JP3865618B2 - ラードの分別方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラードの分別方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ラードはトリグリセリドの2位にパルミチン酸含量が高く、消化吸収性の高い油脂であることが知られている。特に、ラードの主成分である2−パルミトイル、1、3−ジオレイン(OPO)は、ヒト乳脂肪にも多く含まれる成分であり、消化吸収機能が未熟な乳児にも容易に吸収される。このため、OPOの含量を高めたラード軟質油は育児用粉乳等に広く応用されている(特開平7−107904号公報を参照)。
【0003】
OPOは、天然にはラード等の限られた油脂にしか含まれていない。このため、OPOの製造方法としては、特開平7−143846号公報に記載のように、ラードから結晶部を除去し、ラードに含まれるOPOの含量を高めた液状部を得るのが一般的である。しかし、ここで得られた液状部は、SUU及びOPO以外の低融点成分であるUSU、UUU(S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸)で表せるトリグリセリドを50〜70重量%も含むため、融点の低い油脂であり、マーガリン等の固形脂として使用できるものではなかった。
【0004】
また、OPOの製造方法としては、特開平5−76283号公報及び特開2000−8074号公報に記載のように、2位にパルミチン酸を含有するトリ飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を1、3位選択性の酵素を使用してOPOを製造する方法や、特許第3120906号公報に記載のランダムエステル交換したパーム系油脂と不飽和脂肪酸とを1、3位選択性の酵素を使用してOPOを製造する方法が知られている。しかし、これの方法でOPOを製造すると、複雑な工程を経るため非常にコストが高いものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、安価なコストで、ラードに含まれるOPOを効率的に結晶部の方に分別でき、且つOPOを高含量含有しているにもかかわらず、マーガリン等の固形脂として使用できる結晶部が得られる、ラードの分別方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
POP、StOP、StOSt(P:パルミチン酸、St:ステアリン酸、O:オレイン酸)等の対称型トリグリセリドに対して、逆対称であるOPOで表されるトリグリセリドは、POP、StOP、StOSt等の対称型トリグリセリドと1:1のモル比で分子間化合物を形成する。この分子間化合物は、熱エネルギー的に不安定なα型結晶から、準安定型のβプライム型結晶を経由することなく、最安定型のβ型結晶に直接転移する性質を有している。また、OPOで表されるトリグリセリドは、最安定型の結晶型で融点が約16℃と液状であるが、対称型トリグリセリドと分子間化合物を形成すると融点が30℃以上になり結晶化する。
このような、OPOで表されるトリグリセリドの性質に注目し、本発明者らは、ラード軟質油にSOS(S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、O:オレイン酸)で表されるトリグリセリドを混合し、OPOとSOSの分子間化合物を形成させ、結晶化することによってラードに含まれるOPOを効率的に分画した結晶部が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、ラード軟質油に、SOS(S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、O:オレイン酸)で表されるトリグリセリドを主成分とする油脂を混合し、結晶部と液状部とに分別することを特徴とするラードの分別方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のラードの分別方法について詳細に説明する。
【0009】
本発明のラードの分別方法で使用するラード軟質油とは、ラードから3飽和トリグリセリドや2飽和1不飽和トリグリセリドを除去したものであり、好ましくは、SSOで表されるトリグリセリド(以下SSOと略記する)の含量が15重量%以下のラード軟質油のことである。ここで、SSOとは、炭素数16以上の飽和脂肪酸が1、2位に、オレイン酸が3位に結合したトリグリセリド、あるいは炭素数16以上の飽和脂肪酸が2、3位に、オレイン酸が1位に結合したトリグリセリドを表す。
【0010】
本発明で使用するラード軟質油のSSOの含量は、さらに好ましくは13重量%以下、一層好ましくは10重量%以下、最も好ましくは8重量%以下である。SSOの含量が15重量%を超えるラード軟質油を使用すると、SOSで表されるトリグリセリド(以下SOSと略記する)がラード軟質油中のSSOと分子間化合物を形成し、結晶化するため、OPOとSOSの分子間化合物の形成が阻害されやすい。そのため、SSOの含量が15重量%を超えるラード軟質油に、SOSを主成分とする油脂を混合し、分別した場合、結晶部にOPOを濃縮することができにくくなる。
