JP3860342B2 - ヘリコプター用制振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ヘリコプターのローターの回転によって発生する振動を流体の移動によって低減させる、ヘリコプター用制振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヘリコプターのローターシステムは一般に、複数枚のローターブレードおよびそれらのローターブレードの基端部をそれらの長手方向軸線周りにピッチ角変更可能に支持するローターヘッドを有し、機体から上方へ突出したローターシャフトの上端部に結合されてエンジンにより回転駆動されるローターと、そのローターの回転中に各ローターブレードのピッチ角を機体に対するそのローターブレードの回転方向位置の変化に応じて連続的に変化させるピッチ制御リンク機構とを具えており、かかるローターシステムは、ローターブレードの遠心力の不釣り合い等によるローターのアンバランスや、ローターブレードの空気力加振による振動その他により、ローターの回転中、ローターにその回転軸線方向および回転軸線と交差する方向の振動を発生させる。
【0003】
このような振動は、そのままではヘリコプターの乗り心地を損ない、乗員に不快感を与えるので、ヘリコプターには多くの場合、ローターの振動を低減させる制振装置が設けられており、かかる制振装置としては従来、例えば社団法人日本航空技術協会が1993年 5月10日に発行した新航空工学講座5「ヘリコプタ」第2版の第8章「振動および防振装置」に記載されている、ローターブレードの基端部にダンパーマスとなる振り子を上下揺動可能に取り付けたりローターヘッドの上にダンパーマスとなる星型の錘をローターの軸線方向と交差する方向へ移動可能に支持したりしたダイナミックダンパー型の制振装置や、ローターシャフトの下端部を支持および回転駆動するトランスミッションを複数本のビームにより上下動や揺動可能に支持するとともにそれらのビームを振動の節の位置で機体に連結することで機体に伝達される振動を低減させるノーダル・ビーム型の装置が知られており、その他、振動部分をアクチュエータによりその振動方向と逆方向に積極的に振動させて振動を打ち消す能動型制振装置も検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の制振装置は、ローターブレードやローターヘッドにダンパーマスとなる振り子や錘を揺動可能あるいは移動可能に支持するダイナミックダンパー型のものでは、それらの振り子や錘を移動可能に支持する機構の保守作業に手間がかかるという問題があるとともに、振動を効果的に低減させるためのそれらの振り子や錘の重量の調整が容易でないという問題があり、そしてノーダル・ビーム型の装置や能動型制振装置では、構造が複雑になって製造に費用が嵩むとともに保守作業に手間がかかり、しかも装置が大型化するので占有スペースが嵩むとともに重量も嵩むという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
この発明は、ダイナミックダンパー型の制振装置の構成を改良することで上記課題を有利に解決した制振装置を提供することを目的とするものであり、この発明のヘリコプター用制振装置は、ヘリコプターのローターヘッドに一体的に固定されるとともに内部に流体収容室を有する流体容器と、その流体容器の流体収容室内に収容される、その流体収容室の容積よりも少ない量の流体と、を具えるヘリコプター用制振装置であって、前記流体収容室が、前記ローターヘッドの中心軸線に一致する中心軸線を中心とした回転体状をなす内壁面と、前記内壁面の少なくとも周辺部から内方へ突出して前記流体の自励振動を抑制する凸部と、を有し、前記内壁面が少なくともその周辺部に、前記中心軸線から離れるにつれてその中心軸線の延在方向に互いに接近する二つの裁頭円錐状の傾斜面を持っているものである。
【0006】
かかる制振装置にあっては、ヘリコプターのローターヘッドが回転して、そのローターヘッドに一体的に固定された流体容器が回転すると、その流体容器の流体収容室内の流体が、流体収容室の内壁面との接触によってその内壁面の周方向に付勢されて流体容器と一緒に回転し、その流体に加わる遠心力で、流体収容室の、ローターヘッドの中心軸線に一致する中心軸線を中心とした回転体状をなす内壁面の周辺部に押しつけられる。
