JP3863375B2 - 溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用防錆鋼板等に使用される溶融亜鉛めっき鋼板に関するものであり、殊にめっき性に悪影響があるとされるCr、Mnが添加された鋼板に関し、めっき層と素地鋼板の界面近傍に形成されるCr−Mn濃化相を適切な形態に制御することによって、不めっき部分のない良好な表面外観を得ることのできた溶融亜鉛めっき鋼板に関するものである。尚、本発明で対象とする溶融亜鉛めっき鋼板とは、めっき浴にてめっき層を鋼板に付着したままの溶融亜鉛めっき鋼板は勿論のこと、めっき層付着後、合金化処理のために熱処理を行なった鋼板、いわゆる合金化溶融亜鉛めっき鋼板をも含むものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球温暖化防止を目的としたCO2排出抑制策として、新たな自動車燃費改善目標が設定され、低燃費車優遇税制が導入されるなど、自動車燃費改善の必要性が高まっている。自動車の軽量化は燃費改善手段として有効であり、こうした軽量化の観点から素材の高張力化が強く要求されている。そして、溶融亜鉛めっき鋼板においても高張力化が必要となるが、高張力化と加工性を両立させる為には、Cr,Mn等の元素の添加が必要である。
【0003】
ところで、溶融亜鉛めっき鋼板では、めっき直前に還元性雰囲気で焼鈍されるのが一般的であり、こうした焼鈍を施すことによって表面のFe酸化物が還元され、素地鋼板における良好なめっき性が発揮されるのである。
【0004】
しかしながら、高張力化と加工性の両立を目的に鋼板の成分としてCrやMnが添加されていると、還元性雰囲気中の焼鈍によってめっき層との濡れ性の悪い酸化物が生成され、これが鋼板表面に濃化して鋼板のめっき性を劣化させるという問題がある。即ち、CrやMn等の元素は、易酸化性元素であることから還元性雰囲気中で優先的に酸化されて鋼板表面に濃化し、これがめっき濡れ性を著しく劣化させ、いわゆる不めっき部分を発生させてめっき外観を損なうことになる。
【0005】
こうしたことから、高張力である溶融亜鉛めっき鋼板を製造するには、上記の様なCrやMnを含む酸化物の生成を抑制することが不可欠である。こうした観点から、これまでにも様々な技術が提案されており、例えば特開平7−34210号には、焼鈍炉の予熱帯にてO2濃度が0.1〜100%の雰囲気で板温:400〜650℃に加熱してFeを酸化させた後に、通常の還元焼鈍および溶融亜鉛めっき処理を行なう方法が提案されている。
【0006】
しかしながらこの様な方法は、その効果が鋼板中のCr,Mn含有量に依存することになるので、Cr,Mn含有量の高い鋼板についてはめっき性が十分であるとは言えない。即ち、鋼板の加工性を向上させるには、Cr,Mnの複合添加が必須の要件になるが、上記の様な技術では、めっき性を確保するための制約から加工性向上に必要な量を添加することができず、根本的な解決手段になり得ないのである。
【0007】
また、FeやNi等を電気めっきによって鋼板表面に予め形成した状態で、還元焼鈍および溶融めっきを行なうことによって不めっきを回避することもできるが、こうした方法は、電気めっき設備が別途必要となって工程が増加する分、コストも増大するという別の問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの様な状況の下でなされたものであって、その目的は、不めっきが生じ易いとされるCrやMnを比較的多く含有する鋼板を素地鋼板とした場合であっても、不めっきが生じない様な溶融亜鉛めっき鋼板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明の溶融亜鉛めっき鋼板とは、Cr:0.13〜1.0%およびMn:0.2〜3.5%を夫々含有し、Si:0.05%未満である素地鋼板表面に溶融亜鉛めっき層が形成されたものであって、
