JP4064369B2 - トナーの製造方法およびトナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられるトナーおよびその製造方法に関する。
最近のOA機器の目覚しい発達にともなって、電子写真方式を利用して印刷を行うコピー機、プリンタおよびファクシミリ装置などが広く普及している。電子写真方式を利用した画像形成装置は、一般に、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程および定着工程などによって画像が形成される。帯電工程では、感光体の表面を暗所で均一に帯電する。露光工程では、帯電した感光体に原稿像を投射することにより、光の当たった部分の帯電が除去されて感光体の表面に静電潜像を形成する。現像工程では、感光体表面に形成された静電潜像にトナーを付着させることにより可視像を形成する。転写工程では、感光体表面に形成された可視像に紙およびシートなどの記録媒体を接触させ、可視像と接触している記録媒体の面とは反対側からコロナ放電を行い、トナーとは逆の極性の電荷を記録媒体に与えることにより、可視像を記録媒体に転写する。定着工程では、加熱および加圧などの手段により記録媒体に転写された可視像を定着する。クリーニング工程では、記録媒体に転写されずに感光体の表面に残ったトナーを回収する。以上の工程を繰り返すことによって、電子写真方式を利用した画像形成装置は、記録媒体上に所望の画像を形成する。
電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられるトナーの製造方法としては、乾式法および湿式法がある。乾式法には、粉砕法などが挙げられる。粉砕法とは、樹脂、着色剤およびワックスなどを溶融混練し、得られた混練物を粉砕機などによって、微粉砕および分級することによって、トナーを得る方法であり、工業的に広く用いられている。トナーは、形成される画像の高画質化を実現するために、トナーの小粒径化が望まれているが、粉砕法では、粉砕に要するエネルギおよび時間が増大し、製造工程が煩雑になり、さらに収率が低下するため、製造コストが顕著に高騰してしまう。
また、湿式法には、懸濁重合法および乳化重合法などが挙げられる。懸濁重合法とは、着色剤を含む水性媒体中でビニル単量体などの合成樹脂モノマーを懸濁重合することによって、トナーを得る方法である。乳化重合法とは、合成樹脂粒子の水分散液と着色剤の有機溶媒への分散液とを混合して合成樹脂粒子と着色剤との凝集粒子を形成し、この凝集粒子を加熱溶融してトナーを得る方法である。
他の湿式法として、転相乳化を用いる方法があり、特許文献1に記載されている。転相乳化法とは、自己水分散性の樹脂と着色剤などとを有機溶媒中に溶解または分散させて、樹脂の解離基を中和する中和剤を加えて攪拌しながら水を加えていき、着色剤などが内包された樹脂溶液滴を転相乳化させることによって、トナー粒子を得る方法である。特許文献1のカプセル型トナー(トナー)の製造方法は、アニオン型自己水分散性樹脂および着色剤を有機溶媒に溶解または分散させ、その分散液を攪拌させながら、アニオン型自己水分散性樹脂の解離基を中和する中和剤および水を加えていき、着色剤などが内包された樹脂溶液滴を転相乳化させることによってトナーを得る方法である。
また、別の湿式法として、樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解または分散させた液を、無機分散剤を含有する水媒体中で造粒して溶媒を除去、乾燥することによってトナー粒子を得る方法があり、典型的な従来の技術は、特許文献2に記載されている。特許文献2の静電荷像現像用トナー(トナー)の製造方法は、ポリエステル樹脂および着色剤を含む材料を、ポリエステル樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解または分散させ、その液を無機分散剤を含有する水媒体中で造粒した後、溶媒を除去してトナーを製造する。
他の従来の技術として、特許文献2の技術に類似の技術が特許文献3および4に記載されている。特許文献3の静電荷像現像用負荷電性トナーの製造方法および特許文献4の静電荷像現像用正荷電性トナーの製造方法は、平均粒子径が0.7〜5μmの無機分散剤を用いること以外、特許文献2の静電荷像現像用トナーの製造方法と同様に製造する。なお、特許文献3の静電荷像現像用負荷電性トナーの製造方法は、負荷電性の荷電制御剤を用い、特許文献4の静電荷像現像用正荷電性トナーの製造方法は、正荷電性の荷電制御剤を用いている。
他の従来の技術として、特許文献2〜4の技術に類似の技術が特許文献5に記載されている。特許文献5の静電荷像現像用トナーの製造方法は、結着樹脂としてスチレン、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびそれらの混合物を主成分として含む重合性ビニル系単量体を重合して得られるビニル系重合体を用いる以外、特許文献2の静電荷像現像用トナーの製造方法と同様に製造する。
他の従来の技術として、特許文献2〜5の技術に類似の技術が特許文献6に記載されている。特許文献6の静電荷像現像用トナーの製造方法は、トナー粒子調製後、さらに、水で、洗浄前の水と洗浄後の水の電気伝導度の差が200μS/cm以下になるまで洗浄すること以外、特許文献2の静電荷像現像用トナーの製造方法と同様に製造する。
他の従来の技術として、特許文献2〜6の技術に類似の技術が特許文献7に記載されている。特許文献7の静電荷像現像用トナーの製造方法は、水媒体中にさらに界面活性剤を添加すること以外、特許文献2の静電荷像現像用トナーの製造方法と同様に製造する。
他の従来の技術として、特許文献2〜7の技術に類似の技術が特許文献8に記載されている。特許文献8のトナーの製造方法は、界面活性剤および平均粒子径が0.1〜2μmの無機分散剤を含有する水分散液を用いること以外、特許文献2の静電荷像現像用トナーの製造方法と同様に製造する。
上記のような湿式法によるトナーの製造方法は、得られるトナー中に有機溶媒および樹脂のモノマーなどが残留してしまう。このような成分は、トナーを静電荷像の現像に実際に用いる場合、トナーの外部に滲出し、現像ローラなどの部材を損傷させる。さらに、トナーの帯電性がばらついてしまう。したがって、トナーを製造した後に、トナーから有機溶媒およびモノマーなどを除去する工程が必要となる。しかしながら、このような除去する工程において、圧力、温度および時間などの操作条件の微妙な変動によって、得られるトナーの形状、その帯電性にばらつきが生じやすい。したがって、形状の均一なトナーを得るためには、操作条件を最適な条件に調整することが必要であり、それを実現することは、非常に困難である。また、環境に大きな負荷を与える有機溶媒およびモノマーなどを大量に使用するので、これらを処理する設備が必要となり、トナーの製造コストが高騰してしまう。
さらに、上述のような従来の湿式法によって得られるトナーは、それを用いて記録媒体に形成される画像の画像濃度およびかぶりなどの画質、記録媒体上での着色剤の分散性および記録媒体への転写率などのトナー特性のすべてが優れたものではない。
そこで、他の従来の技術として、トナーである粒子を形成する際に、有機溶媒を用いず、重合反応も用いないトナーの製造方法が特許文献9に記載されている。特許文献9のトナー組成物の製造方法は、ナトリウムスルホン化ポリエステルを用いて顔料を水中に分散させた顔料分散液を、ナトリウムスルホン化ポリエステルを水中に分散させた乳濁液に添加し、さらに、アルカリハライド溶液を添加して、凝集物を形成させ、トナーを製造する方法である。
