JP3714885B2 - 法面、壁面、岸面等の保護構造 - Google Patents

法面、壁面、岸面等の保護構造 Download PDF

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JP3714885B2 JP2001114552A JP2001114552A JP3714885B2 JP 3714885 B2 JP3714885 B2 JP 3714885B2 JP 2001114552 A JP2001114552 A JP 2001114552A JP 2001114552 A JP2001114552 A JP 2001114552A JP 3714885 B2 JP3714885 B2 JP 3714885B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、法面、壁面、岸面等の保護構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
岩盤法面、コンクリート・モルタル吹付法面、擁壁やダム等のコンクリート構造物の壁面等は、景観保全上の問題が多いため、植生による保護・緑化の導入が考えられている。特開平4−213625号公報には、鉄筋格子製の傾斜した前壁部と水平な底壁部とからなる格子枠柵を法面の前方に設置するとともに、格子枠柵の底壁部の下から法面の近くにまで略平らに強化シートを敷き、格子枠柵の前壁部の後面と底壁部の上面とに緑化用シートを敷き、格子枠柵と法面との間に充填材としての盛土材を充填し、これらの工程を下から上へ繰り返して複数段に構築した法面の保護構造が開示されている。この保護構造は、急勾配でも施工でき、施工効率が良い等の優れた点を持っている。特に強化シートは、底壁部を越えて盛土材中に広がり、格子枠柵を盛土材に係留するとともに、盛土材を安定化させる作用を奏する。このため、底壁部を短くすることができ、格子枠柵の運搬が容易となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、土圧により格子枠柵全体が正面側にずれて動いたり前壁部だけが正面側に倒れ変形したりすることがなく、もって充填材を動かないように安定化させ、斜面の歪みを防止することができる法面、壁面、岸面等の保護構造を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の法面、壁面、岸面等の保護構造は、鉄筋格子製の傾斜した前壁部と水平な底壁部とからなり法面、壁面、岸面等の保護対象面の前方に設置された格子枠柵と、格子枠柵と保護対象面との間に充填された充填材とにより一つの段が構成され、該段が下から上へ積まれることにより複数段に構築された法面、壁面、岸面等の保護構造において、前記前壁部の(上下端を除いた)中間高さ部位から保護対象面に向かって延びる強化シートの前端部を折り返し、該折り返しで2重になった部分を縫合するとともに、該強化シートに前端から切り込みを入れ、該切り込みに前記前壁部の縦鉄筋を挿通させ、前記前壁部より前方において、前記縫合により形成された空間に幅方向に延びる剛性体を通すことにより、前記強化シートに前記剛性体を係着するとともに前記前壁部の中間高さ部位に前記強化シートを連結したことを特徴としている。
別の本発明の法面、壁面、岸面等の保護構造は、鉄筋格子製の傾斜した前壁部と水平な底壁部とからなり法面、壁面、岸面等の保護対象面の前方に設置された格子枠柵と、格子枠柵と保護対象面との間に充填された充填材とにより一つの段が構成され、該段が下から上へ積まれることにより複数段に構築された法面、壁面、岸面等の保護構造において、前記前壁部の中間高さ部位から保護対象面に向かって延びる強化シートの前端部を折り返し、該折り返しで2重になった部分を縫合し、該縫合により形成された空間に幅方向に延びる剛性体を通すことにより、前記強化シートに前記剛性体を係着し、前記前壁部の中間高さ部位を構成する鉄筋と前記剛性体を後方へ越えたところの前記強化シートの前記2重になった部分とを前記剛性体の後部半周を抱持する連結部材で連結することにより、前記前壁部の中間高さ部位に前記強化シートを連結したことを特徴としている。
【0005】
