JP3870679B2 - 光輝性に優れた金属製包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光輝性に優れた金属製包装体に関するもので、より詳細には、明るく、しかも重厚な光輝感を有し、特異で有用な装飾性と優れた商品価値とを有する光輝性に優れた金属製包装体、特に金属缶や金属蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属缶の外表面には、防錆、或いはその上に施される印刷の印刷特性を向上させる目的で各種コーティング層が施されており、また、金属缶の外観適性をより向上させるために、コーティング層に光輝性を付与する目的で、アルミフレークや微粒子被覆パール顔料等の光輝性顔料を含有する塗料も使用されている。
この金属缶の断面構造は、例えば図1に示すように、金属基体1があり、その外表面にコーティング層2、仕上げワニス層3及び必要に応じて印刷インキ層4が設けられた構造となっている。
【0003】
また、内外面が樹脂フィルムで被覆され、外面側に明るく重厚な光輝感のある外観特性を付与する目的で、内外面樹脂被覆鋼板の外面側において、鋼板側より酸化チタンを含有する熱可塑性樹脂フィルム/金属フレーク顔料或いは真珠光沢フレーク顔料の少なくとも1種を含有するコーティング層/仕上げワニス層、若しくは上記コーティング層と仕上げワニス層の間に印刷層を有するシームレス缶が本発明者らによって提案されている。(特開平11−91031号公報)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光輝性顔料を含有する塗料をコーティングした金属缶においては、コーティング層は、一般にロールコーティングで缶体表面に施されるが、光輝性顔料を含有する塗料の場合、塗料中の光輝性顔料の平均粒径が5μm未満とかなり小さなものであり、コーティング層の光輝性の程度が暗く、得られる光輝感において未だ不満足なものである。
【0005】
本発明者らは、光輝感の向上のため、特開平11−91031において、光輝性顔料による被覆面積率を5乃至50%にすること、及びコーティング層中の光輝性顔料の平均粒径が5乃至20μmであることが重要であることを提案しているが、塗膜中において、光輝性顔料はしばしば凝集体を形成したり、変形したりしており、そのことが光輝感の発現を不十分なものとしている。また、光輝性コーティング層の上に形成されている仕上げワニス層の表面粗さにより、光輝性の発現が妨げられるという問題もある。
【0006】
本発明者らは、光輝性顔料を含有する塗料をロールコーティング方式で缶外面に施した場合にも、優れた光輝性が得られる要因について鋭意検討を重ねた結果、コーティング層の平均膜厚を一定の範囲に制御すること、面方向から見た場合のコーティング層中の光輝性顔料の平均粒径を一定の範囲に制御すること、コーティング層の顔料被覆率を向上させること及びコーティング層の上に施される仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)を制御することが光輝性の向上に重要であることを見出した。
【0007】
即ち、本発明の目的は、工程が簡単で、製造が容易であり、明るく、重厚でしかもバランスのとれた光輝感を有し、しかも特異で有用な装飾性に優れた商品価値を有する光輝性に優れた金属製包装体を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、金属フレーク及び微粒子被覆パール顔料から成る群より選択された光輝性顔料を含有するコーティング層を設け、且つ前記コーティング層上に仕上げワニス層を設けてなり、前記コーティング層の平均膜厚が1乃至20μmであり、前記コーティング層中に存在する光輝性顔料粒子の面積から算出される平均粒径(D)が3乃至20μmであり、光輝性顔料粒子の占める面積率(S)が10%以上で、前記平均粒径(D)と面積率(S)が式D2×S≧300を満足し、且つ前記仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)が0.3μm以下である光輝性に優れた金属製包装体が提供される。
本発明では、
1.コーティング層が紫外線硬化型塗料であること、
2.コーティング層の少なくとも一部に印刷インキ層を設けること
が好ましい。
本発明は、従来公知の缶体や金属蓋に適用することができるが、缶体が側面継目(サイドシーム)を有しないシームレス缶の場合に特に顕著な効果が奏され、また、コーティング層をロールコーティング方式により缶外面に施す場合にも、優れた光輝性が得られるという利点がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
[作用]
本発明の金属包装体は、アルミニウム、錫メッキ鋼板、ティンフリースチール板等の金属基体1の外面に、金属フレーク及び微粒子被覆パール顔料から成る群より選択された光輝性顔料を含有するコーティング層2と、このコーティング層の上に施される仕上げワニス3(クリヤー塗膜)を有している。
コーティング層2に存在する金属フレーク顔料は入射光に対して金属的反射光、即ち正面反射光を与えるものであり、また、微粒子被覆パール顔料は、入射光に対して多重反射による特異な干渉色光を与えるものである。
これらの顔料は、何れもコーティング層に光輝性を有する外観を与えるという点で共通している。
【0010】