特開平5−66600号公報 特開平7−152202号公報 特開平7−168395号公報 特開平7−168396号公報 特開平7−219267号公報 特開平8−179555号公報 特開平8−179556号公報 特開平9−230624号公報 特開平10−39545号公報
トナーの製造方法は、有機溶媒およびモノマーなどの不要な成分が含まれないようにトナーを製造することが容易にでき、製造されたトナーが優れたトナー特性を有する必要がある。
特許文献9によると、トナーの成分であるナトリウムスルホン化ポリエステルを用いて水に分散させた顔料と水に分散させたナトリウムスルホン化ポリエステルとを凝集させることによってトナー組成物を製造するので、有機溶媒およびモノマーなどの不要な成分を含まないようにトナー組成物を製造することができるトナー組成物の製造方法である。しかし、ナトリウムスルホン化ポリエステルを用いて顔料を分散させるだけでは、顔料の分散性が不充分であるので、顔料のみの凝集が生じてしまい、色の再現性などのトナー特性が劣ってしまい、トナー特性の優れたトナー組成物を製造することができない。
本発明の目的は、不要な成分を含まないようにトナーを容易に製造することができ、色再現性などのトナー特性の優れたトナーの製造方法を提供することである。
本発明は、少なくとも自己分散顔料と自己分散型樹脂とを水に混合して混合液を調製する混合液調製工程と、
混合液を攪拌しながら、凝集剤を含む水溶液を加えて、水媒体中に凝集物を形成する凝集物形成工程と、
凝集物を洗浄して乾燥する洗浄工程とを含み、
洗浄工程において、凝集物を含む水媒体から凝集物を分離する前に、純水を用いて、凝集物を含む水媒体の上澄み液の導電率が50μS/cm以下となるまで凝集物を洗浄し、
自己分散型樹脂は、主鎖に親水性モノマーとしてスルホン酸アルカリ金属塩を有するモノマーを含む樹脂であり、かつスルホン酸当量が43〜89であり、還元粘度が0.319〜0.340であることを特徴とするトナーの製造方法である。
また本発明は、少なくとも自己分散顔料、自己分散型樹脂およびポリオレフィン樹脂を水に混合して混合液を調製する混合液調製工程と、
混合液を攪拌しながら、凝集剤を含む水溶液を加えて、水媒体中に凝集物を形成する凝集物形成工程と、
凝集物を洗浄して乾燥する洗浄工程とを含み、
洗浄工程において、凝集物を含む水媒体から凝集物を分離する前に、純水を用いて、凝集物を含む水媒体の上澄み液の導電率が50μS/cm以下となるまで凝集物を洗浄し、
自己分散型樹脂は、主鎖に親水性モノマーとしてスルホン酸アルカリ金属塩を有するモノマーを含む樹脂であり、かつスルホン酸当量が43〜89であり、還元粘度が0.319〜0.340であることを特徴とするトナーの製造方法である。
また本発明は、凝集物を含む水媒体を加熱しながら攪拌して凝集物を粒子化する粒子形成工程をさらに含むことを特徴とする。
た本発明は、凝集剤は、多価金属塩であることを特徴とする。
また本発明は、多価金属塩は、硫酸マグネシウムおよび/または硫酸アルミニウムであることを特徴とする。
また本発明は、凝集物形成工程は、機械的に剪断力を加えて攪拌することを特徴とする。
また本発明は、自己分散顔料は、表面に親水性官能基を有する顔料であることを特徴とする。
また本発明は、親水性官能基は、イオン性基および/またはイオン化が可能な基であることを特徴とする。
また本発明は、親水性官能基は、カルボン酸基、カルボン酸塩を有する基、スルホン酸基、スルホン酸塩を有する基のいずれかであることを特徴とする。
また本発明は、自己分散型樹脂は、ポリエステル樹脂であることを特徴とする
また本発明は、前記トナーの製造方法によって製造されることを特徴とするトナーである。
本発明によれば、少なくとも自己分散顔料と自己分散型樹脂とを水に混合した混合液を攪拌しながら、凝集剤を含む水溶液を加えて凝集物を形成することによって、トナーを製造する。そうすることによって、顔料を分散させるための分散剤、有機溶媒およびモノマーなどの不要な成分を含まないように容易にトナーを製造することができる。さらに、分散性が優れている自己分散顔料を用いて製造しているので、トナー中の顔料の分散粒径が小さくなり、色の再現性などのトナー特性が優れたトナーを製造できる。
また、形成された凝集物を純水で洗浄する。そうすることによって、水溶性の凝集剤は、純水で除去しやすいので、凝集に関与しなかった不要な凝集剤を取り除くことができ、容易にトナー特性の優れたトナーを製造することができる。
また、洗浄工程において、凝集物を含む水媒体から凝集物を分離する前に、純水を用いて、凝集物を含む水媒体の上澄み液の導電率が50μS/cm以下となるまで凝集物を洗浄する。そうすることによって、トナーの帯電性に影響を与えるような不純物などのトナー成分以外の不要な成分を取り除くことができ、不要な成分を含まないようにトナーを容易に製造することができる。
また、自己分散型樹脂は、主鎖に親水性モノマーとしてスルホン酸アルカリ金属塩を有するモノマーを含む樹脂であり、かつスルホン酸当量が43〜89である。これによって、自己分散型樹脂の親水性が高まり、自己分散型樹脂がより水に分散しやすくなり、さらに、凝集剤によってより凝集しやすくなるので、より容易にトナーを製造することができる。
さらに、自己分散型樹脂は、還元粘度が0.319〜0.340である。これによって、重合装置からの樹脂の取出しを困難とし、生産性を著しく低下させる樹脂のゲル化を防止することができる。
また本発明によれば、少なくとも自己分散顔料、自己分散型樹脂およびポリオレフィン樹脂を水に混合した混合物を攪拌しながら、凝集剤を含む水溶液を加えて凝集物を形成することによって、トナーを製造する。そうすることによって、顔料を分散させるための分散剤、有機溶媒およびモノマーなどの不要な成分を含まないように容易にトナーを製造することができる。さらに、分散性が優れている自己分散顔料を用いて製造しているので、色の再現性などのトナー特性が優れたトナーを製造することができる。
また、形成された凝集物を純水で洗浄する。そうすることによって、水溶性の凝集剤は、純水で除去しやすいので、凝集に関与しなかった不要な凝集剤を取り除くことができ、容易にトナー特性の優れたトナーを製造することができる。
また、洗浄工程において、凝集物を含む水媒体から凝集物を分離する前に、純水を用いて、凝集物を含む水媒体の上澄み液の導電率が50μS/cm以下となるまで凝集物を洗浄する。そうすることによって、トナーの帯電性に影響を与えるような不純物などのトナー成分以外の不要な成分を取り除くことができ、不要な成分を含まないようにトナーを容易に製造することができる。
また、自己分散型樹脂は、主鎖に親水性モノマーとしてスルホン酸アルカリ金属塩を有するモノマーを含む樹脂であり、かつスルホン酸当量が43〜89である。これによって、自己分散型樹脂の親水性が高まり、自己分散型樹脂がより水に分散しやすくなり、さらに、凝集剤によってより凝集しやすくなるので、より容易にトナーを製造することができる。
さらに、自己分散型樹脂は、還元粘度が0.319〜0.340である。これによって、重合装置からの樹脂の取出しを困難とし、生産性を著しく低下させる樹脂のゲル化を防止することができる。
また本発明によれば、凝集物を含む水分散液を加熱しながら攪拌する。そうすることによって、形成された凝集物を粒径および形状の均一な粒子に容易にすることができるので、より容易にトナー特性の優れたトナーを製造することができる。
また本発明によれば、凝集剤として、多価金属塩を用いることによって、凝集物を形成させやすく、さらに、多価金属塩は、純水に溶解しやすいので、凝集に関与しなかった不要な凝集剤を取り除くことがより容易にでき、不要な成分をより含まないようにトナーを製造することができる。
