JP3868589B2 - 加飾品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は三次元形状等の凹凸面への転写にも適する転写シートを用いた加飾品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、樹脂の射出成形品や木質基材等の特に三次元形状の凹凸表面のある被転写体に対して絵柄模様を転写で施すには、転写シートの支持体には成形性のある樹脂フィルムとして塩化ビニル樹脂フィルムが良く使われてきた。このような転写シートとしては、例えば、▲1▼特許第2119518号(特公平7−29518号)公報に開示されている。これは、塩化ビニル樹脂フィルムからなる支持体に直接に、セルロース系樹脂等の剥離可能なバインダー樹脂からなる絵柄インクで絵柄層を印刷形成した転写シートである。
また、▲2▼特公平7−110550号公報では、成形性の有る支持体として、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ABS樹脂の中から適宜選択したフィルムの上に、アンカー層、更に離型層を設けたものを支持体として、この支持体に転写層となる絵柄層、接着剤層を設けた構成の転写シートを開示している。
また、▲3▼三次元形状の凹凸表面のある被転写体に対する転写法には、水圧転写法もある。水圧転写法では、ポリビニルアルコール系樹脂等からなる水膨潤性の転写シートを水面に浮かべ、その上から被転写体を水中に沈めて、転写する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼では、支持体に塩化ビニル樹脂フィルムを用いているので、三次元形状等の凹凸表面への転写は出来るが、塩化ビニル樹脂フィルム自体の性質により転写シートの成形性に限界があり、絞り比の大きい凹凸表面には転写できなかった。
また、上記▲2▼では、その支持体は基材フィルムにアンカー層及び離型層を設ける事が必要で、従って、転写シート製造工程が複雑となる。また、アンカー層や離型層の為に、転写シートが成形転写される時に、熱成形の適性温度範囲が狭くなったりする。
また、上記▲3▼では、転写シートを水膨潤性として水面に浮かべる必要が有る為、文字パターン等の精密な加飾が不可能であるといった問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、先ず本発明の加飾品の製造方法で用いる転写シートとしては、アクリル系樹脂フィルムからなる支持体に隣接して、該支持体と剥離性を有する樹脂からなる絵柄層を転写層として有する構成とした。また、支持体上の絵柄層の上には、更に接着剤層を設け、絵柄層及び接着剤層が転写層となる構成としても良い。この様な構成によって、支持体のアンカー層や離型層等が不要で転写シートの製造が平易となり、しかも特に三次元形状等の凹凸面へも、文字パターン等の精密な加飾もできる様になる。
【0005】
そして、本発明の加飾品の製造方法は、上記いずれかの転写シートを、その絵柄層を被転写体側に向けて配置し、転写シートの加熱及び被転写体側からの真空吸引を行い、加熱された転写シートを支持体側と被転写体側との気圧差により被転写体に密着させ、しかる後、支持体を剥離して、被転写体に転写層を転写する、真空成形転写法によって、加飾品を得る方法である。この加飾品の製造方法によって、三次元形状等の凹凸表面でも加飾した加飾品が得られる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による加飾品の製造方法の実施の形態を詳述する。
【0007】
〔転写シート〕
図1は転写シートの形態例を示す断面図である。図1(A)は接着剤層無しの形態、図1(B)は接着剤層有りの形態である。図1の如く、本発明で用いる転写シートSは、アクリル系樹脂フィルムからなる支持体1に隣接して、該支持体と剥離性を有する樹脂からなる絵柄層3を転写層2として有する。図1(A)の形態では、転写層2は絵柄層3のみから構成され、図1(B)の形態では、転写層2は絵柄層3及び接着剤層4とから構成される。接着剤層4は適宜設ける。
【0008】
(支持体)
支持体には、本発明ではアクリル系樹脂からなるフィルムを用いる。アクリル系樹脂としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体を用いる。また、これら単独重合体又は共重合体の共重合モノマーとして、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸誘導体を用いても良い。但し、ここで(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートの意味である。
支持体の厚みは、10〜500μm程度、より好ましくは25〜50μm程度である。
【0009】
(転写層:絵柄層)
次に転写層の絵柄層は、絵柄等のパターンや全ベタ柄等を、支持体と剥離性のあるバインダー樹脂を用いたビヒクルに顔料、染料等の着色剤を混合したインク、塗液を用いて印刷や塗工で形成する。絵柄層用の印刷インク又は塗液には、支持体と剥離性のあるバインダー樹脂、着色剤、溶剤、また、必要に応じて適宜、体質顔料、硬化剤、各種添加剤等を添加した組成物を使用すれば良い。
