JP3882980B2 - 植生マットとその製造方法および施工方法 - Google Patents

植生マットとその製造方法および施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば河川の堤防などの植生護岸等に用いる植生マットと、その植生マットの製造方法および施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば河川堤防の護岸に際して、主として防災の見地から、コンクリートブロックを堤防の法面に張り付ける張りブロック工法が施工されてきたが、近年では、親水護岸の形成など景観的見地から、また、コスト面から、芝生による護岸の形成が要望されつつある。
【0003】
そこで、圃場で生育させた野芝や高麗芝の芝生マットを河川沿岸の護岸域法面に施工する工法が採用されるようになったが、従来の工法では、単に芝生マットを法面に張り付けていたことと、芝の根の法面への侵入深さが比較的浅かったことから、たとえば河川の増水時に、流水によって芝生マットが簡単に剥がれて流失してしまい、護岸機能を早期に失って、流水による法面の浸食が起こり易いという問題があった。
【0004】
そこで、上述の問題を解決するために、以下の提案がされている。すなわち、可撓性を有するネット材に芝生マットを一体化させて成る植生マットであり、この植生マットは、可撓性を有するネット材を圃場に敷設し、このネット材の上に、別途圃場で生育させた芝生マットを敷き詰め、この芝生マットの根をネット材に絡ませた後、芝生マット付きのネット材を圃場から剥がし取ることで製造される。
【0005】
この植生マットとその製造方法によれば、芝生マットの強い表層根がネット材に強固に根絡みした保形性の高い植生マットが得られるのであって、この植生マットを法面などに敷き詰めて、この植生マットあるいはネット材をアンカー等によって止着すれば、芝生マットがネット材に強固に根絡みしていることから、実質的に芝生マットを、ネット材を介して法面などに強固に張り付けることができるのであり、かつ芝生マットは時を経て法面などに強固に根張りすることになるのである。
【0006】
そのため、芝生マットを形成する野芝や高麗芝が良好に生育し、法面の全面を覆っている時には、野芝等に接触する流水が相当の流速となっても野芝等が剥がれることはない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の構成からなる植生マットとその製造方法では、植生マットの施工後、経年的に野芝等の欠損箇所が増加したり、野芝等が周囲の他の植物に置き換わることがあると考えられる。このように、施工時や施工後の芝生マットに芝生の欠落部分が生じると、たとえば増水時の流水によってその欠落部分から土が吸い出されてしまう。
【0008】
また、上記の植生マットを大きくし過ぎることは、必然的にその重量を大きくすることになり、人力で施工することなどを考慮に入れると、得策ではない。そのため、植生マットの施工に関しては、多くの枚数の植生マットが必要となるケースが多く、必然的に植生マットどうしの接合箇所も多くなる。そして、この接合箇所には、流水による接合箇所からの土の吸い出しを防止するために、吸出し防止シートが現場で施工されることとなるが、上述のように、接合箇所が多くなるため、施工面でのコストが上昇する。
【0009】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、流水による土の吸い出しを防止することができ、かつ施工面でのコストを下げることが可能な植生マットと、その製造方法および施工方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の植生マットは、可撓性を有するネット材に芝生マットを一体化させて成る植生マットであって、前記ネット材の下面に縦及び横方向において疎部と密部とを交互に配置したメッシュ状の不繊布が装着されている(請求項1)。
【0011】
また、ネット材の少なくとも一側辺が、芝生マットの端部から張り出しており、この周縁部分の下面のみに前記メッシュ状の不織布が装着されているとしてもよい。
【0012】
