JP3877583B2 - 六価クロム低減材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、土木・建築業界などにおいて使用される六価クロム低減材、特に、軟弱土壌、ヘドロ、スラッジ、及び建設廃土、並びに、ゴミ焼却灰や汚泥焼却灰、それらの集塵ダストや溶融スラグなどの産業廃棄物等を固化し、有害物質の流出を抑制する六価クロム低減材に関する。
【0002】
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
【0003】
【従来の技術とその課題】
最近では環境問題が大きく取り上げられ、人体に悪影響をおよぼす因子の規制がなされている。その一例として、水銀、クロム、カドミウム、鉛などの重金属が挙げられる。重金属は一度体内に入ると、体外に排出されることがないため蓄積される。この量が一定値を超えると様々な障害が現れる。
【0004】
これらの有害物質のうち、セメント系材料からの溶出が問題視されているのがクロムである。クロムの形態として、主に三価クロムと六価クロムが存在する。特に、六価クロムは人体への影響度が大きく、拡散速度も速いので問題となっており、これを抑止する対策が必要とされている。
【0005】
土木・建築業界などにおいて使用される六価クロム低減材は、軟弱土壌、ヘドロ、スラッジ、及び建設廃土、並びに、ゴミ焼却灰や汚泥焼却灰、それらの集塵ダストや溶融スラグなどの産業廃棄物を固化するために用いられる。したがって、六価クロム低減材中に含まれる材料から多くの六価クロムが溶出する場合には土壌を汚染することになる。また、既に六価クロムで汚染されている土壌、スラッジ、建設廃土も同様である。
【0006】
従来の六価クロム低減材は、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、シリカフューム等の潜在水硬性物質及び各種ポルトランドセメントに代表される水硬性物質からなる水硬性材料を主体としていた。特に、高強度あるいは低アルカリ性とするために高炉水砕スラグを含有するものが種々提案されている(特開2001-40652号公報、特開平10-273661号公報、特開平10-225669号公報等)。
【0007】
高炉水砕スラグ微粉末は六価クロムの低減効果を有すると言われているが、その効力及び効力の持続性に問題があり、特に関東ローム層土のような粘土質の土壌に混入した六価クロムへの効果は十分とはいえず、さらなる効力及び持続性の向上が求められていた。
【0008】
一方、産業副産物である各種の鉄鋼スラグの有効利用に関しても関心が寄せられている。鉄鋼産業において、プロセスや設備によって種々の組成及び性状を有するスラグが副生する。
【0009】
例えば、銑鉄を調製するプロセスで用いる高炉からは高炉スラグが、銑鉄から製鋼するプロセスで用いる溶銑予備処理設備、転炉並びに電気炉からは、それぞれ、溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ並びに電気炉スラグが副生する。
【0010】
さらに、高炉スラグには水砕スラグと徐冷スラグがあり、溶銑予備処理スラグには、脱珪スラグ、脱リンスラグ、脱硫スラグがあり、電気炉スラグにも酸化期スラグと還元期スラグが存在する。
【0011】
従来より、高炉より副生する高炉水砕スラグはコンクリート混和材や路盤材などとして利用されており、高炉徐冷スラグは路盤材等として使われている。また、転炉スラグもある程度の処理を施せば路盤材として利用できることも報告されている。
【0012】
しかしながら、上述した鉄鋼スラグのうち、脱硫スラグと呼ばれるものには未だ有効な利用方法が見出されていない。脱硫スラグは、イオウ分を除去する工程で副生するスラグであり、他のスラグよりもイオウ分が多いという特徴を有する。したがって、イオウ分を嫌うセメント原料への利用ができないこと、また、その他の有効な利用方法も見出されていないことから廃棄処分されていることが多い。
【0013】
本発明者らは、有効利用方法が見出されていない脱硫スラグを粉末化した脱硫スラグ粉末が優れた六価クロムの還元能力を有することを見出した。
