JP3859054B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、現像装置によって像担持体の表面にトナー像を形成し、そのトナー像を転写装置によって転写材に転写すると共に、トナー像の転写位置を通過した像担持体表面に付着している転写残トナーをクリーニング装置によって除去する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される上記形式の画像形成装置は従来より周知である。かかる画像形成装置において、クリーニング装置によって像担持体から除去された転写残トナーを現像装置に戻すトナーリサイクル装置を設け、そのトナーを現像装置において再びトナー像の形成のために使用するように構成すると、トナーの消費量を減らし、資源の有効利用を図ることができる。
【0003】
ところで、クリーニング装置によって像担持体から除去された転写残トナー中には紙粉が含まれている。従って、上述のトナーリサイクル装置を設けると、紙粉も転写残トナーと共に現像装置に戻される。このような紙粉を含むトナーによって像担持体表面にトナー像を形成すると、紙粉にトナーが付着した例えば1mm程の長さの異常画像が像担持体表面の地肌部に付着し、その紙粉に付着したトナー、又はその紙粉とトナーが共に転写材の地肌部に転写され、完成した画像の見栄えが低下するおそれがある。このような異常画像は、髭に似ていることから「ひげ画像」とも称せられている。
【0004】
また、現像装置に戻される転写残トナー中に含まれた紙粉を核としてトナーが凝集し、微小な凝集体が形成されることがある。かかる凝集体を含むトナーにより像担持体にトナー像を形成して該トナー像を転写材に転写すると、その転写時に、像担持体表面の微小な凝集体のまわりのトナー像部分と転写材とが密着せず、転写材に転写されたトナー像中に、小さな点状の像と、そのまわりの画像の抜けた部分(所謂白抜け部分)が発生し、その画質が劣化する。かかる点状の画像とそのまわりの画像抜け部分より成る異常画像は、「ホタル」とも称せられている。
【0005】
上述のように、従来の画像形成装置においては、トナーリサイクル装置を設けると、トナーの消費量を減少できる利点が得られる反面、異常画像が発生しやすくなる欠点を免れなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、転写残トナーを現像装置に戻してこれを再使用することにより、トナーの有効利用を図ることができると共に、上述した従来の欠点を効果的に抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、像担持体と、該像担持体の表面にトナー像を形成する現像装置と、該トナー像を転写材に転写する転写装置と、転写材にトナー像が転写される転写位置を通過した像担持体表面に付着している転写残トナーを除去するクリーニング装置と、該クリーニング装置によって像担持体から除去された転写残トナーの一部を前記現像装置に戻し、かつ他の転写残トナーをトナー収容部へ搬送することのできるトナーリサイクル装置とを具備し、該トナーリサイクル装置は、転写残トナーが通るトナー案内管と、該トナー案内管内の転写残トナーを搬送するトナー搬送部材とを有し、前記トナー案内管には、現像装置又はトナー収容部へ送られる転写残トナーが、当該トナー案内管から落下するトナー排出孔と、該トナー排出孔よりも開口面積の大きな孔より成る出口が形成され、前記トナー案内管がその軸線のまわりに回転可能に支持されていると共に、該トナー案内管をその軸線のまわりに回転させる駆動手段を具備し、前記トナー排出孔と出口は、トナー案内管の周方向における異なった位置に形成されている画像形成装置を提案する(請求項1)。
【0013】
さらに、上記請求項1に記載の画像形成装置において、前記トナー案内管の軸線方向に対して直交するトナー案内管周方向の向きを横方向としたとき、前記トナー排出孔の横方向の幅が、当該トナー排出孔を通る転写残トナーの横方向の幅よりも小さく設定されていると有利である(請求項2)。
【0014】
また、上記請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記トナー排出孔が、トナー案内管の軸線方向に沿って複数個形成されていると有利である(請求項3)。
【0015】
さらに、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記トナー排出孔は、その開口面積が、トナー案内管の半径方向外方に向けて漸次大きくなるようにテーパ状に形成されていると有利である(請求項4)。
【0016】
また、上記請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記トナー排出孔は矩形に形成され、その互いに平行な2つの辺が、ほぼトナー案内管の軸線方向に延びていると有利である(請求項5)。
【0017】
さらに、上記請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記トナーリサイクル装置により搬送される転写残トナーに対して衝撃を与える衝撃付与装置を具備していると有利である(請求項6)。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0030】
図1は画像形成装置の一例を示す部分断面概略図である。ここに示した画像形成装置の本体内には、ドラム状の感光体として構成された像担持体1が配置され、この像担持体1は図示していない駆動装置によって図1における時計方向に回転駆動される。複数のローラに巻き掛けられて回転駆動されるベルトより成る像担持体を用いることもできる。
【0031】
像担持体1が上述のように回転するとき、帯電装置2によって像担持体1の表面が所定の極性に帯電される。また、画像形成装置本体内には露光装置の一例であるレーザ書き込みユニット(図示せず)が配置され、このユニットから出射する光変調されたレーザビームLによって、帯電後の像担持体表面が露光され、これによって像担持体表面に静電潜像が形成される。この例では、レーザビームLが照射されて像担持体の表面電位の絶対値が低下した部分が静電潜像となり、レーザビームの当てられない像担持体の表面部分が地肌部となる。このように、本例の画像形成装置では、帯電装置2とレーザ書き込みユニットとによって、像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段が構成される。
【0032】
上記静電潜像は現像装置3によってトナー像として可視像化される。ここに例示した現像装置3は、現像ケース4と、この現像ケース4に回転自在に支持されて反時計方向に回転駆動される現像ローラ5と、同じく現像ケース4に回転自在に支持されて回転駆動される撹拌羽根6とを有し、現像ケース4には、トナーとキャリアを有する粉体状の二成分系現像剤Dが収容されている。キャリアを有さない粉体状の一成分現像剤を用いた現像装置や、トナーとキャリア液を有する液状現像剤を用いる現像装置などを採用することもできる。