本発明の金属製包装体では、コーティング層2の上に仕上げワニス層3を備えていることが必須不可欠である。
即ち、本発明では、金属缶等の外面にコーティング層がロールコーティング方式等により施され、また、必要に応じて印刷層4が施されるため、これらの層の外面を仕上げワニス層3で保護することが必須となる。
この仕上げワニス層3は、単にコーティング層や印刷層を擦傷や剥離から機械的に保護するだけでなく、光輝性コーティング層への入射前の外光が照射され、また、光輝性コーティング層からの反射光を反映し、乱反射等を防止して光輝性を向上させるという効果を有する。
【0011】
本発明は、前記構成の金属製包装体において、下記の5つの要件、
(1)コーティング層の平均膜厚が1乃至20μmであること、
(2)コーティング層中に存在する光輝性顔料粒子の面積から算出される平均粒径(D)が3乃至20μmであること、
(3)光輝性顔料粒子の占める面積率(S)が10%以上であること、
(4)前記平均粒径(D)と面積率(S)が式D2×S≧300であること、
(5)及び仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)が0.3μm以下であることの組み合わせに特徴を有するものであり、これにより、より明るく、重厚でしかもバランスのとれた光輝性を発現させることができる。
【0012】
先ず、光輝性を有効に発現させるためには、コーティング層2に小さく狭い範囲での一定の厚みの光輝性顔料粒子の存在範囲が必要である。
このコーティング層2の平均膜厚が前述した範囲を下回ると、コーティング層2の転移むらが顕著となって、意図した光輝性が得られない傾向がある。
一方、この膜厚が前記範囲を上回ると、光輝性顔料の凝集が多くなったり、仕上げワニス層3の均一な塗布が困難となったり、或いはコーティング層2の密着が不十分となって、外観不良となり、やはり光輝性が不十分なものとなる。
【0013】
また、コーティング層2中に存在する光輝性顔料粒子の平均粒径(D)が、前記範囲にあることが光輝性の点で重要である。 本明細書において言及する平均粒径(D)は、コーティング層2から実測される粒子の平均径であり、具体的には、後述する実施例に述べる方法により測定されるものを言う。
この平均粒径(D)が前記範囲を下回ると、コーティング層2が全体的に暗くなる傾向があり、光輝性が不十分なものとなる。
一方、平均粒径(D)が前記範囲を上回ると、光輝性顔料のある部分とない部分との反射の差が大き過ぎ、バランスの良い光輝性を得られない。
【0014】
また、本発明においては、光輝性顔料粒子の占める面積率(S)が前記範囲内にあることが、光輝性に関してやはり重要である。
この面積率(S)とは、コーティング層の面積に占める光輝性顔料粒子の面積の比率であり、具体的には後述する実施例の方法で求めることができる。
この面積率(S)が前記範囲を下回ると、光輝性顔料による隠蔽が不十分となって光輝性が不足する。
【0015】
本発明において、光輝性顔料粒子の平均粒径(D)は、粒子1個を基準としてミクロで見た反射強度(光輝性の光学的強度)に密接に関係するものであり、後述するようにコーティング層に対して垂直方向より実測したときの顔料の粒子径に基づいたものであることから、光輝性顔料の面配向の程度や凝集による重なり度合いを反映する特性である。
一方、面積率(S)は、コーティング層を全体としてマクロで見た反射分布と密接に関係するものであり、これらの各々が前記範囲内にあることにより、明るく、重厚でしかもバランスのとれた光輝性が発現されるものである。
また、これらの組み合わせに関しては、平均粒径(D)と面積率(S)との積(D2×S)が300以上であることが光輝性に関して好ましい。
この積が前記範囲を下回ると、前記範囲にあるものに比して光輝性が低下する傾向が認められる。
【0016】
更に、本発明では、仕上げワニス層3の平均表面粗さ(Ra)が0.3μm以下であることが光輝性に関して重要である。
この平均表面粗さとは、コーティング層2の上に施される仕上げワニス層3の外表面の平均粗さであり、この粗さ(Ra)が前記範囲を上回ると、コーティング層2に光輝性を付与しても有効にその光輝性が反映されず、光輝性顔料による十分な光輝感が得られない。
【0017】
[コーティング層]
本発明において用いる光輝性顔料は、扁平な形状の金属フレーク及び/又は微粒子被覆パール顔料から成り、レーザー散乱法等に代表される粒度分布測定法で求められた平均粒径(メジアン径Dav)が5乃至25μmの範囲にあるものである。
これらのフレーク顔料の粒度分布は狭いほど好ましく、特に粒度分布中の最大粒径は40μm以下、特に30μm以下であることが、ロールによる円滑な転移を確保するために好ましい。
そして、前記した平均粒径(メジアン径Dav)の光輝性顔料を用い、コーティング層中に存在する光輝性顔料粒子の面積から算出される平均粒径(D)が3乃至20μmとなるようにコーティングを行う。
光輝性顔料のような扁平形状の顔料の特性の一つとして、前記Davを扁平粒子の厚みで除したアスペクト比があるが、アスペクト比が過剰に大きいと顔料が塗膜中での変形や凝集を起こしやすくなるため、本発明においては、アスペクト比が10乃至200の範囲にある光輝性顔料を用いるのが特に好ましい。
これらの光輝性顔料粒子は、偏平であるため、塗装の際に、面方向に平行に配向する傾向を有するものであり、特異な金属状光沢、或いは真珠光沢を有する。
