JP3870094B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電荷潜像を顕在化する画像形成方法やトナージェット記録方法に用いるトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、ついで該潜像をトナーで現像を行って可視像とし、必要に応じて紙などの転写材にトナー画像を転写した後、熱・圧力などにより転写材上にトナー画像を定着して複写物又は印刷物を得るものである。
【0003】
また、トナーを用いて現像する方法あるいは、トナー画像を定着する方法としては、従来各種の方法が提案されている。
【0004】
従来、これらの目的に使用するトナーは、一般的に熱可塑性樹脂中に染料または顔料からなる着色剤を溶融混練し、均一に分散させた後、微粉砕装置により微粉砕し、微粉砕物を分級機により分級して所望の粒径を有するトナーを製造してきた。
【0005】
この製造方法ではかなり優れたトナーを製造し得るが、ある種の制限、すなわち、トナー用材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着色剤分散体が十分に脆く、経済的に可能な製造装置で微粉砕し得るものでなければならない。ところがこれらの要求を満たすために樹脂着色剤分散体を脆くすると、該分散体を実際に高速で微粉砕した場合、形成された粒子の粒経範囲が広くなりやすく、特に比較的大きな割合で微粒子がこれに含まれるという問題が生じる。
【0006】
更に、このように脆性の高い材料から得られるトナーは、複写機等の現像器中で更なる微粉砕乃至は粉化を受けやすい。また、この方法では、着色剤等の固体微粒子を樹脂中に完全に均一分散することは困難であり、その分散の度合によっては、画像形成時におけるカブリの増大、画像濃度低下、混色性あるいは透明性の不良の原因となるので、着色剤の分散には十分な注意を払わなければならない。また、粉砕粒子の破断面に着色剤が露出することにより、現像特性の変動を引き起こす場合もある。
【0007】
一方、これら粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、特公昭36−10231号、同43−10799号および同51−14895号公報等による懸濁重合法トナーを始めとして、粉砕工程を含まない化学合成によるトナーやその製造方法が提案されている。例えば、懸濁重合法トナーでは、重合性単量体、着色剤及び重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加剤を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、該単量体組成物を分散安定剤を含有する媒体、例えば、水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、濾別、乾燥して所望の粒径を有するトナー粒子を得る。また、乳化凝集法トナーでは、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合体粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがある。濾別、乾燥以降の工程は懸濁重合法と同様に行なえる。なお、ここで会合とは、樹脂粒子及び着色剤粒子が複数個融着することを示す。一般に、懸濁重合法トナー及び乳化凝集法トナー等の粉砕工程を含まない化学合成によるトナーを、重合トナー又は重合法トナーと称する。これらの方法では、粉砕工程が全く含まれないため、トナーに脆性が必要ではなく、樹脂として軟質の材料を使用することができ、また、粒子表面への着色剤の露出が生ぜず、均一な摩擦帯電性を有するトナーが得られるという利点がある。また、得られるトナーの粒度分布が比較的シャープなことから分級工程を省略または、分級したとしても、高収率でトナーが得られるため、エネルギーの節約、時間の短縮、工程収率の向上等、コスト削減効果が大きい。また、離型剤として低軟化点物質を大量にトナー中に内包化できることから、得られるトナーが耐オフセット性に優れるという利点がある。
【0008】
これらの重合トナーの製造過程において、処理対象物が液状物質若しくは液体中に懸濁状態で存在するスラリー(以下、液状物質とスラリーを総称して「処理液」と称する)である工程があり、各処理液はタンク等の容器でバッチ式に処理されることが一般的である。また、同一バッチ内で処理が均一に行なわれるよう撹拌しながら行なうことが一般的である。更に、異なるバッチ間で処理の程度に差が出ぬよう処理温度を一定に制御することが好ましい。処理温度は30℃以上120℃以下と常温よりも加熱側に一定にすることが一般的である。
【0009】
得られた重合トナーを仔細に観察すると不定形の形状のトナーや着色剤の色を示さない無色のトナー(以下、不定形トナー称する)がわずかながら存在することが判明した。不定形トナーは、生成過程が通常のトナーと異なると考えられ、この存在割合が大きくなると摩擦帯電性等のトナー特性及び画像評価した場合の現像特性に悪影響が現れ、画像濃度の変動、白又は着色された筋、カブリの発生等が見られる。従って、重合トナーの製造方法において、不定形トナーの発生を防止することは、安定した性状のトナーを生産する上で重要な事項である。
【0010】
重合トナー中の不定形トナーは、上述のタンク等の容器内に生成するスケール状付着物が主要因で、そのため、スケール状付着物の頻繁な除去作業を要し、製造装置の稼働率低下をもたらし、結果として、製品であるトナーのコストアップにつながるという問題があった。
【0011】
