JP3860133B2 - ダイエット食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイエット食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、日本人の食生活が大きく変化し、肉食中心の高脂肪食を摂取するようになったのに加えて、ストレスや運動不足により、中高年齢層だけでなく、青少年においても、肥満とこれに伴う体脂肪率の増加が問題となっている。
【0003】
最近では、運動療法と食餌療法との両面から体脂肪を減らすことによる肥満の解消法が提案されている。運動療法は、文字どおり、体を動かすことによって、体温を上昇させ、基礎代謝を高めることによって体の消費するカロリーを高め、それにより体脂肪を減らす方法である。しかし、ほとんどの人はそのような時間が取れず、実践するのは難しい。そこで、食餌療法の観点から、様々なダイエット食品が市販されている(例えば、特許文献1〜3)。これらのダイエット食品は、食べることにより満腹感を与える一方、摂取するカロリーは低いという食品である。しかし、これらを食した場合には日常的な栄養摂取が十分に行われない可能性がある。さらに、体重が減少しても、体脂肪率はほとんど減少せず、逆に栄養失調など、健康を損ねるおそれもある。一方、体脂肪率を減少させるダイエット食品も提案されている(例えば特許文献4〜6)。しかし、これらの食品は、基礎代謝を高めることによって、積極的に脂肪を燃焼させるわけではない。しかも、ダイエット中は、栄養不足になり、体の基礎代謝が低下する傾向にあり、効率的なダイエット効果は得られない。一般的にダイエットにおける運動療法および食事療法は、束縛感のため、ストレスがかかり、逆に体重が増えてしまうケースも少なくない。このように、体の基礎代謝を高めて、脂肪を燃焼させる効果を有する食品は得られていない。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−284937号公報
【特許文献2】
特開平7−147935号公報
【特許文献3】
特開2000−041628号公報
【特許文献4】
特開平7−242551号公報
【特許文献5】
特開平10−290681号公報
【特許文献6】
特開平11−253130号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、食事制限をすることなく、基礎代謝を高めることによって、効率的に脂肪を燃焼させ、そのことによって効率的にダイエットを行うことができる食品が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、体脂肪が体の基礎代謝を高めることによって減少すること、および該基礎代謝が体の血行を改善することにより高められることに着目し、体脂肪を減少させる方法、すなわちダイエットを行う方法について鋭意検討を行った。その結果、基礎代謝を高める作用を有する食品素材およびその作用を効果的に発揮させるための物質の組み合わせを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明のダイエット食品は、(A)プロアントシアニジンと(B)糖代謝改善作用を有する食品素材または脂質代謝改善作用を有する食品素材でなる代謝改善食品素材とを含有する。
【0008】
好ましい実施態様においては、上記ダイエット食品は、さらに(C)鎮静作用を有する食品素材を含有する。
【0009】
好ましい実施態様においては、上記ダイエット食品は、さらに(D)女性ホルモン様作用を有する食品素材を含有する。
【0010】
好ましい実施態様においては、上記(A)のプロアントシアニジンは、松樹皮由来である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のダイエット食品について説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができることは当業者に明らかである。
【0012】
本発明のダイエット食品は、(A)プロアントシアニジンと(B)糖代謝改善作用または脂質代謝改善作用を有する食品素材とを含有し、必要に応じて(C)鎮静作用を有する食品素材、(D)女性ホルモン様作用を有する食品素材、(E)添加剤などを含有する。以下、各成分について説明する。
【0013】
(A)プロアントシアニジン
本発明において、プロアントシアニジンとは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群をいう。
【0014】