ここで、保護対象面は、特に限定されず、次のものを例示できる。
(A1) 法面; 岩盤法面、コンクリート・モルタル吹付法面、切土法面、盛土法面等を例示できる。
(A2) 壁面; 擁壁やダム等のコンクリート構造物の壁面を例示できる。
(A3) 岸面; 河川、人工運河等の水路、池、湖等の岸面を例示でき、岸面の状態は、現地の地山でも、既に構築されたコンクリート護岸でもよい。
これらの保護対象面の水平に対する傾斜角は、特に限定されず、例えば40度位から90度位の急斜面まで対応できる。
【0006】
充填材としては、特に限定されないが、次のものを例示できる。
(B1) 栗石; 栗石の寸法は、特に限定されず、大型の破砕岩石から2〜75mm程度の礫まで含む。
(B2) 盛土材; 盛土材は土のみでもよいが、岩石が混合された土や、さらにクリンカアッシュ、フライアッシュ、アスファルト廃材等が混合されたものでもよい。盛土材は、施工現場の土が好ましいが、他所から運んだ土でもよい。
(B3) 格子枠柵寄りに充填された栗石と、保護対象面寄りに充填された盛土材とからなる充填材。
【0007】
上記(B1)又は(B3)の栗石に、植生土が混合されることが好ましい。栗石・植生土混合層を植生基盤として働かせるためである。栗石・植生土混合層を作る方法としては、スラリー状にした植生土を栗石に流し込む方法や、水きめ法等を例示できる。植生土の土は、特に限定されない。
【0008】
強化シートは、充填材及び格子枠柵の安定化機能を果たすものであり、特に限定されないが、次のものを例示できる。
(C1) 繊維材料よりなるジオテキスタイル; 編物、織布、不織布等のジオテキスタイル、ストランドを不織布上に平行に配列・交絡させて得られる強化ジオテキスタイル、これらの組合せ等を例示でき、好ましくは、厚手で高強度の不織布又は該強化ジオテキスタイル等である。
(C2) 非繊維材料よりなるジオテキスタイル関連製品; 押出された樹脂ストランドを網目状に融着させてなるジオネット、孔あき樹脂シートを延伸成形してなるジオグリッド、ジオメンブレン等を例示でき、好ましくは、延伸成形により強度が増すジオグリッドである。ジオグリッドには一軸延伸と二軸延伸とがある。
【0009】
前壁部の(上下端を除いた)中間高さ部位に強化シートを連結するのは、前壁部が背後からの土圧を受けたときに、その土圧の中心(力の方向は異なるが重心のように捉えられる)に近い部位が中間高さ部位だからであり、同部位で前壁部を引張ることで格子枠柵に回転力が生じるのを抑制するとともに、前壁部だけが正面側に倒れ変形することを抑制するためである。
【0010】
この前壁部の中間高さ部位は、特に限定されないが、図6(a)に示すように前壁部(6)の全高の1/5〜4/5の高さにあることが好ましく、図6(b)に示すように前壁部(6)の全高の1/3〜3/4の高さにあることがさらに好ましい。前壁部の全高の1/5の高さより低いと、前記回転力(仰向く方向)及び倒れ変形の抑制作用が小さくなり、前壁部の全高の4/5の高さより高いと前記回転力(俯く方向)の抑制作用が小さくなる。
【0011】
前壁部の中間高さ部位に強化シートを連結する態様又は部材としては、特に限定されないが、次のものを例示できる。
(D1) 前壁部の中間高さ部位を構成する鉄筋に掛けたリング、クリップ、カラビナ等を強化シートに通して止める態様。
(D2) 前壁部の中間高さ部位を構成する鉄筋と強化シートとを各種ロック、ホールディング、大型ステープル、S字状フック、C字状フック等で掛止する態様。
(D3) 前壁部の中間高さ部位を構成する鉄筋と強化シートとをワイヤ、ストラップ、バンド、番線(針金)、硬鋼線、ピアノ線等でくくり付ける態様。
(D4) 前壁部の中間高さ部位を構成する鉄筋に強化シートの前端部を直接巻き込んで折り返し、折り返したところを縫合又は上記D1〜D3の各連結部材で止める態様。縫合は、例えば携帯型の縫合機(ハンディ・ミシン)を使用して現場にて行うことができる。
【0012】
強化シートの前端部に幅方向に延びる剛性体を係着することが好ましい。剛性体としては、特に限定されないが、中実棒や中空パイプを例示でき、その断面形状としては円形、三角形や矩形等の多角形、星形、H字形、T字形、コ字形等を例示できる。また、剛性体の材質としては、特に限定されず、木、樹脂、コンクリート、金属等を例示できる。材質を木にするときは、施工現場の付近で伐採された間伐材等を使用することが資源の有効利用という観点から好ましいが、他所から運んできた間伐材等でもよい。
