JP3871173B2 - トナー濃度制御方法・トナー濃度制御装置・画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、トナー濃度制御方法・トナー濃度制御装置・画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
像担持体に潜像を形成し、形成された潜像に現像装置によりトナーを供給して顕像化し、顕像化されたトナー画像を画像担持体に転写・定着する画像形成装置は、デジタルやアナログの複写装置やレーザプリンタ、ファクシミリ装置等として広く知られている。
潜像の現像に用いられる粉体の現像剤は、トナーの他にキャリヤや流動性調整材等を含む複合的な混合体である。現像が実行されると、現像剤中のトナーが消費されて減少するため、現像剤中のトナー濃度が低下する。このため、必要に応じて、現像剤中にトナーを補給することが行われる。
現像剤に於けるトナー濃度は、高過ぎるとトナー画像に地肌汚れや解像力の低下等が発生し、低すぎるとトナー画像の像濃度が低下したり、トナー画像が擦れたりする不具合がある。このため、上記トナー補給を制御して、現像装置内の現像剤に於けるトナー濃度を適正な範囲に調整することが行われる。
トナー濃度制御は、基本的には「トナー濃度検出手段の出力:Vt を、基準値:Vref と比較し、その結果に基づき、トナー補給手段による現像装置へのトナー補給を制御する」ことにより行われる。基準値:Vref は、現像剤中にトナー補給を必要とするトナー濃度を、トナー濃度検出手段の出力に換算したものである。従って、「Vt−Vref=K」とすると、「K≧0」となったとき、Kが大きいほどトナー補給量を増大させる。
【0003】
ところで、画像形成装置を移動のために動かしたり、あるいは夏季休暇などで冷房を切られた高温・多湿のオフィス内に、画像形成装置が長時間、使用されずに放置されたような場合、新たに画像形成装置を動作させたとき、トナー補給手段の出力が「適正な出力値からずれる」ことがある。
この原因としては、画像形成装置を移動させたときの現像装置の傾きや機械的な振動が原因となって「現像装置内の現像剤のパッキング状態が変化」したり、画像形成装置が高温度・高湿度の環境下に長時間、不作動状態に置かれたことにより、現像剤の帯電量が低下し、嵩密度が変化したこと、あるいは、これらの原因が複合して生じたこと等が考えられる。
このような場合、トナー濃度検出手段の出力は、正しいトナー濃度を与えないので、トナー濃度検出結果に基づいてトナー補給が行われると、トナーの補給量が過大になったり不十分であったりして、現像剤におけるトナー濃度を適正な範囲に制御できなくなくなる虞れがある。
このような問題に対処する方法として、現像剤中のトナー濃度をトナー濃度検出手段により検出する一方、像担持体に基準的な潜像パターンを形成し、この潜像パターンを現像して得られる基準トナー画像の画像部・非画像部の反射濃度を光学センサにより検出し、その結果に基づき、前記基準値:Vref を補正する方法が知られている(特開平8−202137号公報)。この方法は有効であるが、トナー濃度検出手段による検出と、光学センサによる検出という、2系統の検出が必要なため、トナー濃度制御が複雑化し、トナー濃度制御装置として実施する場合には、トナー濃度検出手段と光学センサとを必要とするため、コストが高くなりやすい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、光学センサによる検出系統を用いること無く、トナー濃度検出のみで適正なトナー濃度制御を実現することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明のトナー濃度制御方法は「像担持体上に形成された潜像にトナーを供給して顕像化する現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段の出力:Vtを、基準値:Vrefと比較し、その結果に基づき、トナー補給手段による現像装置へのトナー補給を制御することにより現像装置内のトナー濃度を制御する方法」であって、以下の点を特徴とする。
即ち、前回の現像装置オフ時(現像装置が機能を停止する直前の動作状態)におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt1と、新規の現像装置オン時(現像装置が再駆動されたとき)におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt2とを比較し、比較結果に基づき「基準値:Vrefの補正値:ΔVrefと、該補正値:ΔVrefの画像形成枚数による変化と」を定める。 更に、新規の現像装置オン後、所定の時点におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt3を出力:Vt2と比較し、両者の差:ΔVtcが所定の閾値を超えるときは「補正値:ΔVref とその画像形成枚数による変化と」を別のものに変更する(請求項1)。