このプロアントシアニジンとしては、重合度の低い縮重合体が多く含まれるものが好ましく用いられる。重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。この重合度が2〜4の縮重合体を、本明細書ではOPC(オリゴメリック・プロアントシアニジン;oligomeric proanthocyanidin)という。プロアントシアニジンは、ポリフェノール類の一種で、植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種の部分に集中的に含まれている。プロアントシアニジン、特にOPCは、具体的には、松、樫、山桃などの樹皮、ブドウ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、ニセアカシア、コケモモの果実もしくは種子、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオ、小豆、トチの実の殻、ピーナッツの薄皮、イチョウ葉などに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根、日本の緑茶にも、OPCが含まれることが知られている。OPCは、ヒトの体内では、生成することのできない物質である。
【0015】
これらのプロアントシアニジンは、抗酸化作用を有し、さらに血中コレステロールを低下させる効果、高い血圧を低下させる効果、血管の弾力性を保持する効果、およびコレステロールが付着することを防止する効果を有する。これらの効果が相乗的に得られることによって、生体内の血流が改善され、末梢における血液循環が高められ、その結果、基礎代謝を高めることができる。そのため、脂肪燃焼が促進され、優れたダイエット効果が得られる。
【0016】
特に、OPC含有量が高いプロアントシアニジンまたはOPC含有量が高いプロアントシアニジンを含む抽出物を用いると、重合度の高いプロアントシアニジン(OPC含有量が少ないもの)を用いた場合と対比して、優れたダイエット効果が得られる。
【0017】
上記プロアントシアニジンを含む植物のうち、松樹皮がOPCを豊富に含むため、プロアントシアニジンの原料として好ましく用いられる。
【0018】
以下、OPCを豊富に含む松樹皮を原料植物として用いた例に挙げて、プロアントシアニジンを主成分とする抽出物の調製方法を説明する。
【0019】
松樹皮抽出物としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダなどのマツ目に属する植物の樹皮の抽出物が好ましく用いられる。中でも、フランス海岸松(Pinus Martima)の樹皮抽出物が好ましい。
【0020】
フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。このフランス海岸松の樹皮は、プロアントシアニジン、有機酸、ならびにその他の生理活性成分などを含有し、その主要成分であるフラボノイド類のプロアントシアニジンに、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
【0021】
松樹皮抽出物は、上記の松樹皮を水または有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には、温水または熱水を用いることが好ましい。これらの水には、抽出効率を向上させる点から、塩化ナトリウムなどの塩を添加することが好ましい。抽出に用いる有機溶媒としては、食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および1,1,2−トリクロロエテンが挙げられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、および含水プロピレングリコールが好ましく用いられる。
【0022】
松樹皮からプロアントシアニジンを抽出する方法は、特に限定されないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0023】
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられ、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0024】
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程および目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0025】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、超臨界流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、またはケトン類を2〜20W/V%程度添加し、得られた抽出流体で超臨界流体抽出を行うことによって、OPC、カテキン類(後述)などの目的とする被抽出物の抽出流体に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的に松樹皮抽出物を得る方法である。