【0018】
金属フレークとしては、少なくとも表面が金属で形成されており、フレーク状であるものが使用され、例えば、ステンレススチール、鋼、鉄、黄銅、銅、真鍮、アルミニウム、ニッケル、銀、金等から成るフレークが使用される。
また、前記金属を蒸着した樹脂も使用される。
これらの内でも、アルミフレークが、効果及び経済性の点で優れており、アルミフレークとしては、リーフィング型のものとノンリーフィング型のものが知られている。
リーフィング型のものは、ステアリン酸により処理されており、コーティング層の表面に浮く傾向があり、ややキラキラ感に欠ける傾向があるが、金属的な光沢を強く発現するものである。
一方、ノンリーフィング型のものは、オレイン酸で処理されており、コーティング層2に浮く傾向がなく、見る角度によってキラキラ感が強くなる傾向がある。
本発明においては、これらのいずれのアルミフレークも使用可能である。また、所望によってノンリーフィング型にリーフィング型を混ぜて用いることもできる。
また、アルミフレークに微粒子や着色物質を付着させて、特異な色調のメタリック感を有する、いわゆる着色アルミフレークも使用可能である。
【0019】
微粒子被覆パール顔料としては、フレーク状基体の表面を微粒子で被覆したそれ自体公知で任意の微粒子被覆パール顔料のいずれも使用できるが、特に好適なものとして、雲母チタン顔料が挙げられる。
【0020】
本発明のコーティング層2には、平均粒径0.01乃至1μmの透明微粒子を含有させることが、光輝性顔料の凝集を抑制し、その分散性を向上させてその面配向性を高める点で好ましい。
透明微粒子は、樹脂から成るものでも、或いは非晶質シリカのような無機の透明微粒子であっても良い。
【0021】
[コーティング組成]
本発明に用いるコーティングは熱硬化性塗料でも紫外線硬化性塗料のいずれであってもでも良い。
熱硬化性塗料用樹脂としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂等の熱硬化性樹脂、或いは前記熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂、例えば、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂等、との組成物を挙げることができる。
これらの樹脂は、単独でも2種以上の組み合わせでも使用される。
これらの樹脂組成物には、必要に応じて、それ自体公知の酸触媒、例えばトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等を用いることができる。これら酸触媒は、樹脂に対して0.5乃至1重量%添加するのが好ましい。
上記熱硬化性塗料用樹脂組成物の内でも、飽和ポリエステル樹脂とメラミン−ホルムアルデヒド樹脂との組み合わせ、或いは熱硬化性アクリル樹脂とメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の組み合わせは、透明性の点で好ましい。
【0022】
紫外線硬化性塗料用樹脂組成物としては、大別してカチオン硬化型樹脂とラジカル硬化型樹脂がある。
カチオン硬化型樹脂組成物としては、紫外線硬化型エポキシ樹脂と光カチオン重合触媒の組み合わせが使用される。
【0023】
紫外線硬化型エポキシ樹脂としては、分子内に脂環族基を有し且つ脂環基の隣接炭素原子がオキシラン環を形成しているエポキシ樹脂成分を含有するものであり、分子内に少なくとも1個のエポキシシクロアルカン基、例えばエポキシシクロヘキサン環、エポキシシクロペンタン環等を有するエポキシ化合物等が単独或いは組み合わせで使用される。
その適当な例は、これに限定されないが、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン・カーボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、リモネンジオキサイド等である。
【0024】
上記エポキシ樹脂と組み合わせで用いるカチオン性紫外線重合開始剤とは、紫外線によってルイス酸を放出し、このルイス酸がエポキシ基を重合する作用を有するものであり、その例として、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルフォニウム塩、芳香族セレニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩等が挙げられる。
このカチオン硬化型樹脂組成物には、それ自体公知の他の紫外線硬化性樹脂、希釈剤、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、架橋剤、増感剤等を含有させることができる。
他の紫外線硬化性樹脂としては、オキセタン化合物やビニルエーテル誘導体等が挙げられる。
希釈剤としては、フェニルグリシジルエーテル、メチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0025】
熱硬化性樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、アクリル共重合体、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
架橋剤としては、種々のポリオール類、例えばε−カプロラクトントリオール等を挙げることができる。
