する耐火材15において、外部に露出した部分だけでなく、防火区画床21内に位置する部分も速やかに加熱、膨張される。
【0059】
そして、その膨張した耐火材15により、ケーブル12が上方に向かって延焼するよりも先に貫通筒体22の下側が充填密封され、ケーブル12の延焼が阻止される。また、熱伝播空間Sにおける熱の伝播、煙の通過等が防止され、防火区画床21における防火効果が発揮される。
【0060】
従って、第2の実施形態によれば、前記第1の実施形態に記載の特徴に加えて以下の特徴を得ることができる。
第2の実施形態では、耐火膨張材18の膨張により、防火区画床21の上面側で熱伝播空間Sの一部を密閉遮断することができる。従って、耐火膨張材18が防火区画床21の下面側に設けられた場合に、耐火膨張材18の膨張により熱伝播空間S全体へ熱の伝播効率が低下してしまう虞をなくすことができる。
【0061】
なお、各実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 図7に示すように、半円筒状をなす分割体31同士を組み合わせて形成される貫通筒体33を使用してもよい。具体的に説明すると、前記分割体31は金属材料により半円筒状に形成され、外周面には、第1の実施形態と同様の突片17、突片17間の耐火膨張材18及び係止爪20が形成されている。また、各分割体31の内周面には第1及び第2実施形態と同様の耐火材15が設けられている。
【0062】
そして、上記貫通筒体33を用いて貫通構造を形成するには、ケーブル12を貫通孔13内に挿通した後に、一対の分割体31をそれぞれ貫通孔13内に挿入しながら、ケーブル12の外周面に装着する。このとき、図8(a)に示すように、分割体31の長さ方向に沿った端縁同士の間に形成される隙間には、難燃性のパテ34が充填される。
【0063】
前記パテ34は加熱により全ての方向へ向かって膨張する。即ち、分割体31の端縁同士が広がる方向及び貫通孔13の内周面に近づく方向へ膨張する。ケーブル12の外周に貫通筒体33が装着され、貫通筒体33が貫通孔13内に設置されると、貫通筒体33の外周面と貫通孔13の内周面との間に熱伝播空間Sが形成され、防火区画壁11に貫通構造が形成される。
【0064】
防火区画壁11に貫通構造が形成された建築物に火災が発生した場合、火災により発生した熱が熱伝播空間Sを伝播する。そして、図8(b)に示すように、第1の実施形態と同様に、耐火膨張材18の膨張により、熱伝播空間Sが遮断され、耐火材15の膨張により、貫通筒体33内が密封閉鎖される。
【0065】
耐火材15の厚み方向への膨張により、ケーブル12の外周面と各分割体31の内周面との間隔が広がり、各分割体31は貫通筒体33の外径が拡がるように外方へ押し出される。このとき、突片17の先端がそれぞれ貫通孔13の内周面に当接して、分割体31の外周面と貫通孔13の内周面とが離間した状態が維持され、熱伝播空間Sが確保される。
【0066】
また、火災によって発生する熱により、パテ34が膨張するため、その膨張したパテ34により、各分割体31の端縁同士の間の隙間が充填される。そのため、分割体31の端縁同士の間に隙間が形成されず、分割体31間の隙間が延焼経路や煙の経路になる不具合を防止することができる。加えて、ケーブル12を貫通孔13内に挿通した後でも貫通孔13内に貫通筒体33を設置することができるため、貫通構造を形成する際の、ケーブル12の挿通、貫通筒体33の設置等の施工の順序を考慮する必要がなく、作業性を高めることができる。
【0067】
なお、この貫通筒体33はケーブル12を貫通孔13内に挿通する前に、同ケーブル12の任意の位置に装着し、分割体31同士の間にパテ34を充填した後に貫通孔13内に挿入してもよい。
【0068】
また、分割体31同士の間の隙間には全ての方向へ膨張するパテ34を使用したが、このパテ34を分割体31の端縁同士の間隔が広がる方向のみに膨張するものとしてもよい。即ち、耐火材15の膨張により分割体31同士が外方へ拡がった場合に、分割体31の端縁同士の間の隙間のみを閉鎖できるように、分割体31の拡がる方向のみに膨張するものとしてもよい。このように構成した場合、全ての方向へ膨張するパテ34を使用する場合と比較してパテ34の費用コストを抑えることができる。
【0069】
加えて、各分割体31の係止爪20の代わりに、分割体31の外周面全体に外方へ突出する鍔部を形成し、その鍔部を遮断手段としてもよい。鍔部を遮断手段としたとき、耐火膨張材18と併用又は耐火膨張材18を省略してもよく、さらには、突片17を省略してもよい。
