JP3867397B2 - デジタルカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空間周波数フィルター及びこれを備えたデジタルスチルカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
CCDなどの撮像素子を用いたデジタルスチルカメラにおいては、撮像素子の前面にドット状の色分解フィルターが配置されており、この色分解フィルターの繰り返しピッチ(画素ピッチ)と被写体の空間周波数とのビートによって色の擬信号、いわゆる「色モアレ」が発生することが知られている。この色モアレを防止するため、撮影レンズと撮像素子との間に、空間周波数を制限するための空間周波数フィルターを配置している。空間周波数フィルターには、複屈折効果を有する複屈折板が主要構成要素の一つとして使用されており、この複屈折板は、一般に、水晶によって形成されている。
【0003】
図6に、特公平6−20316号公報で提案されている空間周波数フィルターを示す。このものは、それぞれの複屈折板の複屈折による像のずれ方向が、1枚目と2枚目とでほぼ90度ずれるように、2枚の複屈折板を組み合わせて構成したものであり、ドット状の色分解フィルターを有する撮像光学系に好適に使用されている。
【0004】
以下、その構成と原理を簡単に説明する。撮影レンズ31を透過した自然光の撮影光束36は、1枚目の複屈折板32に入射すると、光の強度比が1:1の常光37と異常光38となって2つの光路に分かれ2重像となる。常光37と異常光38とは、1/4波長板33に入射すると、相互に90°位相の異なる2つの円偏光37′と円偏光38′とに変換される。第2の複屈折板34に入射した円偏光37′と円偏光38′は、前者の円偏光37′がそれぞれ強度の等しい常光39と異常光40とに、また、同様に、後者の円偏光38′がそれぞれ強度の等しい常光41と異常光42とに分かれる。これにより、撮像素子35上には、4重像が形成される。複屈折板32、34は、それぞれの複屈折による像のずれ方向が90°ずれるように組み合わされているので、撮像素子35上の4重像は、各点の強度が等しい正方形を構成する。このときの正方形の一辺に相当する各点間の距離を分離量dとすると、この分離量dは次の(1)式で与えられる。
ここで、t:複屈折板の厚さ
ne:異常光屈折率
no:常光屈折率
空間周波数フィルターは、この2枚の複屈折板32、34を1/4波長板33を挟んで貼り合わせて一体化することによって構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年のデジタルスチルカメラ(DSC)の撮像素子の発展形態には、高画素化及び大画面化というの二つの方向がある。画面の大きさを従来の1/3インチから1/2インチ程度に保ったままでメガピクセルを超える高画素化を進める場合には、いわゆる画素サイズが小さくなる方向になる。たとえば1/3インチ程度の画面サイズで130万画素程度の画素数の撮像素子では、画素ピッチは4μm程度である。この程度の画素ピッチに相当する像の分離量dを、複屈折板として最も一般的な水晶板を用いて得るには、589nmの波長の光に対する水晶の屈折率がne=1.55336、no=1.54425であるので、(1)式においてd=4μmとして逆算すると、水晶板の必要な厚さは0.7mm程度になる。1/4波長板の厚さは分離量dに関係なく0.5mm程度必要なので、図6に示す空間周波数フィルターを構成すべく、2枚の水晶板(複屈折板32、34)と1/4波長板33とを3枚貼り合わせた場合の全体の厚さは、2mm程度となる。
【0006】
ところが、特に一眼レフタイプカメラに用いられる撮像素子のように大画面化の方向へ進むと、事情が異なる。1/3インチCCDなら画面の大きさは3.6mm×4.8mm程度であるが、これを例えば銀塩フィルムでのIX240システム(アドバンストフォトシステム(APS))におけるCタイプ(縦横比2:3=16mm×24mm)と同等のサイズの画面のCCDとすると、4μm程度の画素ピッチでは単純計算で画面全体では2000万画素以上になってしまい、CCD作製上の歩留まりや画像情報処理回路規模・速度等の観点から未だ実用化レベルではないと考えられる。APS−Cタイプ程度の大画面CCDでは、画素数は2百数十万程度が妥当と予想され、そのときの画素ピッチは10数μmとなる。
【0007】
