JP2003261894A - 油脂の分別方法 - Google Patents

油脂の分別方法

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JP2003261894A
JP2003261894A JP2002064873A JP2002064873A JP2003261894A JP 2003261894 A JP2003261894 A JP 2003261894A JP 2002064873 A JP2002064873 A JP 2002064873A JP 2002064873 A JP2002064873 A JP 2002064873A JP 2003261894 A JP2003261894 A JP 2003261894A
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Toshiyuki Hirokawa
敏幸 廣川
Shoshi Maruzeni
詔司 丸銭
Toru Nezu
亨 根津
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Asahi Denka Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非対称型のトリグリセリド(SSO)を多量
に含有する油脂の分別を効率的に行い、さらに得られた
結晶部と液状部の両者をマーガリン等に利用できる油脂
の分別方法を提供すること。 【解決手段】 70℃以上で完全に溶解し、0℃で30
分間保持し、その後5℃で7日間保持したときの結晶型
が2鎖長構造のβ型の結晶型である油脂を結晶部と液状
部に分別することを特徴とする油脂の分別方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油脂の分別方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】非対称型のトリグリセリド(SSO、
S:炭素数16〜18の飽和脂肪酸、O:オレイン酸)
を多量に含有する油脂としては、ラード系油脂や極度硬
化油と液状油のランダムエステル交換油等が挙げられ、
このようなSSOを多量に含有する油脂の分別は、結晶
化の際に生じる結晶の形状がいびつであるため、濾過性
が非常に悪いことが知られている。
【0003】また、ラード系油脂の場合、ラードに含ま
れるOPO(2−パルミトイル−1,3−ジオレインで
表されるトリグリセリド)を濃縮するために、その分別
について多くの研究が行われている。特開平7−143
846号公報では、ラードを単に溶剤分別する方法が提
案されているが、この方法に従ってラードの分別を行う
と、いびつな結晶が析出し、濾過が困難となる。
【0004】つまり、ラード系油脂のようにSSOを多
量に含有する油脂を濾過性良く分別できる方法は見つか
っていない。
【0005】さらに、従来よりラード系油脂の分別は、
それに含まれるOPOを濃縮することが目的であり、得
られたラード軟質油は、消化吸収機能が未熟な乳児用粉
乳等に用いられているが(特開平7−107904号公
報)、他の加工油脂の分野に用いられる例はほとんど知
られていない。さらに、ラード硬質油については、その
有用な利用方法はほとんど知られていない。
【0006】また、2位に炭素数16〜18の飽和脂肪
酸が、1,3位にオレイン酸が結合した逆対称型のトリ
グリセリド(OSO)は、天然にはラード等の限られた
油脂にしか含まれていない。このため、OSOの製造方
法としては、上記の特開平7−143846号公報に記
載のように、ラードから結晶部を除去し、ラードに含ま
れるOSOの含量を高めるのが一般的である。しかし、
ラードにはOSO以外にも低融点成分が多く含まれてい
るため、単に分別しただけでは効率的にOSOを濃縮す
ることができない。
【0007】別のOSOの製造方法としては、特開平5
−76283号公報、特開2000−8074号公報記
載のように、2位に炭素数16〜18の飽和脂肪酸を含
有するトリ飽和トリグリセリドと不飽和脂肪酸を1,3
位選択性の酵素を使用してOSOを製造する方法や日本
特許第3120906号公報の記載のランダムエステル
交換したパーム系油脂と不飽和脂肪酸を1,3位選択性
の酵素を使用してOSOを製造する方法が知られてい
る。しかし、これの方法でOSOを製造すると複雑な工
程を経るため非常にコストが高いものとなる。
【0008】つまり、安価なコストで、OSOを含有す
る油脂を製造する方法は見つかっていない。
【0009】一方、極度硬化油と液状油のランダムエス
テル交換油の分別は、その中融点画部を得ることが目的
であり、得られた中融点画部をカカオ代用脂やマーガリ
ンのハードストックとして用いられているが、その硬部
油や軟質油はエステル交換の原料油に再利用するしか用
途がないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、非対称型のトリグリセリド(SSO)を多量に含有
する油脂の分別を効率的に行い、さらに得られた結晶部
と液状部の両者をマーガリン等に利用できる油脂の分別
方法を提供することにある。
【0011】また、本発明の目的は、安価なコストで、
逆対称型のトリグリセリド(OSO)を含有する画分を
製造することのできる油脂の分別方法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】ラード系油脂や極度硬化
油と液状油のランダムエステル交換油の分別が困難なの
は、それに含有されるSSOが原因と考えられている。
このSSOの結晶型はβプライム型であり、この結晶は
いびつな結晶として析出するために濾過性が非常に悪く
なると推定される。つまり、濾過性を改善するために
は、結晶の形状を濾過されやすい丸い形状にすればよい
と考えられる。
【0013】ラード系油脂や極度硬化油と液状油のラン
ダムエステル交換油等に含まれるSSOは、主にPP
O、StPO、PStO、StStO等の1,2位に炭
素数16〜18の飽和脂肪酸、3位にオレイン酸もしく
は2,3位に炭素数16〜18の飽和脂肪酸、1位にオ
レイン酸が結合したものである(O:オレイン酸、P:
パルミチン酸、St:ステアリン酸を示す)。
【0014】これらのSSOは、対称型のトリグリセリ
ド(SOS、S:炭素数16〜18の飽和脂肪酸、O:
オレイン酸)と1:1のモル比で分子間化合物を形成す
ることが知られている(例えばPPOはPOPと、St
OStはStStOと)。これらの分子間化合物、SU
2、UUUを含有する油脂を結晶化すると、α型から準
安定型のβプライム型を経由することなく直接β型に転
移する。ここで得られた結晶の形状は濾過されやすい丸
い形状である。
【0015】本発明者らは、SSOとSOSが分子間化
合物を形成する性質に注目し、ラード系油脂や極度硬化
油と液状油のランダムエステル交換油等のSSOを多量
に含有する油脂に、SOSを含有する油脂を配合する
と、分子間化合物を形成し、さらにこれらの配合油に
は、SU2やUUUも含有されていることから、濾過性
を著しく改善し、効率的に分別を行うことができること
を見出し、本発明の油脂の分別方法を完成するに至っ
た。
【0016】さらに、この分別方法で得られた結晶部及
び液状部は、硬化等を行わずそのままマーガリン、ショ
ートニング等に適した物性を有することも見出した。
【0017】一方、ラード系油脂に含まれるOSOは、
POP、POSt、StOSt等のような対称型のトリ
グリセリド(SOS)と1:1のモル比で分子間化合物
を形成することが知られている。これらの分子間化合物
を結晶化すると、α型から準安定型のβプライム型を経
由することなく直接β型に転移する。ここで得られた結
晶の形状は濾過されやすい丸い形状である。
【0018】また、OSOは常温でほぼ液状(例えばO
POは最安定型の結晶型で融点が約16℃、OStOで
は約25℃)であるが、SOSとで形成される分子間化
合物は最安定結晶の融点が30℃以上となる。
【0019】しかし、SOSとOSOの分子間化合物の
形成は、SSOが存在するとSOSとSSOの分子間化
