JP3873119B2 - 円筒内旋回燃焼器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、各種用途に使用される連続燃焼装置用の燃焼器に関し、特に円筒内旋回燃焼器に関する。本発明による燃焼器は、ガスタービンや各種加熱装置の燃焼器として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来から気体燃料の燃焼器として、燃料と空気の混合気を丸形やスリット状の形状を有する流出口から略それらの軸方向に流出させるものが広く用いられている。この場合、火炎の基部が流出口の出口部に確実に位置するように、混合気の流速を大きくとらずに火炎の安定化が図られている。火炎と出口部とがほとんど接しているために、出口部は火炎からの熱を受けやすく過熱による劣化や変形を起こしやすい。出口部の変形などによって混合気の流出速度が小さくなると、混合気が暖められることによる燃焼速度の上昇とあいまって、流出口から火炎が上流にもどる、逆火と呼ばれる不具合が起きやすくなる。一方、混合気の流出速度を十分大きくすると、上記の問題を回避することは可能であるが、火炎は、混合気の速度が減衰し燃焼速度と釣り合う高さまで浮き上がる。このような保炎方法は、火炎の空間位置が変動する、火炎が長くなるなどの問題があるので、特殊な用途以外では利用できない。
【0003】
円筒状燃焼室において、側壁に設けた燃焼室の軸方向に長いスロット状の開口から混合気を壁面に沿って周方向に流入させると、中心軸周りの旋回流れ場が形成されるが、この旋回流れ場においては、燃焼室中心軸について略対称で且つ燃焼室出口に向けて直径が増大する連続した円筒状火炎面が形成される。この円筒状火炎面の内側には高温で密度の小さい既燃ガスが存在する領域が、また、その外側の円筒状燃焼室の側壁面との間の環状空間には未燃焼の混合気が存在する領域が形成される。
【0004】
上記の円筒状燃焼室内の旋回による混合気の火炎は、中心部に存在する温度の高い既燃ガスと混合気とが大きな面積で接触し、しかも、その接触面、すなわち火炎面に垂直な混合気の速度が極めて小さいために、静止混合気の場合の燃焼限界に近い燃料/空気比まで燃焼火炎の維持が可能であることが知られている。旋回流れ場の内側に密度の小さい既燃ガスが存在し、その外側に密度の大きな混合気が存在する上記火炎の構造は、流体力学的にも極めて安定である。また、この構造に起因する、火炎と混合気の流入口とが離れていることは、予混合燃焼に固有の問題のひとつである逆火の抑止に極めて有効である。
【0005】
燃焼装置から排出されるNOxは健康や地球環境に対して悪影響があることから、各種の規制が行われているが、大都市では更にNOxの発生の削減が必要とされている。NOxは高温で生成速度が急激に増大するので、その抑制には、燃料と空気を混ぜ、しかも燃料/空気比を小さくして燃焼させる希薄予混合燃焼が最も理にかなっている。希薄条件での優れた火炎安定性や予混合気を供給する場合でも逆火が起き難いという円筒内旋回燃焼の特徴は、希薄予混合燃焼の本質的特性に起因する短所を抑え、長所を最大限に発揮する上で非常に有効と考えられる。
【0006】
特開2001−280605「予混合旋回燃焼器」には、円筒内旋回燃焼を利用した空気と燃料ガスとの混合気の燃焼器が示されている。この燃焼器について、その実施形態の概念図である図6に基づいて説明する。この燃焼器は、それまでの直円筒を用いた旋回場の燃焼において生じていた問題、即ち、燃焼器の大きさに対して混合気の流量が過大になると、円筒状火炎面21と円筒側壁16との間の隙間から混合気17が未燃のまま抜け出るという問題を解決するために、燃焼室11の出口近傍に段差61を設けた。段差61による断面流路面積の急拡大によって円筒状火炎21は半径方向に広がり、段差61の下流には再循環流が形成される。未燃混合気や一酸化炭素などの不完全燃焼成分は、そうした再循環流の領域で燃焼するようにした。また、燃焼室内にセラミックス製などの保熱部材62を設け、より希薄な条件でも保炎が可能なようにした。上記の構成により、希薄限界近傍や高流入量における火炎の安定性が向上するとともに、それまでの円筒内旋回燃焼の課題であった壁面に沿う未燃焼混合気の漏れをほぼ排除し、完全燃焼負荷範囲を拡大できるようになった。