【0026】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点;抽出流体が残留しないという利点;および溶媒の循環利用が可能であり、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0027】
また、松樹皮からの抽出は、上記の方法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などにより行ってもよい。
【0028】
松樹皮からの抽出は、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0029】
本発明において、プロアントシアニジンを主成分として含む松樹皮抽出物は、具体的には、以下のような方法によりに調製されるが、これは例示であり、この方法に限定されない。
【0030】
フランス海岸松の樹皮1kgを、塩化ナトリウムの飽和溶液3Lに入れ、100℃にて30分間抽出し、抽出液を得る(抽出工程)。その後、抽出液を濾過し、得られる不溶物を塩化ナトリウムの飽和溶液500mlで洗浄し、洗浄液を得る(洗浄工程)。この抽出液と洗浄液とを合わせて、松樹皮の粗抽出液を得る。
【0031】
次いで、この粗抽出液に酢酸エチル250mlを添加して分液し、酢酸エチル層を回収する工程を5回行う。回収した酢酸エチル溶液を合わせて、無水硫酸ナトリウム200gに直接添加して脱水する。その後、この酢酸エチル溶液を濾過し、濾液を元の5分の1量になるまで減圧濃縮する。濃縮された酢酸エチル溶液を2Lのクロロホルムに注ぎ、攪拌して得られる沈殿物を濾過により回収する。その後、この沈殿物を酢酸エチル100mlに溶解した後、再度1Lのクロロホルムに添加して沈殿させる操作を2回繰り返す洗浄工程を行う。この方法により、例えば、OPCを20重量%以上含み、かつカテキン類を5重量%以上含有する、約5gの松樹皮抽出物が得られる。
【0032】
上記松樹皮のような原料植物に由来する抽出物は、40重量%以上のプロアントシアニジンを含有することが好ましい。さらに、この原料植物由来の抽出物中にOPCを20重量%以上含有することが好ましく、30重量%以上含有することがより好ましい。このようにプロアントシアニジンを高い割合で含有する原料として、上述のように松樹皮抽出物が好ましく用いられる。
【0033】
本発明のダイエット食品中のプロアントシアニジンの含量は、特に限定されない。通常、プロアントシアニジンの摂取量が1日あたり3mg〜2000mg、好ましくは5mg〜1500mg、より好ましくは100mg〜1000mgとなるように、該食品中に含有され得る。例えば、上記松樹皮抽出物を用いる場合には、プロアントシアニジン含量に換算して上述の量となるように、該抽出物を食品中に含有させ得る。
【0034】
上記植物抽出物には、プロアントシアニジン、特にOPCとともにカテキン(catechin)類が含まれている。カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン(狭義のカテキンといわれる)、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、アフゼレキンなどが知られている。上記松樹皮のような原料植物由来の抽出物からは、上記の(+)−カテキンの他、ガロカテキン、アフゼレキン、(+)−カテキンの3−ガロイル誘導体およびガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離されている。カテキン類には、発癌抑制作用、動脈硬化予防作用、脂肪代謝異常の抑制作用、血圧上昇抑制作用、血小板凝集抑制作用、抗アレルギー作用、抗ウイルス作用、抗菌作用、虫歯予防作用、口臭防止作用、腸内細菌叢正常化効果、活性酸素やフリーラジカルの消去作用、抗酸化作用などがあることが知られている。カテキン類には、血糖の上昇を抑制する作用(抗糖尿病効果)があることが知られている。カテキン類は、単独では水溶性が乏しく、その生理活性が低いが、OPCの存在下で水溶性が増すと同時に、活性化する性質があり、OPCとともに摂取することで効果的に作用する。
【0035】
