JP3817625B2 - バーナ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンおよび加熱炉などで好適に用いられる燃料ガスを燃焼するためのバーナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地域発電、地域暖房などを行うために種々のコージェネレーションシステムが提案され実用に供されている。このようなコージェネレーションシステムの代表的な1つのシステムは、燃料ガスを燃焼するためのバーナ装置と、バーナ装置によって燃焼された燃焼ガスによって回転駆動されるガスタービンとを備え、ガスタービンの回転を利用して発電が行われる。
【0003】
このようなコージェネレーションシステムにおけるバーナ装置は、第1のガス供給手段からの燃料ガスが供給される1次ノズル手段と、第2のガス供給手段からの燃料ガスが供給される2次ノズル手段とを備えたものがある。1次ノズル手段は第1の流路を規定し、第1の流路を流れる空気流に第1のガス供給手段からの燃料ガスが噴出され、これによって可燃性の混合ガスが生成される。また2次ノズル手段は第2の流路を規定し、第2の流路を流れる空気流に第2のガス供給手段からの燃料ガスが噴出され、これによって1次ノズル手段の混合ガスよりもガス濃度の低い可燃性の混合ガスが生成される。このようなバーナ装置では、1次ノズル手段の混合ガスのガス濃度が2次ノズル手段の混合ガスのガス濃度よりも高いので、1次ノズル手段の混合ガスが燃焼され、そしてこの1次ノズル手段の燃焼ガスを利用して2次ノズル手段の混合ガスが燃焼される。燃料ガスをこのように燃焼することによって希薄燃焼が可能となり、また燃焼ガスの燃焼温度を低くすることができ、これによって窒素酸化物(NOx)の発生を抑えた高効率な燃焼が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなバーナ装置では第2の流路に噴出される燃料ガスの噴出量を制御することによって、バーナ装置の燃焼出力を制御する。燃焼出力を下げるために燃料ガスの噴出量を少なくすると、燃料ガスに対して空気が過大となって2次ノズル手段からの燃焼火炎が消えたり、燃料ガスの噴出制御が追付かなくなる。したがって低負荷では、2次ノズル手段の燃焼状態が不安定となり、不完全燃焼が発生しやすくなるという問題がある。
【0005】
また1次ノズル手段からの燃料ガスを燃焼させながら2次ノズル手段からの燃焼火炎を消したりつけたりすると、燃焼ガスの温度変動を引起こし、この燃焼ガスが送給されるガスタービンでは負荷変動の原因となる。
【0006】
本発明の目的は、燃料ガスの供給流量にかかわらず燃料ガスを安定して燃焼させることができ、燃料ガスを完全燃焼させることのできるバーナ装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は燃料ガスを噴出する主ノズル孔およびパイロットノズル孔を有するノズル体と、
ノズル体を外囲して設けられ、内流路を規定する内筒体であって、ノズル体と内筒体との間には内流路につらなる導入流路が規定されており、さらに内筒体の周壁にガス導入流孔が主ノズル孔に対向して前記導入流路を挟んで形成される内筒体と、
内筒体の半径方向外方に間隔をあけて設けられ、外流路を規定する外筒体と、
内筒体と外筒体との間に設けられ、ガス流れ方向上流側の一端部が主ノズル孔およびガス導入孔の軸線よりも前記ガス流れ方向下流側に設けられ、外流路を半径方向に複数の流路に仕切る円筒状の仕切筒体と、
ノズル体に燃料ガスを供給するガス供給手段と、
導入流路および外流路に空気を供給する空気供給手段とを含むことを特徴とするバーナ装置である。
【0008】
本発明に従えば、内流路を規定する内筒体はノズル体を外囲して設けられ、内筒体とノズル体との間に内流路につらなる導入流路が形成されており、導入流路と外流路に空気が供給される。導入流路は内筒体とノズル体との隙間に形成されるので、外流路よりも断面積が小さく、導入流路を介して内流路に流入する空気流量は外流路に比べて小さくなる。また主ノズル孔とガス導入孔とは前記導入流路を挟んで対向して設けられているので、燃料ガスは主ノズル孔から前記導入流路を介してガス導入孔に向けて噴出される。これによって、主ノズル孔からの燃料ガスの噴出量が少ないとき、すなわち燃料ガスの噴出速度が低いとき、主ノズル孔からの燃料ガスは導入流路を流れる空気流の作用を受けて空気流とともにガス流れ方向下流側の内流路に向かって流れる。主ノズル孔からの燃料ガスの噴出量が多くなると、すなわち燃料ガスの噴出速度が速くなると、主ノズル孔からの燃料ガスは導入流路を流れる空気流に打勝って、導入流路を横切ってガス導入孔に流入して外流路に向かって流れる。外流路に流入した燃料ガスは、流入量が少ないと仕切筒体によって仕切られた内側の流路内に主として流入し、流入量が多くなると外側の流路内に主として流入する。このように主ノズル孔からの燃料ガスの噴出量が少ないとき、燃料ガスが空気流入量の少ない内流路に主に流入するので、混合ガスの当量比(空気比の逆数)が燃焼可能範囲よりも過小になることが防止され、燃焼火炎は消炎することなく安定的に燃焼を続けることができる。また外流路に流入する燃料ガスの流入量の増減につれて、燃料ガスの主として流入する流路が切換わるので、各流路の断面積を燃料ガスの流入量に見合った空気供給量が得られるように設定すれば、混合ガスの当量比が適正に保たれる。これによって、外流路に流入する燃料ガスの流量が少ないときでも、当量比は燃焼可能範囲よりも過小になることが防止されるので、外流路における燃焼火炎の消炎が防止される。したがって、本発明のバーナ装置は燃料ガスの供給流量にかかわらず安定した燃焼状態で燃焼することができ、燃料ガスの不完全燃焼を防止することができる。
【0009】
また本発明の前記主ノズル孔およびガス導入孔の軸線は、共通の一直線上に存在し、ガス導入孔の内径は主ノズル孔の内径よりも大きく、前記主ノズル孔の軸線と内筒体の軸線との成す角度θは10度≦θ≦90度の範囲の値であることを特徴とする。