増感剤としては、チオキサントン誘導体等が挙げられる。
【0026】
カチオン硬化型樹脂組成物の処方の適当な例は、これに限定されないが、脂環式エポキシ樹脂100重量部当たり、カチオン性紫外線重合開始剤0.5乃至20重量部、特に1乃至10重量部、他の紫外線硬化性樹脂0乃至50重量部、特に10乃至40重量部、希釈剤0乃至30重量部、特に5乃至20重量部、熱硬化性樹脂0乃至30重量部、特に5乃至20重量部、熱可塑性樹脂0乃至30重量部、特に5乃至20重量部、増感剤0乃至10重量部、特に1乃至5重量部及び架橋剤0乃至30重量部、特に5乃至20重量部から成るものである。
【0027】
ラジカル硬化型樹脂組成物としては、紫外線重合性モノマー乃至プレポリマーと光重合開始剤の組み合わせが使用される。
紫外線重合モノマー乃至プレポリマーとしては、分子内に複数のエチレン系不飽和基を有するモノマー乃至プレポリマー或いはそれらの混合物が使用される。その適当な例は、多官能性アクリルモノマー、多官能性アクリルプレポリマー等が挙げられる。
【0028】
多官能性アクリルモノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。
【0029】
多官能性アクリルプレポリマーとしては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。
これらの多官能モノマー、多官能プレポリマーは、単官能アクリルモノマーと組合せて使用するのが普通であり、このようなモノマーとして、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、カルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルメタクリレート、イソボニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ジアセトンアクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルトルエン等が挙げられる。
また、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、トリアリルフォスフェート、トリメリット酸アリルエステル、ピロメリット酸アリルエステル等のアクリル系以外の多官能モノマーも組合せて使用できる。
【0030】
光ラジカル重合開始剤の代表的なものとしては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン及びそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類またはキサントン類等;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0031】
これらの光重合開始剤は、安息香酸系または第三級アミン等の公知慣用の光重合促進剤の1種あるいは2種以上と組合わせて用いることができる。
ラジカル重合性樹脂組成物において、光重合開始剤は紫外線硬化性樹脂100重量部に対して0.1乃至30重量部、特に1乃至25重量部となる範囲で用いるのが好ましい。
【0032】
本発明に用いるフレーク顔料配合コーティングは、前記熱硬化性塗料用樹脂組成物を適当な媒体、例えば溶剤、アミン類を添加した水と溶剤との混合物等に溶解乃至分散させた組成物、或いは前記紫外線硬化性塗料用樹脂組成物に、前記金属フレーク顔料乃至は前記微粒子被覆パール顔料のいずれか一方または両方を分散させたものからなり、その粘度は、100sec−1程度の高剪断領域で一般に0.1乃至2Pa・sec(20℃)にあるのが好ましい。
これらのフレーク顔料配合コーティングには、必要に応じて、それ自体公知の塗料用添加剤、例えば分散剤、レベリング剤、滑剤、消泡剤等を配合することができる。
【0033】
コーティングの硬化には、加熱硬化の場合、150乃至220℃の温度が利用できる。加熱時間は、10乃至900秒であり、塗工する被塗装体の形状やコーティング用樹脂組成物の硬化速度等に応じて任意に選択することができる。
一方、紫外線硬化の場合、紫外線としては、近紫外線領域をも含めて、一般に波長220乃至440nmの光線が使用される。硬化に要するエネルギーは、一般に500乃至5000ジュール/m2で十分である。
【0034】
[仕上げワニス層]
コーティング層2の上に施す仕上げワニス層3としては、一般に製缶、或いは金属蓋の印刷分野で使用される仕上げワニスと呼ばれるものが使用される。
この仕上げワニス用樹脂組成物としては、前記コーティング用樹脂組成物の中で、特に硬化塗膜の透明性、光沢、硬度に優れているものが用いられる。
仕上げワニス層3の厚みは、コーティング層2、或いは必要に応じて印刷層4が施されるため、これらの層の外面を仕上げワニス層3で保護することが必要であり、一般に3乃至10μm、特に4乃至6μmの範囲にあることが好適である。
【0035】
また、この仕上げワニス層3は、単にコーティング層2や印刷層4を擦傷や剥離から機械的に保護するだけでなく、光輝性コーティング層2への入射前の外光が照射され、また、光輝性コーティング層2からの反射光を反映し、乱反射等を防止して光輝性を向上させる点から、その平均表面粗さ(Ra)を0.3μm以下とする。