【0033】
上記現像剤Dは、撹拌羽根6により撹拌されて、そのトナーとキャリアが互いに逆極性に摩擦帯電され、かかる現像剤Dが、トナーの帯電極性と同極性のバイアス電圧を印加された現像ローラ5上に担持されて搬送され、規制ブレード7により量を規制された現像剤は、現像ローラ5と像担持体1の間の現像領域に運ばれる。この現像領域において現像剤中のトナーが像担持体表面に形成された静電潜像に静電的に移行して、その静電潜像がトナー像として可視像化される。
【0034】
また、現像装置3は、現像ケース4に一体に接続されたトナー容器8を有し、このトナー容器8に粉体状のトナーTが収容されている。トナー容器内のトナーTは、回転するトナー撹拌部材18により撹拌される。図示していないトナー残量検知センサにより、トナー容器8内のトナーTの量が減少したことが検知されると、図示していないトナー供給口を通して、同じく図示していないトナー貯留部からトナーが供給される。また、現像ケース4内に収容された現像剤Dのトナー濃度低下が図示してないトナー濃度センサにより検知されると、トナー補給ローラ10が回転し、トナー容器8内のトナーTが現像ケース4に補給される。
【0035】
一方、像担持体1に対向して転写装置11が設けられている。ここに例示した転写装置11は、一対のローラ12,13に巻き掛けられて矢印A方向に駆動される転写ベルト14と、バイアスローラ15とを有し、転写ベルト14と像担持体1との間に、図示していない給紙部から給送された転写材、図示した例では転写紙Pが、矢印Bで示すように送り込まれる。この転写紙Pは、転写ベルト14に担持されて搬送されながら、像担持体1の表面に接触する。このとき、バイアスローラ15に、像担持体表面のトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加され、その作用により、像担持体表面のトナー像が転写紙P上に静電的に転写される。このようにしてトナー像の転写位置を通過して、像担持体1を離れた転写紙Pは、図示していない定着装置を通り、このとき転写紙上のトナー像が熱と圧力の作用により、その転写紙上に定着される。
【0036】
図示した形式の転写装置に代え、転写ローラ、転写ブラシ、転写ブレード或いは転写チャージャなどの転写手段を有する転写装置、或いはかかる転写手段と転写ベルトを有する転写装置などを用いることもできる。
【0037】
連続通紙が行われるときは、次の転写紙が上述したところと同様にして順次像担持体1と転写ベルト14の間に送り込まれ、像担持体1に形成された次のトナー像がその転写紙上に転写される。
【0038】
像担持体上に形成されたトナー像は、前述のように転写紙Pに転写されるが、このときのトナー像の転写率は100%にならず、トナー像を転写したあとの像担持体表面には転写残トナーが付着している。また像担持体表面に形成されるトナー像と次のトナー像の間の地肌部にも極く少量のトナーが付着しており、このトナーも、転写紙に転写されることなく、転写残トナーとして像担持体表面に付着したままトナー像の転写位置を通過する。
【0039】
上述の如き転写残トナーは、クリーニング装置16によって像担持体表面から除去される。図1に一例として示したクリーニング装置16は、クリーニングケース17と、基端部がクリーニングケース17に固定されたクリーニングブレード19と、クリーニングケース内の転写残トナーをそのケース17外に排出させるトナー搬出部材20とを有している。クリーニングブレード19は、像担持体表面の転写残トナーを除去するクリーニング部材の一例を構成し、かかるクリーニング部材が像担持体表面に当接して、その像担持体表面に付着する転写残トナーを掻き取り除去する。クリーニング装置により像担持体表面から除去される転写残トナーの量は、例えば、現像ケース4に補給されて使用されるトナーの量の15乃至25%程度である。図示した形式のクリーニング装置に代え、複数のクリーニング部材を有するクリーニング装置や、磁気ブラシクリーニング装置などの他の形式のクリーニング装置を適宜採用することもできる。
【0040】
上述のように、図示した画像形成装置は、像担持体1と、その像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像を現像して像担持体の表面にトナー像を形成する現像装置3と、そのトナー像を転写材に転写する転写装置11と、転写装置11により転写材にトナー像が形成される転写位置を通過した像担持体表面に付着している転写残トナーを除去するクリーニング装置16と、次に説明するトナーリサイクル装置26とを有している。
【0041】
図1に例示したトナーリサイクル装置26は、クリーニング装置16から現像装置3の上方へ延び、内部を転写残トナーが通るトナー案内管21と、そのトナー案内管21内に配置されたトナー搬送スクリュー22とを有し、トナー容器8の上方に位置するトナー案内管部分にはトナー排出孔23が形成されている。トナー搬送スクリュー22は、トナー案内管21内の転写残トナーを搬送するトナー搬送部材の一例を構成するものである。
【0042】
クリーニングブレード19により像担持体表面から掻き取り除去された転写残トナーは、クリーニングケース17内に落下し、その落下した転写残トナーは、回転するトナー搬出部材20によりトナー案内管21内に搬送される。このとき、そのトナー案内管21内のトナー搬送スクリュー22は、図示していない駆動装置によって回転駆動されており、これによってトナー案内管21内に送り込まれた転写残トナーTAは、トナー案内管21内を矢印C方向に搬送され、トナー排出孔23から排出されて、トナー容器8内に落下する。トナー容器8に落下した転写残トナーは、そのトナー容器8内のトナーTと混合され、その混合されたトナーが前述のように現像ケース4に補給されて静電潜像の可視像化に供される。このように転写残トナーが現像装置3において再利用されるため、トナーの消費量を減らすことができる。
【0043】
上述のように像担持体1から除去された転写残トナーTAは現像装置3に戻されるが、全ての転写残トナーTAが現像装置3に戻されるのではなく、一部の転写残トナーだけが現像装置3に戻されて再利用され、他の転写残トナーは、トナー案内管21の端部の出口24からトナー案内管外に排出され、トナータンク25として構成されたトナー収容部に収容される。トナータンク25に収容された転写残トナーは、最終的に廃棄処分されるか、又は再生処理される。このように、トナーリサイクル装置26は、クリーニング装置16によって像担持体1から除去された転写残トナーの一部を現像装置3に戻し、かつ他の転写残トナーをトナー収容部へ搬送する用をなす。
【0044】
像担持体から除去された転写残トナーを再利用すべく、その転写残トナーを現像装置に戻すトナーリサイクル装置を設けること自体は従来より周知である。その際、従来のトナーリサイクル装置は、像担持体から除去された転写残トナーを全て現像装置に戻すように構成されていた。かかるトナーリサイクル装置によって現像装置に戻した転写残トナーを含むトナーにより、像担持体に形成された静電潜像を可視像化すると、先に説明したように、その転写残トナーに含まれた紙粉に基因して、地肌部に多数のひげ画像が発生したり、転写材上のトナー像中に多数のホタルが発生する欠点を免れない。