カテキン類は、上記原料植物抽出物中に、5重量%以上含有されていることが好ましい。より好ましくは、該抽出物中にOPCが20重量%以上、そしてカテキン類が5重量%以上含有される。例えば、抽出物のカテキン類含量が5重量%未満の場合、カテキン類を添加し、最終的な含量が5重量%以上となるように調整してもよい。OPCを20重量%以上含有し、かつカテキン類を5重量%以上含有する松樹皮抽出物を用いることが最も好ましい。
【0036】
(B)代謝改善食品素材
本発明のダイエット食品に含有される代謝改善食品素材は、糖代謝改善作用を有する食品素材または脂質代謝改善作用を有する食品素材である。この代謝改善食品素材としては、例えば、(B1)糖または脂質代謝促進効果を有する食品素材、ならびに(B2)糖および脂質の吸収抑制効果を有する食品素材が挙げられる。
【0037】
(B1)の糖または脂質代謝促進効果を有する食品素材としては、唐辛子、コレウスフォコリ、ガルニシアカンボジア、シトラス、パプリカ、ラズベリー、マカなどの植物由来の食品素材などが挙げられる。さらに、ユビキノン(例えば、CoQ10)、カフェイン、大豆ペプチド、レシチン、ビタミンB群、L−カルニチン、分岐アミノ酸、ゲルマニウム含有化合物、モリブデン含有化合物などを含む食品素材もある。(B2)の糖および脂質の吸収抑制効果を有する食品素材としては、ギムネマシルベスタ、グアバ葉、バナバ葉、サラシアなどがある。これらのうち、唐辛子由来の食品素材、CoQ10、コレウスフォコリ、シトラス、およびL−カルニチンが好適である。これらの食品素材は単独で用いてもよいが、組み合わせて用いることが好ましい。
【0038】
上記代謝改善食品素材のうち、(B1)の糖または脂質代謝促進効果を有する食品素材は、特に体内に蓄積した糖または脂質の代謝を亢進させ、体脂肪を減少させることによるダイエット効果を目的として含有される。例えば、唐辛子由来の食品素材は、特に唐辛子の辛味成分であるカプサイシンおよびその類縁化合物が交感神経を刺激することにより体温を上昇させ、体内の基礎代謝を高め、さらに中性脂肪の分解を促進し、脂肪を燃焼させる機能を有する。さらに、肝臓中に蓄積されているグリコーゲンをグルコースへ分解するという作用を有し、糖代謝を亢進し得る。CoQ10および分岐アミノ酸は、エネルギーに変換するTCA回路に関与し、特に、CoQ10は呼吸鎖の電子伝達系に関与する補酵素でもあるため、ATPの産生を高めて、基礎代謝を亢進させることにより体脂肪を減少させ得る。コレウスフォコリは、直接アデニル酸シクラーゼを活性化し、脂質代謝を亢進することにより、体脂肪を減少させる効果を有する。L−カルニチンは、長鎖脂肪酸が補酵素A(CoA)と結合したアシル−CoAを細胞質からβ−酸化系酵素の存在するミトコンドリア内部へ脂肪酸を運ぶことができ、これにより脂肪がミトコンドリア内で酸化され、体脂肪が減少することでダイエット効果を得ることができる。
【0039】
(B2)の糖および脂質の吸収抑制効果を有する食品素材は、糖や脂質の吸収を抑制することで、体内に蓄積した脂質の代謝を促進し得る。
【0040】
上記代謝改善食品素材は、通常、(A)のプロアントシアニジン1重量部に対して、0.05〜10重量部の割合で本発明の食品中に含有される。具体的には、該食品中に、代謝改善食品素材の摂取量が1日あたり好ましくは0.003〜5g、より好ましくは0.005g〜2g、さらに好ましくは0.02g〜1gとなるように含有され得る。唐辛子由来の食品素材の場合は、1日あたり、辛味成分であるカプサイシンおよびその類縁化合物の摂取量が10mg以上となるように含有されることが好ましい。
【0041】
(C)鎮静作用を有する食品素材
本発明の食品は、さらに必要に応じて、鎮静作用を有する食品素材を含有し得る。本発明において、鎮静作用を有する食品素材とは、特に神経の興奮や自律神経系のバランスを調整し、神経症、過敏症または不眠症の改善効果および精神を鎮める効果を有する成分およびそれを含有する材料をいい、このような食品素材としては、ヒペリシン、セロトニンなどの化合物および上記効果を有する成分を含有する材料がある。このような材料としては、上記の成分を含有する植物およびその抽出物がある。例えば、ホップ、チャボトケイソウ、メマツヨイグサ、セイヨウカノコソウ、ヨウシュメハジキ、セイヨウオトギリソウ、およびそれらの抽出物、三薬エキス、ならびにオレンジ、グレープフルーツなどの柑橘類の抽出物が挙げられる。好ましくは柑橘類の抽出物が用いられる。
【0042】
これらの鎮静作用を有する食品素材は、ダイエット時の精神的ストレスを軽減することで、体内の代謝バランスを安定にするとともに、ダイエット時に起こり得る一過的な暴飲、暴食を抑制することができ、相乗的なダイエット効果を得ることができる。
【0043】