即ち、出力:V t3 の検出以後に対して、上記補正値:ΔV ref とその画像形成枚数による変化とを、上記ΔV tc に応じたものに変更する。
請求項2記載のトナー濃度制御方法は、請求項1記載のトナー濃度制御方法において、新規の現像装置オン時からトナー濃度検出手段の出力:Vt3を得るまでの間にトナー補給があったとき、トナー補給と出力:Vt3との対応関係に基づき、出力:Vt2と出力:Vt3との差:ΔVtcc を補正して「ΔVtc2」とし、補正されたΔVtc2が所定の閾値を超えるとき、基準値:Vrefの補正値:ΔVref とその画像形成枚数による変化とを、別のものに変更することを特徴とする。
即ち、出力:V t3 の検出以後に対して、基準値:V ref の補正値:ΔV ref とその画像形成枚数による変化とを、上記ΔV tc2 に応じたものに変更する。
【0006】
この発明のトナー濃度制御装置は「現像装置内におけるトナー濃度を制御する装置であって」、トナー濃度検出手段と、トナー補給手段と、制御手段とを有する。
「トナー濃度検出手段」は、現像装置内のトナー濃度を検出する手段である。
「トナー補給手段」は、現像装置にトナーを補給する手段である。
「制御手段」は、トナー濃度検出手段の出力:Vtを、基準値:Vrefと比較し、その結果に基づき、トナー補給手段による現像装置へのトナー補給を制御する制御手段である。この制御手段は以下の如き制御を行う。
即ち、前回の現像装置オフ時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt1と、新規の現像装置オン時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt2とを比較し、比較結果に基づき、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefと、補正値:ΔVref の画像形成枚数による変化とを定めるとともに、新規の現像装置オン後、所定の時点におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt3を、出力:Vt2と比較し、両者の差:ΔVtcが所定の閾値を超えるとき、補正値:ΔVref とその画像形成枚数による変化とを、別のものに変更してトナー補給手段の制御を行う。即ち、出力:V t3 の検出以後に対して、上記補正値:ΔV ref とその画像形成枚数による変化とを、上記ΔV tc に応じたものに変更する。
請求項4記載のトナー濃度制御装置は、請求項3記載のトナー濃度制御装置において、制御手段が「新規の現像装置オン時からからトナー濃度検出手段の出力:Vt3を得るまでの間にトナー補給があったとき、トナー補給と出力:Vt3との対応関係に基づき、出力:Vt2と出力:Vt3との差:ΔVtcを補正してΔVtc2 とし、補正されたΔVtc2が所定の閾値を超えるとき、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefとその画像形成枚数による変化とを、別のものに変更して、トナー補給手段の制御を行う」ことを特徴とする。
即ち、出力:V t3 の検出以後に対して、基準値:V ref の補正値:ΔV ref とその画像形成枚数による変化とを、上記ΔV tc2 に応じたものに変更する。
【0007】
上記請求項3または4記載のトナー濃度制御装置において、トナー濃度検出手段として「現像剤の透磁率を検出する透磁率センサ」を用いることができる(請求項5)。請求項3または4または5記載のトナー濃度制御装置において、トナー濃度検出手段の出力:Vt3を取り込む「所定の時点」は、画像形成動作開始から「画像形成プロセス3回もしくは3回相当の動作時間」を経過した時点とすることができる(請求項6)。請求項3〜6の任意の1に記載のトナー濃度制御装置において、基準値:Vref の補正値:ΔVrefと、補正値:ΔVrefの画像形成枚数による変化とを、ΔVt (=Vt2−Vt1)に応じてテーブルとして制御手段に記憶させておき、ΔVtcが所定の閾値を超えたとき、制御手段が、Vt3−Vt1を新たにΔVt として、上記テーブルに基づき、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefと、補正値:ΔVref の画像形成枚数による変化とを定めるようにすることができる(請求項7)。
この発明の画像形成装置は「像担持体に潜像を形成し、形成された潜像に現像装置によりトナーを供給して顕像化し、顕像化されたトナー画像を画像担持体に転写・定着する画像形成装置」であって、請求項3〜7の任意の1に記載のトナー濃度制御装置を有することを特徴とする(請求項8)。