合物が形成され、SOSとOSOの分子間化合物の形成
が阻害される。
【0020】このようなことから、本発明者らは、SS
O含量が15重量%以下のラード軟質油や極度硬化油と
液状油のランダムエステル交換油の軟質油等の油脂にS
OSを混合し、OSOとSOSの分子間化合物を形成さ
せ、結晶化することによってラードやエステル交換油に
含まれるOSOを効率的に分画することを見出し本発明
を完成するに至った。
【0021】つまり、本発明の油脂の分別方法は、非対
称型のトリグリセリド(SSO)と対称型のトリグリセ
リド(SOS)の分子間化合物、SU2及びUUUを含
有する油脂や、逆対称型トリグリセリド(OSO)と対
称型のトリグリセリド(SOS)の分子間化合物を含有
する油脂を結晶化すると、濾過されやすい丸い形状の結
晶となることに注目することによって完成するに至っ
た。
【0022】このような非対称型のトリグリセリド(S
SO)と対称型のトリグリセリド(SOS)の分子間化
合物、SU2及びUUUを含有する油脂や、逆対称型ト
リグリセリド(OSO)と対称型のトリグリセリド(S
OS)の分子間化合物を含有する油脂は、油脂を70℃
で完全に溶解し、0℃で30分間保持し、その後5℃で
7日間保持したとき、結晶型が2鎖長でかつβ型となる
ことで確認できる。
【0023】従って、本発明は70℃以上で完全に溶解
し、0℃で30分間保持し、その後5℃で7日間保持し
たときの結晶型が2鎖長構造のβ型の結晶型である油脂
を、結晶部と液状部に分別することを特徴とする油脂の
分別方法を提供するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の油脂の分別方法に
ついて詳細に説明する。本発明は、上述のように、70
℃以上で完全に溶解し、0℃で30分間保持し、その後
5℃で7日間保持したときの結晶型が2鎖長構造でかつ
β型を示す油脂を、結晶部と液状部に分別することを特
徴とする油脂の分別方法である。
【0025】本発明で使用する油脂は、70℃以上で完
全に溶解した後、0℃で30分間保持し、その後5℃で
7日間、好ましくは4日間、さらに好ましくは1日間、
最も好ましくは30分間保持したときの結晶型が2鎖長
構造でかつβ型の油脂となるものである。70℃以上で
完全に溶解した後、0℃で30分間保持し、その後5℃
で7日間保持したときの結晶型が2鎖長構造でかつβ型
でないと、結晶がいびつな形状となり濾過性が悪くな
り、さらに分別効率も劣るためである。
【0026】上記の油脂結晶が2鎖長構造のβ型である
油脂結晶となることを確認する方法としては、X線回折
で以下のように短面間隔と長面間隔を測定する。
【0027】具体的には、短面間隔は2θ:17〜26
度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの
面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2〜4.3オングストロームの面間
隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク
強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が
1.3以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
一方、長面間隔は2θ:0〜8度の範囲で測定し、40
〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した
場合に、2鎖長構造をとっていると判断する。
【0028】本発明において、上記の70℃以上で完全
に溶解した後、0℃で30分間保持し、その後5℃で7
日間保持したときの結晶型が2鎖長構造でかつβ型を示
す油脂とは、第1としてSSOで表されるトリグリセリ
ド(以下、SSO)とSOSで表されるトリグリセリド
(以下、SOS)の分子間化合物、SU2で表されるト
リグリセリド(以下、SU2)及びUUUで表されるト
リグリセリド(以下、UUU)を含有する油脂が挙げら
れる(以下、第1の油脂という、またSは炭素数16〜
18の飽和脂肪酸、Oはオレイン酸、Uは不飽和脂肪酸
を示す)。
【0029】上記の第1の油脂は、SSOとSOSの分
子間化合物を好ましくは15〜90重量%、さらに好ま
しくは17〜85重量%、最も好ましくは20〜80重
量%含有する。油脂中のSSOとSOSの分子間化合物
の含有量が15重量%未満であると結晶量が少なく、実
用的な分別方法となりにくく、油脂中のSSOとSOS
の分子間化合物の含有量が90重量%を超えると分別を
する必要がない。なお、上記のSSOとSOSの分子間
化合物の含有量は、SSO>SOSの場合;2×SO
S、SSO≦SOSの場合;2×SSOとして算出す
る。
【0030】上記の第1の油脂は、SU2とUUUを含
有し、SU2+UUUの合計の含有量が、好ましくは1
0〜85重量%、さらに好ましくは15〜80重量%、
最も好ましくは20〜75重量%である。油脂中のSU
2+UUUの合計の含有量が10重量%未満であると液
状成分が少なく、濾過性の良好な結晶が得られにくく、
油脂中のSU2+UUUの合計の含有量が85重量%を
超えると結晶量が少なくなり、実用的な分別方法でなく
なりやすい。
【0031】上記の第1の油脂のSOSの含有量は、好
ましくは8〜45重量%、さらに好ましくは9〜42重
量%、最も好ましくは10〜40重量%である。
【0032】上記の第1の油脂のSSOの含有量は、好
ましくは8〜45重量%、さらに好ましくは9〜42重
量%、最も好ましくは10〜40重量%である。
【0033】上記の第1の油脂は、好ましくは(SSO
の含有量)/(SSOの含有量+SOSの含有量)≦
0.60、さらに好ましくは、(SSOの含有量)/
(SSOの含有量+SOSの含有量)≦0.57、一層
に好ましくは(SSOの含有量)/(SSOの含有量+
SOSの含有量)≦0.55、最も好ましくは(SSO
の含有量)/(SSOの含有量+SOSの含有量)≦
0.53となるものである。(SSOの含有量)/(S
SOの含有量+SOSの含有量)>0.60となると、
析出する結晶がβプライム型の結晶となり、濾過性が悪
くなりやすいためである。
【0034】上記の第1の油脂のOSOの含有量は、好
ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは7〜28重
量%、最も好ましくは10〜25重量%である。
【0035】さらに上記の第1の油脂としては、具体的
には油脂(1)と油脂(2)の混合油脂、油脂(3)と
油脂(2)の混合油脂が挙げられる。
【0036】上記油脂(1)とは、SSOを含有する油
脂で、SSOの含有量/(SSOの含有量+SOS含有
量)が、好ましくは0.6を超える油脂、さらに好まし
くは0.65を超える油脂、最も好ましくは0.7を超
える油脂である。
【0037】上記油脂(1)としては、ラード、ラード
軟質油、ラード硬質油の中から選ばれた1種又は2種以
上の油脂である。
【0038】上記油脂(2)とは、SOSを含有する油
脂である。油脂(2)のSOSの含有量は、好ましくは
20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、最
も好ましくは40重量%以上である。
【0039】上記油脂(2)としては、シア脂、サル
脂、マンゴー脂、コクム脂、デュパ脂、カカオ脂、イリ
ッペ脂等、あるいはその分別硬部油、さらにパーム中融
点画分、パーム油、パームオレイン、パームステリン等
が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上
を用いることができる。特に、パーム中融点画分、パー
ム油、パームオレイン、パームステアリン等のPOPで
表されるトリグリセリド(以下、POPという)を主成
分とする油脂を用いるのが好ましい。なお、上記記載の
Pはパルミチン酸を表している。
【0040】上記油脂(3)とは、SSOを含有する油
脂で、SSOの含有量/(SSOの含有量+SOS含有
量)が、好ましくは0.55、さらに好ましくは0.