支持体と剥離性のあるバインダー樹脂としては、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂等の熱可塑性樹脂、常温硬化又は熱硬化の硬化性ポリウレタン系樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂等の単体又は混合物を使用できる。特に剥離性の良好なシリコーン樹脂、或いはフッ素系樹脂を混合するならば、上記以外の樹脂、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂も使用出来る。
また、着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等の従来公知の着色顔料が仕様できる。
また、体質顔料としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルナミ、硫酸バリウム等が使用される。また、公知の紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を混合使用することもできる。
なお、絵柄層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、革絞模様、文字、幾何学図形、記号、線画、各種抽象模様、全面ベタ柄、或いはこれらの組合せ等と任意であ。
なお、絵柄層の形成方法としてはグラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等のような従来公知の印刷方式を用いることができる。全ベタ柄では、グラビアコート、グラビアリバースコート等の従来公知の塗工方式を用いることができる。
なお、絵柄層がその模様により厚みが部分的に異なる為に、剥離強度差がでる場合は、絵柄層はその支持体側の層として全面層を含めた構成とすると良い。全面層は、もちろん上記したような支持体と剥離性のあるバインダー樹脂を用いる。
【0010】
(転写層:接着剤層)
接着剤層は、例えば、絵柄層が被転写体との接着機能を有する場合、或いは被転写体自体が接着性がある場合(射出成形同時絵付け転写法等で流動状態の樹脂の固化と同時に転写層を転写し、流動状態の樹脂自身が接着機能を持つ場合)等では転写層の接着剤層は省略することもできる。また、転写層の接着剤層は、被転写体側に接着剤層を塗工や塗装などにより施しておく場合も省略することができる。
転写シート及び被転写体の両方に接着剤層を設ければ、転写層の密着性をより向上させる効果がある。また、転写層の接着剤層を予め設けておかずに、転写する際に直前に接着剤を転写シート側及び/又は被転写体側に施してから転写する方法もある。
【0011】
接着剤としては、被転写体の材質等によって適切なものを選択使用すれば良く、特に制限は無い。接着力発現機構で言えば、従来公知の転写シートで一般的ないわゆる熱融着型(感熱溶融型接着剤)接着剤でも良いし感圧型等でも良い。なお、感圧型の場合には、通常、転写直前まで接着剤層を保護しておくために剥離紙又は剥離フィルムが接着剤層の表面に積層された構成の転写シートとなる。
感熱溶融型接着剤としては、例えばポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合により得られるポリアミド樹脂等による従来公知の接着剤を用いることができる。
例えば、被転写体がABS樹脂の場合には、アクリル樹脂は接着剤に用いる好ましい樹脂の一つである。アクリル樹脂は、各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、その他ビニルモノマーを共重合することによって、被転写体の材質に合わせた密着性を適宜調整し易いからである。また、被転写体が塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル系の場合には、アクリル樹脂に加えて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を混合使用する等、被転写体の材質により適宜他の樹脂を混合併用することにより、より優れた密着性が得られることもある。
また、熱融着型接着剤の他に、熱硬化型、湿気硬化型、電離放射線硬化型等の各種硬化型接着剤、或いは、粘着剤による感圧型接着剤等の各種接着剤も適宜使用できる。
また、接着剤層の厚さは通常1〜100μm程度である。なお、凹凸表面の被転写体側に接着剤層を形成する場合は、スプレーコート、フローコート等の公知の塗工法によれば良い。
【0012】
〔被転写体〕
被転写体としては、特にその材質、形状に限定されるものでは無い。例えば材質としては、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂等の樹脂類、或いは、アルミニウム、鉄、ステンレス、真鍮等の金属或いは金属化合物類、木質合板、木質単板、中密度繊維板(MDF)等の木材類、ガラス、陶磁器、タイル等のセラミック類、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(繊維強化コンクリート)等のセメント、ケイ酸カルシウム等と任意である