【0007】
燃焼装置やそれを備えたエンジンでは、熱発生率や出力は、単位時間当たりの燃料流量を増減することによって制御される。燃焼効率を十分高く維持しながら、NOxの発生を熱発生量や出力の大小に依らず略極小に維持するためには、燃料と混合する空気の量を燃焼器への空気の温度や圧力などによって決まる最適値に可能な限り近づける必要がある。
【0008】
空気流量を出力に対応させて制御する例としては、インバータモーターで送風機の回転数を可変制御することにより燃焼器への空気流量を燃料流量の増減に追随させている予混合バーナを備えた給湯器用燃焼器がある。この燃焼器は3本のバーナを備え、その作動本数の増減と空気流量の増減とによって、バーナの燃料空気比は1:1.3程度の範囲に抑えながら1:10のターンダウン(最小発熱量に対する最大発熱量の比)を実現している。前記の特開2001−280605「予混合旋回燃焼器」よる試作燃焼器では、空気流量を燃料流量に合わせて精密に制御すれば1個のバーナでも同程度のターンダウンが可能との結果が得られているが、実用化するとなると制御装置の高精度化や安全装置の増設のためにコストが非常にかさむという問題がある。また、更にNOxを低減するには、燃料/空気比のより小さいところでも燃焼が可能なことが要求されるが、予混合燃焼の本質的特性に関係するだけに極めて困難である。
【0009】
一方、ガスタービンの場合は、特別な例外を除き、空気流量を調節することはできないが、全空気流量のうち燃焼用に使用される流量を燃料流量に合わせて弁などの機構により制御することが考えられ、これまで種々の形態が提案されている。高温高圧の雰囲気下での空気流量制御機構の信頼性がないことや、燃料流量制御に比べより大きな駆動力や弁を必要とすることが、燃焼用空気流量制御方式の普及の障害になっている。
【0010】
空気流量制御なしでは、前述公報に開示された「予混合旋回燃焼器」でも、ガスタービンに通常要求される作動範囲の大部分にわたり完全燃焼のもと低NOxを実現することは困難である。現状では複数のバーナを備え、作動させるバーナの本数の増減と流量の制御で出力に対応させる方式の燃焼器が圧倒的多数を占めている。一本当たりのバーナの作動範囲における燃料/空気比の変化の範囲は、ほぼバーナの本数に逆比例して小さくはなるが、一定に維持できないことは明らかである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、円筒内の混合気の旋回を利用した燃焼器において、燃料/空気比が格段に小さい条件においても火炎の保持を可能にし、空気流量の制御なしに低NOx燃焼が可能な燃料/空気比の範囲を拡大する点で解決すべき課題がある。この課題を解決し、空気流量の制御なしに、従来よりも遥かに燃料/空気比が小さい条件においても火炎が保持でき、高い燃焼効率が得られるようになれば、広い作動範囲にわたってNOxの排出が著しく低減されるばかりでなく、作動範囲が格段に拡大し、実用装置への適用が容易になり、普及を促進することができる。
【0012】
この発明の目的は、円筒内旋回燃焼器のこれらの課題を解決するために、燃料/空気比が予混合均質混合気の希薄側可燃限界よりも更に小さい場合でも火炎を維持でき、空気流量の制御が無くても完全燃焼と低NOx燃焼の両立を可能にする新たな円筒内旋回燃焼方式の燃焼器を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この円筒内旋回燃焼器は、一端を底面とする円筒状燃焼室の内部に当該円筒状燃焼室の中心軸周りの旋回流れが形成され且つ前記中心軸について略軸対称な円筒状火炎面が保持される円筒内旋回燃焼器において、前記円筒状燃焼室の底面の周辺部に燃料を前記円筒状燃焼室内に供給するための底面燃料供給器が設けられ、且つ前記円筒状燃焼室の側壁に、側壁燃料供給器が配置されていると共に空気を供給する細長のスロット状開口が設けられていることを特徴としている。