【0013】
剛性体を強化シートに係着する態様としては、特に限定されないが、次のものを例示できる。
(E1) 強化シートの前端部が折り返され剛性体に被せられた態様。または、強化シートの前端部が折り返されるとともに縫合されて形成された空間に剛性体を通した態様。縫合は、予め工場等で行うこともできるし、例えば携帯型の縫合機を使用して現場にて行うこともできる。
(E2) 前記(E1)の強化シートが剛性体ごとさらに折り返された態様。
(E3) 前記(E1)又は(E2)において、強化シートの折り返されて多重になった部分に剛性体に寄せて別の剛性体を設けた態様。
(E4) 強化シートが該剛性体に巻き付けられた態様。
(E5) 強化シートに両端の閉じた複数本の切り込みが並列形成され、剛性体が複数本の切り込みに挿通された態様。強化シートの強度が不足する場合には、強化シートを折り返して二重部を形成し、該二重部に切り込みを形成することができる。
(E6) 前記(E5)の強化シートが剛性体ごと折り返された態様。
(E7) 杭、釘等の係止部材により係着された態様。
【0014】
このように強化シートの前端部に幅方向に延びる剛性体を係着する場合、前壁部の中間高さ部位を構成する鉄筋と、剛性体を後方へ越えたところの強化シートとを、連結部材で連結することが好ましい。この連結の態様及び部材としては、特に限定されないが、上記D1〜D4を例示できる。
【0015】
強化シートは、杭等の係止部材により充填材に係止されることが好ましい。また、強化シートの後端部を保護対象面に固定することもでき、この場合の強化シートは格子枠柵を保護対象面に強力に連結する作用を奏する。その固定手段は、特に限定されないが、保護対象面に取り付けたアンカー等に固定する態様を例示できる。アンカーの形状や長さは、保護対象面に応じて適宜決定できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
《第一実施形態》
図1〜図3は本発明の第一実施形態に係る岩盤法面の保護緑化構造を示し、同保護緑化構造は以下の工程で構築されている。なお、岩盤法面1は例えば約60度の急斜面である。
【0017】
[格子枠柵の設置工程] 岩盤法面1の下端前方の用地2に必要数の格子枠柵5を横に並べて設置する。なお、格子枠柵5の下には強化シート3’を敷いてもよいし敷かなくてもよい。10’は後述する剛性体10と同様の剛性体であるが、省略してもよい。図1及び図2に示すように、格子枠柵5は傾斜した前壁部6と水平な底壁部7とを備え、製造方法の一例としては、鉄筋を縦横格子状に溶接(具体的にはアーク溶接による溶着)してなる鉄筋格子をその中央部で折曲して形成される。前壁部6の上端と底壁部7の後端との間をフック付き連結棒等で連結してもよい。格子枠柵5の前壁部6と岩盤法面1との間隔は、特に限定されず、本実施形態では例えば約1m〜10mである。
【0018】
本実施形態において使用した格子枠柵5の寸法等は次の通りであるが、例示にすぎず、この寸法等は施工現場に応じて適宜変更されるものである。
前壁部6が底壁部7となす傾斜角: 約60度
前壁部6の傾斜長: 約600mm
底壁部7の奥行: 約600mm
前壁部6及び底壁部7の左右長: 約2600mm
鉄筋の直径: 約10mm
鉄筋格子の格子ピッチ: 100〜300mm
【0019】
[緑化用シート敷設工程] 図1及び図2に示すように、格子枠柵5の前壁部6の後面と底壁部7の上面とに、目のやや粗い緑化用シート8を敷く。緑化用シート8の上端を少し余らせて、前壁部6の前面に一時的に垂らしておくとよい(図示略)。緑化用シート8は、特定の素材に限定されず、織布、不織布等を例示できる。
【0020】
[盛土材充填の前半工程] 格子枠柵5の前壁部6の後面と岩盤法面1との間に、充填材としての施工現場の土による盛土材9を、前壁部6の全高の1/2〜2/3の高さにある中間高さ位置まで充填する。この盛土材9を衝撃ローラー、振動ローラー、タンパー、タイヤローラー、振動コンパクター、建設機械等で転圧して締め固める。
【0021】
