JP3883785B2 - 易滑性積層フィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステルからなる易滑性積層フィルムに関し、さらに詳しくは易滑性、耐ブロッキング性、耐削れ性に優れ、磁気記録材料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁材料または一般工業材料などの基材フィルム、その中でも磁気記録媒体用フィルム、特に強磁性薄膜からなる磁気記録媒体用フィルムとして好適なポリエステルからなる易滑性積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表される二軸延伸ポリエステルフィルムは、優れた機械的性質、耐熱性あるいは耐薬品性等を有するため、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピューターテープ、フロッピーディスク、ビデオフロッピー、写真フィルム、包装用フィルム、コンデンサー用メタライジングフィルム、電気絶縁フィルム、あるいはOHPフィルム等の素材として、その需要の伸びは最近特に著しい。
【0003】
ところで、フィルムの生産および上記の如き用途への適用を円滑に行うには、フィルムの滑り性を改善することが必至である。この滑り性による問題としては、例えば、表面の特に平坦なフィルムの場合、フィルムの滑り性が不足し、巻取り、巻き返し、塗布、スリット等の作業に重大な支障を及ぼし、捲き皺が発生したり、静電気が大量に発生し、該発生した静電気によってフィルムに塵埃が吸着したりする。また、ポリエチレンテレフタレートの未延伸あるいは一軸延伸のフィルムを加圧成形あるいは真空成形に付して製造した種々の成形物を重ね合せる場合、表面滑性が不足していることから、成形物を相互に円滑に抜き取ることができず、加工工程における流れ作業性が著しく低下したりする。
【0004】
従来、ポリエステルフィルムの滑り性を改善する手段としては、例えば酸化ケイ素、カオリン、タルク、炭酸カルシウムあるいはアルミナ等の種々のフィラーの微小粒子を添加したポリエステルを用いて製膜し、次いで二軸延伸工程でフィルム厚みが減る際にフィラーがフィルム面に微小突起として突出する現象を利用することが実用化されている。同様に微小突起を利用する滑り性の改善技術としては、ポリエステルの重合時に用いる触媒を重合体に不溶性の粒子に変換させる方法も知られている。
【0005】
これらの方法は、フィルムの滑り性を改善する点では成功をおさめているが、フィルム組成内に微小粒子が存在するため、当然のことながらフィルムの透明度を低下させたり、微小粒子の凝集物や微小粒子中に微量の割合で混在する大粒径粒子によってフィルム表面に粗大突起、即ちF/S(フライスペック)ができ、ビデオテープのD/O(ドロップアウト)を多発させたり、あるいはフィルム組成内にボイドを生成するなどの改善されるべき問題を残している。特にジアゾフィルム、メタライジングフィルム、写真フィルムのように透明性を要する用途において、あるいは記録の高密度化に対応してべースフィルムの表面平坦化を要求している磁気テープやフロッピーディスク等の素材としてのポリエステルフィルムの透明度の低下あるいはボイド、粗大突起の生成は、使用上重大な障害となる。
【0006】
また、滑り性を改善する他の手段として、フィルムの少なくとも片面に微小粒子を含有する塗膜を設け、該塗膜表面に微小突起を形成せしめる方法が知られている。この方法は、易滑性は確保できても、ロール状に巻いて高温高湿環境下に置かれた場合にポリエステルフィルムがブロッキングを起こすという問題をかかえている。
【0007】
また、極めて高密度な磁気記録媒体、特に磁性層が強磁性金属薄膜からなる磁気記録媒体のべースフィルムとしては、高出力を出すための超平坦性とフィルム巻取りのための易滑性という相反する特性が必要であるが、易滑性に関してはテープのバックコート層を設ける面側に易滑性を付与する皮膜を設ける方法が知られている。しかし、従来の皮膜は易滑性を確保することはできても、蒸着によって金属薄膜を設ける時に金属粒子の熱でフィルムが溶けてしまう、いわゆる熱負け現象の問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、平坦性、製膜・加工時の易滑性、耐ブロッキング性、耐削れ性に優れ、磁気記録媒体、各種写真材料、包装材料、電気絶縁材料、一般工業材料などに用いられる基材、特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の基材として好適なポリエステルからなる易滑性積層フィルムの提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、本発明によれば、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、バインダー樹脂からなる皮膜層を設けた積層フィルムであって、皮膜層の外表面のAFM(原子間力顕微鏡)による粗さの平均値が3〜20nmで、且つ、粗さの斑が5%以上70%以下であることを特徴とする易滑性積層フィルムによって達成される。