像担持体への潜像の形成は「像担持体を光導電性の感光体とし、その帯電と露光」とにより行っても良いし、「像担持体を誘電体とし、その表面の位置選択的な帯電、もしくは均一帯電と位置選択的な除電」により行ってもよい。像担持体の形態は、円筒状、シート状、有端または無端のベルト状とすることができる。「画像担持体」は通常の転写紙でもよいし、オーバヘッドプロジェクタ(OHP)用のプラスチックシート(OHPシート)でもよい。トナー画像の画像担持体への転写は、像担持体上から画像担持体へ直接的に転写する「直接転写方式」で行ってもよいし、像担持体から中間転写ベルト等の「中間転写媒体」を介して画像担持体へ転写する「中間転写方式」で行っても良い。
【0008】
【発明の実施の形態】
図2は、この発明の画像形成装置の実施の1形態を要部のみ略示している。 像担持体としての光導電性の感光体5は円筒状に形成されて矢印方向に回転可能である。感光体5の周囲には、帯電手段である帯電ローラ6(コロナチャージャとすることもできる)、現像装置7、レジストローラ10、転写分離器8、クリーニング装置9が配備され、帯電ローラ6と現像装置7との間は「露光用光4による露光部」となっている。符号14は定着装置を示す。
現像装置7は内部に、トナー、キャリヤ等の混合物である「粉体の現像剤」を蓄え、現像剤を現像ローラ71の周面に保持して現像部へ搬送して現像を行うようになっている。
画像形成が行われるときは、感光体5が矢印方向へ等速回転し、その周面が帯電ローラ6により均一に帯電される。均一に帯電された感光体表面は、露光部において露光用光(結像光学系によって投影される原稿光像や、光走査装置等の光書込み装置による書込み光)4により露光され、潜像が形成される。この潜像は現像装置7によりトナーを供給されて顕像化される。現像は、潜像が原稿光像により形成されたポジ潜像であるときには「正規現像」、潜像が書込み光で形成されたネガ潜像であるときには「反転現像」で行われる。
顕像化されたトナー画像は、画像担持体である転写紙Sに転写・定着される。即ち、転写紙Sはレジストローラ10により、感光体5の回転によるトナー画像の移動にタイミングをとって転写部へ送りこまれる。転写部では、転写分離器8によりトナー画像を転写され、次いで、感光体5から分離される。分離した転写紙Sは、定着装置14によりトナー画像を定着され、装置外へ排出される。トナー画像転写後の感光体5はクリーニング装置9によりクリーニングされ、残留トナー等を除去される。
【0009】
さて、現像装置7には、装置内の「粉体の現像剤におけるトナー濃度」を検出するための「トナー濃度検出手段」として、透磁率センサ11(以下、Tセンサ11と略記する)が設けられており、その出力が「制御手段」としてのマイクロプロセッサユニット1に入力するようになっている。
マイクロプロセッサユニット1は、Tセンサ11の出力に基づきトナー補給を制御する。即ち、現像装置7にはホッパ13が配備され、ホッパ13内に蓄えられたトナーTが、トナー補給ローラ12の回転により現像装置内に補給されるようになっている。トナー補給量は、トナー補給ローラ12を回転駆動する時間により調整される。即ち、補給されるトナー量は、トナー補給ローラ12の回転駆動時間に比例する。トナー補給ローラ12とホッパ13とは「トナー補給手段」を構成し、マイクロプロセッサ1は、トナー補給ローラ12の「駆動時間」を制御する。
トナー濃度制御は、基本的には「Tセンサ11の出力:Vtを、基準値:Vrefと比較し、その結果に基づき、トナー補給手段による現像装置へのトナー補給を制御する」ことである。Tセンサ11は現像剤の透磁率を検出するが、現像剤の透磁率はトナー濃度が低下するに従って高くなるため、Tセンサ11の出力Vt は、トナー濃度の低下に従い増大する。基準値:Vref は、現像剤中にトナー補給を必要とするトナー濃度をTセンサの出力に換算したものである。
従って、「Vt−Vref=K」として「K≧0」となったとき、Kが大きいほどトナー補給量を増大させる。
なお、マイクロプロセッサユニット1は、現像装置7がオンの状態のときに、Tセンサ11の出力を適宜にサンプリングするが、特に、現像装置オンの状態から現像装置オフの状態に変化したとき(例えば「メインスイッチがオフ」にされたとき)のTセンサ11の出力は、自動的にサンプリングされた最後の値が、マイクロプロセッサユニット1のメモリに記憶される。このときの記憶内容が、新規の現像装置オン時に「前回の現像装置オフ時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt1」として読み出される。
【0010】
現像装置オフの状態においてはトナーの消費が無いから、新規に現像装置オンになったとき即ち「新規の現像装置オン時」のTセンサの出力:Vt2は本来的には、前回の現像装置オフ時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt1と同じになる筈である。それにも拘らず、Vt1≠Vt2となることがあるのであって、その原因としては、前述のように、現像装置がオフとなっている間に「画像形成装置の場所的な移動」が行われ、画像形成装置を移動させたときの現像装置の傾きや、機械的な振動に起因する「現像装置内の現像剤のパッキング状態の変化」や、画像形成装置が高温・高湿の環境下に長時間、不作動状態に置かれたことによる、現像剤の帯電量の低下に起因する「現像剤の嵩密度の変化」、あるいは、これらの原因の複合的な影響が考えられる。