上記の構成により、流水による土の吸い出しを防止することができ、野芝等の植物の根が支障なく伸長して、法面土壌に蔓延し、かつ施工面でのコストを下げることが可能な植生マットを提供することができる。
【0013】
また、本発明の植生マットの製造方法は、可撓性を有するネット材を予め縦及び横方向において疎部と密部とを交互に配置したメッシュ状の不織布が敷かれた圃場に敷設し、このネット材に、別途圃場で生育させた芝生マットを敷き詰め、この芝生マットの根がネット材に格まった段階で、芝生マット付きのネット材をメッシュ状の不織布ごと圃場から剥がし取るものである(請求項2)。そして、本発明の植生マットの施工方法は、可撓性を有するネット材に芝生マットを一体化させて成り、さらに下面には縦及び横方向において疎部と密部とを交互に配置したメッシュ状の不織布を装着して成る植生マットを、護岸域に張設するものである(請求項3)。また、予め護岸域に縦及び横方向において疎部と密部とを交互に配置したメッシュ状の不織布を張設し、その上から可撓性を有するネット材と芝生マットを張設するとしてもよく(請求項4)、さらに、前記不織布が、施工される植生マットのつなぎ目に相当する箇所のみに張設されているとしてもよい(請求項5)。
【0014】
上記の構成により、流水による土の吸い出しを防止することができ、野芝等の植物の根が支障なく伸長して、法面土壌に蔓延し、かつ施工面でのコストを下げることが可能な植生マットとその製造方法および施工方法を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を、図を参照しながら説明する。
図1および図2は、本発明の第一実施例に係る植生マットDとその施工方法の構成を概略的に示す斜視図である。
植生マットDは、たとえば平面視が2000mm×3000mmの長方形状のものや、2000mm×2000mmの正方形状のものであって、下面にメッシュ状の不織布1が配置された可撓性を有するネット材2に芝生マット3を一体化させて成るものである。
【0016】
前記メッシュ状の不織布1は、平面視がほぼ矩形状で、ポリエステル、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ガラス繊維などの耐腐食性繊維で構成され、縦及び横方向において、疎部Rと密部Tとを交互に配置した状態を有している。
【0017】
この内の疎部Rは、不織布1を形成する素材が少なくなっていたり存在していなかったりして、芝生の根茎が通過し得る部分であり、密部Tは、不織布1を形成する素材が一定以上密に詰まっていて、芝生の根茎を通さない程度以上の強度となっている部分である。
【0018】
ここで、疎部Rの幅寸法を0.3mmより小さくすると、芝生の根茎の通過が困難となり、5.0mmより大きくすると、土砂を通し易くなって、土壌の吸出しによる侵食・崩壊の防止効果が悪くなることから、隣り合う密部Tのピッチを0.5〜10mmとし、疎部Rの幅寸法を0.3〜5mmとすることが望ましい。
【0019】
このことから、この実施形態では、10mm×10mmの大きさの不織布1において、1.0mm程度の孔による疎部Rが横方法に5〜6個、縦方向に3〜4個形成されたものを採用しており、この不織布の目付け量は30〜70g/m2となっている。
【0020】
前記可撓性ネット材2は、平面視において前記メッシュ状の不織布1とほぼ同じ形状であり、かつ幅1m当たりの引っ張り強度が0.5〜7トン程度で、目合いが5〜10×5〜10mm程度となるように形成されている。前記ネット材2は、耐久性に富む繊維、たとえばナイロンやポリエステル、アラミド、カーボン、ポリアセタールなどの繊維を用いて、格子状に成形したものであるが、上記の繊維による線条を用いて、上記と同様の目合いの網状体に編組したものにしてもよい。
【0021】
前記芝生マット3は、複数の芝3a、3a…と、芝3a、3a…の根によって保持される土3bとからなる。この発明に使用される芝生(植物)としては、通常、我が国の気候風土によく適応し、メンテナンスが比較的容易な野芝や高麗芝が使用されるが、この他に所謂洋芝といわれる、トールフェスク、クリーピングレッドフェスク、バミューダグラス、ベントグラス類やチガヤ等普通に河川敷に生育している植物も使用可能である。