鎮静作用を有する食品素材の本発明の食品中における含有量は、その種類によって異なる。例えば、1日あたりの摂取量が、ホップ抽出物では60mg〜500mg、好ましくは120mg〜300mg、チャボトケソウ抽出物では50mg〜300mg、セイヨウオトギリソウ抽出物では80〜900mg、そしてセイヨウカノコソウ抽出物では50〜500mg、オレンジ抽出物では、5mg〜300mgとなるように食品中に含有されることが好ましい。
【0044】
(D)女性ホルモン様作用を有する食品素材
本発明の食品は、さらに必要に応じて、女性ホルモン様作用を有する食品素材を含有する。本発明において女性ホルモン様作用を有する食品素材とは、イソフラボン、エストロンなどの、女性ホルモン様活性を有する成分、ならびにその成分を含有する植物または植物抽出物をいう。これらの女性ホルモン様作用を有する食品素材は、女性ホルモンであるエストロゲン様の作用を有する。
【0045】
女性ホルモン様作用を有する食品素材としては、例えば、大豆、ザクロ種子、ムラサキツメクサ、セージ、アメリカショウマ、パンプキンシード、ワイルドヤム、およびそれらの抽出物が挙げられる。好ましくは、大豆抽出物およびアメリカショウマ抽出物であり、より好ましくは、大豆抽出物である。
【0046】
これらの女性ホルモン様作用を有する食品素材は、ホルモンバランスを調整するとともに、ダイエットに伴う肌荒れ、骨密度の低下、および血管の脆弱化を防止し、体への負荷を低減したダイエット効果を得ることができる。
【0047】
女性ホルモン様作用を有する食品素材は、その種類によって異なるが、本発明の食品中に該食品素材が一日あたりの推奨摂取量となるように含有されることが好ましい。成人一日あたりの推奨摂取量は、例えば、イソフラボンを10重量%含有する大豆抽出物では3mg〜1000mg、好ましくは5mg〜500mg程度である。イソフラボン以外の女性ホルモン様活性を有する成分を含有する植物抽出物の場合、通常、10mg〜500mgの範囲内で摂取されることが好ましい。例えば、アメリカショウマ抽出物では30mg〜300mg、好ましくは80mg〜200mg、そしてザクロ種子抽出物では10mg〜200mg、好ましくは、20mg〜100mgである。
【0048】
(E)添加剤
本発明の食品は、さらに必要に応じて、通常食品に用いられる種々の添加剤を含む。このような添加剤としては、栄養補助剤、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、調味料、食品添加物などが挙げられる。例えば、ローヤルゼリー、ビタミン、プロテイン、レシチンなどを栄養補助剤として加え、さらに糖液や調味料を加えて、味を整えることができる。
【0049】
本発明のダイエット食品は、上記の(A)のプロアントシアニジンおよび(B)の代謝改善食品素材、さらに必要に応じて(C)の鎮静作用を有する食品素材、(D)の女性ホルモン様作用を有する食品素材、(E)の添加剤などを混合し、所定の形状にすることにより得られる。例えば、ハードカプセル、ソフトカプセルのようなカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤の形状に成形され、または粉末状、顆粒状、飴状などの形態にされ得る。これらは、そのまま食しても良いし、水、湯、牛乳などに溶いて飲んでも良い。
【0050】
本発明のダイエット食品は、上述のように(A)プロアントシアニジンと(B)代謝改善食品素材とを含有し、好ましくは、さらに(C)鎮静作用を有する食品素材および/または(D)女性ホルモン様作用を有する食品素材を含有する。これによって、肥満をもたらす種々の要因に対して、それぞれの成分がそれ自身の個別の効果を相殺されることなく発揮でき、さらにこれらの成分による糖代謝改善効果、脂質代謝改善効果、血行改善効果などが相乗的に作用して、脂肪燃焼が促進され、結果として優れたダイエット効果を発揮する。本発明のダイエット食品によれば、脂肪燃焼を促進させることによって、ダイエット効果が得られるため、無理な食事制限を必要としない。
【0051】
【実施例】
(実施例1)
プロアントシアニジンを40重量%(OPCとして20重量%)含有する松樹皮抽出物(商品名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)、カプサイシンを2.7重量%含有する香辛料抽出物(日本新薬株式会社)、結晶セルロース、ショ糖エステル、二酸化ケイ素、および卵殻カルシウムを、以下の表1に記載の割合(重量%)で混合して錠剤を製造した(錠剤の重量:1錠あたり200mg)。この錠剤を食品1とした。
【0052】
ダイエットを試みて失敗経験のあるという30名をボランティアとして採用した。この中から、ランダムに割り振った1群10名のボランティアに上記食品1を摂取させ、基礎代謝改善効果および血行改善効果を後述のように評価した。
【0053】