【0045】
上述した欠点の発生原因とその対策を解明すべく、本発明者は、図1に示したトナーリサイクル装置26のトナー案内管21に形成されたトナー排出孔23を通して、従来の画像形成装置と同じく、全ての転写残トナーを現像装置3に戻すように構成した場合に、現像装置3内の紙粉の量がいかにして増加して行くかにつき検討した。その結果、次の事実を明らかにすることができた。
【0046】
先ず、転写ベルト14と像担持体1との間に送り込まれる転写紙Pには紙粉が付着していて、その転写紙Pが像担持体1の表面に接触したとき、転写紙P上の紙粉の一部が像担持体1の表面に付着する。残りの紙粉は転写紙Pや転写ベルト14上に付着して持ち去られる。転写ベルト14に付着した紙粉は、該ベルト14に付着したトナーと共に、図1に図示していないクリーナによって転写ベルト14から除去される。
【0047】
像担持体表面に付着した紙粉は、クリーニング装置16によって、転写残トナーと共に像担持体1の表面から除去され、次いでその紙粉は転写残トナー中に混ってトナーリサイクル装置26により搬送される。この場合には、その転写残トナーの全てが紙粉と共に現像装置3に戻される。そして、現像装置3により像担持体表面にトナー像が形成されるとき、紙粉も像担持体表面に付着し、その付着した紙粉がトナー像の転写位置を通るとき、当該紙粉の一部が転写紙上や転写ベルト14上に移行し、他の紙粉は像担持体1の表面に付着したままとなる。像担持体表面に付着したままの紙粉は、新たに転写紙Pから像担持体表面に移行して付着した紙粉と共に、クリーニング装置16によって像担持体表面から除去される。
【0048】
上述のように、紙粉は、クリーニング装置16、トナーリサイクル装置26のトナー案内管21、トナー容器8、現像ケース4、及び像担持体1の表面により構成されるリサイクルトナー経路を循環し、その間に、一部の紙粉が転写紙と転写ベルトに持ち去られ、かつ転写紙Pから像担持体1に常に新たな紙粉が供給される。このため、通紙枚数、すなわち転写紙がトナー像の転写位置を通過する枚数が増加するに従って、リサイクルトナー経路を通る紙粉の量は徐々に増えて行き、現像装置3内の紙粉の量が増大する。
【0049】
ところが、リサイクルトナー経路中を通る紙粉の量、すなわち現像装置3中に存する紙粉の量は、際限なく増えるのではなく、通紙枚数が或る数に達すると、それ以上増大せずに飽和することが明らかとなった。図2はこの事実を説明するグラフであり、その横軸は通紙枚数を示し、縦軸は転写紙を1000枚通紙する間にリサイクルトナー経路を通過する紙粉の量(重量mg)、すなわち転写紙1000枚当りにリサイクルトナー経路を通過する循環紙粉量を示している。例えば、トナー案内管21の或る1個所で、そのトナー案内管21の横断面を考え、1000枚の転写紙Pが転写位置を通る間に、上記横断面部を通る紙粉の量が循環紙粉量である。図2における通紙枚数が「0」のとき、現像装置3には紙粉は存在しない。また図2中の「K」は「1000」を意味する(図3乃至図5及び図18においても同じ)。図2中の実線Eは、転写紙Pとして再生紙を使用したときの結果であり、鎖線Fは上質紙より成る転写紙Pを使用したときの結果を示している。
【0050】
図2から判るように、転写紙Pの種類により、その各転写紙から像担持体表面に移行する紙粉の量が異なるので、上述の循環紙粉量も相違するが、いずれの場合も、通紙枚数の増大に伴って循環紙粉量は増大するものの、通紙枚数が或る枚数に達すると、循環紙粉量は増大せず、その循環紙粉量が飽和し、現像装置3中に存する紙粉の量も飽和する。循環紙粉量が増大して現像装置3中に存する紙粉の量が増えると、前述のように異常画像、すなわちひげ画像やホタルの発生が著しくなる。図2に示した例で言うと、循環紙粉量が15mg/K枚以上となると、異常画像の発生が顕著となり、これが目視上大変目立つようになる。
【0051】
上述のように、クリーニング装置16で回収された転写残トナーの全てを現像装置3に戻し、これに含まれた紙粉を循環させると、通紙枚数の増大に伴って循環紙粉量が増大するが、最終的にはその循環紙粉量は飽和する。その理由は、次のように考えられる。
【0052】
現像装置3から像担持体1の表面に付着した紙粉が転写紙Pや転写ベルト14に移行して持ち去られる割合は極めて少なく、像担持体上のほとんどの紙粉がその像担持体に付着したままトナー像の転写位置を通過する。例えば、現像装置3から像担持体表面に付着した紙粉の92%が像担持体に付着したまま残り、他の8%が転写紙Pや転写ベルト14に付着して持ち去られる。或る小割合の量の紙粉が転写紙等に持ち去られるのである。これに対し、像担持体に転写紙Pから新たに供給される紙粉の量はほぼ一定している。従って、通紙枚数が少ないうちは、現像装置3から像担持体1に新たに付着した紙粉が転写紙Pや転写ベルト14に移行して持ち去られる量に対して、転写紙Pから像担持体1に新たに供給される紙粉の量の割合が大きい。このため循環紙粉量が漸次増大し、現像装置3に存する紙粉の量も増大して行く。ところが、通紙枚数が増加して、循環紙粉量が多くなると、現像装置3から像担持体1に付着した紙粉のうち、転写紙Pや転写ベルト14に移行する紙粉の量の絶対量が増えるので、その紙粉量と、転写紙Pから新たに像担持体表面に移行する紙粉の量とがバランスするようになり、循環紙粉量が飽和するものと考えられる。
【0053】
上述のように、トナーリサイクル装置26によって転写残トナーの全てを現像装置に戻すように構成すると、現像装置3内の紙粉の量は飽和するものの、その量がかなり多いため、かかる紙粉の混入したトナーによって像担持体上にトナー像を形成すると、異常画像の発生が顕著となる。これがトナーリサイクル装置を有する従来の画像形成装置の欠点となっていたのである。
【0054】
これに対し、図1を参照して先に説明した本例の画像形成装置においては、クリーニング装置16により像担持体1から除去された転写残トナーの一部だけを現像装置3に戻し、他の転写残トナーを再使用しないように構成されている。この構成により、現像装置3に存する紙粉の量を大幅に減らすことができ、異常画像の発生を効果的に抑えることができる。かかる効果を明らかにするため、本発明者の行った実験例を説明する。
【0055】
図1に示した画像形成装置において、単位時間当りに、クリーニング装置16からトナー案内管21に送り込まれる転写残トナーの重量をT1とし、そのうちの現像装置3に戻される単位時間当りの転写残トナーの重量をT2としたとき、T2/T1で表わされる値をリサイクル率と言うことにする。図3は、図1に示した本例の画像形成装置を用いて画像形成動作を行い、上述のリサイクル率を各種変えたときに、前述の循環紙粉量の飽和値(転写紙1000枚当りの紙粉重量)がいかに変化するかを示した実験結果である。転写紙Pとしては、再生紙を使用した。