【0011】
本発明で使用するラード軟質油としては、ラードをアセトン、n−ヘキサン等を用いて溶剤分別を行った分別軟質油やラードを無溶剤で分別を行った分別軟質油の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0012】
本発明で使用するSOSを主成分とする油脂としては、シア脂、サル脂、マンゴー脂、コクム脂、デュパ脂、カカオ脂、イリッペ脂等、あるいはこれらの油脂の分別硬部油、さらにパーム中融点画分、パーム油、パームオレイン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。これらの油脂の中でも、StOSt、StOP又はPOPで表されるトリグリセリドの中から選ばれた1種又は2種以上を20重量%以上含有する油脂を用いるのが好ましく、特に、パーム中融点画分、パーム油、パームオレイン等の、POPで表されるトリグリセリド(以下POPと略記する)を主成分とする油脂を用いるのが好ましい。なお上記記載のStはステアリン酸、Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸を表している。
【0013】
上記のSOSを主成分とする油脂とは、好ましくはSOSを20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、最も好ましくは40重量%以上含有する油脂のことを指す。
【0014】
本発明において、SOSを主成分とする油脂の添加量は、ラード軟質油とSOSを主成分とする油脂を混合した混合油のトリグリセリド組成が、好ましくは0.5≦(SOS含量−SSO含量)/OPO含量、さらに好ましくは、0.6≦(SOS含量−SSO含量)/OPO含量、一層に好ましくは0.7≦(SOS含量−SSO含量)/OPO含量、最も好ましくは0.8≦(SOS含量−SSO含量)/OPO含量となる量である。(SOS含量−SSO含量)/OPO含量の比が0.5未満になると、OPOの結晶化おこりにくくなり、ラードからOPOを効率的に分画することができにくいためである。
【0015】
本発明のラードの分別方法では、上記のラード軟質油と上記のSOSを主成分とする油脂を混合し、混合油が完全に溶解混合した後、冷却結晶化し、結晶部と液状部とに分別する。分別方法は、アセトン、n−ヘキサン等を用いた溶剤分別や乾式分別のどちらの方法でも構わない。
【0016】
具体的には、溶剤を用いる場合には、好ましくはアセトン及び/又はn−ヘキサンを用いて、重量比率で混合油:溶剤=1:1〜5、分別温度はアセトンを用いるときは10〜−30℃、n−ヘキサンを用いるときは0〜−40℃で分別するのがよく、さらに好ましくは混合油:溶剤=1:3〜5、分別温度はアセトンを用いるときは5〜−20℃、n−ヘキサンを用いるときは−5〜−30℃で分別するのがよい。冷却速度は、3〜30℃/hrで冷却し、分別温度に達したら、その温度で10分間以上保持した後、濾別し、結晶部と液状部とに分別し、それぞれ溶剤を除去するのが好ましい。
【0017】
溶剤を用いない場合には、分別温度を30〜0℃、好ましくは25〜5℃で分別するのがよい。冷却速度は、1〜10℃/hrで冷却し、分別温度に達したら、その温度で2時間以上保持した後、固液分離するのが好ましい。
本発明においては、溶剤を用いないで分別するよりは、溶剤を用いて分別するのがよい。
【0018】
本発明の分別方法により得られる結晶部は、融点が27〜39℃であるものが好ましく、融点が29〜37℃であるものがさらに好ましい。
上記結晶部は、OPOとSOSからなる分子間化合物を含有する。上記結晶部が該分子間化合物を含有していることは、上記結晶部を70℃で完全に溶解した後、0℃で30分間保持し、さらに5℃で30分間保持して得られた結晶をX線回折で結晶型を測定し、該結晶型が2鎖長構造であり且つ安定なβ型を示すことにより、確認することができる。
【0019】
上記結晶部のOPOとSOSからなる分子間化合物の含量は、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上、最も好ましくは40重量%以上である。ここで言う、OPOとSOSからなる分子間化合物の含量は、OPO含量>SOS含量の場合;2×SOS含量、OPO含量≦SOS含量の場合;2×OPO含量として算出する。
【0020】
上記結晶部のOPOの含量は、好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは18重量%以上、最も好ましくは20重量%以上である。
上記結晶部のSOSの含量は、好ましくは15〜65重量%、さらに好ましくは20〜60重量%、最も好ましくは25〜55重量%である。
上記結晶部のSSOの含量は、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、最も好ましくは25重量%以下である。
【0021】