また本発明によれば、多価金属塩は、硫酸マグネシウムおよび/または硫酸アルミニウムであるので、凝集物をより形成させやすく、さらに、硫酸マグネシウムおよび硫酸アルミニウムは、純水に溶解しやすく、凝集に関与しなかった不要な凝集剤を取り除くことが容易にでき、不要な成分をより含まないようにトナーを製造することができる。
また本発明によれば、凝集物を形成させる際に機械的に剪断力を加えて攪拌することによって、形成された凝集物を粒径および形状の均一な粒子により容易にすることができるので、より容易にトナー特性の優れたトナーを製造することができる。
また本発明によれば、自己分散顔料は、表面に親水性官能基を有する顔料である。そのような顔料は、水に対して分散しやすい顔料であり、トナー中の顔料の分散粒径を小さくでき、よりトナー特性の優れたトナーを製造できる。
また本発明によれば、親水性官能基は、イオン性基またはイオン化が可能な基であるので、自己分散顔料の分散性がより高まり、よりトナー特性の優れたトナーを製造することができる。
また本発明によれば、親水性官能基は、カルボン酸基、カルボン酸塩を有する基、スルホン酸基、スルホン酸塩を有する基のいずれかであるので、自己分散顔料の分散性がより高まり、よりトナー特性の優れたトナーを製造することができる。
また本発明によれば、自己分散型樹脂は、ポリエステル樹脂であるので、水により容易に分散することができ、より容易にトナーを製造することができる。
また本発明によれば、上記のようなトナーの製造方法によって製造されたトナーであるので、有機溶媒およびモノマーなど不要な成分が少ないトナーであり、トナー特性の優れたトナーである。
図1は、本発明であるトナーの製造方法を示す工程図である。混合液調製工程S1では、自己分散顔料および自己分散型樹脂などのトナー成分を水に混合して混合液を調製し、凝集物形成工程S2では、凝集剤を含む水溶液を混合液に加えて、水媒体中で凝集物を形成させ、粒子形成工程S3では、凝集物を含む水媒体を加熱して粒子状にし、洗浄工程S4では、その粒子状にした凝集物を洗浄して乾燥する。
本発明であるトナーの製造方法は、混合液調製工程S1において、後述の自己分散顔料および自己分散型樹脂などを攪拌機である乳化機または分散機を用いて水に分散、混合させることによって、トナー成分を含む混合液を得る。好ましくは、固形分濃度で80重量%以上99重量%以下の自己分散型樹脂、0.1重量%以上5重量%以下の自己分散顔料および水に乳化させたポリオレフィン樹脂を含むように混合し、攪拌機を用いて室温で1時間以上5時間以下攪拌することによって、混合液を得る。
凝集物形成工程S2において、自己分散顔料および自己分散型樹脂などのトナー成分の混合液に、所定量の凝集剤を加えることによって、トナー成分を含む凝集物を形成させることによって、トナーを製造するので、トナー成分以外の不要な成分を含まないようにトナーを製造することができる。
粒子形成工程S3において、得られた凝集物を含む水媒体を加熱することによって、凝集物を粒径および形状の整った均一な粒子にする。好ましくは、自己分散型樹脂のガラス転移温度まで加熱する。粒子径は、1μm以上20μm以下となるように調節することが好ましい。そうすることによって、均一なトナーを容易に製造することができる。
洗浄工程S4において、トナーを含む混合液を室温まで冷却し、後述の純水で洗浄して乾燥する。洗浄は、トナーを含む混合液からトナーを分離する前に、純水を用いて、トナーを含む混合液の上澄み液の導電率が50μS/cm以下となるまで行う。また、純水を用いたトナーの洗浄を、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。このような純水を用いたトナーの洗浄は、トナーの帯電性に影響を与えるような不純物などのトナー成分以外の不要な成分を取り除くために行う。そうすることによって、不要な成分を含まないようにトナーを容易に製造することができる。
以上のように、本発明であるトナーの製造方法は、不要な成分を含まないようにトナーを容易に製造することができ、さらに、分散性の高い自己分散顔料を用いて製造しているので、トナー中の自己分散顔料の分散粒径が小さく、色再現性などのトナー特性の優れたトナーを製造することができる。
[攪拌機]
本発明であるトナーの製造方法において、攪拌機として、公知の乳化機および分散機を用いることができ、以下のような乳化機および分散機が好ましい。トナー成分および水性媒体をバッチ式または連続式で受け入れることができ、加熱手段を有し、トナー成分および水性媒体を加熱下で混合することによって、着色剤を含む合成樹脂粒子であるトナーを生成させ、トナーをバッチ式または連続式で排出することのできる装置が好ましい。また、乳化機および分散機は、トナーと水性媒体との混合物に剪断力を付与できるものであることが好ましい。さらに乳化機および分散機は、撹拌手段および回転手段の少なくともどちらかを有し、トナーと水性媒体とを撹拌下または回転下で混合できるものであることが好ましい。乳化機および分散機は、トナーと水性媒体とを混合するための混合容器が保温手段を有するものであることが好ましい。
具体的には、たとえば、ウルトラタラックス(商品名:IKAジャパン(株)製)、ポリトロンホモジナイザー(商品名:キネマティカ社製)およびTKオートホモミクサー(商品名:特殊機化工業(株)製)などのバッチ式乳化機、エバラマイルダー(商品名:(株)荏原製作所製)、TKパイプラインホモミクサー(商品名:特殊機化工業(株)製)、TKホモミックラインフロー(商品名:特殊機化工業(株)製)、フィルミックス(商品名:特殊機化工業(株)製)、コロイドミル(商品名:神鋼パンテック(株)製)、スラッシャー(商品名:三井三池化工機(株)製)、トリゴナル湿式微粉砕機(商品名:三井三池化工機(株)製)、キャビトロン(商品名:(株)ユーロテック製)およびファインフローミル(商品名:太平洋機工(株)製)などの連続式乳化機、クレアミックス(商品名:エム・テクニック(株)製)およびフィルミックス(商品名:特殊機化工業(株)製)などが挙げられる。
[凝集剤]
本発明であるトナーの製造方法において、凝集剤として、公知のもの(たとえば電解質など、自己分散顔料および/または自己分散型樹脂と逆性のイオンを有する有機物など)を用いることができる。
後述の自己分散型樹脂および自己分散顔料が表面にイオン性基および/またはイオン化が可能な基を有していることが好ましいので、そのような自己分散型樹脂と自己分散顔料とをイオン結合することができる多価金属塩が好ましい。さらに、純水により洗浄しやすいように、水に対して溶解しやすい硫酸マグネシウムおよび/または硫酸アルミニウムがより好ましい。
[純水]
本発明であるトナーの製造方法において、純水を用いてトナーを洗浄する。洗浄に用いる純水は、導電率20μS/cm以下であることが好ましい。このような純水は、公知の方法によって得ることができ、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法および逆浸透法などが挙げられる。さらに、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。また、洗浄の際の純水の温度は、10℃以上80℃以下が好ましい。
[トナー成分]
本発明であるトナーの製造方法で製造したトナーは、自己分散型樹脂および自己分散顔料などを含んで構成される。
(自己分散型樹脂)
本発明の実施形態であるトナーの製造方法では、自己分散型樹脂を用いる。自己分散型樹脂としては、水中で分散状態になる樹脂であれば、公知のものを使用でき、たとえば、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、得られるトナー粒子の粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを向上させることを考慮すると、ポリエステル樹脂およびビニル系共重合体樹脂などが好ましく、ポリエステル樹脂がさらに好ましい。
