JP4531362B2 - 有害物質低減材と、それを用いた汚水及び土壌の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主に有害物質によって汚染された汚水や土壌、廃棄物処理等に用いられる有害物質低減材及び汚水や土壌の処理方法に関する。
近年、環境問題が顕在化している。特に、汚水や土壌中の有害物質、例えば、クロム、セレン、砒素等の重金属、硝酸態窒素や亜硝酸態窒素、フッ素、ホウ素、ダイオキシン類、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物類等は、化学産業、電気・電子産業、医療施設、及び各種研究施設等において多様な形態で使用されており、使用済みの有害物質を含む土壌や汚水の安全かつ容易な処理方法が必要とされている。
これらの有害物質は、環境基本法に基づき、環境庁告示第46号(土壌の汚染に係る環境基準)、環境庁告示第59号(水質汚濁に係る環境基準)、水質汚濁防止法、廃棄物処理法、及び生活環境保全条例等の多くの環境基準が制定されており、この基準値以下の水準を保つことが必要とされている。
従来、これらの有害物質を低減する材料としては、活性炭を用いる方法(特許文献1、2等参照)、ゼオライト類を用いる方法、(特許文献3等参照)、ハイドロタルサイト類やハイドロカルマイトを用いる方法(特許文献4、5等参照)、還元性鉄粉により還元や分解して処理する方法、(特許文献6等参照)、硫酸第一鉄を用いる方法(特許文献7等参照)、アパタイト類を用いる方法(特許文献8等参照)、カルシウムサルホアルミネート水和物の加熱脱水物を用いる方法(特許文献9等参照)等があった。
しかしながら、活性炭を用いる方法は有害物質を単に吸着するものであって、吸着物が容易に環境中に放出される等、固定化が充分ではなかった。
また、ゼオライトを用いる方法は、吸着とともにイオン交換反応も呈し、カドミウムや鉛等を低減することが出来るものであるが、クロム、セレン、砒素等の重金属、硝酸態窒素や亜硝酸態窒素、フッ素、ホウ素等の低減能力はほとんど期待できないという課題があった。
ハイドロタルサイトやハイドロカルマイトを用いる方法は、それ自体が非常に高価な材料であり、経済性に乏しいばかりでなく、六価クロム等の有害物質は十分に低減できない等、低減できる有害物質が限定されるという課題があった。
還元性鉄粉を用いる方法は即効性がなく、効果を得るまでに長い時間を要するという課題があった。硫酸第一鉄を用いる方法は、即効性はあるが、これが持つ硫酸イオンを系内に加えることになり、硫酸イオンが有害物質となる、他の有害物質低減材料の効果を低減させる等の副作用が生じることや、対象となる物質が非常に限られるという課題があった。
アパタイトを用いる方法は、ゼオライト同様に、カドミウムや鉛等を低減できるものであるが、クロム、セレン、砒素等の重金属、硝酸態窒素や亜硝酸態窒素、ホウ素等の低減能力はほとんど期待できないという課題があった。
このように、従来の有害物質低減材は、有害物質の種類によっては十分な有害物質低減効果が得られない、複数の有害物質が共存する場合はその効果が低減する等の課題があった。また、合成品を用いる場合は、コスト高になるという課題もあった。
また、一方で、産業副産物の発生を抑制し、あるいは産業副産物を有効利用することにより、産業副産物を減容し、環境問題解決に貢献するという観点も重要である。このような産業副産物として、本発明者らは銑鉄を鋼に製鋼する工程で大量に発生する製鋼スラグに着目した。
製鋼スラグは銑鉄を鋼に製鋼する工程で発生するスラグの総称であり、転炉スラグ、各種の溶銑予備処理スラグ、精錬スラグ等がある。これらの製鋼スラグは、年間約1,300万トンも発生するが、銑鉄を得る段階で発生する高炉スラグと比べて利用率は未だに低い水準にあるのが実状である(非特許文献1等参照)。このように、マスプロダクションの代表とも言える製鉄業界から発生する製鋼スラグの用途を見出すことは社会的にも大きな課題である。
転炉スラグをアルカリ金属やアルカリ土類金属と併用する水処理材や水処理方法が知られている(特許文献10等参照)。この発明は、主にリン酸の処理に係るもので、その他ヒ素の低減にも効果を示すことが開示されている。しかしながら、この水処理材の有害物質低減効果は必ずしも充分なものではなく、例えば、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン等の多価アニオンの濃度が高い環境下で使用すると、有害物質の低減効果が極度に低下するという課題があった。