また、形状も平板、曲面板、棒状体、立体物等と任意である。なお、射出成形同時絵付け転写法では、形状は転写と同時に形作られる。
【0013】
〔転写方法〕
なお本発明で用いる転写シートを被転写体に転写する転写方法として、例えば、下記の様な従来公知の各種の転写方法を利用できる。
【0014】
▲1▼特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等に記載されるように、成形品等の立体形状物品の表面に転写シートを、間に必要に応じ適宜接着剤を介して対向又は載置し、立体形状物品側からの真空吸引による圧力差により転写シートの転写層を立体形状物品の表面に転写する、所謂真空成形積層法を利用した転写方法(真空成形転写法)、
▲2▼特開平6−315950号公報、特公平2−42080号公報に記載されるように、転写シートを射出成形の雌雄両金型間に配置した後、溶融樹脂を型内に射出充填し、樹脂成型品の成形と同時にその表面に転写シートから転写層を転写させる、所謂射出成形同時絵付け転写方法、
▲3▼特公昭60−59876号公報、特開平5−139097号公報に記載されるように、転写シートを、転写層を被転写体側に向けて、支持体側から弾性体ローラで加圧し、転写層が被転写体に圧着後、支持体を剥離する、所謂ローラ転写方法、
▲4▼特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、転写シートを間に必要に応じ適宜接着剤層を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状基材を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して転写層を転写してゆく、所謂ラッピング加工方法による転写方法、
▲5▼その他、BMC(Bulk Molding Compound) 成形法、SMC(Sheet Molding Compound)成形法、ハンドレイアップ成形法等のFRP(Fiber Reinforced Plastics) における各種成形法、或いは、RIM(Reaction Injection Molding)、マッチドモールド成形法等の樹脂成形と同時に行う転写方法、等がある。
【0015】
なお、上記▲1▼、▲3▼及び▲4▼は既に形状を有する被転写体に転写する方法であり、▲2▼及び▲5▼の成形法は、樹脂成形品として被転写体の形状発現と同時に転写する方法である。また、上記▲2▼の方法では、樹脂の成形型、又は別の型により転写シートを予備成形した後に、樹脂を射出成形して成形と同時に転写する方法もある。これと同様に、▲5▼に列記の方法においても、転写シートの成形は樹脂成形と同時の場合と、樹脂成形の前に予備成形する場合がある。なお、ハンドレイアップ法では、転写シートの成形は予備成形となる。
【0016】
〔加飾品の製造方法〕
本発明の加飾品の製造方法は、前記転写シートを用い、且つその転写方法として上記各種転写方法の中から、上(1) (丸付き数字1)の真空成形転写法を採用した方法である。以下、真空成形転写法は真空プレス法で説明する。
【0017】
(真空成形転写法:真空プレス法)
図2は、上記▲1▼の真空成形積層法を利用した真空成形転写法の中でも、真空プレス法による加飾品の製造方法の説明図である。真空プレス法は、真空ラミネート法と似ているが、転写シートの被転写体への加圧に、転写シートの支持体側と被転写体側との気圧差の他に更に、ゴム状弾性膜の収縮圧も利用する点、転写シートの加熱をヒータにより加熱されたゴム状弾性膜を通して行う点等が若干異なり、転写シートの均一加熱とより強い圧接力等に特徴がある。
【0018】
図2の概略構成図に示す真空プレス装置30は、上方には流体圧シリンダー等の上下動作手段13により上下に移動可能な上室11があり、上室11に対面して下方に下室21がある。上室11の内部には赤外線輻射型のヒータ12が配置されている。また上室11の下部開口面はゴム状弾性膜15にて全面が覆われている。ゴム状弾性膜15には通常シリコーンゴム等が用いられる。下室21はその上面が複数の排気孔23を有する置台22となっている。上室11及び下室21には、それぞれ給排気ポート14、24があり、それぞれの内部気圧を独立に調整できる。
真空プレス法では、先ず、上室11が上方に移動して下室21と分離した状態で、被転写体Bを置台22に配置し、さらに転写シートSを被転写体Bの上から配置する。その際、転写シートSの転写層側が被転写体Bと向き合う様にする。接着剤を転写シートや被転写体の外表面に施しておく場合には、この段階で塗布などしておく。また接着剤が溶剤を含む場合は、この段階で乾燥させておく。