上記のように、本発明であるトナーの製造方法に用いられる自己分散型樹脂は、ポリエステル樹脂を主成分とすることが好ましく、自己分散型樹脂の50重量%以上であることが好ましい。さらに好ましくは、80重量%以上であり、さらに90重量%以上であることがより好ましい。自己分散型樹脂中のポリエステル樹脂は、酸成分とアルコール成分とを重縮合して得られ、酸成分としては、主として多価カルボン酸類を用い、アルコール成分としては、主として多価アルコ−ル類を用いた樹脂である。
多価カルボン酸類としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタルレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジプロピオン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸、スルホテレフタル酸、それらの金属塩およびアンモニウム塩などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸およびp−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸およびシトラコン酸などの脂肪族不飽和多価カルボン酸、フェニレンジアクリル酸などの芳香族不飽和多価カルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの三価以上の多価カルボン酸などが挙げられる。
多価カルボン酸類は、酸成分の70mol%以上が好ましく、さらに好ましくは80mol%以上であり、さらには90mol%以上であることがより好ましい。さらに、多価カルボン酸類としては、テレフタル酸とイソフタル酸とが含まれていることが好ましい。テレフタル酸の含有量は、多価カルボン酸類の40mol%以上95mol%以下であることが好ましく、より好ましくは60mol%以上95mol%以下であり、さらにより好ましくは、70mol%以上90mol%以下である。また、イソフタル酸の含有量は、多価カルボン酸類の5mol%以上60mol%以下であることが好ましい。さらに、テレフタル酸およびイソフタル酸の総和が、多価カルボン酸類の80mol%以上であることが好ましい。また、多価カルボン酸類として、トリメリット酸、トリメシン酸およびピロメリット酸などの三価以上の多価カルボン酸が含まれていることが好ましく、その含有量は、多価カルボン酸類の0.5mol%以上8mol%以下であることが好ましい。
酸成分として、多価カルボン酸類にモノカルボン酸類を含有しているものであってもよい。モノカルボン酸類としては、芳香族モノカルボン酸類が好ましい。芳香族モノカルボン酸類としては、たとえば、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、これらの低級アルキルエステル、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、タ−シャルブチル安息香酸およびタ−シャルブチルナフタレンカルボン酸などを挙げることができる。芳香族モノカルボン酸の使用量は、酸成分に対して2mol%以上25mol%以下が好ましく、より好ましくは、5mol%以上20mol%以下である。
多価アルコール類としては、たとえば、脂肪族多価アルコール類、脂環族多価アルコール類および芳香族多価アルコール類などを挙げることができる。脂肪族多価アルコ−ル類としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ルおよびポリテトラメチレングリコ−ルなどの脂肪族ジオ−ル類、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリンおよびペンタエルスリト−ルなどのトリオ−ル、テトラオ−ル類などを挙げることができる。脂環族多価アルコ−ル類としては、たとえば、1,4−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、スピログリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジオ−ル、トリシクロデカンジメタノ−ルなどを挙げることができる。芳香族多価アルコ−ル類としては、たとえば、パラキシレングリコ−ル、メタキシレングリコ−ル、オルトキシレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ルのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物などを挙げることができる。さらに、ポリエステルポリオ−ルとしては、たとえば、ε−カプロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られるラクトン系ポリエステルポリオ−ル類などを挙げることができる。また、アルコール成分として、多価アルコール類に、モノアルコール類を含有しているものであってもよい。モノアルコール類としては、脂肪族アルコ−ル、芳香族アルコ−ルおよび脂環族アルコ−ルなどを挙げることができる。
多価アルコ−ル類としては、脂肪族ジオ−ル類および脂環族ジオ−ル類などであることが好ましい。それらの含有量は、多価アルコ−ル類の50mol%以上であることが好ましく、より好ましくは、70mol%以上であり、さらに好ましくは90mol%以上であることが好ましい。脂肪族ジオ−ル類としては、たとえば、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルおよび2,3−ブタンジオ−ルなどを挙げることができる。脂環族ジオ−ル類としては、トリシクロデカンジメタノ−ル、シクロヘキサンジオ−ルおよびシクロヘキサンジメタノ−ルなどを挙げることができる。さらに、多価アルコ−ル類としては、それらの中でも、エチレングリコ−ルおよびプロピレングリコ−ルであることが好ましい。
ポリエステル樹脂のガラス転移点は、50℃以上であることが好ましく、より好ましくは65℃以上である。ガラス転移点が50℃より低い場合には、トナーにした際、ブロッキングする傾向がみられ、保存安定性に問題を生ずる。ポリエステル樹脂の軟化点は、80℃以上150℃以下であることが好ましい。樹脂の軟化温度が80℃より低い場合には、トナーにした際、ブロッキングを起こし、特に長期間の保存において、問題が生じる。軟化点が150℃より高い場合には、トナーにした際、定着性に問題をきたす。また定着ロ−ルを高温に加熱する必要が生じるために、定着ロ−ルの材質および転写される基材の材質が制限される。
ポリエステル樹脂は、原料として3価以上の多価カルボン酸成分または3価以上の多価アルコ−ルを用いた樹脂であってもよいが、その目的は、ポリエステル樹脂の分子量分布を広げるためであり、樹脂をゲル化させることが目的ではない。樹脂のゲル化は、重合装置からの樹脂の取り出しを困難とし、生産性の著しく低下させる。ポリエステル樹脂は、実質的にはゲル化が無く、より具体的には、ポリエステル樹脂のクロロホルム不溶分が0.5重量%以下であり、好ましくは0.25重量%以下となることが必要である。本発明におけるポリエステル樹脂の酸価は3mgKOH/g以下であることが好ましく、さらに0.5mgKOH/g以下であることが好ましい。