各容器内のスケール状付着物の生成を防止する対策は、特開平10−153878号公報等で種々提案されてきたが、付着物の硬化速度に着目せずに対策を施していたため、対策が完全でなかったり、対策が過剰となりコストアップを招いていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上述の如き問題点を解消して、不定形トナーが少なく、現像性能や転写性能及び定着性能に優れたトナーが得られるトナーの製造方法を提供することである。
【0013】
また本発明の他の目的は、トナー製造装置のスケール状付着物の生成を抑制し、長時間に渡って、性能の優れたトナーを安定して安価に製造する方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。
【0015】
即ち本発明は、水系媒体中で合成されるトナーの製造方法であって、少なくとも着色粒子を含有する単量体組成物を、周囲にジャケットを設けた容器内で、該ジャケット内に熱媒を供給して撹拌処理する調製工程を有し、該撹拌処理された単量体組成物を排出後10分以内に、該ジャケット内に冷媒を供給して容器を冷却し、該冷却する温度T1(℃)と該単量体組成物の温度T2(℃)が、
T1≦T2−10
の関係とし、該排出された単量体組成物を水系媒体中で重合することを特徴とするトナーの製造方法である。好ましくは冷却する温度T1(℃)と単量体組成物の温度T2(℃)が、
T1≦T2−20
の関係にあり、好ましくは、単量体組成物排出後5分以内に冷却することを特徴とするトナーの製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0018】
本発明者らは、上記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、処理液を撹拌処理する容器内のスケール状付着物の生成を防止するためには、処理液を排出後に容器を冷却及び/又は洗浄液を散布する方法が大きく影響を与えていることを見出した。
【0019】
本発明のトナーは少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である離型剤や荷電制御剤等を含有することもできる。さらに、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0020】
本発明のトナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合体粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがあげられる。なお、ここで「会合」とは、樹脂粒子及び着色剤粒子が複数個融着することを示す。
【0021】
また、本発明でいうところの「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0022】
懸濁重合法の製造方法としては特に限定されるものではないが、下記の様な製造方法を挙げることができる。
【0023】
すなわち、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を、分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、撹拌機構を有する反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。
【0024】
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂及び着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させ、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
【0025】
本発明に用いられる好ましい単量体としては、具体的には、スチレン,o(m−、p−)−メチルスチレン,m(p−)−エチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミド等のエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独または一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(JohnWiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、一方75℃を超える場合は定着点の上昇をもたらし、特にフルカラートナーの場合においては各色トナーの混色が不十分となり色再現性に乏しく、更にOHP画像の透明性を著しく低下させ高画質の面から好ましくない。
【0026】
外殻樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するが外殻樹脂は溶解し得ない有機溶剤、例えばクロロホルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。得られた樹脂成分の数平均分子量(Mn)は5000〜100000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2〜100を示す外殻樹脂が本発明には好ましい。
【0027】
本発明においては、コア/シェル構造を有するトナーを製造する場合、低軟化点物質を内包化せしめるため、外殻樹脂中に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。
【0028】