【0007】
しかして、流体が流体容器と一緒に回転している間に、ローターヘッドの中心軸線の実際の回転軸線からの偏心等により流体容器がローターヘッドの中心軸線と交差する方向へ移動すると、技術分野がこれと全く異なるが洗濯機の脱水籠に設けるものとして知られている液体式バランサーにおけるように、流体がその流体容器の移動方向と反対の方向へ流体収容室内で集まる。これにより、流体容器がローターヘッドの中心軸線と交差する方向へ振動すると流体が逆位相で振動してダイナミックダンパーのダンパーマスとして作用するので、ローターヘッドの中心軸線と交差する方向の流体容器の振動が制振され、ひいてはその中心軸線と交差する方向のローターの振動が制振される。
【0008】
また流体が流体容器と一緒に回転している間に、流体容器がローターヘッドの中心軸線の延在方向へ移動すると、流体が慣性力で、流体収容室の回転体状の内壁面の少なくとも周辺部の、中心軸線から離れるにつれてその中心軸線の延在方向に互いに接近する二つの裁頭円錐状の傾斜面のうちの、その流体容器の移動方向と逆側の裁頭円錐状の傾斜面(例えば流体容器の移動方向が上方の場合は下側の裁頭円錐状の傾斜面)に沿って半径方向内方へ移動し、次いでその流体に加わる遠心力で、流体にその逆側の裁頭円錐状の傾斜面に沿って半径方向外方へ戻ろうとする復元力が生じ、その復元力により流体が上記逆側の裁頭円錐状の傾斜面を押圧し、ひいては流体容器をその移動方向と逆の方向(例えば流体容器の移動方向が上方の場合は下方)へ押圧する。これにより、流体容器がローターヘッドの回転軸線の延在方向へ振動すると流体が逆位相で振動してダイナミックダンパーのダンパーマスとして作用するので、その流体容器の振動が制振され、ひいてはその中心軸線の延在方向のローターの振動が制振される。
【0009】
従って、この発明の制振装置によれば、ローターの、中心軸線と交差する方向の振動と、中心軸線の延在方向の振動とを共に効果的に制振することができ、しかも、この発明の制振装置によれば、ダンパーマスとして作用する流体を流体容器の流体収容室内に収容して移動可能に支持する構造ゆえ、保守作業を要する機構的な部分が全くないので、保守作業に手間がかかることなしに長期間信頼性を維持し、また振動を効果的に低減させるためのダンパーマスの調整も、流体収容室内に収容する流体の量を増減させたり、その流体の粘度を異ならせたりすることで容易に行うことができる。
【0010】
そしてこの発明の制振装置によれば、上記のようにダンパーマスとして作用する流体を流体容器の流体収容室内に収容して移動可能に支持するという簡易な構造ゆえ、安価に製造でき、しかも装置がコンパクト化するので、占有スペースや重量増も僅かなもので済ませることができる。
【0011】
さらに、この発明においては、前記流体収容室が、前記内壁面の少なくとも周辺部から内方へ突出して前記流体の自励振動を抑制する凸部を有しており、かかる凸部によれば、流体を、流体収容室の内壁面の周方向に効果的に付勢し得るので、流体容器の回転速度が急に変化しても流体を確実に流体容器と供回りさせることができ、しかも、流体容器がローターヘッドの中心軸線と交差する方向へ移動した際にはその流体容器の移動方向と反対の方向へ流体が凸部を避けながら集まり、そして流体容器がローターヘッドの中心軸線の延在方向へ移動した際にはその流体容器の移動方向と反対の方向へ流体が凸部を避けながら集まるので、流体の自励振動を抑制し得て、当該装置の制振作用をより効果的なものとすることができる。
【0012】
なお、この発明においては、前記凸部は、一つまたは複数の貫通孔を持つ隔壁であっても良く、かかる隔壁によれば、上述した凸部の作用をより確実に生ずるので、当該装置の制振作用をより効果的なものとすることができる。
【0013】
また、この発明においては、前記流体は、粘度が水よりも大きい非揮発性の液体、好ましくはシリコンオイルであっても良く、かかる液体、好ましくはシリコンオイルを用いれば、常温において非揮発性で粘度が水よりも大きいゆえ、流体に水を用いる場合と比較して制振作用をより安定して確実に得ることができる。但し、この発明における流体はこれに限定されるものでなく、ダンパーマスとなり得る程度の質量を持つものであれば、例えば粒状物の集合体でも良い。