自己分散型樹脂は、主鎖に親水性モノマーを含む。親水性モノマーは、イオン性基が好ましく、より好ましくは、アニオン性基である。親水性モノマーとしては、スルホン酸アルカリ金属塩を含み、さらに、たとえば、スルホン酸アンモニウム塩、カルボン酸アルカリ金属塩、カルボン酸アンモニウム塩、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、それらのアンモニウム塩および金属塩などを有するモノマーを含んでいてもよい。ポリエステル樹脂の場合、スルホン酸アルカリ金属塩および/またはスルホン酸アンモニウム塩を有するモノカルボン酸および/またはジカルボン酸であることが好ましく、それらは、ポリエステル樹脂に対して0.1mol%以上6.0mol%以下含有されていることが好ましい。また、カルボン酸アルカリ金属塩およびカルボン酸アンモニウム塩を導入する場合には、ポリエステルの重合の終期にトリメリット酸などの多価カルボン酸を系内に導入することにより、ポリマー末端にカルボキシル基を付加し、さらにこれをアンモニア、水酸化ナトリウムなどによって、中和することによりカルボン酸塩に交換する方法を用いることができる。イオン性基は水分散性をポリエステル樹脂に付与する働きを持つが、カウンターカチオンが多価イオンである場合には水分散性を十分に発現できない。したがって、ポリエステルを重合する際におけるこれらイオン性基含有単量体のカウンターカチオンは、一価のカチオンであることが好ましい。ポリエステルのイオン当量は、10meq/kg以上1000meq/kg以下であることが好ましい。より好ましくは、20meq/kg以上1000meq/kg以下が好ましく、さらにより好ましくは50meq/kg以上200meq/kgである。
イオン性基を含有しているポリエステル樹脂から所定の平均粒子径および粒子径分布を有する粒子を得る方法について説明する。イオン性基含有ポリエステル樹脂は、水分散性を有する。イオン性基を含有するポリエステル樹脂の水系微分散体は、公知の方法によって製造することができる。たとえば、イオン性基を含有するポリエステル樹脂と水溶性有機化合物とをあらかじめそれぞれ50℃以上200℃以下にして混合し、これに水を加えることによって製造する方法がある。他の方法としては、イオン性基を含有するポリエステル樹脂と水溶性有機化合物との混合物を水に加え、さらに40℃以上120℃以下にして撹拌することにより製造する方法がある。さらに他の方法としては、水と水溶性有機化合物との混合溶液中にイオン性基を含有するポリエステル樹脂を添加し、さらに40℃以上100℃以下にして撹拌して分散させることによって製造する方法がある。水溶性有機化合物としてはエタノ−ル、ブタノ−ル、イソプロパノ−ル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびメチルエチルケトンなどの溶媒を使用することができる。水系微分散体の平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上1.0μm以下である。
ビニル系共重合体樹脂は、重合性の炭素炭素二重結合を含有する重合性単量体を含む合成樹脂である。このような重合性単量体としては公知のものを使用でき、たとえば、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、tert−ブチルスチレンおよびクロルスチレンなどのスチレン系単量体(芳香族ビニル単量体)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシルおよびアクリル酸ドデシルなどのアクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシルおよびメタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸ヒドロキシエチルおよびメタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基(水酸基)含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−置換(メタ)アクリルアミド系単量体、(メタ)アクリロニトリルなどのアクリロニトリル系単量体、3官能ビニル系単量体などが挙げられる。重合性単量体は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用して使用することもできる。ビニル系共重合体樹脂は、たとえば、重合性単量体の1種または2種以上を、ラジカル開始剤の存在下に重合させることによって製造できる。このようなビニル系共重合体樹脂の中でも、2種以上の重合性単量体を含み、さらに3官能のビニル系単量体を含むものであることが好ましい。
ビニル系共重合体樹脂の軟化点は、70℃以上150℃以下であることが好ましく、より好ましくは70℃以上130℃以下であり、さらに好ましくは90℃以上120℃以下である。軟化点が70℃を下回ると、ガラス転移温度が50℃未満になり、トナー粒子がコピー機、プリンタなどの内部で熱凝集を起こし、印刷不良、装置の故障などを誘発する可能性がある。さらに、転写材の定着ロールへの巻き付き、オフセット現象などが起こり易くなる。一方、軟化点が150℃を超えると、トナー粒子の転写材への定着不良が発生するおそれがある。
以上のような自己分散型樹脂において、軟化点が80℃以上150℃以下であるポリエステル樹脂および軟化点が70℃以上150℃以下であるビニル系共重合体樹脂から選ばれる1種または2種からなる樹脂が好ましい。また、分子量は、広い範囲から選択できるが、得られるトナー粒子をカラートナーとして使用すること、OHPシートなどへの定着性を向上させることおよびオフセット領域が高温側にシフトしてトナー粒子の転写材への定着不良が起こるのを防止することなどを考慮すると、2000以上200000以下であると好ましく、より好ましくは5000以上20000以下である。
自己分散型樹脂は、1種を単独で使用してもよし、2種以上を併用して使用してもよい。たとえば、前述に例示したポリエステル樹脂、ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂などを単独で使用してもよい。同一種の樹脂であっても、分子量、単量体組成などのいずれかまたは複数が異なる樹脂を複数種併用して使用してもよい。さらに、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂などの例示した樹脂の少なくとも1種を自己分散型樹脂の50重量%以上含有し、それ以外を例示した樹脂以外の加熱により溶融可能な合成樹脂の1種または2種以上である樹脂を含む樹脂混合物を使用してもよい。さらに、例示した樹脂以外の樹脂は、例示した樹脂に対して相溶性を有し、加熱により溶融可能な合成樹脂であることがより好ましい。水分散ポリエステルの具体例として、東洋紡社製バイロナールシリーズなどが挙げられる。
(自己分散顔料)
本発明の実施形態であるトナーの製造方法では、自己分散顔料を用いる。自己分散顔料は、顔料の表面に親水性官能基を有するものであり、親水性官能基は、イオン性基および/またはイオン化が可能な基であることが好ましい。親水性官能基としては、カルボン酸基、カルボン酸塩を有する基、スルホン酸基、スルホン酸塩を有する基などを挙げることができる。