6、最も好ましくは0.65を超える油脂である。
【0041】また上記油脂(3)とは、脂肪酸組成が
(炭素数18のモノ不飽和脂肪酸)/(炭素数18の不
飽和脂肪酸)が重量比率で、好ましくは0.6以上、さ
らに好ましくは0.65以上、最も好ましくは0.7以
上である油脂である。
【0042】上記油脂(3)としては、炭素数16〜1
8の飽和脂肪酸を20重量%以上含有する油脂及び/又
は融点が30℃以下の油脂を化学触媒やリパーゼを用い
て、ランダムエステル交換した油脂が挙げられる。
【0043】上記の炭素数16〜18の飽和脂肪酸を2
0重量%以上含有する油脂は、炭素数16〜18の飽和
脂肪酸を好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは
25重量%以上、最も好ましくは30重量%以上含有す
るものがよい。
【0044】上記の炭素数16〜18の飽和脂肪酸を2
0重量%以上含有する油脂の具体例としては、以下の油
脂(a)、油脂(b)、油脂(c)が挙げられ、これら
の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができ
る。
【0045】上記油脂(a)としては、大豆油、なたね
油、米油、綿実油、ヒマワリ油、紅花油、コーン油等の
液状油の極度硬化油が挙げられる。
【0046】上記油脂(b)としては、シア脂、サル
脂、マンゴー脂、コクム脂、デュパ脂、カカオ脂、イリ
ッペ脂等、あるいはこれらの分別硬質油、これらの分別
軟質油、これらの極度硬化油が挙げられる。
【0047】上記油脂(c)としては、パーム油、パー
ムオレイン、パームステアリン、パーム中融点画部等、
あるいはこれらの極度硬化油が挙げられる。
【0048】上記の融点が30℃以下の油脂は、(炭素
数18のモノ不飽和脂肪酸)/(炭素数18の不飽和脂
肪酸)が重量比率で、好ましくは0.6以上、さらに好
ましくは0.65以上、最も好ましくは0.7以上であ
る油脂である。(炭素数18のモノ不飽和脂肪酸)/
(炭素数18の不飽和脂肪酸)が重量比率で0.6未満
であると、ランダムエステル交換油中のSSLnあるい
はSSLの含量が高くなり、SOSを含有する油脂を配
合しても、析出する結晶をβ型にコントロールすること
ができず、濾過性が悪くなりやすい。上記記載のLnは
リノール酸、Lはリノレン酸を示している。
【0049】上記の融点が30℃以下の油脂としては、
ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイック紅花油、ハ
イオレイックナタネ油、ハイオレイック大豆油、パーム
軟質油、シア軟質油、マンゴー軟質油、サル軟質油、デ
ュパ軟質油、イリッペ軟質油、カカオ軟質油等が挙げら
れる。
【0050】このような第1の油脂を、結晶部と液状部
に分別する。分別方法は、溶剤分別や乾式分別のどちら
の方法でも構わない。
【0051】具体的には、溶剤を用いる場合には、好ま
しくはアセトン及び/又はn−ヘキサンを用いて、重量
比率で好ましくは油脂:溶剤=1:1〜5となるように
混合する。そしてこの混合物を好ましくは40〜60℃
で完全に溶解する。
【0052】次に分別を行う。分別温度はアセトンを用
いるときは10〜−30℃、n−ヘキサンを用いるとき
は0〜−40℃で分別するのがよく、さらに好ましくは
混合油:溶剤=1:3〜5、分別温度はアセトンを用い
るときは5〜−20℃、n−ヘキサンを用いるときは−
5〜−30℃で分別するのがよい。冷却速度は、3〜3
0℃/hrで冷却し、分別温度に達したら、その温度で
10分間以上保持した後、濾別し、結晶部と液状部とに
分別し、それぞれ溶剤を除去するのが好ましい。
【0053】溶剤を用いない乾式分別の場合は、分別温
度を好ましくは35〜0℃、さらに好ましくは30〜5
℃で分別するのがよい。冷却速度は、1〜10℃/hr
で冷却し、分別温度に達したら、その温度で2時間以上
保持した後、固液分離するのが好ましい。この場合、攪
拌しながら結晶化させても、静置下で結晶化させても構
わない。
【0054】結晶部と液状部は、脱溶剤した後、結晶部
や液状部に対して吸着剤0.1〜8.0重量%添加し、
漂白温度75〜105℃、漂白時間15〜60分間、減
圧下で漂白を行い、脱臭温度180〜265℃、脱臭時
間20〜90分間で脱臭を行う。上記の漂白時の吸着剤
は、白土の他、シリカゲル、活性炭等を使用しても構わ
ない。
【0055】このようにして得られた結晶部は、液状油
と混合した混合油を70℃で完全に溶解した後、0℃で
30分間保持し、その後5℃で好ましくは7日間、さら
に好ましくは4日間、一層好ましくは1日間、最も好ま
しくは30分間保持すると、その結晶型は、2鎖長構造
でかつβ型を示す。
【0056】上記の結晶部と液状油の混合割合は、結晶
部は80重量%以下、液状油は20重量%以上である。
また上記の液状油とは、20℃で固体脂のない油脂のこ
とであり、例えば大豆油、なたね油、米油、コーン油、
ヒマワリ油、紅花油、ハイオレイックなたね油、ハイオ
レイックヒマワリ油、ハイオレイック紅花油等が挙げら
れる。
【0057】上記結晶部のSSOとSOSの分子間化合
物の含有量は、好ましくは30〜90重量%、さらに好
ましくは32〜85重量%、最も好ましくは34〜80
重量%である。なお、上記のSSOとSOSの分子間化
合物の含有量は、SSO>SOSの場合;2×SOS、
SSO≦SOSの場合;2×SSOとして算出する。
【0058】そして、上記結晶部は、使用する原料油脂
によって異なるものの、SOSの含有量/(SSOの含
有量+SOSの含有量)が、好ましくは0.4以上、さ
らに好ましくは0.44以上となる。
【0059】上記結晶部のSOSの含有量は、好ましく
は15〜55重量%、さらに好ましくは16〜50重量
%、最も好ましくは17〜45重量%である。
【0060】上記結晶部のSSOの含有量は、好ましく
は15〜55重量%、さらに好ましくは16〜50重量
%、最も好ましくは17〜45重量%である。
【0061】上記結晶部のOSOの含有量は、好ましく
は20重量%以下、さらに好ましくは18重量%以下、
最も好ましくは15重量%以下である。
【0062】また、上記結晶部は、硬化等の加工するこ
となく固形脂として、食パン、菓子パン、デニッシュ、
パイ、シュー、ドーナツ、ケーキ、ハードビスケット、
ワッフル、スコーン等のベーカリー製品の練り込み用、
折込用、フィリング用、サンド用、トッピング用、スプ
レッド用、スプレー用、コーティング用、フライ用の油
脂組成物の中融点油脂もしくは高融点油脂として利用す
ることができる。
【0063】上記の分別方法で得られた液状部は、OS
Oを含有する。OSOの含有量は、使用する原料油脂で
異なるが、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは
8重量%以上、最も好ましくは10重量%以上となる。
【0064】また、上記の液状部のOSOの分画率は、
好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは63重量
%以上、最も好ましくは65重量%以上である。
【0065】上記のOSOの分画率とは、以下の式で求
めた値である。 〔(A×B)/C〕×100 但し、Aは液状部のOSOの含有量であり、Bは液状部
の収率、Cは原料油脂中のOSOの含有量である。
【0066】上記液状部のSOSの含有量は、好ましく
は30重量%以下、さらに好ましくは27重量%以下、
最も好ましくは25重量%以下である。
【0067】上記液状部のSSOの含有量は、好ましく
は30重量%以下、さらに好ましくは27重量%以下、
最も好ましくは25重量%以下である。
【0068】また上記の分別方法で得られた液状部は、
SOSを含有する油脂を配合して、SOS/OSOが重
量比で0.75〜1.25の範囲に入るようにすると、
硬化等を行わずにマーガリン用やショートニング用の固
形脂として、食パン、菓子パン、デニッシュ、パイ、シ
ュー、ドーナツ、ケーキ、ハードビスケット、ワッフ
ル、スコーン等のベーカリー製品の練り込み用、折込
用、フィリング用、サンド用、トッピング用、スプレッ
ド用、スプレー用、コーティング用、フライ用の油脂組
成物の中融点油脂として利用することができる。
【0069】本発明において、70℃以上で完全に溶解
した後0℃で30分間保持し、その後5℃で7日間保持
したときの結晶型が2鎖長構造でかつβ型を示す油脂と
は、第2としてOSOで表されるトリグリセリド(以
下、OSO)とSOSの分子間化合物を含有し、OSO
とSOSの分子間化合物を好ましくは10〜60重量
%、さらに好ましくは15〜55重量%、最も好ましく
は20〜50重量%含有する油脂である(以下、第2の
油脂という、またSは炭素数16〜18の飽和脂肪酸、
Oはオレイン酸を示す)。なお、上記のOSOとSOS
の分子間化合物の含有量は、OSO>SOSの場合;2
×SOS、OSO≦SOSの場合;2×OSOとして算
出する。
【0070】上記の第2の油脂のSOSの含有量は、好
ましくは10〜45重量%、さらに好ましくは12〜4
3重量%、最も好ましくは14〜41重量%である。
【0071】上記の第2の油脂のSSOの含有量は、好
ましくは15重量%以下、さらに好ましくは14以下重
量%、最も好ましくは12重量%以下である。
【0072】上記の第2の油脂のOSOの含有量は、好
ましくは5〜45重量%、さらに好ましくは6〜43重
量%、最も好ましくは7〜41重量%である。
【0073】上記の第2の油脂は、好ましくは0.5≦
(SOSの含有量−SSOの含有量)/OSOの含有
量、さらに好ましくは、0.6≦(SOSの含有量−S
SOの含有量)/OSOの含有量、一層好ましくは0.