【0010】
本発明に従えば、主ノズル孔およびガス導入孔の軸線は共通の一直線上に存在し、ガス導入孔の内径は主ノズル孔の内径よりも大きく、前記主ノズル孔の軸線と内筒体の軸線との成す角度が適正に設定されているので、主ノズル孔から噴出された燃料ガスは、吐出量が多いとき確実にガス導入孔に導かれ、外流路に流入することができる。
【0011】
また本発明の前記仕切筒体の燃料ガス流れ方向上流側の一端部は、前記主ノズル孔の軸線よりも下流側にずらして取付けられており、前記ずれの大きさの仕切筒体の全長に対する比率Rは0≦R≦80%の範囲の値であることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、仕切筒体の一端部は前記主ノズル孔の軸線よりも下流側にずらして取付けられており、かつずれの大きさが適正に設定されているので、外流路に流入した燃料ガスを流入量に応じて所望の流路に確実に導くことができる。
【0013】
また本発明の前記仕切筒体の一端部の外径は、それ以外の部分の外径よりも小さいことを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、仕切筒体の一端部の外径はそれ以外の部分の外径よりも小さく絞られているので、外流路の内側の流路における入側断面積が小さくなり、外流路の内側の流路に流入する空気量を減少させることができる。また外流路に流入する燃料ガスの流入量が少ないとき、流入した燃料ガスは空気流の作用で外流路の内側の流路に流入するので、外流路の内側の流路では、燃料ガスの流入量と空気量とが見合い、混合ガスの当量比は燃焼可能範囲よりも過小になることが防止される。
【0015】
また本発明の前記外流路の空気の流速は、内流路の空気の流速よりも高速であることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、内流路に流入する空気は、導入流路を介して供給されるので、内流路の空気流量は導入流路の入口部分の断面積によって定まる。導入流路はノズル体と内筒体との間に形成されるので、その入口部分の断面積は小さく、外流路の入口部分の断面積よりも小さい。したがって、内流路に流入する空気流量は外流路に流入する空気流量よりも小流量である。また内流路では、空気が断面積の小さい導入流路から相対的に断面積の大きい内流路に流入するので、内流路の空気の流速が断面積の拡大によって低下し、外流路の空気の流速よりも低速になる。このように、内流路における空気の流速および流量が外流路におけるそれらよりも低速で、かつ小流量であるので、内流路に流入する燃料ガスの流量が少ないときでも燃料ガスと空気との混合ガスの当量比が燃焼可能範囲よりも過小になることが防止され、内流路における燃焼火炎の消炎が防止される。
【0017】
また本発明は、複数の前記仕切筒体が半径方向に間隔をあけて同軸に設けられ、複数の仕切筒体によって仕切られる各流路の断面積が半径方向外方になるほど大きいことを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、仕切筒体が半径方向に間隔をあけて複数同軸に設けられているので、ガス導入孔を介して外流路に流入した燃料ガスは流入量が少ないときには空気流の作用によって最も内側の流路に主として流入し、流入量が増加するにつれて順次外側の流路に主として流入する。また複数の仕切筒体によって仕切られる各流路の断面積が半径方向外方になるほど大きくなるように設定されているので、外側の流路に供給される空気流量は内側の流路に供給される空気流量よりも多くなる。これによって、きめ細かく主流入流路を切換えることができるとともに、各流路に供給される空気流量に見合った燃料ガスを流入させることができる。したがって、各流路における混合ガスの当量比が燃焼可能範囲よりも過小になることが確実に防止され、燃焼火炎の消炎が防止される。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態であるバーナ装置の主要部の構成を簡略化して示す断面図であり、図2は図1に示すバーナ装置の全体構成を簡略化して示す断面図である。バーナ装置1はディフューザ2を備え、このディフューザ2に円筒状の保持ケース4がフランジ5を介して取付けられている。保持ケース4内には、燃焼ケース6が配設されており、燃焼ケース6の一端部はディフューザ2に装着されている。ディフューザ2には、空気流路8が形成され、この空気流路8を介して燃焼用空気が燃焼ケース6の一端部に供給される。燃焼用空気(以後、空気と略称する)は、空気圧縮機9によって圧縮された状態で送給される。
【0020】
ディフューザ2には、取付支持ブロック16が装着され、取付支持ブロック16に外ガス送給管18の一端部が装着されている。外ガス送給管18の他端部には、ノズル体20が装着されている。ノズル体20は内部に空間22が形成され、この内部空間22を軸線方向に貫通して仕切スリーブ24が装着されている。前記内部空間22は、仕切スリーブ24によって内側の第1空間22aと、第1空間22aの外側の第2空間22bとに仕切られている。外ガス送給管18の他端部は、噴射ノズル体20の第2空間22bに連通されている。外ガス送給管18の内側には内ガス送給管26が配設され、その一端部が取付支持ブロック16に装着され、その他端部がノズル体20に装着されている。内ガス送給管26は、ノズル体20の第1空間22aに連通されている。
【0021】
内ガス送給管26および外ガス送給管18には、燃料ガスを供給するためのガス供給手段であるガス供給装置27が接続されている。ガス供給装置27は、燃料ガスが蓄えられたガス供給源25、ガス供給源25から内ガスおよび外ガス送給管26,18に燃料ガスを個別に導く第1および第2ガス送給管28,30およびガス供給源25から供給されるガスの流量を制御する流量制御弁29a,29bを含む。燃料ガスとしては、たとえば都市ガスを好適に用いることができる。