[強化シート連結工程] 岩盤法面1の直前から前壁部6の直ぐ後ろにかけて強化シート3を敷く。強化シート3(及び前記強化シート3’)には、例えば下記▲1▼のジオテキスタイルや、下記▲1▼〜▲3▼のジオテキスタイル関連製品を使用できる。
▲1▼ 図1〜図3に示すように、厚手で高強度の不織布又はストランドを不織布上に平行に配列・交絡させて得られる強化不織布
▲2▼ 図5(a)に示すように、ポリエステル繊維等のメッシュ織物で糸を樹脂で被覆してなるメッシュ織編物
▲3▼ 図5(b)に示すように、アラミド繊維で補強された縦ストランドと、延伸成形された横ストランドとからなるジオグリッド
▲4▼ 図5(c)に示すように、孔あき樹脂ネットを一軸延伸成形してなるポリマーグリッド
▲5▼ 孔あき樹脂ネットを二軸延伸成形してなるポリマーグリッド及びジオメンブレン
【0022】
この敷設時に、強化シート3の前端部(前壁部6側)及び後端部(岩盤法面1側)を少し余らせておく。次いで、強化シート3の前端近傍及び後端近傍の上に幅方向に延びる剛性体10を載置する。剛性体10には、図示した間伐材の他にも、例えば中空パイプ、多数の貫通穴を備えた排水性パイプ、型材、鉄丸棒等を使用できる。次いで、図3(a)に示すように、余らせておいた強化シート3の前端部及び後端部をそれぞれ折り返して剛性体10に被せることにより剛性体10を強化シート3に係着する。この強化シート3の折り返し部分の長さを長くするほど強化シート3の引き抜きに対する抵抗力を増大させることができる。図3(b)に示すように、剛性体10に寄せて第二剛性体10bを載置し、両剛性体の間に強化シート3を挟持するとなおよい。
【0023】
なお、強化シート3の後端部については、必ずしも剛性体10を係着しなくてもよい。この場合、図2の中段に示すように、強化シート3は後方へ延ばしたままでもよいが、杭15等を強化シート3及び盛土材9に打ち込んだり、図2の上段に示すように、強化シート3をアンカー4等で岩盤法面1に結合したりすることが好ましい。
【0024】
また、強化シート3の前端側及び後端側の両方又はいずれか一方の折り返しで2重になった部分に岩盤法面1の高さ方向に延びる係止部材としての杭15を打ち込むことにより、強化シート3から剛性体10が外れないようにするとともに、強化シート3を盛土材9に係止させる。また、図3に示すように、杭の打ち込みに代えて又は加えて、折り返しで2重になった部分を縫合14してもよい。この場合、縫合14により形成された空間に剛性体10を通すという手順でもよいし、例えば携帯型の縫合機を使用して現場にて縫合するのであれば、強化シート3に剛性体10を載せ、強化シート3を折り返してから縫合するという手順でもよい。
【0025】
さらに、前壁部6の中間高さ部位の鉄筋−図示例では横鉄筋6aであるが縦鉄筋でもよい−に、前壁部6から見て岩盤法面1に向かって延びる強化シート3の前端部を連結する。この連結は、例えば次のような仕方で行うことができる。
▲1▼ 図1〜図3に示すように、横鉄筋6aの要所に掛けた複数のリング11、クリップ、Sカン、カラビナ、建設用の針金・番線等を剛性体10を越えた強化シート3に通して止める。なお、前記剛性体10を係着した場合には、鉄筋6aと、剛性体10を後方へ越えたところの強化シート3とを、リング11等の連結部材で連結することが好ましい。強化シート3にはリング11等を通すために、図3(a)に示すように穴12をあけておくとよい。
【0026】
また、図3(c)に示すように、強化シート3を折り返しで2重になった部分を縫合14するとともに、例えばカッターナイフや鋏を用いて現場にて該強化シート3に前端から切り込み13を入れ、この切り込み13に前壁部6の縦鉄筋6bを挿通させ、前壁部6より前方において、縫合14により形成された空間に剛性体10を通すことにより、前壁部6に強化シート3を連結することもできる。この場合も、前記段落0024と同様のいずれの手順をとることもできる。
【0027】
▲2▼ 図4(a)に示すように、横鉄筋6aと強化シート3とを結線バンド20、結線クリップ、結線クランプ、ワイヤ、建設用の針金・番線等でくくり付ける。
▲3▼ 図4(b)に示すように、横鉄筋6aと強化シート3とを大型ステープル21等で掛止する。