【0014】
以上のように、脱硫スラグ粉末は六価クロムの還元機能を有するが、本発明者らはこの作用機構について検討したところ、脱硫スラグ中の非硫酸態イオウと因果関係があることを見出した。
【0015】
しかし、現在、脱硫スラグはストックヤードでエイジングと呼ばれる処理が施され、非硫酸態イオウを除去・低減するような処置がとられている。エイジングは長い場合には半年から1年にもおよぶことがあり、土地の有効活用の観点からみると、実に無駄の多いプロセスと言える。脱硫スラグを粉末化して、非硫酸態イオウの含有量が多いまま機能性の材料として有効活用することで、エイジング処理の必要もなくなり、製鉄産業から見ても有効な技術となる。
【0016】
また、脱硫スラグは非硫酸態イオウを含有していることが重要であるが、非硫酸態イオウを含まないスラグに、単に非硫酸態イオウの形態をとるイオウ化合物、例えば、硫黄華、多硫化物、硫化物、チオ硫酸塩、亜硫酸塩を添加したのでは、イオウ化合物とスラグがその比重差で分離・偏析して不均一になるため、本発明のような優れた六価クロムの還元性能は得られない。
【0017】
従来より六価クロム低減材として公知の高炉水砕スラグも非硫酸態イオウを多く含むが、六価クロムの還元効果は本発明の脱硫スラグとは全く異なる。
【0018】
この理由について本発明者らが検討した結果、高炉水砕スラグと脱硫スラグでは、非硫酸態イオウの水分に対する溶出量が大きく異なることを認めた。これは、高炉水砕スラグ中のイオウ分は組織に極めて細やかに分散しており、組織に溶け込んでいる。例えば、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)を併用した走査型電子顕微鏡(SEM-EDS)でイオウの存在を認めようとしても明確にその存在を認めることはできない。したがって、高炉水砕スラグを粉砕して微粉末化しても、スラグ粉末の表面にある非硫酸態イオウと内部にある非硫酸態イオウの比率はほとんど差がなく、水分に対する初期の溶出量が極めて少ない。
【0019】
一方、脱硫スラグ中のイオウ分は、マクロ(巨視的)な視点で見れば均一に分散しているものの、電子顕微鏡で観察できるミクロレベル(微視的なレベル)では偏析しており、ある範囲に集中して存在している。そして、その部位は組織の中で脆い部分であることが解った。そのため、脱硫スラグを粉砕すると、剥き出しになる非硫酸態イオウ分が、高炉水砕スラグと比較して極めて多くなるのである。
【0020】
そして、その程度は粉末度を変化させることによってスラグ粉末の表面にある非硫酸態イオウと内部にある非硫酸態イオウの比率を任意に制御することができるため、1種のスラグを用いて即効性と遅効性という相反する特性を両立できることを見出した点に本発明の特徴がある。また、六価クロム低減材を単一成分で構成できるため、混合物系にみられるような偏析がないという特徴も併せもつ。
【0021】
したがって、六価クロムの還元効果が持続するばかりでなく、上述した関東ローム層土のような粘土質の土壌に対しても、イオウを含む成分を徐々に放出して六価クロムをほぼ完全に還元することができる。
【0022】
また、非硫酸態イオウを含まないスラグに非硫酸態イオウの形態をもつイオウ化合物を添加したの場合には、比重の相違によりスラグとイオウ化合物が偏析し、脱硫スラグとイオウ化合物が十分に均一にならず、効果にムラが生じるという問題がある。
【0023】
また、非硫酸態のイオウを含む化合物は非常に不安定な化合物であり、空気中の二酸化炭素と容易に反応して酸化され、硫酸態イオウに変化するため、六価クロムの還元性能が経時的に劣るという問題もあった。
【0024】
さらに、経済性の面でも、前述した硫黄華、チオ硫酸塩等のイオウ化合物は高価な材料であり、完全な産業廃棄物を利用する本発明の方が工業的に極めて有益な方法と言える。
【0025】