【0022】
前記植生マットDは、芝生マット3が形成される主体部4と、この主体部4の周縁に形成され、芝生マット3が形成されない周縁部5とからなる。すなわち、前記主体部4は、メッシュ状の不織布1とネット材2と芝生マット3とからなる部分であり、前記周縁部5は、メッシュ状の不織布1とネット材2とからなる部分である。
【0023】
前記周縁部5は、植生マットDの幅方向両側に形成された、たとえば100mm幅の周縁部分5a、5bと、植生マットDの長手方向の一方に形成された、たとえば150mm幅の周縁部分5cと、植生マットDの長手方向の他方に形成された、たとえば50mm幅の周縁部分5dとからなる。
【0024】
図3および図4(A)〜(D)は、前記植生マットDの製造方法を示すための分解斜視図および説明図である。
前記植生マットDは、以下のようにして製造される。すなわち、まず、図4(A)に示すように、圃場6にメッシュ状の不織布1を敷設した後、この不織布1の上に可撓性を有するネット材2を重ね(図4(B))、このネット材2の上から別途圃場6で生育させた芝生マット3を敷き詰める(図4(C))。そして、芝3aの根がメッシュ状の不織布1およびネット材2に絡まった段階で(図4(D))、不織布1の下側に伸びた芝3aの根を切断しつつ、前記ネット材2を不織布1ごと圃場6から剥がし取ることで、植生マットDの製造が完了する。
【0025】
なお、上記の植生マットDの製造方法において、植生マットDの製造開始時にネット材2の周辺部に角材Kなどを配置し、植生マットDの製造が完了した段階で、この角材Kなどを取り出すようにすれば、植生マットDに、芝生マット3が形成されない前記周縁部5を設けることができる。
【0026】
また、上記の角材などの配置を省略して、植生マットD製造後に芝生マット3の周辺部を崩し取ることで、前記周縁部5を形成するようにしてもよい。
【0027】
なお、上記の周縁部分5a〜5dの各端部に、ネット連結時の目ずれ防止のために、2〜5cm程度の幅で網目を密にした部分を形成しておくことが望ましい。
【0028】
上記の構成からなる植生マットDの製造方法によれば、植生マットDの下面にメッシュ状の不織布1が形成されていることから、植生マットDの下方へ進入する芝3aの根の量が、不織布1を設けない場合に比べて多少、少なくなり、圃場6から植生マットDを剥がし取るという作業を、より小さな力で行うことが可能となる。
【0029】
なお、植生マットDのネット材2に対するメッシュ状の不織布1の装着は、芝生マット3の芝3aの根を不織布1およびネット材2に絡ませることによって行うことができるが、この方法の他に、たとえば紐によって適宜箇所を結束したり、接着剤などを用いて装着するようにしてもよい。更に、適宜間隔に、縫製により装着することもできる。
【0030】
植生マットDの製造方法は上記の構成に限るものではなく、たとえば以下に示す構成としてもよい。すなわち、まず、圃場6にメッシュ状の不織布1を敷設した後、この不織布1の上に可撓性を有するネット材2を重ね、ネット材2の上から芝3aのランナーを植えて覆土を施し、芝3aの根が不織布1およびネット材2に絡まり、前記ランナーが芝生マット3に育成した段階で、不織布1の下側に伸びた芝3aの根を切断しつつ、前記ネット材2を不織布1ごと圃場6から剥がし取るようにしてもよい。この場合、メッシュ状の不織布を使用したことにより、芝のランナーの根が不織布1を通して、地面表層土壌への伸長・蔓延が良好で、芝生マットと不織布1、ネット材2とが一体になった植生マットDを好適に形成できる。
【0031】
また、さらに他の植生マットDの製造方法として、メッシュ状の不織布1を適宜たとえば作業台上に展開させて、この上に可撓性を有するネット材2を重ね、さらにこの上に芝生マット3を配置し、この三者をステイプルなどによる結束や、その他、縫製などの連結手段(ともに図示せず)によって一体化させることによっても、植生マットDを得ることができる。
【0032】