▲4▼ 図4(c)に示すように、横鉄筋6aと強化シート3とをS字状フック22で掛止する。
▲5▼ 図4(d)に示すように、横鉄筋6aと強化シート3とをパイプクランク23で掛止する。
▲6▼ 図4(e)に示すように、横鉄筋6aと強化シート3とをカラビナ24で掛止する。
【0028】
図示例では、前壁部6の全高の1/2〜2/3の高さにある中間高さ部位の横鉄筋6aに強化シート3を連結するが、前述した通り、図6(a)に示した好ましい範囲や、図6(b)に示したさらに好ましい範囲で変更してもよい。
【0029】
[盛土材充填の後半工程] 強化シート3の上における前壁部6と岩盤法面1との間に、充填材としての施工現場の土による盛土材9を前壁部6の略上端まで充填し、この盛土材9を衝撃ローラー等で転圧して締め固める。余らせておいた前記緑化用シート8の上端を盛土材9の上面に被せる。最上部の鉄筋の端部を後方に折り曲げ、この緑化用シート8の上端を押さえ付けてもよい。これで一段目が形成される。
【0030】
[複数段繰り返し工程] 盛土材9の上面に対し、上記の格子枠柵の設置工程ないし盛土材充填の後半工程の各工程を行なって、二段目を形成する。必要に応じた数だけこの作業を下から上へ繰り返せば、所望の複数段に構築することができる。最上段の格子枠柵5では、前壁部6の縦鉄筋の上端を後側下方へ折り曲げて仕上げる(図示略)。
【0031】
[吹付層形成工程等] 前壁部6及び前壁部6を通して現れる緑化用シート8の前面に、人工土壌及び種子を含む吹付層16を吹付形成する。本実施形態では、厚さ約60mmの吹付層16を形成した。また、吹付層16に代えて又は加えて人工芝等を張り付けてもよい。
【0032】
[植生部材装着工程] 吹付層16及び盛土材9に多数の植生部材(図示略)を所要の角度で打込んだり差込んだりして装着する。植生部材には、例えば多数の透孔が形成された筒体、半割筒体、チャンネル体等を使用できる。この植生部材の内部の土に、各種の緑化用植物を種、苗又は挿し木の状態で植え付け又は植栽する。
【0033】
以上の工法で構築された岩盤法面1の保護緑化構造によれば、格子枠柵5を使用したことにより、▲1▼急勾配でも施工できる、▲2▼施工に重機を必要とせず、人力作業が可能であり、▲3▼施工が簡単で、多くの人手を要しない、▲4▼施工性が良く、工期を短縮できる、▲5▼カーブした岩盤法面1にも容易に対応できる、▲6▼現場の土を盛土材9として利用できる等の多くの効果が得られる。
【0034】
また、前壁部6の中間高さ部位に強化シート3の前端部を連結したので、施工後に前壁部6が背後からの土圧を受けたときに、その土圧の中心に近い部位で強化シート3が前壁部6を引張ることで、格子枠柵5に回転力が生じたり前壁部6だけが正面側に倒れ変形したりすることなく、格子枠柵5全体が正面側にずれて動くのを防止できる。よって、盛土材9を動かないように安定化させることでき、斜面の歪みを防止することができる。
【0035】
さらに、強化シート3の前端部に幅方向に延びる剛性体10を係着したので、強化シート3の前端部が痛みにくい。すなわち、剛性体10がないと、強化シート3の前端部のうちリングを通した所に引張力が集中して痛みやすいが、剛性体10があると、その引張力が強化シート3の前端部全体に分散するため、痛みにくい。
【0036】
本実施形態では、強化シート3の後端部にも幅方向に延びる剛性体10を係着したので、該剛性体10が盛土材9に面当たりして掛止する。このため、強化シート3の盛土材9からの引き抜きに対する抵抗力を増大させ、両者の一体性を向上させる。
【0037】
なお、本発明は前記実施形態の構成に限定されず、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)緑化用シート8を省略すること。
(2)各実施形態では、下段の格子枠柵5の前壁部6に対して上段の格子枠柵5の前壁部6が後側に重なるように配置されているが、図7(a)に示すように、下段の格子枠柵5の前壁部6に対して上段の格子枠柵5の前壁部6が前側に重なるように配置することもできる。なお、図7(a)では、便宜上、格子枠柵5以外の各部の図示を省略している。
(3)図7(b)に太線で示すように、強化シート3を連結する鉄筋に、他の鉄筋より太いものを使用すること。これにより、強化シート3を連結した鉄筋の湾曲変形を防止することができる。