そして、仕上げワニス層3の平均表面粗さ(Ra)を0.3μm以下とするには、仕上げワニスを十分レベリングさせることが重要であり、加熱硬化型仕上げワニスの場合には、加熱硬化条件にもよるが、110乃至150℃の沸点を有する溶剤と150℃乃至220℃の沸点を有する溶剤を数種類組合せて用い、温度の立ち上がりを緩やかにすることが、また紫外線硬化型仕上げワニスの場合には、塗工から紫外線照射による硬化までの時間を4秒以上確保することが有効な解決手段である。
【0036】
[印刷インキ層]
本発明の金属製包装体においては、印刷インキ層4はコーティング層2と仕上げワニス層3との間に必要に応じて施され、ビヒクル、着色剤及び必要に応じて添加剤を添加したものが使用される。
ビヒクルとしては、油、樹脂、溶剤、可塑剤等が使用される。
着色剤としては、それ自体公知の染料や顔料が使用される。その適当な例としては、黒色染顔料、黄色染顔料、桃色染顔料、赤色染顔料、紫色染顔料、青色染顔料、緑色染顔料、白色染顔料、体質顔料が使用される。
これらの印刷インキの重要な特性として、インキ転移性があり、平版オフセット方式による印刷では、インキが親油性であることが必須不可欠であるが、同時に耐水性と湿し水との共存安定性を有することも要求される。
【0037】
用いるインキビヒクルは、加熱硬化性でも、紫外線硬化性でも良い。
加熱硬化性のものとしては、アルキッド型或いはポリエステル型ビヒクルを用いたインクが好適である。
一方、紫外線硬化性のものとしては、紫外線ラジカル重合型、紫外線カチオン重合型のいずれの形態でも良い。
添加剤としては、天然或いは合成のワックス類、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、架橋剤、ゲル化剤、増粘剤、皮張り防止剤、安定剤、艶消し剤、消泡剤、光重合開始剤等が挙げられる。
【0038】
[金属製包装体]
本発明は、シームレス缶やスリーピース缶等のそれ自体公知の任意の金属缶や、王冠、ホワイトキャップ、ツイストオフキャップ、ラグキャップ、ピルファープルーフキャップ、ステルキャップ、缶蓋等の金属蓋に適用することができる。シームレス缶の例としては、絞り−再絞り加工、絞り−再絞り−しごき成形加工、絞り−曲げ伸ばし薄肉化絞り加工、或いは絞り−曲げ伸ばし薄肉化絞り−しごき加工等によるツーピース缶が挙げられ、一方、スリーピース缶の例としては、サイドシームを電気抵抗溶接した溶接缶が挙げられる。
【0039】
そして、これらの金属缶の内、内外面の有機被膜としてポリエステル樹脂等の結晶性の熱可塑性樹脂を用いた場合は、本発明の光輝性を有するコーティング層は、外面の前記有機被膜の上に施される。
この場合、前記熱可塑性樹脂は、溶融樹脂押し出しラミネート、或いはキャストフィルム、二軸延伸フィルムの形で金属板にラミネートされ、必要に応じて外面の熱可塑性樹脂には、金属板を隠蔽する目的で無機フィラー(顔料)を含有させることができる。
また、前記有機被膜として熱硬化性樹脂塗料を用いた場合は、外面の前記塗料自体が光輝性を有するコーティング層となる。
【0040】
[コーティング]
本発明では、コーティング層2の平均膜厚が1乃至20μm、特に3乃至10μmであり、コーティング層2中に存在する光輝性顔料粒子の面積から算出される平均粒径(D)が3乃至20μmであり、且つ光輝性顔料の占める面積率(S)が10%以上で、前記平均粒径(D)と面積率(S)の関係が、式D2×S≧300を満足するコーティングを行う。
【0041】
コーティング層2の膜厚は、アプリケーターロールへの塗料の転移量を調整するなどの公知の手段で容易に調整することができるが、光輝性顔料粒子の平均粒径(D)を前記範囲にするためには、塗装工程中で光輝性顔料粒子の破砕、粒径の減少、変形、凝集が生じないようにする必要がある。
また、光輝性顔料粒子の占める面積率(S)を高めるには、コータロールへの転移がむらなく一様に行われるようにすると共に、光輝性顔料粒子が面方向に配向するようにする(面方向の面積が大きくなる)ことも重要である。
【0042】
この目的には、塗料パンや塗料チャンバーからの塗料の汲み上げに、表面に溝や格子状の微小孔が刻印された彫刻ロールを用いることが有効である。
この彫刻ロールを用いることにより、コータロールと汲み上げロールが圧接しても、光輝性顔料粒子が破砕されることがなく、また、汲み上げロールからコータロールへの塗料の転移が円滑に進行し、更に光輝性顔料粒子が面方向に配向する傾向が大きくなるという極めて好都合な作用が達成される。
この彫刻ロールは、特定形状の雄型を表面を研磨したロールに押し当て、その後ロール表面を研磨して所定の大きさや深さの溝や微小孔を形成する方法、レーザーによりロール表面に直接彫刻を施す方法、ロール表面に腐食法により目的とする彫刻を施す方法等、それ自体公知の方法で作製される。
【0043】
[印刷]
必要に応じて形成される印刷インキ層4は、樹脂凸版を用いたドライオフセット法、特殊な平凹版を用いた水なし平版オフセット法、平凸版と湿し水を用いた平版オフセット法等、公知の印刷方法によりオフセット方式でコーティング層2上に形成される。
【0044】
[仕上げワニスの塗工]
仕上げワニス層3の形成は、それ自体公知のロールコーティング法で前述したコーティング層2上に施される。
代表的なロールコーティング方法としては、塗料をピックアップロールとディストリビューターロールの間隙で計量し、アプリケーターロールを介して被塗物に塗工する方法、或いは塗料パン乃至塗料チャンバーより汲み上げロールにより一定量の塗料を汲み上げ、それをアプリケーターロールを介して被塗物に塗工する方法がある。