7≦((SOSの含有量−SSOの含有量)/OSOの
含有量、最も好ましくは0.8≦(SOSの含有量−S
SOの含有量)/OSOの含有量となるものである。
(SOSの含有量−SSOの含有量)/OSOの含有量
が0.5未満になると、OSOの結晶化が起こりにくく
なり、OSOを効率的に分画することができにくくなる
ためである。
【0074】上記の第2の油脂としては、具体的には油
脂(4)と上記油脂(2)の混合油脂、油脂(5)と上
記油脂(2)の混合油脂が挙げられる。
【0075】上記油脂(4)とは、ラードからトリ飽和
脂肪トリグリセリドや2飽和1不飽和トリグリセリドを
除去したもので、具体的には、好ましくはSSOの含有
量が15重量%以下、さらに好ましくは13重量%以
下、一層好ましくは10重量%以下、最も好ましくは8
重量%以下のラード軟質油のことである。
【0076】SSOの含有量が15重量%を超えるラー
ド軟質油を使用すると、SOSがラード軟質油中のSS
Oと分子間化合物を形成し、結晶化するため、OSOと
SOSの分子間化合物の形成が阻害され、OSOの結晶
化が起こりにくくなるためである。
【0077】上記のラード軟質油とは、ラードをアセト
ン、n−ヘキサン等の溶剤分別を行った分別軟質油、あ
るいはラードを無溶剤で分別した分別軟質油のどちらで
も構わない。
【0078】上記油脂(5)としては、炭素数16〜1
8の飽和脂肪酸を20重量%以上含有する油脂及び/又
は融点が30℃以下の油脂を化学触媒又はリパーゼによ
りランダムエステル交換し、さらに分別した軟質油であ
り、得られた軟質油のSSOの含有量が、好ましくは1
5重量%以下、さらに好ましくは13重量%以下、一層
好ましくは10重量%以下、最も好ましくは8重量%以
下である。
【0079】炭素数16〜18の飽和脂肪酸を20重量
%以上含有する油脂及び/又は融点が30℃以下の油脂
をランダムエステル交換し、さらに分別した軟質油のS
SOの含量が15重量%を超えると、SSOとSOSが
分子間化合物を形成しやすく、OSOとSOSの分子間
化合物の形成が阻害されやすいためである。
【0080】上記の炭素数16〜18の飽和脂肪酸を2
0重量%以上含有する油脂は、炭素数16〜18の飽和
脂肪酸を、好ましくは20〜60重量%、さらに好まし
くは25〜55重量%、最も好ましくは30〜50重量
%含有するものがよい。
【0081】上記の炭素数16〜18の飽和脂肪酸を2
0重量%以上含有する油脂の具体例としては、上記で説
明した油脂(a)、油脂(b)及び油脂(c)が挙げら
れ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いる
ことができる。
【0082】上記の融点が30℃以下の油脂とは、上記
で説明したものと同様のものである。
【0083】このようなSOSとOSOの分子間化合物
を主成分とする油脂を、結晶部と液状部に分別する。分
別方法は、溶剤分別や乾式分別のどちらの方法でも構わ
ない。
【0084】具体的には、溶剤を用いる場合には、好ま
しくはアセトン及び/又はn−ヘキサンを用いて、重量
比率で好ましくは油脂:溶剤=1:1〜5となるように
混合する。そしてこの混合物を好ましくは40〜60℃
で完全に溶解する。
【0085】次に分別を行う。分別温度はアセトンを用
いるときは10〜−30℃、n−ヘキサンを用いるとき
は0〜−40℃で分別するのがよく、さらに好ましくは
混合油:溶剤=1:3〜5、分別温度はアセトンを用い
るときは5〜−20℃、n−ヘキサンを用いるときは−
5〜−30℃で分別するのがよい。冷却速度は、3〜3
0℃/hrで冷却し、分別温度に達したら、その温度で
10分間以上保持した後、濾別し、結晶部と液状部とに
分別し、それぞれ溶剤を除去するのが好ましい。
【0086】溶剤を用いない乾式分別の場合には、分別
温度を好ましくは35〜0℃、さらに好ましくは30〜
5℃で分別するのがよい。冷却速度は、1〜10℃/h
rで冷却し、分別温度に達したら、その温度で2時間以
上保持した後、固液分離するのが好ましい。この場合、
攪拌しながら結晶化させても、静置下で結晶化させても
構わない。
【0087】結晶部と液状部は、脱溶剤した後、結晶部
や液状部に対して吸着剤0.1〜8.0重量%添加し、
漂白温度75〜105℃、漂白時間15〜60分間、減
圧下で漂白を行い、脱臭温度180〜265℃、脱臭時
間20〜90分間で脱臭を行う。また、漂白時の吸着剤
は、白土の他、シリカゲル、活性炭等を使用しても構わ
ない。
【0088】このようにして得られた結晶部は、OSO
とSOSの分子間化合物を含有し、OSOとSOSの分
子間化合物の含有量が、好ましくは20重量%以上、さ
らに好ましくは30重量%以上、最も好ましくは40〜
85重量%である。
【0089】また、このようにして得られた結晶部は、
OSOとSOSの分子間化合物を含有するため、結晶部
を70℃で完全に溶解した後、0℃で30分間保持し、
その後5℃で好ましくは7日間、さらに好ましくは4日
間、一層好ましくは1日間、最も好ましくは30分間保
持したときの結晶型は、2鎖長構造でかつβ型を示す。
【0090】なお、上記のOSOとSOSの分子間化合
物の含有量は、OSO>SOSの場合;2×SOS、O
SO≦SOSの場合;2×OSOとして算出する。
【0091】上記の結晶部のOSOの含有量は、好まし
くは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以
上、一層好ましくは18重量%以上、最も好ましくは2
0重量%以上である。
【0092】上記の結晶部のSOSの含有量は、好まし
くは15〜65重量%、さらに好ましくは20〜60重
量%、最も好ましくは25〜55重量%である。
【0093】上記の結晶部のSSOの含有量は、好まし
くは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以
下、最も好ましくは25重量%以下である。
【0094】また、上記の結晶部のOSOの分画率は、
好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは65重量
%以上、最も好ましくは70重量%以上である。
【0095】上記のOSOの分画率とは、以下の式で求
めた値である。 〔(A×B)/C〕×100 但し、Aは結晶部のOSOの含有量であり、Bは結晶部
の収率、Cは原料油脂中のOSOの含有量である。
【0096】このような結晶部は、固形脂として、食パ
ン、菓子パン、デニッシュ、パイ、シュー、ドーナツ、
ケーキ、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のベ
ーカリー製品の練り込み用、折込用、フィリング用、サ
ンド用、トッピング用、スプレッド用、スプレー用、コ
ーティング用、フライ用の油脂組成物として使用するこ
とができる。
【0097】上記の分別方法により得られた液状部は、
SU2で表されるトリグリセリドとUUUで表されるト
リグリセリドの合計量(S:炭素数16〜18の飽和脂
肪酸、U:不飽和脂肪酸)が、好ましくは75重量%以
上であり、さらに好ましくは80重量%以上である。こ
の液状部はそのまま、あるいは液状部をさらに硬化した
硬化油を、食パン、菓子パン、デニッシュ、パイ、シュ
ー、ドーナツ、ケーキ、ハードビスケット、ワッフル、
スコーン等のベーカリー製品の練り込み用、折込用、フ
ィリング用、サンド用、トッピング用、スプレッド用、
スプレー用、コーティング用、フライ用の油脂組成物と
して使用することができる。
【0098】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例により何等制限される
ものではない。また、実施例と比較例に示す%は重量%
を表す。そして、S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、
U:不飽和脂肪酸、O:オレイン酸を示す。
【0099】表1には、実施例及び比較例で使用したラ
ード、ラード軟質油、油脂A−1についてX線回折結
果、油脂のトリグリセリド組成を示した。
【0100】<油脂のX線回析方法>実施例及び比較例
において油脂のX線回析は次のようにして行った。油脂
を70℃以上で完全に溶解した後、0℃で30分間保持
し、その後5℃で7日間又は30分間保持したときの結
晶型をX線回折した。
【0101】表1において、5℃、7日間とは、油脂を
70℃以上で完全に溶解した後、0℃で30分間保持
し、その後5℃で7日間保持したときの結晶型をX線回
折したときの結果を示したものであり、5℃30分間と
は、油脂を70℃以上で完全に溶解した後、0℃で30
分間保持し、その後5℃で30分間保持したときの結晶
型をX線回折したときの結果を示したものである。