また、上記結晶部のOPOの分画率は、好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上、最も好ましくは70〜95%である。
上記のOPOの分画率とは、以下の式で求めた値である。
〔(A×B)/C〕×100
但し、Aは結晶部のOPOの含量であり、Bは結晶部の収率、Cはラード軟質油とSOSを主成分とする油脂との混合油のOPOの含量である。
【0022】
本発明の分別方法により得られる結晶部は、固形脂として、食パン、菓子パン、デニッシュ、パイ、シュー、ドーナツ、ケーキ、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のベーカリー製品の練り込み用、折込用、フィリング用、サンド用、トッピング用、スプレッド用、スプレー用、コーティング用、フライ用の油脂組成物として使用することができる。
【0023】
本発明の分別方法により得られる液状部は、SUUで表されるトリグリセリドとUUUで表されるトリグリセリドの合計量(S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸)が好ましくは75重量%以上であり、さらに好ましくは80重量%以上である。この液状部はそのまま、あるいは該液状部を硬化した硬化油を、食パン、菓子パン、デニッシュ、パイ、シュー、ドーナツ、ケーキ、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のベーカリー製品の練り込み用、折込用、フィリング用、サンド用、トッピング用、スプレッド用、スプレー用、コーティング用、フライ用の油脂組成物として使用することができる。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等制限されるものではない。また、実施例と比較例に示す%及び部はそれぞれ重量%及び重量部を表す。また、S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸、O:オレイン酸、P:パルミチン酸を示す。
【0025】
(ラード軟質油Iの調製)
ラード1部とアセトン3部を50℃で完全に溶解した後、これを20℃/hrの冷却速度で冷却し、2℃で結晶化を行った。2℃に達した後、該温度で1時間保持し、これを濾別し、液状部を得、さらにこの液状部のアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行い、ラード軟質油Iを得た。
なお原料のラードのSOS含量は4%、SSO含量は25%、OPO含量は21%であり、得られたラード軟質油IのSSO含量は8%、OPO含量は28%であった。
【0026】
(ラード軟質油IIの調製)
ラード1部とアセトン3部を50℃で完全に溶解した後、これを20℃/hrの冷却速度で冷却し、−5℃で結晶化を行った。−5℃に達した後、該温度で1時間保持し、これを濾別し、液状部を得、さらにこの液状部のアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行い、ラード軟質油IIを得た。
なお原料のラードのSOS含量は4%、SSO含量は25%、OPO含量は21%であり、得られたラード軟質油IIのSSO含量は2%、OPO含量は29%であった。
【0027】
(実施例1)
ラード軟質油Iとパーム中融点画分(SOS含量は64%、POP含量は52%、SSO含量は17%)とを56:44の重量比で混合した。この混合油のOPO含量は16%、SOS含量は28%、SSO含量は12%であった。また、(SOS−SSO)/OPOは1であった。
この混合油300g及びアセトン1200gを混合し、50℃で完全に溶解した後、20℃/hrの冷却速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達したらその温度で1 時間保持した後、結晶部と液状部とに濾別し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行った。
得られた結晶部の収率は63%であり、結晶部の融点は34℃、結晶部のトリグリセリド組成(OPO、SOS及びSSOの含量)、OPOの分画率及びOPOとSOSからなる分子間化合物の含量を〔表1〕に示した。
得られた液状部の収率は37%であり、SUUで表されるトリグリセリドとUUUで表されるトリグリセリドの合計量は89%であった。
【0028】
(実施例2)
ラード軟質油Iとパーム中融点画分(SOS含量は64%、POP含量は52%、SSO含量は17%)とを65:35の重量比で混合した。この混合油のOPO含量は18%、SOS含量は22%、SSO含量は11%であった。また、(SOS−SSO)/OPOは0.61であった。
この混合油300g及びアセトン1200gを混合し、50℃で完全に溶解した後、20℃/hrの冷却速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達したらその温度で1 時間保持した後、結晶部と液状部とに濾別し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行った。