【0045】
いずれの方法によって仕上げワニスを塗工しても、塗装直後の湿潤仕上げワニスの表面には一般にフロー目と呼ばれる凹凸が形成されている。特に、被塗物が2ピース缶の缶体の場合には、必ず仕上げワニスが2度塗りされたラップ塗装部が生じるが、このようなラップ塗装部ではシングル塗装部より凹凸が顕著になる。このようなフロー目は、光輝性コーティングの光輝感を著しく阻害するものである。前記凹凸を0.3μm以下とするためには、溶剤の選択と十分なレベリング時間の確保が重要である。
【0046】
尚、必要に応じて形成される印刷インキ層4の形成と仕上げワニス層3の形成は、いわゆるウエット・オン・ウエット、或いは印刷インキ層4の硬化後に仕上げニス層3を形成するウエット・オン・ドライのいずれの関係においても行うことができる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
[コーティング]
表1に使用した光輝性顔料を示した。表中の顔料平均粒径Davは顔料を溶剤に分散させレーザー散乱法により求めた顔料の平均径である。光輝性顔料はいずれも扁平形状を有している。
【0048】
表1
【0049】
表2に記載の配合(重量部)で各種顔料と樹脂バインダーを混合しコーティングを調整した。
【0050】
表2
【0051】
[光輝性顔料による被覆面積率(S)の測定]
作製した金属製包装体(缶体)を切り開いて、平板状とし反射型の顕微鏡により光輝コーティング部分の拡大写真を撮った。この写真を画像処理し、光輝性顔料部分による被覆面積率を求めた。信頼性を高めるため複数の写真について測定した平均値を(S)とした。
【0052】
[コーティング層中の光輝性顔料平均粒径(D)の測定]
上記被覆面積率を測定した写真を利用し、視野中の光輝性顔料による被覆面積Aを計測し、次いでその視野にある光輝性顔料の個数nを計測した。
このAとnを用い、計算式(A/n)1/2により、面積法による光輝性顔料の平均粒径を算出した。平均粒径の信頼性を高めるため、複数の写真を用いて計測を行い、その平均値を(D)とした。
【0053】
面積法により求めたコーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)は、コーティング層を上から見た時に見える光輝性顔料の面積に基づき算出した平均粒径であり、したがって、粒子の面配向が悪かったり、重なり合っていれば、本来は同じ大きさの光輝性顔料が含まれている場合でもDの値は極端に異なることになる。
すなわち、配向が良く、顔料がバラけている場合に比べ、配向が悪く、顔料が凝集している場合は、Dが大幅に小さくなる。Dは、コーティング層中で、それぞれの光輝性顔料が光輝感に寄与する程度と密接に関係した量である。
【0054】
[実施例1]
素板厚0.18mm、調質度DR−9のティンフリースチール板(表面処理被覆量として金属クロム量120mg/m2、クロム酸化物量15mg/m2とした)の缶内面になる側に厚さ20μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体フィルムを、一方缶外面になる側に酸化チタンを20重量%含有する厚さ15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体フィルムをフィルムの融点で両面同時に熱接着し、直ちに水冷することにより有機被覆金属板を得た。この有機被覆金属板にグラマーワックスを均一に塗布した後、直径160mmの円板に打ち抜き、常法に従って浅絞りカップを成形した。この絞り工程における絞り比は1.59である。
次いで、引き延ばしによる第1次、第2次再絞り加工を行い、薄肉化深絞りカップを得た。再絞り工程の成形条件及び再絞り成形された深絞りカップの諸特性を以下に示す。
第1次再絞り比 1.23
第2次再絞り比 1.24
再絞りダイス作用コーナー部曲率半径 0.30mm
再絞りダイス保持コーナー部曲率半径 1.0 mm
カップ径 66mm
カップ高さ 130mm
側壁厚み変化率 −40%
この後、常法に従ってドーミング成形を行った後、前記深絞りカップを215℃で1分間熱処理し、フィルムの加工歪みを取り除くとともに、潤滑剤を揮発させた。次いで、開口端部の縁切りを行い、高さ123mmの樹脂被覆薄肉化シームレス缶を得た。
この薄肉化シームレス缶に常法に従って、表2に記載のコーティングAを硬化後の平均膜厚が5μmとなるように塗装し、メタルハライドランプにより200mJ/cm2の紫外線を照射してコーティングを硬化させた。
次いで、この塗装缶に印刷を行い、次いで、硬化後の平均膜厚が5μmでラップ部の平均表面粗さが0.2μmとなるように仕上げワニスの塗布・硬化を行い、更にネックイン加工を行って目的とする缶体を得た。得られた缶体の仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)は、シングル塗装部で0.13μm、ラップ塗装部で0.2μmであった。この缶体を切り開き測定したコーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)は8.1μm、被覆面積率(S)は35%、D2×Sは2300であり、得られた缶体は光輝感が良く意匠性が優れていた。
【0055】
[実施例2]