【0102】なお、X線回折において、短面間隔は2
θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オン
グストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有する
ピーク強度(ピーク1)と、4.2〜4.3オングスト
ロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク
強度(ピーク2)をとり、ピーク1/ピーク2の比が
1.3以上となった場合にβ型結晶であると判断した。
【0103】またX線回折において、長面間隔は2θ:
0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストローム
に相当する回折ピークを示した場合に、2鎖長構造をと
っていると判断した。
【0104】
【表1】
【0105】〔実施例1〕 (油脂(1)と油脂(2)の例)ラードとパーム油(S
OSの含有量27%、POPの含有量22%、SSOの
含有量8%、OSOの含有量2%)を50:50の重量
比で配合した。この原料油500gを1リットルのセパ
ラブルフラスコに入れ、70℃で完全に溶解した。これ
を5℃/hrの冷却速度で20℃まで冷却し、その温度
で2hr保持した。2hr後、これを減圧濾過で、結晶
部と液状部に分画した。分画した結晶部、液状部はそれ
ぞれ、漂白、脱臭を行った。
【0106】上記の分別時の濾過性、収率、原料油と結
晶部と液状部のトリグリセリド組成、原料油及び結晶部
70%と大豆油30%の混合油のX線回折結果及びSS
OとSOSの分子間化合物の含有量、液状部のOSOの
分画率を表2に示した。なお、濾過性の評価は、◎:非
常に良好、○:良好、△:若干悪い、×:悪いとして評
価した。
【0107】〔実施例2〕 (油脂(1)と油脂(2)の例)ラードと実施例1で使
用したパーム油を40:60の重量比で配合した。この
原料油500gを1リットルのセパラブルフラスコに入
れ、70℃で完全に溶解した。これを5℃/hrの冷却
速度で20℃まで冷却し、その温度で2hr保持した。
2hr後、これを減圧濾過で、結晶部と液状部に分画し
た。分画した結晶部、液状部はそれぞれ、漂白、脱臭を
行った。
【0108】上記の分別時の濾過性、収率、原料油と結
晶部と液状部のトリグリセリド組成、原料油及び結晶部
70%と大豆油30%の混合油のX線回折結果及びSS
OとSOSの分子間化合物の含有量、液状部のOSOの
分画率を表2に示した。
【0109】〔実施例3〕 (油脂(1)と油脂(2)の例)ラードとパームオレイ
ン(SOSの含有量28%、POPの含有量23%、S
SOの含有量8%、OSOの含有量2%)を60:40
の重量比で配合した。この原料油500gを1リットル
のセパラブルフラスコに入れ、70℃で完全に溶解し
た。これを5℃/hrの冷却速度で20℃まで冷却し、
その温度で2hr保持した。2hr後、これを減圧濾過
で、結晶部と液状部に分画した。分画した結晶部、液状
部はそれぞれ、漂白、脱臭を行った。
【0110】上記の分別時の濾過性、収率、原料油と結
晶部と液状部のトリグリセリド組成、原料油及び結晶部
70%と大豆油30%の混合油のX線回折結果及びSS
OとSOSの分子間化合物の含有量、液状部のOSOの
分画率を表2に示した。
【0111】〔実施例4〕 (油脂(1)と油脂(2)の例)ラードとパーム中融点
画部(SOSの含有量64%、POPの含有量52%、
SSOの含有量17%)を60:40の重量比で配合し
た。この原料油500gを1リットルのセパラブルフラ
スコに入れ、70℃で完全に溶解した。これを5℃/h
rの冷却速度で20℃まで冷却し、その温度で2hr保
持した。2hr後、これを減圧濾過で、結晶部と液状部
に分画した。分画した結晶部、液状部はそれぞれ、漂
白、脱臭を行った。
【0112】上記の分別時の濾過性、収率、原料油と結
晶部と液状部のトリグリセリド組成、原料油及び結晶部
70%と大豆油30%の混合油のX線回折結果及びSS
OとSOSの分子間化合物の含有量、液状部のOSOの
分画率を表2に示した。
【0113】
【表2】
【0114】〔比較例1〕原料油としてラード500g
を1リットルのセパラブルフラスコに入れ、70℃で完
全に溶解した。これを5℃/hrの冷却速度で20℃ま
で冷却し、その温度で2hr保持した。2hr後、これ
を減圧濾過で、結晶部と液状部に分画した。分画した結
晶部、液状部はそれぞれ、漂白、脱臭を行った。
【0115】上記の分別時の濾過性、収率、原料油と結
晶部と液状部のトリグリセリド組成、原料油及び結晶部
70%と大豆油30%の混合油のX線回折結果及びSS
OとSOSの分子間化合物の含有量、液状部のOSOの
分画率を表3に示した。
【0116】〔比較例2〕ラードとパーム中融点画部
(SOSの含有量64%、POPの含有量52%、SS
Oの含有量17%)を90:10の重量比で配合した。
この原料油500gを1リットルのセパラブルフラスコ
に入れ、70℃で完全に溶解した。これを5℃/hrの
冷却速度で20℃まで冷却し、その温度で2hr保持し
た。2hr後、これを減圧濾過で、結晶部と液状部に分
画した。分画した結晶部、液状部はそれぞれ、漂白、脱
臭を行った。
【0117】上記の分別時の濾過性、収率、原料油と結
晶部と液状部のトリグリセリド組成、原料油及び結晶部
70%と大豆油30%の混合油のX線回折結果及びSS
OとSOSの分子間化合物の含有量、液状部のOSOの
分画率を表3に示した。
【0118】
【表3】
【0119】実施例1〜4の結果から、70℃で完全に
溶解した後、0℃で30分間保持し、その後5℃で7日
間保持したときの結晶型が2鎖長構造でかつβ型を示す
油脂は、濾過性が良好であった。
【0120】一方、比較例1及び2の結果から、70℃
で完全に溶解した後、0℃で30分間保持し、その後5
℃で7日間保持したときの結晶型が2鎖長構造であって
も完全にβ型を示さない油脂は、濾過性が悪く濾過時間
が非常に長くなった。
【0121】〔実施例5〕ロールイン用油脂組成物の油
相として実施例1で得た結晶部60%と大豆油35%と
パーム硬化油(融点45℃)5%の配合油を用い、ロー
ルイン用マーガリンを製造した。ロールイン用マーガリ
ンの配合及び製造は、以下のような条件で行った。
【0122】上記の油相83.2%と水14.8%、食
塩1%、レシチン0.5%、モノステアリン0.5%を
乳化、急冷可塑化によりマーガリンを作成した。なお、
冷却条件は−30〜−40℃/分とした。
【0123】得られたロールイン用マーガリンは、下記
のような配合と製法によりパイを製造した。
【0124】上記のロールイン用マーガリンを生地にロ
ールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは非
常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率(焼
成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼成品
10個の平均値)は13.0倍と良好であった。
【0125】<パイの配合及び製法>パイは下記に示す
配合及び製法により製造した。
【0126】(配合) 強 力 粉 70 重量部 薄 力 粉 30 重量部 食 塩 1.3重量部 砂 糖 2 重量部 脱脂粉乳 3 重量部 練り込み油脂 5 重量部 水 54 重量部 ロールイン用マーガリン 80 重量部
【0127】(製法)ロールイン用油脂組成物以外の原
料を、縦型ミキサーにて低速及び中速でミキシングした
後、冷蔵庫内で生地をリタードした。この生地にロール
イン用油脂組成物をのせ、常法によりロールイン(4つ
折り4回)し、成型(縦100mm×横100mm×厚
さ3mm)、焼成した。
【0128】〔実施例6〕ロールイン用油脂組成物の油
相として実施例2で得た結晶部60%と大豆油35%と
パーム硬化油(融点45℃)5%の配合油を用いた以外
は、実施例5と同様の製法にてロールイン用マーガリン
を作成した。
【0129】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は12.6倍と良好であった。
【0130】〔比較例3〕ロールイン用油脂組成物の油
相として比較例1で得た結晶部60%と大豆油35%と
パーム硬化油(融点45℃)5%の配合油を用いた以外
は、実施例5と同様の製法にてロールイン用マーガリン
を作成した。
【0131】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は6.3倍と悪いものであった。
【0132】〔比較例4〕ロールイン用油脂組成物の油
相として比較例2で得た結晶部60%と大豆油35%と