以上のように、本発明者らは鋭意努力を重ね、脱硫スラグの有効利用に鑑み、脱硫スラグ中の特定の成分が六価クロムの還元性能を付与するばかりでなく、脱硫スラグ固有の微構造を利用してイオウを含む成分の流出速度を制御することにより、1つのスラグ材料から即効性の六価クロム固定材及び遅効性の六価クロム固定材の両方を製造できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0026】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、非硫酸態イオウとして存在するイオウを 0.5% 以上含有するブレーン比表面積3,000cm2/g以上8,000cm2/g以下の微粉とブレーン比表面積500cm/g以上2,000cm2/g以下の粗粉を混合した脱硫スラグ粉末、及び水硬性物質を含有し、脱硫スラグ粉末を水硬性物質と脱硫スラグ粉末の合計 100 部中、 1 部以上 30 部以下含有することを特徴とする六価クロム低減材であり、水硬性物質が高炉水砕スラグ粉末を含有することを特徴とする該六価クロム低減材であり、無機硫酸塩を含有することを特徴とする該六価クロム低減材であり、水硬性物質としてセメント及び無機硫酸塩を含有することを特徴とする該六価クロム低減材である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で使用する脱硫スラグとは、溶銑の予備処理段階で副生するスラグ、いわゆる予備処理スラグのうち、脱硫工程で副生するスラグを総称するものであり、特に限定されるものではない。
【0028】
脱硫スラグの成分は硫化カルシウムCaS、硫化鉄FeSなどの硫化物並びにCaSO3、FeSO3等の亜硫酸塩等に代表されるイオウ化合物以外特に限定されるものではないが、具体的には、CaO、SiO2、Al2O3、Fe2O3、S、MgO、TiO2、MnO、Na2O、P2O5等、さらにFe2O3以外の状態で存在するFeを含んでいる。
【0029】
これらの成分割合は、使用する鉄鉱石の組成や鉄鋼製造に用いる脱硫剤の組成によって大きく異なるので、一義的な組成範囲を持たない。上記以外に脱硫スラグを構成する化合物としては、トライカルシウムシリケート3CaO・SiO2、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO2、ランキナイト3CaO・2SiO2、ワラストナイトCaO・SiO2などのカルシウムシリケート、カルシウムフェライトやカルシウムアルミノフェライト、遊離石灰、リューサイト(K2O、Na2O)・Al2O3・SiO2、スピネルMgO・Al2O3、マグネタイトFe3O4等が挙げられ、化合物組成も化学成分の変動と関連するため一義的に決定されるものではない。
【0030】
本発明では、脱硫スラグのうち、非硫酸態イオウとして存在するイオウ(以下、単に非硫酸態イオウという)を0.5%以上含むものを用いることが、本発明の効果が顕著であることから好ましい。非硫酸態イオウが0.5%未満では、本発明の効果、すなわち、六価クロム還元能力が充分に得られない場合がある。非硫酸態イオウは、0.5%以上であり、0.7%以上が好ましく、0.9%以上がより好ましい。
【0031】
非硫酸態イオウ量は、全イオウ量、単体イオウ量、硫化物態イオウ量、チオ硫酸態イオウ量、硫酸態イオウ量(三酸化イオウ)を定量することによって求められる。これら状態の異なるイオウの定量方法は、山口と小野の方法によって求めることができる。これは、「高炉スラグ中硫黄の状態分析」と題する論文に詳細に記載されている(山口直治、小野昭紘:製鉄研究、第301号、pp.37-40、1980)。また、硫酸態イオウ量(三酸化イオウ)と硫化物イオウ量については、JIS R 5202に定められた方法により求めることができる。
【0032】
脱硫スラグのブレーン比表面積は特に限定されるものではないが、即効性を求められる用途では2,000cm2/g以上の微粉が好ましく、3,000cm2/g以上8,000cm2/g以下がより好ましく、4,000cm2/g以上8,000cm2/g以下が最も好ましい。ブレーン比表面積が2,000cm2/g未満の粗粉だけでは、六価クロムの還元性能が充分に得られない場合がある。
【0033】