また、本発明によれば、上記本発明の易滑性積層フィルムの好ましい態様として、皮膜層中に平均粒径が10〜200nmの不活性粒子を含有する、バインダー樹脂が、水溶性又は水分散性樹脂の、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびアクリル−ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂である、皮膜層がその表面をAFM(原子間力顕微鏡)で観たとき、微細網目凹凸構造を有する、または、ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなるフィルムである易滑性積層フィルムも提供される。特に、皮膜層が微細網目凹凸構造を有する場合は、さらに本発明の好ましい態様として、皮膜層の微細網目凹凸構造における凸部/凹部の面積比率が0.2〜5の範囲である、または、皮膜層のバインダー樹脂が、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロースおよびスルホン酸塩基含有スチレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を、皮膜層の重量を基準として、5〜50重量%含む易滑性積層フィルムが提供される。
【0010】
さらにまた、本発明によれば、バックコート層、基材および磁気記録層からなる磁気記録媒体において、ポリエステルフィルムの片面にバインダー樹脂からなる皮膜層を設けた積層フィルムであって、皮膜層の外表面のAFM(原子間力顕微鏡)による粗さの平均値が3〜20nmで、且つ、該粗さの斑が5%以上70%以下である易滑性積層フィルムを基材とし、該基材の皮膜層側の面にバックコート層を積層し、該基材の皮膜層側とは異なる面に磁気記録層好ましくは強磁性金属薄膜層を積層したことを特徴とする磁気記録媒体も提供される。
【0011】
本発明を以下に詳しく述べる。
<ポリエステルフィルム>
本発明におけるポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等からなるフィルムを好ましく例示することができる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが特に好ましい。上記フィルムを構成するポリエステルはホモポリエステルであってもコポリエステルであってもよい。コポリエステルの場合、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの共重合成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリオキシエチレングリコール、P−キシレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸(但しポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(但しポリエチレンテレフタレートの場合)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の他のジカルボン酸成分、P−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸成分等があげられる。尚、共重合成分の量は、全酸成分に対し、2Oモル%以下、更には10モル%以下とするのが好ましい。更に、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3官能以上の多官能化合物を共重合させることもできる。この場合ポリマーが実質酌に線状である量、例えば2モル%以下共重合させることが好ましい。本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは1μm以上20μm未満、さらには2μm以上7μm未満であることが好ましい。
【0012】
本発明におけるポリエステルフィルムは、不活性粒子を含有していてもしていなくてもよい。本発明におけるポリエステル中に含有せしめる不活性粒子は、有機系粒子でも無機粒子でもよく、例えば、有機系粒子としてはポリスチレン、ポリスチレン−ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂等のポリマーからなる粒子、及びこれら重合体を成分とするグラフト共重合体からなるコアシェル構造粒子が挙げられ、また無機系粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、長石、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、二硫化モリブデン、カーボンブラツク、硫酸バリウム等の無機化合物からなる粒子が挙げられる。これらの不活性粒子の平均粒径は0.005〜2μm、更には0.01〜1.8μmであることが好ましく、また、その添加量は0.001〜2重量%、更には0.01〜1.5重量%であることが好ましい。また、不活性粒子を添加する時期としては、通常、ポリエステル製造時、例えばエステル交換法による場合は、エステル交換反応中もしくは重縮合反応中、または直接重合法による場合はその反応中の任意の時期が挙げられ、添加方法としては、グリコール中のスラリーとして反応系中に添加するのが好ましい。