得られた結晶部の収率は54%であり、結晶部の融点は35℃、結晶部のトリグリセリド組成(OPO、SOS及びSSOの含量)、OPOの分画率及びOPOとSOSからなる分子間化合物の含量を〔表1〕に示した。
【0029】
(実施例3)
ラード軟質油IIとパーム中融点画分(SOS含量は64%、POP含量は52%、SSO含量は17%)とを60:40の重量比で混合した。この混合油のOPO含量は17%、SOS含量は26%、SSO含量は8%であった。また、(SOS−SSO)/OPOは1 .05であった。
この混合油300g及びアセトン1200gを混合し、50℃で完全に溶解した後、20℃/hrの冷却速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達したらその温度で1 時間保持した後、結晶部と液状部とに濾別し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行った。
得られた結晶部の収率は56%であり、結晶部の融点は34℃、結晶部のトリグリセリド組成(OPO、SOS及びSSOの含量)、OPOの分画率及びOPOとSOSからなる分子間化合物の含量を〔表1〕に示した。
【0030】
(実施例4)
ラード軟質油IIとパーム中融点画分(SOS含量は64%、POP含量は52%、SSO含量は17%)とを50:50の重量比で混合した。この混合油のOPO含量は15%、SOS含量は32%、SSO含量は10%であった。また、(SOS−SSO)/OPOは1 .46であった。
この混合油を300g及びアセトン1200gを混合し、50℃で完全に溶解した後、20℃/hrの冷却速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達したらその温度で1 時間保持した後、結晶部と液状部とに濾別し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行った。
得られた結晶部の収率は62%であり、結晶部の融点は33℃、結晶部のトリグリセリド組成(OPO、SOS及びSSOの含量)、OPOの分画率及びOPOとSOSからなる分子間化合物の含量を〔表1〕に示した。
【0031】
(比較例1)
ラード(SOS含量は4%、POP含量は52%、SSO含量は25%)とパーム中融点画分(SOS含量は64%、POP含量は17%)とを50:50の重量比で混合した。この混合油のOPO含量は11%、SOS含量は34%、SSO含量は21%であった。また、(SOS−SSO)/OPOは1 .18であった。
この混合油300g及びアセトン1200gを混合し、50℃で完全に溶解した後、20℃/hrの冷却速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達したらその温度で1 時間保持した後、結晶部と液状部とに濾別し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行った。
得られた結晶部の収率は68%であり、結晶部の融点は37℃、結晶部のトリグリセリド組成(OPO、SOS及びSSOの含量)、OPOの分画率及びOPOとSOSからなる分子間化合物の含量を〔表2〕に示した。
【0032】
(比較例2)
ラード(SOS含量は4%、POP含量は52%、SSO含量は25%)とパーム中融点画分(SOS含量は64%、POP含量は17%)とを90:10の重量比で混合した。この混合油のOPO含量は19%、SOS含量は10%、SSO含量は24%であった。また、(SOS−SSO)/OPOは−0.74であった。
この混合油300g及びアセトン1200gを混合し、50℃で完全に溶解した後、20℃/hrの冷却速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達したらその温度で1 時間保持した後、結晶部と液状部とに濾別し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行った。
得られた結晶部の収率は44%であり、結晶部の融点は40℃、結晶部のトリグリセリド組成(OPO、SOS及びSSOの含量)、OPOの分画率及びOPOとSOSからなる分子間化合物の含量を〔表2〕に示した。
【0033】
【表1】
Figure 0003865618
【0034】
【表2】
Figure 0003865618
【0035】
(結晶型の測定)
上記の実施例1〜4並びに比較例1及び2の結晶部を70℃で完全に溶解した後、0℃で30分間保持し、さらに5℃で30分間保持し、結晶を析出させた。得られた結晶の結晶型をX線回折で確認したところ、実施例1〜4の結晶部の場合は、2鎖長のβ型の結晶であり、比較例1及び2の結晶部の場合は、2鎖長のβプライム型の結晶であった。
【0036】
(実施例5)
ロールイン用マーガリンの油相として実施例3で得た結晶部45%と大豆油50%と大豆極度硬化油5%の配合油を用い、ロールイン用マーガリンを製造した。ロールイン用マーガリンの配合及び製造は、以下のような条件で行った。
上記の油相83.2%と水14.8%、食塩1%、レシチン0.5%、モノステアリン0.5%を乳化、急冷可塑化によりマーガリンを作成した。なお、冷却条件は−30〜−40℃/分とした。