この製造方法によれば、メッシュ状の不織布1およびネット材2には芝生マット3の芝3aの根が絡まっていないものの、この三者が連結手段によって一体化されていることから、植生護岸に際して、植生マットDおよび、周縁部5の重ね合わせ部にアンカーを打設することで、実質的に芝生マット3を、不織布1およびネット材2を介して法面に強固に張り付けることができるのであり、やがては時を経て、芝生マット3の芝の根が不織布1およびネット材2に絡みつつ、法面に根張りするのであって、この製造方法によれば、予め生育させた芝生マット3を用いることに加えて、芝生マット3の不織布1およびネット材2への根絡みを待つ必要がないことから、その時間分、植生マットDの製造時間をさらに短縮することができるのである。その結果、短期間で、安価に植生マットDを供給できる。
【0033】
次に、前記植生マットDの施工方法について、図1、図4(E)、(F)および図5を用いて説明する。なお、図1において、Rは、水の流れる方向である。 植生護岸のために、河川法面Nに植生マットDを施工するには、まず、図1に示すように、法尻の堪水域またはかなりの期間堪水する部分Aを適宜掘削して、この掘削部分Aに、たとえばカゴマット7の張り工法を実施(その他、捨て石やフトンカゴの敷設も好適である。)する。
【0034】
この際、カゴマット7の下側に、上記のネット材2と同様のネット材8を適宜の幅にわたって敷き込んで、その上辺部8aを、カゴマット7の上部の法面N側(護岸域側)に突出させておく。一方、想定される増水時の最高水位付近、好ましくは図5に示すように、最高水位Hよりもやや上部側の護岸域にも、上記のネット材2と同様のネット材9を、その川側の突出辺部9aを突出させて埋設しておく。
【0035】
さらに、護岸域内において、上下のネット材9、8にわたり、上記のネット材2と同様のネット材10を埋設しておく。このネット材10は、増水時の流速を勘案して、たとえば川の流れる方向に10m〜30mの間隔で、かつ一部10aを下流側に向けて露出させるようにして埋設される。
【0036】
なお、前記ネット材9、10は、必要に応じてアンカー11止めすることが望ましい。
【0037】
そして、図1に示すように、たとえば植生マットDの長手方向一方の周縁部分5cにフック部材12を引っかけて、クレーン13などを利用して、上記構成の植生マットDを、たとえば護岸域の下流側から上流側に向けてかつ護岸域の下部側から上部側に向けて法面Nに張設するのである(図4(E)参照)。
【0038】
このとき、護岸域の最下部に配置される植生マットD、D…については、カゴマット7の下側に敷き込まれたネット材8から突出させた前記上辺部8aに、ネット材2の他方の周縁部分5dを上方から重ね合わせて、この両者8a、5dにアンカー11を打設する。
【0039】
また、護岸域の上下方向において隣り合う植生マットD、Dについては、下部側の植生マットDの上部側周縁部分5cに、上部側の植生マットDの下部側周縁部分5dを上方から重ね合わせて、この両者5c、5dにアンカー11を打設するのである。
【0040】
さらに、護岸域の最上部に配置される植生マットDについては、それの上部側周縁部分5cを、ネット材9の突出辺部9aに上方から重ね合わせて、この両者5c、9aにアンカー11を打設するのであるが、この際、植生マットDの長さ寸法の関係で、植生マットDの上端が突出辺部9aを越えることがあり、この場合は、突出辺部9aの重なり部分にアンカー11を打設すればよく、あるいは、ネット材2を切断して、植生マットDの長さ寸法を調整し、両者5c、9aを重ね合わせるようにしてもよいのである。
【0041】
一方、護岸域の下流側から上流側に向けて張設される植生マットD、D…については、下流側の植生マットDの上流側周縁部分5bに、上流側の植生マットDの下流側周縁部分5aを上方から重ね合わせて、この両者5b、5aにアンカー11を打設するのであり、かつネット材10に対しては、植生マットDの上流側周縁部分5bを重ね合わせて、この両者10、5bをコイル線材やステイプルなどの連結手段(図示せず)によって連結して、この重ね合わせ部に、上流側の植生マットDの下流側周縁部分5aを重ね合わせ、これら三者5a、5b、10にアンカー11を打設するのである。
【0042】