【0056】
図3におけるリサイクル率が100%は、全ての転写残トナーを現像装置3に戻すことを意味し、これはトナーリサイクル装置を設けた従来の画像形成装置に相当する。また、リサイクル率0%とは、全て転写残トナーをトナータンク25に排出することを意味し、これはトナーリサイクル装置を設けない従来の画像形成装置に相当する。リサイクル率100%のとき、循環紙粉量の飽和値は25mg/K枚となっており、これは図2の実線Eで示された循環紙粉量の飽和値と一致する。
【0057】
ここで、図3から判るように、例えばリサイクル率が90%、すなわち全転写残トナーのうちの10%の転写残トナーをトナータンク25に排出し、全転写残トナーのうちの90%の転写残トナーを現像装置3に戻してこれを再利用したとき、循環紙粉量の飽和値は約10mg/K枚となっていて、この値はリサイクル率が100%の場合の飽和値25mg/K枚に比べて大きく低下している。また、リサイクル率が80%になると、循環紙粉量の飽和値は約6mg/K枚となり、やはり急激に低下している。このように、全転写残トナーのうちのわずかな量の転写残トナーを現像装置3に戻さずに、これをトナータンク25に排出するだけで、循環紙粉量の飽和値を大きく下げることができる。図4は、転写紙Pとして再生紙を用い、リサイクル率を45%に設定したときの通紙枚数と循環紙粉量との関係を示す実験結果である。この図からも、通紙枚数が或る値を越えると循環紙粉量が飽和し、その飽和値が図2の実線Eの場合に比べて約1/15程にまで大きく低下していることが判る。
【0058】
上述した現象は、次のようにして発生するものと推測される。
【0059】
リサイクルトナー経路の紙粉の量が飽和したものとし、このときの循環紙粉量をWmg/K枚とする。また、この状態で転写紙Pから像担持体1に新たに供給される紙粉の量(転写紙1000枚当りの紙粉重量)が2mg/K枚であるとし、現像装置3から像担持体に付着した紙粉の量(転写紙1000枚当りの紙粉重量)の8%が、転写位置を通過する転写紙Pや転写ベルト14に付着して持ち去られ、他の92%の紙粉が像担持体表面に付着したままであると仮定する。そして、リサイクル率をy%とすると、循環紙粉量Wは、Wmg/K枚=(2mg/K枚+0.92×Wmg/K枚)×y/100で表わされる。ここで、例えばy=100%とすると、W=25mg/K枚となり、これは、図3に示したグラフにおけるリサイクル率が100%のときの飽和値(25mg/K枚)に一致する。また、y=90%であるとすると、Wmg/K枚は約10mg/K枚となり、これも図3に一致している。
【0060】
上述のように、像担持体から除去した転写残トナーの一部を現像装置3に戻して再利用し、他の転写残トナーをトナータンク25に搬送することにより、現像装置3内の紙粉の量を大幅に低下させることができ、これによって転写紙P上に異常画像が形成される不具合を効果的に抑制することができる。先の説明からも判るように、リサイクル率を例えば50%とすることで、そのリサイクル率が0%の場合に比べ、トナーイールド、すなわち、トナー貯留部にセットされたトナーボトル1本分のトナーによりコピーできるコピー枚数を約10%上昇させ、またリサイクル率が100%である場合に比べて、循環紙粉量の飽和値を1/10以下にすることができる。このように、トナー消費量の低減効果と、異常画像の発生低減効果を両立させることができるのである。
【0061】
ところで、或るリサイクル率で転写残トナーを現像装置3に戻し、他の転写残トナーをトナータンク25に搬送するように画像形成装置を構成し、専らこの態様で画像形成装置を使用するようにしてもよいが、画像形成装置を使用するユーザのなかには、転写紙Pに形成された画像の画質が多少悪くともトナーの消費量を可能な限り少なくしたいと考える者もいれば、逆にトナーの消費量の減少よりも画質の向上を優先したいと考える者もいる。或いは、トナーの消費量も減らし、かつ画質も或る程度高いものにしたいと考える者もいる。
【0062】
そこで、トナー案内管21をその軸線のまわりに回転可能に支持すると共に、図6に示すように、トナー案内管21に前述のトナー排出孔23を形成するほか、そのトナー排出孔23よりもはるかに開口面積の大きな孔より成る出口27を形成しておくこともできる。トナー排出孔23と出口27は、トナー案内管21の周方向における異なった位置に形成されている。
【0063】
トナーの消費量の低減を最優先させたいユーザの画像形成装置に対しては、図7に示す如く出口27がほぼ下方を向くように、トナー案内管21を回転させる。これにより、トナー案内管21内を搬送された転写残トナーTAは、その全体が大開口の出口27を通して下方に落下し、現像装置3に戻される。これにより、全ての転写残トナーTAが現像装置3において再利用されるので、トナーの消費量を効果的に低減できる。但し、この場合には、異常画像が発生しやすくなる。
【0064】
画質の向上を最も優先させたいユーザの画像形成装置に対しては、図8に示すように、トナー排出孔23と出口27が共に形成されていないトナー案内管部分が下方に向くように、トナー案内管21を回転させる。これにより、トナー案内管21を搬送される全ての転写残トナーTAが図1に示したトナータンク25に排出される。このため、現像装置3では転写残トナーは全く使用されず、これにより高品質な画像を形成できる。但し、この場合には、トナータンク25に排出されるトナーの量が増え、トナーの消費量が増大する。
【0065】
また、画像の画質の向上と、トナー消費量の低減を共に望むユーザの画像形成装置に対しては、図6に示したように、トナー排出孔23がほぼ下方を向くようにトナー案内管21を回転させ、前述のように一部の転写残トナーを現像装置3に戻し、他のトナーをトナータンク25に搬送するようにすればよい。
【0066】
上述のように、クリーニング装置16によって像担持体1から除去された転写残トナーの全体を現像装置3に戻すか、又はその転写残トナーの全体をトナー収容部へ搬送するか、或いはその転写残トナーの一部を現像装置3に戻し、かつ他の転写残トナーをトナー収容部へ搬送するかを選択できるようにトナーリサイクル装置26を構成することによって、ユーザの多様な要求に応えることができる。
【0067】
また、前述のようにトナー案内管21を回転可能に支持しておき、このトナー案内管21をその軸線Xのまわりに回転させることにより、トナー排出孔23から排出される転写残トナーの量を調整することができる。このように、現像装置とトナー収容部へそれぞれ送られる転写残トナーの量の割合を調整可能に構成することにより、所望するリサイクル率で、転写残トナーを現像装置3に戻すことが可能となる。
【0068】
ところで、図1に示した例では、トナー案内管21に形成されたトナー排出孔23から排出される転写残トナーを現像装置3へ落下させ、トナー案内管21の出口24から排出される転写残トナーをトナータンク25へ落下させるように構成されているが、これとは逆に、トナー排出口23から排出される転写残トナーをトナータンク25へ、またトナー案内管21の端部開口の出口24から排出される転写残トナーを現像装置3にそれぞれ落下させるように構成することもできる。