また、8,000cm2/gを超えるように粉砕するには、粉砕動力が大きくなり不経済であり、また、脱硫スラグが風化しやすくなって品質の経時的な劣化が大きくなる傾向がある。
【0034】
一方、六価クロムの還元性能で即効性だけでなく遅効性も要求される用途では、ブレーン比表面積値の小さい粗粉を上記の微粉と混合して用いるのが好ましい。上記粗粉は非硫酸態イオウを徐々に放出するため、即効性の微粉から放出される非硫酸態イオウが減少した分を粗粉から放出される非硫酸態イオウが補うため、長期にわたり六価クロム還元性能が維持されるからである。
【0035】
上記粗粉用脱硫スラグとしてはブレーン比表面積で500cm2/g以上2,000cm2/gであることが好ましい。ブレーン比表面積が500cm2/g未満では長期にわたっても非硫酸態イオウ成分がほとんど溶出しなくなり、2,000cm2/gを越えると微粉との差がなく、遅効性を発現しにくくなる。
【0036】
本発明の脱硫スラグの使用量は特に限定されるものではないが、通常、水硬性物質と脱硫スラグからなる本六価クロム低減材100部中、1部以上30部以下が好ましく、5部以上20部以下がより好ましい。1部未満では本発明の効果が十分に得られない場合があり、30部を越えて使用すると、強度発現性が悪くなる場合がある。
【0037】
本発明で使用する水硬性物質としては、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、並びに石灰石粉末等を混合したフィラーセメント等が挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
【0038】
本六価クロム低減材は低アルカリ性であることが求められる場合が多いため、高炉水砕スラグ微粉末を含有せしめることが好ましく、通常、高炉水砕スラグ微粉末を含有する水硬性物質としては、高炉セメントを使用することができる。
【0039】
さらに、近年では、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰などを原料として製造された、環境調和型セメント、いわゆるエコセメント(R)が広く普及しつつある。本発明ではこれらエコセメント(R)と併用しても何ら差し支えない。
【0040】
本発明では、強度発現性の観点から、必要じ応じて無機硫酸塩を併用することもできる。本発明で言う無機硫酸塩とは、特に限定されるものではないが、その具体例としては、例えば、無水、半水、二水の各セッコウ類、無水、含水の各硫酸アルミニウム、無水、含水の各ミョウバン類、硫酸アルカリ等が挙げられる。経済性の面からセッコウ類又はミョウバン類が好ましく、セッコウ類がより好ましく、強度発現性の面から無水セッコウがより好ましい。
【0041】
本発明ではセメントとセッコウ類を併用し、水和時にエトリンガイト相の微粒子を生成させることにより、六価クロムだけでなく重金属の吸着能を高めることも可能である。
【0042】
本六価クロム低減材はそれぞれの材料を施工時に混合してもよいし、あらかじめ一部あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
【0043】
本六価クロム低減材の粒度は、特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値で3,000cm2/g以上8,000cm2/g以下が好ましく、4,000cm2/g以上6,000cm2/g以下がより好ましい。3,000cm2/g未満では六価クロムの還元性能が充分に得られない場合があり、8,000cm2/gを超えると作業性が悪くなる場合がある。
【0044】
本発明では、水硬性物質、脱硫スラグの他に、従来より知られている六価クロム低減材、高炉徐冷スラグ粉末、石灰石微粉末、ベントナイト等の粘土鉱物、急硬材、生石灰や消石灰などのうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
【0045】