【0070】
・ 第1及び第2の実施形態において、突片17及び折り曲げ片26を省略して突出部を省略してもよい。
・ 第1及び第2の実施形態において、耐火膨張材18を省略するとともに、筒本体16,23の周方向に沿って、同筒本体16,23の周壁を貫通する透孔を複数箇所に形成する。そして、万一火災が発生した場合、前記透孔を通過し、さらに、貫通筒体14,22の外周面で膨張した耐火材15を遮断手段として熱伝播空間Sを遮断してもよい。
【0071】
・ 第2の実施形態において、係止突片27の代わりに筒本体23の周方向全体から外方へ延びる鍔部を形成して遮断手段としての閉塞体としてもよい。このように構成した場合、貫通筒体22を貫通孔13内へ挿入した状態で、貫通孔13は防火区画床21の上面側、即ち防火区画床21外面に設けられた鍔部により上側から閉塞され熱伝播空間Sの開口が遮断される。また、鍔部を貫通筒体22とは別に設ける場合と比較して、貫通筒体22の運搬性や施工性を高めることができる。さらに、前記鍔部と、耐火膨張材18とを併用してもよい。このとき、耐火膨張材18は防火区画床21の上面側として、貫通孔21a内における防火区画床21の上部側を遮断し、さらに鍔部により防火区画床21の上面が閉塞される。なお、耐火膨張材18を省略して、鍔部のみにより遮断手段を形成してもよい。
【0072】
・ 第2の実施形態において、貫通筒体22を貫通孔21a内に設置した状態で、熱伝播空間Sの上面開口を貫通筒体22とは別体の遮断手段としての閉塞体により閉塞してもよい。例えば、閉塞体としての円環状をなす金属板を、防火区画床21の外面としての上面に取り付け、その金属板により前記開口を閉塞してもよい。なお、金属板を遮断手段として使用したとき、耐火膨張材18との協働により熱伝播空間Sを遮断してもよく、耐火膨張材18を省略してもよい。このように構成した場合、遮断手段による熱伝播空間Sの一部を遮断する効果を確実に発揮させることができるとともに、遮断手段を容易に形成することができる。
【0073】
・ 各実施形態では、筒本体16,23の内周面に耐火材15を予め塗布したが、貫通構造を形成する際に、筒本体16,23の内周面に耐火材15を塗布してもよい。
【0074】
・ 各実施形態では、筒本体16,23の外周面に耐火膨張材18を予め塗布したが、貫通構造を形成する際に、筒本体16,23の外周面又は貫通孔13の内周面に耐火膨張材18を塗布してもよい。
【0075】
・ 第1の実施形態では、筒本体16の中央部の外周面に耐火膨張材18を塗布したが、筒本体16の中央部より各端部側へ若干移動した位置の外周面に耐火膨張材18を塗布してもよい。第2の実施形態では、筒本体23の上端側の外周面に耐火膨張材18を塗布したが、筒本体23の上端より下端側へ若干移動した位置の外周面に耐火膨張材18を塗布してもよい。
【0076】
・ 図9に示す貫通筒体35を使用して防火区画壁11に貫通構造を形成してもよい。前記貫通筒体35は金属材料より略円筒状に形成された筒本体36を備え、同筒本体36内にケーブル12を挿通可能に形成されている。筒本体36の外径は、前記貫通孔13の直径より小さく形成されている。筒本体36の中央部には周方向に沿って連続して延びる鍔部37が遮断手段として形成されている。筒本体36の両端部の内周面には耐火材15が塗布されている。なお、この貫通筒体35には突出部が形成されていない。
【0077】
そして、建築物の外側から防火区画壁11の貫通孔13内に貫通筒体35の一端側(図9では左端側)を挿入し、前記鍔部37から貫通孔13の開口縁部に固定部材38を固定することにより貫通筒体35が防火区画壁11に設置される。このとき、貫通筒体35の左側半分が貫通孔13内に配置され、右側半分が防火区画壁11の外面より外方へ突出して、屋外に露出されている。
【0078】
また、固定部材38により鍔部37が防火区画壁11に固定されるため、熱伝播空間Sが周方向全体に亘ってほぼ同じ幅に維持されているとともに、貫通筒体35が貫通孔13内にほぼ水平に設置されている。さらに、貫通孔13内に設置された貫通筒体35内にケーブル12が挿通され、そのケーブル12は防火区画壁11を貫通する状態となる。
【0079】
・ 第2の実施形態において、難燃材25を省略してもよい。また、筒本体23の一端側の内周面に、難燃材25の代わりに耐火材15を塗布してもよい。