本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、外殻樹脂又は単量体と反応しうる不飽和基を分子中にあまり含まないものが特に好ましい。仮に多くの不飽和基を有する極性樹脂を含む場合においては、外殻樹脂層を形成する単量体と架橋反応が起き、特に、フルカラー用トナーとしては、極めて高分子量になり四色トナーの混色には不利となり好ましくない。
【0029】
また、本発明においては、トナーの表面にさらに最外殻樹脂層を設けても良い。該最外殻樹脂層のガラス転移温度は、耐ブロッキング性のさらなる向上のため外殻樹脂層のガラス転移温度以上に設計されること、さらに定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。また、該最外殻樹脂層には帯電性向上のため極性樹脂や荷電制御剤が含有されていることが好ましい。
【0030】
該最外殻層を設ける方法としては、特に限定されるものではないが例えば以下のような方法が挙げられる。
1.重合反応後半、または終了後、反応系中に必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を溶解、分散したモノマーを添加し重合粒子に吸着させ、重合開始剤を添加し重合を行う方法。
2.必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を反応系中に添加し、重合粒子表面に凝集、必要に応じて熱等により固着させる方法。
3.必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を乾式で機械的にトナー粒子表面に固着させる方法。
である。
【0031】
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
【0032】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
【0033】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0034】
本発明に用いられるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
【0035】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。
【0036】
本発明に用いられる着色剤は、カラートナーの場合、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0037】
黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり樹脂100質量部に対し4〜150質量部添加して用いられる。
【0038】
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、カラートナーの場合は、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。具体的化合物としては、ネガ系としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属化合物,スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物,ホウ素化合物,尿素化合物,ケイ素化合物,カリークスアレーン等が利用でき、ポジ系として四級アンモニウム塩,該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物,グアニジン化合物,イミダゾール化合物等が好ましく用いられる。該荷電制御剤は樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部が好ましい。
【0039】
本発明で使用される重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が用いられる。
【0040】
該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対し0.5〜20質量%添加され用いられる。開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。また、重合度を制御するため公知の架橋剤・連鎖移動剤・重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0041】
本発明のトナー製造方法においては、重合時に用いる分散安定剤を、酸に可溶な無機系酸化物とするのが好ましい。更に、該無機系酸化物はリン酸化合物であることが好ましい。リン酸化合物としては、例えば、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛等が挙げられる。これらの分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10.0質量部を使用することが好ましい。
【0042】
更に、該分散安定剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有す分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させて用いることもできる。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹袢下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に好ましい分散安定剤を得ることができる。また、これら分散安定剤の微細化のため0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0043】