【0013】
<皮膜層>
本発明の易滑性積層フィルムは、皮膜層の外表面のAFM(原子間力顕微鏡)による2乗平均粗さ(以下、”粗さ”または”Ra”と称することがある。)の平均値が3〜20nmであり、好ましくは4〜15nmである。このRaの平均値が3nm未満の場合には易滑性が不充分で、フィルムの巻取り性や製膜工程での搬送性が不足したり、ブロッキングを起こしやすくなる。一方、Raの平均値が20nmを超えると、皮膜層が削れ易くなり、特に金属蒸着工程を経るような金属薄膜型磁気記録媒体に用いる場合には、冷却キャンとの接触が悪いことから熱負けを生じる。なお、本発明における粗さの平均値とは、AFMによって、縦×横10cm四方のフィルムを1cmピッチで縦10点、横10点、合計100点のRaを測定し、その100点の平均値を意味する。また、本発明における粗さの斑とは、上記測定された100点のRaの値の内、粗さの大きい方から5点と粗さの小さい方から5点をとり、前者の5点中での平均値から後者の5点中での平均値を差し引いた値を、前述の粗さの平均値で割った値である。
【0014】
本発明の易滑性積層フィルムは、該皮膜層の粗さの斑が5%以上70%以下、好ましくは10%以上50%以下である。粗さ斑が5%未満であるとRaが3nm以上であってもブロッキングしやすく、巻き出すときに切断が発生したりして加工作業に支障を来たす。他方、粗さ斑が70%を超えると、皮膜層が削れ易くなり、特に金属蒸着工程を経るような金属薄膜型磁気記録媒体に用いる場合には、冷却キャンとの接触が不良となって、熱負けを生じる。
【0015】
このような粗さ斑を得る方法としては、例えば塗液粘度を2mPa・s以上とし、塗工方式として3本リバースコーティング法を用い、アプリケーターロールとピックアップロールの速度差を50m/分以上にする方法が挙げられる。皮膜層の厚さは1〜100nm、好ましくは3〜30nmである。皮膜層の厚さが1nm未満であると、十分な粗さの斑が生じ難く、他方、皮膜の厚さが100nmを超えると、粗さの斑が70%を超え易くなる。
【0016】
本発明における皮膜層は、バインダー樹脂からなるが、このほかに不活性微粒子や界面活性剤を含むことが好ましい。皮膜層を構成するバインダー樹脂としては、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を例示することができる。ポリエステルフィルムに対する密着性、突起保持性、易滑性などの点からは、水溶性若しくは水分散性のポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びアクリル−ポリエステル樹脂が好ましい。これらの樹脂は単一重合体でも共重合体でもよく、また混合物でもよい。
【0017】
まず、水溶性若しくは水分散性のポリエステル樹脂について、説明する。該ポリエステル樹脂を構成する酸成分として、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、トリメリツト酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリツト酸モノカリウム塩等の多価カルボン酸を例示することができる。また該ポリエステル樹脂を構成するヒドロキシ化合物成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロパン酸カリウム等の多価ヒドロキシ化合物を例示することができる。そして、該ポリエステル樹脂はこれらの化合物から常法によってつくることができる。特に、水性塗料をつくる点からは、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分又はカルボン酸塩基を含有する水性ポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。かかるポリエステル樹脂は分子内に官能基を有する自己架橋型とすることができるし、メラミン樹脂、エポキシ樹脂のような硬化剤を用いて架橋することもできる。
【0018】
