JP3860741B2 - 衝撃吸収柵および衝撃吸収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は落石、雪崩、崩落土砂等の衝撃力を吸収する衝撃吸収柵および衝撃吸収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
衝撃吸収柵は斜面に所定の間隔を隔てて立設した支柱と、これらの支柱間に横架したロープ製の防護ネットを基本的な構成要素とする。
防護ネットとしては摩擦抵抗式の緩衝具を用いロープと緩衝具間の摺動抵抗により衝撃を吸収する「スリップタイプ」と、摺動しない「ノンスリップタイプ」が知られている。
スリップタイプは図17に示すように交差させたロープdの交差部に緩衝具eを設ける形態と、図18に示すように各支柱fに設けた複数の緩衝具e間に跨って水平ロープgの端部と中間部を把持させる形態と、図19の如く各支柱f,f間単位で水平ロープgの両端部を緩衝具eに把持させる形態が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の衝撃吸収柵にはつぎのような問題点がある。
<イ>ノンスリップタイプはスリップタイプに比べて防護ネットによる衝撃吸収性能が低いだけでなく、柵全体を大型で大重量に設計する必要があり、衝撃吸収コストが高くつく難点がある。
<ロ>スリップタイプはノンスリップに対して受撃時における防護ネットの変形量が大きくなるため、柵の設置現場が各種交通機関施設(道路や線路)や住宅等に接近する場合は採用が見送られ、設置現場に制約を受ける。
さらに多数の緩衝具を用いるため、緩衝具の設置作業やロープの把持作業に多くの手数と時間がかかる。
<ハ>両タイプ共に共通する難点としては防護ネットが一重であり、しかも使用可能なロープ径に制限があるため、受撃性能の飛躍的向上に限界がある。
<ニ>防護ネットが所定の間隔を隔てて複数の水平ロープを多段的に配置した形態である場合は、水平ロープ間の口開き防止対策を講じる必要が、好適な技術が未だ提案されていない。
【0004】
本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ロープ間の口開きを一定に規制しつつ、高い衝撃吸収性能を発揮できる衝撃吸収技術を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項1に係る発明は、所定の間隔を隔てて立設した支柱間に複数のロープを多段的に横架した衝撃吸収柵において、多段的に配置した複数のロープに跨り、ロープの交差方向に向けて波状の連結材を配置し、前記多段的に配置したロープと該連結材と交差部を締結具で締結したことを特徴とする、衝撃吸収柵である。
請求項2に係る発明は、所定の間隔を隔てて立設した支柱と、前記支柱間に巻き掛け可能な長さのロープの端部近くを緩衝具で摺動可能に把持した緩衝機能を有する複数の防護ループと、複数の防護ループに跨り、防護ループの交差方向に配置する波状の連結材とよりなり、前記防護ループを前記支柱間に多段的に巻き掛けて横架すると共に、前記多段的に巻き掛けた複数の防護ループの片面または両面に前記連結材を交差方向に配置して、該連結材と防護ループの交差部を締結具で締結したことを特徴とする、衝撃吸収柵である。
請求項3に係る発明は、請求項2において、支柱を共有しつつ隣り合う支柱間に防護ループを連鎖的に巻き掛けて横架したことを特徴とする、衝撃吸収柵。
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3において、防護ループが支柱間に複数回巻き掛け可能なロープ長を有することを特徴とする、衝撃吸収柵である。
【0006】
また前記した何れかにおいて、ロープまたは防護ループと横断材との交差部を、摺動可能に締結し、この交差部の摺動抵抗により衝撃を吸収するようにしてもよい。