該界面活性剤として、具体的には、市販のノニオン,アニオン,カチオン型の界面活性剤が利用でき、例えばドデシル硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0044】
本発明の特徴である処理液を撹拌処理する容器内のスケール状付着物の生成を防止するための、処理液を排出後に容器を冷却及び/又は洗浄液を散布する方法について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1に本発明に用いたトナー製造装置の模式図の一例を示す。
【0045】
図1で、トナー製造用タンク1を用いて、トナー製造工程の液状中間物質である処理液2を生成する工程には下記のような工程があるが、本発明は下記に限定されるものではない。
【0046】
懸濁重合特有の工程としては以下のような工程がある。
A.重合性単量体と着色剤、荷電制御剤、重合開始剤、樹脂、滑剤等を溶解/分散して重合性単量体組成物(処理液A)を生成する溶解工程(トナー製造用タンクA)。これら添加物を溶解/分散する工程を分割して処理液A1、A2、・・・と多段処理する場合もある。
B.水系分散媒体中に重合性単量体組成物が液滴として存在する懸濁液(処理液B)を生成する造粒工程(トナー製造用タンクB)。
C.重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合し、トナー懸濁液(処理液C)を生成する重合工程(トナー製造用タンクC)。
D.トナー懸濁液を蒸留して精製トナー懸濁液(処理液D)を生成する蒸留工程(トナー製造用タンクD)。
【0047】
乳化重合特有の工程としては以下のような工程がある。
E.重合性単量体又は重合性単量体組成物を乳化重合して微細粒子のエマルジョン(処理液E)を生成する乳化重合工程(トナー製造用タンクE)。
F.微細粒子のエマルジョンに必要により各種添加剤のエマルジョンを混合して微細粒子を凝集させ、凝集粒子の分散液(処理液F)を生成する凝集工程(トナー製造用タンクF)。
G.温度/pH調整により凝集粒子の粒径や形状を整えトナー分散液(処理液G)を生成する熟成工程(トナー製造用タンクG)。
【0048】
撹拌翼3により処理液2を混合することは、処理液2を均一に処理するために重要である。また、異なるバッチ間で処理の程度に差が出ぬよう処理温度を制御することが一般的である。特に処理が重合処理である場合、処理温度が重合速度に影響を与えるため処理温度の制御が重要である。異なるバッチ間で重合速度が不均一であると、生成するトナーの分子量が異なりトナーの定着性に致命的な欠陥を生じる。処理温度は30℃以上120℃以下と常温よりも加熱側に一定にすることが一般的である。処理温度を制御する方法としては、トナー製造用タンク1の周囲にジャケット12を設置し、ジャケット12内に熱媒又は冷媒を温調バルブ4より供給する方法が一般的である。
【0049】
しかしながら、液面7を乱さずに処理液2を撹拌することは困難であり、液面7で液はねが生じ、トナー製造用タンク1や撹拌翼3の液面7近傍の壁面にスケール状付着物8が生成する。処理が終了し、トナー製造用タンク1の排出バルブ6より処理液2を次工程に移送すると、空のトナー製造用タンク1の壁面にスケール状付着物8が残留する。残留したスケール状付着物8を次バッチまでに除去しないと、乾燥して固化したり、ジャケット12からの伝熱により熱硬化する。この状態でバッチ生産を重ねると硬化したスケール状付着物8が堆積し、撹拌抵抗を受けるほどに成長すると自重や振動をきっかけに壁面より剥離する。この付着物8が製品となる通常処理物に混入すると、後工程のトラブル若しくは市場での品質トラブルを引き起こすので、壁面の付着物8を除去する方法が種々提案されてきた。しかしながら、今までの対策は付着物8を冷却せずに除去する方法であったため、除去中に付着物8が硬化してしまい、付着物8の除去が不完全となることが多かった。
【0050】
本発明者等は、付着物8を冷却することで付着物8の硬化を防止し付着物8の除去を容易にする方法に至った。すなわち、処理液2排出後に冷媒供給バルブ5よりジャケット12に冷媒を供給し、トナー製造用タンク1の壁面を介して付着物8を冷却する。冷却する温度(T1)は、処理液2の温度(T2)よりも10℃以上低いことが好ましく、より好ましくは処理液2の温度よりも20℃以上低く冷却することである。冷却するタイミングは、処理液排出後10分以内に冷却することが好ましく、より好ましくは5分以内に冷却することである。
【0051】
冷却した付着物8は硬化しないため、次バッチと混合して再利用できる場合は除去せずに有効利用することができる。次バッチと混合して再利用できない場合は、水等の洗浄液を散布して付着物8を容易に除去できる。洗浄液の散布は各種ノズルで行なうことができ、壁面専用ノズル9、撹拌軸専用ノズル10、全体散布用ノズル11等がある。散布する洗浄液の温度(T3)も処理液2の温度(T2)よりも10℃以上低いことが好ましく、より好ましくは処理液2の温度よりも20℃以上低い洗浄液の温度である。洗浄液を散布するタイミングも、処理液排出後10分以内に散布することが好ましく、より好ましくは5分以内に散布することである。洗浄液と共に除去した付着物は、次工程に添加して有効利用することも可能である。
【0052】
