JP3865148B2 - ジメチルエーテル合成用反応装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一酸化炭素と水素および水蒸気のいずれか一方または両方が含まれる混合ガス、あるいはこれにさらに二酸化炭素が含まれる混合ガスからジメチルエーテルを製造する反応装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
(ジメチルエーテルの用途)
ジメチルエーテルは、低毒性で安定であり、フロンに代わる噴射剤(プロペラント)、合成ガソリンの中間原料、LPGの代替燃料及びディーゼル機関の燃料などの用途がある。これらの用途に用いる場合、高純度のジメチルエーテルが求められるので、製造プロセスのうちの精製プロセスの簡略化のために、高選択率の反応でジメチルエーテルを合成することが望まれる。さらに、原料原単位の低減のためにも高選択率の反応が望まれる。
【0003】
(ジメチルエーテル合成)
一酸化炭素、二酸化炭素および水素の混合ガスからジメチルエーテルを製造する方法は、以下に述べるように二段法と一段法がある。
【0004】
(二段法)
現在行われているジメチルエーテルの工業的製造方法は二段法であり、これは先ず一段目の反応としてCO/H2の合成ガスからメタノールを合成し、次いで二段目としてこのメタノールの脱水反応でジメチルエーテルを製造するものである。
【0005】
(一段法)
一方、最近になってCO/H2から一段でジメチルエーテルを合成する技術の開発が行われている。
【0006】
特公昭54−32764号公報
触媒:アルミナに亜鉛およびクロムを担持したメタノール脱水触媒を混合。
反応器型式:反応器に充填、あるいはこれらの触媒を交互に層状にして反応器に充填し、これに一酸化炭素、二酸化炭素および水素の混合ガスを供給して、ジメチルエーテルを製造する方法が記載されている。
【0007】
特公昭61−43332号公報
触媒:銅、亜鉛、クロムおよびアルミニウムの酸化物の混合物を熱、高温水蒸気および機械的応力に耐えるように、テトラエチルオルトシリケートなどのケイ素化合物で処理し、その後成型した触媒。
【0008】
特開平3−181453号公報
反応器型式:一酸化炭素と水素の混合ガス、あるいはこれに更に二酸化炭素および/または水蒸気が含まれる混合ガスからジメチルエーテルを製造する方法において、触媒を溶媒に懸濁してスラリー状態で使用する。
【0009】
特表平5−810069(WO 93/10069)号公報
触媒:メタノール合成触媒、メタノール脱水触媒および水性ガスシフト触媒を共粉砕した後、加圧密着させ、その後再度粉砕した触媒。
【0010】
反応器型式:一酸化炭素と水素および水蒸気のいずれか一方または両方が含まれる混合ガス、あるいはこれにさらに二酸化炭素が含まれる混合ガスからジメチルエーテルを製造する方法において、前記触媒を溶媒に懸濁してスラリー状態で使用する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ジメチルエーテル合成の困難性は高いCO転化率と高いジメチルエーテル選択率の両方の達成にある。すなわち、二段法では反応中間体であるメタノールを合成するもので、後述する様に、平衡的に不利であり、CO転化率が大きくできないメタノール合成反応を原料製造に用いるため、原料収率が低くなり、一方、一段法ではジメチルエーテル選択率が低いという問題があった。これらはジメチルエーテルの製造コスト上大きな問題であり、特に、ジメチルエーテルの選択率が低いとその後の分離精製工程に大きな負担がかかるため、安価に大量生産される必要があるジメチルエーテルにとっては極めて大きな問題になっていた。
【0012】
本発明は、メタノール合成触媒、脱水触媒を混合して用いる一段合成の高い原料ガスの転化率を維持しつつ、そのジメチルエーテル選択率が低いことを解決できるジメチルエーテル合成用反応装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
ジメチルエーテルの合成反応は、下記に示す3つの平衡反応により進行する。
CO+2H2 ⇔ CH3OH (1) (メタノール合成反応)
2CH3OH ⇔ CH3OCH3+H2O (2) (脱水反応)
2O+CO ⇔ H2+CO2 (3) (シフト反応)
【0014】