パーム硬化油(融点45℃)5%の配合油を用いた以外
は、実施例5と同様の製法にてロールイン用マーガリン
を作成した。
【0133】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。しかし、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は6.7倍と悪いものであった。
【0134】実施例5及び6の結果から、本発明の油脂
の分別方法で得た結晶部をロールインマーガリン用油脂
に用いると、作業性、口溶け、パイの浮きすべての面で
良好なものが得られる。
【0135】一方、比較例3及び4のように、70℃で
完全に溶解した後、0℃で30分間保持し、その後5℃
で7日間保持したときの結晶型が2鎖長構造でβ型を示
さない油脂を分画して得た結晶部をロールインマーガリ
ン用油脂に用いると、作業性、口溶けが良好なものの、
パイの浮きが悪くなった。
【0136】〔実施例7〕ロールイン用油脂組成物の油
相として実施例1で得た液状部70%、大豆油20%、
パーム硬化油(融点45℃)5%、パーム極度硬化油5
%の配合油を用いた以外は、実施例5と同様の製法にて
ロールイン用マーガリンを作成した。
【0137】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は11.8倍と良好であった。
【0138】〔実施例8〕ロールイン用油脂組成物の油
相として実施例3で得た液状部60%、サル脂ステアリ
ン3%、大豆油30%、パーム硬化油(融点45℃)2
%、パーム極度硬化油5%の配合油を用いた以外は、実
施例5と同様の製法にてロールイン用マーガリンを作成
した。
【0139】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は11.0倍と良好であった。
【0140】なお、サル脂ステアリンは、実施例3で得
た液状部と配合してSOS/OSOが0.98となるよ
うに配合した。
【0141】(配合油のSOSの含有量の計算方法) 実施例3の液状部のSOSの含有量×0.6+サル脂ス
テアリンのSOSの含有量×0.03=11×0.6+
95×0.03=9.45 サル脂ステアリンのSOS含有量は95%。
【0142】(配合油のOSOの含有量の計算方法) 実施例3の液状油のOSOの含有量×0.6=16×
0.6=9.6
【0143】実施例7及び8の結果から、本発明の油脂
の分別方法で得た液状部を単独あるいはSOSを含有す
る油脂と配合してロールインマーガリン用油脂に用いる
と、作業性、口溶け、パイの浮きすべての面で良好なも
のが得られる。
【0144】〔実施例9〕 (油脂(1)と油脂(2)の例)ラード軟質油とパーム
中融点画分(SOSの含有量64%、POPの含有量5
2%、SSOの含有量17%)を80:20の重量比で
配合した。この原料油300gとアセトン1200gを
混合し、50℃で完全に溶解した後、−20℃/hrの
冷却速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達
したらその温度で1時間保持した後、結晶部と液状部に
濾別し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を
行った。
【0145】上記の分別時の濾過性、収率、原料油と結
晶部と液状部のトリグリセリド組成、原料油及び結晶部
70%と大豆油30%の混合油のX線回折結果及びSS
OとSOSの分子間化合物の含有量、液状部のOSOの
分画率を表4に示した。
【0146】〔実施例10〕 (油脂(1)と油脂(2)の例)ラードとパーム中融点
画分(SOSの含有量64%、POPの含有量52%、
SSOの含有量17%)を50:50の重量比で配合し
た。この原料油300gとアセトン1200gを混合
し、50℃で完全に溶解した後、−20℃/hrの冷却
速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達した
らその温度で1時間保持した後、結晶部と液状部に濾別
し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行っ
た。
【0147】上記の分別時の濾過性、収率、原料油と結
晶部と液状部のトリグリセリド組成、原料油及び結晶部
70%と大豆油30%の混合油のX線回折結果及びSS
OとSOSの分子間化合物の含有量、液状部のOSOの
分画率を表4に示した。
【0148】〔比較例5〕原料油としてラードを用い、
ラード300gとアセトン1200gを混合し、50℃
で完全に溶解した後、−20℃/hrの冷却速度で−1
0℃まで冷却した。−10℃の温度に達したらその温度
で1時間保持した後、結晶部と液状部に濾別し、それぞ
れアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行った。
【0149】上記の分別時の濾過性、収率、原料油と結
晶部と液状部のトリグリセリド組成、原料油及び結晶部
70%と大豆油30%の混合油のX線回折結果及びSS
OとSOSの分子間化合物の含有量、液状部のOSOの
分画率を表4に示した。
【0150】実施例9及び10の結果から、70℃で完
全に溶解した後、0℃で30分間保持し、その後5℃で
7日間保持したときの結晶型が2鎖長構造でかつβ型を
示す油脂は、溶剤分別でも濾過性が良好であった。
【0151】比較例5の結果から、70℃で完全に溶解
した後、0℃で30分間保持し、その後5℃で7日間保
持したときの結晶型が2鎖長構造であっても完全にβ型
を示さない油脂は、溶剤分別の場合には若干濾過性が改
良されるものの、濾過性が悪かった。
【0152】〔実施例11〕ロールイン用油脂組成物の
油相として実施例9で得た結晶部55%と大豆油40%
とパーム硬化油(融点45℃)5%の配合油を用いた以
外は、実施例5と同様の製法にてロールイン用マーガリ
ンを作成した。
【0153】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は13.0倍と良好であった。
【0154】〔実施例12〕ロールイン用油脂組成物の
油相として実施例10で得た結晶部50%と大豆油45
%とパーム硬化油(融点45℃)5%の配合油を用いた
以外は、実施例5と同様の製法にてロールイン用マーガ
リンを作成した。
【0155】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は12.3倍と良好であった。
【0156】〔比較例6〕ロールイン用油脂組成物の油
相として比較例5で得た結晶部50%と大豆油45%と
パーム硬化油(融点45℃)5%の配合油を用いた以外
は、実施例5と同様の製法にてロールイン用マーガリン
を作成した。
【0157】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。しかし、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は7.8倍と悪いものであった。
【0158】実施例11及び12の結果から、本発明の
油脂の分別方法で得た結晶部をロールインマーガリン用
油脂に用いると、作業性、口溶け、パイの浮きすべての
面で良好なものが得られる。
【0159】一方、比較例6のように、70℃で完全に
溶解した後、0℃で30分間保持し、その後5℃で7日
間保持したときの結晶型が2鎖長構造でβ型を示さない
油脂を分画して得た結晶部をロールインマーガリン用油
脂に用いると、作業性、口溶けが良好なものの、パイの
浮きが悪くなった。
【0160】〔実施例13〕ロールイン用油脂組成物の
油相として実施例9で得た液状部55%、サル脂ステア
リン17%、大豆油23%、パーム極度硬化油5%の配
合油を用いた以外は、実施例5と同様の製法にてロール
イン用マーガリンを作成した。
【0161】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は13.2倍と良好であった。
【0162】なお、サル脂ステアリンは、実施例9で得
た液状部と配合してSOS/OSOが1.01となるよ
うに配合した。
【0163】(配合油のSOSの含有量の計算方法) 実施例9の液状部のSOSの含有量×0.55+サル脂
ステアリンのSOSの含有量×0.17=1×0.55
+95×0.17=16.7 サル脂ステアリンのSOS含有量は95%。
【0164】(配合油のOSOの含有量の計算方法) 実施例9の液状油のOSOの含有量×0.55=30×
0.55=16.5
【0165】実施例13の結果から、本発明の油脂の分
別方法で得た液状部にSOSを含有する油脂と配合して
ロールインマーガリン用油脂に用いると、作業性、口溶