【0014】
さらにこの発明においては、前記流体容器は、例えば前記ローターヘッドの内部に収容されて設けられたものでも良いが、前記ローターヘッドと別体に形成された、上面が凸形状の円盤状の外形をなすものであっても良く、かかる流体容器を用いれば、ローターヘッドと別体に形成されているゆえ、既存のヘリコプターのローターヘッドにも容易に設置し得て汎用性を高めることができ、しかも外形が上面が凸形状の円盤状ゆえ、その流体容器自体を容易にバランス良く製造することができるとともに、ローターヘッド上で、ヘリコプターの飛行中における気流の整流効果をもたらすことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明のヘリコプター用制振装置の一実施例を一部切り欠いてヘリコプターのローターとともに静止状態で示す斜視図、また図2(a)および(b)は、その実施例の制振装置をヘリコプターに搭載した状態で示す平面図および側面図であり、図中符合1はヘリコプターの機体、2はそのヘリコプターの機体1から上方へ突出したローターシャフト、3はそのローターシャフト2の上端部に結合されて図示しないエンジンにより回転駆動されるローター、そして4は上記実施例の制振装置をそれぞれ示し、ローター3は、図示例では三枚のローターブレード3aおよび、それらのローターブレード3aの基端部をそれらのローターブレード3aの長手方向軸線周りにピッチ角変更可能に支持するローターヘッド3bを有している。
【0016】
この実施例の制振装置4は、図1に示すように、概略球面状に突出した上面を有するとともに内部に流体収容室5を有する概略円盤状の流体容器6と、その流体容器6の内部の流体収容室5内に収容される、その流体収容室5の容積よりも少ない量の、流体としてのシリコンオイル7とを具えるものであり、ここにおける流体容器6は、図2に示すように、ローターヘッド3bと別体に形成されてローターヘッド3b上に配置されて、図示しない通常の固定部材によりそのローターヘッド3bに一体的に固定されている。なお、かかる流体容器6は、例えば軽合金材料の切削加工あるいは鋳造成形等によって形成することができ、その流体容器6には、図示しないが、その上面の中央部等の適当な位置に、シリコンオイル7を流体収容室5内に注入するための注入口と、その注入口を液密に閉止する着脱自在な蓋と、その蓋に設けられて流体収容室5内の気圧を適当な圧力に保つ調圧弁とが設けられている。
【0017】
流体容器6の内部の流体収容室5は、図1に示すように、ローターシャフト2とローターヘッド3bとの中心軸線Cに一致する中心軸線(ここでは便宜上それと同一符合Cで示す)を中心とした回転体状をなす内壁面8を有しており、内壁面8はその周辺部に、上記中心軸線Cから離れるにつれてその中心軸線Cの延在方向に互いに接近する二つの概略裁頭円錐状の傾斜面8a, 8bを持っていて、それらの傾斜面8a, 8bは外周の位置で、中心軸線Cを含む平面で切った縦断面形状が概略円弧状をなす曲面によって互いに滑らかに繋がれている。また、流体収容室5は、上記内壁面8の周辺部および上下端部から内方へ突出して主に上記中心軸線Cの延在方向へ延在する、凸部としてのリブ状の隔壁9を、周方向に等間隔に放射状に、図示例では六枚有しており、各隔壁9には、複数の小さな貫通孔9aが形成されている。
【0018】
図3および図4は、上記実施例の制振装置4の動作原理を示す断面図であり、上記実施例の制振装置4にあっては、ヘリコプターのローターヘッド3bが回転して、そのローターヘッド3bに一体的に固定された流体容器6が回転すると、図3(a)および図4(a)に示すように、その流体容器6の流体収容室5内のシリコンオイル7が、流体収容室5の内壁面8との接触および、その内壁面8から内方へ突出してその内壁面8の中心軸線Cの延在方向へ延在する六枚の隔壁9との当接によってその内壁面8の周方向に付勢されて流体容器6と一緒に回転し、そのシリコンオイル7に加わる遠心力で、流体収容室5の、中心軸線Cを中心とした回転体状をなす内壁面8の周辺部に押しつけられる。
【0019】