一例として画素ピッチ12μmでAPS−CサイズのCCD(16mm×24mm)を作製すると、その画素数は約267万画素となる。この画素ピッチ12μmのCCDに使用する空間周波数フィルターは、複屈折板を水晶で構成すると、水晶板1枚の厚さは、(1)式にd=12μmを代入して計算するとt=2.04mmとなる。この厚さの水晶板2枚と1/4波長板(0.5mm)とを合わせると、空間周波数フィルターの厚さは4.58mmとなり、4μmピッチのときの空間周波数フィルター(厚さ2mm)の倍以上の厚さとなってしまう。
【0008】
さらに、CCDを用いたDSCでは、CCDの分光感度が人間の目のそれと異なるため、撮像光路内に赤外光をカットするIRカットフィルターを配置するのが通例である。このIRカットフィルター(厚さ0.8mm程度)も、空間周波数フィルターと貼り合わせて配置する。すると、12μm対応の空間周波数フィルターは、IRカットフィルターと合わせて5.38mmもの厚さになってしまう。
【0009】
このような厚さの空間周波数フィルターを撮影レンズとCCDとの間に配置することは、撮影レンズ後端とCCDの受光面との間に他に何も配置する必要のない一般的なレンズシャッター式DSCの場合であっても、ズーミング、フォーカシング等の条件を考慮した撮影レンズ最後端とCCDとの間隔の最小値(いわゆるレンズのバックフォーカス)が空間周波数フィルターの厚さより大きくなければならず、撮影レンズの光学設計上の制約になる。それにも増して、縮小光学系を用いずにレンズによる被写体像を直接、大型CCDに結像させる一眼レフタイプのDSCの場合、撮影レンズとCCDの間にはファインダーと撮像系とに光路を分けるクイックリターンミラー又は固定半透明ミラーがまず必要となり、さらに秒時形成又はCCDの画像信号読み出し時の遮光のためメカシャッターが必要となる。撮影レンズとその結像面との間にミラーとシャッターとが配置されている構成は、一般の銀塩の一眼レフカメラと同じだが、その上さらに5mmを超える空間周波数フィルターをミラーやシャッターの作動を阻害しないように配置するのは困難である。特に最近のカメラはオートフォーカス(AF)化が進み、一眼レフカメラの場合はクイックリターンミラーの裏側、すなわちクイックリターンミラーとシャッターとの間に配置したサブミラーによって光束を焦点検出装置に導くので、5mmを超えるような厚さの空間周波数フィルターの配置はさらに困難である。
【0010】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、厚さを薄く構成することのできる空間周波数フィルターを備えたデジタルカメラを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための請求項1に係るデジタルカメラは、クイックリターンミラーとシャッターユニットおよび撮像素子とを備え、さらに入力光をその進行方向に直交する第1の方向に空間的に2分割して2つの光に分離する光学素子としての第1の複屈折板と、該第1の複屈折板からの2つの光をそれぞれ直線偏光から円偏光に変換させる光学素子としての1/4波長板と、該1/4波長板からの2つの光を、前記第1の方向と異なる第2の方向に空間的にそれぞれ2分割して計4つの光に分離する光学素子としての第2の複屈折板とからなる空間周波数フィルターを、前記シャッタユニットの遮光幕と前記撮像素子との間に配置し、前記第1の複屈折板と前記第2の複屈折板とを、前記1/4波長板の厚さよりも薄く形成したことを特徴とする。
【0012】
この請求項1のデジタルカメラでは、複屈折板を1/4波長板の厚さよりも薄く形成したので、空間周波数フィルター全体の厚さが薄くなりシャッターユニットの遮光幕と撮像素子との間に配置できる。
【0013】
請求項2に係るデジタルカメラでは、前記空間周波数フィルターの前記第1の複屈折板と前記第2の複屈折板とを、常光に対する屈折率と異常光に対する屈折率との差が水晶のそれより大きい物質で形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項3に係るデジタルカメラでは、前記空間周波数フィルターの前記第1の複屈折板と前記第2の複屈折板とのうちの少なくとも一方を、リチウムナイオベートによって形成したことを特徴とする。
【0015】
請求項4に係るデジタルカメラでは、前記空間周波数フィルターの前記第1の複屈折板と前記第2の複屈折板とのうちの少なくとも一方に隣接して一体的に、光学素子としてのIRカットフィルターを配置したことを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
〈実施の形態1〉