・ 各実施形態において、耐火膨張材18を省略し、熱伝播空間S内を遮断可能とする金属リング、円環状をなす金属板、難燃性材料よりなるリング部材等を遮断手段として貫通孔13,21a内に設置し、それら遮断手段により熱伝播空間Sを予め遮断しておいてもよい。
【0080】
・ 各実施形態では挿通体としてケーブル12に具体化したが、電線管、空調管、さや管等を挿通体としてもよい。
・ 各実施形態では、火災の熱により耐火膨張材18が膨張する場合について記載したが、火災ではなく、油に引火した火、煙等から発生した熱により耐火膨張材18は膨張する。
【0081】
次に上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)半筒状をなす分割体を組み合わせて形成されていることを特徴とする請求項8〜請求項13のいずれか一項に記載の防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体。このように構成した場合、挿通体を貫通孔内に挿通した後に、貫通筒体を貫通孔内に設置することができる。そのため、貫通構造を形成する順序等を考慮する必要がなく、作業性を高めることができる。
【0083】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、突出部により貫通孔内に熱伝播空間を確保することができるとともに、貫通筒体の外周面が貫通孔の内周面に接触したり、熱伝播空間が偏って狭くなったりする不具合を防止することができ、貫通孔の周方向に沿った熱伝播空間の全周に亘って熱の伝播作用を確実に発揮させることができる。そして、耐火膨張材が熱伝播空間に突出しているとともに、貫通孔の開口に臨むように設けられているため、火災等で発生した熱により耐火膨張材を全体に亘って均等に加熱、膨張させることができる。また、熱伝播空間を伝播した熱により貫通筒体を外周面側から加熱させ、同貫通筒体を伝導した熱によって前記耐火材を加熱、膨張させると同時に、耐火膨張材を加熱、膨張させることができる。その結果として、防火区画体内に位置する耐火材を速やかに膨張させることができ、防火区画体における防火効果を効果的に発揮させることができる。
【0084】
また、請求項1に記載の発明によれば、耐火膨張材が防火区画体の下側に設けられている場合と比較して、熱伝播空間内を熱を効率良く伝播させることができる。
【0085】
また、請求項2に記載の発明によれば、耐火膨張材が貫通孔の貫通方向におけるいずれかの端部側に設けられ、その耐火膨張材が設けられた端部側で火災等が発生した場合に、耐火膨張材により熱伝播空間へ熱の伝播効率が低下してしまう虞をなくすことができる。
【0087】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、遮断手段を容易に形成することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、閉塞体を貫通筒体とは別に設ける場合と比較して、貫通筒体の運搬性や施工性を高めることができる。
【0089】
請求項8又は請求項9に記載の発明によれば、突出部により貫通孔内に熱伝播空間を確保することができるとともに、貫通筒体の外周面が貫通孔の内周面に接触したり、熱伝播空間が偏って狭くなったりする不具合を防止することができ、貫通孔の周方向に沿った熱伝播空間の全周に亘って熱の伝播作用を確実に発揮させることができる。そして、耐火膨張材が熱伝播空間に突出しているとともに、貫通孔の開口に臨むように設けられているため、火災等で発生した熱により耐火膨張材を全体に亘って均等に加熱、膨張させることができる。また、熱伝播空間を伝播した熱により貫通筒体を外周面側から加熱させ、同貫通筒体を伝導した熱によって前記耐火材を加熱、膨張させると同時に、耐火膨張材を加熱、膨張させることができる。その結果として、防火区画体内に位置する耐火材を速やかに膨張させることができ、防火区画体における防火効果を効果的に発揮させることができる。
【0091】
請求項13に記載の発明によれば、請求項8〜請求項12のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、貫通構造の形成場所で耐火材を塗布等により設ける場合と比較して、貫通構造の形成作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の貫通構造を示す断面図。
【図2】第1の実施形態の貫通筒体を示す斜視図。
【図3】耐火材及び耐火膨張材が膨張した状態を示す断面図。