(4)図2に2点鎖線で示すように、肥料帯17を前壁部6の前側、後側又は前後両側に添設すること。
(5)岩盤法面1に代えて、擁壁やダム等のコンクリート構造物の壁面や、河川や、人工運河等の岸面に適用すること。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る法面、壁面、岸面等の保護構造によれば、土圧により格子枠柵全体が正面側にずれて動いたり前壁部だけが正面側に倒れ変形したりすることがなく、もって充填材を動かないように安定化させ、斜面の歪みを防止することができる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る岩盤法面の保護緑化構造を示す斜視図である。
【図2】同構造の断面図である。
【図3】(a)〜(c)は同構造の前壁部と強化シートとの連結を示す部分斜視図である。
【図4】(a)〜(e)は同連結の変更例を示す部分側面図である。
【図5】(a)〜(c)は同構造の強化シートの別例を示す部分斜視図である。
【図6】(a)(b)同構造の強化シートの連結位置範囲を示す側面図である。
【図7】(a)は格子枠柵の配置の変更例の斜視図、(b)は格子枠柵の変更例の斜視図である。
【符号の説明】
1 岩盤法面
2 用地
3 強化シート
5 格子枠柵
6 前壁部
6a 横鉄筋
7 底壁部
8 緑化用シート
9 盛土材
10 剛性体
10b 第二剛性体
11 リング
12 穴
13 切り込み
14 縫合
15 杭
16 吹付層
20 結線バンド
21 大型ステープル
22 S字状フック
23 パイプクランク
24 カラビナ

Claims (5)

  1. 鉄筋格子製の傾斜した前壁部と水平な底壁部とからなり法面、壁面、岸面等の保護対象面の前方に設置された格子枠柵と、格子枠柵と保護対象面との間に充填された充填材とにより一つの段が構成され、該段が下から上へ積まれることにより複数段に構築された法面、壁面、岸面等の保護構造において、
    前記前壁部の中間高さ部位から保護対象面に向かって延びる強化シートの前端部を折り返し、該折り返しで2重になった部分を縫合するとともに、該強化シートに前端から切り込みを入れ、該切り込みに前記前壁部の縦鉄筋を挿通させ、前記前壁部より前方において、前記縫合により形成された空間に幅方向に延びる剛性体を通すことにより、前記強化シートに前記剛性体を係着するとともに前記前壁部の中間高さ部位に前記強化シートを連結したことを特徴とする法面、壁面、岸面等の保護構造。
  2. 鉄筋格子製の傾斜した前壁部と水平な底壁部とからなり法面、壁面、岸面等の保護対象面の前方に設置された格子枠柵と、格子枠柵と保護対象面との間に充填された充填材とにより一つの段が構成され、該段が下から上へ積まれることにより複数段に構築された法面、壁面、岸面等の保護構造において、
    前記前壁部の中間高さ部位から保護対象面に向かって延びる強化シートの前端部を折り返し、該折り返しで2重になった部分を縫合し、該縫合により形成された空間に幅方向に延びる剛性体を通すことにより、前記強化シートに前記剛性体を係着し、前記前壁部の中間高さ部位を構成する鉄筋と前記剛性体を後方へ越えたところの前記強化シートの前記2重になった部分とを前記剛性体の後部半周を抱持する連結部材で連結することにより、前記前壁部の中間高さ部位に前記強化シートを連結したことを特徴とする法面、壁面、岸面等の保護構造。
  3. 前記中間高さ部位は、前壁部の全高の1/5〜4/5の高さにある請求項1又は2記載の法面、壁面、岸面等の保護構造。
  4. 前記強化シートは、繊維材料よりなるジオテキスタイルである請求項1、2又は3記載の法面、壁面、岸面等の保護構造。
  5. 前記強化シートは、非繊維材料よりなるジオテキスタイル関連製品である請求項1、2又は3記載の法面、壁面、岸面等の保護構造。
JP2001114552A 2001-04-12 2001-04-12 法面、壁面、岸面等の保護構造 Expired - Fee Related JP3714885B2 (ja)

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