【0022】
ノズル体20の外側には内筒体10が装着されている。内筒体10は、ステンレス鋼製の略円筒状部材であり、その内部空間は内流路45(以後、第1流路と呼ぶ)を規定する。内筒体10の一端部には外向き突部11が形成されており、外向き突部11は空気を内流路である第1流路45内に流入しやすくする。内筒体10の一端部における周壁の内周面には、周方向に間隔をあけて半径方向内方に突出する内突起34が一体的に設けられている。内筒体10は、複数個(本実施の形態では8個)の内突起34を介してノズル体20に同軸に支持されている。
【0023】
図3は図1に示すバーナ装置の主要部を拡大して示す断面図であり、図4は図3の切断面線IV−IVから見た断面図であり、図5は図解の便宜のために図4からノズル体を取外した状態の断面図である。ノズル体20は、外径が大きい大径部31と、半径方向内方にテーパ状に延びる中間テーパ部33と、外径が小さい小径部35と先端テーパ部37とを有し、これらが先端側に向けてこの順序で設けられている。ノズル体20は、先端部をガス流れ方向下流側(以後、下流側と呼ぶ)に向けて取付けられている。またこれに関連して、内筒体10の各内突起34は、先端面が軸線方向に延びる支持部34aと、この支持部34aから半径方向内方に傾斜して延びる傾斜部34bとを有し、支持部34aにノズル体20の大径部31が装着されている。このような装着状態においては、ノズル体20の中間テーパ部33に対向して内突起34の傾斜部34bが位置し、中間テーパ部33と内突起34の傾斜部34bとの間にはわずかの間隙39が存在する。また内筒体10とノズル体20との間には、図4および図5に示すように周方向の所定範囲にわたって、換言すると内突起34の支持部34aが存在する領域を除く領域に略環状の間隙38が存在する。これらの間隙38および中間テーパ部33と傾斜部34bとの間隙39は、導入流路を形成する。空気流路8からの空気は、導入流路の入口部分から流入し、導入流路を通過して内筒体10内の第1流路45に導かれる。
【0024】
ノズル体20の小径部35と内筒体10の一端部との間には、インナスワラ36が配設されている。インナスワラ36は、図6に示すように周方向に間隔をあけて配設された複数個(本実施の形態では8個)の旋回羽根32から構成され、本実施の形態では、内突起34の傾斜部34bの下流側に隣接して内筒体10の内周面に一体的に設けられている。したがって、導入流路であるノズル体20と内筒体10との間隙38を通過して流れる空気は、このインナスワラ36によって旋回流と成り、旋回流の状態で第1流路45内を図1および図2において下流側に流れる。インナスワラ36は、内筒体10と別体に形成して両者の間に介在させるようにしてもよい。
【0025】
再び図1および図2を参照して、内筒体10の半径方向外方には間隔をあけて外筒体12が装着されている。外筒体12は、ステンレス鋼製の略円筒状部材であり、内筒体10との間に外流路47を規定する。外筒体12の一端部の内周面、すなわち外流路47の入口部分には、アウタスワラ40が一体的に設けられており、外筒体12はアウタスワラ40を介して内筒体10の外周面に同軸に装着されている。アウタスワラ40は、インナスワラ36と同様に周方向に間隔をあけて配設された複数個(本実施の形態では12個)の旋回羽根から構成される。このようにアウタスワラ40が設けられているので、外流路47の入口部分から導入される空気は、アウタスワラ40の作用によって旋回流と成り、旋回流の状態で外流路47を図1および図2において下流側に流れる。このアウタスワラ40は、外筒体12と別体に形成して内筒体10および外筒体12の間に介在させてもよい。
【0026】
外筒体12の一端部には、半径方向外方に突出する環状フランジ42が一体的に設けられ、この環状フランジ42の先端部に燃焼筒14の一端部が取付ねじによって取付けられている。燃焼筒14は、内筒体10および外筒体12に同軸に配設され、燃焼ケース6との間には略環状の空間51が存在する。外筒体12の長さ方向中央部には、略直円筒状の筒部41が設けられており、外筒体12の他端部には、わん曲部43を介してリング板状の外向き突部44が形成されている。
【0027】
本実施の形態では、図3および図4に示すようにノズル体20の先端テーパ部37には周方向に間隔をあけて複数個(本実施の形態では8個)のパイロットノズル孔46が形成され、これらパイロットノズル孔46がノズル体20の第1空間22aに連通されている。またノズル体20の中間テーパ部33には略半径方向に延びる主ノズル孔48が周方向に間隔をあけて複数個(本実施の形態では8個)形成されている。これら主ノズル孔48は、ノズル体20の第2空間22bに連通されている。さらに主ノズル孔48の各々に対応して、内筒体10の内突起34の傾斜部34bにはガス導入孔50が内筒体10の周壁を貫通して形成され、主ノズル孔48とガス導入孔50とが間隙39を挟んで相互に対向して配置されている。
【0028】
主ノズル孔48およびガス導入孔50の軸線は、内筒体10の軸線10aを含む仮想平面内に存在し、かつ仮想平面内における共通の一直線上に存在する。前記共通の軸線49は、下流側に向かうにつれて内筒体10の軸線10aから離れるように延び、前記軸線49と軸線10aとの成す角度θ(以後、主ノズル孔噴出角度と呼ぶ)は10度≦θ≦90度の範囲の値に設定される。主ノズル孔噴出角度θの上限値が90度に限定されるのは、上限値を超える角度では、主ノズル孔48およびガス導入孔50をノズル体20の中間テーパ部33および内突起34の傾斜部34bに形成することが物理的に困難であるためである。主ノズル孔噴出角度θの下限値の限定理由については後述する。前記ガス導入孔50の内径D1は、ノズル体20の主ノズル孔48の内径D2と実質上等しくまたはこれよりも大きく設定することが望ましい。これによって、主ノズル孔48から噴出された燃料ガスはガス導入孔50に流入しやすくなる。