け、パイの浮きすべての面で良好なものが得られること
が判明した。
【0166】<油脂A−1の調製>(油脂(3)) ハイオレイックナタネ油700gと大豆極度硬化油(C
16:0が3.7%、C18:0が2.1%)300g
を70℃で完全に溶解した後、酵素QLC(名糖産業
(株)製)30gを触媒として48時間反応を行い、ラ
ンダムエステル交換油を調製した。反応は、反応油のト
リグリセリド組成を測定し、ランダムエステル交換が行
っていることを確認した。反応終了後、酵素を濾過で除
去した後、漂白、脱臭を行ない油脂A−1を得た。表1
には油脂A−1についてX線回折結果、油脂のトリグリ
セリド組成を示した。またC18:1/(C18の不飽
和脂肪酸)は0.81であった。
【0167】また、エステル交換油に使用したハイオレ
イックナタネ油の脂肪酸組成は、C16:0が3.7
%、C18:0が2.1%、C18:1が73.1%、
C18:2が13.9%、C18:3が3.5%、C2
0:0が0.7%、その他3.7%であった。
【0168】〔実施例14〕 (油脂(3)と油脂(2)の例)油脂A−1とサル脂ス
テアリン(SOSの含有量95%、POPの含有量2
%、SSOの含有量0%)を86:14の重量比で配合
した。この原料油300gとアセトン1200gを混合
し、50℃で完全に溶解した後、−20℃/hrの冷却
速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達した
らその温度で1時間保持した後、結晶部と液状部に濾別
し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行っ
た。
【0169】上記の分別時の濾過性、収率、原料油と結
晶部と液状部のトリグリセリド組成、原料油及び結晶部
70%と大豆油30%の混合油のX線回折結果及びSS
OとSOSの分子間化合物の含有量、液状部のOSOの
分画率を表4に示した。
【0170】
【表4】
【0171】実施例14の結果から、極度硬化油と液状
油のエステル交換油にSOSを含有する油脂を配合して
も、70℃で完全に溶解した後、0℃で30分間保持
し、その後5℃で7日間保持したときの結晶型が2鎖長
構造でかつβ型を示す油脂は、濾過性が良好であった。
【0172】〔実施例15〕ロールイン用油脂組成物の
油相として実施例14で得た結晶部45%と大豆油50
%とパーム硬化油(融点45℃)5%の配合油を用いた
以外は、実施例5と同様の製法にてロールイン用マーガ
リンを作成した。
【0173】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は13.7倍と良好であった。
【0174】〔実施例16〕ロールイン用油脂組成物の
油相として実施例14で得た液状部47%、サル脂ステ
アリン4%、大豆硬化油(36℃)44%、パーム極度
硬化油5%の配合油を用いた以外は、実施例5と同様の
製法にてロールイン用マーガリンを作成した。
【0175】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は11.0倍と良好であった。
【0176】なお、サル脂ステアリンは、実施例9で得
た液状部と配合してSOS/OSOが1.00となるよ
うに配合した。
【0177】(配合油のSOSの含有量の計算方法) 実施例14の液状部のSOSの含有量×0.47+サル
脂ステアリンのSOSの含有量×0.04=2×0.4
7+95×0.04=4.7 サル脂ステアリンのSOS含有量は95%。
【0178】(配合油のOSOの含有量の計算方法) 実施例14の液状油のOSOの含有量×0.47=10
×0.47=4.7
【0179】実施例15及び16の結果から、本発明の
油脂の分別方法で得た結晶部及び液状部にSOSを含有
する油脂を配合したものをロールインマーガリン用油脂
に用いると、作業性、口溶け、パイの浮きすべての面で
良好なものが得られる。
【0180】<ラード軟質油Iの調製>(油脂(4)の
例) ラード1重量部とアセトン3重量部を50℃で完全に溶
解した後、これを20℃/hrの冷却速度で冷却し、2
℃で結晶化を行った。2℃に達した後、1時間保持し、
これを濾別し、液状部を得、さらにこの液状部のアセト
ンを除去した後、漂白、脱臭を行ないラード軟質油Iを
得た。
【0181】得られたラード軟質油IのSSOの含有量
は8%、OSOの含有量は28%であった。
【0182】<ラード軟質油IIの調製>(油脂(4)の
例) ラード1重量部とアセトン3重量部を50℃で完全に溶
解した後、これを20℃/hrの冷却速度で冷却し、−
5℃で結晶化を行った。−5℃に達した後、1時間保持
し、これを濾別し、液状部を得、さらにこの液状部のア
セトンを除去した後、漂白、脱臭を行ないラード軟質油
IIを得た。
【0183】得られたラード軟質油IIのSSOの含有量
は2%、OSOの含有量は29%であった。
【0184】〔実施例17〕 (油脂(4)と油脂(2)の例)ラード軟質油Iとパー
ム中融点画分(SOS含量は64%、POP含量52
%、SSO含量は17%)を56:44の重量比で配合
した。この原料油を300gとアセトン1200gを混
合し、50℃で完全に溶解した後、−20℃/hrの冷
却速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達し
たらその温度で1時間保持した後、結晶部と液状部に濾
別し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行
った。結晶部と液状部に分別する際の濾過性は非常に良
好であった。
【0185】得られた結晶部の収率は63%であり、原
料油のトリグリ組成、原料油のX線回折結果、OSOと
SOSの分子間化合物の含有量を表5に示した。
【0186】また得られた結晶部のトリグリセリド組
成、OSOとSOSからなる分子間化合物の含有量及び
OSOの分画率を表6に示した。
【0187】得られた液状部の収率は37%であり、S
U2で表されるトリグリセリドとUUUで表されるトリ
グリセリドの合計量は89%であった。
【0188】〔実施例18〕 (油脂(4)と油脂(2)の例)ラード軟質油Iとパー
ム中融点画分(SOS含量は64%、POP含量52
%、SSO含量は17%)を65:35の重量比で配合
した。この原料油300gとアセトン1200gを混合
し、50℃で完全に溶解した後、−20℃/hrの冷却
速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達した
らその温度で1時間保持した後、結晶部と液状部に濾別
し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行っ
た。結晶部と液状部に分別する際の濾過性は非常に良好
であった。
【0189】得られた結晶部の収率は54%であり、原
料油のトリグリ組成、原料油のX線回折結果、OSOと
SOSの分子間化合物の含有量を表5に示した。
【0190】また得られた結晶部のトリグリセリド組
成、OSOとSOSからなる分子間化合物の含有量及び
OSOの分画率を表6に示した。
【0191】得られた液状部の収率は46%であり、S
U2で表されるトリグリセリドとUUUで表されるトリ
グリセリドの合計量は86%であった。
【0192】〔実施例19〕 (油脂(4)と油脂(2)の例)ラード軟質油IIとパー
ム中融点画分(SOS含量は64%、POP含量52
%、SSO含量は17%)を60:40の重量比で配合
した。この原料油のを300gとアセトン1200gを
混合し、50℃で完全に溶解した後、−20℃/hrの
冷却速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達
したらその温度で1時間保持した後、結晶部と液状部に
濾別し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を
行った。結晶部と液状部に分別する際の濾過性は非常に
良好であった。
【0193】得られた結晶部の収率は56%であり、原
料油のトリグリ組成、原料油のX線回折結果、OSOと
SOSの分子間化合物の含有量を表5に示した。
【0194】また得られた結晶部のトリグリセリド組
成、OSOとSOSからなる分子間化合物の含有量及び
OSOの分画率を表6に示した。
【0195】得られた液状部の収率は44%であり、S
U2で表されるトリグリセリドとUUUで表されるトリ
グリセリドの合計量は91%であった。
【0196】〔実施例20〕 (油脂(4)と油脂(2)の例)ラード軟質油IIとパー
ム中融点画分(SOS含量は64%、POP含量52
%、SSO含量は17%)を50:50の重量比で配合
した。この原料油を300gとアセトン1200gを混