本発明のトナーには、各種トナー性能付与のために、外添剤を添加しても良い。使用される外添剤としては、例えば、金属酸化物(酸化アルミニウム,酸化チタン,チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化マグネシウム,酸化クロム,酸化錫,酸化亜鉛,など)・窒化物(窒化ケイ素など)・炭化物(炭化ケイ素など)・金属塩(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなど)・脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど)・カーボンブラック・シリカなどが用いられる。
【0053】
これら外添剤は、トナー粒子100質量部に対し、0.01〜10質量部が用いられ、好ましくは0.05〜5質量部が用いられる。これら外添剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。それぞれ、疎水化処理を行ったものが、より好ましい。
【0054】
トナー平径及び粒度分布の測定装置としては、コールターカウンタTA−IIあるいはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。
【0055】
測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。
【0056】
試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布を算出した。
【0057】
それから本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)(各チャンネルの代表値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
【0058】
また、本発明における含水率は、含水粒子5gをアルミ皿に採取し、それを精秤(A[g])し、105℃に設定した乾燥機に1時間放置し、冷却後精秤(B[g])し、以下の式で計算した値である。
含水率=((A−B)/A)×100[%]
【0059】
【実施例】
以上、本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。しかしながら、もちろん、これによって本発明が何ら限定されるものではない。
【0060】
【実施例】
<実施例1>
イオン交換水95kgに1235gのNa3PO4・12H2Oを投入し60℃に加温した後、クレアミックス撹拌機(エム・テクニック製)を用いて3,700rpmにて撹拌した。これに716gのCaCl2・2H2Oを5kgのイオン交換水に溶解した水溶液を徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0061】
スチレン 12000g
n−ブチルアクリレート 2500g
C.I.ピグメントブルー15:3 1100g
パラフィンワックス(m.p.70℃) 2200g
ジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物 150g
上記処方を60℃に加温し、均一に溶解、分散し重合性単量体組成物(=処理液)を調製した。
【0062】
重合性単量体組成物を調製する際のトナー製造用タンクとして、図1に示すトナー製造用タンクを用い、
1)処理液排出時のジャケット温度:60℃
2)処理液排出から10分後のジャケット温度:50℃
3)洗浄液の散布:なし
となるように、ジャケットの温度制御を行なった。
【0063】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物と重合開始剤、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)440gを投入した。
【0064】
重合性単量体組成物と水系媒体の混合物を60℃,N2雰囲気下において、クレアミックス撹拌機(エム・テクニック製)を用いて3,700rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
【0065】
その後、重合性単量体組成物を重合装置に移送し、液温は60℃で5時間反応させた後、液温を80℃とし3時間反応させた。
【0066】
重合反応終了後、重合液を蒸留装置に移送し、液温は80℃で蒸留操作を5時間行なった。蒸留済懸濁液を冷却し、塩酸を加えCa3(PO4)2を溶解させ、濾過、乾燥を行ない、重合トナーを得た。
【0067】
この溶解、造粒、重合、蒸留、濾過、乾燥からなる一連の操作を装置の分解洗浄無しに連続40バッチ行なったところ、最後の40バッチ目に得られたトナーの粒径は重量平均径6.8μmでシャープな粒度分布を有していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップ温度は70℃であった。また、残存モノマー、副生成物(ベンズアルデヒド)量は、合計で50ppmであった。
【0068】
得られたトナー100質量部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ0.7質量部を外添した。このトナー7質量部に対して、アクリルコートさらたフェライトキャリア93質量部を混合し、現像剤とした。
【0069】
この現像剤及び外添トナーを用いて、キヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機で画出しを行なったところ、臭気は発生せず良好な画像が得られた。また、40バッチ終了後のトナー製造用タンクは軽微な付着堆積層が認められるものの更なる連続運転が可能であった。結果を表1に示す。
【0070】
<実施例2>
重合性単量体組成物を調製する際のトナー製造用タンクとして、図1に示すトナー製造用タンクを用い、
1)処理液排出時のジャケット温度:60℃
2)処理液排出から10分後のジャケット温度:40℃