次いで、上室11を下方に移動し下室21に圧接し、上室11及び下室21を密閉する。図2はこの状態を示している。次に、下室21内を減圧し、上室11内を加圧する。さらに、ヒータ12を用いてゴム状弾性膜15を通して転写シートSを加熱軟化させ成形可能状態とする。この結果、上室11と下室21との空気圧差及びゴム状弾性膜15の収縮圧により、転写シートSは被転写体Bの外表面に対して加圧され、その結果、転写シートSは被転写体Bの外表面に沿って変形し被転写体Bへ密着していく。
最後に、下室21の減圧を解除するとともに上室11の加圧を解除して両室を大気圧にし、上室11を上方に移動し上室11及び下室21を分離し、転写シートSが貼着した被転写体Bを取り出し、転写シートの支持体を剥離することで、転写層が転写され絵柄模様が施された三次元形状の加飾品が得られる。
【0019】
(射出成形同時絵付け転写法)
本発明の製造方法とは別の方法の参考として、図3は、射出成形同時絵付け転写方法による加飾品の製造方法の説明図である。同図は既に加熱溶融等により流動状態の樹脂がキャビティに射出、充填され、転写シートSも成形されて樹脂に密着した状態である。可動可能なダイプレート(可動盤)71には凹部キャビティを有する雌型81が固定され、他方のダイプレート(固定盤)72には射出孔を有する雄型82が固定され、その背面にはノズル73が位置する。ダイプレート71は背面の油圧シリンダー74で図面で左右方向移動し、雌型81と雄型82とを圧接させて型締めを行う。転写シートSは型開き状態の時に雌型81と雄型82との間に挿入される。また、雌型81のキャビティ面には吸引管を通じて真空ポンプVPに接続された吸引孔が穿孔されており、転写シートSは雌型81のキャビティ面を利用して型締め前に図示しない加熱板で加熱軟化させて予備真空成形される。そして、加熱板を型外に退避後に型締めを行い、キャビティ(成形空洞)内へノズル73から溶融樹脂等の流動状態の樹脂83を射出、充填し、冷却や化学反応で樹脂を固化させた後、型開きを行う。そして、成形品の取出しと同時又は取出した後に、成形品から転写シートの支持体を剥離除去すると、転写層が成形品に転写され、絵柄模様が施された三次元形状の成形品からなる加飾品が得られる。なお、前記(2) (丸付き数字2)のうちのRIM(Reaction Injection Molding)は、流動状態の樹脂として未反応の反応性樹脂材料を型内に射出するものであり、この射出成形同時絵付け転写法に含まれる方法である。
【0020】
〔加飾品の用途〕
上述した転写シート、またそれを用いた加飾品の製造方法でによって得られる加飾品等の転写品は、転写された装飾面が平面又は特に三次元形状等の凹凸表面の物品として各種用途に用いられ得る。例えば、化粧部材として、外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装材、壁面、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具類の表面化粧、箪笥等の家具、テレビジョン受像機等の弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車、航空機等の車両内装、船舶内装に用いられ、或いは、瓶、罐、箱、カップ等の容器等として用いられる。
なお、転写層を被転写体に転写後に、スプレー塗装等で保護層等の表面層を形成して加飾品としても良い。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例で更に具体的に説明する。
【0022】
〔実施例1〕
ポリメチルメタクリレートを主体とする厚み50μmのアクリル系樹脂フィルムからなる支持体に、ポリフッ化ビニリデン系樹脂をバインダー樹脂の主成分樹脂とする着色インキによる木目柄の絵柄と、この木目柄に用いた着色インキと同じバインダー樹脂からなる着色インキによる着色全面ベタとから成る絵柄層を、グラビア印刷して支持体上に直接に形成して、本発明の転写シートを得た。
上記転写シートを用いて、被転写体は被転写面が三次元凹凸形状で厚みが15mm、20mm、30mm、40mmの4種類のMDF板(中密度繊維板)を用意し、図2に示す装置による真空プレス転写法により転写を行って、加飾品を製造した。被転写体の形状は図4の様な角に丸みがある立方体である。先ず、この被転写体の表面に予めウレタン系接着剤(コニシ株式会社製、CVC45L)をスプレー塗工した。
次いで、前記転写シートを転写層が被転写体側を向く様に被転写体上に載置し、110℃の加熱温度の赤外線ヒータにて転写シートを180秒間加熱して軟化させ、被転写体側から真空吸引し、また支持体側の上室は4気圧に加圧して、転写した。転写は、厚みの異なる4種類の被転写体それぞれについて行った。
その結果、表1の如く、15mm〜40mmのどの厚みの被転写体でも、転写シートは被転写体の凹凸表面に伸ばされて追従し、転写ヌケ不良も生ぜず、厚み40mmの被転写体でも転写良好で、得られた加飾品はそれぞれ美観に優れたものであった。そして、転写後、表面に透明な2液硬化型ウレタン塗装を行った。
【0023】
〔比較例1〕
実施例1において、転写シートの支持体を、ポリ塩化ビニル樹脂を主体として、これに対し可塑剤を10重量%含有する厚み50μmの塩化ビニル樹脂フィルムに代えた他は、実施例1と同様にして転写シートを得て、この転写シートを用いて実施例1同様の条件で加飾品の製造を試みた。