また請求項5または請求項6に係る発明において、複数のロープまたは防護ループで構成するで受撃面に金網を追加して配置して、衝撃吸収性能を高めると共に落石等の捕捉性をよくしてもよい。
【0007】
請求項5に係る発明は、所定の間隔を隔てて立設した支柱間に複数のロープを多段的に横架し、多段的に配置した複数のロープに跨り、ロープの交差方向に向けて波状の連結材を配置し、前記多段的に配置したロープと該連結材と交差部を締結具で締結し、前記連結材により防護ループ間の口開きを一定に制限しつつ、連結材の塑性変形により衝撃を吸収することを特徴とする、衝撃吸収方法である。
請求項6に係る発明は、ロープの端部近くを緩衝具で摺動可能に把持して防護ループを形成し、所定の間隔を隔てて立設した支柱間に前記防護ループを多段的に巻き掛け、前記複数の防護ループの片面または両面に前記連結材を交差方向に配置すると共に、防護ループと連結材の交差部を締結具で締結し、前記防護ループによる緩衝作用と、防護ループと支柱の摺動抵抗と、連結材の塑性変形による緩衝作用により衝撃を吸収することと共に、前記連結材によりロープ間の口開きを一定に制限することを特徴とする、衝撃吸収方法である。
【0008】
また前記した請求項5または請求項6において、ロープまたは防護ループと横断材の交差部を、摺動可能に締結し、この交差部の摺動抵抗により衝撃を吸収するようにしてもよい。
また請求項5または請求項6に係る発明において、複数のロープまたは防護ループで構成するで受撃面に金網を追加して配置して、衝撃吸収性能を高めると共に落石等の捕捉性をよくしてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態1】
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
<イ>衝撃吸収柵の構成
図1に一部を破断した衝撃吸収柵10の谷側から山側を視た側面図を示す。
本発明に係る衝撃吸収柵10は所定の間隔を隔てて立設した複数の支柱20と、これらの支柱20,20間にループ状に巻き掛けて横架した防護ループ30と、防護ループ30の端部近くを把持した摩擦抵抗式の緩衝具40と、各防護ループ30に跨って取り付けた横断材50とを基本の構成要素とする。
【0011】
本例では各支柱20の上部間を水平竿60で連結すると共に、防護ループ30群の片面に菱形の金網70を取り付けた場合について説明するが、水平竿60や金網70を省略する場合もある。
【0012】
<ロ>支柱
図2に拡大して示すように、支柱20は例えば鋼管、コンクリート充填鋼管、コンクリート柱、弾性支柱等で、防護ループ30の巻き掛け予定面を曲面として形成するとよい。
支柱20の側面にはU字形の位置用決突起21を長さ方向に沿って多段的に設け、各位置決突起21に防護ループ30を挿通して滑り落ちを防止する。
より望ましくは、支柱20の上方に対して下方へ行くほど位置決用突起21の形成ピッチを狭くすると、小径落石の捕捉対応性がよくなる。
具体的には、予想される落石の大きさや雪崩と落石の別等を考慮して、防護ループ30の上下方向の配設間隔を適宜選択して決定する。また突起に代えて窪みでもよい。
【0013】
また支柱20の下部は地面やコンクリート基礎に傾倒不能に支持させてもよいが、ヒンジ構造を採用して傾倒可能に支持するようにしてもよい。
支柱20を傾倒可能に構成する場合は、緩衝具を間に介在して控えロープと組み合わせる必要がある。
【0014】
<ハ>防護ループ
防護ループ30は引張耐力に優れた例えばPC鋼線、PCより鋼線等のロープで、隣り合う各支柱20,20間に水平方向に向けて弛みがなくループ状に巻き掛け、ロープの両端部近くの重合部を緩衝具40で把持する。ロープの端にはストッパを設けて緩衝具40からの抜け出しを規制する。