【図4】第2の実施形態の貫通構造を示す断面図。
【図5】第2の実施形態の貫通筒体を示す斜視図。
【図6】耐火材及び耐火膨張材が膨張した状態を示す断面図。
【図7】別例の貫通筒体を示す分解斜視図。
【図8】(a)は別例の貫通筒体を貫通孔内に設置した状態を示す断面図、(b)は耐火材及び耐火膨張材が膨張した状態を示す断面図。
【図9】別例の貫通筒体により貫通構造を形成した状態を示す断面図。
【符号の説明】
S…熱伝播空間、11…防火区画体としての防火区画壁、12…挿通体としてのケーブル、13,21a…貫通孔、14,22,33,35…貫通筒体、15…耐火材、17…突出部としての突片、18…遮断手段としての耐火膨張材、21…防火区画体としての防火区画床、26…突出部としての折り曲げ片、37…閉塞体としての鍔部。
Claims (13)
- 建築物の防火区画体に挿通体を貫通させるため、防火区画体を上下方向に貫通する貫通孔内に設置された金属材料製の貫通筒体内に挿通体が挿通されるとともに、同挿通体の外面と貫通筒体の内周面との間の隙間に、膨張状態で前記貫通筒体内を充填密封する耐火材が設けられることにより構成される防火区画体の貫通構造であって、
前記貫通筒体の外周面には、複数の突出部が貫通筒体の周方向に間隔をおいて設けられ、前記貫通筒体の貫通孔内への設置状態において、前記突出部によって貫通筒体の外周面を貫通孔の内周面から離間させることにより、火災等で発生する熱を伝播させる熱伝播空間が、貫通孔の径方向に沿う幅が貫通孔の周方向全体に亘ってほぼ同じ幅に維持されるように貫通孔内に形成されているとともに、熱によって膨張する材料よりなり、火災等の発生時に、熱によって膨張して膨張状態で前記熱伝播空間を遮断する遮断手段としての耐火膨張材が、前記熱伝播空間において貫通孔の貫通方向上部の一部を遮断し、その遮断箇所の下側に、遮断された熱伝播空間を形成するように防火区画体の上面側となる位置で貫通孔の内周面又は貫通筒体の外周面から熱伝播空間に向けて突出しているとともに、貫通孔の下側の開口へ臨むように設けられており、前記耐火材の一部は、貫通孔の貫通方向における前記耐火膨張材よりも熱伝播空間側に設けられ、前記熱伝播空間を伝播した熱により貫通筒体を外周面側から加熱させ、同貫通筒体を伝導した熱によって前記耐火材を加熱、膨張させることを特徴とする防火区画体の貫通構造。 - 建築物の防火区画体に挿通体を貫通させるため、防火区画体を横方向に貫通する貫通孔内に設置された金属材料製の貫通筒体内に挿通体が挿通されるとともに、同挿通体の外面と貫通筒体の内周面との間の隙間に、膨張状態で前記貫通筒体内を充填密封する耐火材が設けられることにより構成される防火区画体の貫通構造であって、
前記貫通筒体の外周面には、複数の突出部が貫通筒体の周方向に間隔をおいて設けられ、前記貫通筒体の貫通孔内への設置状態において、前記突出部によって貫通筒体の外周面を貫通孔の内周面から離間させることにより、火災等で発生する熱を伝播させる熱伝播空間が、貫通孔の径方向に沿う幅が貫通孔の周方向全体に亘ってほぼ同じ幅に維持されるように貫通孔内に形成されているとともに、熱によって膨張する材料よりなり、火災等の発生時に、熱によって膨張して膨張状態で前記熱伝播空間を遮断する遮断手段としての耐火膨張材が、前記熱伝播空間において貫通孔の貫通方向中央部の一部を遮断し、その遮断箇所の両側に、遮断された熱伝播空間を形成するように貫通孔の貫通方向の中央部となる位置で貫通孔の内周面又は貫通筒体の外周面から熱伝播空間に向けて突出しているとともに、前記貫通孔の両開口へ臨むように設けられており、前記耐火材の一部は、貫通孔の貫通方向における前記耐火膨張材よりも熱伝播空間側に設けられ、前記熱伝播空間を伝播した熱により貫通筒体を外周面側から加熱させ、同貫通筒体を伝導した熱によって前記耐火材を加熱、膨張させることを特徴とする防火区画体の貫通構造。 - 前記貫通筒体は、防火区画体の上面側に形成された熱伝播空間の開口を、防火区画体の上面側から閉塞する閉塞体を遮断手段としてさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の防火区画体の貫通構造。
- 前記閉塞体は、貫通筒体の上端部の外周面全体から外方へ突出する鍔部により形成されていることを特徴とする請求項3に記載の防火区画体の貫通構造。
- 前記耐火膨張材は貫通筒体の外周面に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の防火区画体の貫通構造。