上記素地鋼板と上記溶融亜鉛めっき層との界面の一部に、素地鋼板組成の2倍以上のCrおよび/またはMnを含有するCr−Mn濃化相(以下、Cr−Mn濃化相という)が、下記(a)を満たす態様で形成されていると共に、
素地鋼板粒界の一部に、上記Cr−Mn濃化相が、下記(b)を満たす態様で形成されていることを要旨とするものである。
(a)上記界面と直交する方向の断面における該界面の長さが50μm以上含まれる領域の電子顕微鏡写真観察において、上記Cr−Mn濃化相が占有する界面の総長さが、前記観察された界面の長さの80%以下であること。
(b)前記界面から1μm以内の素地鋼板粒界における上記Cr−Mn濃化相の粒界上の全長さが素地鋼板粒界全長さの10%以上を占めること。
【0010】
また、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、前記Cr−Mn濃化相を画像解析したときの大きさが25nm2以上であることが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は上記の様に構成されるが、この様な構成の溶融亜鉛めっき鋼板の作用について、その完成された経緯に沿って説明する。図1は従来の溶融亜鉛めっき鋼板の界面近傍の断面構造を模式的に示した図であり、図1(a)は焼鈍前、図1(b)は焼鈍後、図1(c)はめっき後を夫々示している。
【0012】
通常の溶融亜鉛めっき鋼板の製造工程で実施される還元焼鈍においては、Feは酸化されないが易酸化元素であるCr,Mnは酸化される雰囲気ガス組成であるので、鋼中のCr,Mnが選択的に酸化されてこれらの表面への拡散が生じ、その結果、図1(b)に示す様に鋼板表面がCr−Mn酸化物の濃化相で覆われた状態になる。そして、このCr−Mn濃化相はめっき層との濡れ性が悪いので、このCr−Mn濃化相の上にめっきを形成すれば不めっき部分が発生することになる。尚、上記酸化物はCr,Mn単独の酸化物に限らず、Cr,Mnの複合酸化物を形成する場合もあり、この場合も同様にめっきとの密着性を低下させる。
【0013】
本発明者らは、めっきと素地鋼板との界面構造と、めっき性との関係に着目し、図2(界面近傍の断面構造を模式的に示した図)に示す様に、Cr,Mn含有鋼を焼鈍後にCr−Mn酸化物が素地鋼板内部に分散した状態を実現することができれば、鋼板表面へ拡散するCr,Mn量が低減されて、めっき性を阻害する表面Cr−Mn酸化物の生成が抑制できると考えた。そしてこの様な状態にすれば、溶融亜鉛めっき浴との濡れ性に優れた金属Feが表面に多く存在した状態を維持できるので、良好なめっき性が得られるものと考えられる。
【0014】
そこで本発明者らは、素地鋼板内部のCr−Mn酸化物の分布に着目して、CrおよびMnを含有した素地鋼板として種々の条件下で溶融亜鉛めっき鋼板を製造し、不めっきが発生した鋼板と発生しない鋼板における断面の電子顕微鏡による写真観察と各相の元素分析を行ない、以下の様にめっき/素地鋼板界面付近の断面構造とめっき性との関係を明らかにしたのである。
【0015】
尚、本発明では、鋼板断面におけるめっき/素地鋼板界面と素地鋼板粒界の上記Cr−Mn濃化相の析出の程度を判断するため、写真観察には、電子顕微鏡として走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたが、これらの電子顕微鏡に限定されるものではなく、上記Cr−Mn濃化相の析出程度が判断できる他の電子顕微鏡を用いて観察した場合も含むものとする。
【0016】
即ち、本発明者らが解明したところによれば、良好なめっき性を得るには、めっき前の鋼板表面におけるめっき性を阻害するCr−Mn濃化相(Cr−Mn酸化物層)の面積を小さくすることが必要であり、その為には、溶融亜鉛めっき層と素地鋼板の界面と直交する方向の断面における、該界面の長さ50μm以上が含まれる領域の電子顕微鏡写真観察において、素地鋼板組成の2倍以上のCrおよび/またはMnを含有するCr−Mn濃化相が占有する界面の総長さが、前記観察された界面の全長の80%以下であれば、周囲に濡れ性の良い金属Feが存在するので、不めっきが発生しないことが判明したのである。尚、前記Cr−Mn濃化相が占有する界面の総長さは、前記観察された界面全長の60%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下である。