しかして、図3(b)に示すように、シリコンオイル7が流体容器6と一緒に回転している間に、ローターヘッド3bの中心軸線Cの実際の回転軸線CAからの偏心等により流体容器6が図中矢印Aで示す如くローターヘッド3bの中心軸線Cと交差する方向へ移動すると、洗濯機の脱水籠に設けるものとして知られている液体式バランサーにおけるように、ここではシリコンオイル7がその流体容器6の移動方向Aと反対の方向へ流体収容室5内で隔壁9をよけながら、すなわち隔壁9を乗り越えたりその貫通孔9aを通過したりしながら集まる。また流体容器6の移動方向が上記と逆方向の場合も同様である。これにより、流体容器6がローターヘッド3bの中心軸線Cと交差する方向へ振動するとシリコンオイル7がその振動に対し逆位相で振動してダイナミックダンパーのダンパーマスとして作用するので、ローターヘッド3bの中心軸線Cと交差する方向の流体容器6の振動が制振され、ひいては中心軸線Cと交差する方向のローター3の振動が制振される。
【0020】
また、図4(b)に示すように、シリコンオイル7が流体容器6と一緒に回転している間に、流体容器6が図中矢印Bで示す如くローターヘッド3bの中心軸線Cの延在方向へ移動すると、シリコンオイル7が、流体収容室5の内壁面8の周辺部の二つの傾斜面8a, 8bのうちの、その流体容器6の移動方向と逆側の傾斜面(流体容器の移動方向Bが下方であるので上側の傾斜面)8aに沿って隔壁9に接触しつつ半径方向内方へ慣性力で移動し、次いでそのシリコンオイル7に加わる遠心力で、シリコンオイル7に上記逆側の傾斜面8aに沿って半径方向外方へ戻ろうとする復元力が生じ、その復元力が生ずる際にシリコンオイル7が上記逆側の傾斜面8aを押圧し、ひいては流体容器6をその移動方向と逆の方向へ押圧する。また流体容器6の移動方向が上記と逆方向の場合も同様である。ここで、シリコンオイル7の微小体積部分について見ると、その微小体積部分に加わる遠心力F1は、その微小体積部分の質量をm、その微小体積部分の中心軸線Cからの距離をr、中心軸線C周りのその微小体積部分の角速度をωとすれば、F1=mrω2 であるので、中心軸線Cに直交する平面に対する傾斜面8aの角度をθとすると、その微小体積部分の復元力F2は、F2=mrω2 cosθとなり、その微小体積部分が傾斜面8aを押圧する押圧力F3は、F3=mrω2 sinθとなる。これにより、流体容器6がローターヘッド3bの回転軸線Cの延在方向へ振動するとシリコンオイル7がその振動に対し逆位相で振動してダイナミックダンパーのダンパーマスとして作用するので、その流体容器6の振動が制振され、ひいては中心軸線Cの延在方向のローター3の振動が制振される。
【0021】
従って、上記実施例の制振装置4によれば、ローター3の、中心軸線Cと交差する方向の振動と、中心軸線Cの延在方向の振動とを共に効果的に制振することができ、しかも、上記実施例の制振装置によれば、ダンパーマスとして作用するシリコンオイル7を流体容器6の流体収容室5内に収容して移動可能に支持する構造ゆえ、保守作業を要する機構的な部分が全くないので、保守作業に手間がかかることなしに長期間信頼性を維持し、また振動を効果的に低減させるためのダンパーマスの調整も、流体収容室5内に収容するシリコンオイル7の量を増減させたり、そのシリコンオイル7の粘度を異ならせたりすることで容易に行うことができる。そして上記実施例の制振装置4のダイナミックダンパーとしての制振効果(制振周波数等)は、そのダンパーマスの調整の他、傾斜面8a, 8bの傾斜角を変更したり、傾斜面8a, 8bを滑らかに繋ぐ曲面の縦断面形状における曲率半径を変更したりすることでも調整することができる。
【0022】
そして上記実施例の制振装置4によれば、上記のようにダンパーマスとして作用するシリコンオイル7を流体容器6の流体収容室5内に収容して移動可能に支持するという簡易な構造ゆえ、安価に製造でき、しかも装置がコンパクト化するので、占有スペースや重量増も僅かなもので済ませることができる。
【0023】
さらに上記実施例の制振装置4によれば、前記凸部として、複数の貫通孔9aを持つ隔壁9が複数枚設けられているので、シリコンオイル7を流体収容室5の内壁面8の周方向に効果的に付勢して、流体容器6の回転速度が急に変化しても確実にシリコンオイル7を流体容器6と供回りさせることができ、しかも、流体容器6がローターヘッド3bの中心軸線Cと交差する方向へ移動した際にはその流体容器6の移動方向と反対の方向へシリコンオイル7が隔壁9の複数の貫通孔9aを通って集まり、そして流体容器6がローターヘッド3bの中心軸線Cの延在方向へ移動した際にはその流体容器6の移動方向と反対の方向へ隔壁9に接触しながら集まるので、シリコンオイル7の自励振動を抑制し得て、制振装置の制振作用をより効果的なものとすることができる。