この際、植生マットDの幅寸法の関係で、植生マットDがネット材10をオーバーすることがあるが、この場合は、前記連結手段による連結を止めて、ネット材10への重なり部分にアンカー11を打設すればよく、あるいはネット材2を切断して、植生マットDの幅寸法を調整し、両者5b、10を連結手段によって連結した上で、三者5a、5b、10にアンカー11を打設してもよいのである。
【0043】
そして、上下ならびに左右方向で隣り合う植生マットD、Dのそれぞれの重ね合わせ部と、護岸域上部側の植生マットDとネット材9との重ね合わせ部とについては、これらのネット材2、9を、予め護岸域に埋設した接続金具14に係止させるのであり、かつ必要に応じて植生マットDを覆うように、芝生マット3に覆土15を施すのである。
【0044】
なお、上記の実施の形態では、図1および図5に示すように、ネット材9の埋設域よりも上方の護岸域に、メッシュ状の不織布1およびネット材2を一体化させていない芝生マット16を張設しているが、この芝生マット16に代えて、上記構成の植生マットDを張設してもよいことは言うまでもない。
【0045】
上記の植生マットDの施工方法によれば、その施工方法に用いる植生マットDが、芝生マット3の強い表層根がメッシュ状の不織布1およびネット材2に強固に根絡みした保形性の高い植生マットDであって、隣り合う植生マットD同士を重ね合わせて、アンカー11などで法面Nに固定することから、実質的に四側辺が互いに連結された芝生マット3を、不織布1およびネット材2を介して法面Nに強固に張り付けることができるのであり、そして、芝生マット3は時を経て法面Nに強固に根張りすることになる(図4(F)参照)。
【0046】
従って、法面N全体の均一な緑化植生を期することができる上に、たとえば植生マットDの施工直後に河川が増水したとしても、植生マットDは、流水によって簡単に崩れたり剥がれたりしないのであって、施工直後から高い親水護岸の機能を発揮するのであり、景観上で優れることはもちろん、流水による法面Nの浸食も効果的に防止されるのである。
【0047】
特に、隣り合う植生マットD、Dの上部側ならびに上流側のネット材2を、下部側ならびに下流側の植生マットDのネット材2に上方から重ね合わせているので、増水の際、ネット材2の端縁は流水に逆らわず、水がスムーズに流れるのであって、植生マットDの剥がれが一層効果的に防止されるのである。
【0048】
また、植生マットDの下面には、メッシュ状の不織布1が形成されており、この不織布1は、芝生マット3と同様に、増水時などの流水による植生マットDの裏側からの法面土壌の吸い出しを防止する吸出し防止効果を有している。このため、たとえば施工当初において芝3aの生育が不十分であることが原因で芝3aの欠損箇所が生じたり、施工後における雑草の侵入(芝生が株状の植物に置換されることを含む)や芝3aの衰退により芝3aの欠損域が拡大したりすることなどによって、植生マットDに芝生マット3が欠落した部分が生じたとしても、前記不織布1が、その部分から土が吸い出されることを防止し、欠落した芝3aの機能を補完することができる。さらに、芝生マット3が形成されない周縁部5や植生マットDのつなぎ目の部分の下側から土や砂が吸い出されることも、メッシュ状の不織布1によって防止することが可能となる。
【0049】
なお、上記の吸出し防止効果を得るために、不織布1は、法面Nを形成する土や砂などを通しにくく、かつ芝生マット3の芝3aの根を通すメッシュ状の複数の穴もしくは適宜間隔および幅で不織布を構成する繊維が疎密を繰り返す構成をとったために、法面土壌の吸出し防止効果と同時に、芝生の根も法面土壌に伸長・蔓延し、芝生の根によって、植生マットDを強固に法面に固定することができる。
【0050】
また、植生マットDには、その接合部分にメッシュ状の不織布1が設けられていることから、流水による土や砂などの吸い出し防止のために、吸い出し防止部材(たとえば吸出し防止シート)などを現場で施工する手間が省け、施工面でコストを下げることが可能となる。
【0051】
さらに、メッシュ状の不織布1が土や砂を通さないことから、施工後の植生マットDに対して周囲から飛散侵入してきた雑草の成長を抑制、妨害し、ひいては雑草の侵入を防止することができる。
【0052】
上記の構成からなる植生マットDの施工方法における植生マットDの法面Nへの張設は、植生マットDの重量に応じて、上述したようなクレーン13などを利用してもよいし、人力で行ってもよい。