【0017】
ここで、前記Cr−Mn濃化相におけるCrおよび/またはMnの含有量を素地鋼板の2倍以上としたのは、次の様な理由からである。即ち、濃化相は酸化物であり、例えば前記酸化物がCrOの場合、化学量論組成ではCr=61%となるが、実際には組成のずれや他の元素が含有される可能性もあり、例えばビーム径:10nm、厚さ:100nmの条件のエネルギー分散型X線分光器(EDS)にて実測される分析値では、周辺に存在する相の影響も受けるので、めっき性を阻害するCr,Mn酸化物が存在しても実測されるCrやMnの濃度は上記化学量論組成よりも見かけ上低くなる。しかしながら、本発明者らが検討したところによれば、めっき性を阻害するCr−Mn酸化物が存在すれば、EDSにて素地鋼板組成の2倍以上の濃度でCrやMnの濃度が観察されることを突き止めたのである。
【0018】
前述の如く、上記の様な界面状態を実現するには、Cr−Mn濃化相を素地鋼板内に形成させ、めっき/素地鋼板界面へのCr−Mn濃化量を低減することが有効である。
【0020】
また、前記粒界中のCrおよび/またはMn量が多い方が、即ち、個々の濃化相とその粒界に占める割合が大きい方が、表面濃化の抑制効果は大きいと考えられる。従って、より安定しためっき性改善効果を得るには、画像解析したときの大きさが25nm2以上のCr−Mn濃化相が存在することが好ましく、更にそのCr−Mn濃化相が粒界に占める割合としては、前記界面から1μm以内の素地鋼板粒界において、前記Cr−Mn濃化相の粒界上の全長さ(粒界に沿った長さ)が、素地鋼板の粒界全長さの10%以上であることが好ましい。尚、前記観察部位を前記界面から1μm以内の素地鋼板粒界としたのは、粒界に沿って析出するCr−Mn濃化相の多くが前記界面から1μm以内に存在するためであり、この範囲内を本発明の如く制御すれば十分な効果が得られると考えられるからである。
【0021】
前記濃化相の大きさは、35nm2以上であることがより好ましく、また前記界面から1μm以内の素地鋼板粒界において、前記Cr−Mn濃化相の粒界上の全長さが、素地鋼板の粒界全長さの15%以上であることがより好ましい。
【0022】
上記の素地鋼板粒界におけるCr−Mnの濃化相の観察には、透過型電子顕微鏡を用いることが有効である。これは、鋼板のCr,Mn含有量によっては、走査型電子顕微鏡観察ではその存在が確認できない微細なCr−Mn濃化相が素地粒界に存在し、この様な組織が表面へのCr,Mn濃化抑制効果を発揮する場合もあるが、透過型電子顕微鏡であればこの様な微細な相の観察にも適しているからである。
【0023】
前記図2に示した様な断面構造は、還元焼鈍前の酸化処理および還元焼鈍の条件を制御することによって実現可能であり、後記実施例に示すように、鋼中のCr,Mn量等に応じて適宜酸化条件や還元条件を決定すればよいが、具体的には、概ね10%以上の酸素を含む雰囲気中、680℃以上、15秒間以上の条件で酸化処理を行った後、露点−10℃以下、H2濃度5%以上の雰囲気中、750℃以上、30秒間以上の条件で還元処理を行うことが大変有効である。
【0024】
本発明で用いる素地鋼板は、基本成分としてCr,Mnを含有するものであり、これらCr,Mnはめっき阻害元素であるから、これらの含有量の下限はめっき性の観点からは制約されないが、焼き入れ性を高めて強度を向上させ、かつ加工性も同時に向上させるという効果を発揮させるには、Crで0.13%以上、好ましくは0.15%以上、より好ましくは0.17%以上、およびMnで0.2%以上含有させる必要がある。しかしながら、これらの含有量が過剰になると、めっき性だけでなく加工性も低下していくので、Crで1.0%以下、好ましくは0.9%以下、より好ましくは0.7%以下、Mnで3.5%以下、好ましくは3.2%以下、より好ましくは2.8%以下とすべきである。