複屈折効果を有する物質として、水晶の他ではリチウムナイオベート(LiNbO3)が知られている。リチウムナイオベートは、電圧をかけると歪む性質を利用して通信機器の弾性表面波フィルターに使用されたり、屈折率が高く透明である性質を利用してレーザー光の導波路として使用されたりしているが、複屈折効果そのものを利用した例はほとんどない。しかしその複屈折を起こす性質を空間周波数フィルターに利用すれば、LiNbO3は、25℃のときに、波長550nmの光の異常光に対する屈折率がne=2.2238、常光に対する屈折率がno=2.3132となり、異常光の屈折率と常光のそれとの差が水晶より大きいので、同じ厚さの場合には、水晶よりも大きな分離量dを得ることができる。例えば、12μmの分離量dを得るには、(1)式と上述のne、noの値から、t=0.3mmと算出することができる。これは、水晶の2.04mmに対してその15%に過ぎない。
【0026】
図1に、本発明に係る、複屈折板をLiNbO3で形成した空間周波数フィルターを、一眼レフタイプのデジタルスチルカメラ(DSC)に組み込んだ例を示す。なお、同図は、DSCの構成を示す縦断面図である。
【0027】
同図に示すDSCは、前部(同図中の左側をいう)に、交換可能な撮影レンズ20(図3参照)を取り付けるためのマウントが11が設けられている。ただし、同図では、撮影レンズを取り外した状態を図示している。撮影レンズ20を透過した被写体光Lは、半透明のクイックリターンミラー12によって、オートフォーカス(AF)のための透過光L1とファインダー観察用の反射光L2とに分離される。透過光L1はファインダー観察状態ではクイックリターンミラー12と一体のサブミラー13に反射し、ミラーボックス底部のTTL焦点検出装置14に入射する。一方、反射光L2は撮像面15(後述)と等価な焦点板21の焦点面21aに被写体像を結像し、その像はペンタプリズム22を介して接眼レンズ23によって拡大され観察される。
【0028】
DSCがレリーズされると、クイックリターンミラー12は、サブミラー13とともに、基端部12aを中心として上方に跳ね上げられ、同図中の二点鎖線12′で示す位置に退避する。これにより、撮影レンズ20を透過した被写体光Lは、撮像面15a(後述)に向かうことが可能となる。
【0029】
DSCの後部(同図中の右側をいう)には、撮像素子パッケージ16が配置されている。撮像素子パッケージ16は、CCD等によって構成された撮像素子15と、その撮像面15aの前面を覆うシールガラス2とを有している。本発明に係る空間周波数フィルター1は、シールガラス2の前面にこれに近接するようにして配置されている。撮像素子パッケージ16は、ブラケット17を介してカメラ本体19にねじ18によって固定されている。ブラケット17及びこれが取り付けられるカメラ本体19側は、高精度に加工されており、これにより、撮像素子パッケージ16の撮像面15aが光学的に精度よく配置されるようになっている。
【0030】
空間周波数フィルター1と前述のクイックリターンミラー12との間にはシャッターユニット3が配設されており、撮像素子15の撮像信号の読み出し時の遮光を行っている。図1は、露光後の信号読み出し時の遮光幕3aが閉じられた状態を示している。このシャッターユニット3は、撮像素子露光開始時には遮光幕3aを開放して被写体光Lが撮像面15aに到達するように構成されている。
【0031】
図2は、本発明に係る空間周波数フィルター1の一例を示す斜視図である。同図に示す空間周波数フィルター1は、4枚の板状の光学素子、すなわち、第1の複屈折板1a、IRカットフィルター1b、1/4波長板1c、第2の複屈折板1dを主要構成部品として構成されている。第1の複屈折板1aと、第2の複屈折板1dとは、いずれもLiNbO3によって形成されており、第1の複屈折板1aの複屈折による像のずれ方向と、第2の複屈折板1dの複屈折による像のずれ方向とが90°ずれるように配置されている。これら2枚の複屈折板1a、1dの間に、赤外光をカットするためのIRカットフィルター1bと直線偏光を円偏光に代えるための1/4波長板1cとが配置されている。1/4波長板1cは、このように2枚の複屈折板1a、1d間に配置する必要があり、また、IRカットフィルター1bは、空気に触れると白濁を起こすことから表面が空気に触れないように他の基板で挟むようにするのが通例である。なお、IRカットフィルター1bは、ガラス基板の表面にIRカット効果のある多層膜を蒸着することによって構成することができるが、この他に、例えば、基板としてLiNbO3を使用し、その表面に上述と同様の多層膜を設けるようにしてもよい。この場合、IRカットフィルター1bの厚さ分をさらに薄くすることが可能である。
【0032】
次に、図3を参照して、図2に示す構成の空間周波数フィルターの作用について説明する。なお、図3においては、説明の便宜上、IRカットフィルター1bは省略してあり、また、第1の複屈折板1aと1/4波長板1cとの間、及び1/4波長板1cと第2の複屈折板1dとの間は離して図示してある。