3)洗浄液の散布:なし
となるように、ジャケットの温度制御を行なった以外は、実施例1と同様に溶解、造粒、重合、蒸留、濾過、乾燥からなる一連の操作を装置の分解洗浄無しに連続40バッチ行なったところ、最後の40バッチ目に得られたトナーの性能は実施例1と同様で臭気は発生せず良好な画像が得られた。また、40バッチ終了後のトナー製造用タンクには付着堆積層が認められず、更なる連続運転が可能であった。結果を表1に示す。
【0071】
<実施例3>
重合性単量体組成物を調製する際のトナー製造用タンクとして、図1に示すトナー製造用タンクを用い、
1)処理液排出時のジャケット温度:60℃
2)処理液排出から10分後のジャケット温度:30℃
3)洗浄液の散布:なし
となるように、ジャケットの温度制御を行なった以外は、実施例1と同様に溶解、造粒、重合、蒸留、濾過、乾燥からなる一連の操作を装置の分解洗浄無しに連続40バッチ行なったところ、最後の40バッチ目に得られたトナーの性能は実施例1と同様で臭気は発生せず良好な画像が得られた。また、40バッチ終了後のトナー製造用タンクには付着堆積層が認められず、更なる連続運転が可能であった。結果を表1に示す。
【0072】
<実施例4>
重合性単量体組成物を調製する際のトナー製造用タンクとして、図1に示すトナー製造用タンクを用い、
1)処理液排出時のジャケット温度:60℃
2)処理液排出から10分後のジャケット温度:10℃
3)洗浄液の散布:なし
となるように、ジャケットの温度制御を行なった以外は、実施例1と同様に溶解、造粒、重合、蒸留、濾過、乾燥からなる一連の操作を装置の分解洗浄無しに連続40バッチ行なったところ、最後の40バッチ目に得られたトナーの性能は実施例1と同様で臭気は発生せず良好な画像が得られた。また、40バッチ終了後のトナー製造用タンクには付着堆積層が認められず、更なる連続運転が可能であった。結果を表1に示す。
【0073】
しかしながら、次バッチのためにジャケット温度を60℃に戻す時間が実施例1よりも伸び、結果として生産性が低下してしまった。
【0074】
<実施例5>
重合性単量体組成物を調製する際のトナー製造用タンクとして、図1に示すトナー製造用タンクを用い、
1)処理液排出時のジャケット温度:60℃
2)処理液排出から5分後のジャケット温度:50℃
3)洗浄液の散布:なし
となるように、ジャケットの温度制御を行なった以外は、実施例1と同様に溶解、造粒、重合、蒸留、濾過、乾燥からなる一連の操作を装置の分解洗浄無しに連続40バッチ行なったところ、最後の40バッチ目に得られたトナーの性能は実施例1と同様で臭気は発生せず良好な画像が得られた。また、40バッチ終了後のトナー製造用タンクには付着堆積層が認められず、更なる連続運転が可能であった。結果を表1に示す。
【0075】
<比較例1>
重合性単量体組成物を調製する際のトナー製造用タンクとして、図1に示すトナー製造用タンクを用い、処理液の排出の有無に係わらずジャケット温度を60℃に固定した以外は、実施例1と同様に溶解、造粒、重合、蒸留、濾過、乾燥からなる一連の操作を装置の分解洗浄無しに連続40バッチ行い、最後の40バッチ目に得られたトナーの粒径は重量平均径8.2μmで粗粒側にブロードな粒度分布を有していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップ温度は70℃であった。また、残存モノマー、副生成物(ベンズアルデヒド)量は、合計で50ppmであった。
【0076】
得られたトナー100質量部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ0.7質量部を外添した。このトナー7質量部に対して、アクリルコートさらたフェライトキャリア93質量部を混合し、現像剤とした。
【0077】
この現像剤及び外添トナーを用いて、キヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機で画出しを行なったところ、臭気は発生しないものの、画出し初期より白い筋やムラを伴なう画像が発生した。また、40バッチ終了後のトナー製造用タンクには付着堆積物の生成が激しく、更なる連続運転は不可能で分解清掃を行なう必要があった。結果を表1に示す。
【0078】
<参考例1>
イオン交換水95kgに1235gのNa3PO4・12H2Oを投入し60℃に加温した後、クレアミックス撹拌機(エム・テクニック製)を用いて3,700rpmにて撹拌した。これに716gのCaCl2・2H2Oを5kgのイオン交換水に溶解した水溶液を徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0079】
スチレン 12000g
n−ブチルアクリレート 2500g
C.I.ピグメントブルー15:3 1100g
パラフィンワックス(m.p.70℃) 2200g
ジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物 150g
上記処方を60℃に加温し、均一に溶解、分散し重合性単量体組成物(=処理液)を調製した。
【0080】
重合性単量体組成物を調製する際のトナー製造用タンクとして、図1に示すトナー製造用タンクを用い、
1)処理液排出時のジャケット温度:60℃
2)処理液排出から10分後のジャケット温度:50℃
3)処理液排出から10分後に50℃の温水を散布
となるように、ジャケットの温度制御とタンク洗浄を行なった。
【0081】
重合開始剤、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)440gを排出直前の上記重合性単量体組成物に溶解した後、前記水系媒体中に重合性単量体組成物を投入した。