各防護ループ30の緩衝具40の把持位置より延出するロープ範囲を余長部31,31として形成する。余長部31,31の設定長によって受撃時における防護ループ30の摺動(スリップ)距離が決まる。
【0015】
支柱20が3本以上の場合、端末の支柱を除き、端末支柱の間に位置する各支柱20には両方向から防護ループ30,30が巻き掛けられることになる。
各支柱20が左右の防護ループ30,30に対して共有関係となるように防護ループ30を連鎖的に巻き掛けて横架する。
【0016】
また支柱間に一本のロープを横架した従来の柵と同程度の衝撃吸収性能を確保するのであれば、防護ロープ30を構成するロープが多重配置となり、しかもループの形成範囲において力の伝達と分散が可能であるから、防護ループ30のロープ径を小さくできる。
【0017】
<ニ>緩衝具
緩衝具40は防護ループ30の重合部を把持し、防護ループ30に作用する引張力が、把持部の摩擦抵抗力を超えたときにロープの摺動を許容して衝撃力を減衰する器具である。
図3,4に例示した緩衝具40は、ばね鋼板の中央を折り返して断面球根状に形成した拘束板41と、拘束板41内に介挿して内空を二分し、ロープの収容空間を画成する仕切板42と、拘束板41の自由端を収縮方向に締付け、拘束板41と仕切板42とにより防護ロープ30を接面させて締付ける複数のボルト43とナット44とよりなる。
そして、拘束板41へ作用させたボルトの締付力を両ロープに均等な拘束力として作用させ、各ロープの周面に圧接させた拘束板41と仕切板42との接触部の摩擦抵抗によりロープに作用する引張力を減衰し得る構造になっている。
【0018】
図示した緩衝具40は一枚ものの板体で形成することにより、拘束板41のばね力を利用して均等な力で拘束できると共に、数十キロにも及ぶ重量物である従前の鋳鉄製の緩衝装置と比べて小型軽量であるから、運搬や組付けが容易であるといった利点がある。
【0019】
緩衝具40としては、図示した他に、防護ループ30の重合部を把持可能な複数の板材と、これらの板材の間を締結可能なボルトとによりなる公知の摩擦抵抗式の緩衝具も使用可能である。
【0020】
<ホ>横断材
横断材50は、波状を呈する細帯状または棒状の部材で、複数の防護ループ30に跨って取り付け可能な長さを有する。
複数の防護ループ30,30……に跨って横断材50を配置するのは、各防護ループ30の設置間隔を保持するためと、隣り合う防護ループ30相互間で力を伝達し合うためと、各防護ループ30の前後のロープが透過するのを阻止するためと、多段的に配置した防護ループ30の受撃空間(領域)を小さく区画して小さな衝突物を受け止め易くするためである。
【0021】
また波状に形成するのは、図6に縦方向の矢印で示すように受撃時に横断材50の伸張方向へ向けた変形により衝撃エネルギーを吸収するためである。
各隣り合う防護ループ30間に位置する波状部が直線状に延びきったときに、防護ループ30の間隔が最大となり、各隣り合う防護ループ30間がそれ以上口開きするのを規制する。
したがって、横断材50の波状は本例に示すように全長に亘り連続して形成することが有利であるが、直線状の横断材50の一部に波状箇所を形成してもよい。
【0022】
横断材50の素材としては、例えば鋼材などの塑性変形する素材やばね鋼などの弾性変形する素材が使用可能であり、その素材は特に制限を受けない。
【0023】
横断材50の取り付けに当たっては、図5に示すように水平竿60に垂下した分岐材51の下端に、相対向させた一対の横断材50,50の上端を連結する。分岐材51と各横断材50を連続素材で一体ものとして形成したり、別体のものを溶接したりしてもよいが、図示するように内側に配置したコの字形の間隔保持材を兼ねた受板52と、防護ループ30の各ロープを収容可能なUボルト53およびナット54と組み合わせて連結してもよい。
すなわち、横断材50、分岐材51、受板52の三部材の重合部にボルト孔を穿設しておく。ロープを収容したUボルト53を、これら三部材50,51,52に差し込んでナット54で締結する。