次に水溶性もしくは水分散性のアクリル樹脂について説明する。該アクリル樹脂の製造に用いるアクリル成分としては、例えばアクリル酸エステル(アルコール残基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等を例示できる);メタクリル酸エステル(アルコール残基は上記と同じ);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2ーヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の如きヒドロキシ含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N’−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド等の如きアミド基含有モノマー;N,N’−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N’−ジエチルアミノエチルメタクリレート等の如きアミノ基含有モノマー等を挙げることができる。これらモノマーは、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等の如きスルホン酸基又はその塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタコン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、及びそれらの塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等の如きカルボキシル基又はその塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水物を含有するモノマー;その他ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アリルグリシジルエーテル等の単量体と組合せて用いることができる。この場合、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体の如き(メタ)アクリルモノマーの成分が50モル%以上含まれているのが好ましく、特にメタクリル酸メチルの成分を含有しているものが好ましい。該アクリル樹脂は分子内の官能基で自己架橋することができるし、メラミン樹脂やエポキシ化合物等の架橋剤を用いて架橋することもできる。
【0019】
最後に、水溶性又は水分散性のアクリル−ポリエステル樹脂について説明する。該アクリル−ポリエステル樹脂は、アクリル変性ポリエステル樹脂とポリエステル変性アクリル樹脂とを包含し、アクリル樹脂成分とポリエステル樹脂成分とが互いに結合したものであって、例えばグラフトタイプ、ブロックタイブ等を包含する。該アクリル−ポリエステル樹脂は、例えばポリエステル樹脂の両端にラジカル開始剤を付加してアクリル単量体の重合を行わせたり、ポリエステル樹脂の側鎖にラジカル開始剤を付加してアクリル単量体の重合を行わせたり、あるいはアクリル樹脂の側鎖に水酸基を付け、末端にイソシアネート基やカルボキシル基を有するポリエステルと反応させて櫛形ポリマーとする等によって製造することができる。前記アクリル−ポリエステル樹脂を構成する成分としては、前記アクリル樹脂、ポリエステル樹脂を構成する成分として例示した化合物を挙げることができる。
【0020】
これらの水溶性若しくは水分散性の、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びアクリル−ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂の皮膜中の含有量は20〜80重量%が好ましい。20重量%未満であるとフィルムとの密着性が低下し、一方80重量%を超えると、不活性粒子や界面活性剤などのバインダー樹脂以外の成分の添加による効果が少なく、総合的な特性を満足し難くなる。
【0021】
本発明における皮膜層に含有される不活性微粒子の材質としては、ポリスチレン、ポリスチレン−ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き有機質、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長石、二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウム等の如き無機質のいずれを用いてもよい。また内外部が性質の異なる物質で構成される多層構造のコアシェル型粒子を用いてもよい。不活性微粒子の平均粒径は好ましくは10〜200nm、さらに好ましくは20〜100nmであり、該微粒子の皮膜層中の含有量は好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。該微粒子は、粒度の分布が狭いほぼ均一な粒径のものが好ましい。該微粒子の平均粒径が10nm未満、あるいは含有量が5重量%未満の場合には、フィルムの滑り性が不足し巻取り性や製膜工程での搬送性が不足し易くなったり、ブロッキングを起こし易くなる。他方、該微粒子の平均粒径が200nmを超える、あるいは含有量が40重量%を超える場合には、皮膜層が削れ易くなる。
【0022】
