JP3882536B2 - 既設建物の建替え工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設建物の建替え工法に係り、特に、既設建物が地下階を有する場合に好適な建替え工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
市街地等の建物は地下空間を有効利用するために地下階を有する場合が多い。そして、地下階付きの既設建物を建替える場合、改築建物も地下階付きで計画されるのが通常である。従来、このような地下階付き建物の建替え工事では、既設建物の地下躯体は再利用されることなく完全に除去されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、建替え工事に伴って発生する廃棄材の低減や、工事の低コスト化のためには、既設建物の躯体をできるだけ有効に再利用することが望ましい。
【0004】
また、既設建物の地下階数が大きい場合(例えば地下2階以上)、地下外壁の水圧・土圧が大きくなるため、既設建物の地下各階の梁や床を土留支保工として残しながら地下部分の改築工事を進めることが必要である。したがって、地下部分については既設建物の解体と改築建物の構築とを交互に行わなければならないこととなり、工期が長くなってしまう。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、地下階を有する既設建物の建替え工事を短い工期で低コストに行うことが可能な建替え工法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、既設建物の地下階の床コンクリートの上下に一対の鋼板を配置し、前記上下の鋼板の間にモルタル又はコンクリートを打設することにより前記床コンクリートを補強して、改築建物の地下階の梁とし、鉄骨柱又はCFT柱からなる地下階の柱を建て込んで当該地下階の柱と前記一対の鋼板とを溶接接合して地下構造体とすることを特徴とする建替え工法によっても達成される。
また、前記床コンクリートは前記地下階の柱の近傍に切欠部を備え、前記地下階の柱の外周にスタッドが取り付けられていてもよい。
【0007】
本発明によれば、既設建物の地下階の床を補強して、改築建物の地下階の梁とするので、既設建物の地下躯体の解体が不要となる。このため、建替え工事の工期を短縮することができると共に、建替え工事に伴って生ずる廃棄材の量を削減できる。また、既設建物の地下躯体を有効利用できるので、建替えに必要な材料量を低減して工事の低コスト化を図ることもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1(a)〜(e)は、本発明の一実施形態である既設建物の建替え工法における施工手順の全体を説明するための図である。図1(a)は、解体前の既設建物10の正面図を表しており、同図に示すように、既設建物10は地上躯体11と地下躯体12とを有する地下階付き建物である。
【0009】
既設建物10の建替えにあたっては、先ず、図1(b)に示すように、既設建物10の地上躯体11(1階梁、1階床、地下1階柱、地下1階壁を含む)を解体・除去し、地盤レベルに作業床14を築造する。そして、作業床14上に設置した工事機械16、17等により、支保架構18の構築等の山留工事を行うと共に、杭用の孔19の掘削等の杭地業工事を行う。その際、既設建物10の地下躯体12の干渉部分は前もって除去しておく。
【0010】
次に、図1(c)に示すように、鉄骨柱あるいはCFT(鋼管コンクリート構造)柱である地下柱20を建て込んだ後、改築建物の1階梁鉄骨を建て込んで床コンクリート22を打設する。そして、作業床14を除去し、床コンクリート22の強度が発現して作業床として利用できるようになった後、図1(d)に示すように、改築建物の地上部24の工事と、地下躯体12の工事とを並行して行う。この地下躯体12の工事では、地下躯体12の床コンクリート30を補強して、これを改築建物の梁として利用するための施工を行い、この梁と建て込んだ地下柱20とを結合する。
【0011】
図2〜図4は、床コンクリート30の補強施工を説明するための図である。図2および図3は、夫々、補強前および補強後の床コンクリート30を示す断面図であり、また、図4は、図3に示す直線IV-IVで切断した際の断面図である。
【0012】
図2〜図4からわかるように、床コンクリート30の補強にあたっては、先ず、必要に応じて、地下躯体12の梁32を一部除去して梁せいを小さくしておく。梁32の梁せいを小さくすると、それに伴って、後述するように、床コンクリート30の補強により構築される梁の梁せいも小さくなり、地下の有効階高を大きく確保できる。なお、地下躯体12では地下外周壁が耐震壁として機能するので柱および梁からなるラーメン構造部が分担する地震時等の水平力は比較的小さくなるうえ、必要な曲げ剛性は、後述する補強部分の幅(すなわち、構築される合成梁の幅)Wを適宜設定することにより得ることができるので、梁せいを小さくしても強度上の問題が生ずることはない。
【0013】
次に、床コンクリート30下面にジベル筋34を打ち込むと共に、床コンクリート30の上下面にウォータージェットによる目荒らし36やシアーコッター38を施す。そして、床コンクリート30下方の所定位置に鋼板40を保持した状態で、床コンクリート30と鋼板40との間にコンクリート42を打設する。また、床コンクリート30の上方に僅かに隙間を隔てて鋼板44を保持し、その隙間にモルタル46を充填して鋼板44を床コンクリート30に接合する。なお、図4に示す鋼板40,44の幅Wが補強部分の幅となる。
【0014】
上記の施工により、床コンクリート30が補強され、床コンクリート30、打設コンクリート42、および鋼板40,44からなる合成梁50が構築される。なお、上述のように、床コンクリート30にジベル筋34、目荒らし36、シアーコッター38が設けられていることで、床コンクリート30と打設コンクリート42およびモルタル46とが強固に一体化される。また、鋼板40、44についてもシアーコッター、ジベル筋、スタッドジベル等を備えた鋼板を用いることで、コンクリート部分と鋼板40,44とを強固に一体化することができ、その結果、合成梁50全体の一体性を確保することができる。