【0029】
内筒体10と外筒体12との間には、仕切筒体54が設けられている。仕切筒体54は、ステンレス鋼製の略円筒状部材であり、外流路47を半径方向に仕切る。仕切筒体54によって仕切られた内側の流路55(以後、第2流路と呼ぶ)の断面積は、外側の流路56(以後、第3流路と呼ぶ)の断面積よりも小さくなるように形成される。この理由は後述する。仕切筒体54のガス流れ方向上流側一端部は、図3に示すように前記軸線49よりも下流側にずらして取付けられている。前記ずれの大きさは、軸線49と仕切筒体54の延長との交点をKとすると交点Kから仕切筒体の一端部までの距離L2によって表される。本実施の形態では前記ずれの大きさL2の仕切筒体54の全長L1に対する比率R(=L2/L1×100)は0≦R≦80%の範囲の値に設定されることが好ましい。この理由についても後述する。
【0030】
このように構成されているので、ガス送給管28を介して供給される燃料ガスは、内ガス送給管26を介してノズル体20の第1空間22aに送給され、パイロットノズル孔46を介して噴出される。内筒体10は、図1および図2に示すように第1流路45を規定し、この第1流路45の一端部、すなわち上流側部はノズル体20と内筒体10との間に延びて前記導入流路を形成する。空気流路8を流れる空気の一部は、前記導入流路を通過して下流側の第1流路45に流入する。パイロットノズル孔46から噴出される燃料ガスは、インナスワラ36によって旋回流を形成している空気流に向けて噴出され、旋回流の作用によって実質状均一に混合されて希薄な混合ガスとなる。パイロットノズル孔46から噴出される燃料ガスの噴出量は、ガス供給装置27の流量制御弁29aを操作することによって制御することができる。
【0031】
ガス送給管30を介して供給される燃料ガスは、外ガス送給管18を介してノズル体20の第空間22bに供給され、主ノズル孔48から噴出される。外筒体12および仕切筒体54は、図1〜図3に示すように、略環状の第2および第3流路55,56を規定し、空気流路8を流れる空気の一部はアウタスワラ40を介して第2および第3流路55,56に流入して下流側に流れる。主ノズル孔48から噴出される燃料ガスは、後述するように間隙39を通過して第1流路45に、また間隙39を横断してガス導入孔50を介して外流路47に噴出される。外流路47に噴出された燃料ガスは、アウタスワラ40によって旋回流を形成している空気流に向けて噴出され、旋回流の作用によって均一に混合されて希薄な混合ガスとなる。主ノズル孔48から噴出される燃料ガスの噴出量は、ガス供給装置27の流量制御弁29bを操作することによって制御することができる。
【0032】
空気流路8を介して流れる空気の残部は、燃焼筒14と燃焼ケース6との間の空間51を通過して流れる。本実施の形態では、燃焼筒14には周方向および軸線方向に間隔をあけて複数個の空気孔52が形成されており、空間51を介して流れる空気はこれら空気孔52を通過して燃焼筒14内に導入される。空気孔52を通過して導入される空気は、燃焼筒14の内周面に沿って流れる空気層を形成し、この空気層によって燃焼筒14が冷却される。また燃焼筒14には希釈孔53が設けられており、空間51を流れる空気が希釈孔53を通過して燃焼筒14内に導入され、導入した空気によって燃焼ガスの温度が異常に上昇しないように低下される。
【0033】
内筒体10、仕切筒体54および外筒体12の他端部(以後、先端部と呼ぶことがある)は、図1および図2に示すように実質上同じ位置またはほぼ同じ位置まで下流側に延びており、燃焼筒14の他端部はそれらよりもさらに下流側に延びている。したがって、第1流路45を流れる混合ガスによる燃焼火炎は、内筒体10の内部もしくは先端部から下流側に生成され、第2および第3流路55,56を流れる混合ガスによる燃焼火炎は仕切筒体54および外筒体12の先端部から下流側に生成される。
【0034】
本実施の形態では、第1流路45を流れる混合ガスのガス濃度は第2および第3流路55,56を流れる混合ガスのガス濃度よりも濃くなるように設定されている。そして、このことに関連して混合ガスを点火するための点火プラグ58が第1流路45内に突出して設けられている。点火プラグ58は、その基部が保持ケース4に装着され、その先端部が燃焼ケース6、燃焼筒14、外筒体12、仕切筒体54および内筒体10を貫通して第1流路45内に突出している。点火プラグ58の先端点火部は、第1流路45を流れる混合ガスに向けて火花を発生し、この火花によって第1流路45の混合ガスが点火燃焼される。さらに第1流路45において発生した燃焼ガスの火炎が第2および第3流路55,56を流れる混合ガスに伝播され、この火炎の伝播によって第2および第3流路55,56の混合ガスが燃焼される。
【0035】
前記導入流路を規定するノズル体20と内筒体10との間隙は、内筒体10と仕切筒体54との間隙および仕切筒体54と外筒体12との間隙よりも小さく設定されている。これによって、導入流路の入口部分の断面積は外流路47の入口部分の断面積よりも小さくなるので、導入流路を介して内流路である第1流路45に流入する空気流量は、外流路47に流入する空気流量よりも小流量になる。また導入流路の入口部分から流入した空気は、導入流路の狭い間隙を通過した後、下流側の相対的に広い断面積を有する第1流路45内に流入するので、第1流路45を流れる空気流の流速は比較的遅くなる。これに対して外流路47を形成する第2および第3流路55,56を流れる空気流の流速は比較的速くなる。すなわち本実施の形態では、外流路47における空気の流速は、第1流路45における空気の流速よりも高速になるように構成されている。このように、第1流路45における空気の流速および流量が外流路47におけるそれらよりも低速で、かつ小流量であるので、第1流路45に流入する燃料ガスの流量が少ないときでも、燃料ガスと空気との混合ガスの当量比が燃焼可能範囲よりも過小になることが防止される。したがって、第1流路45における燃焼火炎の消炎が防止され、混合ガスを安定して燃焼させることができる。