顔料としては、公知の顔料を用いることができ、ブルー、ブラウン、シアン、グリーン、バイオレット、マゼンタ、レッドおよびイエロのいずれの顔料でもよく、それらの混合物であってもよい。具体的には、アントラキノン系顔料、フタロシアニンブルー系顔料、フタロシアニングリーン系顔料、ジアゾ系顔料、モノアゾ系顔料、ピラントロン系顔料、ペリレン系顔料、複素環式イエロ、キナクリドン、インジゴイド系顔料およびチオインジゴイド系顔料などが挙げられる。アントラキノン系顔料としては、ピグメントレッド43、ピグメントレッド194(ペリノンレッド)、ピグメントレッド216(臭素化ピラントロンレッド)およびピグメントレッド226(ピラントロンレッド)などが挙げられる。フタロシアニンブルー系顔料としては、銅フタロシアニンブルーおよびその誘導体であるピグメントブルー15などが挙げられる。ピレリン系顔料としては、ピグメントレッド123(ベルミリオン)、ピグメントレッド149(スカーレット)、ピグメントレッド179(マルーン)、ピグメントレッド190(レッド)、ピグメントバイオレット、ピグメントレッド189(イエローシェードレッド)およびピグメントレッド224などが挙げられる。複素環式イエロとしては、ピグメントイエロー117およびピグメントイエロー138などが挙げられる。キナクリドン系顔料としては、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19およびピグメントバイオレット42などが挙げられる。チオインジゴイド系顔料としては、ピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36およびピグメントバイオレット38などが挙げられる。
自己分散顔料として、カーボンブラックの表面に親水性基を有するようにしたものも使用できる。具体的には、特表平10−510861号公報、特表2000−513396号公報および特表2003−519709号公報に公開されているように、顔料表面にスルホン酸基、カルボキシル基およびポリマーなどを直接導入したものが好ましく用いられる。また、転相乳化法などにより顔料表面をスルホン酸基、カルボキシル基およびポリマーなどでコートしたものも好ましく用いられる。
自己分散顔料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。また、自己分散顔料を2種以上を併用する場合、同系色の自己分散顔料を併用してもよいし、複数の系統の色の自己分散顔料を併用してもよい。自己分散顔料の含有量は、本発明においては、要求されるトナー特性に応じて、広い範囲から選択することができるが、樹脂100重量%に対して、0.1重量%以上20重量%以下であることがより好ましく、さらにより好ましくは、0.1重量%以上15重量%以下である。0.1重量%を下回ると、形成された画像の画像濃度が優れたものになりにくく、20重量%を超えると、形成された画像中において自己分散顔料の分散性が確保しにくくなる。
(ポリオレフィン樹脂)
本発明の実施形態であるトナーの製造方法では、ポリオレフィン樹脂を用いてもよい。ポリオレフィン樹脂としては、公知のワックスを用いることができ、たとえば、カルナウバワックスおよびライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックスおよびフィッシャーとロプッシュワックスなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックス、アルコール系ワックスおよびエステル系ワックスなどが挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。ポリオレフィン樹脂は、水中に乳化されたものを使用することが好ましい。
(他の添加剤)
さらに、上記のようなトナー成分以外であっても、必要に応じて、一般的にトナーに添加する添加剤、たとえば、帯電制御剤および離型剤などを添加してもよい。
トナーは、外添剤を添加して表面改質を施してもよい。外添剤としては、公知の外添剤を用いることができ、たとえば、シリカおよび酸化チタンなどが挙げられる。さらに、外添剤に、シリコーン樹脂などを添加して、表面改質を施してもよい。トナー粒子100重量部に対して、外添剤は、1重量部以上10重量部以下が好ましい。
本発明であるトナーの製造法によって得られるトナーは、一成分系現像剤としても二成分系現像剤としても使用することができる。一成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いず、トナーのみで使用し、ブレードおよびファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させてスリーブ上にトナーを付着させることで搬送して画像形成を行う。
また、二成分系現像剤として使用する場合、キャリアとともにトナーを用いる。キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガンおよびクロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆したものなどが挙げられる。被覆物質としては、公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられ、トナー成分に応じて選択するのが好ましい。また、被覆物質は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。キャリアの平均粒径は、10μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは、20μm以上50μm以下である。
以下に本発明を実施例および比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、本実施例に限定されるものではない。
[ポリエステル樹脂の合成]
(ポリエステル樹脂1)
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブに、ジメチルテレフタレート113重量部、ジメチルイソフタレート75重量部、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレート6重量部、エチレングリコール97重量部、プロピレングリコール50重量部および触媒としてテトラブトキシチタネート0.1重量部を加え、150℃以上230℃以下に加熱した状態で120分間攪拌させて反応させる。その後、250℃まで加熱し、系の圧力を1mmHg以上10mmHg以下まで減圧して、約1時間攪拌させてさらに反応させることによって、ポリエステル樹脂1を得た。
(ポリエステル樹脂2)
ジメチルテレフタレート113重量部、ジメチルイソフタレート75重量部、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレート6重量部、エチレングリコール97重量部、プロピレングリコール50重量部および触媒としてテトラブトキシチタネート0.1重量部の代わりに、ジメチルテレフタレ−ト136重量部、ジメチルイソフタレ−ト47重量部、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレ−ト6重量部、トリメリット酸8.5重量部、エチレングリコ−ル111重量部、シクロヘキサンジオール49重量部、触媒としてテトラブトキシチタネ−ト0.1重量部とする以外は、ポリエステル樹脂1と同様に合成し、ポリエステル樹脂2を得た。
(ポリエステル樹脂3)
ジメチルテレフタレート113重量部、ジメチルイソフタレート75重量部、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレート6重量部、エチレングリコール97重量部、プロピレングリコール50重量部および触媒としてテトラブトキシチタネート0.1重量部の代わりに、t−ブチル安息香酸14.3重量部、ジメチルテレフタレ−ト95重量部、ジメチルイソフタレ−ト80重量部、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレ−ト6重量部、エチレングリコ−ル108重量部、トリシクロデカンジメタノール91重量部、触媒としてテトラブトキシチタネ−ト0.1重量部とする以外は、ポリエステル樹脂1と同様に合成し、ポリエステル樹脂3を得た。