【0069】
要は、クリーニング装置によって像担持体から除去された転写残トナーの一部を現像装置に戻し、かつ他の転写残トナーをトナー収容部へ搬送することのできるトナーリサイクル装置が、転写残トナーが通るトナー案内管と、そのトナー案内管内の転写残トナーを搬送するトナー搬送部材とを有し、上記トナー案内管に、現像装置又はトナー収容部へ送られる転写残トナーが、当該トナー案内管から落下するトナー排出孔と、そのトナー排出孔よりも開口面積の大きな孔より成る出口を形成し、トナー案内管をその軸線のまわりに回転可能に支持するのである。これにより、簡単な構成によって、転写残トナーを現像装置3とトナー収容部にそれぞれ振り分けて搬送することが可能となる。
【0070】
前述のように、トナー案内管21を回転させてトナー排出孔23の角度位置を調整することにより、そのトナー排出孔23から排出させる転写残トナーの量、すなわちリサイクル率を調整することができる。その際、トナー排出孔23の開口面積は適宜設定できるが、トナー排出孔23の開口面積が大きすぎると、所望するリサイクル率が得られる角度位置にトナー案内管21を回転させることが容易でなくなる。このため、トナー排出孔23の開口面積は、ここを転写残トナーが通過できる範囲内で、できるだけ小さく設定することが好ましい。以下、その理由を明らかにする。
【0071】
図10は、図6に示したトナー排出孔23を有するトナー案内管21の斜視図であり、図11は図6に示したトナー排出孔23よりも大きな開口面積のトナー排出孔123を有するトナー案内管21の断面図、図13は図11に示したトナー案内管21の斜視図である。図11及び図13においては、図6乃至図8に示した出口27の図示を省略してある(図9及び図12においても同じ)。
【0072】
ここで、トナー案内管21の軸線Xの方向に対して直交するトナー案内管周方向の向きを横方向とすると、図6及び図11に示したトナー排出孔23,123の横方向における中心CLが最も下方に位置するときのトナー排出孔23,123の角度位置を0°の位置とし、この位置を基準として、トナー案内管21を図6及び図11における時計方向に回転させたときのトナー排出孔23,123の中心CLの角度位置をプラス側にとって考えるものとする。
【0073】
トナー排出孔123の角度位置を図11に示すように定めたとき、そのトナー排出孔123の開口面積は大きいため、その横方向の幅h1はトナー案内管21内を搬送される転写残トナーTAの横方向の幅Hよりも大きくなる。このため、トナー案内管21内の転写残トナーTAは、トナー排出孔123を通して大量に下方に落下する。これに対し、このトナー排出孔123を有するトナー案内管21を、図12に示すようにプラス側に角度θだけ回転させると、トナー案内管21内の転写残トナーTAは、その一部がトナー排出孔123にかかって、ここから下方に落下するが、転写残トナーTAの他の一部はトナー排出孔123から外れて位置する。このため、トナー排出孔123を通して下方に落下する転写残トナーTAの量は、図11の状態よりも大幅に減少する。
【0074】
一方、図6に示したトナー案内管21のトナー排出孔23の開口面積は小さいため、トナー排出孔23が図6に示した位置にあるとき、トナー排出孔23の横方向の幅のh2は、トナー案内管21内の転写残トナーTAの横方向の幅Hよりも狭くなり、転写残トナーTAはトナー排出孔23の全体を覆った状態となる。次に、図9に示すように、このトナー案内管21をプラス側に角度θだけ回転させたとき、トナー排出孔23の開口面積が小さいため、依然として転写残トナーTAはトナー排出孔23の全体を覆ったままとなる。このため、トナー案内管21を図6に示した角度位置から図9に示した位置まで回転させても、トナー排出孔23から排出される転写残トナーTAの量はわずかに変化するだけである。
【0075】
図5は、直径4mmのトナー排出孔23を有するトナー案内管21と、8mm×15mmの長方形のトナー排出孔123を有するトナー案内管21を、0°の位置から回転させたとき、全転写残トナーのうちの現像装置3へ戻される転写残トナーの割合、すなわちリサイクル率がいかに変化するかを調べた実験結果を示している。実線Iが大開口面積のトナー排出孔123を有するトナー案内管の実験結果であり、鎖線Jが小開口面積のトナー排出孔23を有するトナー案内管の実験結果である。なお、この実験で用いたトナー案内管21のトナー排出口23,123は、図6及び図11に示したものと多少相違しているが、トナー排出口23の開口面積が、トナー排出口123の開口面積よりも小さいことは共通している。
【0076】
図5の実線Iから判るように、大開口面積のトナー排出孔123を有するトナー案内管21の場合、その角度位置を0°の位置と180°の位置に設定することにより、リサイクル率100%と0%にすることができるが、そのトナー案内管21を10°の位置から30°の位置へ回転させたとき、リサイクル率は急激に減少する。従って、例えばリサイクル率を50%に設定すべきとき、そのトナー案内管21の角度位置を20°の近辺の位置に設定したとしても、部品のばらつきによって、リサイクル率が正確に50%とならぬことがある。
【0077】
これに対し、小開口面積のトナー排出孔23を有するトナー案内管21の場合、図5の鎖線Jから判るように、その角度位置を0°の位置から40°の位置に回転させたとき、リサイクル率が少しずつ増大し、その変化の割合は非常に少ない。このため、多少の部品のばらつきがあったとしても、トナー案内管21の角度位置を調整することにより、正確なリサイクル率を設定することができる。例えばリサイクル率を50%に設定する場合には、トナー排出口23を有するトナー案内管21の角度位置を20°の近辺の位置に設定すればよい。
【0078】
なお、図5の鎖線Jから判るように、小開口面積のトナー排出孔23を有するトナー案内管21の場合、そのトナー排出孔23の角度位置を0°の位置、すなわち鉛直下向きの位置にしたときにリサイクル率が最大となっておらず、その角度位置がほぼ40°のときに最大となっている。これは、トナー案内管21内のトナー搬送スクリュー22(図1)が、図6における矢印K方向に回転するので、転写残トナーTAがそのトナー搬送スクリュー22によってこの方向Kに押され、この状態で転写残トナーTAが搬送されるためである。このように、リサイクル率が最大となるトナー排出孔23の角度位置は、トナー搬送スクリュー22の回転数、そのスクリューのピッチ、トナー排出孔23の大きさ、トナー案内管21の内径、転写残トナーの性質、転写残トナーの量などによって変化するので、実際のトナーリサイクル装置の構造を用いた実験結果から、リサイクル率が最大となるトナー排出孔23の角度位置を確定することが望ましい。
【0079】