【0053】
植生マットDの施工方法は上述の構成に限るものではなく、たとえば以下に示すような構成としてもよい。すなわち、まずメッシュ状の不織布1を法面Nに張設し、この不織布1の上から、予め一体化された可撓性を有するネット材2と芝生マット3を、たとえばステイプルなどによる結束や、縫製などの連結手段を用いて張設するのである。
【0054】
なお、メッシュ状の不織布1を法面Nに張設するには、たとえば不織布1の周縁部や適宜の部位を前記ネット材8、9、10などにアンカー止めすればよく、このアンカー止めを、前記ネット材2および芝生マット3の張設に兼用させてもよい。
【0055】
また、前記不織布1は、法面Nの全面にわたって張設するようにしてもよいが、施工される植生マットDのつなぎ目部分に相当する箇所のみに張設するようにすれば、不織布1の必要量を減らすことができ、コストを下げることが可能となる。
【0056】
上記の構成からなる植生マットDと、その製造方法および施工方法によれば、メッシュ状の不織布1と芝生マット3とを組み合わせたことにより、植生マットDに接触する流水の速度が3(m/s)以上となっても、流水による土や砂の吸い出し防止を図ることができ、また、強靭なネット材2に芝生マット3の芝3aの根茎が絡むことにより、流水によって芝生が容易に剥がれることがなく、さらに、施工直後から河川法面の浸食防止および景観向上を図ることができる。
【0057】
また、一般の吸い出し防止材を用いる従来の植生マットの施工では、一般の吸い出し防止材を植生マットの直下に施工すると、芝生などの根茎が法面に侵入できなくなるため、一般の吸い出し防止材を下層に施工した後、10〜30cm程度の覆土をし、その上に芝生などを張り付けていた(つまり少なくとも2工程にわたる施工が必要であった)が、上記の構成からなる植生マットDと、その施工方法によれば、1工程のみで施工を完了することができるのである。
【0058】
上記ネット材2の周縁部分5a、5b、5c、5dの重ね合わせ部の連結構造として、周縁部分5a〜5dを下面側に折り畳んで、これを接続金具14に係止させるようにしてもよく、必要に応じてアンカー11を打設してもよいのである。
【0059】
なお、植生マットDとして、これの四側辺に周縁部分5a〜5dを張り出させているが、幅方向の両側に周縁部分5a、5bを張り出させた植生マットDと、長手方向の両側に周縁部分5c、5dを張り出させた植生マットDとを、法面Nに交互に配置して、これの重ね合わせ部にアンカー11を打設することによっても、芝生マット3の四側辺を互いに連結することができる。
【0060】
あるいは、四側辺に周縁部分5a〜5dを張り出させた植生マットDと、周縁部5が形成されていない植生マットDとを、法面Nに交互に配置して、これの重ね合わせ部にアンカー11を打設することによっても、芝生マット3の四側辺を互いに連結することができる。また、周縁部分5a〜5dを設けずに、植生マットDそのものにアンカー11を打設してもよい。
芝生マット3の芝は、この周縁部にも蔓延し、芝の根はこの周縁部の土壌にも良好に伸長し、芝生マット間の隙間を短期間に閉塞して、法面全面を隙間なく一体となった植生マットDで被覆することができ、侵食防止と景観の向上を図ることができる。
【0061】
図6は、本発明の第二実施例に係る植生マットD2の構成を概略的に示す分解斜視図である。なお、上記実施例において示したものと同一構造の部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
植生マットD2の構成および効果は、上記第一実施例のものとほとんど同じであるが、相違点は、メッシュ状の不織布1がメッシュ状の不織布1’となっている点である。
【0062】
前記メッシュ状の不織布1’は、平面視が矩形状ではなく、ほぼ額縁形状となっており、周縁部分5a〜5dからなる前記周縁部5のみに形成されている。なお、周縁部5は、周縁部分5a〜5dからなるものに限られず、たとえば周縁部分5aおよび5bのみを有しているものでもよい。
また、メッシュ状の不織布1’は、上記額縁形状に限らず、植生マットD2の周縁部の幅またはこの幅より少し幅広のベルト状とし、施工時に、植生マットD2の周縁部に当たる法面に予め張設しておき、その上にネット材2に根が絡んだ芝生マット3を張付け施工することもある。