(ポリエステル樹脂4)
ジメチルテレフタレート113重量部、ジメチルイソフタレート75重量部、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレート6重量部、エチレングリコール97重量部、プロピレングリコール50重量部および触媒としてテトラブトキシチタネート0.1重量部の代わりに、1,5−ナフタレンジカルボン酸32.4重量部、ジメチルテレフタレ−ト78重量部、ジメチルイソフタレ−ト78重量部、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレ−ト6重量部、トリメリット酸6.3重量部、エチレングリコ−ル130重量部、プロピオングリコール8.4重量部、触媒としてテトラブトキシチタネ−ト0.1重量部とする以外は、ポリエステル樹脂1と同様に合成し、ポリエステル樹脂4を得た。
得られたポリエステル樹脂1〜4の組成、ガラス転移温度、酸価、分子量、スルホン酸ナトリウム基当量および還元粘度を表1に示す。なお、組成は、NMR(核磁気共鳴)分析、ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)測定、酸価は、酸塩基滴定、分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)測定、スルホン酸ナトリウム基当量は、硫黄の定量によりそれぞれ求めた。還元粘度は、ポリエステル樹脂0.01gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6:4)の混合溶媒250ccに溶解させ、オストワルト粘度計を用いて測定温度30℃で測定した。
Figure 0004064369
[ポリエステル樹脂水微分散体の調製]
(ポリエステル樹脂水微分散体1)
温度計、コンデンサおよび攪拌羽根を備えた四つ口の10リットルのセパブルフラスコにポリエステル樹脂1を100重量部、ブチルセロソルブを75重量部加え、70℃で攪拌させ溶解させた。次に、70℃のイオン水500重量部を加え、水に分散化させた後、蒸留用フラスコにて留分温度が100℃に達するまで蒸留し、冷却し、その後、水を加え、固形分濃度を30%となるようにすることによってポリエステル樹脂水微分散体1を得た。得られたポリエステル水微分散体1に存在する微分散粒子の平均粒径は、0.1μmであった。
(ポリエステル樹脂水微分散体2)
ポリエステル樹脂1の代わりにポリエステル樹脂2を用いる以外ポリエステル樹脂水微分散体1の調製と同様に調製した。
(ポリエステル樹脂水微分散体3)
ポリエステル樹脂1の代わりにポリエステル樹脂3を用いる以外ポリエステル樹脂水微分散体1の調製と同様に調製した。
(ポリエステル樹脂水微分散体4)
ポリエステル樹脂1の代わりにポリエステル樹脂4を用いる以外ポリエステル樹脂水微分散体1の調製と同様に調製した。
[実施例1]
(混合液調製工程)
表2に示す固形分濃度(重量%)で、自己分散型顔料マゼンタ(キャボット社製:キャボジェット260M、官能基:スルホン酸基)およびポリエステル水微分散体1を混合し、混合液を得た。
(凝集物形成工程)
得られた混合液をホモジナイザを用いて2000rpmで攪拌させ、0.1重量%の硫酸マグネシウム水溶液を少量ずつ滴下し、その後、この混合液を1時間攪拌した。そうすることによって、水媒体中にトナーである凝集物が形成された。
(粒子形成工程)
凝集物を含んだ水媒体を75℃まで加熱して、さらに2時間攪拌を継続して、粒径および形状の整った凝集物を形成した。
(洗浄工程)
さらに、凝集物を含む水媒体の上澄み液を純水に3回交換することにより、凝集物を洗浄した後、ろ過し、真空乾燥機を用いて、乾燥して、マゼンタトナーを調製した。
なお、洗浄に用いる純水は、超純水製造装置(ADVANTEC社製:Ultra Pure Water System CPW−102)を用いて水道水から調製した0.5μS/cmの水を利用し、水のpHおよび導電率はラコムテスター(井内盛栄堂製:EC−PHCON10)を用いて測定した。
上記で得られたトナー100重量部に平均一次粒径20nmのシランカップリング剤で処理したシリカ粒子0.7重量部を混合することによって外添することによって、トナーを製造した。
Figure 0004064369
[実施例2]
表2に示す固形分濃度(重量%)で、自己分散顔料シアン(キャボット社製:キャボジェット250C、官能基:スルホン酸基)およびポリエステル水分散体2を用い混合液を調製する以外、実施例1と同様にしてトナーを製造し、シアントナーを得た。
[実施例3]
表2に示す固形分濃度(重量%)で、自己分散顔料イエロ(キャボット社製:キャボジェット270Y、官能基:スルホン酸基)およびポリエステル水分散体3を用い混合液を調製する以外、実施例1と同様にしてトナーを製造し、イエロトナーを得た。
[実施例4]
表2に示す固形分濃度(重量%)で、自己分散顔料ブラック(キャボット社製:キャボジェット300、官能基:カルボン酸基)およびポリエステル水分散体4を用い混合液を調製する以外、実施例1と同様にしてトナーを製造し、ブラックトナーを得た。
[実施例5]
表2に示す固形分濃度(重量%)で、自己分散顔料ブラック(キャボット社製:キャボジェット300、官能基:カルボン酸基)、ポリエステル水分散体4およびワックス(東邦化学社製:ハイテックE−68A)を用い混合液を調製する以外、実施例1と同様にしてトナーを製造し、ブラックトナーを得た。
[比較例1]
表2に示す固形分濃度(重量%)で、カチオン分散剤(花王社製:サニゾールB50)を用いて分散させたマゼンタ顔料(BASF社製:Eupolen Red 47−9001)およびポリエステル水分散体1を用い混合液を調製する以外、実施例1と同様にしてトナーを製造し、マゼンタトナーを得た。
[比較例2]
表2に示す固形分濃度(重量%)で、ノニオン系分散剤(三洋化成社製:ノニポール400)を用いて分散させたシアン顔料(BASF社製:Eupolen Blue 69−1501)およびポリエステル水分散体2を用い混合液を調製する以外、実施例1と同様にしてトナーを製造し、シアントナーを得た。
[比較例3]
表2に示す固形分濃度(重量%)で、アニオン系分散剤(ジョンソンポリマー社製:ジョンクリルJ52)を用いて分散させたイエロ顔料(BASF社製:Eupolen Yellow 09−6101)およびポリエステル水分散体3を用い混合液を調製する以外、実施例1と同様にしてトナーを製造し、イエロトナーを得た。
[比較例4]
表2に示す固形分濃度(重量%)で、ポリエステル樹脂1を用いて分散させたイエロ顔料(BASF社製:Eupolen Yellow 09−6101)およびポリエステル水分散体4を用い混合液を調製する以外、実施例1と同様にしてトナーを製造し、イエロトナーを得た。
[評価方法]
実施例1〜5および比較例1〜4について、次のようにしてトナー粒子の粒径および変動係数、平均円形度、画像濃度評価、カブリ評価、顔料分散性評価および転写率評価を行った。上記の方法により調製したトナー粒子の物性評価を下記に示す評価方法により行い、結果を表3に示す。
以下の評価項目の説明に記載されている「○」、「△」、「×」などの記号は、表3で用いる評価結果を示す記号である。「○」は、非常に優れていることを示し、「△」は、実用可能であることを示し、「×」は、実用が困難であることを示す。