上述のように、トナー排出孔23の横方向の幅h2を、当該トナー排出孔23を通る転写残トナーの横方向の幅Hよりも小さく設定することによって、正確に所望するリサイクル率を定めることができる。また、トナー排出孔23の開口面積を30mm2以下、好ましくは3mm2以下に設定すると、上述の効果をより確実なものにすることができる。これは、多数の実験により確められている。
【0080】
また、上述の如く形成されたトナー排出孔23を、トナー案内管21の軸線Xの方向に沿って複数個形成すると、トナー排出孔23から排出される転写残トナーの量が極端に少なくなることを阻止しつつ、上述した効果をより一層確実なものにすることができる。
【0081】
また、上述の如く形成されたトナー排出孔23は、図14に示すように、その開口面積がトナー案内管21の半径方向外方に向けて一定となるように形成されていてもよいが、かかるトナー排出孔23の場合、そのエッジ部23Aに転写残トナーが付着して堆積し、これによってトナー排出孔23の見かけ上の径が小さくなり、ここを転写残トナーが通り難くなるため、経時的にリサイクル率が低下するおそれがある。これに対し、図15に示すように、トナー排出孔23の開口面積が、トナー案内管21の半径方向外方に向けて漸次大きくなるように、トナー排出孔23がテーパ状に形成されていると、そのトナー排出孔23のトナー案内管内部側のエッジ部23Aが鋭角となるため、ここに転写残トナーが付着し難くなり、常にリサイクル率を所望する値に維持することができる。
【0082】
さらに、上述の如く形成されるトナー排出孔23の形状は、円形、楕円形、長円形又は矩形などの適宜な形態にすることができるが、トナー排出孔23を円形に形成した場合、このトナー排出孔23は、図16に示すように、トナー搬送スクリュー22(図1)の回転方向Kに沿って、そのトナー排出孔23の幅が狭まるため、トナー搬送スクリュー22の回転方向Kにおけるトナー排出孔23の下流側の端部23Bに転写残トナーが堆積し、これによってリサイクル率が低下するおそれがある。
【0083】
これに対し、図17に示すように、トナー排出孔23を矩形に形成し、その互いに平行な2つの辺23Cがほぼトナー案内管21の軸線Xの方向に延びるようにトナー排出孔23を配置すると、トナー搬送スクリューの回転方向Kにおいて、トナー排出孔23の幅が一定となるので、このトナー排出孔23に転写残トナーが堆積し難くなる。これにより、常にリサイクル率を所望する値に維持することが可能となる。
【0084】
上述したトナー排出孔23の各構成を適宜組み合せることが好ましく、特にトナー排出孔23を上述の如く矩形にすると共に、その幅(開口面積)が、トナー案内管の半径方向外方に向けて漸次大きくなるように、当該トナー排出孔23をテーパ状に形成すると、そのトナー排出孔23への転写残トナーの堆積をより効果的に防止できる。
【0085】
前述のように、トナー案内管21をその軸線Xのまわりに回転可能に支持し、そのトナー案内管21を回転させることによって、リサイクル率を所望する値に設定することができる。その際、トナー案内管21を手動で回転させてトナー排出孔23の位置を調整するように構成してもよいが、そのトナー案内管21を自動的に回転させるように構成してもよい。例えば、図1に示すように、トナー案内管21の外周面にギア28を固定し、画像形成装置本体に支持されたモータ29より成る駆動手段の出力ギア30を上記ギア28に噛み合せ、該モータ29の作動によって、ギア30,28を回転させ、これによりトナー案内管21をその軸線Xのまわりに回転させて、トナー排出孔23の角度位置を調整し、全転写残トナーのうちの所望する割合の転写残トナーが現像装置3へ戻されるようにするのである。
【0086】
このように、トナー案内管21を、その軸線Xのまわりに回転可能に支持すると共に、該トナー案内管をその軸線Xのまわりに回転させる駆動手段を設けることによって、容易かつ正確にリサイクル率を所望する値に設定することが可能となる。
【0087】
以上説明した各構成の画像形成装置において、像担持体1に形成されるトナー像の画像比率(1枚の転写紙の全表面積に対するトナー像の面積の比率)が高くなると、クリーニング装置16により像担持体から除去される転写残トナーの量が増え、トナー案内管21を搬送される転写残トナーの量が増大する。このようになると、トナー排出孔23から落下しない転写残トナーの量が増え、トナータンク25に搬送される転写残トナーの量が増大する。このため、リサイクル率が予め設定した所望する値よりも低下してしまう。トナー像の画像比率が低下すると、逆にリサイクル率が上昇し、この場合もリサイクル率が狙いの値からずれてしまう。
【0088】
そこで、それ自体周知のように、原稿の画像比率を図示していない制御装置によって読み取ることにより、転写残トナーの量を予測し、その画像比率が所定の値よりも高い場合には、トナー排出孔23から排出される転写残トナーの量が増大する向きにトナー案内管21を自動的に回転させ、逆に画像比率が所定の値より低い場合には、トナー排出孔23から排出される転写残トナーの量が減少する向きにトナー案内管21を自動的に回転させれば、画像比率の高低にかかわらず、リサイクル率を常に所望する一定の値に維持することができる。
【0089】
一般的に示せば、像担持体に形成されるトナー像の画像比率に応じて、現像装置とトナー収容部へそれぞれ送られる転写残トナーの量の割合を自動的に調整できるように構成するのである。
【0090】
図1に示した例のように、軸線Xのまわりに回転可能に支持されたトナー案内管21を用いた場合には、像担持体1に形成されるトナー像の画像比率に応じて、トナー排出孔23のトナー案内管回転方向位置を調整すべく、トナー案内管21をその軸線Xのまわりに回転駆動する駆動制御手段を設ければよい。図示した例では、モータ29と、図示していない制御装置が、上述の駆動制御手段を構成する。
【0091】
また、上述した各構成において、画像形成装置内の温度、特に像担持体表面の温度が高くなると、像担持体から除去された転写残トナーの凝集度が上昇し、トナー排出孔23から落下しない転写残トナーの量が増大し、現像装置3へ戻される転写残トナーの量が減少してリサイクル率が低下することが実験により確認されている。逆に、画像形成装置内の温度、特に像担持体表面の温度が低下して、転写残トナーの凝集度が低くなると、リサイクル率が上昇し、いずれの場合も、リサイクル率が狙いの値からずれてしまう。
【0092】
そこで、画像形成装置内の温度を検知し、その温度が所定温度よりも高くなったときは、トナー排出孔23から排出される転写残トナーの量が増大する向きにトナー案内管21を自動的に回転させ、逆に画像形成装置内の温度が所定温度よりも低くなったときは、トナー排出孔23から排出される転写残トナーの量が減少する向きにトナー案内管21を自動的に回転させれば、画像形成装置内の温度の高低に影響されることなく、リサイクル率を常に所望する一定の値に維持することができる。画像形成装置内の温度を検知し、その検知温度から転写残トナーの凝集度を予測し、これに応じてトナー案内管21のトナー排出孔23の角度位置を調整して、リサイクル率を一定に維持するのである。