合し、50℃で完全に溶解した後、−20℃/hrの冷
却速度で−10℃まで冷却した。−10℃の温度に達し
たらその温度で1時間保持した後、結晶部と液状部に濾
別し、それぞれアセトンを除去した後、漂白、脱臭を行
った。結晶部と液状部に分別する際の濾過性は非常に良
好であった。
【0197】得られた結晶部の収率は62%であり、原
料油のトリグリ組成、原料油のX線回折結果、OSOと
SOSの分子間化合物の含有量を表5に示した。
【0198】また得られた結晶部のトリグリセリド組
成、OSOとSOSからなる分子間化合物の含有量及び
OSOの分画率を表6に示した。
【0199】得られた液状部の収率は38%であり、S
U2で表されるトリグリセリドとUUUで表されるトリ
グリセリドの合計量は91%であった。
【0200】〔比較例7〕ラードとパーム中融点画分
(SOS含量は64%、POP含量は17%)を90:
10の重量比で配合した。この原料油を300gとアセ
トン1200gを混合し、50℃で完全に溶解した後、
−20℃/hrの冷却速度で−10℃まで冷却した。−
10℃の温度に達したらその温度で1時間保持した後、
結晶部と液状部に濾別し、それぞれアセトンを除去した
後、漂白、脱臭を行った。結晶部と液状部に分別する際
の濾過性は悪かった。
【0201】得られた結晶部の収率は44%であり、原
料油のトリグリ組成、原料油のX線回折結果、OSOと
SOSの分子間化合物の含有量を表5に示した。
【0202】また得られた結晶部のトリグリセリド組
成、OSOとSOSからなる分子間化合物の含有量、及
びOSOの分画率を表6に示した。
【0203】得られた液状部の収率は56%であり、S
U2で表されるトリグリセリドとUUUで表されるトリ
グリセリドの合計量は86%であった。
【0204】〔実施例21〕ロールイン用油脂組成物の
油相として実施例19で得た結晶部45%と大豆油50
%と大豆極度硬化油5%の配合油を用いた以外は、実施
例5と同様の製法にてロールイン用マーガリンを作成し
た。
【0205】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は12.4倍と良好であった。
【0206】〔実施例22〕ロールイン用油脂組成物の
油相として実施例18で得た結晶部50%と大豆油45
%と大豆極度硬化油5%の配合油を用いた以外は、実施
例5と同様の製法にてロールイン用マーガリンを作成し
た。
【0207】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は13.3倍と良好であった。
【0208】〔実施例23〕ロールイン用油脂組成物の
油相として実施例17で得た液状部30%、大豆油20
%、大豆硬化油(融点36℃)40%、パーム硬化油
(融点45℃)5%、大豆極度硬化油5%の配合油を用
いた以外は、実施例5と同様の製法にてロールイン用マ
ーガリンを作成した。
【0209】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は10.1倍と良好であった。
【0210】〔実施例24〕実施例17で得られた液状
部を用いて、融点37の硬化油を調製した。ロールイン
用油脂組成物の油相としてこの硬化油45%、大豆油4
5%、パーム硬化油(融点45℃)5%、大豆極度硬化
油5%の配合油を用いた以外は、実施例5と同様の製法
にてロールイン用マーガリンを得た。
【0211】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は10.7倍と良好であった。
【0212】〔実施例25〕 (油脂(5)と油脂(2)の例)油脂A−1を1重量部
とアセトン3重量部を50℃で完全に溶解した後、これ
を20℃/hrの冷却速度で冷却し、−5℃で結晶化を
行った。−5℃に達した後、1時間保持し、これを濾別
し、脱溶剤を行い液状部を得た。この液状部は、SOS
含量1%、SSO含量1%、OSO含量17%であっ
た。
【0213】次に、この液状部とサル脂ステアリン(S
OSの含有量95%、POPの含有量2%、SSOの含
有量0%)を86:14の重量比で配合した。この原料
油を300gとアセトン1200gを混合し、50℃で
完全に溶解した後、−20℃/hrの冷却速度で−10
℃まで冷却した。−10℃の温度に達したらその温度で
1時間保持した後、結晶部と液状部に濾別し、それぞれ
アセトンを除去した後、漂白、脱臭を行った。結晶部と
液状部に分別する際の濾過性は非常に良好であった。
【0214】得られた結晶部の収率は32%であり、原
料油のトリグリ組成、原料油のX線回折結果、OSOと
SOSの分子間化合物の含有量を表5に示した。
【0215】また得られた結晶部のトリグリセリド組
成、OSOとSOSからなる分子間化合物の含有量、及
びOSOの分画率を表6に示した。
【0216】得られた液状部の収率は68%であり、S
U2で表されるトリグリセリドとUUUで表されるトリ
グリセリドの合計量は89%であった。
【0217】
【表5】
【0218】
【表6】
【0219】〔実施例26〕ロールイン用油脂組成物の
油相として実施例25で得た結晶部45%と大豆油50
%と大豆極度硬化油5%の配合油を用いた以外は、実施
例5と同様の製法にてロールイン用マーガリンを得た。
【0220】得られたロールイン用マーガリンを生地に
ロールインしたときの作業性、焼成したパイの口溶けは
非常に良好であった。また、焼成したパイの浮き倍率
(焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値;焼
成品10個の平均値)は14.8倍と良好であった。
【0221】
【発明の効果】本発明は、70℃以上で完全に溶解し、
0℃で30分間保持し、その後5℃で7日間保持したと
きの結晶型が2鎖長構造のβ型の結晶型である油脂を結
晶部と液状部に分別することを特徴とする油脂の分別方
法であり、本発明の分別方法を用いることにより、油脂
の分別を効率的に行うことができる。また、本発明の分
別方法により得られた結晶部と液状部の両者をマーガリ
ン等に利用できるものでもある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 根津 亨 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 Fターム(参考) 4B026 DC06 DG02 DG04 DG05 DG12 DH02 DP03 DP04 DX01 DX02 4H059 BA33 BB02 BB03 CA06 CA72 DA02 DA13 DA22

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 70℃以上で完全に溶解し、0℃で30
    分間保持し、その後5℃で7日間保持したときの結晶型
    が2鎖長構造のβ型の結晶型である油脂を結晶部と液状
    部に分別することを特徴とする油脂の分別方法。
  2. 【請求項2】 上記油脂がSSOで表されるトリグリセ
    リドとSOSで表されるトリグリセリドの分子間化合
    物、SU2で表されるトリグリセリド及びUUUで表さ
    れるトリグリセリドを含有する油脂である請求項1記載
    の油脂の分別方法。(但し、Sは炭素数16〜18の飽
    和脂肪酸を示し、Oはオレイン酸、Uは不飽和脂肪酸を
    示す)
  3. 【請求項3】 上記油脂がOSOで表されるトリグリセ
    リドとSOSで表されるトリグリセリドの分子間化合物
    を含有する油脂である請求項1記載の油脂の分別方法。
    (但し、Sは炭素数16〜18の飽和脂肪酸を示し、O
    はオレイン酸を示す)
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の油脂の分
    別方法により得られた結晶部。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の結晶部を用いた食品。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3の何れかに記載の油脂の分
    別方法により得られた液状部。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の液状部を用いた食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008278833A (ja) * 2007-05-14 2008-11-20 Adeka Corp 油脂組成物及び油脂組成物の使用方法

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