上記の10名のボランティアについて、まず、食品1を摂取する前に末梢の皮膚温度をサーモグラフィー(TVS 600、日本アビオニクス株式会社)を用いて測定した。測定は、各ボランティアを測定前の1時間安静にした後、左手の手背部の中指の指先、中指基節骨の中間点、および第3中手骨の中間点の3点について行った。得られた測定値の平均温度を末梢の皮膚温度とした。この末梢の皮膚温度を(I)とした。ついで、各ボランティアの測定した左手を15℃の冷水に10秒間浸漬することにより負荷をかけた後、この左手を引き上げてから10分後に末梢の皮膚温度を測定した。この皮膚温度を(II)とした。
【0054】
ついで、各ボランティアに1日あたり30錠の食品1を4週間にわたり摂取させた。なお、ボランティアには、食品1を1日あたり所要量(30錠)摂取することだけを遵守させ、これらの食品を摂取することで、これまで摂取していた食事を制限する必要がないこと、および摂取形態(摂取時期および回数)についても、特に制限しないことを伝えた。
【0055】
4週間摂取後、上記と同様にして、末梢の皮膚温度および冷水負荷後の末梢の皮膚温度を測定した。これらをそれぞれ(III)および(IV)とした。
【0056】
得られた摂取前および摂取後の末梢の皮膚温度の差、すなわち(III)−(I)を算出し、基礎代謝促進効果として評価した。さらに、得られた摂取後における冷水負荷前および冷水負荷後の末梢の皮膚温度の差、すなわち(IV)−(III)を算出し、血行改善効果として評価した。結果を表2に示す。
【0057】
(比較例1および2)
実施例1の食品1の代わりに、比較例1では松樹皮抽出物のみを、比較例2では香辛料抽出物のみを含有する錠剤を表1の組成に従って製造し、それぞれ食品2および3とした。残りのボランティアを10名ずつランダムに割り振って、2群とし、実施例1と同様に基礎代謝改善効果および血行改善効果について評価した。結果をそれぞれ表2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
表2の結果から、食品1を摂取した群は、食品2および3を摂取した群に比べて、食品摂取後の安静時における末梢の皮膚温度が高く、基礎代謝が促進されていることがわかる(基礎代謝促進効果)。通常、体温が上昇すると基礎代謝は促進されるが、末梢においてもこのような基礎代謝の促進がみられ、体全体の基礎代謝が促進されていることがわかる。
【0061】
さらに、食品1を摂取した群は、食品2および食品3を摂取した群に比べて、冷水負荷後の末梢の皮膚温度の回復が早く(血行改善効果)、食品1を摂取することにより優れた血行改善効果が得られることがわかる。
【0062】
(実施例2)
実施例1のプロアントシアニジンを40重量%(OPCとして20重量%)含有する松樹皮抽出物およびトウガラシ抽出物(日本新薬株式会社)を表3に記載の割合(重量%)で水に溶解し、飲料を得た。この飲料を用いて、以下に示すようにラットに対するダイエット効果を体重増加抑制率により評価した。
【0063】
4週齢の雄のSDラット(日本チャールズリバー株式会社)に基本飼料のみと水を与えて1週間、馴化させた後、各ラットの体重を測定し、体重の平均値がほぼ均一となるように、一群5匹ずつ割り当てた。次いで、各ラットに飲料をゾンデで1日当たり1mLを7日間経口投与した。飲水として25%果糖溶液を、飼料として基本飼料を自由摂取させた。なお、対照として、上記飲料の代わりに精製水をゾンデで同様に投与した群を設けた。
【0064】
経口投与開始日から7日目に体重計を用いて各ラットの体重および摂餌量を測定した。得られた飼料摂取前および飼料摂取後のラットの体重の値から、以下の式により体重増加率を算出した。さらに、得られた体重増加率を用いて、以下の式から体重増加抑制率を算出した。摂餌量は、経口投与前の飼料の重量と経口投与後の飼料の重量を測定し、その差から1日当たりの平均値を求めた。これらの結果を表4に示す。
【0065】
【数1】
【0066】
【数2】
【0067】
(実施例3〜7)
実施例2のトウガラシ抽出物の代わりに、表3に示すようにコレウスフォコリ抽出物(サントレックス)、L−カルニチン(金剛化学株式会社)、CoQ10(日清ファルマ株式会社)、およびシトラスエキス末(松浦漢方株式会社)のうちのいずれか1種または2種を用いて、表3に記載の濃度となるような水溶液を調製した。この水溶液を飲料としたこと以外は、実施例2と同様に操作し、体重増加率、摂餌量、および体重増加抑制率を求めた。結果を表4に示す。
【0068】
(比較例3〜9)
表3に示す成分を表3に示す濃度となるような水溶液を調製し、これを飲料とした。これを用いて、実施例2と同様に試験を行い、体重増加率、摂餌量、および体重増加抑制率を求めた。結果を表4に示す。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