【0036】
燃焼筒14の先端部には、さらに筒状の導出筒60が設けられている。導出筒60は、下流側に延び、その先端部は先細に形成されている。導出筒60の先端部は、燃焼ケース6の先端部に装着された支持プレート64によって支持されている。燃焼筒14から導出筒60の一端部に導かれた燃焼ガスは、導出筒60内を通って先細の先端部に集められて下流側に流れる。導出筒60の先端側にはガスタービン62が配設されており、燃焼筒14内で燃焼された燃焼ガスは導出筒60を通過してガスタービン62に送給される。このようなバーナ装置1は、図7に示すようにガスタービン62の翼に対して仮想円63の周方向に間隔をあけて複数基、たとえば6基配設される。ガスタービン62は、各バーナ装置1からの燃焼ガスによって回転駆動される。
【0037】
このようなバーナ装置1では、点火時ガス供給装置27からの燃料ガスが内ガス送給管28を介してノズル体20の第1空間22aに送給され、第1空間22aからパイロットノズル孔46を介して燃料ガスが噴出される。したがって、第1流路45を流れる空気流に向けて燃料ガスが噴出され、比較的濃い濃度の混合ガスが第1流路45を通過して流れる。前記混合ガス流に向けて点火プラグ58から火花が発生すると、この火花によって混合ガスが燃焼し、第1流路45を流れる混合ガスが燃焼して燃焼ガスと成る。
【0038】
点火後、ガス供給装置27からの燃料ガスが外ガス送給管18を介してノズル体20の第2空間22bに送給され、第2空間22bから主ノズル孔48を介して燃料ガスが噴出される。燃料ガスの噴出量は、たとえば燃料ガスがノズル体20の中間テーパ部33と内筒体10の内突起34の傾斜部34bとの間隙39を横断し、ガス導入孔50を経て第2流路55内に流入できるように設定される。これによって、第2流路55を流れる空気流に向けて燃料ガスが噴出され、第1流路45を流れる混合ガスのガス濃度よりも薄い濃度の混合ガスが第2流路55を介して流れる。第2流路55を流れる混合ガスは、第1流路45からの火炎が第2流路55に伝播することによって、燃焼して燃焼ガスと成る。
【0039】
このように、第2流路55を流れる混合ガスが燃焼を開始すると、ガス供給装置27から内ガス送給管26を介してパイロットノズル孔46に供給される燃料ガスの供給が停止される。このような燃焼状態において、バーナ装置1の燃焼出力を下げるためにガス供給装置27からの燃料ガスの供給量を少なくすると、ノズル体20の主ノズル孔48から噴出される燃料ガスの噴出量が少なくなってその噴出速度も遅くなる。噴出速度が遅くなると、図3から明らかなように、主ノズル孔48から噴出される燃料ガスは、ノズル体20の大径部31と内筒体10との間を通り中間テーパ部33と内突起34の傾斜部34bとの間隙39を流れる空気流の作用を大きく受け、空気流とともに第1流路45に向かって流れるようになる。これによって、主ノズル孔48から噴出される燃料ガスの大部分は、第1流路45を通って流れ、ガス導入孔50を通って第2流路55に噴出される量は少なくなる。したがって、空気の流れが比較的遅く、かつ空気流量が少ない第1流路45において生成される混合ガスのガス濃度が濃くなり、燃料ガスの供給量が少ないにもかかわらず第1流路45において混合ガスが安定して燃焼する。
【0040】
これに対して、バーナ装置1の燃焼出力を上げるためにガス供給装置27からの燃料ガスの供給量を多くすると、ノズル体20の主ノズル孔48から噴出される燃料ガスの噴出量が多くなって、その噴出速度も速くなる。燃料ガスの噴出速度が速くなると、図3から明らかなように主ノズル孔48から噴出される燃料ガスはノズル体20の中間テーパ部33と内突起34の傾斜部34bとの間隙39を流れる空気流の作用に打勝って、間隙39を横断して内筒体10の傾斜部34bのガス導入孔50に流れるようになる。またガス導入孔50を介して供給される供給量は、燃料ガスの供給量が多くなるに従って多くなる。
【0041】
本実施の形態では、ガス導入孔50を介して外流路47に流入する燃料ガスは流入量によって主流入流路が切換わるように構成されている。すなわち燃料ガスの流入量が少なくて流入速度が遅いときには、燃料ガスはアウタスワラ40からの空気流の作用によって第2流路55に主として流入し、燃料ガスの流入量が多くて流入速度が速いときには、燃料ガスはアウタスワラ40からの空気流に打勝って第3流路56に主として流入にする。これによって、燃料ガスの流入量の多いときには断面積が大きくて空気流量の多い第3流路56に燃料ガスが主として流入し、燃料ガスの流入量の少ないときには断面積が小さくて空気量の少ない第2流路55に燃料ガスが主として流入するので、混合ガスの当量比が過小になることが防止され、各流路出側における燃焼火炎の消炎が防止される。したがって安定した燃焼状態を維持することができるとともに、消炎による不完全燃焼の発生を防止することができる。前述のように、第3流路56の断面積を第2流路55の断面積よりも大きく形成しているのはこの理由によるものである。
【0042】
このような外流路47における流入流路の切換えを円滑に行うためには、前述のように主ノズル孔噴出角度θを10度≦θ≦90度の範囲の値に設定することが好ましい。主ノズル孔噴出角度θの下限値を10度に限定したのは、下限値未満の角度では外流路47に流入した燃料ガスが内筒体10の外周面に沿って下流側に流れるので、その大半が第2流路55内に流入し、流入流量が増加しても第3流路56内に流入しにくくなるからである。したがって燃料ガスの流量に応じて主流入流路を円滑に切換えることができなくなる。主ノズル孔噴出角度θは、30度≦θ≦60度であることがさらに好ましく、θ=45度であることが最も好ましい。
【0043】