【0082】
重合性単量体組成物と水系媒体の混合物を60℃,N2雰囲気下において、クレアミックス撹拌機(エム・テクニック製)を用いて3,700rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
【0083】
その後、重合性単量体組成物を重合装置に移送し、液温は60℃で5時間反応させた後、液温を80℃とし3時間反応させた。
【0084】
重合反応終了後、重合液を蒸留装置に移送し、液温は80℃で蒸留操作を5時間行なった。蒸留済懸濁液を冷却し、塩酸を加えCa3(PO4)2を溶解させ、濾過、乾燥を行ない、重合トナーを得た。
【0085】
この溶解、造粒、重合、蒸留、濾過、乾燥からなる一連の操作を装置の分解洗浄無しに連続40バッチ行なったところ、最後の40バッチ目に得られたトナーの粒径は重量平均径6.8μmでシャープな粒度分布を有していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップ温度は70℃であった。また、残存モノマー、副生成物(ベンズアルデヒド)量は、合計で50ppmであった。
【0086】
得られたトナー100質量部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ0.7質量部を外添した。このトナー7質量部に対して、アクリルコートさらたフェライトキャリア93質量部を混合し、現像剤とした。
【0087】
この現像剤及び外添トナーを用いて、キヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機で画出しを行なったところ、臭気は発生せず良好な画像が得られた。また、40バッチ終了後のトナー製造用タンクは軽微な付着堆積層が認められるものの、更なる連続運転が可能であった。結果を表1に示す。
【0088】
<参考例2>
重合性単量体組成物を調製する際のトナー製造用タンクとして、図1に示すトナー製造用タンクを用い、
1)処理液排出時のジャケット温度:60℃
2)処理液排出から10分後のジャケット温度:50℃
3)処理液排出から10分後に40℃の温水を散布
となるように、ジャケットの温度制御とタンク洗浄を行なった以外は、参考例1と同様に溶解、造粒、重合、蒸留、濾過、乾燥からなる一連の操作を装置の分解洗浄無しに連続40バッチ行なったところ、最後の40バッチ目に得られたトナーの性能は参考例1と同様で臭気は発生せず良好な画像が得られた。また、40バッチ終了後のトナー製造用タンクには付着堆積層が認められず、更なる連続運転が可能であった。結果を表1に示す。
【0089】
<参考例3>
重合性単量体組成物を調製する際のトナー製造用タンクとして、図1に示すトナー製造用タンクを用い、
1)処理液排出時のジャケット温度:60℃
2)処理液排出から10分後のジャケット温度:50℃
3)処理液排出から5分後に50℃の温水を散布
となるように、ジャケットの温度制御とタンク洗浄を行なった以外は、参考例1と同様に溶解、造粒、重合、蒸留、濾過、乾燥からなる一連の操作を装置の分解洗浄無しに連続40バッチ行なったところ、最後の40バッチ目に得られたトナーの性能は参考例1と同様で臭気は発生せず良好な画像が得られた。また、40バッチ終了後のトナー製造用タンクには付着堆積層が認められず、更なる連続運転が可能であった。結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
画像評価の判定
A:良好
C:不良発生
付着状況の判定
A:付着物なし。継続生産可能。
B:軽微な付着物あり。継続生産可能。
C:付着物あり。継続生産不可。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、処理液を撹拌処理する容器内のスケール状付着物の生成を防止でき、得られたトナーによって画像を形成した場合において、現像性能や転写性能及び定着性能に優れたトナーが得られるトナーの製造方法が提供される。
【0092】
更に本発明によれば、原材料を有効利用し経済性に優れたトナーが得られる重合法トナーの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いたトナー製造装置の模式図の一例である。
【符号の説明】
1. トナー製造用タンク
2. 処理液
3. 撹拌翼
4. 温調バルブ
5. 冷媒供給バルブ
6. 排出バルブ
7. 液面
8. スケール状付着物
9. 壁面専用ノズル
10. 撹拌軸専用ノズル
11. 全体散布用ノズル
12. ジャケット
Claims (3)
- 水系媒体中で合成されるトナーの製造方法であって、少なくとも着色粒子を含有する単量体組成物を、周囲にジャケットを設けた容器内で、該ジャケット内に熱媒を供給して撹拌処理する調製工程を有し、該撹拌処理された単量体組成物を排出後10分以内に、該ジャケット内に冷媒を供給して容器を冷却し、該冷却する温度T1(℃)と該単量体組成物の温度T2(℃)が、
T1≦T2−10
の関係とし、該排出された単量体組成物を水系媒体中で重合することを特徴とするトナーの製造方法。 - 冷却する温度T1(℃)と単量体組成物の温度T2(℃)が、
T1≦T2−20
の関係にあることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。 - 単量体組成物排出後5分以内に冷却することを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
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