【0025】
尚、上記Cr,Mn以外の成分として、本発明で用いる鋼板にはC,Al,P,S等の基本成分の他、必要によってSi,Ti,Nb,Mo,V,Zr,N,B等の各種元素が含まれるが、これらの含有量については特に限定するものではなく、素地鋼板として通常含有される程度であれば良い。尚、上記元素のうち、特にSiはめっき性を阻害する元素であるが、本発明によると、ある程度の添加は可能である。しかし過剰に含有させるとめっき性が低下するため、0.05%未満にとどめておくことが望ましい。
【0026】
本発明で用いる素地鋼板は、これらの元素以外に、その特性に影響を与えない程度の微量成分も含み得るものであり、こうした鋼板も本発明で用いる素地鋼板に含まれる。
【0027】
また、本発明で用いることのできる素地鋼板の厚みは、特に限定されるものではないが、通常使用される溶融亜鉛めっき鋼板としては、0.6〜3.0mm程度の厚みのものが一般的であり、この様な厚みの鋼板に本発明を適用すれば、後記実施例に示す様な好適な結果が得られる。
【0028】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0029】
【実施例】
下記表1に示すCrおよびMnを含有し、実質的にSiを含まない各種鋼板を用いて、溶融めっきシミュレータにて表1中に示した酸化条件(O2濃度および温度)で40秒間の酸化処理を行った後、同じく表1に示した還元条件(H2濃度および露点)で800℃×60秒間の還元処理を行い、引き続き溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、室温まで空冷して各種溶融亜鉛めっき鋼板を得た。この場合の鋼板の板厚は0.6mmとした。
【0030】
上記の様にして得られた溶融亜鉛めっき鋼板について、めっき性を評価した。このときめっき性の評価は、目視によって行い、◎:不めっきなしで非常に良好なめっき外観を得ることができた、○:不めっきなし、×:不めっきあり、とし◎および○を合格とした。また、各試験片の引張強さTSおよび伸びElを測定し、その積(TS×El)によって機械的特性を評価し、15000以上を合格と判断した。更に、素地鋼板粒界のCr−Mn濃化相および界面のCr−Mn濃化相の夫々の割合については、透過型電子顕微鏡写真および走査型電子顕微鏡写真の反射電子像写真によって測定した。これらの結果を、前記酸化条件および還元条件と共に一括して下記表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1より、本発明で規定する要件を満足するNo.1〜9では、機械的特性を劣化させることなく、優れためっき性が発揮されていることが分かる。これに対し、本発明の規定要件を満たさないNo.10〜15は、めっき性または機械的特性のいずれかが劣る結果となった。即ち、No.10,11,14および15では、素地鋼板粒界にCr−Mn濃化相があまり生成されず、界面のCr−Mn濃化相が多くなったのでめっき性の劣るものとなってしまった。特にNo.11は、Cr,Mnの含有量がいずれも過剰になっているので、加工性も劣化する結果となった。また、No.12および13は、素地鋼板中のMn、Cr量がいずれも本発明の規定量より少ないので、優れた機械的特性を確保することができなかった。
【0033】
図3(図面代用顕微鏡写真)は、良好なめっき性を示したNo.1のめっき後断面における透過型電子顕微鏡観察結果を示している。また、図4(図面代用顕微鏡写真)は、めっき性の劣るNo.10のめっき後断面における透過型電子顕微鏡観察結果を示している。観察用の試料は、めっき界面を含む約5μm×5μmの断面を、集束イオンビーム(FIB)により約0.1μmの厚さに加工して作製した。
【0034】