【0024】
最上位を除いた他の防護ループ30については、図6に示すように矩形の受板55とUボルト53、ナット54の組み合わせにより多段的に配置したロープと横断材50の交差部を保持する。
【0025】
防護ループ30の各ロープを横断材50の谷部に収容してUボルト53で締め付けることで、ロープ周面と広い接触面積を確保して締め付けできる。
またその締結力は、ロープと横断材50の何れかに締結力を超える外力が作用したときに相対的に摺動可能なように設定しておくと、この摺動抵抗によりエネルギーを吸収することも可能である。
【0026】
【作用】
つぎに図7の上方から下方へ向けて各種の衝撃力Fが衝撃吸収柵10に作用した場合における衝撃吸収作用について説明する。
【0027】
<イ>衝突初期
金網70を介して多段的に配置した防護ループ30の前面(緩衝具40を設けていない側)に衝撃力Fが作用する。
この衝撃力Fは、支柱20への巻き掛け部を通じて防護ループ30の背面(緩衝具40を設けた側)へ伝わり、防護ループ30のループ全長に亘って均等な引張力として作用する。
また横断材50が多段的に配置した複数の防護ループ30,30……と交差して小さく区画するため、衝撃力Fが小さな落石であっても透過させずに受け止めることが可能となる。
この引張力が防護ループ30の緩衝具40の把持力を超えない範囲ではロープに摺動が起きず、したがって防護ループ30のループ長は変わらない。
【0028】
隣り合う防護ループ30,30は支柱20を介して力の伝達が可能であるから、衝撃力Fが直接作用しない部位の防護ループ30や支柱20に衝撃力Fが伝達し、複数の防護ループ30と複数の支柱20とにより分散して支持される。
【0029】
<ロ>衝撃の吸収
金網70と防護ループ30の変形強度により衝撃力Fをある程度吸収できるが、本発明に係る衝撃吸収柵10は、主に以降に示す複数の衝撃吸収作用により衝撃力Fを吸収するものである。
【0030】
▲1▼横断材の変形による衝撃吸収作用
衝撃力Fは上下の防護ループ30間の間隔を押し広げようとする力として作用する。この力が横断材50の変形強度を超えると、図6に示す如く横断材50が変形して一定の長さだけ伸張する。この横断材50の伸張時の変形抵抗により衝撃力Fを吸収する。
横断材50の伸張に伴い、上下の防護ループ30,30の間隔は若干広がるが、横断材の伸張が最大に達すると、防護ループ30の間隔は一定に規制される。
【0031】
▲2▼横断材とロープの摺動による衝撃吸収作用
衝撃力Fは交差関係にある防護ループ30のロープと横断材50とをロープに沿ってずらそうとする力として作用する。
この力が防護ループ30のロープと横断材50の交差部を締結する締結力を超えると、両部材30,50の間で摺動し、この摺動抵抗により衝撃力Fを吸収する。
【0032】
▲3▼緩衝具による衝撃吸収作用
衝撃力Fが緩衝具40の把持力を超えると、防護ループ30を構成するロープと緩衝具40との間で摺動(スリップ)し、摺動中の摩擦抵抗により衝撃力Fを効果的に吸収する。
【0033】
▲4▼防護ループと支柱間の摺動抵抗による衝撃吸収作用
ロープと緩衝具40との間の摺動開始に伴い、防護ループ30のループ長が長くなり、防護ループ30と支柱20の側面との巻き掛け部においても摺動が起きる。この巻き掛け部の摩擦抵抗によっても衝撃力Fの吸収作用が進行する。
【0034】
上記した複数の衝撃吸収作用は、余長部31,31が短くなってストッパが緩衝具40に当接するまで可能である。
【0035】
<ハ>横断材の他の作用
横断材50は衝撃力Fの吸収に役立つことに加えて次のようにも作用する。
図8に示すように防護ループ30の伸張に伴い、一対の横断材50,50が夫々ロープによって相互に逆方向に引き摺られて横方向に変形する。その結果、受撃前まで重なり合っていた一対の横断材50,50が開き合い、多段的に配置した各防護ループ30,30……の区画範囲をさらに小さく変化させる。