本発明における皮膜層に含有される界面活性剤は、特に限定はされないが、ノニオン型界面活性剤、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤などが例示できる。この界面活性剤の含有量は5〜40重量%の範囲が好ましい。本発明における皮膜層は、バインダー樹脂、不活性微粒子及び界面活性剤のほかに、本発明に影響を与えない範囲で、他の成分を添加しても差支えない。例えば、耐ブロツキング性を更に向上させるために、シリコーンワツクス、シロキサン共重合体を添加する方法が好ましく用いられる。本発明における皮膜層の厚みは1〜100nmが好ましく、更に好ましくは5〜30nmである。
【0023】
本発明の易滑性積層フィルムは、その皮膜層が微細網目凹凸構造を有することが、より滑り性を向上できることから好ましい。本発明における微細網目凹凸構造の皮膜層とは、図1に示すような表面形状が網状になっったもので、図1のように目の部分に皮膜層がある連続皮膜であってもよく、また目の部分に皮膜層がない不連続皮膜であってもよい。皮膜層の表面を微細網目凹凸構造にする手段としては、バインダー樹脂の一部としてポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース、スルホン酸塩基含有スチレン共重合体等の延展性(延伸性)の乏しい樹脂を用いる方法が好ましく適用できる。これら貧延展性樹脂の皮膜中の含有量は好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。該量が5重量%未満であると、皮膜が充分な微細網目構造になり難く、したがって、易滑性が不足し易い。他方、該量が50重量%を超えると、皮膜自体の耐削れ性の低下を引き起こすので好ましくない。また前記皮膜層の凸部/凹部の面積比率は0.2〜5、さらには0.3〜3、特に0.5〜2であることが好ましい。この比率が0.2未満であると、摩擦係数が高くなり、易滑性が不充分となり易く、他方、5を超えると、ブロッキングを起こし易くなる。
【0024】
<易滑性積層フィルムの製造>
本発明におけるポリエステルフィルムは単層構成のフィルムであっても、それぞれの層が異なる組成のポリエステルフィルムからなる2層以上の多層構成のフィルムであってもよく、従来からそれ自体知られている方法に準じて製造することができる。
【0025】
例えば、ポリエステルフィルムが単層の場合、ポリエステルを口金より融点Tm℃〜(Tm+70)℃の温度でフィルム状に押出した後、40〜90℃で急冷固化し未延伸フィルムを得る。しかる後に、該未延伸フィルムを常法に従って一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)において2.5〜8.0倍の倍率、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸し、次いで皮膜を形成するバインダー樹脂を含んだ塗液をフィルムの少なくとも片面に塗布し、その後に前記方向と直角方向にTg〜(Tg十70)℃の温度において2.5〜8.0倍の倍率、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸する。更に必要に応じて縦方向及び/又は横方向に再度延伸、即ち、2段、3段、4段、或いは更に多段の延伸を行ってもよい。全延伸倍率は、面積延伸倍率で、9倍以上、好ましくは12〜35倍、更に好ましくは15〜32倍である。このようにして2軸延伸されたフィルムは、更に引き続いて、(Tg+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば180〜250℃で熱固定処理を施して結晶化させることによって優れた寸法安定性が付与される。この熱固定処理の時間は1〜60秒間が好ましい。このようにして得られる易滑性ポリエステルフィルムは、厚さが1μm以上20μm未満、さらには2μm以上7μm未満であることが好ましい。
【0026】
<磁気記録媒体>
本発明の易滑性ポリエステルフィルムは、種々の分野に用いられるが、中でも高密度の磁気記録媒体、特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の基材として有用である。通常、磁気記録媒体は、バックコート層、基材および磁気記録層が、この順で積層一体化されている。そして、皮膜層をポリエステルフィルムの片面に有する本発明の易滑性積層フィルムを基材とし、該基材の皮膜層側の面にバックコート層を積層し、該基材の皮膜層側とは異なる面に磁気記録層を積層すれば、基材が表面平坦性と易滑性とを高度に兼備しているので、ドロップアウトの少ない品質の良い磁気記録媒体を安定して製造することができる。さらに詳しくは、本発明の易滑性積層フィルムの皮膜層側とは異なる側の面に、直接又は間接好ましくは下地塗膜の上に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、クロム又はこれらを主成分とする合金もしくは酸化物より成る強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)等の保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、更に皮膜層の表面に公知のバックコート層を設けることにより、特に短波長領域の出力、S/N、C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることが出来る。この蒸着型電磁記録媒体は、アナログ信号記録用Hi8、デジタル信号記録用デジタルビデオカセツトレコーダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV用テープ媒体として用いることができ、極めて有用である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。尚、本発明において用いた測定法は次の通りである。