また、現像装置がオフになる直前にトナー補給が行われ、Tセンサの近傍のみでトナー濃度が高くなっている状態で現像装置オフの状態になった場合、現像装置オフになった時点でTセンサがトナーの高濃度を検知していれば、新たな現像装置オン時(予備撹拌によりTセンサ近傍の高濃度状態が解消している)の出力はVt2<Vt1となるし、現像装置オフになった時点でTセンサがトナーの高濃度を検知していないときは、新たな現像装置オン時の出力(高濃度状態が検出される)はVt2>Vt1となる。
Tセンサの出力:Vt1,Vt2が「Vt1≠Vt2」となっても、現像装置オフの間にはトナー消費は無いのであるから、この間に現像剤中のトナー量は変化しておらず、従って、新たな現像装置オンの状態で、予備撹拌等を行うに連れてTセンサの出力は次第に「Vt1(トナー濃度に正しく対応した出力)」に近づく。このように、現像剤の状態を前回の現像装置使用時の状態に近付けることを「現像剤の立ち上げ」と呼ぶ。
【0011】
発明者等は、上記現像剤の立ち上げを継続して行った場合に、Tセンサの出力が新規の現像装置オンの状態から経時的に変化して、前回の出力:Vt1に近づくときの「出力の変化のパターン(回復パターンと呼ぶ)」が、Vt1≠Vt2となる原因に応じて異なることを見いだした。
【0012】
図3を参照すると、横軸は時間で、縦軸はTセンサ11の出力である。時間:0は「新規の現像装置オン時」である。従って、時間:0での出力:Vt は、上述の説明に於ける出力:Vt2である。各曲線3−1〜3−6は「代表的な回復パターン」を示している。
先ず、図3における回復パターン3−1を見ると、回復パターン3−1では、新規の現像装置オン時のTセンサ出力:Vt2 (Vt(t=〇))が、前回の現像装置オフ時における出力:Vt1に等しくなっている。この場合、Tセンサ11はトナー濃度を適正に検出しているのであるから、トナー濃度制御は「従前の制御をそのまま踏襲」すればよい。
次ぎに、回復パターン3−2を見ると、これは「ある程度の長期間、画像形成装置を高温・高湿状態に不作動状態で放置した後」の回復パターンの典型例であり、新規の現像装置オン時におけるTセンサ11の出力:Vt2は、前回の現像装置オフ時の出力:Vt1よりも高い。即ち、この状態で、現像剤におけるトナー濃度は実際よりも低く検出される。この回復パターンでは、Tセンサの出力:Vt は時間と共に指数関数的に減少し、終には回復パターン3−1に合致する。
【0013】
回復パターン3−3〜3−6は、現像剤のパッキング状態の変化や、前回の現像装置オフ直前のトナー補給に起因するものである。これらの場合、回復パターでは、Tセンサの出力:Vt は、新規の現像装置オン時から短時間の間に大きく変化するが、その後の変化は、回復パターン3−1や3−2に合致する。従って、新規の現像装置オン後、所定の時点:t3における出力:Vt3を見ると、この時点では、出力:Vt3は、回復パターン3−1または3−2の回復パターンに合致した出力となることがわかる。
即ち、この発明において、トナー濃度検出手段の出力:Vt3を得るべき「所定の時点」は、図3に即して言えば、回復パターン3−3〜3−5が、回復パターン3−1または3−2に合致した以後の適当な時間に設定されるのである。
そして、この時点においては「現像剤のパッキング状態の変化」や「前回の現像装置オフ直前のトナー補給」の影響は解消しているのである。
ここで、図3の回復パターン3−2の場合につき、通常のトナー濃度制御を行った場合にどうなるかを考えると、この回復パターンにおいては出力:Vt2が、本来「そうであるべき」出力:Vt1よりも高いのであるから、検知されるトナー濃度は、現像剤における実際のトナー濃度よりも低く検出されている。従って、出力:Vt2が基準値:Vref よりも大きければ、トナーの補給が行われる。このトナー補給により、現像剤におけるトナー量は過剰ぎみになり、地肌汚れ等を引き起こすことがある。
従って、このような場合には、上記トナーの過剰補給を抑えるために、Tセンサの出力:Vt1,Vt2を比較し、比較結果に基づき、基準値:Vref の補正値:ΔVref を定める。即ち、Vt2−Vt1がある程度以上大きい場合には、基準値を「VrefからVref+ΔVref に高める」ことにより、トナー補給を抑制するのである。
一方、回復パターン3−2では、出力:Vt は時間とともに、次第に低下して回復パターン3−1に近づく。このため、もし、上記補正値:ΔVref を固定してしまうと、画像形成動作の繰り返しによりトナーが消費される状況では、トナー補給の抑制のため、現像剤中のトナーは次第に不足気味になり、終には画像濃度が低下したりトナー画像が擦れたりすることになる。