また、2次精錬スラグ、溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ等の製鋼スラグを用いて重金属を含む廃棄物を安定化処理する方法が知られている(特許文献11等参照)。この発明では、鉛、カドミウム、及び亜鉛の溶出を抑制できるものである。しかしながら、この方法では、その処理温度を60℃以上とすることが必要であり、常温では充分な溶出抑制効果が得られないという課題があった。
また、カルシウムアルミネートやカルシウムシリケート、カルシウムアルミノシリケートを含む粉末と硫酸根を含む粉末を用いて、クロムを含む廃棄物を安定化処理する方法が知られている(特許文献12等参照)。この発明には、2次精錬スラグと硫酸塩を用いて、クロムの溶出を抑制できること、同時にフッ素の溶出を抑制できることが開示されている。また、カルシウムアルミネートを含む二次精錬スラグの粉末がフッ素の溶出抑制に効果があることが知られている(特許文献13〜15等参照)。しかしながら、いずれも有害物質の種類によって効果がまちまちであり、どの有害物質に対しても優れた低減効果を示す有害物質低減材料が求められていた。
そこで、本発明者らは、有効利用が充分に進んでおらず、大半が産業廃棄物となっていた製鋼スラグの有効利用に鑑み、経済的で有害物質の低減効果に優れる有害物質低減材の開発について鋭意検討を重ねた結果、特定の元素組成等の特徴を有する製鋼スラグの粉末が非常に多くの種類の有害物質の低減効果に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
特開平05-076619号公報、 特開2002-239347号公報 特開2001-238980号公報 特開平10-128313号公報 特開2001-252675号公報 特開平07-108280号公報 特開平09-085224号公報 特開平08-182984号公報 特開2001-070926号公報 特開2002-086139号公報 特開2000-037676号公報 特開2002-059141号公報 特開2000-225383号公報 特開2000-246267号公報 特開2001-259570号公報 鉄鋼スラグ協会編、"平成14年度鉄鋼スラグ生産・利用状況"、[online]、[平成15年7月11日更新]、インターネット<URL:http://homepage2.nifty.com/SLG/tokei/japan/14/index.htm>
有効利用が充分に進んでおらず、大半が産業廃棄物となっていた製鋼スラグの有効利用に鑑み、経済的で、多様な有害物質に対する低減効果に優れる有害物質低減材を提供する。
本発明は、Al2O3含有量が3%以上であって、かつ、FeOとAlO含有量の総量が15%以上であり、フッ素、ホウ素、イオウの総量が2%以下で、ブレーン比表面積が3,000cm 2 /g以上である製鋼スラグを含有する有害物質低減材であり、製鋼スラグが、CaO含有量35%以上、遊離石灰含有量15%以下、SiO 2 含有量20%以下である該有害物質低減材であり、該有害物質低減材を用いることを特徴とする汚水の処理方法であり、該有害物質低減材を用いることを特徴とする土壌の処理方法である。
本発明で使用する製鋼スラグとは、鉄鋼スラグのうち、製鉄工程で発生するスラグを総称するものであり、特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、転炉スラグ、脱ケイ、脱炭、脱リン等の各種の溶銑予備処理スラグ、精錬スラグ等が挙げられる。これら製鋼スラグの化学成分や化合物組成は、製鋼方法や工程によって千差万別である。その化学成分としては、例えば、CaO、SiO2、Fe2O3、Al2O3、MgO、TiO2、MnO、Na2O、K2O、S、P2O5、B2O3及びF等が挙げられる。
