JP3867267B2 - 液体原料を用いる粉粒体製造装置及びこの装置を用いた粉粒体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は液体原料を用いた粉粒体の製造に関するものであって、特にコンタミネーションの発生を防止するとともに品質劣化を引き起こすことがなく、更に製造効率が良好な液体原料を用いる粉粒体製造装置及びこの装置を用いた粉粒体の製造方法に係るものである。
【0002】
【発明の背景】
従来より、食品、医薬品、農薬、飼料、化学薬品等の粉粒体の加工において、液状原料を乾燥することにより粉粒体を得る場合には、棚式真空凍結乾燥機や、凍結室と乾燥室とを組み合わせるとともに、この乾燥室内にバイブレーションコンベヤを具えた乾燥機(例えば特公昭42−9719号)等が用いられている。
しかしながらこれらタイプの乾燥機を用いて液状原料を乾燥・造粒するにあたっては、それぞれ以下に示すような問題点があった。
【0003】
まず棚式真空凍結乾燥機の場合には、人手を使って液体原料の投入及び乾燥品の取り出しを行うため、製造コストが高くなってしまう。また液体原料の投入及び乾燥品の取り出しを行う際に乾燥室内に粉塵が混入してしまい、コンタミネーションが発生してしまう。更に装置内に加熱用の棚、冷却用の棚、熱媒体循環用の配管及びこれらを支持するための機枠等が配置されているため、サニタリー性が不充分であった。
【0004】
また前記特公昭42−9719号に開示された装置は、図5に示すように、乾燥に必要な昇華熱として乾燥室10′内に具えたヒータの輻射熱を用いるため、ヒータを400〜500℃と高温に設定する必要があり、乾燥途中の粉粒体が焦げて熱劣化してしまうことがある。また液体原料L噴霧用のノズル51′を凍結部5′下部に上向き状態で具えているため、ノズル51′に凍結物Gが付着し易く、この結果噴霧される液滴の大きさが不揃いになってしまい、付着物が成長して乾燥室10′内に落ち込んだ場合には乾燥ムラを引き起こしてしまう。更に凍結部5′を、凍結凝縮コイルを用いた強制冷却を行うものとしたため、凍結部5′室が複雑化、大型化してコスト上昇を招くとともに、設置スペースを広く取ってしまっている。更にまた被処理物を搬送するバイブレーションコンベヤの搬送部に対して、このバイブレーションコンベヤの振動に関与するリンク機構の摩擦粉やヒータでの焦げ付きが落ち込むため、コンタミネーションが発生してしまう。更にまた乾燥室10′内にバイブレーションコンベヤが位置するためサニタリー性も不充分であり、このため異なる種類の液体原料を続けて処理するのには不向きであった。
【0005】
【解決を試みた技術課題】
本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、コンタミネーションの発生を防止するとともに熱により品質劣化を引き起こしてしまうことがなく、更に乾燥・造粒処理に要するコストを削減することのできる、新規な液体原料を用いる粉粒体製造装置及びこの装置を用いた粉粒体の製造方法の開発を技術課題としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項1記載の液体原料を用いる粉粒体製造装置は、基台上に弾性体を介在させた状態で内部空間を乾燥室とした筐体を具え、この筐体をバイブレータユニットによって振動させることにより、前記乾燥室内に投入された被処理物を流動させながら、この被処理物の乾燥を行う装置において、前記乾燥室は加熱媒体を用いた間接加熱式のものであり、またこの乾燥室には内部を減圧するための真空ポンプを連通し、前記筐体における投入口に対して凍結部を連通状態に具え、この凍結部の上部に液体原料を噴霧するためのノズルを具えたことを特徴として成るものである。