コーティングAの代わりにコーティングBを用いた以外は実施例1と同様にして缶体を得た。得られた缶体の仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)は、シングル塗装部で0.18μm、ラップ塗装部で0.3μmであった。この缶体のコーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)は4.2μm、光輝性顔料による被覆面積率(S)は65%、D2×Sは1100であり、得られた缶体は光輝感が良く意匠性が優れていた。
【0056】
[実施例3]
常法に従い溶接缶胴用ブリキ板に硬化後の平均膜厚が5μmとなるようにコーティングBを塗装し、メタルハライドランプにより500mJ/cm2の紫外線を照射してコーティングを硬化させた。
この塗装大板に常法に従い、枚葉印刷を行い、インキを硬化させた後、更に硬化後の平均膜厚が6μmでその平均表面粗さ(Ra)が0.07μmとなるように仕上げワニスの塗布・硬化を行って缶胴用の印刷板を作製した。
この塗装大板より缶胴用のブランクを切り出し、常法に従い溶接、溶接部の内外面補正、ネックイン加工を行い目的とする缶体を作製した。
この缶体を切り開き測定したコーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)は4.0μm、光輝性顔料による被覆面積率(S)は61%、D2×Sは980であり、得られた缶体は光輝感が良く意匠性が優れていた。
【0057】
[実施例4]
素板厚0.30mmの缶胴用アルミ合金材(3004?H39)から直径140mmの円板を打ち抜き、絞り比1.6でカップ成形後、再絞り(絞り比1.3)としごき成形(3工程、総薄肉化率65%)を行い、内径66mmの絞りしごきカップを成形した。
この絞りしごきカップを常法に従ってドーミング成形した後、高さが123mmとなるように開口端部の縁切りを行い、常法に従って、洗浄、処理、乾燥を行い、アルミ絞りしごき缶を得た。
このアルミ絞りしごき缶に常法に従い、硬化後の平均膜厚が8μmとなるようにコーティングCを塗装し、メタルハライドランプにより500mJ/cm2の紫外線を照射してコーティングを硬化させた。次いで、この塗装缶に常法に従い、印刷を行った後、次いで、硬化後の平均膜厚が5μmでラップ部の平均表面粗さが0.18μmとなるように仕上げワニスの塗布・硬化を行って目的とする缶体を得た。得られた缶体の仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)は、シングル塗装部で0.11μm、ラップ塗装部で0.18μmであった。
この缶体を切り開き測定したコーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)は9.3μm、被覆面積率(S)は45%、D2×Sは3900であり、得られた缶体は光輝感が良く意匠性が優れていた。
【0058】
[実施例5] 実施例1の方法により作製した薄肉化シームレス缶に、硬化後の平均膜厚が1μmとなるようにコーティングDを塗装し、200℃で2分間の焼付によりコーティングの硬化を行った。
次いで、この塗装缶に常法に従い、印刷を行った後、次いで、硬化後の平均膜厚が5μmでラップ塗装部の平均表面粗さが 0.12μmとなるように仕上げワニスの塗布・硬化を行って目的とする缶体を得た。得られた缶体の仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)は、シングル塗装部で0.10μm、ラップ塗装部で0.12μmであった。
この缶体を切り開き測定したコーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)は8.8μm、被覆面積率(S)は31%、D2×Sは2400であり、得られた缶体は光輝感が良く意匠性が優れていた。
【0059】
【比較例】
[比較例1]
コーティングEを用い、硬化後の平均膜厚が4μmとなるように塗装、硬化させる以外は、実施例1と同様にして缶体を作製した。得られた缶体の仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)は、シングル塗装部で0.13μm、ラップ塗装部で0.2μmであった。
コーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)が2.1μmと小さいため暗い外観となった。コーティング層中の光輝性顔料による被覆面積率(S)は70%、D2×Sは310であった。
【0060】
[比較例2]
コーティングFを用いる以外は、実施例1と同様にして缶体を作製した。得られた缶体の仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)は、シングル塗装部で0.13μm、ラップ塗装部で0.2μmであった。コーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)は22.1μmで、光輝性顔料による被覆面積率(S)は18%、D2×Sは8800であった。
この場合、平均粒径(D)が本発明の範囲より大きいため、光輝性顔料のある部分とない部分の差が目立ちバランスの良い光輝感が得られなかった。
【0061】
[比較例3]