また、化合物としては、例えば、4CaO・Al2O3・Fe2O3や6CaO・2Al2O3・Fe2O3や6CaO・Al2O3・2Fe2O3等のカルシウムアルミノフェライト、CaO・Fe2O3や2CaO・Fe2O3等のカルシウムフェライト、12CaO・7Al2O3や12CaO・7Al2O3・CaF2、3CaO・Al2O3等のカルシウムアルミネート、ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2やアノーサイトCaO・Al2O3・2SiO2等のカルシウムアルミノシリケート、メルビナイト3CaO・MgO・2SiO2やアケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2やモンチセライトCaO・MgO・SiO2等のカルシウムマグネシウムシリケート、トライカルシウムシリケート3CaO・SiO2やダイカルシウムシリケート2CaO・SiO2やランキナイト3CaO・2SiO2やワラストナイトCaO・SiO2等のカルシウムシリケート、カスピディン3CaO・2SiO2・CaF2、フッ素アパタイトやヒドロキシアパタイト等のアパタイト、ウスタイトFeO、遊離石灰、マグネタイトFe3O4、リューサイト(K2O、Na2O)・Al2O3・SiO2等が挙げられる。製鋼スラグ中では、これらの各成分が結晶質又は非晶質として存在する。
製鋼スラグ中のFe2O3及びAl2O3の含有量は有害物質の低減効果と関係があり、きわめて重要である。本願発明ではAl2O3の含有量が3%以上で、かつ、Fe2O3及びAl2O3の含有量の合計が15%以上であり、Fe2O3とAl2O3の含有量の合計が20%以上であることが好ましい。Al2O3の含有量が3%未満、又は、Fe2O3とAl2O3の含有量の合計が15%未満では有害物質低減効果が低く、また、有害物質を低減する際に加熱する必要となるため、有害物質の低減処理時の加熱により有害物質が蒸発又は飛散することがある。
ここで、鉄の酸化物にはカルシウムフェライトやカルシウムアルミノフェライトを形成しているFe2O3の形態の鉄分ほか、ウスタイトFeOやマグネタイトFe3O4等の形態で存在する鉄分も存在する場合がある。ウスタイトFeOやマグネタイトFe3O4等は、還元剤として知られ、有害物質を還元又は分解する効果を有するものであるが、本発明では、カルシウムフェライトやカルシウムアルミノフェライト等を形成している鉄分の含有量が高いものが好ましい。また、これらの鉄分は結晶質又は非晶質のいずれの形態で存在していてもよい。
また、製鋼スラグ中のFe2O3やAl2O3の存在形態は特に限定されないが、鉛、カドミウム、クロム、ヒ素、セレン等の重金属、硝酸態窒素や亜硝酸態窒素、ホウ素、リン、ダイオキシン類、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物類等を低減する用途において、製鋼スラグ中のFe2O3やAl2O3の含有量が重要である。すなわち、Fe2O3やAl2O3の含有量が少ない製鋼スラグにFe2O3やAl2O3を含む化合物を単に添加しても、本願発明と同様の効果は得られない。その作用機構は定かではないが、製鋼スラグ中の各成分とFe2O3とAl2O3等の相互作用等により、本願発明の効果が得られるものと考えられる。
また、製鋼スラグ中のCaO含有量も重要である。CaO含有量は35%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。この際、遊離石灰が存在する場合が多いが、遊離石灰の存在は、リン酸等を低減する観点からはむしろ好ましい面もあり、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲、具体的には、15%以内であれば問題とはならない。なお、SiO2の含有量は、前記のFe2O3やAl2O3、並びにCaOの含有量を高く確保する観点から、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。
一方、有害物質低減材中のフッ素、ホウ素、及びイオウの含有量が低いことが好ましく、これらの元素の含有量の合計が2%以下であることが好ましい。これらの総量が2%を超えると、有害物質の低減効果が充分でない場合がある。たとえば、フッ素を含む化合物である、12CaO・7Al2O3・CaF2、カスピディン3CaO・2SiO2・CaF2、フッ素アパタイト等は、本願発明の効果を阻害するため、これらの化合物の含有量は少ない方が好ましい。また、ホウ素やイオウ分を含む化合物の存在も同様である。
本発明の製鋼スラグの粒度は、特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値で3,000〜9,000cm/gが好ましく、4,000〜6,000cm/gがより好ましい。3,000cm/g未満では有害物質の低減効果が十分でない場合があり、9,000cm/gを超えるように粉砕することは不経済である。