この発明によれば、液体原料及び凍結物に対して異物が混入しないためコンタミネーションの発生を防ぐことができる。また液体原料の投入及び乾燥品の排出に人手を要さないため、コスト上昇を招くことがない。更にまた加熱媒体を用いた間接加熱によって乾燥が行われるため、熱劣化を引き起こしてしまうことがない。更にまた乾燥室のサニタリー性が良好であるため、異なる種類の液体原料を続けて処理するような使用を実現することができる。
また、ノズルから噴霧された液体原料が自己凍結する空間が確保されるため、液体原料を粒状の凍結物として乾燥室に供給することができ、乾燥室内での被処理物の流動状態を良好なものとすることができる。
【0007】
また請求項2記載の液体原料を用いる粉粒体製造装置は、前記要件に加え、前記凍結部と筐体との間をフレキシブルチューブによって連結したことを特徴として成るものである。
この発明によれば、凍結部に伝わる筐体の振動を緩和することができるため、ノズルからの液体原料の噴霧及び液体原料の自己凍結に、筐体の振動が影響を及ぼしてしまうことを回避することができる。
【0008】
更にまた請求項3記載の粉粒体の製造方法は、前記請求項1または2記載の粉粒体製造装置を用い、凍結部内及び乾燥室内を真空状態とするとともに、ノズルから凍結部内に液体原料を噴霧することにより、この凍結部内において液体原料を細粒状に自己凍結させ、その後この凍結物を乾燥室内に導いて振動を与えながら昇華乾燥することを特徴として成るものである。
この発明によれば、ノズルから噴霧された液体原料が自己凍結する空間が確保されるため、液体原料を粒状の凍結物として乾燥室に供給することができ、乾燥室内での被処理物の流動状態を良好なものとすることができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の液体原料を用いる粉粒体製造装置及びこの装置を用いた粉粒体の製造方法について説明するものであり、粉粒体製造装置の構成について説明した後、この装置の作動態様と併せて本発明の粉粒体の製造方法について説明する。
なお粉粒体製造装置の構成については、液体原料Lの性状等に応じて複数の形態を採ることができるため、以下、構成を異ならせた粉粒体製造装置毎に説明を行う。
【0010】
【実施の形態1】
図1、2中符号Dで示すものが本発明の粉粒体製造装置であり、このものは内部空間を乾燥室10とした筐体1を弾性体2を介在させて状態で基台Bに載置するとともに、筐体1に取り付けたマウントブラケット3に対してバイブレータユニット4を具えて成る。また、前記筐体1における投入口15に対して凍結部5を連通状態に具える。更に粉粒体製造装置Dは、周辺機器として、コンデンサ、真空ポンプを具えて成る真空発生装置6及び熱媒循環機7を具えるものであり、前記凍結部5及び乾燥室10内を真空にするとともに乾燥室10内を間接加熱するように構成される。このように構成される粉粒体製造装置Dは、凍結部5内において噴霧された液体原料Lを自己凍結させて細粒状の凍結物Gとし、続いてこの凍結物Gを乾燥室10内に導き、前記バイブレータユニット4によって筐体1を加振することにより流動させながら凍結物Gの乾燥処理を行い、粉粒体を得るものである。
【0011】
以下粉粒体製造装置Dを構成する諸部材について詳しく説明する。
まず前記基台Bについて説明すると、このものは一例として図1、2に示すように、鋼材を適宜組み合わせて構成したものであり、この基台Bに対して四本の支持柱Cが立設される。
また前記弾性体2は、バネ、防振ゴム等の弾性部材によって形成された柱状部材である。
【0012】
次に前記筐体1について説明すると、このものは内部空間を乾燥室10とした横置き円筒状部材であり、筐体1の側周に固定脚11を四脚形成し、また円筒両開口部に側板12を開閉自在に具える。
またこれら筐体1及び側板12の内側にはジャケット内板13を設け、更に熱媒ノズル14を取り付けるとともに、この熱媒ノズル14に温水等の熱媒循環器7を接続する。
【0013】