コーティングDを用いて硬化後のコーティング層の平均膜厚が0.2μmとなるように塗装を行う以外は、実施例5と同様にして缶体を作製した。得られた缶体の仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)は、シングル塗装部で0.10μm、ラップ塗装部で0.12μmであった。
コーティング層の厚みが薄過ぎるので、コーティングの転移状態が悪く外観が劣る上に、光輝性顔料が疎らにしか存在せず、光輝感は全くなかった。
この場合のコーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)は10.1μm、光輝性顔料による被覆面積率(S)は5%、D2×Sは510であった。
【0062】
[比較例4]
硬化後のコーティング層の平均膜厚が23μmとなるように塗装する以外は、実施例1と同様に缶体を作製した。得られた缶体の仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)は、シングル塗装部で0.13μm、ラップ塗装部で0.2μmであった。
光輝性コーティング層の平均膜厚が過剰であっても、光輝性顔料の面配向の低下や重なり度合いが増えるのみで光輝性の向上に関しては格別の効果がなく、却って密着性が低下し、缶体としての性能の低下を招いた。
この場合のコーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)は6.5μm、光輝性顔料による被覆面積率(S)は69%、D2×Sは2900であった。
【0063】
[比較例5]
コーティングGを用い、硬化後のコーティング層の平均膜厚を1μmとする以外は実施例1と同様にして缶体を作製した。得られた缶体の仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)は、シングル塗装部で0.13μm、ラップ塗装部で0.2μmであった。
コーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)は4.7μm、光輝性顔料による被覆面積率(S)は11%、D2×Sは240であった。この場合、D2×Sが本発明の範囲より低く、光輝感が乏しかった。
【0064】
[比較例6]
紫外線硬化性仕上げワニスを用い、レベリングを十分に確保しない状態で硬化させる以外は、実施例2と同様にして缶体を得た。
仕上げワニスの平均表面粗さ(Ra)は、シングル塗装部で0.4μm、ラップ塗装部で0.63μmであった。
コーティング層中の光輝性顔料の平均粒径(D)は3.9μm、光輝性顔料による被覆面積率(S)は60%、D2×Sは910であったが、仕上げワニスの乱反射のために顔料本来が持つ金属的な光沢が阻害され、光輝感が十分発現しなかった。
【0065】
上記実施例及び比較例の結果を表3に示す。
【0066】
表3
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、金属フレーク及び微粒子被覆パール顔料から成る群より選択された光輝性顔料を含有するコーティング層を設け、且つ前記コーティング層上に仕上げワニス層を設けてなり、前記コーティング層の平均膜厚が1乃至20μmであり、前記コーティング層中に存在する光輝性顔料粒子の面積から算出される平均粒径(D)が3乃至20μmであり、且つ光輝性顔料粒子の占める面積率(S)が10%以上で、前記平均粒径(D)と面積率(S)が式D2×S≧300を満足し、且つ前記仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)が0.3μm以下としたことにより、明るく、重厚で、しかもバランスのとれた光輝感を有し、特異で有用な装飾性に優れた商品価値を有する金属製包装体を少ない工程数で容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 金属包装体の参考断面図
【符号の説明】
1 金属基体
2 コーティング層
3 仕上げワニス層
4 印刷インキ層
Claims (5)
- 金属フレーク及び微粒子被覆パール顔料から成る群より選択された光輝性顔料を含有するコーティング層を設け、且つ前記コーティング層上に仕上げワニス層を設けてなり、前記コーティング層の膜厚が1乃至20μmであり、前記コーティング層中に存在する光輝性顔料粒子の面積から算出される平均粒径(D)が3乃至20μmであり、且つ光輝性顔料粒子の占める面積率(S)が10%以上で、前記平均粒径(D)と面積率(S)が式D2×S≧300を満足し、且つ前記仕上げワニス層の平均表面粗さ(Ra)が0.3μm以下であることを特徴とする光輝性に優れた金属製包装体。
- コーティング層が紫外線硬化型塗料であることを特徴とする請求項1に記載の光輝性に優れた金属製包装体。
- コーティング層の少なくとも一部に印刷インキ層を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光輝性に優れた金属製包装体。
- 金属製包装体が缶体であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光輝性に優れた金属製包装体。
- 金属製包装体が金属製蓋であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光輝性に優れた金属製包装体。
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