本発明でいう有害物質とは、特に限定されるものではないが、例えば、環境基準が定められている、クロム、セレン、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀等の重金属、全シアン、硝酸態窒素や亜硝酸態窒素、フッ素、ホウ素、リン、さらに、有機系物質としては、ダイオキシン類、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物類、PCB、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、ベンゼン、有機リン等が挙げられる。また、環境基準が定められていない有害物質としては、例えば、銅、亜鉛、モリブデン、アミン系化合物、各種の環境ホルモンや内分泌かく乱物質等が挙げられる。
本発明では、カルシウムフェライト、カルシウムアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、各種ポルトランドセメント、石灰石粉末等を混合したフィラーセメント、並びに、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント、いわゆるエコセメント、高炉水砕スラグ、フライアッシュ等の粉末、これらの水硬性材料や潜在水硬性物質やポゾラン物質から生成するあらゆる水和物類、酸化カルシウム、高炉徐冷スラグ、酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムやドロマイトやハイドロタルサイト類等のマグネシウム化合物、活性炭等の炭素質物質、モンモリロナイトやカオリナイト等に代表される層状化合物であるベントナイト類、ゼオライト類、セピオライトやアパタイトやリン酸ジルコニウム等のリン酸塩、三酸化アンチモンや五酸化アンチモン等のアンチモン酸塩、活性炭、多硫化物や硫化物やチオ硫酸塩類や亜硫酸塩類やチオ尿素等のイオウ化合物、アマルガム、還元鉄粉、硫酸第一鉄や塩化第一鉄等の鉄化合物、セルロース類やポリビニルアルコール、キトサン等の水溶性高分子類、ジアルキルジチオカルバミン酸類、キノリン化合物類、ポリアミン類、糖類等からなる群のうちの一種又は二種以上を本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用可能である。
また、上記の材料は本発明の有害物質低減材と併用しても良いし、別々に使用しても何ら差し支えない。例えば、本発明の有害物質低減材で一次処理を行った後、二次処理を前記の材料で行うことも可能である。このような、二重又はそれ以上の有害物質の低減処理を施すことは、有害物質を多面的に、かつ、確実に低減する観点から好ましい。
本発明の有害物質低減材の使用方法は特に限定されるものではなく、例えば、汚水処理に用いる場合であれば、粉末状又は顆粒状で汚水に添加して使用し、その後固液分離しても良いし、ペレットやカラムやフィルター等に加工して処理水を通過させて用いても良い。
ペレットやフィルターの製造方法としては、例えば、本発明の有害物質低減材を加圧成形する方法や、少量の水硬性材料、例えば、各種ポルトランドセメントやアルミナセメンと等で硬化させて成型しても良い。
土壌に用いる場合には、本発明の有害物質低減材を土壌と混合・攪拌して用いる方法、散布して用いる方法、スラリー状にして土壌に注入する方法等が挙げられる。この際、各種のセメントと併用しても何ら差し支えない。
また、土壌及び本発明の有害物質低減材の混合割合は特に限定されないが、土壌1m3に対して、有害物質低減材を100〜300kgとすることが好ましい。有害物質低減材の混合割合が土壌1m3に対して100kg未満では有害物質低減効果が不足することがあり、300kgを超えても更なる有害物質低減効果が得られないことがある。
本発明の有害物質低減材は、多くの種類の有害物質を低減することができ、共存物質による阻害効果が少なく、しかもその低減能力が非常に大きい等の効果を奏する。
表1に示す組成の各種の製鋼スラグをブレーン比表面積5,000cm2/gに粉砕し、有害物質低減材とした。有害物質低減材1gを、表2に示す有害物質を含有する溶液50mlに添加し、3時間攪拌した後、固液分離した。そして、液相中に残存する有害物質の濃度を測定し、有害物質の低減率(以下、単に「低減率」という)を求めた。また、市販の有害物質低減材を用いた場合についても同様の実験を行った。結果を表2に併記する。
<使用材料>
製鋼スラグ(1):転炉スラグ、CaOのうち遊離石灰含有量は10.7%、カルシウムアルミネートは含まず。
製鋼スラグ(2):溶銑予備処理スラグ、CaOのうち遊離石灰含有量は0.8%、カルシウムアルミネートは含まず。