更に前記筐体1の側周部には投入口15を形成し、その逆側に位置する側板12に排出口16を形成し、更に筐体1の略中央に排気口17を形成するとともに、この排気口17にフレキシブルパイプF等を用いて真空発生装置6を接続する。また前記筐体1の適宜の個所に測定口18を形成するものであり、この測定口18には温度センサ、湿度センサ等が取り付けられ、図示しない適宜の制御盤に接続される。
【0014】
なお前記排出口16は蓋体16aによって開閉されるものであり、この蓋体16aはダクト16bに具えたハンドル16cの操作によって排出口16に接近離反するものである。もちろん蓋体16aの開閉を、適宜モータを用いる等して人手を要さないように構成することもできる。
また筐体1の下部にはドレン口19が形成される。なおこの実施の形態では、乾燥室10を、排出口16側を水平線に対して1〜2°下方に傾斜させて基台B上に設置した。
【0015】
そして前記投入口15に対して円筒状の凍結部5を具えるものであり、この凍結部5は乾燥室10に対して連通状態とするとともに、上端を閉鎖状態とするものである。
また前記凍結部5内の上部には、一例としてスプレーノズル等を適用したノズル51を具えるものであり、この実施の形態では前記ノズル51を噴出口が下向きになるように設置した。なおノズル51には管路が接続されるものであり、この管路に対して原料タンク52、ポンプ53及びバルブ54を具えることにより、原料タンク52に投入された液体原料Lを凍結部5内に噴霧できるように構成した。更にノズル51の材質としてフッ素樹脂を用いた場合や、ノズル51にフッ素樹脂をコーティングした場合には、液体原料Lの付着防止に効果的である。
【0016】
また図1に示すように前記筐体1の外周下部にマウントブラケット3を固着するとともに、このマウントブラケット3に対して偏芯錘を具えたバイブレータユニット4を固定する。
【0017】
本発明の粉粒体製造装置Dは一例として上述のようにして構成されるものであって、以下この粉粒体製造装置Dの作動態様と併せて本発明の粉粒体の製造方法について説明する。
(1)装置のセッティング
まず粉粒体製造装置Dの運転操作に先立ち、側板12によって筐体1の両開口部を閉鎖するとともに、排出口16を蓋体16aによって閉鎖する。また乾燥室10内に投入される凍結物Gの形状、粒径、重量等に応じて、バイブレータユニット4の回転数を決定し、振動周期、振幅の設定を行う。この実施の形態では一例として回転数を1800rpmとした。
更に真空発生装置6によって乾燥室10内の圧力を設定し、熱媒循環器7によって循環する熱媒の温度及び流量を設定する。
【0018】
(2)液状原料の自己凍結
そして前記真空発生装置6を起動して乾燥室10内及び凍結部5内を真空状態とし、また熱媒循環器7を起動して熱媒の循環供給を開始し、更にバイブレータユニット4を起動して筐体1を振動させる。
続いてポンプ53を起動するとともに、バルブ54の開度を適宜調節して、液体原料Lをノズル51から凍結部5内に噴霧するものであり、霧状となった液体原料Lは、凍結部5内を落下する過程において自己凍結するとともに直径0.3〜1.5mm程度の細粒状の凍結物Gとなる。その後、この凍結物Gは投入口15を通じて乾燥室10内に落ち込むこととなる。
なおこのとき、前記ノズル51には、バイブレーションユニット4の振動が伝達されているものであり、このため万が一ノズル51に凍結物Gが付着した場合であっても、このものが成長する前にノズル51から離脱するため、液体原料Lの噴霧状態を悪化させてしまうことを回避することができる。
【0019】
(3)乾燥動作
次いで乾燥室10内に至った凍結物Gは、バイブレーションユニット4からの振動力を受けて流動しながら乾燥室10の長手方向広域に分布し、この状態で熱媒からの熱を間接的に受けて昇華乾燥するものである。
またこの際に生じた水蒸気は排気口17から真空発生装置6に至り、適宜外部に放出される。