【0093】
一般的に示せば、画像形成装置内の温度に応じて、現像装置とトナー収容部へそれぞれ送られる転写残トナーの量の割合を自動的に調整できるように構成する。
【0094】
図1に示した例のように、軸線Xのまわりに回転可能に支持されたトナー案内管21を用いた場合には、画像形成装置内の温度、特に像担持体表面の温度を検知する温度センサ31を設けると共に、その温度センサ31の検知結果に基づいて、トナー排出孔23のトナー案内管回転方向位置を調整すべく、トナー案内管21をその軸線Xのまわりに回転駆動する駆動制御手段を設ければよい。
【0095】
以上説明した画像形成装置においては、そのトナーリサイクル装置26が、一部の転写残トナーを現像装置3に戻し、他の転写残トナーをトナータンク25に搬送するように構成されているが、そのトナーリサイクル装置26を、クリーニング装置16によって像担持体1から除去された転写残トナーの全体を現像装置3に戻すリサイクルモードと、該転写残トナーの全体をトナー収容部へ搬送する非リサイクルモードとを交互に実行するように構成することもできる。
【0096】
この例のトナーリサイクル装置26も、前述のように、転写残トナーTAが通るトナー案内管21と、そのトナー案内管内の転写残トナーTAを搬送するトナー搬送スクリュー22として構成されたトナー搬送部材とを有していて、そのトナー案内管21は、現像装置3に送られる転写残トナーの出口(以下、第1の出口という)27(図7)と、トナータンク25より成るトナー収容部へ送られる転写残トナーの出口(以下、第2の出口という)24(図1)とを有している。
【0097】
リサイクルモードが実行されるときは、第1の出口27が図7に示したほぼ下方を向くように、トナー案内管21の角度位置が設定される。これによってトナー案内管21内を搬送される全ての転写残トナーTAが、第1の出口27から現像装置3へ送られる。これに対し、非リサイクルモードが実行されるときは、図1に示したモータ29が作動して、図8に示したように、トナー排出孔23と第1の出口27の形成されていないトナー案内管部分が下方を向くように、トナー案内管21が回転される。これにより、トナー案内管21内を搬送される全ての転写残トナーTAが、トナー案内管21の第2の出口24から、トナータンク25より成るトナー収容部へ送られる。所定回数の画像形成動作、すなわち通紙が行われる毎に、リサイクルモードと非リサイクルモードの切り換えが行われるように、図示していない制御手段によってトナーリサイクル装置26が制御されるのである。
【0098】
図18はリサイクルモードと非リサイクルモードが交互に行われるときの通紙枚数と循環紙粉量の関係を説明するグラフであり、図19はそのフローチャートを示している。この例では、画像形成装置をユーザのところに出荷するとき、リサイクルモードを実行できるように、第1の出口27が下方を向いた状態に画像形成装置が設定されている。従って、図18に示した第1の段階(I)においてはリサイクルモードが実行される(図19のS1)。これにより、通紙枚数の増加に伴って循環紙粉量が漸次増加する。このリサイクルモードは、異常画像の発生が目立つようになる前の規定の通紙枚数N1の時点で止められ、この時点N1でトナー案内管21が回転駆動されて、第2の段階(II)の非リサイクルモードに切り換えられる(図19のS2,S3)。このようにして非リサイクルモードが実行されることにより、循環紙粉量は漸次減少する。図18に示した例では前述のリサイクルトナー経路中に紙粉がなくなるN2の通紙枚数となるまで、第2の段階(II)の非サイクルモードが続けられる。通紙枚数が規定のN2になると、第3の段階(III)に切り換えられ(図19のS4,S5)、この段階で、第1の段階(I)と全く同じリサイクルモードが実行される。引き続き第4の段階(IV)において第2の段階(II)と全く同じ非リサイクルモードが実行され、以降、かかる動作が繰り返される。
【0099】
上述の構成によっても、リサイクルモードが実行されるので、トナーの消費量を減少させることができ、しかも異常画像が目立つようになる前に、非リサイクルモードに切り換えられるので、異常画像の発生を効果的に抑制することができる。しかも、紙粉の含有量の多い転写残トナーをトナータンク25に排出するので、紙粉の排出効率を高めることができる。
【0100】
また図18及び図19に示した例では、非リサイクルモードの実行により、リサイクルトナー経路中から紙粉を全て排出させた後に、リサイクルモードに移行するので、異常画像の発生をより一層効果的に抑制することができる。なお、紙粉をリサイクルトナー経路から全て排出させるのに要する時間は、その経路の長さによって定められる。
【0101】
リサイクルモードから非リサイクルモードへの切り換えと、その逆の切り換えは、所定回数の画像形成動作、すなわち所定枚数の通紙が行われる毎に行われるが、その好ましい回数は、転写紙Pの紙質によって異なる。このため、モードを切り換える通紙枚数、すなわち所定の画像形成回数を、ユーザが入力して設定できるように構成することが好ましい。例えば、画像形成装置の操作部を操作して、上述の所定回数を入力できるようにするのである。このように、所定回数を入力するための入力手段を設けることによって、ユーザは自ら使用する転写紙の紙質に応じて、リサイクルモードと非リサイクルモードを切り換える所定回数を自由に設定することができる。
【0102】
以上説明した実施形態例においては、トナー案内管21に形成されたトナー排出孔23,123及び第1の出口27によって、転写残トナーを現像装置3へ戻すか、又はトナータンク25に搬送するかを制御したが、図20に模式的に示すようにトナー案内管21を現像装置3に通じる管21Aと、トナータンク25に通じる管21Bとに分岐し、その分岐部に規制部材32を設け、その規制部材32を実線、鎖線又は破線で示す位置に作動させることにより、転写残トナーの全体を現像装置3へ送り、或いは全ての転写残トナーをトナータンク25に搬送し、又は当該転写残トナーを所定の割合で、現像装置3とトナータンク25にそれぞれ搬送できるように構成することもできる。
【0103】
上述の例のトナーリサイクル装置26は、現像装置3とトナー収容部へそれぞれ送られる転写残トナーの量の比率を調整すべく作動可能な規制部材32を有しているのであるが、その際、その規制部材32を駆動する駆動手段、例えば図示していないモータを設けると、規制部材32を図20に実線、鎖線又は破線で示す各位置に自動的に切り換えることが可能となる。
【0104】
また、図20に示した例の場合も、像担持体に形成されるトナー像の画像比率に応じて、現像装置3とトナー収容部へそれぞれ送られる転写残トナーの量の割合を調整すべく、規制部材32を駆動する駆動制御手段(図示せず)を設け、また画像形成装置内の温度を検知する温度センサ(図20には示さず)と、その温度センサの検知結果に基づいて、現像装置3とトナー収容部へそれぞれ送られる転写残トナーの量の割合を調整すべく、規制部材32を駆動する駆動制御手段(図示せず)を設けることにより、常に所定のリサイクル率を維持することが可能となる。