【0028】
(1)微粒子の平均粒径
Nicomp Instruments Inc.社製のNICOMP MODEL 270 SUBMICRON PARTICLE SIZERを用い、光散乱法により測定される全粒子の50重量%の点にある粒子の「等価球直径」を求め、これを微粒子の平均粒径とした。
【0029】
(2)AFM(原子間力顕微鏡)による表面粗さ及び粗さ斑
10cm四方のフィルムをサンプリングし、該フィルムの表面上を1cmピッチで縦10点、横10点、合計100点について、Digital Instruments社製の原子間力顕微鏡Nano Scope III にて、Jスキャナを使用し、以下の条件でRa(2乗平均粗さ)を測定する。そして、これら100点のRaの値の平均値を、粗さの平均値(Raave)とした。
探針:単結合シリコンナイトライド
走査モード:タッピングモード
走査範囲:10μm×10μm(100μm2)
画素数:256×256
スキャン速度:2.0Hz
測定環境:室温、大気中
また、粗さの斑は、上述の100点のRaの結果から、以下の式により算出する。
(Ramax5−Ramin5)/Raave×100(%)
ここで、式中の、Ramax5は測定された100点のRaの中で大きいほうから5点の平均値、Ramin5は測定された100点のRaの中で小さいほうから5点の平均値である。
【0030】
(3)皮膜層の凸部/凹部の面積比率
上述の(2)で測定した10μm×10μmのAFM像より、画像解析法により凸部/凹部の比率を算出する。n=10の平均値を用いる。
【0031】
(4)塗液の粘度
山一電機工業(株)製 VISCO−MATE モデルVM−1Aを用いて、20℃における粘度を測定する。
【0032】
(5)巻取り性
接圧20kg/m、張力3kg/mの条件で、幅700mm、長さ15000mのサイズで10ロールのスリットを行い、1週間放置後のフィルムシワの発生状況による製品化可能ロール本数によって、以下の基準で巻取り性の評価を行った。
【0033】
(6)フィルムの摩擦係数(μs)
重ね合わせた2枚のフィルムの下側に固定したガラス板を置き、重ね合わせたフィルムの下側(ガラス板と接しているフィルム)のフィルムを低速ロールにて引取り(約10cm/分)、上側のフィルムの一端(下側フィルムの引取り方向と逆端)に検出器を固定してフィルム/フィルム間のスタート時の引張力を検出する。尚、そのときに用いるスレッドは重さ1kg、下側面積100cm2のものを使用し、摩擦係数(μs)は次式より求める。
μs=スタート時の引張力(kg)/荷重1kg
評価は以下のの基準で行う。
○:0.7未満
△:0.7以上0.8未満
×:0.8以上
【0034】
(7)耐ブロッキング性
接圧150kg/m、張力7kg/mの条件で、幅700mm、長さ15000mのサイズでロールを10本巻取り、50℃×70%RHの雰囲気下で1週間放置した後、200m/分の速度で巻き出し、10本のロール中のブロッキングによる切断の発生回数で耐ブロッキング性の評価を行った。
【0035】
(8)耐削れ性
フィルムを25〜30cm長さ、幅1/2インチにサンプリングし、レザー刃を皮膜層の面に対し90°の角度、深さ0.5mmの条件で当てがい、荷重500g/0.5インチ、速度10cm/secで走行させたときに、レザーに付着した削れ粉の深さ方向の幅を顕微鏡写真撮影(倍率:160倍)して求める。削れ粉の深さ方向の幅で以下のように判断する。削れ粉の深さ方向の幅が小さいほど、削れ性に優れている。
○:3mm未満
△:3mm〜5mm未満
×:5mm以上
【0036】
(9)熱負け
図2に示すような連続巻取り式真空蒸着装置を用いて、易滑性ポリエステルフィルムの熱負けの有無の確認を行う。
【0037】
連続巻取り式真空蒸着装置は、いわゆる斜方蒸着用として構成され、内部が真空状態(例えば約10-3Pa)とされた真空室1内に、図中の反時計廻り方向(矢印Z方向)に回転し、0℃に冷却されている冷却キャン2に対向して金属磁性薄膜用の蒸着源3が配置される。そして、複合ポリエステルフィルムを、図2中の反時計廻り方向に回転する供給ロール4から矢印D方向に繰り出して、冷却キャン2の周面に沿って移行させつつ、蒸着源3から電子ビーム5で加熱、蒸発した蒸着材料6を付着させ、金属−磁性薄膜を蒸着し、しかる後に巻取りロール7に巻き取られるようになされている。なお、供給ロール4と冷却キャン2との間、及び冷却キャン2と巻取りロール7との間にそれぞれガイドローラー8、9が配設され、供給ロール4から冷却キャン2、及びこの冷却キャン2から巻取りロール7に亘って走行する易滑性ポリエステルフィルムに所定のテンションをかけ、易滑性積層フィルムが円滑に走行するようになされている。