【0014】
ここで、「周辺部」の定義を図5により説明しておく。燃焼器内にその中心軸20周りの旋回流れ22を形成するために混合気(燃焼室内部で側壁面から燃料供給が行われる場合には空気)を流入させるスロット状開口18を、それに繋がる流路19の中心軸に沿って平行移動させると、円筒状燃焼室内の仮想延長部56に外接する燃焼室と同軸の仮想円筒57が決まる。仮想円筒57の投影部の外側に形成される環状部分58が本発明における周辺部の定義である。また、底面の底面燃料供給器の位置は、その開口59の重心と定義する。
【0015】
上記形態において、前記円筒状燃焼室には、既に述べたように、その円筒状燃焼室のスロット状開口18よりも上流で準備した混合気をスロット状開口18から円筒側壁面に沿って周方向に導入することが一般的であるが、側壁に側壁燃料供給器を配置し、そこから噴射された燃料と円筒側壁のスロット状開口から流入する空気とが旋回しながら混合を進め、混合気を形成するようにすることによって、逆火の問題から完全に開放される。
【0016】
前記円筒状燃焼室の下流に、接続部を介して、当該円筒状燃焼室と直径が異なると共に、前記中心軸周りの旋回流れが形成され且つ略軸対称な円筒状延長火炎面が形成される1個以上の延長円筒状燃焼室を接続することができる。円筒状燃焼室の下流に接続部を介して当該円筒状燃焼室と異なる直径の1個以上の、円筒内旋回燃焼を行う延長円筒状燃焼室を直列に接続すれば、複数の円筒状燃焼室での混合気の燃料/空気比を燃焼装置やエンジンの発熱量や出力に合わせて細かく制御できるのはもちろん、空気流量制御なしに簡単な燃料流量の制御だけで、広い作動範囲にわたり低NOxと極めて高い燃焼効率を同時に実現できる。
【0017】
前記延長円筒状燃焼室の側壁にも側壁燃料供給器を配置し、そこから噴射された燃料と円筒側壁のスロット状開口から流入する空気とが旋回しながら混合し、混合気を形成するようにしてもよい。
【0018】
また、前記接続部の壁面に、周方向に接続部燃料供給器を備え、当該壁面の構造に応じて上流側、あるいは下流側の円筒状燃焼室内に燃料を噴射するようにすれば、より全体として燃料/空気の小さなところまで燃焼が可能になり、さらに適切に燃料を配分することで、低NOxと高い燃焼効率を得ることができる。
【0019】
さらに、最下流の円筒内旋回方式の円筒状燃焼室の出口部に、該円筒状燃焼室の内径よりも内接円の直径が大きい延長ダクトを接続し、該延長ダクトの側壁には、空気、燃料、又は空気と燃料の混合気のいずれかを略中心に向けて流入させる流入口が形成され、それらが上流からの燃焼ガスと混合させることにより、燃焼ガスの旋回を弱めるとともに、燃焼ガスの温度調節、出口における燃焼ガスの温度分布の最適化が可能になる。
【0020】
さらに、また最下流の円筒内旋回方式の円筒状燃焼室の出口部に、該円筒状燃焼室の内径よりも内接円の直径が大きい延長ダクトを接続し、該延長ダクトの側壁には、空気、燃料、又は空気と燃料の混合気のいずれかを上流の円筒状燃焼室の旋回とは逆方向の旋回を生じる向きに円筒状燃焼室内に流入させる流入口が形成され、そこから空気、燃料、又は空気の燃料の混合気を噴射すると旋回を弱める効果がより強くなる。
【0021】
上記の円筒内旋回燃焼器で燃焼できる燃料は、ガス燃料だけでなく、空気やCO等の非燃焼気体と混合したガス燃料や霧状の液体燃料なども含まれる。また、前記円筒燃焼室とその上流に配置されるパイロット燃焼室のそれぞれの火炎の燃料は、必ずしも同一でなくてもよい。また、混合気は完全均質である必要はない。円筒内旋回燃焼用の混合気として供給する場合も、均質である必要はない。