【0063】
上記の構成からなる植生マットD2では、メッシュ状の不織布1’の使用量を減らすことができるため、コストを下げることが可能となる。また、不織布1’は、芝生マット3が形成されない周縁部5のみに設けられるが、前記と同様に、芝生マット3の芝は、この周縁部にも蔓延し、前記と同様に、芝の根はこの周縁部の土壌にも良好に伸長し、芝生マット間の隙間を短期間に閉塞して、法面全面を隙間なく一体となった植生マットDで被覆することができ、侵食防止と景観の向上を図ることができる。
【0064】
また、上記の構成からなる植生マットD2では、施工初期において、芝生マット3の芝3aの根がメッシュ状の不織布1’およびネット材2に絡むことを利用して、ネット材2に対する不織布1’の装着が自然に行われるということが期待できないため、ネット材2に対する不織布1’の装着は、予めネット材2に接着などの適宜の手段で行う。
【0065】
なお、植生マットD2の製造方法および施工方法は、植生マットDのものとほとんど同じであるため、その説明を省略する。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したような構成からなる本発明によって、流水による土の吸い出しを防止することができると同時に芝生の根はスムーズに法面土壌に伸長・蔓延し、法面を強固に保護すると共に、景観の向上を図ることができる。更に、施工面でのコストを下げることが可能な植生マットとその製造方法および施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一実施例に係る植生マットとその施工方法の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】 上記実施例の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図3】 上記実施例における植生マットとその製造方法の構成を概略的に示す斜視図である。拡大図は、メッシュ状の不織布の部分拡大図である。
【図4】 (A)〜(D)は、上記実施例における植生マットの製造方法の構成を概略的に示す説明図であり、(E)および(F)は、上記実施例における植生マットの施工方法の構成を概略的に示す説明図である。
【図5】 上記実施例における植生マットの施工方法の構成を概略的に示す縦断面図である。
【図6】 本発明の第二実施例に係る植生マットとその製造方法の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1…不織布、2…ネット材、3…芝生マット、D…植生マット。

Claims (5)

  1. 可撓性を有するネット材に芝生マットを一体化させて成る植生マットであって、前記ネット材の下面に縦及び横方向において疎部と密部とを交互に配置したメッシュ状の不織布が装着されていることを特徴とする植生マット。
  2. 可撓性を有するネット材を予め縦及び横方向において疎部と密部とを交互に配置したメッシュ状の不織布が敷かれた圃場に敷設し、このネット材に、別途圃場で生育させた芝生マットを敷き詰め、この芝生マットの根がネット材及びメッシュ状の不織布に絡まった段階で、芝生マット付きのネット材をメッシュ状の不繊布ごと圃場から剥がし取ることを特徴とする植生マットの製造方法。
  3. 可撓性を有するネット材に芝生マットを一体化させて成り、さらに下面には縦及び横方向において疎部と密部とを交互に配置したメッシュ状の不織布を装着して成る植生マットを、護岸域に張設することを特徴とする植生マットの施工方法。
  4. 予め護岸域に縦及び横方向において疎部と密部とを交互に配置したメッシュ状の不織布を張設し、その上から可撓性を有するネット材と芝生マットを張設することを特徴とする植生マットの施工方法。
  5. 前記メッシュ状の不織布が、施工される植生マットのつなぎ目に相当する箇所のみに張設されている請求項4に記載の植生マットの施工方法。
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