また前記流入流路の切換えを円滑に行うためには、前述のように仕切筒体54に関する前記ずれの大きさL2の仕切筒体54の全長L1に対する比率R(=L2/L1×100)を0≦R≦80%の範囲の値に設定することが好ましい。比率Rの下限値を零に限定したのは、下限値未満の比率Rでは仕切筒体54の一端部が前記交点Kよりも上流側、換言すれば主ノズル孔48の軸線49よりも上流側に設けられることとなり、主ノズル孔48から軸線49に沿って噴出される燃料ガスが第3流路56内に流入しにくくなるからである。比率Rの上限値を80%に限定したのは、上限値を超える比率Rでは仕切筒体54の位置が下流側に離れているので、外流路47に流入した燃料ガスが空気と均一に混合された後、第2および第3流路に供給されることとなり、仕切筒体54の仕切効果が発揮できなくなるからである。前記比率Rは5%≦R≦50%の範囲の値であることが特に好ましい。
【0044】
前述のように本実施の形態では、燃料ガスの供給量を多くして燃焼出力を増大させるときに、燃料ガスが外流路47の第2および第3流路55,56に流入し、燃料ガスの供給量を少なくして燃焼出力を低下させるときに、燃料ガスが第1流路45に流入するように構成されている。また外流路47に供給される空気流量は、内流路である第1流路45に供給される空気流量よりも大きくなるように構成されている。したがって、各流路において空気流量に見合った燃料ガスが供給され、燃焼火炎の消炎などの不具合を生ずることなく、混合ガスを安定して燃焼させることができる。
【0045】
このように、ノズル体20の主ノズル孔48から噴出される燃料ガスをその噴出量に応じて第1流路45および外流路47に流入するようにするには、第1流路45を流れる空気流の流速、主ノズル孔48の大きさおよびノズル体20の中間テーパ部33と内筒体10の傾斜部34bとの間の間隙39を適正に設定する必要がある。これらはバーナ装置1に要求される燃焼出力に基づいて設定され、たとえば前記間隙39は0.1〜1.0mm程度に設定することができる。またノズル体20の主ノズル孔48から噴出される燃料ガスを前記間隙39を流れる空気流に打勝って外流路47に充分噴出するためには、主ノズル孔48からの燃料ガスの最大噴出速度を1〜1000m/sの範囲にするのが望ましい。
【0046】
以上述べたように、本実施の形態のバーナ装置1では表1に示すように燃料ガスはその供給量が少ないときには、比較的濃い混合ガスとなって主として第1流路45において燃焼され、燃料ガスの供給量が中位のときには、比較的薄い混合ガスとなって主として第2流路55の出側において燃焼され、燃料ガスの供給量が多いときには、比較的薄い混合ガスとなって主として第3流路56の出側において燃焼される。これによってガス供給装置27からの燃料ガス供給量が大きく変わっても燃料ガスを安定して燃焼することができる。表1中の○印は燃料ガスが主に供給される流路を表す。
【0047】
【表1】
Figure 0003817625
【0048】
本実施の形態では、点火後にパイロットノズル孔46の燃料ガスの供給を停止しているけれども、これに限定されるものではなく、点火後も常時パイロットノズル孔46へ燃料ガスを供給して燃焼するようにしてもよい。また燃料ガスを外流路47に導くガス導入孔50は、内筒体10の内突起34に形成されているけれども、管状体を内筒体10の内周面に設けるように構成してもよい。また主ノズル孔48およびガス導入孔50の軸線は、同一であり、内筒体10の軸線10aを含む仮想平面内に存在するように構成されているけれども、アウタスワラ40からの空気の旋回流に沿って仮想平面に対して交差するように傾斜させてもよい。
【0049】
図8は、本発明の他の実施の形態であるバーナ装置の主要部の構成を簡略化して示す断面図である。本実施の形態のバーナ装置65の構成は、図1〜3に示すバーナ装置1の構成と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。注目すべきは、仕切筒体66の上流側一端部の外径が絞られており、その他の部分の外径よりも小さくなるように形成されている点である。これによって、第2流路55に流入する空気流量が減少するので、ガス導入孔50を介して外流路47に流入する燃料ガス流量が少ないとき、燃料ガスの主流路となる第2流路55内において少ない燃料ガスとそれに見合う減少した空気とを混合させることができる。したがって混合ガスの当量比が燃焼可能範囲よりも過小になることが防止され、燃焼火炎の消炎を防止することができる。その結果、混合ガスを安定して燃焼させることができ、燃料ガスを完全燃焼させることが可能となる。
【0050】
図9は、本発明のさらに他の実施の形態であるバーナ装置の主要部の構成を簡略化して示す断面図である。本実施の形態のバーナ装置68の構成は、前記バーナ装置1の構成と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。注目すべきは、本実施の形態では仕切筒体が3個設けられている点である。第1〜第3仕切筒体69,70,71は、内筒体10と外筒体12との間に内側からこの順序で設けられ、外流路47を4つに仕切って第2〜第5流路55,56,73,74を内側からこの順序で規定する。また各流路の断面積は、外側になるほど大きくなるように形成されており、第5流路74の断面積が最も大きい。このため、外側の流路になるほど供給される空気流量が多くなる。
【0051】
第3仕切筒体71の一端部は、主ノズル孔48の軸線49よりも下流側にずらして取付けられている。前記ずれの大きさは、前記軸線49と第3仕切筒体71の延長との交点をPとすると、交点Pから第3仕切筒体71の一端部までの距離L3によって表される。前記ずれの大きさL3の第3仕切筒体71の全長L4に対する比率R1(=L3/L4×100)は、前記バーナ装置1の場合と同様に0≦R1≦80%の範囲の値であることが好ましく、5%≦R1≦50%の範囲であることが特に好ましい。第1および第2仕切筒体69,70のガス流れ方向設置位置および全長は第3仕切筒体71と同一である。
【0052】