【0022】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、この発明による円筒内旋回燃焼器の実施の形態について説明する。図1は参考例に係る円筒内旋回燃焼器の概念図であり、図1(a)は円筒状燃焼室の中心軸を含む断面を示し、図1(b)はその軸に垂直なA−A断面(矢視A−A)を示している。この円筒内旋回燃焼器においては、大きな径の円筒状燃焼室11の底面12の開口13には、底面12aが完全に閉じられた小さい円筒状燃焼室(パイロット燃焼室)11aが接続されている。円筒状燃焼室11の側壁面16には混合気17が燃焼室11内に流入する細長のスロット状開口18が周方向に隔置して2個設けられ、パイロット燃焼室11aにも側壁面16aに同様な形状の2個の開口18aが設けられている。開口18,18aに繋がる流路19,19aと燃焼室側壁面16,16aとは、混合気17,17aがそれぞれの燃焼室11,11aの内壁面に沿って周方向速度成分をもって流出する位置関係にあり、燃焼室11,11a内に混合気の旋回流れ22,22aが形成される。円筒状燃焼室11の下流には、その内径よりも内接円の直径が大きい延長ダクト24が接続されている。
【0023】
スロット状開口18,18aは、周方向に多いほど安定な円筒状火炎を作ることができるが、実用的には2から4個程度がよい。スロット状開口18,18aは、軸方向に複数個配置してもよいし、更にはそれらを周方向にずらせて配置するようにすれば、燃焼室壁面が薄板の場合に問題となる燃焼室11,11aやスロット状開口18,18aの変形を軽減することができる。図1に示すでは、燃焼室11を形成する円筒は薄肉であるためスロット状開口18の上流部に薄板製の流路19が接続されているが、耐火材で成型されるように壁面が十分厚い場合は、壁面にスロット状開口を形成できる。なお、この明細書においては、スロット状開口18,18aとはそこから円筒状燃焼室11,11a内に流入する気体が円筒状燃焼室11,11a内において、その中心軸20周りの旋回を発生することができる形態の流入口全般を表す用語であって、例えば円形開口を直線的に複数個配列したものも含まれる。
【0024】
パイロット燃焼室11aの火炎21aは、図に示すように、円筒状燃焼室11との接続部の直ぐ下流に位置する急拡大部で急激に半径方向に広がり、それとともに高温の既燃ガスも広がり、それらが円筒状燃焼室11のスロット状開口18から流入する混合気の確実な着火源として作用し、その火炎21の安定性をさらに強化する。これによって、単一の円筒状燃焼室だけからなる円筒内旋回燃焼器では燃焼できなかったより希薄な混合気を燃焼させることができるようになった。円筒状燃焼室11と延長ダクト24との接続によって形成される流路面積の急拡大は、接続部の下流側に循環流を形成し、これによって火炎21と円筒側壁16との間からの未燃混合気をほぼ完全に燃焼させることができる。
【0025】
パイロット燃焼室11aからの既燃ガスと円筒状燃焼室11のスロット状開口18からの混合気が混合した後の温度が反応に充分高い温度、たとえば1200℃、になるように設計しておけば、円筒状燃焼室11に流入する混合気がどれほど薄くても完全に反応させることができる。装置の熱発生率やエンジンでの出力の調整は、この燃料の流量制御だけで済ますことができる。円筒状燃焼室11のスロット状開口18からの混合気が充分希薄な限り、その反応によるNOxの発生は殆どないので、パイロット燃焼室11aでの燃焼を希薄にしておけば、全体でのNOx発生は非常に少なくなる。ガスタービン燃焼器への適用を調べた模擬実験では、NOx濃度は、10ppm以下という非常に低い濃度が確認されている。
【0026】
パイロット燃焼室11aと円筒状燃焼室11の混合気17,17aの流入方向は、同一の方が円筒状燃焼室11の火炎21の安定性向上には有利で、より希薄での燃焼、従ってNOxの排出をより低いレベルに維持できる。一方、円筒状燃焼室11の長さを短くしたい場合や出口での旋回を弱めたい場合などは、逆旋回が適している。