反応(1)を単独で行う場合、これはいわゆるメタノール合成反応であり、これは平衡的な制約があり、所望の転化率を得るためには高圧の条件(80〜120kg/cm2)が必要となる。しかし、一段法では平衡的に著しく有利な反応(2)が同一の反応器で続いて起きることにより反応生成物のメタノールが消費されるので、(1)の不利な平衡が補われる。このことより、従来のメタノール合成の場合に比べ、ジメチルエーテル合成ははるかに容易である。即ち、これは一段法によってCO/H2の転化率を向上させられるということを意味する。
【0015】
この反応の反応後の組成物は、未反応のCO、H2、反応生成物のメタノール、ジメチルエーテル、CO2およびアルカンなどの微量の副生物からなる。これらの組成は、主に前記(1)〜(3)のそれぞれの反応速度および平衡に支配されるので、一段法では目的とする生成物のみの比率を高めることは困難である。特に反応中間体であるメタノールの残存が避けられない。
【0016】
メタノール合成触媒/脱水触媒/シフト触媒の比率を変化させることにより、各反応の反応速度を制御できる。このことで、反応生成物の組成は制御できる。しかし、3種類の反応が同時に進行し、3種類の反応が全て平衡反応であるため平衡上の制約により、この制御には限界がある。この反応形式によって通常の反応条件下では、CO2を除く選択率としてジメチルエーテルの選択率は95%を越えることは極めて困難である。
【0017】
このことを、熱力学の平衡計算により説明する。
【0018】
図1に、反応(1)、(2)、および(3)の反応平衡をもとにした、H2、CO、メタノール、CO2、水の反応平衡組成図を示す。一例として、反応温度300℃、反応圧力50気圧、初期のCO/H2比=1の条件では、反応平衡達成時のジメチルエーテル選択率(出発物質:CO、炭素モル基準、CO2を除外)は98%である。しかし、反応平衡の達成は、実際には不可能であり反応中間体であるメタノールが残存することによりジメチルエーテル選択率はこの数値よりかなり低いものとなる。また、これより低温の条件、例えば、反応温度240℃、反応圧力50気圧、初期のCO/H2比=1の条件では、反応平衡達成時のジメチルエーテル選択率は99%とやや大きくなるが、この条件では反応速度、特にメタノール合成反応(1)の速度が小さく、反応平衡には全く近づき得ないのが実際である。
【0019】
そこで、これを解決する方法として、一段目の反応で、メタノール合成触媒、脱水触媒かまたは脱水及びシフト触媒を混合して用いることにより、粗ジメチルエーテルを生成させ、これを更に二段目の反応で脱水及び/またはシフト触媒を用いることにより、残存メタノールの大部分をジメチルエーテルに転化させることにより、最終的にジメチルエーテルの選択率を高くするような方法がある。
【0020】
二段目の反応器において、脱水及び/またはシフト触媒のみを用い、メタノール合成触媒を用いないようにすると、脱水及び/またはシフト反応のみの反応速度を大きくし、これらの反応のみを反応平衡に近づけることができる。このようなメタノール合成触媒の不存在下の反応系では、新たにメタノールは生成せず、残存メタノールはジメチルエーテルに転化し、結果的にジメチルエーテルの選択率を大きくすることができる。
【0021】
ところが、上述のプロセスは、反応器が一基増加することになり、設備費が増加する。そこで、一段目と二段目の反応条件(温度、圧力)がほぼ同じであることを利用し、以下に述べるような二つの部分に区分した反応器を考察した。
【0022】
本発明はこのような着想のもとになされたものであり、一酸化炭素と水素及び水蒸気のいずれか一方または両方が含まれる混合ガス、あるいはこれにさらに二酸化炭素が含まれる混合ガスを原料ガスとしてこれからジメチルエーテルを合成する反応器であって、触媒スラリーを収容した下段と触媒固定床を収容した上段からなり、下段には原料ガス導入管が接続され、上段には反応生成ガス排出管が接続されていることを特徴とするジメチルエーテル合成用反応装置によって前記目的を達成したものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の反応器の下段は堅型のスラリー床式反応器部分であって、触媒スラリーが収容されるとともに反応熱を除去するための熱交換器が設けられている。
【0024】