これを避けるためには、画像形成動作が繰り返されるに従い、即ち、画像形成枚数の増加とともに、上記補正値:ΔVref を「次第に小さく変化」させる必要がある。
以上に説明したのは「Tセンサ11の出力変化が、回復パターン3−2に従う場合のトナー濃度制御」であり、これを「第1の制御」と呼ぶ。
【0014】
第1の制御は、前回の現像装置オフ時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt1と、新規の現像装置オン時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt2とを比較し、比較結果に基づき、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefと該補正値:ΔVref の「画像形成枚数による変化」とを定めるような制御である。
【0015】
ところで、新規の現像装置オン時のTセンサの出力:Vt2だけでは、回復パターンを特定することができない。
図4を参照すると、新規の現像装置オン時のTセンサ出力:Vt2が図のようであった場合、出力:Vt のその後の推移が、回復パターン3−7に従って移行するのか、回復パターン3−5に従って回復パターン3−2に向かって移行するのかは決定不能である。そして上記「第1の制御」は、このような場合「Tセンサ出力:Vt が、回復パターン3−7に従って推移するとの前提に立った制御」である。
もし、出力:Vt が、回復パターン3−5に従って推移するのであれば、このような場合に、第1の制御に従ってトナー濃度制御を行えば、現像剤におけるトナー濃度は、画像形成枚数の増加とともに急速に不足状態へ落ち込んでしまう。これを避けるには、新規の現像装置オン後、所定の時点:t3 におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt3を上記出力:Vt2と比較する。即ち、出力:Vt2、Vt3の差を取って見ると、出力:Vt が、回復パターン3−5に従う時には、上記差はΔVtcbになるし、出力:Vtが回復パターン3−7に従う時には、上記差はΔVtcaになり、ΔVtcb>ΔVtcaである。
このことから、新規の現像装置オン時に、現像剤のパッキング状態の変化や、前回の現像装置オフ時直前のトナー補給の影響があるときには、Tセンサの出力:Vt2、Vt3の差:ΔVtcが大きくなる傾向があることがわかる、従って、上記の差:ΔVtcが所定の閾値を超えるときは、補正値:ΔVref とその画像形成枚数による変化とを別のものに変更することにより、現実の回復パターンに沿ったトナー濃度制御を行うことができる。この制御を「第2の制御」と呼ぶ。
【0016】
図2に即して説明した「画像形成装置」の実施の形態において、制御手段としてのマイクロプロセッサユニット1は上記の如き制御を行うのである。
【0017】
即ち、上に実施の形態を説明した画像形成装置のトナー濃度制御装置は、現像装置7内におけるトナー濃度を制御する装置であって、現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段11と、現像装置7にトナーを補給するトナー補給手段12,13と、トナー濃度検出手段11の出力の出力:Vt を、基準値:Vref と比較し、その結果に基づき、トナー補給手段による現像装置へのトナー補給を制御する制御手段1とを有し、該制御手段1が、前回の現像装置オフ時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt1と、新規の現像装置オン時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt2とを比較し、比較結果に基づき、基準値:Vref の補正値:ΔVrefと、該補正値:ΔVrefの画像形成枚数による変化とを定めるとともに、新規の現像装置オン後、所定の時点:t3 におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt3を出力:Vt2と比較し、両者の差:ΔVtcが所定の閾値を超えるとき、補正値:ΔVref とその画像形成枚数による変化とを別のものに変更してトナー補給手段の制御を行うものであり(請求項3)、トナー濃度検出手段11は、現像剤の透磁率を検出する透磁率センサである(請求項5)。
このトナー濃度制御装置により、請求項1記載のトナー濃度制御方法が実施されることは明らかであろう。
また、上記「画像形成装置」は、像担持体5に潜像を形成し、形成された潜像に現像装置7によりトナーを供給して顕像化し、顕像化されたトナー画像を画像担持体に転写・定着する画像形成装置において、請求項3記載のトナー濃度制御装置を有するものである(請求項8)。
【0018】