いずれも界面に暗く見える相があり、これは素地鋼板組成と比べて平均原子番号の小さい酸化物相を示している。これらの反射像において、全長50μmの界面についての酸化物相の占める比率を測定した結果、No.1ではその比率が80%以下であるので良好なめっき性を示しており、酸化物比率の大きいNo.10のものでは不めっきが発生していた。
【0035】
この図3に示した分析位置1〜3の元素分析結果(成分組成)を下記表2に、また、図4に示した分析位置1の元素分析結果(成分組成)を下記表3に示す。このときの元素分析は、エネルギー分散型X線分光器を備えた電界放出型透過電子顕微鏡[HF2000:(株)日立製作所製]によって、加速電圧:200kV、電子ビーム径:約20nmで行なった。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
図3および表2の結果から明らかな様に、良好なめっき性を示したNo.1では、図3中の分析位置1に示す素地鋼板のCr,Mn量と比較して、分析位置2および分析位置3のCr,Mn量が多く、素地鋼板粒界に沿ってCr−Mnの濃化相が形成されていることが分かる。またこの図3において、めっき/素地鋼板界面の全長50μmに対して濃化相の占める割合を調べた結果、80%以下であった。この様な傾向は、No.2〜9においても認められ、こうした相構造により良好なめっき性が発揮されたものと考えられる。
【0039】
これに対し、めっき性に劣るNo.10では、図4および表3の結果から明らかな様に素地鋼板の粒界にCr−Mnの濃化相が認められず、めっき/素地鋼板界面にCr−Mnの濃化相が連続的に存在している。また、めっき/素地鋼板界面の全長50μmに対する濃化相の占める割合を調べた結果、80%以上であった。こうした断面構造は、No.11,14および15でも認められた。
【0040】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、不めっきが生じ易いとされるCrやMnを、高張力化と加工性を両立させる為に比較的多く含有させた鋼板を素地鋼板とした場合であっても、Cr−Mn濃化相の状態を適切に制御することによって、不めっきの生じない溶融亜鉛めっき鋼板を実現することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の溶融亜鉛めっき鋼板における界面近傍の断面構造を模式的に示した図である。
【図2】本発明の溶融亜鉛めっき鋼板における界面近傍の断面構造を模式的に示した図である。
【図3】No.1のめっき後断面における電界放出型SEM観察結果を示した図面代用顕微鏡写真である。
【図4】No.10のめっき後断面における透過型電子顕微鏡観察結果を示した図面代用顕微鏡写真である。
Claims (2)
- Cr:0.13〜1.0%(質量%の意味、以下同じ)およびMn:0.2〜3.5%を夫々含有し、Si:0.05%未満である素地鋼板表面に溶融亜鉛めっき層の形成されたものであって、
上記素地鋼板と上記溶融亜鉛めっき層との界面の一部に、素地鋼板組成の2倍以上のCrおよび/またはMnを含有するCr−Mn濃化相(以下、Cr−Mn濃化相という)が、下記(a)を満たす態様で形成されていると共に、
素地鋼板粒界の一部に、上記Cr−Mn濃化相が、下記(b)を満たす態様で形成されていることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板。
(a)上記界面と直交する方向の断面における該界面の長さが50μm以上含まれる領域の電子顕微鏡写真観察において、上記Cr−Mn濃化相が占有する界面の総長さが、前記観察された界面の長さの80%以下であること。
(b)前記界面から1μm以内の素地鋼板粒界における上記Cr−Mn濃化相の粒界上の全長さが素地鋼板粒界全長さの10%以上を占めること。 - 前記Cr−Mn濃化相を画像解析したときの大きさが25nm2以上である請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板。
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