ガス導入孔50を介して外流路47に流入した燃料ガスは、流入量が少ないときには第2流路55に主として流入し、流入量が増大するにつれて順次外側の流路に主として流入する。これによって、本実施の形態では前記バーナ装置1に比べてさらにきめ細かく主流入流路を切換えることができるので、各流路に供給される空気流量に見合った燃料ガスを流入させることができ、各流路における混合ガスの当量比は燃焼可能範囲よりも過小になることがさらに確実に防止される。
【0053】
以上述べたように、本発明はガスタービンの燃焼器のバーナ装置として好適に用いることができる。しかしながら、本発明の用途はガスタービンのみに限定されるものではなく加熱炉のバーナ装置など広範囲な用途に好適に用いることが可能である。
【0054】
実施例
本発明のバーナ装置の効果を確認するために、実施例として図1〜図3に示すバーナ装置1を用いて燃料ガスの燃焼実験を行った。用いたバーナ装置1における各部材の寸法などは表2に示す通りであった。内筒体10の内突起34の傾斜部34bと、ノズル体20の中間テーパ部33との間隙39は0.5mmに設定した。仕切筒体54の一端部と、主ノズル孔48の軸線49とのずれL2の仕切筒体54の長さL1に対する比率R(=L2/L1×100)は10%に設定した。これに対して比較例として、仕切筒体を省略した点を除いて実施例と同一の構成を有するバーナ装置を用いて燃料ガスの燃焼実験を行った。
【0055】
【表2】
Figure 0003817625
【0056】
このようなバーナ装置を用いた燃焼実験では、空気流路8を介して温度350℃の空気を流量700Nm3 /hで供給した。供給された空気は、第1流路45、外流路47および燃焼筒14の外側の流路51を介して下流側に流れた。この燃焼筒14の外側の流路51を流れる空気は、燃焼筒14の空気孔52を介して燃焼筒14内に流入した。燃料ガスとしてメタンを用い、流量1Nm3/hでノズル体20のパイロットノズル孔から噴出させるとともに、流量24.7Nm3/hでノズル体20の主ノズル孔から噴出させた。供給した空気とメタンとを混合して混合ガスとし、点火プラグ58で点火させて混合ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成した。点火後、パイロットノズル孔46からのメタンの噴出を停止し、主ノズル孔48から噴出されるメタンの噴出流量を25.7Nm3/hにした。このときの混合ガスの当量比は0.35であった。その後メタン供給量を漸減して、換言すれば当量比を漸減して燃焼状態の変化を調べた。燃焼状態の評価は、燃焼効率と排出ガス中のNOx含有率で行った。その結果を図10および図11に示す。
【0057】
図10は混合ガスの当量比と燃焼効率との関係を示すグラフであり、図11は混合ガスの当量比と排ガス中のNOx含有率との関係を示すグラフである。燃焼効率は、混合ガス中の燃料ガスの完全燃焼の程度を表す指標であり、排ガス中の不完全燃焼生成物であるCOおよびHCの含有率(%)を測定することによって算出される。これらの成分は、燃焼火炎の消炎などによって不完全燃焼が生じていることを表す。したがって、排ガス中にCOおよびHCが含まれないとき燃焼効率は100%となる。図10および図11中において、実施例の実験結果を参照符75で表し、比較例の実験結果を参照符76で表す。図10中における参照符77は、実施例の第1流路45に燃料ガスが主として流入する当量比範囲を表しており、参照符78は実施例の第2流路55に燃料ガスが主として流入する当量比範囲を表しており、参照符79は実施例の第3流路56に燃料ガスが主として流入する当量比範囲を表している。また図10中における参照符80は、比較例の第1流路すなわち内筒体10内に燃料ガスが主として流入する当量比範囲を表しており、参照符81は比較例の第2流路すなわち外流路に燃料ガスが主として流入する当量比範囲を表している。
【0058】
図10から、当量比0.30〜0.35の範囲では実施例75および比較例76とも燃焼効率が100%であること、当量比0.30未満では実施例および比較例とも当量比が低くなるほど燃焼効率が低下すること、実施例75は比較例76に比べて当量比の低下に対する燃焼効率の低下度合いが小さいこと、したがって同一の当量比で比較すると実施例75は比較例76に比べて燃焼効率が良好であること、この傾向は特に当量比0.1〜0.25において、すなわち実施例のバーナ装置1の第2流路55に主として燃料ガスが流入しているときに顕著であることなどが判る。また図11から、排ガス中のNOx含有率は実施例75および比較例76ともほぼ同一であること、排ガス中のNOx含有率はともに低水準であることなどが判る。このように実施例のバーナ装置1は、当量比を低くしてもすなわちメタンの供給量を少なくしても低NOx性を保ったまま良好な燃焼効率を維持することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の本発明によれば、主ノズル孔からの燃料ガスの噴出量が少ないとき、燃料ガスが空気流入量の少ない内流路に主に流入するので、混合ガスの当量比が燃焼可能範囲よりも過小になることが防止され、燃焼火炎は消炎することなく安定的に燃焼を続けることができる。また外流路に流入する燃料ガスの流入量の増減につれて燃料ガスの主に流入する流路が切換わるので、各流路における混合ガスの当量比が適正に保たれる。これによって、外流路に流入する燃料ガスの流量が少ないときでも当量比が燃焼可能範囲よりも過小になることが防止されるので、外流路における燃焼火炎の消炎が防止される。したがって、燃料ガスの供給流量にかかわらず、混合ガスを安定して燃焼させることができ、燃料ガスの不完全燃焼を防止することができる。
【0060】
また請求項2記載の本発明によれば、主ノズル孔およびガス導入孔の軸線は共通の一直線上に存在し、ガス導入孔の内径は主ノズル孔の内径よりも大きく、かつ前記主ノズル孔の軸線と内筒体の軸線とのなす角度が適正に設定されているので、主ノズル孔から噴出された燃料ガスは、噴出量が多いとき確実にガス導入孔に導かれ外流路に流入することができる。
