JP3860256B2 - 自動車用伝熱装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、１つの熱媒を流通させる第１の回路のための２本の集合管と、これらの間に結合されたフィン付管ブロックとからなるユニットと、他の熱媒を流通させる１つ以上の他の回路のための伝熱手段とを有する自動車用伝熱装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ドイツ特許第４１００４８３Ｃ２号には、冷却器として構成された伝熱装置を備えた自動車の前方部分が開示されている。自動車の車体の前方部分を冷却器のヘッダで補強するために、管状に形成され両端部に冷却液回路を連結するための接続管を有する補強部材が設けられている。つまり、この補強部材は伝熱管を形成している。これにより、冷却器の第１の冷却液回路の直近に第２の冷却液回路を配置することが可能となる。この補強部材は、特にパワーテテアリングのサーボ油圧回路用の油冷却器として利用される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、低い製造コストで少なくとも２種類の熱媒回路を統合可能にする、冒頭に記載した種類の伝熱装置を提供することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明の伝熱装置は、集合管とフィン付管ブロックとからなるユニットで互いに独立した少なくとも２つの伝熱区域に区分されており、前記少なくとも２つの伝熱区域は、熱媒体を流通させる少なくとも２つの回路にそれぞれ含まれる。
これにより、公知の伝熱装置、特に冷却器の既存の部材を簡単に変更でき、種々の熱媒の少なくとも２つの回路を統合できる。公知の技術で補強部材として形成された伝熱管におけるのと同様に、本発明によれば部材を追加する必要はない。これにより、構造上のコスト、および、伝熱装置の取り付けおよび取り外しに要する時間が従来技術に比べて著しく低減される。本発明によれば、必要となる空間が従来技術より少なくなる。本発明による伝熱装置は従来技術に比べて個別の部材が少なく、かつ、重量が低減されるのでコストが削減される。
【０００７】
本発明のその他の長所と特徴は従属請求項に記載されている。以下に、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【０００８】
【発明の実施の形態】
図１から３に示す伝熱装置１は自動車用の冷却器を構成している。冷却器は２本の側方集合管２，３を有しており、両者間にフィン付管ブロック４が配設され１つのユニットを形成している。フィン付管ブロック４は、互いに離間して平行に配設された多数の扁平管５を有している。これらの扁平管５の間には、図示されていないが公知の態様で波形フィンが設けられている。
【０００９】
冷却器１は、伝熱区域として２種類の冷却区域１９，２０に区分されている。それらのうち、図１において上側の冷却区域１９は自動車のエンジンを冷却するための冷却回路の一部を構成している。上側冷却区域１９において、第１の接続管６が集合管２に接続されており、該接続管６は、この冷却回路で冷却器１への送り管をなしている。下側の接続管７は第１の冷却回路のための上側冷却区域１９の下端部領域において集合管２に接続しており、この冷却回路のための戻り管をなしている。第１の冷却回路における冷却液を集合管２からフィン付管ブロック４を流通させて集合管３へ、または、その逆方向に確実に案内するために、少なくとも集合管２内には上側冷却回路１９に対して設けた流動空間の半分の長さの位置に、流動空間を２つの空間部分に分割する隔壁が設けられている。
【００１０】
冷却器１の下側冷却区域２０は、流動技術上の観点から上側冷却区域１９から完全に分離されている。図示の実施形態では、第２の冷却回路は冷却液として油を含んでいるので、下側冷却区域２０は油冷却器を構成している。図示の実施形態では、冷却器１の下側冷却区域２０は、自動車のパワーステアリング用のサーボオイルを冷却するために用いられる。下側冷却区域２０を他の種類の冷却器として使用可能であることは言うまでもない。
【００１１】
２つの集合管２，３には、同じ高さに、すなわち、集合管２，３の各々の同じ位置に、互いに平行に離隔して配置された２つの遮断壁１４，１６から成る隔壁配置構造１０が配設されている。２つの上側遮断壁１４は、第１の冷却回路のための集合管２，３の各々の上側の流動空間を、下側冷却区域２０から分離する。隔壁配置構造１０の下側の２つの遮断壁１６は、各々の集合管２，３内の下側の流動空間を上側冷却区域から分離する。集合管２，３の下側の流動空間は、第１の冷却回路の冷却液とは異なる冷却液を流通させる第２の冷却回路のための下側冷却区域２０の一部を構成する。このために、集合管２の下側の流動空間には、別の２本の接続管８，９が連結されている。接続管８は下側冷却区域２０の冷却回路への送り管を構成し、接続管９は戻り管を構成している。
【００１２】
隔壁配置構造１０の各々の２つの遮断壁１４，１６の間には、漏れ室としての隙間１５が形成される。２つの遮断壁１４，１６のいずれか一方が十分にシールされていなくとも、漏洩した冷却液が隙間１５へ流入するので、他方の冷却回路の冷却液と混じり合うことが防止される。２つの遮断壁１４，１６の双方のシールが十分でなくとも、冷却液が他方の冷却区域１９，２０の冷却回路に混入することはない。と言うのは、冷却液は隙間１５内でのみ互いに混じり合うからである。２つの冷却区域１９，２０の各々の流動空間内の圧力は遙かに高いので、混合した冷却液が隙間１５から流出して上側冷却区域１９または下側冷却区域２０に混入することはない。
【００１３】
２つの冷却回路のいずれか一方、または、両方の冷却回路の漏洩損失を検知し、取り除くことができるように、集合管２の隙間１５には、外側に開口した監視孔１７が配設されている。２つの遮断壁１４，１６の一方から漏洩が生じると、冷却液は、直ちに隙間１５および監視孔１７を通過して外部に流出する。冷却液の性状に応じて、２つの冷却回路のいずれから漏洩したのか直ちに識別できる。
【００１４】
２つの隔壁配置構造１０の隙間１５が扁平管５により連通するのを防止するために、２つの隔壁配置構造１０の高さに、扁平管５の代わりに、外側寸法が扁平管５の外側寸法に一致した分離ウェブ１１が設けられている。ただし、分離ウェブ１１は扁平管５とは異なり中実な断面を有している。
【００１５】
下側冷却区域２０には、集合管２，３内の対応する下側流動空間に加えて、合計４本の扁平管５を備えている。このとき、上側の２本の扁平管５は送り管に連結されており、下側の２本の扁平管５は戻り管に連結されている。隔壁１２が集合管２の下側流動空間を２つの部分に分割しており、各々が扁平管５を通る冷却液の回路を形成する。隔壁１２に形成したバイパス孔１３は、下側冷却回路内の圧力降下を妨げる。２本の集合管２，３の下側流動空間の下端部は、各々１つの遮断壁１８により閉鎖されている。
【００１６】
上述のように、図１から３による本発明の冷却器１は、互いに完全に独立した２つの冷却回路を有している。その際、公知の冷却器の部材を用いることができる。公知の冷却器を、互いに独立に２つの冷却回路を有する本発明の冷却器に変更することは、集合管２，３に追加的な遮断壁１４，１６を挿入して、遮断壁１４，１６の高さにある扁平管５の１つを中実の断面を有する分離ウェブ１１に置き代えることにより、わずかで簡単な方策によって行うことができる。追加の接続管を閉じることも、コストを大きく増加させるとなく実施可能である。
【００１７】
【発明の効果】
本発明の伝熱装置は、冷却器、すなわち凝縮器としてだけではなく、暖房装置として類似の仕方で用いることができる。異なるのは上述の冷却液ではなく、適当な熱媒、すなわち加熱液を選択するだけである。
【図面の簡単な説明】
【図１】２本の側方集合管と、これらの集合管の間に連結されたフィン付管ブロックとからなるユニットに種々の冷却液を有する２種類の回路が一体に設けられた冷却器として構成した本発明の伝熱装置の構成形態の部分図である。
【図２】図１の冷却器の追加的回路のための接続領域の拡大図である。
【図３】図１において矢視III の方に見た冷却器の側面図である。
【符号の説明】
１…伝熱装置（冷却器）
２…集合管
３…集合管
４…フィン付管ブロック
１０…隔壁配置構造
１９…上側冷却区域
２０…下側冷却区域