【0024】
さらに上記実施例の制振装置4によれば、前記流体として、非揮発性で、比重が水よりも大きく、粘度が水よりも大きいシリコンオイル7を用いているので、そのシリコンオイル7が常温において非揮発性で粘度が水よりも大きいゆえ、流体に水を用いる場合と比較して制振作用をより安定して確実に得ることができ、しかも比重が水よりも大きいゆえ、流体に水を用いる場合と比較してより小さな流体容器で制振作用を効果的なものとすることができる。
【0025】
さらに上記実施例の制振装置4によれば、流体容器6がローターヘッド3bと別体に形成された、上面が凸形状の円盤状の外形をなすものであるので、その流体容器6がローターヘッド3bと別体に形成されているゆえ、既存のヘリコプターのローターヘッドにも容易に設置し得て汎用性を高めることができ、しかもその流体容器6の外形が上面が凸形状の円盤状ゆえ、その流体容器自体を容易にバランス良く製造することができるとともに、ローターヘッド3b上で、ヘリコプターの飛行中における気流の整流効果をもたらすことができる。
【0026】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、前記流体として、ダンパーマスとなり得る程度の質量を持つものであれば例えばシリコンオイル以外の液体や粒状物の集合体を用いても良く、また前記流体容器を、前記ローターヘッド内に収容しても良く、そして前記凸部として、例えば山脈状の突条を流体収容室の中心軸線の延在方向に延在するようにその内壁面に形成したり、丸い山形の突起を流体収容室の内壁面に形成したりしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のヘリコプター用制振装置の一実施例を一部切り欠いてヘリコプターのローターとともに静止状態で示す斜視図である。
【図2】(a)および(b)は、上記実施例の制振装置をヘリコプターに搭載した状態で示す平面図および側面図である。
【図3】(a)および(b)は、上記実施例の制振装置の作動を無振動下での回転状態および回転軸線と交差する方向への振動下での回転状態でそれぞれ示す横断面図である。
【図4】(a)および(b)は、上記実施例の制振装置の作動を無振動下での回転状態および回転軸線の延在方向への振動下での回転状態でそれぞれ示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 機体
2 ローターシャフト
3 ローター
3a ローターブレード
3b ローターヘッド
4 制振装置
5 流体収容室5
6 流体容器
7 シリコンオイル
8 内壁面
8a, 8b 傾斜面
9 隔壁
9a 貫通孔
Claims (5)
- ヘリコプターのローターヘッド(3b)に一体的に固定されるとともに内部に流体収容室(5)を有する流体容器(6)と、
その流体容器の流体収容室内に収容される、その流体収容室の容積よりも少ない量の流体(7)と、
を具える、ヘリコプター用制振装置であって、
前記流体収容室が、
前記ローターヘッドの中心軸線に一致する中心軸線(C)を中心とした回転体状をなす内壁面(8)と、
前記内壁面の少なくとも周辺部から内方へ突出して前記流体の自励振動を抑制する凸部(9)と、を有し、
前記内壁面(8)が少なくともその周辺部に、前記中心軸線(C)から離れるにつれてその中心軸線の延在方向に互いに接近する二つの裁頭円錐状の傾斜面(8a,8b)を持っている、
ヘリコプター用制振装置。 - 前記凸部は、一つまたは複数の貫通孔を持つ隔壁(9)である、請求項1記載のヘリコプター用制振装置。
- 前記流体は、粘度が水よりも大きい非揮発性の液体である、請求項1または2記載のヘリコプター用制振装置。
- 前記流体は、シリコンオイルである、請求項3記載のヘリコプター用制振装置。
- 前記流体容器は、前記ローターヘッドと別体に形成された、上面が凸形状の円盤状の外形をなすものである、請求項1から4までの何れか記載のヘリコプター用制振装置。
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