スラリー床として使用される触媒は公知のメタノール合成触媒、脱水触媒および水性ガスシフト触媒を組み合わせたものである。メタノール合成触媒としては、通常工業的にメタノール合成に用いられる酸化銅−酸化亜鉛、酸化亜鉛−酸化クロム、酸化銅−酸化亜鉛/酸化クロム、酸化銅−酸化亜鉛/アルミナ等がある。脱水触媒としては酸塩基触媒であるγ−アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、ゼオライトなどがある。ゼオライトの金属酸化物成分としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の酸化物、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土族の酸化物等である。水性ガスシフト触媒としては酸化銅−酸化亜鉛、酸化銅−酸化クロム−酸化亜鉛、酸化鉄−酸化クロムなどがある。メタノール合成触媒は強いシフト触媒活性を有するので水性ガスシフト触媒を兼ねることができる。脱水触媒及び水性ガスシフト触媒を兼ねるものとしてγ−アルミナ担持酸化銅触媒を用いることができる。
【0025】
前述のメタノール合成触媒、脱水触媒および水性ガスシフト触媒の混合割合は、特に限定されることなく各成分の種類あるいは反応条件等に応じて適宜選定すればよいが、通常は重量比でメタノール合成触媒1に対して脱水触媒は0.1〜5程度、好ましくは0.2〜2程度、そして、水性ガスシフト触媒は、0.2〜5程度、好ましくは0.5〜3程度の範囲が適当であることが多い。メタノール合成触媒に水性ガスシフト触媒を兼ねさせた場合には、上記の水性ガスシフト触媒の量はメタノール合成触媒の量に合算される。
【0026】
上記の触媒は粉末状態で使用され、平均粒径が300μm以下、好ましくは1〜200μm程度、特に好ましくは10〜150μm程度が適当である。そのために必要によりさらに粉砕することができる。
【0027】
触媒を分散する熱媒体油には、反応条件下において液体状態を呈するものであれば、そのいずれもが使用可能である。例えば、脂肪族、芳香族および脂環族の炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトンおよびハロゲン化物、これらの化合物の混合物等を使用できる。また、硫黄分を除去した軽油、減圧軽油、水素化処理したコールタールの高沸点留分等も使用できる。熱媒体油中に存在させる触媒量は熱媒体油の種類、反応条件などによって適宜決定されるが、通常は熱媒体油に対して1〜50重量%であり、10〜30重量%程度が好ましい。
【0028】
このスラリー床式反応器部分のガス吹込口より原料ガスを吹き込む。これにより、原料ガスと触媒とを接触させ、また反応器内スラリーを攪拌混合することにより、反応を促進する。また、反応器内に熱交換用のチューブを挿入することにより、発生する反応熱を反応器より除去し、プロセスの他の部分で有効利用する。スラリー床式反応器では、攪拌混合が容易であるため、反応により発生する反応熱を系内で均一に分散させることができるため、ホットスポットが生じにくいので、熱回収が容易であり、また反応器内の温度分布が生じにくいので、副生物の生成が少ない。また、触媒の仕込み、抜き出しが容易である。運転の始動停止が容易である。
【0029】
ところが、先にも述べたように、懸濁スラリー床の反応によると、反応中間体であるメタノールの残存が避けられない。
【0030】
そこで、反応器の上段に固定床式反応器部分を設けて残存メタノールをジメチルエーテルに転化させる。ここで使用される触媒は脱水触媒及び脱水シフト触媒のうち少なくとも一方を含む。脱水触媒には前述のものを使用できる。脱水シフト触媒には脱水活性とシフト活性を兼ね備える触媒として、γ−アルミナに酸化銅を担持した触媒を用いることができる。固定床の触媒はそこに保持されるとともに該固定床内を気体が略均一に通過できるような空間が必要であり、そのため前記粒径の触媒を1〜20mm程度、好ましくは1.5〜10mm程度の粒径に造粒して使用できる。この場合、触媒粒子を保持する目皿やメッシュ等の部材を適宜設ける。触媒は多数の貫通空隙を有する多孔ブロックであってもよい。
【0031】
スラリー床触媒と固定床触媒の比率は各触媒の活性の大きさによるが、通常、重量比で(スラリー床):(固定床)=1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1である。
【0032】
上段と下段の間は要は気体が流通できる状態にあればよく、流動触媒層の飛沫が固定床に付着しても差支えない。
【0033】
原料ガス導入管は反応器の下段に接続して原料ガスを流動触媒層に吹き込み、反応生成ガス排出管は上段に接続して固定触媒層を通過して排出されるようにする。
【0034】
この反応器の他の部分は従来の反応器と同様でよく、圧力計、温度計等の計器類、必要により攪拌機、副次原料供給ライン等を取り付けることもできる。
【0035】