【0033】
撮影レンズ20を透過した自然光の撮影光束L(入力光)は、第1の複屈折板1aに入射すると、光の進行方向に対して垂直に振動する直線偏光(常光L10)とこの常光L10に対して垂直に振動する直線偏光(異常光L20)とに分かれる。第1の複屈折板1aの屈折率は常光L10と異常光L20に対して異なるため、入射後の撮影光束Lはそれぞれ常光L10、異常光L20となって2つの光路に分かれ2重像となる。ここで、常光L10に対する異常光L20のずれ方向(同図では水平方向)を第1の方向とすると、第1の複屈折板1aは、入力光をその進行方向に直交する第1の方向に空間的に2分割して2つの光に分離する光学素子であるといえる。これら常光L10と異常光L20は、もとが自然光であるため、光の強度比が1:1の、相互に直交する偏光面を有する直線偏光となる。
【0034】
次に、常光L10と異常光L20とは、1/4波長板1cに入射する。この1/4波長板1cは直線偏光を円偏光に変換するものであり、常光L10と異常光L20とは、相互に90°位相の異なる2つの円偏光L10′と円偏光L20′とに変換される。一般に、円偏光に対し複屈折板は自然光に対するのと同等に作用するので、第2の複屈折板1dに入射した円偏光L10′と円偏光L20′は、前者の円偏光L10′がそれぞれ強度の等しい常光L11と異常光L12とに、また、同様に、後者の円偏光L20′がそれぞれ強度の等しい常光L21と異常光L22とに分かれる。このときの常光L11に対する異常光L12のずれ方向、及び常光L21に対する異常光L22のずれ方向は、いずれも上述の第1の方向に対して直交する第2の方向(同図では垂直方向)となる。
【0035】
このように、はじめ1つであった撮影光束Lは、まず、第1の複屈折板1aによって、常光L10と異常光L20とに分離され、その後、1/4波長板1cによって円偏光に変換された後、第2の複屈折板1dによって、常光L11、L21、及び異常光L12、L22の4つの光に分離される。これにより、撮像素子15の撮像面15a上には、4重像が形成される。第1、第2の複屈折板1a、1dは、前述のようにそれぞれの複屈折による像のずれ方向が90°ずれるように組み合わされているので、撮像面15a上の4重像は、各点の強度が等しい正方形を構成する。このときの正方形の一辺に相当する各点間の距離を分離量dとすると、この分離量は、前述のように、次の(1)式で与えられる。
d=t×(ne 2−no 2)/(2ne×no) ・・・・・・ (1)
ここで、t:複屈折板の厚さ
ne:異常光屈折率
no:常光屈折率
本発明に係る空間周波数フィルターは、上述の第1の複屈折板1aと、IRカットフィルター1bと、1/4波長板1cと、第2の複屈折板1dとをこの順に貼り合わせて一体化することによって構成されている。
【0036】
これら4枚の板状の光学素子の厚さの総計は、例えば、撮像素子15の画素ピッチを12μmとすれば、LiNbO3で形成された第1、第2の複屈折板1a、1dがそれぞれ0.3mm、水晶等で形成された1/4波長板1cが0.5mm程度、そして、IRカットフィルター1bは0.5〜0.8mm程度が通例なので、これらを合計して1.6〜1.9mmとなる。これは最大の1.9mmとした場合においても、第1、第2の複屈折板1a、1bを水晶で形成した場合の総厚5.38mmに対してその35%であり、省スペースに多大な効果がある。特に撮像素子15の位置は、撮影レンズ20における結像面に撮像面15aを配置しなければならない関係上、自由度がなく、必然的にシャッターユニット3と空間周波数フィルター1の配置のためのスペースは限定されてくるので、水晶と比較した場合の省スペース効果は大きい。近年はAF一眼レフカメラが常識的であり、クイックリターンミラー12の後部にサブミラー13があり、サブミラー13後端とシャッターユニット3との間、及びシャッターユニット3後面とレンズ結像面との間にはともに大きなスペースはなく、通常の銀塩AFカメラの構造のままでは5.38mmもの空間周波数フィルターを配置することは非常に困難である。
【0037】
しかし、上述したような本発明に係る空間周波数フィルター1を使用すれば、その省スペース効果によりそれが可能となり、基本的に現行の銀塩一眼レフカメラの構成をそのまま使いながら、画素ピッチ10μmを超える大画面撮像素子を使ったDSCを実現することができる。
【0038】
なお、本発明において第1、第2の複屈折板1a、1dを形成しているLiNbO3には劈開性があるが、1/4波長板1c等と接着して一体とすることにより、その欠点を十分補うことが可能となる。