【0015】
こうして、既設建物10の地下躯体12の床コンクリート30を補強することで鋼板とコンクリートよりなる合成梁50を構築し、この合成梁50を改築建物の地下部分の構造梁として利用する。なお、上述のように、地下躯体12の梁32の梁せいを小さくすると、それに応じて、合成梁50の梁せいも小さくでき、これにより、改築建物の地下階の有効階高を大きくすることができる。
【0016】
図5は、床コンクリート30の補強構造の別の例を示すものであり、図4に対応する断面図である。図5に示す補強構造では、床コンクリート30の補強対象部分を除去したうえで、当該除去部分にせん断補強筋100を配筋し、その上下に配置した鋼板44,40間にコンクリート102を打設することによって、より大きなせん断強度を確保している。その他、床コンクリート30をコンクリートを用いずにH型鋼だけで補強したり、あるいは、鋼板を用いずにコンクリートだけで補強するなど、各種の補強構造を用いることが可能である。
【0017】
図6は、合成梁50と、建て込んだ地下柱20との結合構造を示す斜視図であり、図7は、その鉛直断面図である。図6および図7では、地下柱20が外ダイアフラム形式のコラムである場合を示しており、梁50の上下の鋼板44,40が地下柱20の鋼管外周に直接溶接されている。また、地下柱20との接続部分において、床コンクリート30に切欠部52を設けると共に地下柱20の外周にジベルスタッド54を取り付けてコンクリート42を打設することで、コンクリート42と地下柱20との一体性を確保している。なお、地下柱20が内ダイヤフラム形式である場合には、鋼板44,40を、地下柱20の外周面の、内ダイヤフラムと同じレベル位置に溶接することとなる。その他、通しダイヤフラム形式(地下柱20を鋼板44,40の位置で切断し、この切断部分に地下柱20の外径よりも大きいダイヤフラムを挿入して、このダイヤフラムに鋼板44,40および地下柱20の切断面を溶接する形式)を用いることも可能である。
【0018】
このように、合成梁50を鉄骨柱またはCFT柱である地下柱20に結合することで、合成梁50の曲げ応力は地下柱20を介して地盤に伝達されることとなり、これにより、合成梁50を地下部分の構造梁として機能させることができる。
【0019】
再び図1に戻ると、同図(d)に示す地下躯体12の工事では、上記した床コンクリート30の補強による合成梁50の構築および地下柱20との結合の施工を地下各階について下方へ向かって順次繰り返す。なお、既設建物10の地下躯体12よりも深い増築部分の地下躯体60については、通常の逆打工法によって工事を進める。その際、既設建物10の地下躯体12の地業が直接地業である場合には、地下躯体12の重量を逆打支柱に伝達できるように、合成梁50の強度が発現するのを待って、逆打工法の掘削工事にとりかかるようにする。
【0020】
そして増築部分の地下躯体60の強度が発現すると、以後、図1(e)に示すように、増築地下工事の完了を待たずに、地上部24および地下躯体12の工事が完了した部分から仮使用していくことが可能となる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、既設建物10の建替え工事において、既設建物10の地下躯体12を解体することなく、改築建物の地下躯体の一部として利用することが可能となる。このため、建替え工事に伴って発生する廃棄材の量を低減できると共に、建替え工事の工期を短縮することができ、さらに建替えに必要な材料量の低減による低コスト化を実現することもできる。
【0022】
また、地下増築部分がある場合には、その増築部分の工事の完了を待たずに、改築建物の一部で仮使用を開始することができるので、実質的には工期を更に短縮することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、既設建物の地下階の床を補強して、改築建物の地下階の梁とするので、既設建物の地下躯体の解体が不要となる。このため、建替え工事の工期を短縮することができると共に、建替え工事に伴って生ずる廃棄材の量を削減できる。また、既設建物の地下躯体を改築建物の躯体として有効利用できるので、建替えに必要な材料の量を低減して工事の低コスト化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である建替え工法における施工手順を説明するための図である。
【図2】既存地下躯体の床コンクリートを示す断面図である。
【図3】図2の床コンクリートを補強してなる合成梁を示す断面図である。
【図4】図3のIV-IV断面図である。
【図5】床コンクリートの別の補強構造を示す断面図である。
【図6】合成梁と地下柱との結合構造を示す斜視図である。
【図7】図6の鉛直断面図である。
【符号の説明】
10 既設建物
12 地下躯体
20 地下柱
30 床コンクリート
40,44 鋼板
42 コンクリート
50 合成梁
Claims (2)
- 既設建物の地下階の床コンクリートの上下に一対の鋼板を配置し、前記上下の鋼板の間にモルタル又はコンクリートを打設することにより前記床コンクリートを補強して、改築建物の地下階の梁とし、
鉄骨柱又はCFT柱からなる地下階の柱を建て込んで当該地下階の柱と前記一対の鋼板とを溶接接合して地下構造体とすることを特徴とする既設建物の建替え工法。 - 請求項1記載の既設建物の建替え工法であって、前記床コンクリートの前記地下階の柱の近傍に切欠部を設けておき、前記地下階の柱は前記切欠部に当たる部分にスタッドが取り付けられていることを特徴とする既設建物の建替え工法。
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