本発明の反応器が適用されたジメチルエーテル合成反応器を組み込むジメチルエーテル合成反応装置は従来の装置と同様でよい。すなわち、反応器から蒸発する熱媒体油を凝縮する凝縮器、この凝縮された媒体油を分離する気液分離器、反応生成ガスを冷却してメタノールと水を凝縮させて分離するメタノール、水分離器、これをさらに冷却してジメチルエーテルと二酸化炭素を凝縮させて一酸化炭素と水素を分離する未反応ガス分離器及び凝縮分離されたジメチルエーテルと二酸化炭素を分離するCO2分離器がこの順に設けられる。上記のメタノール、水分離器と未反応ガス分離器はそれぞれ凝縮器と気液分離器に分かれていてもよい。また、メタノール、水、ジメチルエーテル及び二酸化炭素の全てを凝縮あるいは凝固させて一酸化炭素と水素をまず分離し、その後この凝縮凝固物からジメチルエーテルを分離する装置を用いることもできる。
【0036】
この装置の一例を図2に示す。この製造装置は反応器R、メタノール、水分離器S1、未反応ガス分離器S2及びCO2分離器S3よりなっている、反応器Rの底部には原料ガスライン2が接続され、この原料ガスライン2には新たな原料ガスを供給するメイクアップ(フレッシュ)ガスライン1と未反応CO及びH2を循環供給するリサイクルガスライン7が接続されている。反応器Rの頂部からは反応生成物を排出させる反応生成ガスライン3がメタノール、水分離器S1の入口に接続され(熱媒体油の凝縮器と気液分離器は必要によりその上流側に設けられる。)、メタノール、水分離器S1のメタノール、水出口にはメタノール、水ライン4が反応生成物出口には反応生成ガスライン5が接続されている。反応生成ガスライン5の他端は未反応ガス分離器S2の入口に接続され、未反応ガス分離器S2の未反応ガス出口には前述のリサイクルガスライン7の他端が接続されている。このリサイクルガスライン7の途中にはそのガスの一部を引き抜くパージライン10が接続されている。未反応ガス分離器S2のDME、CO2出口にはDME、CO2ライン6が接続され、DME、CO2ライン6の他端はCO2分離器S3に接続され、CO2分離器S3のCO2出口にはCO2ライン8が、DME出口にはDMEライン9がそれぞれ接続されている。
【0037】
水素と一酸化炭素の混合割合はH2/COモル比で20〜0.1、好ましくは10〜0.2の混合比のものを使用できる。一方、水素と一酸化炭素の割合(H2/CO比)が著しく小さな(例えば、0.1以下)混合ガスあるいは水素を含まない一酸化炭素の場合には、別途スチームを供給して反応器中でシフト反応を行なわせ一酸化炭素の一部をスチームにより水素と二酸化炭素に変換することが必要である。水蒸気の供給量はCO供給量に対して1以下が好ましい。また、反応の結果生ずる二酸化炭素の量は原料ガス組成として50%以下が好適である。
【0038】
反応条件としては、上段、下段のいずれも反応温度は150〜400℃が好ましく、特に200〜350℃の範囲が好ましい。反応温度が150℃より低くても、また400℃より高くても一酸化炭素の転化率が低くなる。反応圧力は10〜300kg/cm2、特に15〜70kg/cm2が好ましい。反応圧力が10kg/cm2より低いと一酸化炭素の転化率が低く、また300kg/cm2より高いと反応器が特殊なものとなり、また昇圧のために多大なエネルギーが必要であって経済的でない。空間速度(触媒1kgあたりの標準状態における混合ガスの供給速度)は、100〜50000l/kg・hが好ましく、特に500〜30000l/kg・hである。空間速度が50000l/kg・hより大きいと一酸化炭素の転化率が低くなり、また100l/kg・hより小さいと反応器が極端に大きくなって経済的でない。
【0039】
本発明の反応器においては、一段目の反応で、メタノール合成触媒+脱水触媒+シフト触媒を用いることにより、原料混合ガスのCO/H2転化率を大きくすることができる。二段目の反応で、脱水触媒及び/またはシフト触媒を用いることにより、残存するメタノールの大部分をジメチルエーテルに転化させ、ジメチルエーテルの選択率を大きくできる。反応が二段になるが、反応条件(温度、圧力)がほぼ同じであることを利用し、二つの部分に区分したひとつの反応器により、コンパクトな装置とすることができる。
【0040】
反応器に供給したCOガス流量(Nl/分):Fin(CO)
反応器より流出したCOガス流量(Nl/分):Fout(CO)
反応器より流出したDMEガス流量(Nl/分):Fout(DME)
反応器より流出したMeOHガス流量(Nl/分):Fout(MeOH)
反応器より流出したメタンガス流量(Nl/分):Fout(CH4
とすると、
【0041】
【数1】
Figure 0003865148
【0042】
【数2】
Figure 0003865148
【0043】
【数3】
Figure 0003865148
【0044】
【実施例】