そのため、衝撃力Fが落石の場合は後続の小さな落石の透過を阻止して同様に緩衝する。
【0036】
また図9は多段的に配置した防護ループ30,30が伸張して側方へはらみ出たときの柵の断面図を示す。
多段的に配置した防護ループ30,30のうち、前面側に配置した図面右方の横断材50が背面側のロープ30b,30cに当接してそれ以上のはらみ出しを規制する。
【0037】
また防護ループ30を構成する前面側のロープ30aが側方へはらみ出る場合、真横に水平移動するケースは少なく、上下何れかの方向に寄って移動する。そのため、前面側のロープ30aが背面側のロープ30b,30cの間に入り込み、防護ループ30の設置間隔より狭い間隔でロープが横方向に配列されることになる。すなわち、衝撃力Fの作用前と比べてロープ30a,30bの配置間隔が実質的に狭くなる。
以上は便宜的に前面側のロープを基準に説明したが、背面側のロープを基準にしても同様にロープの間に他のロープが入り込む。
横向きのロープの配置間隔が狭くなると、金網70の荷重負担を軽減できるだけでなく、小径落石の捕捉性が良くなる。
【0038】
<ニ>ロープの張出量が小さい理由
また以降に説明するように本発明に係る衝撃吸収柵10は、防護ループ30の側方への張出量が小さて済む。
【0039】
図10は各支柱に一端を固定してロープを配置し、両ロープの重合部の中央を図示しない緩衝具で把持して構成するシングルタイプの対比用衝撃吸収柵のモデル図を示す。
同図の(A)は受撃前の状態を示し、同時の(B)は受撃後の状態を示す。支柱間の距離Lを例えば6m、ロープの余長部の距離lを0.5mとした場合、受撃後のロープの張出量Δy1は1.25mとなる。
【0040】
図11は各支柱間に防護ループを掛け渡した本発明に係る衝撃吸収柵のモデル図を示すもので、同図の(A)は受撃前の状態を示し、同時の(B)は受撃後の状態を示す。
支柱間の距離Lを例えば6m、ロープの余長部の距離lを0.5mとした場合、受撃後のロープの張出量Δy2は0.875mとなる。但し計算を簡単にするため防護ループの巻き掛け部の長さは無視した。
【0041】
このように摺動量(エネルギー吸収量)が同じ場合におけるロープの張出量は、本発明のように防護ループ30の方が小さく、衝撃吸収柵10を道路際等に設置する場合に有利である。
また本発明に係る衝撃吸収柵10はシングルタイプに比べて、ロープの径を小さくできるだけでなく、せん断耐力の点でも勝っている。
【0042】
【発明の実施の形態2】
以降に他の実施の形態について説明するが、その説明に際し、前記した実施の形態1と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0043】
分岐材51を用いないで一対の横断材50,50を複数の防護ループ30,30……に取り付けてもよい。このように取り付けることで分岐材51を省略できて、構成部品点数の削減と取付作業の簡略化が図れる。
【0044】
また前記した実施の形態1では、複数の防護ループ30,30……の前面と背面の両側に一対の横断材50,50を一組として使用する場合について説明したが、防護ループ30の前面(受撃面)または背面の何れか一方の面に設けるようにしても良い。
作用する衝撃力Fが小さな用途に好適である。
【0045】
また連結材50は連続した一枚ものに限定されず、柵の高さ方向に沿って複数に分割した横断材を配置するようにしてもよい。
この場合、分割した横断材50が途中で途切れることなく、多段的に配置した各防護ループ30,30……に亘って力を連続して伝達可能なように分割した複数の横断材を配置する必要がある。
連結材50を分割することで運搬や組付性がよくなる。
【0046】
また横断材50を斜め方向に配置して防護ループ30,30……に取り付けてもよい。