【0038】
蒸着源3は容器10に上述の金属磁性材料Co−Ni合金が収容されたものであり、この蒸着源(金属磁性材料)に対し、電子ビーム発生源11から電子ビーム5を加速照射して金属磁性材料6を加熱、蒸発させ、これを冷却キャン2の周面に沿って走行する易滑性積層フィルム上に付着(蒸着)させて金属磁性薄膜を形成し、磁気記録媒体を作製する。この時、蒸着源3と冷却キャン2との間には防着板12を設け、シャツタ13を位置調整可能に設けて、易滑性積層フィルムに対して所定の角度で入射する蒸着粒子のみを通過させる。こうして斜め蒸着法によって金属磁性薄膜が形成されるようになっている。
【0039】
易滑性積層フィルムの皮膜層側表面を冷却キャンに接する向きとし、皮膜を形成する反対のフィルム面に膜厚180nmの金属磁性薄膜を形成する際、下記基準で熱負けの評価を実施する。(易滑性積層フィルムの幅は500mm)
O:熱負け無し
△:直径5mm以上の熱負けが3個/10m長以上発生
×:直径5mm以上の熱負けが10個/10m長以上発生
【0040】
[実施例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとエチレングリコールとを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜燐酸を、添加して常法により重合し、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)を得た。このポリエチレン−2,6−ナフタレートを170℃で6時間乾燥後、押出機に供給し、溶融温度280〜300℃にて溶融して、ダイよリシート状に押出し、急冷して厚さ82μmの未延伸フィルムを得た。
【0041】
得られた未延伸フィルムを予熱し、更に低速・高速のロール間でフィルム温度95℃にて縦方向に3.2倍に延伸し、急冷し、次いで3本リバースコーターを用いて縦延伸フィルムの一方の面に表1の皮膜層の組成の水溶性塗液を0.020μm(延伸乾燥後)の厚みになるよう塗布した。この際、フィルムの速度を140m/分、アプリケーターロールの速度を170m/分、ピックアップロールの速度を70m/分とした。また他方の面に以下の他面皮膜層用の水溶性塗液を0.009μm(延伸乾燥後)の厚みになるよう塗布した。続いてステンターに供給し、150℃にて横方向に5.6倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを200℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み4.9μmの易滑性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。
【0042】
(他面皮膜の組成)
・バインダー樹脂
アクリル変性ポリエステル(テレフタル酸/イソフタル酸/5-Naスルホイソフタル酸/エチレングリコール/ジエチレングリコール//メチルアクリレート/グリシジルメタクリレートのモル比=70/18/12/92/8//80/20):70重量部
・不活性粒子 アクリル粒子(平均粒径40nm):10重量部
・界面活性剤 日本油脂(株)製ノニオンNS−240:20重量部
【0043】
[実施例3、4および比較例2]
皮膜層の塗液組成を表1のように変更する以外は、実施例1と同様の手法で易滑性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。
【0044】
[比較例1]
皮膜層の塗液濃度を表1のように変更し、フィルムの速度を70m/分、アプリケーターロールの速度を90m/分、ピックアップロールの速度を70m/分とする以外は、実施例1と同様の手法で易滑性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。
【0045】
[実施例2、比較例3]
ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜燐酸を添加して常法により重合し、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。
【0046】
このポリエチレンテレフタレートを170℃で3時間乾燥後、押出機に供給し、溶融温度280〜300℃にて潜融して、ダイよりシート状に押出し、急冷して厚さ82μmの未延伸フィルムを得た。
【0047】