触媒A:CuO−ZnO−Al23触媒
硝酸銅(Cu(NO32・3H2O)185g、硝酸亜鉛(Zn(NO32・6H2O)117gおよび硝酸アルミニウム(Al(NO3)2・9H2O)52gをイオン交換水約1lに溶解した水溶液と、炭酸ナトリウム(Na2CO3)約1.4kgをイオン交換水約1lに溶解した水溶液とを、約60℃に保温したイオン交換水約3lの入ったステンレス製容器中に、pHが7.0±0.5に保持されるように調節しながら、約2時間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま約1時間保持して熟成を行った。なお、この間にpHが7.0±0.5から外れるようであれば、約1mol/lの炭酸ナトリウム水溶液を滴下して、pHを7.0±0.5にあわせた。次に、生成した沈殿をろ過した後、洗浄液に硝酸イオンが検出されなくなるまでイオン交換水を用いて洗浄した。得られたケーキを120℃で24時間乾燥した後、さらに空気中350℃で5時間焼成して目的の触媒を得た。得られた触媒の組成はCuO:ZnO:Al23=61:32:7(重量比)であった。
【0045】
触媒B:CuO−Al23触媒
イオン交換水約200mlに酢酸銅(Cu(CH3COO)2・H2O)15.7を溶解し、これにγ−アルミナ(日揮化学製,N612)95gを投入した後、蒸発乾固した。ついでこのものを空気中450℃で4時間焼成した。さらに水素気流中、400℃で3時間処理して触媒を得た。このものの組成はCu:Al23=5:95(重量比)であった。
【0046】
上記の各触媒は、ボールミルで粉砕して120μm以下として用いた。
【0047】
反応器下部が熱媒体油としてn−ヘキサデカン5584ml、触媒A430g、触媒B215g、(触媒A/触媒B=2/1、触媒/熱媒体油15/100)を仕込んだ。反応器上部には触媒Bのみを645g仕込んだ。
【0048】
(予備還元)
反応器圧力10kg/cm2、反応器温度220℃で、H2/N2=1/4として、反応器にガスを50l/分の流量で12時間供給し、予備還元を行った。
【0049】
反応系に、H2/CO=1/1、80l/分として、ガスを流量で流通させた。反応器上部下部ともに反応圧力50kg/cm2、反応温度260℃とし、ジメチルエーテル合成反応を行った。ガス組成の分析にはガスクロマトグラフを用い、反応系の出口のガス流量はガスメーターを用いて測定し、これによりCO転化率および各生成物の選択率(炭素モル基準、CO2を除外した数値として算出)を計算した。その結果、CO転化率41.0%、DME選択率95.5%、メタノール選択率4.4%、メタン選択率0.1%であった。
【0050】
(比較例)
反応器上部に触媒を充填しない以外は実施例と全く同じ条件で、ジメチルエーテル合成反応を行った。この結果、CO転化率34.0%、DME選択率67.1%、メタノール選択率32.8%、メタン選択率0.1%であり、DME選択率が低かった。
【0051】
【発明の効果】
本発明により、一酸化炭素と水素(又は水蒸気)からジメチルエーテルを高い転化率及び選択率で得ることができる。その結果、生成物からジメチルエーテルを容易に高い純度で取得でき、ジメチルエーテルを安価に大量生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 H2、CO、メタノール、CO2、水の反応平衡組成図を示すグラフである。
【図2】 本発明の反応器が組み込まれるジメチルエーテル製造装置の一例のフローシートである。
【符号の説明】
1…メイクアップ(フレッシュ)ガスライン
2…原料ガスライン
3…反応生成ガスライン
4…メタノール、水ライン
5…反応生成ガスライン
6…DME、CO2ライン
7…リサイクルガスライン
8…CO2ライン
9…DMEライン
10…パージライン
11…下段反応器部分
12…上段反応器部分
13…原料ガス導入管
14…伝熱管
15…反応生成ガス排出管
R…反応器
S1…メタノール、水分離器
S2…未反応ガス分離器
S3…CO2分離器

Claims (1)

  1. 一酸化炭素と水素及び水蒸気のいずれか一方または両方が含まれる混合ガス、あるいはこれにさらに二酸化炭素が含まれる混合ガスを原料ガスとしてこれからジメチルエーテルを合成する反応器であって、触媒スラリーを収容した下段と触媒固定床を収容した上段からなり、下段には原料ガス導入管が接続され、上段には反応生成ガス排出管が接続されていることを特徴とするジメチルエーテル合成用反応装置
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