ところで、上の説明において、新規の現像装置オン時からトナー濃度検出手段の出力:Vt3を得るまでの間にトナー補給があると、出力:Vt3は「トナー補給が無かった場合の値」と異なったものになり、上記第2の制御に影響を与える。この影響を避けるには、上記トナー補給があったときは「トナー補給と出力:Vt3との対応関係」に基づき、出力:Vt2と出力:Vt3との差:ΔVtcを補正してΔVtc2とし、補正されたΔVtc2が所定の閾値を超えるとき、基準値:Vref の補正値:ΔVref とその画像形成枚数による変化とを別のものに変更する(請求項2)ようにすればよい。
この場合、制御手段としてのマイクロプロセッサユニット1は、新規の現像装置オン時からトナー濃度検出手段の出力:Vt3を得るまでの間にトナー補給があったとき(マイクロプロセッサユニット1は、トナー補給指令を出すので、この事実に基づき、トナー補給の有無はマイクロプロセッサユニットにおいて検知できる)、トナー補給と出力:Vt3との対応関係に基づき、出力Vt2と:出力:Vt3との差:ΔVtcを補正してΔVtc2とし、補正されたΔVtc2が所定の閾値を超えるとき、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefとその画像形成枚数による変化を、別のものに変更してトナー補給手段の制御を行う(請求項4)。
【0019】
【実施例】
以下、具体的な実施例を説明する。
画像形成装置は図2に即して説明した如きものである。
現像剤中のトナー濃度はTセンサにより検出されるが、適正な状態にある現像剤において、Tセンサにより検出されるトナー濃度とTセンサ出力:Vt の関係は、図5に示す如くであり、適正な状態でのトナー濃度制御に用いられる基準値:Vref は「2.5V」である。
前記第1の制御として、Tセンサの出力:Vt1、Vt2の差:ΔVt (Vt2−Vt1)の大きさに応じて、「補正ステップ」を1〜5とし、これら補正ステップの各々につき、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefと、該補正値:ΔVref の画像形成枚数による変化を表1のように定めた。
【0020】
【表1】
【0021】
なお、出力:Vt3を取り込む所定の時点は、画像形成動作開始から画像形成プロセス3回経過した時点に設定した。この時点(プロセス回数)は、長すぎると補正が遅れてしまい、短すぎるとVt2とVt3の差が少なく、感度が低い。この実施例では、プロセス回数:3回またはそれと同等の現像動作時間後にするのが適切であった。
図1に画像形成に伴うトナー濃度制御の手順をフロー図として示す。
メインスイッチをオンにすると、マイクロプロセッサユニットのメモリに記憶されている「前回の現像装置オフ(メインスイッチオフ)時のトナー濃度」に応じたトナー濃度信号であるTセンサ出力:Vt1の呼び出しが行われる。同時に、現像装置が駆動(新規の現像装置オン)され、今回のトナー濃度信号であるTセンサー出力:Vt2がサンプリングされて取り込まれる。
そして、ΔVt(=Vt2−Vt1)が演算され、ΔVtの値により、上記表1に従って補正ステップ:n(1〜5)が決定され、それと共に基準値:Vref の補正値:ΔVrefと、該補正値:ΔVrefの「画像形成枚数による変化」とが定められる。
例えば、Vt1=2.1V,Vt2=2.45Vで、ΔVtが0.35であったとすると、このときの補正ステップはn=4であり、補正値:ΔVref は、画像形成枚数:1〜20枚まで0.4、21〜40枚まで0.3、41〜80枚まで0.2、81〜150枚まで0.1、151枚以上は0に設定される。従って、補正された基準値:Vref’は、画像形成枚数とともに、
のように設定されることになる。このように、画像形成枚数の増加と共に、基準値が次第に低く設定されなおされるので、「トナー補給の抑制」が次第に緩和され、「現像剤中のトナーが次第に不足気味になること」を防止できる。
【0022】
出力:Vt2がサンプリングされると、現像装置はオフにされ待機状態となる。この状態で待期し、プリントスイッチがオンされて「画像形成プロセス」であるコピー動作が開始されると、現像装置はオンになり、Tセンサの出力:Vt が、上記画像形成枚数に応じて定められた「補正された基準値:Vref’」と対比され、Vt >Vref’であるときはトナー補給が行われる。
また、メインスイッチオン後、画像形成プロセス3回経過した時点でのTセンサ出力:Vt3が取り込まれる。そして、ΔVtc(=Vt3−Vt2)が演算され、その結果が「0≦ΔVtc<0.2」を満足するか否かが判定される。「0≦ΔVtc<0.2」が満足されるときは、上に定められた条件に従って、トナー補給制御(前述の第1の制御)が行われる。「0≦ΔVtc<0.2」が満足されないとき、即ち、ΔVtcが補正ステップで2ステップ以上大きい場合または想定された変化より小さいときは補正量が見直される。
この補正量の見直しは、以下のように行われる。即ち、前記出力:Vt1、Vt2からΔVt =Vt3−Vt1を演算し、この新たなΔVtを上記表1におけるΔVtとして用いて、新たな補正ステップを特定し、新たに特定された補正ステップによる補正値:ΔVref と、その画像形成枚数による変化とを選択してトナー補給を制御する。