本六価クロム低減材の施工形態は特に制限がなく、水と混練した状態で軟弱土壌、スラッジ、建設廃土等と混合して土中に埋める方法、乾燥粉状態で軟弱土壌、スラッジ、建設廃土等と混合する方法、あるいは水分を含む泥土と混合する方法、セメントミルクとして土表面に散布するか又はヒビ割れ部に注入する方法等が可能である。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実験例に基づいてさらに説明する。
【0047】
実験例1
各種水硬性物質と各種脱硫スラグを表1に示すような割合で配合して六価クロム低減材を調製した。これらの六価クロム低減材を、六価クロムを多く含む汚泥(含水率44.7%の高含水土)に10%添加・混合して固化させた。固化体のpHを測定すると共に、六価クロム低減材の六価クロム低減能力と固化体からの六価クロム溶出量を確認した。比較例として、高炉水砕スラグ、予備処理スラグの一種である脱珪スラグについても同様の実験を行った。結果を表1に併記する。結果を表1に併記する。
【0048】
<使用材料>
水硬性物質イ :市販品普通ポルトランドセメントの3種混合品、比重3.15
水硬性物質ロ :市販品早強ポルトランドセメントの3種混合品、比重3.14
水硬性物質ハ :市販品高炉セメントB種の3種混合品、比重3.06
脱硫スラグa :ブレーン比表面積2,000cm2/g、非硫酸態イオウ0.9%
脱硫スラグb :ブレーン比表面積3,000cm2/g、非硫酸態イオウ0.9%
脱硫スラグc :ブレーン比表面積4,000cm2/g、非硫酸態イオウ0.9%
脱硫スラグd :ブレーン比表面積5,000cm2/g、非硫酸態イオウ0.9%
脱硫スラグe :ブレーン比表面積6,000cm2/g、非硫酸態イオウ0.9%
脱硫スラグf :ブレーン比表面積8,000cm2/g、非硫酸態イオウ0.9%
脱硫スラグg :脱硫スラグeを水に浸漬してエイジングし、非硫酸態イオウを0.7%にしたもの。ブレーン比表面積6,000cm2/g。
脱硫スラグh :脱硫スラグeを水に浸漬してエイジングし、非硫酸態イオウを0.5%にしたもの。ブレーン比表面積6,000cm2/g。
高炉スラグ :高炉水砕スラグ、ブレーン比表面積6,000cm2/g、非硫酸態イオウ0.6%
脱珪スラグ :ブレーン比表面積6,000cm2/g、非硫酸態イオウ0.04%
石コウ :無水物(和光純薬、1級)
水 :水道水
砂 :新潟県姫川産、比重2.62
【0049】
<測定方法>
固化体のpH値:5φ×10cmの円柱供試体とし、この固化体100部に対して、1,000部の水を用意し、固化体を水中に浸漬して24時間静置後のpHを測定した。
六価クロムの低減能力:六価クロム低減能力を確認するために、六価クロム標準溶液を希釈して、六価クロム濃度が50mg/リットルの溶液を調製し、この六価クロム溶液50ccに各六価クロム低減材10gを入れて攪拌し、7日後に固液分離して液相中の残存六価クロム濃度を測定することによって評価した。ただし、六価クロムの残存濃度は、JIS K 0102に準じ、ICP発光分光分析法により測定した。
六価クロム溶出量:六価クロム標準溶液を希釈して、六価クロム濃度が50mg/lの溶液を調製し、この六価クロム溶液50ccに六価クロム低減材10gを入れて攪拌し、7日後に環境庁告示第46号(土壌の汚染に係る環境基準)に準拠して測定した。
【0050】
【表1】
Figure 0003877583
【0051】
脱硫スラグを用いた本六価クロム低減材は顕著な六価クロム低減能力及び六価クロム溶出量低減効果を示し、脱硫スラグ添加量が多い程六価クロム溶出量が減少する傾向が認められ、石コウ添加により、更に高い六価クロム溶出防止効果が認められた。
【0052】
同時に比較例として評価した高炉水砕スラグ(実験No.1-19)及び脱珪スラグ(実験No.1-20)では、脱硫スラグを用いた実施例(実験No.1-18)ほどの六価クロム溶出防止効果がなく、今回検討したスラグ材料のうち脱硫スラグのみが顕著な六価クロム溶出防止効果を示すことが確認された。
【0053】
実験例2