その結果、被転写体の厚みが15mm及び20mmと薄い方の物では、転写シートは被転写体の凹凸表面に追従し、転写ヌケ不良も生じずに加飾品が得られた。しかし、厚みが30mm及び40mmと厚い方の物では、転写シートが破断し、転写不良となった。厚みが30mmの被転写体では、転写シートの破断は若干であったが、厚みが40mmの被転写体では、大きく転写シートが破断した。
【0024】
【表1】
表1 実施例1と比較例1との転写性能比較
Figure 0003868589
○:転写良好、△:転写やや良好、×:転写不良
【0025】
参考例1
実施例1の転写シートの絵柄層上に、更にアクリル系樹脂からなる接着剤層を設けて、接着剤層付きの転写シートを得た。上記転写シートを用いて、射出成形型を利用して転写シートの予備成形を行う形態で、射出成形同時絵付け転写法にて転写を行って、加飾品を製造した。被転写体となる成形品形状は、図4の如く被転写面が三次元凹凸形状の弁当箱形状で、高さが20mm、30mm、40mm、50mmの4種類の物について、転写した。これら高さが雌型パーティング面から雌型キャビティ形成面までの深さ、つまり転写シート予備成形時の絞り深さになる。先ず、図3の如く射出成形金型内に転写層が射出樹脂側を向く様に挿入し、熱板にて転写シートを120℃で加熱・軟化させた上で、熱板側からの加圧空気と雌型側からの真空吸引とによる真空圧空成形にて、雌型側に転写シートを予備成形した後、型締めし、熔融した温度220℃のABS樹脂を雄型の湯口(ゲート)からキャビティに射出し充填し、固化させて、射出成形した。その結果、表2の如く、20mm〜50mmのどの厚みの成形品(被転写体)でも、転写シートは成形品の凹凸面に追従し、転写ヌケ不良を生ぜず、厚み50mmの成形品でも転写良好で、得られた樹脂成形品からなるそれぞれの加飾品は、美観に優れたものであった。
【0026】
〔比較例2〕
参考例1において、転写シートの支持体を、ポリ塩化ビニル樹脂を主体として、これに対し可塑剤を10重量%含有する厚み50μmの塩化ビニル樹脂フィルムに代えた他は、参考例1と同様にして転写シートを得て、この転写シートを用いて参考例1同様の条件で加飾品の製造を試みた。その結果、成形品(被転写体)の厚みが20mmと薄い方の物では、転写シートは被転写体の凹凸表面に追従し、転写ヌケ不良も生じずに加飾品が得られた。しかし、厚みが30mm、40mm及び50mmと厚い方の物では、転写シートが破断し、転写不良となった。厚みが30mmの成形品では、転写シートの破断は若干であったが、厚みが40mm及び50mmの成形品では、転写シートが破断した。
【0027】
【表2】
Figure 0003868589
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、アクリル系樹脂フィルムの支持体に隣接して、剥離性の有る樹脂で絵柄層を転写層として設けた転写シートとしてあるので、支持体のアンカー層や離型層等が不要で転写シートの製造が平易となり、しかも特に三次元形状等の凹凸面へも、文字パターン等の精密な加飾が施された加飾品が得られる。また、従来の塩化ビニル樹脂フィルムを支持体に用いた転写シートでは不可能な絞りの大きい凹凸表面でも、転写成形時に転写シートが破れず、転写できるので、絞りの大きい転写面の加飾品が得られる。
また、転写シートの廃材となる支持体はオレフィン系樹脂なので、焼却しても塩化水素ガスが発生せず、地球環境対策的にも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる転写シートの形態例を示す断面図。
【図2】本発明の加飾品の製造方法の一形態である、真空プレス転写法の説明図。
【図3】別の加飾品の製造方法の一例として、射出成形同時絵付け転写法の説明図。
【図4】被転写体の形状例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 支持体
2 転写層
3 絵柄層
4 接着剤層
11 上室
12 ヒータ
13 上下動作手段
14、24 給排気ポート
15 ゴム状弾性膜
21 下室
22 置台
23 排気孔
30 真空プレス装置
71 ダイプレート(可動盤)
72 ダイプレート(固定盤)
73 ノズル
74 油圧シリンダー
81 雌型
82 雄型
83 流動樹脂
B 被転写体
S 転写シート

Claims (1)

  1. アクリル系樹脂フィルムからなる支持体に隣接して、該支持体と剥離性を有する樹脂からなる絵柄層を転写層として有する転写シート、又は該支持体上の該絵柄層の上に更に接着剤層を設け絵柄層及び接着剤層が転写層となる転写シートを、その絵柄層を被転写体側に向けて配置し、転写シートの加熱及び被転写体側からの真空吸引を行い、加熱された転写シートを支持体側と被転写体側との気圧差により被転写体に密着させ、しかる後、支持体を剥離して、被転写体に転写層を転写する、真空成形転写法による、加飾品の製造方法。
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