横断材50の配置形態としては、防護ループ30,30……の片面において、傾斜方向を同一方向に揃えて配置するか、波状の如く交互に傾斜方向を変えて配置する。
また防護ループ30,30……の前面と背面とで傾斜方向を変えて配置してもよい。
【0047】
【発明の実施の形態3】
防護ループ30は以降に示す巻き掛け形態であってもよい。
尚、横断材50を配置して設けることは既述した実施の形態と同様である。
【0048】
図12は支柱20,20間に防護ループ30を平面八の字形に配置して巻き掛けた他の形態を示す。
本例にあっては実施の形態1と比べて支柱20に対する防護ループ30の巻き掛け角度(巻き掛け長)が長くなるので、受撃時の摺動抵抗が増して衝撃吸収性能を高めることができる。
【0049】
また図13に示すように防護ループ30を支柱20に全周面に一回または複数回巻き付けると、防護ループ30と支柱20の摺動抵抗が増して衝撃吸収性能をさらに高めることができる。
【0050】
また図14は支柱20,20間の同一高さでロープを二回以上巻き掛け可能な長さにした防護ループ30を用いた他の形態を示す。
【0051】
また図15は支柱20,20の長手方向に沿って防護ループ30を構成するロープを二回以上ジグザグ状に巻き掛けた他の形態を示す。
本例にあっては、防護ループ30の巻き掛け回数が増えた分だけ、衝撃力の分散性が良くなる。
【0052】
図16は支柱20,20の一側に巻掛用の突起体22を多段的に設け、隣り合うこれらの突起体22,22の間に防護ループ30を巻き掛けた他の形態を示す。
本例ではひとつの突起体22にひとつの防護ループ30を巻き掛ける場合を示すが、ひとつの突起体21に支柱20の左右の防護ループ30,30を一緒に巻き掛けて突起体21を共有するようにしてもよい。
【0053】
また受撃時に防護ループ30が外れないよう支柱20の受撃方向と対面する側に防護ループ30を配置したり、突起体22の先端に膨出部を形成したりしておくことが望ましい。
【0054】
衝撃吸収柵に防護ループ30を用いた場合、つぎの利点がある。
<イ>支柱20,20間に緩衝機能を有する防護ループ30を巻き掛けるので、衝撃力の分散性とせん断耐力を改善できて、衝撃吸収性能の高い衝撃吸収柵を提供できる。
<ロ>平面的な防護ネットを配置する柵と比べて、防護ループ30の張出量を低減できるので、道路際等のように張出量に制限がある現場に設置する場合に有利である。
<ハ>緩衝具40の使用数が少なくて済むため、柵の建設に要する時間的、労力的および経済的負担を大幅に軽減することができる。
<ニ>防護ループ30の巻き掛け数に比例して衝撃力の分散性能が増すため、柵全体としての衝撃吸収性能を飛躍的に向上させることができる。
【0055】
【発明の実施の形態4】
以上は支柱間に防護ループ30,30……を巻き掛けて構成する衝撃吸収柵に横断材50を設ける場合について説明したが、所定の間隔を隔てて立設した支柱間に複数のロープを多段的に横架した公知の各種衝撃吸収柵に適用してもよい。この場合、多段的に配置した複数のロープに跨り、ロープの交差方向に向けて波状の連結材を配置すると共に、多段的に配置したロープと各連結材と交差部を締結具で締結する。
連結材によりロープ間の口開きを一定に制限しつつ、連結材の塑性変形とロープとの摺動抵抗とによる緩衝作用により衝撃を吸収することは義手津した実施の形態と同様である。
【0056】
本例にあっては、支柱間に複数のロープを多段的に配置した既設のまたは新設の衝撃吸収柵に適用することができて汎用性に富む。
また横断材を配置するだけで、衝撃吸収性能が格段向上する。
【0057】
【発明の効果】
本発明は、支柱間に架設した複数のロープまたは支柱に多段的に配置した防護ループに交差して、波状の横断材を設けるだけで、ロープの口開きを防止すると共に、横断材の塑性変形により衝撃を効果的に吸収することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る衝撃吸収柵の正面図