製鋼スラグ(3):精錬スラグ、CaOのうち遊離石灰含有量は8.3%、カルシウムアルミネートは含まず。
製鋼スラグ(4):脱リンスラグCaOのうち遊離石灰含有量は8.9%、カルシウムアルミネートは含まず。
製鋼スラグ(5):溶銑予備処理スラグ、CaOのうち遊離石灰含有量は0.8%、カルシウムアルミネートは含まず。
製鋼スラグ(6):溶銑予備処理スラグ、CaOのうち遊離石灰含有量は0.8%、カルシウムアルミネートは含まず。
有害物質低減材イ:市販のゼオライト
有害物質低減材ロ:市販の活性炭
有害物質低減材ハ:市販のハイドロタルサイト
有害物質Cr :六価クロム標準溶液、六価クロム濃度1,000mg/リットル溶液、関東化学製
有害物質Se :セレン標準溶液、セレン濃度1,000mg/リットル溶液、関東化学製
有害物質As :ヒ素標準溶液、亜ヒ酸濃度1,000mg/リットル溶液、関東化学製
有害物質F :フッ化ナトリウム、粉末状、試薬1級、和光純薬製
有害物質B :ホウ酸、粉末状、試薬1級、和光純薬製
有害物質NO3 :硝酸ナトリウム、試薬1級、和光純薬製
有害物質P :オルトリン酸ナトリウム(Na3PO3)、粉末状、試薬1級、和光純薬製
有害物質TCE(トリクロロエチレン):試薬1級、和光純薬製
<測定方法>
有害物質の濃度:環境庁告示第46号に従って測定した。
有害物質の低減率(低減率):環境庁告示第46号に基づき測定した有害物質の濃度をもとに、以下の式により算出した。
有害物質の低減率(%) =C / C0 ×100
ただし、C0:有害物質低減材を添加しない場合の有害物質溶出量の合計
C:有害物質低減材を添加した場合の有害物質溶出量の合計。
Figure 0004531362
注:「F+B+S」は、各製鋼スラグ中のフッ素、ホウ素、及びイオウの含有量の合計。
Figure 0004531362
注:TCEはトリクロロエチレン。
製鋼スラグ(1)の原料とした塊状スラグを用い、粉砕強度を変え、表3に示すようなブレーン比表面積の有害物質低減材を調製したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に併記した。
Figure 0004531362
注:TCEはトリクロロエチレン。
有害物質低減材として製鋼スラグ(1)を使用し、クロム、セレン、ヒ素を含み、環境庁告示第46号法に基づく溶出試験の結果、前記重金属の溶出量が環境基準値を上回る土壌について、土壌の処理効果を確認した。土壌1m3に対して、有害物質低減材を150kg添加し、十分に混合し、土壌の処理を行った。処理後の土壌を用いて再度、環境庁告示第46号法に基づく溶出試験を行った。結果を表4に示す。なお、比較のために、普通ポルトランドセメントを用いて同様に行った場合の結果も併記した。
<使用材料>
土壌:有害金属化合物を添加した関東ローム土。六価クロム、セレン、ヒ素の濃度はそれぞれ30mg/リットル、5mg/リットル、5mg/リットルとなるように調製。
普通ポルトランドセメント(OPC):市販品の3種類を等量づつ混合したものを使用。
Figure 0004531362
注:OPCは普通ポルトランドセメント
本発明の有害物質低減材は、有効利用が充分に進んでおらず、大半が産業廃棄物となっていた製鋼スラグを有効することにより、産業廃棄物としての製鋼スラグの減容に貢献するとともに、経済的で、しかも、多くの種類の有害物質を低減することができ、共存物質による阻害がなく、各々の有害物質に対する低減能力が大きいという特徴を有するため、化学産業、電気・電子産業、医療施設、及び各種研究施設等から発生する有害物質により汚染された土壌や排水に含まれる有害物質を低減する用途に適する。

Claims (4)

  1. Al2O3含有量が3%以上であって、かつ、FeOとAlO含有量の総量が15%以上であり、フッ素、ホウ素、イオウの総量が2%以下で、ブレーン比表面積が3,000cm 2 /g以上である製鋼スラグを含有する有害物質低減材。
  2. 製鋼スラグが、CaO含有量35%以上、遊離石灰含有量15%以下、SiO 2 含有量20%以下である請求項1に記載の有害物質低減材。
  3. 請求項1〜のうちの1項に記載の有害物質低減材を用いることを特徴とする汚水の処理方法。
  4. 請求項1〜のうちの1項に記載の有害物質低減材を用いることを特徴とする土壌の処理方法。
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