【0020】
(4)排出動作
やがて凍結物Gの水分値が所望のものとなったことを、温度センサ等によって検知した時点で、あるいは予め設定しておいた処理時間が経過した時点で、排出口16を開放し、所望の乾燥状態となった粉粒体とした外部に排出する。
【0021】
(5)洗浄作業
なお、異なる種類の液体原料Lを続けて処理する場合には、粉粒体製造装置Dの洗浄が必要となるが、本発明の粉粒体製造装置Dは、乾燥室10及び凍結部5の内部構造がシンプルであり、水洗洗浄を行うことが可能であるため、異なる種類の液体原料Lを続けて処理することが可能である。
【0022】
上述したように本発明の粉粒体製造装置D及びこの装置を用いた粉粒体の製造方法によれば、乾燥室10内には液体原料Lが細粒状に凍結した凍結物Gのみが供給され、埃等が混入しないため、また焦げ付き等が発生しないため、コンタミネーションが発生しない。
更に粉粒体製造装置Dへの液体原料Lの投入及び得られた粉粒体の排出を人手によらずに行うことができるため、粉粒体の製造コストを抑えることができる。
【0023】
【実施の形態2】
続いて図3に示すような構成とした粉粒体製造装置D及びこの装置を用いた粉粒体の製造方法について説明する。
図3に示した粉粒体製造装置Dは、前記筐体1における投入口15に対して凍結部を連通状態に具えるものであり、この凍結部5と筐体1との間をフレキシブルチューブ55によって連結して構成したものである。なおその他の構成は、上記実施の形態1で示した粉粒体製造装置Dと共通するため説明を省略する。
またこの実施の形態で示す粉粒体製造装置Dは、後述するように粘性の高い液体原料Lを用いる場合に好適な構成となっている。
【0024】
本発明の粉粒体製造装置Dは一例として上述のようにして構成されるものであって、以下この粉粒体製造装置Dの作動態様と併せて本発明の粉粒体の製造方法について説明する。なおこの実施の形態においても、前記基本の実施の形態1と同様に「(1)装置のセッティング」、「(2)液体原料の自己凍結」、「(3)乾燥動作」、「(4)排出動作」及び「(5)洗浄作業」の順で粉粒体の製造を行うものであり、内容が重複する部分についても念のため説明を行う。
【0025】
(1)装置のセッティング
まず粉粒体製造装置Dの運転操作に先立ち、側板12によって筐体1の両開口部を閉鎖するとともに、排出口16を蓋体16aによって閉鎖する。また乾燥室10内に投入される凍結物Gの形状、粒径、重量等に応じて、バイブレータユニット4の回転数を決定し、振動周期、振幅の設定を行う。この実施の形態では一例として回転数を1800rpmとした。
更に真空発生装置6によって乾燥室10内の圧力を設定し、熱媒循環器7によって循環する熱媒の温度及び流量を設定する。
【0026】
(2)液状原料の自己凍結
そして前記真空発生装置6を起動して乾燥室10内及び凍結部5内を真空状態とし、また熱媒循環器7を起動して熱媒の循環供給を開始し、更にバイブレータユニット4を起動して筐体1を振動させる。
続いてポンプ53を起動するとともに、バルブ54の開度を適宜調節して、液体原料Lをノズル51から凍結部5内に噴霧するものであり、霧状となった液体原料Lは、凍結部5内を落下する過程において自己凍結するとともに直径0.3〜1.5mm程度の細粒状の凍結物Gとなる。その後、この凍結物Gは投入口15を通じて乾燥室10内に落ち込むこととなる。
なおこのとき、前記凍結部5に伝わるバイブレーションユニット4の振動が緩和されるものであり、ノズル51からの液体原料L(特に粘性の高いもの)の噴霧及び液体原料Lの自己凍結に、筐体1の振動が影響を及ぼしてしまうことを回避することができる。
【0027】
(3)乾燥動作
次いで乾燥室10内に至った凍結物Gは、バイブレーションユニット4からの振動力を受けて流動しながら乾燥室10の長手方向広域に分布し、この状態で熱媒からの熱を間接的に受けて昇華乾燥するものである。