【0061】
また請求項3記載の本発明によれば、仕切筒体の一端部は前記主ノズル孔の軸線よりも下流側にずらして取付けられており、かつずれの大きさが適正に設定されているので、外流路に流入した燃料ガスを流入量に応じて所望の流路に確実に導くことができる。
【0062】
また請求項4記載の本発明によれば、仕切筒体の一端部の外径はそれ以外の部分の外径よりも小さく設定されているので、外流路の内側の流路における入側断面積が小さくなり、外流路の内側の流路に流入する空気量を減少させることができる。また外流路に流入する燃料ガスの流入量が少ないとき、流入した燃料ガスは外流路の内側の流路に流入するので、外流路の内側の流路では燃料ガスの流入量と空気量とが見合い、混合ガスの当量比が燃焼可能範囲よりも過小になることが防止される。
【0063】
また請求項5記載の本発明によれば、内流路の空気の流速は、外流路の空気の流速よりも低速である。また内流路に流入する空気流量は、外流路に流入する空気流量よりも小流量である。したがって、内流路に流入する燃料ガスの流量が少ないときでも、混合ガスの当量比が燃焼可能範囲よりも過小になることが防止され、内流路における燃焼火炎の消炎が防止される。
【0064】
また請求項6記載の本発明によれば、仕切筒体が半径方向に間隔をあけて複数同軸に設けられているのでガス導入孔を介して外流路に流入した燃料ガスは流入量が少ないときには最も内側の流路に主として流入し、流入量が増大するにつれて順次外側の流路に主として流入する。また複数の仕切筒体によって仕切られる各流路の断面積が半径方向外方になるほど大きくなるように設定されているので、外側の流路に供給される空気流量は内側の流路に供給される空気流路よりも多くなる。これによって、きめ細かく主流入流路を切換えることができるとともに、各流路に供給される空気流量に見合った燃料ガスを流入させることができる。したがって、各流路における混合ガスの当量比が燃焼可能範囲よりも過小になることが確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるバーナ装置の主要部の構成を簡略化して示す断面図である。
【図2】図1に示すバーナ装置の全体構成を簡略化して示す断面図である。
【図3】図1に示すバーナ装置の主要部を拡大して示す断面図である。
【図4】図3の切断面線IV−IVから見た断面図である。
【図5】図4からノズル体を取外した状態の断面図である。
【図6】インナスワラの構成を簡略化して示す斜視図である。
【図7】ガスタービンに対するバーナ装置の配置状況を示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施の形態であるバーナ装置の主要部の構成を簡略化して示す断面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施の形態であるバーナ装置の主要部の構成を簡略化して示す断面図である。
【図10】混合ガスの当量比と燃焼効率との関係を示すグラフである。
【図11】混合ガスの当量比と排ガス中のNOx含有率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1,65,68 バーナ装置
8 空気流路
10 内筒体
12 外筒体
14 燃焼筒
20 ノズル体
27 ガス供給装置
29 流量制御弁
34 内突起
36 インナスワラ
40 アウタスワラ
45 第1流路
46 パイロットノズル孔
47 外流路
48 主ノズル孔
50 ガス導入孔
52 空気孔
54 仕切筒体
55 第2流路
56 第3流路
58 点火プラグ
60 導出筒

Claims (6)

  1. 燃料ガスを噴出する主ノズル孔およびパイロットノズル孔を有するノズル体と、
    ノズル体を外囲して設けられ、内流路を規定する内筒体であって、ノズル体と内筒体との間には内流路につらなる導入流路が規定されており、さらに内筒体の周壁にガス導入流孔が主ノズル孔に対向して前記導入流路を挟んで形成される内筒体と、
    内筒体の半径方向外方に間隔をあけて設けられ、外流路を規定する外筒体と、
    内筒体と外筒体との間に設けられ、ガス流れ方向上流側の一端部が主ノズル孔およびガス導入孔の軸線よりも前記ガス流れ方向下流側に設けられ、外流路を半径方向に複数の流路に仕切る円筒状の仕切筒体と、
    ノズル体に燃料ガスを供給するガス供給手段と、
    導入流路および外流路に空気を供給する空気供給手段とを含むことを特徴とするバーナ装置。
  2. 前記主ノズル孔およびガス導入孔の軸線は、共通の一直線上に存在し、ガス導入孔の内径は主ノズル孔の内径よりも大きく、前記主ノズル孔の軸線と内筒体の軸線との成す角度θは10度≦θ≦90度の範囲の値であることを特徴とする請求項1記載のバーナ装置。
  3. 前記仕切筒体の燃料ガス流れ方向上流側の一端部は、前記主ノズル孔の軸線よりも下流側にずらして取付けられており、前記ずれの大きさの仕切筒体の全長に対する比率Rは0≦R≦80%の範囲の値であることを特徴とする請求項1または2記載のバーナ装置。
  4. 前記仕切筒体の一端部の外径は、それ以外の部分の外径よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバーナ装置。
  5. 前記外流路の空気の流速は、内流路の空気の流速よりも高速であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバーナ装置。
  6. 複数の前記仕切筒体が半径方向に間隔をあけて同軸に設けられ、複数の仕切筒体によって仕切られる各流路の断面積が半径方向外方になるほど大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバーナ装置。
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