【0039】
以上の構成の空間周波数フィルター1において、1/4波長板1cに代えて、光の偏光面を45°回転させるための旋光板を使用することもできる。複屈折板を水晶で形成した従来の空間周波数フィルターにおいて、旋光板を使用する例は、例えば、前述の特公平6−20316号公報において記載されている。本発明においては、このような旋光板と、LiNbO3によって形成された第1、第2の複屈折板1a、1dとを組み合わせた構成を採用した場合においても、上述の1/4波長板1cを使用した場合とほぼ同等の効果を奏することができる。これにより、第1、第2の複屈折板1a、1d以外の構成についての自由度が増すといえる。さらに、これら1/4波長板1cや旋光板と同等の作用をなすものであれば、これらに限らず他の光学素子を使用することも可能であるのはもちろんである。
【0040】
図4は、第1、第2の複屈折板を、水晶で形成した場合とLiNbO3で形成した場合の、撮像素子15の画素ピッチと空間周波数フィルターの厚さとの関係を示したグラフである。ここで、複屈折板1a、1d以外のIRカットフィルター1bの厚さを0.6mm、1/4波長板1cの厚さを0.5mmとし、(1)式から得られる複屈折板1a、1dの厚さをtとすると、空間周波数フィルター全体の厚さTは、水晶では、1.1+340p(p:撮像素子の画素ピッチ)となり、LiNbO3では、1.1+50.7pとなる。画素ピッチpが大きくなればなるほど両者の厚さの差(同図のΔ1、Δ2参照)は大きくなるのがわかる。例えば、p=4μmのとき、Δ1は1.16mmだが、p=16μmのときは、Δ2は4.63mmとなり、画素ピッチが大きくなるほど、複屈折板1a、1dをLiNbO3で形成したことによる省スペース効果が大きいことがわかる。
【0041】
なお、LiNbO3の屈折率は、水晶やIRカットフィルターの素材となるBK7相当のガラスのそれとは差が大きいため、水晶同士を貼り合わせた場合に比べてその境界面で内面反射が起こりやすい。この内面反射は、境界面に反射防止コートを設けることによって防ぐことができるので、LiNbO3を用いた空間周波数フィルターの場合、通常の光学フィルターのように表面に反射防止コートを設けるだけでなく、貼り合わせの境界面にも反射防止コートを設けることが好ましい。
【0042】
〈実施の形態2〉
図5に、実施の形態2を示す。本実施の形態2では、上述の実施の形態1に対して、空間周波数フィルターの配設位置を変更している。なお、実施の形態1と同じ構成・作用の部材等については、同じ符号を付してその重複説明は省略するものとする。
【0043】
同図に示すように、LiNbO3を用いた薄い空間周波数フィルター1は、一眼レフタイプのカメラにおいて、クイックリターンミラー12の前面に配置することも可能である。この場合、クイックリターンミラー12が上がった撮影状態(同図中の二点鎖線)では、撮影レンズの光路(撮影光束L)中に空間周波数フィルター1が配置されていることに変わりはないので、その光学的効果は同等だが、クイックリターンミラー12が降りているファインダー観察状態(同図中の実線)においても、ファインダー観察光路及びAF検出光路中のいずれにも空間周波数フィルター1があることになるので、ファインダー像及びAF検出精度に空間周波数フィルター1の像分離の効果が影響し、厳密には望ましくない。しかし、シャッターユニット3と撮像素子15との間隔がほとんどなく、LiNbO3による省スペース効果をもってしてもシャッターユニット3と撮像素子15との間に空間周波数フィルターを配置できない場合でも、クイックリターンミラー12の先端を135サイズの一眼レフに比べて短くすることにより、クイックリターンミラー12の作動時の先端の軌跡12sと撮影レンズの最後端LBとの間に配置できるようになる。135サイズのカメラのクイックリターンミラーに比べ、撮像素子サイズが135より小さい(例えばAPSサイズ)ならば、その分、クイックリターンミラー12を小さくすることができるので、クイックリターンミラー12の先端を短くした分、LiNbO3を用いた薄い空間周波数フィルター1の配置スペースを作り出すことができる。
【0044】
前述及び上述の実施の形態1及び実施の形態2においては、空間周波数フィルター1の第1、第2の複屈折板1a、1dは、いずれもLiNbO3で形成した例を説明したが、2枚の複屈折板1a、1dのうちの一方をLiNbO3で形成し、他方を例えば水晶で形成した場合でも相応の省スペース効果をあげることができる。すなわち、本発明は、その技術的範囲として、2枚の複屈折板1a、1dのうちの双方をLiNbO3で形成した場合はもちろん、これ以外に、一方のみをLiNbO3で形成した場合も含むものである。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る本発明によると、複屈折板を1/4波長板の厚さよりも薄く形成したので、空間周波数フィルター全体の厚さが薄くなり、シャッタユニットの遮光幕と撮像素子との間に配置できる。