(粒径および変動係数)
トナー粒子の粒径および変動係数は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定し、その変動係数に基づいて下記の基準により評価した。測定粒子数は50000カウントとし、アパーチャ径は100μmとした。
○:変動係数が40以下である。
×:変動係数が40未満である。
(平均円形度)
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(東亜医用電子社製:FPIA−2000)を用いて測定を行った。なお、平均円形度は、フロー式粒子像分析装置によって検出された粒子の投影像において、下記式によって定義され、1以下の値となる。
平均円形度 =(投影像と同じ面積をもつ円の周囲長)/(投影像の周囲長)
(画像濃度)
画像濃度は、分光測色濃度計(日本平版印刷機材社製:X−Rite938)を用いて評価画像の光学濃度を測定し、その光学濃度に基づいて下記の基準により評価した。なお、評価画像は、デジタルフルカラー複合機(シャープ社製:AR−C150)の現像装置を非磁性一成分現像用に改造した装置に現像剤であるトナー粒子を用いて、フルカラー専用紙(シャープ社製:PP106A4C)上にトナー粒子の付着量が0.6mg/cm2になるように調整して印字させ、外部定着機を用いて作成した。
○:光学濃度が1.2以上である。
×:光学濃度が1.2未満である。
(カブリ)
カブリは、以下のようにして評価した。黒色トナーの場合、あらかじめ白度計(日本電色工業社製:Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)を用いて、A4サイズのフルカラー専用紙(シャープ社製:PP106A4C)の白度を測定し、その値を第1測定値W1とする。次に、直径55mmの白円を含む原稿を3枚複写し、得られた白部の白度を白度計にて測定し、この値を第2測定値W2とする。下記式からカブリ濃度W(%)を算出し、そのカブリ濃度に基づいて下記の基準により評価した。
W = {100 × (W1−W2) / W1}
○:カブリ濃度Wが2.0%以下である。
×:カブリ濃度Wが2.0%より高い。
(空転評価)
トナー70gを、上記画像形成装置と同じ回転数で回転させ、そのときのトナーの帯電量を測定し、空転時間に対するトナーの帯電量の変化率に基づいて下記の基準により評価した。
○:変化率が60%以内である。
×:変化率が60%より大きい。
(転写率)
転写率T(%)は、所定のチャートを複写した紙面上のトナー粒子重量Mpと感光体上に残存したトナー粒子重量Mdとを測定し、下記式より算出し、その算出した転写率T(%)に基づいて下記の基準により評価した。
T = {Mp / (Md+Mp) × 100}
○:転写率Tが90%以上である。
×:転写率Tが90%未満である。
実施例1〜5および比較例1〜4について、上記の方法にしたがって比較評価した。結果を表3に示す。
Figure 0004064369
表3から明らかなように、本発明であるトナーの製造方法により製造されたトナー(実施例1〜5)は、粒径分布、画像濃度、カブリ、空転評価および転写率などのトナー特性の優れたトナーを製造できることがわかった。
自己分散顔料を用いる代わりに、カチオン分散剤によって分散させた分散顔料を用いる(比較例1)と、凝集剤を添加する前に、凝集しはじめてしまい、粒子状のトナーを製造することができなかった。したがって、平均円形度、画像濃度、カブリ、空転評価および転写率は、測定する必要がないと判断した。
自己分散顔料を用いる代わりに、ノニオン系分散剤またはアニオン系分散剤によって分散させた分散顔料を用いる(比較例2,3)と、粒子化はするが、トナーに分散剤が残ってしまい、製造したトナーは、カブリが発生し、トナーの帯電量の変化率が大きいトナーであった。
また、分散剤として、自己分散型樹脂であるポリエステル樹脂を用いる(比較例4)と、顔料の分散が不充分であったため、粒子状のトナーを製造することができなかった。したがって、比較例1と同様に平均円形度、画像濃度、カブリ、空転評価および転写率は、測定する必要がないと判断した。
本発明であるトナーの製造方法を示す工程図である。

Claims (11)

  1. 少なくとも自己分散顔料と自己分散型樹脂とを水に混合して混合液を調製する混合液調製工程と、
    混合液を攪拌しながら、凝集剤を含む水溶液を加えて、水媒体中に凝集物を形成する凝集物形成工程と、
    凝集物を洗浄して乾燥する洗浄工程とを含み、
    洗浄工程において、凝集物を含む水媒体から凝集物を分離する前に、純水を用いて、凝集物を含む水媒体の上澄み液の導電率が50μS/cm以下となるまで凝集物を洗浄し、
    自己分散型樹脂は、主鎖に親水性モノマーとしてスルホン酸アルカリ金属塩を有するモノマーを含む樹脂であり、かつスルホン酸当量が43〜89であり、還元粘度が0.319〜0.340であることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 少なくとも自己分散顔料、自己分散型樹脂およびポリオレフィン樹脂を水に混合して混合液を調製する混合液調製工程と、
    混合液を攪拌しながら、凝集剤を含む水溶液を加えて、水媒体中に凝集物を形成する凝集物形成工程と、
    凝集物を洗浄して乾燥する洗浄工程とを含み、
    洗浄工程において、凝集物を含む水媒体から凝集物を分離する前に、純水を用いて、凝集物を含む水媒体の上澄み液の導電率が50μS/cm以下となるまで凝集物を洗浄し、
    自己分散型樹脂は、主鎖に親水性モノマーとしてスルホン酸アルカリ金属塩を有するモノマーを含む樹脂であり、かつスルホン酸当量が43〜89であり、還元粘度が0.319〜0.340であることを特徴とするトナーの製造方法。
  3. 凝集物を含む水媒体を加熱しながら攪拌して凝集物を粒子化する粒子形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載のトナーの製造方法。
  4. 凝集剤は、多価金属塩であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1つに記載のトナーの製造方法。
  5. 多価金属塩は、硫酸マグネシウムおよび/または硫酸アルミニウムであることを特徴とする請求項4記載のトナーの製造方法。
  6. 凝集物形成工程は、機械的に剪断力を加えて攪拌することを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1つに記載のトナーの製造方法。
  7. 自己分散顔料は、表面に親水性官能基を有する顔料であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1つに記載のトナーの製造方法。
  8. 親水性官能基は、イオン性基および/またはイオン化が可能な基であることを特徴とする請求項7記載のトナーの製造方法。
  9. 親水性官能基は、カルボン酸基、カルボン酸塩を有する基、スルホン酸基、スルホン酸塩を有する基のいずれかであることを特徴とする請求項7記載のトナーの製造方法。
  10. 自己分散型樹脂は、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1つに記載のトナーの製造方法。
  11. 請求項1〜10のうちいずれか1つに記載のトナーの製造方法によって製造されることを特徴とするトー。
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