例えば、前述の場合において、Vt1=2.1V,Vt2=2.45Vに対して、Vt3=2.15で,ΔVtc=0.3であるときには、Vt3−Vt1=0.05として、新たに補正ステップ:n=1により、補正された基準値:Vref’ は、画像形成枚数とともに、
のように設定されることになる。
【0023】
このようにして、回復パターンに即したトナー濃度制御が可能になる。
以下、補正値を切り替えるべき画像形成枚数である「補正枚数」に達するたびに補正値の切り替えを行う。但し、ユーザにより設定されたコピー枚数が終了したら、その都度、画像形成の「ジョブ終了」とし、待機状態となる。
即ち、上に説明した実施例では、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefと、該補正値:ΔVrefの画像形成枚数による変化が、ΔVt(=Vt2−Vt1)に応じてテーブル(表1)として制御手段1に記憶されており、制御手段は、ΔVtcが所定の閾値を超えたとき、新たにVt3−Vt1をΔVt としてテーブルに基づき、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefと、該補正値:ΔVref の画像形成枚数による変化を定める(請求項7)。
次に説明する第2の実施例は、請求項2記載のトナー濃度制御方法を実施する場合である。制御の手順を、フロー図として図7に示す。
画像形成プロセスである「コピー動作」が開始されるまでは、上述の実施例の場合と同様である。コピー動作が開始し、例えば、3枚コピーの間に6秒間のトナー補給が入ったものとする。このとき「トナー補給時間が積算」される。
「トナー補給と出力:Vt との対応関係」は、図6に示すようである。このため、3枚コピーの間に6秒間のトナー補給が入ると、トナー補給と出力:Vt3の関係では、出力:Vt3は略0.1V低下する。即ち、出力:Vt3は、トナー補給が無い時より0.1V下がるため、前記ΔVtcに0.1Vを加えた値:Vtc2 で上記判定を行う。
即ち、Vtc+0.1=Vtc2として「0≦ΔVtc2<0.2」が、補正値の見直しを行うか否かを判定する条件となる。
この点を除けば、他は前記実施例の場合と同様である。即ち、この実施例においては、トナー補給と出力:Vt3の関係に基づき、出力:Vt2と出力:Vt3との差:ΔVtcを補正してΔVtc2とし、補正されたΔVtc2が所定の閾値を超えるとき、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefとその画像形成枚数による変化とを別のものに変更してトナー濃度制御が行われるのである(請求項2,4)。
このように、この発明においては、ΔVtの値により、Vrefの補正を行うが、Vtの値に補正を加えることも同様にできる。また、ΔVtの値により、Vref の補正のみでなく、現像装置の予備撹拌(空回し)駆動時間を変え、長時間休止後の現像剤の立上げを追加しても良い。即ち、ΔVt が大きい時は、予備攪拌時間を長く、小さい時は短くする補正を加えることも有効である。
【0024】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、長期間不使用後の画像形成装置の新たな使用時におけるトナー濃度制御不全を有効に防止して、良好な画像形成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のトナー濃度制御を説明するためのフロー図である。
【図2】この発明の画像形成装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図3】新規の現像装置オン時以後のトナー濃度検出手段の出力:Vt の変化を説明するための図である。
【図4】この発明のトナー濃度制御方法を説明するための図である。
【図5】実施例におけるTセンサの出力:Vt と、トナー濃度の対応関係を示す図である。
【図6】実施例におけるトナー補給時間とTセンサの出力:Vt との対応関係を示す図である。
【図7】別実施例のトナー濃度制御を説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
1 マイクロプロセッサユニット(制御手段)
5 感光体(像担持体)
7 現像装置
11 Tセンサ(トナー濃度検出手段)
12 トナー補給ローラ
13 ホッパ
Claims (8)
- 像担持体上に形成された潜像にトナーを供給して顕像化する現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段の出力:Vtを、基準値:Vrefと比較し、その結果に基づき、トナー補給手段による上記現像装置へのトナー補給を制御することにより上記現像装置内のトナー濃度を制御する方法において、