またこの際に生じた水蒸気は排気口17から真空発生装置6に至り、適宜外部に放出される。
【0028】
(4)排出動作
やがて凍結物Gの水分値が所望のものとなったことを、温度センサ等によって検知した時点で、あるいは予め設定しておいた処理時間が経過した時点で、排出口16を開放し、所望の乾燥状態となった粉粒体とした外部に排出する。
【0029】
(5)洗浄作業
なお、異なる種類の液体原料Lを続けて処理する場合には、粉粒体製造装置Dの洗浄が必要となるが、本発明の粉粒体製造装置Dは、乾燥室10及び凍結部5の内部構造がシンプルであり、水洗洗浄を行うことが可能であるため、異なる種類の液体原料Lを続けて処理することが可能である。
【0030】
上述したように本発明の粉粒体製造装置D及びこの装置を用いた粉粒体の製造方法によれば、乾燥室10内には液体原料Lが細粒状に凍結した凍結物Gのみが供給され、埃等が混入しないため、また焦げ付き等が発生しないため、コンタミネーションが発生しない。更に粉粒体製造装置Dへの液体原料Lの投入及び得られた粉粒体の排出を人手によらずに行うことができるため、粉粒体の製造コストを抑えることができる。
【0031】
【本発明に関連した参考例】
続いて図4に示すような本発明に関連した構成とした粉粒体製造装置D及びこの装置を用いた粉粒体の製造方法について説明する。
図4に示した粉粒体製造装置Dは、前記円筒状の凍結部5及び投入口15を具えることなく、ノズル51を乾燥室10内における排出口16付近の上部に配するように構成したものであり、このノズル51を、噴出口が排気口17側に指向するように横向きになるように設置した。
なおその他の構成は、上記実施の形態1または実施の形態2で示した粉粒体製造装置Dと共通するため説明を省略する。
またこの参考例で示す粉粒体製造装置Dは、コストパフォーマンスを重視する場合に好適な構成となっている。
【0032】
この参考例で示す粉粒体製造装置Dは一例として上述のようにして構成されるものであって、以下この粉粒体製造装置Dの作動態様と併せて粉粒体の製造方法について説明する。なおこの参考例においても、前記基本の実施の形態1、2と同様に「(1)装置のセッティング」、「(2)液体原料の自己凍結」、「(3)乾燥動作」、「(4)排出動作」及び「(5)洗浄作業」の順で粉粒体の製造を行うものであり、内容が重複する部分についても念のため説明を行う。
【0033】
(1)装置のセッティング
まず粉粒体製造装置Dの運転操作に先立ち、側板12によって筐体1の両開口部を閉鎖するとともに、排出口16を蓋体16aによって閉鎖する。また乾燥室10内に投入される凍結物Gの形状、粒径、重量等に応じて、バイブレータユニット4の回転数を決定し、振動周期、振幅の設定を行う。この参考例では一例として回転数を1800rpmとした。
更に真空発生装置6によって乾燥室10内の圧力を設定し、熱媒循環器7によって循環する熱媒の温度及び流量を設定する。
【0034】
(2)液状原料の自己凍結
そして前記真空発生装置6を起動して乾燥室10内を真空状態とし、また熱媒循環器7を起動して熱媒の循環供給を開始し、更にバイブレータユニット4を起動して筐体1を振動させる。
続いてポンプ53を起動するとともに、バルブ54の開度を適宜調節して、液体原料Lをノズル51から乾燥室10内に噴霧するものであり、霧状となった液体原料Lは、乾燥室10内を長手方向に進行しながら落下する過程において自己凍結するとともに直径0.3〜1.5mm程度の細粒状の凍結物Gとなる。
なおこのとき、前記ノズル51には、バイブレーションユニット4の振動が伝達されているものであり、このため万が一ノズル51に凍結物Gが付着した場合であっても、このものが成長する前にノズル51から離脱するため、液体原料Lの噴霧状態を悪化させてしまうことを回避することができる。
【0035】
(3)乾燥動作