【0027】
図2は、円筒内旋回燃焼器の他の参考例を示す図であって、図2(a)は円筒状燃焼室の中心軸を含む平面での断面図であり、図2(b)はその中心軸に垂直な平面によるB−B断面図(矢視B−B)である。なお、図中の符号は、新出のものを除き、すべての図に共通である。円筒状燃焼室11の内部に混合気の旋回流れを発生させる機構は、図1に示したものと同一である。底面12には、周辺部に底面燃料供給器26として円管からなる燃料噴射器が設けてある。燃料が気体の場合は、このような単純なもので用が足りるが、液体の場合には微粒化ノズルを燃料供給器として使用する必要があり、場合によっては微粒化用空気が必要である。また、純粋な燃料のほか、空気に混入されて搬送される燃料液滴やその蒸気、石炭ガス化炉からの発生ガスのようにCO、空気、酸素などを含む可燃ガスも燃料として使用できる。
【0028】
ここで、重要なことは燃焼室11内への燃料の供給位置は周辺部でなければならないことである。中心やそれに近い位置で燃料を供給すると、燃焼室11内の旋回流れのために燃料の噴流が安定化され、スロット状開口18から流入する空気あるいは混合気との混合が非常に抑制されてしまう。その結果、底面燃料供給器26から供給される燃料噴流の火炎は細長い拡散火炎になってしまい、空気不足の状態で燃焼するため、すすが発生しやすい。もちろん、放射熱伝達を利用する過熱炉には適しているが、NOxの低減には逆効果である。これに対して燃料を周辺部から供給すると、スロット状開口18からの空気あるいは混合気の流れとの干渉が起こり、周辺部では混合が進むものの、底面近傍の中心軸上には燃料濃度の高い領域が形成される。これが保炎可能な希薄側限界を拡大するのに極めて有効である。
【0029】
図1及び図2に示した形態においては、スロット状開口18から供給される混合気17は、その上流部で燃料と空気が混合されたものであるが、本発明の実施形態の概念図である図3に示すように、スロット状開口18からは空気だけを流入させ、燃料は円筒状燃焼室11の側壁16に備えた側壁燃料供給器25から燃料を噴射し、燃焼室11内で旋回しながら燃料と空気を混合を進める方法でも、混合気を供給する場合と同じように、ほぼ軸対称な円筒状火炎21を形成できる。図3(a)はこの発明の他の実施形態の円筒状燃焼室の中心軸を含む平面での断面図であり、図3(b)はその中心軸に垂直な平面によるC−C断面図(矢視C−C)である。この実施形態では、低出力時には、底面燃料供給器26からのみ燃料を供給し、スロット状開口18からは空気だけを流入させて燃焼を行わせ、高出力時には側壁燃料供給器25から燃料を噴射し、その燃料とスロット状開口18から流入する空気とを円筒状燃焼室11内で旋回しながら混合させて燃焼させるようにする。高出力時の出力の制御は、側壁燃料供給器25からの燃料流量の制御のみで行う。このようにすると、従来の円筒内旋回燃焼器に比べ、燃料/空気比が格段に小さい条件での運転が可能になる。NOxの排出を極小にするには、焼効率が低下しない範囲で、底面燃料供給器26からの燃料流量を絞り込むことが有効である。
【0030】
図4は、他の例を縦断面図として示す概念図である。上流部の形態は図1に示したものと基本的に同一である。その下流に内径の異なる円筒内旋回方式の燃焼室11bを接続部41を介して接続している。このようにすれば、空気流量が制御できない場合でも、各段の燃料流量を制御することによって、燃焼装置の発熱率やエンジンの出力を制御できる。多段化することによって各段の燃料/空気比の設定の自由度が高まるのでより適切な設定が可能となり、図1あるいは図2に示すものよりもさらに広い範囲にわたりNOxの低減と完全燃焼を同時に実現できる。
【0031】
このでは、更に、接続部41の壁面に燃料を燃焼室11b内に供給する接続部燃料供給器27を備えており、接続部燃料供給器27から供給される燃料は、既に第2実施形態における底面燃料供給器26と同様な効果をもたらすことができ、燃料/空気比の設定の自由度が高まるのでより適切な設定が可能となり、円筒内旋回燃焼方式を1段採用した第2実施形態又は実効的に2段採用した第1実施形態によるよりも更に広い範囲に渡りNOxの低減と完全燃焼を同時に実現できる。