得られた未延伸フィルムを予熱し、更に低速・高速のロール間でフィルム温度95℃にて縦方向に3.2倍に延伸し、急冷し、次いで縦延伸フィルムの一方の面に実施例1と同様の方法で、表1の皮膜層の組成の水溶性塗液を、他の面に実施例1と同じ他面皮膜の組成の水溶性塗液を塗布し、続いてステンターに供給し、110℃にて横方向に4.1倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを220℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み6.0μmの易滑性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。
【0048】
[比較例4]
皮膜層の塗液組成、濃度を表1のように変更し、ピックアップロールの速度を30m/分とする以外は、実施例2と同様の手法で易滑性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
ここで、表中のバインダー樹脂は、aがアクリル変性ポリエステル(モル比:テレフタル酸/イソフタル酸/5-Naスルホイソフタル酸/エチレングリコール/ジエチレングリコール//メチルアクリレート/グリシジルメタクリレート=70/18/12/92/8//80/20)、bが共重合ポリエステル(モル比:テレフタル酸/イソフタル酸/5-ナトリウムスルホイソフタル酸//エチレングリコール/ビスフェノールA・プロピオンオキサイド2モル付加体=97/1/2//60/40)、cがヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業(株)製60H-06)、dがヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製HPC-SL)、eがヒドロキシエチルセルロース(ダイセル化学(株)製HEC)である。
【0051】
表1から明らかなように、本発明による易滑性ポリエステルフィルムは巻取り性がよく、摩擦係数が低く、フィルム間のブロッキングがなく、また耐削れ性に優れて蒸着時の熱負けもない。これに対し、本発明の要件を満たさないものはこれら特性を同時に満足することができない。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、表面平坦性であるにもかかわらず、製膜・加工時の易滑性、巻取り性、耐ブロッキング性、耐削れ性に優れ、種々の用途、中でも高密度磁気記録媒体のベースフィルムとして有用な易滑性ポリエステルフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】微細網目凹凸構造を有する皮膜層を模式的に示した図である。
【図2】連続巻取り式蒸着装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1:真空室
2:冷却キャン
3:蒸着源
4:フィルム供給ロール
6:蒸着材料
7:フィルム巻取りロール
Claims (9)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、バインダー樹脂からなる皮膜層を設けた積層フィルムであって、皮膜層の外表面のAFM(原子間力顕微鏡)による粗さの平均値が3〜20nmで、且つ、粗さの斑が5%以上70%以下であることを特徴とする易滑性積層フィルム。
- 皮膜層が平均粒径の10〜200nmの不活性粒子を含有する請求項1に記載の易滑性積層フィルム。
- バインダー樹脂が、水溶性又は水分散性樹脂の、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびアクリル−ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項1または2のいずれかに記載の易滑性積層フィルム。
- 皮膜層が微細網目凹凸構造を有する請求項1〜3のいずれかに記載の易滑性積層フィルム。
- 皮膜層の微細網目凹凸構造における凸部/凹部の面積比率が0.2〜5の範囲である請求項4記載の易滑性積層フィルム。
- 皮膜層のバインダー樹脂が、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロースおよびスルホン酸塩基含有スチレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を、皮膜層の重量を基準として、5〜50重量%含む請求項4記載の易滑性積層フィルム。
- ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなるフィルムである請求項1記載の易滑性ポリエステルフィルム。
- バックコート層、基材および磁気記録層からなる磁気記録媒体において、皮膜層をポリエステルフィルムの片面に有する請求項1記載の易滑性積層フィルムを基材とし、該基材の皮膜層側の面にバックコート層を積層し、該基材の皮膜層側とは異なる面に磁気記録層を積層したことを特徴とする磁気記録媒体。
- 磁気記録層が強磁性金属薄膜層である請求項8記載の易滑性ポリエステルフィルム。
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