Claims (4)

1. 熱媒を流通させる少なくとも２つの回路のための、２本の集合管とこれらの間に連結されたフィン付管ブロックとから成るユニットを有する自動車用伝熱装置において、
   前記ユニットは、集合管（２、３）と、複数の扁平管（５）を含むフィン付管ブロック（４）を具備しており、
   前記集合管（２，３）と、前記フィン付管ブロック（４）が互いに独立した少なくとも２つの伝熱区域（１９，２０）に区分され、前記少なくとも２つの伝熱区域（１９，２０）がそれぞれ前記少なくとも２つの回路に含まれ、
   前記集合管（２，３）の各々を互いに独立した伝熱区域（１９，２０）に分割するための隔壁配置構造（１０）が、２本の集合管（２，３）の各々の内部において同じ高さに少なくとも１つずつ設けられており、
   少なくとも１つの前記隔壁配置構造（１０）が、２つの遮断壁、すなわち当該２つの遮断壁の間に隙間（１５）を形成する２つの遮断壁（１４，１６）により形成されて成り、
   前記フィン付管ブロック（４）が、前記２本の集合管（２，３）内の前記隙間（１５）の高さにおいて、該２本の集合管（２，３）の間に延設され前記扁平管（５）と同一の外形寸法、即ち同一の長さ及び幅及び厚さを有する中実の分離ウェブ（１１）を設けられていることを特徴とした伝熱装置。
2. 前記集合管の一方（２）に前記少なくとも２つの回路のそれぞれの入口とそれぞれの戻り出口とが設けられていることを特徴とした請求項１に記載の伝熱装置。
3. 前記少なくとも１つの集合管（２）に、該集合管（２）を２つの室部分に分割する隔壁（１２）が設けられていることを特徴とした請求項１又は２に記載の伝熱装置。
4. 前記隔壁（１２）にバイパス孔（１３）が設けられている請求項３に記載の伝熱装置。

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