【0046】
請求項2に係る本発明によると、第1の複屈折板と第2の複屈折板とを、常光に対する屈折率と異常光に対する屈折率との差が水晶のそれより大きい物質で形成することにより、複屈折板の厚さを薄くすることができ空間周波数フィルター全体の厚さを薄くすることができる。
【0047】
請求項3に係る本発明によると、第1の複屈折板と第2の複屈折板とのうちの少なくとも一方を、リチウムナイオベートによって形成したことにより、空間周波数フィルター全体の厚さを薄くすることができる。
【0048】
請求項4に係る本発明によると、第1の複屈折板と第2の複屈折板とのうちの少なくとも一方に隣接して一体的に、光学素子としてのIRカットフィルターを配置したことにより、光路内の赤外光をカットすることができるものでありながら、IRカットフィルターを一体化した空間周波数フィルター全体の厚さを薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空間周波数フィルターを備えた一眼レフタイプのデジタルスチルカメラの実施の形態1を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る空間周波数フィルターの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る空間周波数フィルターの概略構成及び原理を示す斜視図である。
【図4】空間周波数フィルターの厚さと撮像素子の画素ピッチとの関係を示す図である。
【図5】本発明に係る空間周波数フィルターを備えた一眼レフタイプのデジタルスチルカメラの実施の形態2を示す縦断面図である。
【図6】従来の空間周波数フィルターの概略構成及び原理を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 空間周波数フィルター
1a 第1の複屈折板
1b IRカットフィルター
1c 1/4波長板
1d 第2の複屈折板
3 フォーカルプレーンシャッター(シャッターユニット)
12 クイックリターンミラー
13 サブミラー
14 TTL焦点検出装置
15 撮像素子
15a 撮像面
16 撮像素子パッケージ
d 分離量
Claims (4)
- クイックリターンミラーとシャッターユニットおよび撮像素子とを備えたデジタルカメラにおいて、
入力光をその進行方向に直交する第1の方向に空間的に2分割して2つの光に分離する光学素子としての第1の複屈折板と、該第1の複屈折板からの2つの光をそれぞれ直線偏光から円偏光に変換させる光学素子としての1/4波長板と、該1/4波長板からの2つの光を前記第1の方向と異なる第2の方向に空間的にそれぞれ2分割して計4つの光に分離する光学素子としての第2の複屈折板とからなる空間周波数フィルターを、前記シャッタユニットの遮光幕と前記撮像素子との間に配置し、
前記第1の複屈折板と前記第2の複屈折板とを前記1/4波長板の厚さよりも薄く形成した、
ことを特徴とするデジタルカメラ。 - 前記空間周波数フィルターの前記第1の複屈折板と前記第2の複屈折板とを、常光に対する屈折率と異常光に対する屈折率との差が水晶のそれより大きい物質で形成したことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ。
- 前記空間周波数フィルターの前記第1の複屈折板と前記第2の複屈折板とのうちの少なくとも一方を、リチウムナイオベートによって形成したことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ。
- 前記空間周波数フィルターの前記第1の複屈折板と前記第2の複屈折板とのうちの少なくとも一方に隣接して一体的に、光学素子としてのIRカットフィルターを配置したことを特徴とする請求項1、2または3に記載のデジタルカメラ。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10182298A JP3867397B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | デジタルカメラ |
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