得られたロールイン用マーガリンを用い、下記のような配合と製法によりパイを製造した。
上記のロールイン用マーガリンを生地にロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼成品10個の平均値)は12.4倍と良好であった。
〔パイの配合及び製法〕
パイは下記に示す配合及び製法により製造した。
(配合)
強 力 粉 70 重量部
薄 力 粉 30 重量部
食 塩 1.3重量部
砂 糖 2 重量部
脱脂粉乳 3 重量部
練り込み油脂 5 重量部
水 54 重量部
ロールイン用マーガリン 80 重量部
(製法)
ロールイン用マーガリン以外の原料を、縦型ミキサーにて低速及び中速でミキシングした後、冷蔵庫内で生地をリタードした。この生地にロールイン用マーガリンをのせ、常法によりロールイン(4つ折り4回)し、成型(縦100mm×横100mm×厚さ3mm)、焼成した。
【0037】
(実施例6)
ロールイン用マーガリンの油相として実施例2で得た結晶部50%と大豆油45%と大豆極度硬化油5%の配合油を用いた以外は、実施例5と同様にして、ロールイン用マーガリンを作成し、該ロールイン用マーガリンを用いてパイを製造した。
得られたロールイン用マーガリンを生地にロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼成品10個の平均値)は13.3倍と良好であった。
【0038】
(実施例7)
ロールイン用マーガリンの油相として実施例1で得た液状部30%、大豆油20%、大豆硬化油(融点36℃)40%、パーム硬化油(融点45℃)5%及び大豆極度硬化油5%の配合油を用いた以外は、実施例5と同様にして、ロールイン用マーガリンを作成し、該ロールイン用マーガリンを用いてパイを製造した。得られたロールイン用マーガリンを生地にロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは非常に良好であった。
【0039】
(比較例3)
ロールイン用マーガリンの油相として大豆油50%、大豆硬化油(融点36℃)40%、パーム硬化油(融点45℃)5%及び大豆極度硬化油5%の配合油を用いた以外は、実施例5と同様にして、ロールイン用マーガリンを作成し、該ロールイン用マーガリンを用いてパイを製造した。
得られたロールイン用マーガリンを生地にロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは非常に良好であった。
また、実施例7と比較例3とを比較すると、実施例7のロールイン用マーガリンは、比較例3のロールイン用マーガリンにおける油相中の液状油の一部を本発明で得られた液状部に置換したものであるが、両者に作業性及び口どけ性に差は見られなかった。つまり、本発明で得られた液状部は、液状油の一部代替として使用できる。
【0040】
(実施例8)
実施例1で得た液状部を用いて、融点37℃の硬化油を調製した。ロールイン用マーガリンの油相としてこの硬化油45%、大豆油45%、パーム硬化油(融点45℃)5%及び大豆極度硬化油5%の配合油を用いた以外は、実施例5と同様にして、ロールイン用マーガリンを作成し、該ロールイン用マーガリンを用いてパイを製造した。
得られたロールイン用マーガリンを生地にロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは非常に良好であった。
【0041】
【発明の効果】
本発明のラードの分別方法によれば、安価なコストで、ラードに含まれるOPOを効率的に結晶部の方に分別でき、且つOPOを高含量含有しているにもかかわらず、マーガリン等の固形脂として使用できる結晶部が得られる。

Claims (7)

  1. ラード軟質油に、SOS(Sは炭素数16以上の飽和脂肪酸を示し、Oはオレイン酸を示す)で表されるトリグリセリドを主成分とする油脂を混合し、結晶部と液状部とに分別することを特徴とするラードの分別方法。
  2. 上記SOSで表されるトリグリセリドを主成分とする油脂が、StOSt、StOP又はPOP(Stはステアリン酸を示し、Pはパルミチン酸を示し、Oはオレイン酸を示す)で表されるトリグリセリドの中から選ばれた1種又は2種以上を20重量%以上含有する油脂である請求項1記載のラードの分別方法。
  3. 上記SOSで表されるトリグリセリドを主成分とする油脂が、パーム中融点画分、パームオレイン又はパーム油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂である請求項1記載のラードの分別方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のラードの分別方法により得られた結晶部。
  5. 請求項4記載の結晶部を用いた食品。
  6. 請求項1〜3の何れかに記載のラードの分別方法により得られた液状部。
  7. 請求項6記載の液状部を用いた食品。
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