- 前記突出部は、前記耐火膨張材を貫通筒体の外周面に位置決めする機能を兼ね備えている請求項5に記載の防火区画体の貫通構造。
- 前記突出部は、非膨張状態にある耐火膨張材の外周面よりも突出している請求項5又は請求項6に記載の防火区画体の貫通構造。
- 建築物の防火区画体に挿通体を貫通させるため、前記防火区画体を上下方向に貫通する貫通孔内に設置され、内部に挿通体が挿通されるとともに、同挿通体の外面との間の隙間に、膨張状態で内部を密封する耐火材が設けられることにより防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体であって、
前記貫通孔内への設置状態で、当該貫通孔の内周面から外周面が離間すべく外径が貫通孔の直径より小さく形成されているとともに、外周面には、複数の突出部が貫通筒体の周方向に沿って間隔をおいて設けられ、前記突出部によって貫通孔の内周面との間に、火災等で発生する熱を伝播させる熱伝播空間を、貫通孔の径方向に沿う幅が貫通孔の周方向全体に亘ってほぼ同じ幅に維持されるように形成するとともに、熱によって膨張する材料よりなり、火災等の発生時に、熱によって膨張して膨張状態で前記熱伝播空間を遮断する遮断手段としての耐火膨張材が、貫通孔内への設置状態で、前記熱伝播空間において貫通孔の貫通方向上部の一部を遮断し、その遮断箇所の下側に、遮断された熱伝播空間を形成するように貫通筒体の一端側の外周面から前記熱伝播空間に向けて突出しているとともに、貫通孔の下側の開口に臨むように設けられており、前記耐火材の一部は、貫通孔の貫通方向における前記耐火膨張材よりも熱伝播空間側となる位置に設けられ、前記熱伝播空間を伝播した熱により外周面側から加熱され、同外周面側から伝導した熱によって前記耐火材が加熱、膨張されることを特徴とする防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体。 - 建築物の防火区画体に挿通体を貫通させるため、前記防火区画体を横方向に貫通する貫通孔内に設置され、内部に挿通体が挿通されるとともに、同挿通体の外面との間の隙間に、膨張状態で内部を密封する耐火材が設けられることにより防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体であって、
前記貫通孔内への設置状態で、当該貫通孔の内周面から外周面が離間すべく外径が貫通孔の直径より小さく形成されているとともに、外周面には、複数の突出部が貫通筒体の周方向に沿って間隔をおいて設けられ、前記突出部によって貫通孔の内周面との間に、火災等で発生する熱を伝播させる熱伝播空間を、貫通孔の径方向に沿う幅が貫通孔の周方向全体に亘ってほぼ同じ幅に維持されるように形成するとともに、熱によって膨張する材料よりなり、火災等の発生時に、熱によって膨張して膨張状態で前記熱伝播空間を遮断する遮断手段としての耐火膨張材が、貫通孔への設置状態で、熱伝播空間において貫通孔の貫通方向中央部の一部を遮断し、その遮断箇所の両側に遮断された熱伝播空間を形成するように貫通筒体の軸方向中央部の外周面から前記熱伝播空間に向けて突出しているとともに、貫通孔の両開口に臨むように設けられており、前記耐火材の一部は、貫通孔の貫通方向における前記耐火膨張材よりも熱伝播空間側に設けられ、前記熱伝播空間を伝播した熱により外周面側から加熱され、同外周面側から伝導した熱によって前記耐火材が加熱、膨張されることを特徴とする防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体。 - 前記耐火膨張材が外周面に設けられていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体。
- 前記突出部は、前記耐火膨張材を貫通筒体の外周面に位置決めする機能を兼ね備えている請求項10に記載の防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体。
- 前記突出部は、非膨張状態にある耐火膨張材の外周面よりも突出している請求項10又は請求項11に記載の防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体。
- 前記耐火材は内周面に予め設けられていることを特徴とする請求項8〜請求項12のいずれか一項に記載の防火区画体の貫通構造を形成する貫通筒体。
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