非硫酸体イオウ含有量が0.7%の脱硫スラグを表2に示す粒度とし、このスラグ10部と水硬性物質イ90部を配合して六価クロム低減材を調製し、実験例1と同様の方法によって固化体を作製し、表2に示す材齢で六価クロムの溶出試験を行った。結果を表2に併記する。なお、比較のために、非硫酸態イオウ含有量が0.6%の高炉水砕スラグを脱硫スラグと同様に粗粉として行った場合の結果についても併記する。
【0054】
【表2】
Figure 0003877583
【0055】
表2より脱硫スラグのブレーン比表面積値が大きいほど六価クロム還元能力が大きく、ブレーン比表面積が2,000g/cm2以上で顕著な効果を示すことが判った。また、本発明の脱硫スラグの粗粉と微粉を混合した実験 No.2-8 は、六価クロムの還元性能で即効性だけでなく遅効性も発現していることが判った。
【0056】
また、脱硫スラグは長期にわたって六価クロム溶出量が減少するのに対し、高炉水砕スラグを用いた場合は初期、7日後、3ケ月後のいずれの六価クロム溶出量も多く、長期にわたる六価クロム溶出量抑制効果も小さかった。高炉水砕スラグを用いた六価クロム低減材は短期、長期ともに六価クロム還元能力が本六価クロム低減材より劣ることが判る。
【0057】
実験例3
実験No.1-7で用いた六価クロム低減材(水硬性物質ロ+脱硫スラグa)を使用し、六価クロムで汚染された関東ローム層土1m3に六価クロム低減材150kgを混合して固化させ、六価クロムの溶出量を確認したこと以外は実施例1と同様に行った。また、比較のために、実験No.1-2の脱硫スラグを含まない六価クロム低減材である六価クロム低減材、及び実験No.1-3で用いた高炉水砕スラグを10ないし20%程度含む六価クロム低減材を使用した場合についても同様に行い、環境庁告示第46号記載の0.05mg/リットル以下の基準を満たすか評価した。結果を表3に併記する。
【0058】
<使用材料>
六価クロム低減材α:市販品早強ポルトランドセメントの3種混合品使用、脱硫スラグなし、実験No.1-2にて使用した六価クロム低減材
六価クロム低減材β:市販品高炉セメントBの3種混合品使用、脱硫スラグなし、実験No.1-3にて使用した六価クロム低減材
六価クロム低減材γ:本六価クロム低減材、実験No.1-7にて使用した六価クロム低減材
【0059】
【表3】
Figure 0003877583
【0060】
本六価クロム低減材を用いた場合には環境基準の0.05mg/リットルを満たしたが、脱硫スラグを含まない六価クロム低減材を用いた場合には環境基準を満たしていない。
【0061】
【発明の効果】
本六価クロム低減材を使用することにより、軟弱土壌、ヘドロ、スラッジ、及び建設廃土、並びに、ゴミ焼却灰や汚泥焼却灰、それらの集塵ダストや溶融スラグなどの産業廃棄物の固化処理後に六価クロムの溶出量を激減できるだけでなく、水分と接触すると非硫酸態イオウ成分が水中に徐々に放出され、長期にわたり六価クロム除去効果を発揮する。また、粉砕条件により即効性及び遅効性のいずれにも対応できる。この六価クロム低減材は関東ローム層土のように六価クロムの除害が困難な土壌に対しても顕著な効果があるため、これまでに有効な用途が見出されずにいた脱硫スラグの有効利用にも繋がるため、実用性が高い。

Claims (4)

  1. 非硫酸態イオウとして存在するイオウを 0.5% 以上含有するブレーン比表面積3,000cm2/g以上8,000cm2/g以下の微粉とブレーン比表面積500cm/g以上2,000cm2/g以下の粗粉を混合した脱硫スラグ粉末、及び水硬性物質を含有し、脱硫スラグ粉末を水硬性物質と脱硫スラグ粉末の合計 100 部中、 1 部以上 30 部以下含有することを特徴とする六価クロム低減材。
  2. 水硬性物質が高炉水砕スラグ粉末を含有することを特徴とする請求項1に記載の六価クロム低減材。
  3. 水硬性物質としてセメントを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の六価クロム低減材。
  4. 無機硫酸塩を含有することを特徴とする請求項1ないし請求項のうちの1項に記載の六価クロム低減材。
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