表4の結果から、実施例2〜7の松樹皮抽出物と代謝改善食品素材とを含有する飲料は、これらのうち一方のみを含有する比較例3〜9の飲料に比べて優れたダイエット効果を有する(体重増加抑制率が高い)ことがわかる。さらに実施例2〜7の中でも、代謝改善食品素材としてトウガラシ抽出物を用いた実施例2および2種類の代謝改善食品素材を用いた実施例7においては、特に高いダイエット効果が得られた。なお、実施例および比較例において、摂餌量に特に差はなく、摂餌量が各群の体重増加に影響を与えていないことが確認された。
【0072】
(実施例8)
実施例2で優れたダイエット効果を示した松樹皮抽出物とトウガラシ抽出物との組み合わせを採用し、これらを表5に記載の割合で含有する水溶液を調製し、これを飲料とした。この飲料を用いて、次に示すように、ヒトに対するダイエット効果および血行改善効果を評価した。
【0073】
ダイエット効果の評価を以下のようにして行った。まず、10名のボランティアの体重および体脂肪率を体脂肪計付きヘルスメーター(高陽産業株式会社)で測定した。ついで、各ボランティアに上記飲料30mLを1日3回、4週間摂取させ、摂取終了日の翌日に体重および体脂肪率を測定した。得られた摂取前の体重をa1(kg)および体脂肪率をb1(%)とし、摂取後の体重をa2(kg)および体脂肪率をb2(%)とした。これらを用いて、各ボランティアごとに体重の減少率(%)および体脂肪率の減少率(%)を以下の式より算出し、平均値を求めた。結果を表6に示す。なお、ボランティアには、飲料を1日あたり所要量摂取することだけを遵守させ、これらの飲料を摂取することで、これまで摂取していた食事を制限する必要がないこと、および摂取形態(摂取時期および回数)についても、特に制限しないことを伝えた:
体重の減少率(%)={(a1−a2)/a1}×100
体脂肪率の減少率(%)={(b1−b2)/b1}×100
【0074】
血行改善効果の評価を以下のようにして行った。まず、上記の10名のボランティアについて、飲料摂取前に血流量を測定した。次いで、飲料を上記のように摂取させ、4週間摂取終了後に再度血流量を測定した。血流量は、血流計(レーザー血流画像化装置PIM II;Sweden Permied社)を用いて右前腕部の皮下を測定することにより得た。結果を表7に示す。表の値は、平均値±標準誤差であり、数値が大きいほど、血流量が多く、血行改善効果に優れていることを示す。
【0075】
(実施例9〜11)
実施例7で優れたダイエット効果を示した表5に示す各成分を用いて、飲料を調製し、実施例8と同様に操作してダイエット効果および血行改善効果を評価した。結果を表6および7に示す。
【0076】
(比較例10および11)
表5に示す各成分(松樹皮抽出物を含まない)を用いて、飲料を調製し、実施例8と同様に操作してダイエット効果および血行改善効果を評価した。結果を表6および7に示す。
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
表6の結果から、実施例8〜11のプロアントシアニジンを含む松樹皮抽出物と代謝改善食品素材であるトウガラシ抽出物、あるいはコレウスフォコリおよびL−カルニチンとを含む飲料は、比較例10および11の松樹皮抽出物を含有しない飲料に比べて、体脂肪減少を伴う優れたダイエット効果を有することがわかる。実施例8〜11の飲料の中でも、特に、さらに鎮静作用を有する食品素材であるオレンジピールおよび女性ホルモン様作用を有する食品素材である大豆抽出物を含む実施例10および11の飲料は、より高いダイエット効果を有することがわかる。
【0080】
【表7】
【0081】
表7の結果から、実施例8〜11のプロアントシアニジンを含む松樹皮抽出物と、代謝改善食品素材(トウガラシ抽出物、あるいはコレウスフォコリおよびL−カルニチン)とを含む飲料は、高い血行改善効果を示すことが分かる。よって、これらの飲料は、血行改善作用との相乗効果によって、優れたダイエット効果が得られることがわかる。
【0082】
【発明の効果】
本発明のダイエット食品は、プロアントシアニジンと代謝改善食品素材とを含有する。この食品を摂取することにより、糖代謝および脂質代謝が改善され、さらに血行が改善されるため、脂肪燃焼が促進され、ダイエット効果が得られる。したがって、無理な食事制限を必要としない。
Claims (1)
- (A)松樹皮抽出物と(B)トウガラシ抽出物、あるいはコレウスフォコリ抽出物およびL−カルニチンと、(C)オレンジの皮の抽出物と、(D)大豆抽出物とを含有する、体脂肪減少用食品。
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