次いで凍結物Gは、バイブレーションユニット4からの振動力を受けて流動しながら乾燥室10の長手方向広域に分布し、この状態で熱媒からの熱を間接的に受けて昇華乾燥するものである。
またこの際に生じた水蒸気は排気口17から真空発生装置6に至り、適宜外部に放出される。
【0036】
(4)排出動作
やがて凍結物Gの水分値が所望のものとなったことを、温度センサ等によって検知した時点で、あるいは予め設定しておいた処理時間が経過した時点で、排出口16を開放し、所望の乾燥状態となった粉粒体とした外部に排出する。
【0037】
(5)洗浄作業
なお、異なる種類の液体原料Lを続けて処理する場合には、粉粒体製造装置Dの洗浄が必要となるが、本発明の粉粒体製造装置Dは、乾燥室10の内部構造がシンプルであり、水洗洗浄を行うことが可能であるため、異なる種類の液体原料Lを続けて処理することが可能である。
【0038】
上述したように本発明に関連した構成とした粉粒体製造装置D及びこの装置を用いた粉粒体の製造方法によれば、乾燥室10内には液体原料Lが細粒状に凍結した凍結物Gのみが供給され、埃等が混入しないため、また焦げ付き等が発生しないため、コンタミネーションが発生しない。更に粉粒体製造装置Dへの液体原料Lの投入及び得られた粉粒体の排出を人手によらずに行うことができるため、粉粒体の製造コストを抑えることができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、コンタミネーションの発生を防止するとともに熱により品質劣化を引き起こしてしまうことがなく、更に乾燥・造粒処理に要するコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の粉粒体製造装置を一部破断して示す側面図である。
【図2】 同上正面図及び背面図である。
【図3】 形態を異ならせた本発明の粉粒体製造装置を一部破断して示す側面図である。
【図4】 本発明に関連した構成の粉粒体製造装置を一部破断して示す側面図である。
【図5】 既存の粉粒体製造装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
D 粉粒体製造装置
1 筐体
10 乾燥室
11 固定脚
12 側板
13 ジャケット内板
14 熱媒ノズル
15 投入口
16 排出口
16a 蓋体
16b ダクト
16c ハンドル
17 排気口
18 測定口
19 ドレン口
2 弾性体
3 マウントブラケット
4 バイブレータユニット
5 凍結部
51 ノズル
52 原料タンク
53 ポンプ
54 バルブ
55 フレキシブルチューブ
6 真空発生装置
7 熱媒循環器
B 基台
C 支持柱
F フレキシブルパイプ
G 凍結物
L 液体原料
Claims (3)
- 基台上に弾性体を介在させた状態で内部空間を乾燥室とした筐体を具え、この筐体をバイブレータユニットによって振動させることにより、前記乾燥室内に投入された被処理物を流動させながら、この被処理物の乾燥を行う装置において、前記乾燥室は加熱媒体を用いた間接加熱式のものであり、またこの乾燥室には内部を減圧するための真空ポンプを連通し、前記筐体における投入口に対して凍結部を連通状態に具え、この凍結部の上部に液体原料を噴霧するためのノズルを具えたことを特徴とする液体原料を用いる粉粒体製造装置。
- 前記凍結部と筐体との間をフレキシブルチューブによって連結したことを特徴とする請求項1記載の液体原料を用いる粉粒体製造装置。
- 前記請求項1または2記載の粉粒体製造装置を用い、凍結部内及び乾燥室内を真空状態とするとともに、ノズルから凍結部内に液体原料を噴霧することにより、この凍結部内において液体原料を細粒状に自己凍結させ、その後この凍結物を乾燥室内に導いて振動を与えながら昇華乾燥することを特徴とする粉粒体の製造方法。
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