前回の現像装置オフ時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt1と、新規の現像装置オン時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt2とを比較し、比較結果に基づき、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefと、該補正値:ΔVrefの画像形成枚数による変化とを定め、
新規の現像装置オン後、所定の時点におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt3を、上記出力:Vt2と比較し、両者の差:ΔVtcが所定の閾値を超えるときは、上記出力:V t3 の検出以後に対して、上記補正値:ΔVrefとその画像形成枚数による変化とを、上記ΔV tcに応じたものに変更することを特徴とするトナー濃度制御方法。 - 請求項1記載のトナー濃度制御方法において、
新規の現像装置オン時からトナー濃度検出手段の出力:Vt3を得るまでの間にトナー補給があったとき、トナー補給と上記出力:Vt3との対応関係に基づき、出力:Vt2と出力:Vt3との差:ΔVtcを補正してΔVtc2 とし、補正されたΔVtc2が所定の閾値を超えるとき、上記出力:V t3 の検出以後に対して、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefとその画像形成枚数による変化とを、上記ΔV tc2 に応じたものに変更することを特徴とするトナー濃度制御方法。 - 現像装置内におけるトナー濃度を制御する装置であって、
現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、
上記現像装置にトナーを補給するトナー補給手段と、
上記トナー濃度検出手段の出力:Vtを、基準値:Vrefと比較し、その結果に基づき、トナー補給手段による現像装置へのトナー補給を制御する制御手段とを有し、
該制御手段が、前回の現像装置オフ時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt1と、新規の現像装置オン時におけるトナー濃度検出手段の出力:Vt2とを比較し、比較結果に基づき、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefと、該補正値:ΔVrefの画像形成枚数による変化とを定めるとともに、新規の現像装置オン後、所定の時点における画像形成動作開始から所定時間後のトナー濃度検出手段の出力:Vt3を、上記出力:Vt2と比較し、両者の差:ΔVtcが所定の閾値を超えるとき、上記出力:V t3 の検出以後に対して、上記補正値:ΔVref とその画像形成枚数による変化とを、上記ΔV tc に応じたものに変更してトナー補給手段の制御を行うことを特徴とするトナー濃度制御装置。 - 請求項3記載のトナー濃度制御装置において、
制御手段が、
新規の現像装置オン時からトナー濃度検出手段の出力:Vt3を得るまでの間にトナー補給があったとき、トナー補給と上記出力:Vt3との対応関係に基づき、出力:Vt2と出力:Vt3との差:ΔVtcを補正してΔVtc2とし、補正されたΔVtc2が所定の閾値を超えるとき、上記出力:V t3 の検出以後に対して、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefとその画像形成枚数による変化とを、上記ΔV tc2 に応じたものに変更して、トナー補給手段の制御を行うことを特徴とするトナー濃度制御装置。 - 請求項3または4記載のトナー濃度制御装置において、
トナー濃度検出手段が、現像剤の透磁率を検出する透磁率センサであることを特徴とするトナー濃度制御装置。 - 請求項3または4または5記載のトナー濃度制御装置において、
トナー濃度検出手段の出力:Vt3を取り込む、所定の時点が、画像形成動作開始から画像形成プロセス3回もしくは3回相当の動作時間を経過した時点であることを特徴とするトナー濃度制御装置。 - 請求項3〜6の任意の1に記載のトナー濃度制御装置において、
基準値:Vrefの補正値:ΔVrefと、該補正値:ΔVref の画像形成枚数による変化は、ΔVt(=Vt2−Vt1) に応じてテーブルとして制御手段に記憶されており、
上記制御手段は、ΔVtcが所定の閾値を超えたとき、新たにVt3−Vt1をΔVt として上記テーブルに基づき、基準値:Vrefの補正値:ΔVrefと、該補正値:ΔVref の画像形成枚数による変化とを定めることを特徴とするトナー濃度制御装置。 - 像担持体に潜像を形成し、形成された潜像に現像装置によりトナーを供給して顕像化し、顕像化されたトナー画像を画像担持体に転写・定着する画像形成装置において、
請求項3〜7の任意の1に記載のトナー濃度制御装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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