【0105】
また、以上説明した各構成の画像形成装置に、トナーリサイクル装置26により搬送される転写残トナーに対して衝撃を与える衝撃付与装置を設けると、トナーリサイクル装置26により搬送される転写残トナーが途中で詰まるような不具合を防止できる。図21に、その衝撃付与装置33の一例を示す。ここに例示した衝撃付与装置33は、画像形成装置本体に対してピン34を介して揺動自在に支持された揺動部材35と、回転駆動されるカム36と、揺動部材35の後端をカム36に圧接させるばね37とを有していて、揺動部材35の先端はトナー案内管21の外周面に当接可能となっている。カム36が回転することにより、揺動部材35が矢印方向に揺動し、これによってその揺動部材35の先端がトナー案内管21に間欠的に衝突し、これによってトナー案内管21内の転写残トナーに衝撃が与えられる。
【0106】
上述の如き衝撃付与装置を設けると、トナー案内管21に形成されるトナー排出孔23を小さく形成した場合にも、そのトナー排出孔23にトナーが詰まる不具合を防止できる利点が得られる。
【0107】
以上、本発明の好ましい各種構成を説明したが、本発明はこれらの構成に限定されるべきものではなく、各種改変可能である。例えば、現像装置に送られる転写残トナーから紙粉を除去するためのフィルタを設けることもできる。また像担持体からトナー像を転写される転写材が、中間転写体より成り、その中間転写体に転写されたトナー像を最終転写材に転写する形式の画像形成装置にも本発明を適用することができる。
【0108】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、転写残トナーの一部を現像装置に戻し、他の転写残トナーをトナー収容部へ搬送するので、トナーの消費量を減らし、かつ異常画像の発生を効果的に抑制することができる。しかも、簡単な構成のトナーリサイクル装置によって、転写残トナーを、現像装置とトナー収容部にそれぞれ送り込むことが可能である。さらに、トナー案内管を自動的に回転させることができ、トナーリサイクル装置の取り扱いを容易にすることができる。
【0114】
請求項2乃至5に係る発明によれば、所望するリサイクル率を正しく維持することが可能である。
【0122】
請求項6に係る発明によれば、転写残トナーの詰まり現象の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一例を示す部分断面概略図である。
【図2】循環紙粉量が飽和することを説明する図である。
【図3】転写残トナーの一部を現像装置に戻さないようにすることによって、循環紙粉量を急激に減少させることができることを説明する図である。
【図4】リサイクル率が45%のときの、図2と同様な図である。
【図5】トナー案内管の角度位置とリサイクル率との関係を示す図である。
【図6】図1のVI−VI線拡大断面図であって、トナー搬送スクリューの図示を省略した図である。
【図7】図6に示したトナー案内管を回転させたときの様子を示す断面図である。
【図8】図6に示したトナー案内管を、図7とは異なる角度位置に回転させたときの断面図である。
【図9】トナー案内管のトナー排出孔の角度位置を図6の状態から回転させたときの断面図である。
【図10】図6に示したトナー案内管の斜視図である。
【図11】大開口面積のトナー排出孔を有するトナー案内管の断面図である。
【図12】図11に示したトナー案内管を回転させたときの断面図である。
【図13】図11に示したトナー案内管の斜視図である。
【図14】トナー排出孔を拡大して示す断面図である。
【図15】他の形態のトナー排出孔を拡大して示す断面図である。
【図16】円形のトナー排出孔を有するトナー案内管の破断斜視図である。
【図17】矩形のトナー排出孔を有するトナー案内管の破断斜視図である。
【図18】リサイクルモードと非リサイクルモードを実行したときの通紙枚数と循環紙粉量の関係を示す図である。
【図19】リサイクルモードと非リサイクルモードを実行するときのフローチャートである。
【図20】規制部材によって転写残トナーの搬送方向を切り換える例を示す概略断面説明図である。
【図21】衝撃付与装置を示す図である。
【符号の説明】
1 像担持体
3 現像装置
11 転写装置
16 クリーニング装置
21 トナー案内管
23,123 トナー排出孔
23C 辺
26 トナーリサイクル装置
27 出口
33 衝撃付与装置
H 幅
h2 幅
TA 転写残トナー
X 軸線
Claims (6)
- 像担持体と、該像担持体の表面にトナー像を形成する現像装置と、該トナー像を転写材に転写する転写装置と、転写材にトナー像が転写される転写位置を通過した像担持体表面に付着している転写残トナーを除去するクリーニング装置と、該クリーニング装置によって像担持体から除去された転写残トナーの一部を前記現像装置に戻し、かつ他の転写残トナーをトナー収容部へ搬送することのできるトナーリサイクル装置とを具備し、該トナーリサイクル装置は、転写残トナーが通るトナー案内管と、該トナー案内管内の転写残トナーを搬送するトナー搬送部材とを有し、前記トナー案内管には、現像装置又はトナー収容部へ送られる転写残トナーが、当該トナー案内管から落下するトナー排出孔と、該トナー排出孔よりも開口面積の大きな孔より成る出口が形成され、前記トナー案内管がその軸線のまわりに回転可能に支持されていると共に、該トナー案内管をその軸線のまわりに回転させる駆動手段を具備し、前記トナー排出孔と出口は、トナー案内管の周方向における異なった位置に形成されている画像形成装置。
- 前記トナー案内管の軸線方向に対して直交するトナー案内管周方向の向きを横方向としたとき、前記トナー排出孔の横方向の幅が、当該トナー排出孔を通る転写残トナーの横方向の幅よりも小さく設定されている請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記トナー排出孔が、トナー案内管の軸線方向に沿って複数個形成されている請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記トナー排出孔は、その開口面積が、トナー案内管の半径方向外方に向けて漸次大きくなるようにテーパ状に形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記トナー排出孔は矩形に形成され、その互いに平行な2つの辺が、ほぼトナー案内管の軸線方向に延びている請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記トナーリサイクル装置により搬送される転写残トナーに対して衝撃を与える衝撃付与装置を具備している請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
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