【図2】 一部を省略した支柱と防護ループの巻き掛け部の斜視図
【図3】 緩衝具の斜視図
【図4】 緩衝具の中央横断面図
【図5】 一部を省略した横断材の上部の取付状態を示す斜視図
【図6】 横断材と防護ループの交差部の締結構造を示す斜視図
【図7】 衝撃吸収柵の作用説明図
【図8】 受撃時における衝撃吸収柵の正面図
【図9】 図8におけるIX−IXの断面図
【図10】 対比用柵のロープの張出量を説明するためのモデル図で、(A)が受撃前のモデル図、(B)が受撃後のモデル図
【図11】 防護ループの張出量を説明するためのモデル図で、(A)が受撃前のモデル図、(B)が受撃後のモデル図
【図12】 8時形に巻き掛けた他の防護ループの巻き掛け形態の説明図
【図13】 ロープを支柱に巻き付けた他の防護ループの巻き掛け形態の説明図
【図14】 支柱間にロープを多重に巻き掛けた他の防護ループの巻き掛け形態の説明図
【図15】 支柱間にロープをジクザグ状に巻き掛けた他の防護ループの巻き掛け形態の説明図
【図16】 支柱の片側に防護ループを横架した他の実施の形態に係る説明図で、(A)は一部を省略した衝撃吸収柵の平面図、(B)は一部を省略した正面図
【図17】 本発明が前提とする防護ネットの説明図
【図18】 本発明が前提とする衝撃吸収柵の説明図
【図19】 本発明が前提とする他の衝撃吸収柵の説明図
【符号の説明】
10 衝撃吸収柵
20 支柱
30 防護ループ
31 余長部
32 ストッパ
40 緩衝具
50 横断材
Claims (6)
- 所定の間隔を隔てて立設した支柱間に複数のロープを多段的に横架した衝撃吸収柵において、
多段的に配置した複数のロープに跨り、ロープの交差方向に向けて波状の連結材を配置し、
前記多段的に配置したロープと該連結材と交差部を締結具で締結したことを特徴とする、
衝撃吸収柵。 - 所定の間隔を隔てて立設した支柱と、
前記支柱間に巻き掛け可能な長さのロープの端部近くを緩衝具で摺動可能に把持した緩衝機能を有する複数の防護ループと、
複数の防護ループに跨り、防護ループの交差方向に配置する波状の連結材とよりなり、
前記防護ループを前記支柱間に多段的に巻き掛けて横架すると共に、
前記多段的に巻き掛けた複数の防護ループの片面または両面に前記連結材を交差方向に配置して、該連結材と防護ループの交差部を締結具で締結したことを特徴とする、
衝撃吸収柵。 - 請求項2において、支柱を共有しつつ隣り合う支柱間に防護ループを連鎖的に巻き掛けて横架したことを特徴とする、衝撃吸収柵。
- 請求項2または請求項3において、防護ループが支柱間に複数回巻き掛け可能なロープ長を有することを特徴とする、衝撃吸収柵。
- 所定の間隔を隔てて立設した支柱間に複数のロープを多段的に横架し、
多段的に配置した複数のロープに跨り、ロープの交差方向に向けて波状の連結材を配置し、
前記多段的に配置したロープと該連結材と交差部を締結具で締結し、
前記連結材により防護ループ間の口開きを一定に制限しつつ、
連結材の塑性変形により衝撃を吸収することを特徴とする、
衝撃吸収方法。 - ロープの端部近くを緩衝具で摺動可能に把持して防護ループを形成し、
所定の間隔を隔てて立設した支柱間に前記防護ループを多段的に巻き掛け、
前記複数の防護ループの片面または両面に前記連結材を交差方向に配置すると共に、防護ループと連結材の交差部を締結具で締結し、
前記防護ループによる緩衝作用と、防護ループと支柱の摺動抵抗と、連結材の塑性変形による緩衝作用により衝撃を吸収することと共に、
前記連結材によりロープ間の口開きを一定に制限することを特徴とする、
衝撃吸収方法。
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