【0032】
最下流の円筒内旋回方式の燃焼室の下流側には、希釈空気が流入する流入口23を設けた延長ダクト24bが接続されている。この流入口23には、希釈空気は燃焼器の断面中心にむけて流出するように延長ガイド44を設けるとより効果的である。この希釈空気の導入は、上流の円筒内旋回方式の燃焼室で生じた旋回成分を弱める上で有効である。特に、ガスタービンでは、燃焼器からの高温ガスの強い旋回成分が下流のタービンの効率に悪影響を与えるので、そうした旋回成分を回避することが必要である。空気の代わりに混合気を使用すれば、燃焼ガスの温度を更に高めることもできる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の円筒内旋回燃焼器においては、円筒内旋回方式燃焼室の底面において、その周辺部に底面燃料供給器を設け、燃料を燃焼室内に供給できるようにしているので、その燃料とスロット状開口からの空気や混合気とは適度に混合を行うとともに、底面近傍の中心付近には燃料濃度の高い領域が形成され、これがスロットから流入する混合気、あるいはスロットから流入する空気と燃焼室側壁に設けた側壁燃料供給器からの燃料とが燃焼室内で混合して出来る混合気の火炎の、特に希薄側での保持に効果をもたらし、燃焼器全体として、希薄側の燃焼可能範囲を飛躍的に広げることができる。それらの結果、面倒な空気流量の制御なしに、広い燃料/空気比の範囲にわたってNOxの排出を抑制して燃焼装置やエンジンを運転することができる。
【0034】
そして、請求項1及び請求項3の円筒内旋回燃焼器においては、混合気の形成が燃焼室内部で行われるので、逆火の問題を完全に排除でき、安全性の高い装置が実現できる。また、空気と接触すると容易に発火するような物質を安全に燃焼させることが可能になるという効果がある。
【0035】
請求項2に記載の円筒内旋回燃焼器においては、内径の異なる円筒内旋回方式燃焼室が接続されているので、各段への混合気の燃料/空気比を制御するだけで、非常に広範な燃料/空気比にわたって、低NOxと完全燃焼を両立できる。複雑な空気流量制御を必要としないという点だけからみても、コストや耐久性に優れたクリーンな燃焼器やエンジンを実現できる。
【0036】
さらに、請求項に記載の円筒内旋回燃焼器においては、前記接続部の壁面に、周方向に接続部燃料供給器を備え、当該壁面の構造に応じて上流側、あるいは下流側の燃焼室内に燃料を噴射するようにしているので、全体として燃料/空気比のより小さなところまで燃焼が可能になり、さらに適切に燃料を配分することで、低NOxと高い燃焼効率を得ることができる効果がある。
【0037】
また請求項5に記載の円筒内旋回燃焼器においては、最下流に位置する円筒内旋回燃焼室の出口に、その内径よりも内接円の直径が大きい延長ダクトを接続しているので、その接続部には段差が形成され、その下流に循環流が形成されるので、壁面に沿って未燃焼成分や混合気が流出する場合において、それらを燃焼させることができるという、実用上重要な効果がある。また、前記延長ダクトの側壁に、空気、燃料又は、空気と燃料の混合気のいずれかがほぼ半径方向中心に向かって流入する流入口を設け、それらが上流からの燃焼ガスと混合させるようにすることにより、燃焼ガスの旋回を弱めるとともに、燃焼ガス温度の調節、出口における燃焼ガスの温度分布の最適化が可能になる。
【0038】
また請求項6に記載の円筒内旋回燃焼器においては、最下流に位置する円筒内旋回燃焼室の出口に、その内径よりも内接円の直径が大きい延長ダクトを接続しているので、その接続部には段差が形成され、その下流に循環流が形成されるので、壁面に沿って未燃焼成分や混合気が流出する場合において、それらを燃焼させることができるという、実用上重要な効果がある。また、前記流入口を、それよりも上流における旋回とは逆方向の旋回を生じる角度で設けてあり、そこから空気、燃料、混合気を噴射すると、旋回を弱める効果がより強くなる効果があり、燃焼器からの燃焼ガスが強い旋回を持つことが有害な場合、例えばガスタービンなどへの適用においては旋回抑制の有効な手段となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例における円筒内旋回燃焼器の概念図である。
【図2】本発明の他の参考例における円筒内旋回燃焼器の概念図である。
【図3】本発明の実施形態における円筒内旋回燃焼器の概念図である。
【図4】本発明のさらに他の参考例における円筒内旋回燃焼器の概念図である。
【図5】本明細書における円筒状燃焼室の底面における周辺部の定義の説明図である。
【図6】予混合円筒内旋回燃焼方式を採用した従来技術の燃焼器の概念図である。
【符号の説明】
11 円筒状燃焼室 11a パイロット燃焼室
12,12a 底面 13,13a 開口
14 空気 15 燃料
16,16a 円筒状燃焼室の側壁面 17,17a 混合気
18,18a スロット状開口 19 スロット状開口に繋がる流路
20 円筒状燃焼室の中心軸 21 円筒状火炎
22,22a 旋回流れ 23 流入口
24 延長ダクト 25 側壁燃料供給器
26 底面燃料供給器 27 接続部燃料供給射器
44 ガイド 56 仮想延長部
57 仮想円筒 58 底面の環状部分
59 底面燃料供給器の開口 61 段差
62 保熱部材

Claims (6)

  1. 一端を底面とする円筒状燃焼室の内部に当該円筒状燃焼室の中心軸周りの旋回流れが形成され且つ前記中心軸について略軸対称な円筒状火炎面が保持される円筒内旋回燃焼器において、前記円筒状燃焼室の底面の周辺部に燃料を前記円筒状燃焼室内に供給するための底面燃料供給器が設けられ、且つ前記円筒状燃焼室の側壁に、側壁燃料供給器が配置されていると共に空気を供給する細長のスロット状開口が設けられていることを特徴とする円筒内旋回燃焼器。
  2. 前記円筒状燃焼室の下流に、接続部を介して、当該円筒状燃焼室と直径が異なると共に前記中心軸周りの旋回流れが形成され且つ略軸対称な円筒状火炎面が形成される1個以上の延長円筒状燃焼室が接続されていることを特徴とする請求項に記載の円筒内旋回燃焼器。
  3. 前記延長円筒状燃焼室の側壁に、側壁燃料噴射器が配置され、且つ空気を供給する細長のスロット状開口が設けられていることを特徴とする請求項に記載の円筒内旋回燃焼器。
  4. 前記接続部の壁面には、周方向に接続部燃料噴射器が配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の円筒内旋回燃焼器。
  5. 最下流の円筒内旋回方式の円筒状燃焼室の出口部に、該円筒状燃焼室の内径よりも内接円の直径が大きい延長ダクトが接続され、該延長ダクトの側壁には、空気、燃料、又は空気と燃料の混合気のいずれかを略中心に向けて流入させる流入口が形成され、上流の円筒内旋回方式の円筒状燃焼室で生じた旋回成分を弱めるようにしてなることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の円筒内旋回燃焼器。
  6. 最下流の円筒内旋回方式の円筒状燃焼室の出口部に、該円筒状燃焼室の内径よりも内接円の直径が大きい延長ダクトが接続され、該延長ダクトの側壁には、空気、燃料、又は空気と燃料の混合気のいずれかを上流の円筒状燃焼室の旋回とは逆方向の旋回を生じる向きに円筒状燃焼室内に流入させる流入口が形成され、上流の円筒内旋回方式の燃焼室で生じた旋回成分を弱めるようにしてなることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の円筒内旋回燃焼器。
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